
スポンサードリンク
水冷ヘッドと冷却ファンにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載する、汎用性の高い240サイズラジエーター採用の簡易水冷CPUクーラー「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync(型番:CL-W233-PL12SW-A)」をレビューしていきます。Core i9 9900KやRyzen 9 3900Xなど最新のメインストリーム向けCPUを使用して「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の冷却性能を徹底検証していきます。

代理店公式ページ:https://www.ask-corp.jp/products/thermaltake/cpu-cooler/water3-argb-sync.html
製品公式ページ:https://jp.thermaltake.com/water-3-0-240-argb-sync.html
マニュアル:https://mgofficial.azureedge.net/pub/media/productattach/c/l/cl-w233-pl12sw-a_water_3.0_240_argb_sync_manual_180927.pdf
Thermaltake Water 120 3.0 ARGB Sync
Thermaltake Water 240 3.0 ARGB Sync
Thermaltake Water 360 3.0 ARGB Sync
<
TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<
PCワンズ><パソコン工房><ソフマップ>
Thermaltake Water 240 3.0 ARGB Sync
Thermaltake Water 360 3.0 ARGB Sync
Thermaltake
Amazon.co.jp で詳細情報を見る<
<
レビュー目次
1.Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの梱包・付属品
2.Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの水冷トップと水冷チューブ
3.Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのラジエーターと冷却ファン
4.Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの検証機材とセットアップ
5.Thermaltake Water 3.0 240 ARGB SyncのLEDイルミネーション
6.Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのファンノイズと冷却性能
7.Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのレビューまとめ
Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの梱包・付属品
まずはThermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの外観や付属品をチェックしていきます。240サイズなど大型ラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーのパッケージはかなり大きいものが多いですが、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」はパッケージサイズ自体は必要最小限であるものの、長辺方向に開くキャラメル箱型の外パッケージが採用されており、開封スペースは若干広めに要します。

製品パッケージを開くと内容品に合わせた形のパルプモールドをスペーサーとして、CPUクーラー本体や各種付属品が収められていました。

まずは各種付属品をチェックしていきます。
マウントパーツを詳しく見ると、Intelプラットフォーム用リテンションブラケットとIntel LGA115X用のバックプレート(および保護スポンジシール)、AMDプラットフォーム用のリテンションブラケット、リテンションブラケット固定リング、各種プラットフォームのスタンドオフおよびハンドスクリューがあります。

水冷トップ固定用のネジ類については、ハンドスクリューの他にプラットフォーム別でスタンドオフが2種類付属します。両端に同じ長さで同じ規格のネジ山があるものがIntel LGA115X用、片方のネジ山が短いものがIntel LGA2011-3/2066用です。

LGA115X用のバックプレートはネジ穴部分がスライドするようになっており、旧CPUソケットのLGA1366などを搭載するマザーボードにも対応しています。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」にはAM4用マウントパーツも標準で付属します。Asetek OEM製品のAM4マウントパーツはAM4純正バックプレートにスタンドオフを装着する構造のものが多いですが、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」はAM4標準のCPUクーラー固定部品にそのままフックを引っかける構造のリテンションブラケットが付属します。


Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncには、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×2セットで計8本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×2セットで計8本、ワッシャーが4個×2セットで計8個が付属します。

ケーブル類として、Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncは水冷ラジエーターに2基の120サイズ冷却ファンを搭載する240サイズ簡易水冷CPUクーラーなのですが、PWM対応4PINファン用3分岐ケーブルが付属します。

LEDイルミネーション関連では、ARGB対応ライティングコントローラー、ARGB対応VD-G型3PIN汎用LEDヘッダー変換ケーブル、ARGB対応VDG型3PIN汎用LEDヘッダー変換ケーブルの3つが付属します。

簡易水冷CPUクーラー本体は水冷トップとラジエーター共にビニール袋に包まれています。

今回のサンプル品ではラジエーターの放熱フィンの一部に凹みがありませんでしたが、ラジエーターの放熱フィンの一部に凹みがあると冷却性能に問題が出るほどではないものの几帳面な人にとっては気になる部分なので、他社製品の梱包ですが、こんな感じに厚紙などでラジエーターは個別に保護しておいて欲しいところ。
Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの水冷トップと水冷チューブ
続いて「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の水冷トップ本体をチェックしていきます。「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の水冷トップは黒色プラスチックの外装で、シンプルな円柱形状です。天面にはLEDイルミネーションのディフューザーを兼ねて白色半透明な素材でThermaltakeのテキストロゴ、アイコンロゴが描かれ、さらに外周にはリングもあります。


Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの水冷トップからは、水冷ポンプへの給電および回転数取得用の3PINファン端子と、水冷トップに内蔵されたLEDイルミネーションへの給電およびライティング制御用のARGB対応独自3PIN LEDケーブルが伸びています。LEDケーブルにはラバーのような質感のスリーブが施されています。

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの水冷ポンプは上述の通り3PINファン端子から電源供給を行うので、マザーボードのPWM信号による速度調整には非対応ですが、電圧制御による速度調整には対応しています。ファン速度の検出値が2倍になっていますが、定格(最大)ポンプ回転数は仕様通り3600RPM前後に対して、電圧制御60%にするとポンプ回転数を2800RPMに下げることもできます。

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB SyncのCPUと接触するベース部分は銅製ベースプレートが採用されています。保護フィルムではなくプラスチックのカバーで保護されていました。標準で熱伝導グリスが均等に塗られているので、こだわりがなければ初回使用時は個別にグリス購入の必要はありません。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」には簡易水冷市場の大手メーカーであるAsetek社製の銅製水冷ヘッドが採用されています。CPUヒートスプレッダと接する水冷ブロックのベースプレートは銅製です。鏡面磨き上げではありませんが、表面は滑らかです。

Intelプラットフォーム用とAMDプラットフォーム用のブラケットの2種類が付属します。

この種のマウントブラケットを使用するAsetek OEMの簡易水冷CPUクーラーでは、水冷ヘッドの歯車状の溝にマウントブラケットを直接装着する構造が多いですが、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」ではマウントブラケットと固定リングで水冷ヘッドの歯車状の突起部分を挟んで固定する構造になっています。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の水冷チューブは水冷トップの天面のロゴを正しい方向にした時に、6時の方向の側面から出る構造になっています。

水冷チューブは水冷トップの片側から出る構造になっており、L字エルボーの水冷トップ側はロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。根本の距離は狭いのでロータリーの可動域は若干小さくなっています。

「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の水冷チューブは外径11mmで、スリーブ外装もなくゴム製チューブが剥き出しになっています。取り回しが悪いわけではありませんが、外形10mm以下でスリーブ外装のある他社製品に比べると若干劣ります。

水冷チューブの長さは300mmほどです。マルチファンラジエーター採用簡易水冷のチューブ長は400mmくらいの製品が多いですが、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」は100mmほど短くなっており、大きいPCケースに搭載する場合は注意が必要かもしれません。ちなみに360サイズ版の「Thermaltake Water 3.0 360 ARGB Sync」はチューブ長が400mmです。

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのラジエーターと冷却ファン
続いてThermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのラジエーター部分をチェックしていきます。ラジエーターのデザインは一般的なもので、Cooler MasterやCorsairなどの簡易水冷クーラーの一部モデルに採用されているように独自デザインではなく汎用的なものが使用されていました。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点で言うと少し密度が高いと感じました。密度が高い分、放熱フィンの放熱性能は高まりますが、静圧の低いケースファンや低回転数動作の場合、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるので注意が必要です。

管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズのフィンピッチと比較すると、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のフィンピッチのほうが細かいのがわかると思います。

ラジエーターの厚さは一般的な27mm厚です。25mm厚の冷却ファンと組みわせることになるので、ファン&ラジエーターマウントスペースのクリアランスは52mmほど必要になります。

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncには同社製120mm角冷却ファン「Thermaltake Pure 12 ARGB Sync Radiator Fan」が2つ付属します。同一品は市販されているので、故障時の保守部品の入手も容易です。

「Thermaltake Pure 12 ARGB Sync Radiator Fan」は500~1500RPMで速度調整可能なPWM対応4PIN型120mmファンです。半透明ブレードは軸受け部分に内蔵されたアドレッサブルLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体に鮮やかな色が行き渡ります。

軸固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。

「Thermaltake Pure 12 ARGB Sync Radiator Fan」には大風量・高静圧を生み出す9枚の独自デザインのファンブレードや、回転抵抗を低減させ高寿命・高静音性を実現するハイドロリックベアリング(Hydraulic Bearing)が採用されており、ラジエーター向けに最適化されています。


「Thermaltake Pure 12 ARGB Sync Radiator Fan」のネジ穴部分には防振ゴムが貼られて防振性も確保されています。フレームは薄く、すり鉢状形状でエアフロー面が最大になるような設計です。

「Thermaltake Pure 12 ARGB Sync Radiator Fan」からはPWM対応4PINファンケーブルに加えて、ファンに内蔵されたLEDイルミネーションに給電およびライティング制御するためのARGB対応独自3PIN LEDケーブルが伸びています。LEDケーブルの先端にはオス端子からメス端子ケーブルがY字に分岐しています。ケーブルは全てラバーのような質感のスリーブが施されています。

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncには、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×2セットで計8本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×2セットで計8本、ワッシャーが4個×2セットで計8個が付属します。

冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格はUNC No.6-32でした。日本国内のユーザーとしてはホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジを採用して欲しいところです。
「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の水冷ラジエーターに冷却ファンを設置するとこんな感じになります。

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの検証機材とセットアップ
Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncを検証機材のベンチ機にセットアップします。各種CPUクーラーの検証を行うベンチ機のシステム構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
![]() |
||
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
AMD Ryzen 9 3900X (レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
MSI MEG X570 ACE (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR1 |
グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
|
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
|
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー

CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
- LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
- マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
- 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか
上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

前置きはこのあたりにしてベンチ機へThermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncをセットアップします。
まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。最新のIntel第9世代CPUに対応するLGA1151ソケットでバックプレートを装着する場合はネジ穴スライド部分の位置は一番内側でした。

バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフと呼ばれる水冷トップを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。Intel LGA1151(LGA115X)プラットフォームでは両側のネジ山が同じなスタンドオフを使用します。

下のようにスタンドオフとバックプレートでマザーボードを挟みます。4か所全てでスタンドオフを固定したらマウントパーツの設置が完了です。

マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易になっています。

Intel第9世代Core-X CPUに対応するIntel LGA2066プラットフォームではLGA2066/2011-3用のスタンドオフをCPUソケット四隅に配置されたマザーボード備え付けのネジ穴に装着すればマウントパーツの設置完了です。

水冷トップをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。

グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。

熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるネジに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの水冷トップの固定ネジはツールレスな大型ハンドスクリューなので固定は容易です。プラスドライバーでも締められますが、そこまで強く締める必要はないので対角順に水冷ヘッドがグラグラ動かない程度に手でネジを締めてください。

AMD Ryzen CPUに対応するAM4マウントについては、AMDプラットフォーム用のブラケットを水冷トップに装着してから、マザーボードに標準で備え付けられている固定器具へフックを引っかけるだけなので装着は非常に簡単です。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」では水冷トップの下側面から水冷チューブが出ていますが、水冷チューブのL字エルボーの下端はLGA1151のCPUクーラー固定ネジ穴の位置から大きくははみ出していません。
ASUS WS Z390 PROのようにCPUソケット下に大きなヒートシンクのあるマザーボードでも十分なクリアランスがあるので、基本的に干渉が発生する心配はないと思います。

以上で「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のセットアップは完了です。
簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷トップの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB SyncのLEDイルミネーション
「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のLEDイルミネーションについてチェックしていきます。「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」では水冷ヘッド天面のメーカーロゴ&リングと、2基の冷却ファンの軸受け部分にアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されています。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」に搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションは、標準で付属するコントローラーによって制御することができます。コントローラーからはSATA電源ケーブルが伸びており、SATA電源を電源供給元として、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のアドレッサブルLEDイルミネーションへの電源供給とライティング制御が可能となっています。

付属コントローラーには[MODE , COLOR , SPEED]の3つのボタンがあります。

英語表記の通りですが、「MODE」ボタンは発光パターン、「COLOR」ボタンは発光カラー、「SPEED」ボタンは変化速度を設定できます。

また「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のアドレッサブルLEDイルミネーションを外部コントローラーによって制御するための変換ケーブルとして、現在主流なARGB対応VD-G型3PINコネクタや、GIGABYTEのARGB対応マザーボードの初期製品に実装されていたARGB対応VDG型3PINコネクタにThermaltakeの独自端子を変換するケーブルが付属します。

これらの付属のケーブルを使用すると、ARGB対応汎用3PIN LEDヘッダーがあるLEDコントローラーによってライティング制御が可能です。マザーボードについてはASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなど国内主要4社マザーボードのライティング制御機能による操作が可能です。


今回は付属の専用ライティングコントローラーを使用して「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のアドレッサブルLEDイルミネーションの制御について紹介します。
「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のアドレッサブルLEDイルミネーションは、水冷ヘッドと2基の冷却ファンの計3つですが、『コントローラー -1- ファン -2- ファン -3- 水冷ヘッド』の順番で数珠繋ぎにLEDケーブルを接続することによって、1つのコントローラーでまとめて制御できます。

「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の付属コントローラーに収録された発光パターンのうち「Rainbow」と「Flow」の2種類で点灯させてみた様子が次のようになっています。
Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのファンノイズと冷却性能
本題となるThermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncの冷却性能と静音性についてチェックしていきます。検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。

まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。

電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。
Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのラジエーター冷却ファンとエアフローファンのファンノイズを個別に測定したところ次のようになりました。Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncはラジエーター冷却ファンを1100RPM前後に収まるようにすると静音動作で運用できると思います。

上のグラフでは冷却ファンを付属の「Thermaltake Pure 12 ARGB Sync Radiator Fan」から、「Noctua NF-A12x25 PWM」に換装したケースについてもファンノイズとファン回転数の関係を掲載していますが、「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換すれば標準ファンと同じノイズレベルにおいて500PRM~600RPM程度高いファン回転数で運用でき、より高い冷却性能と静音性を実現できます。「Noctua NF-A12x25 PWM」は1台あたり3500円ほどと高価ですが、CPUクーラーのパフォーマンスを追及するのであれば、一押しの冷却ファンです。

Intelの最新メインストリーム向けCPUである第9世代CoffeeLake Refresh-Sの最上位モデル8コア16スレッド「Core i9 9900K」で「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の冷却性能を検証していきます。
検証機材のCore i9 9900KはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替え、ヒートスプレッダもRockit Cool製のオリジナル銅製IHSに交換しているので通常よりも低い温度で動作しています。定格運用の95W程度では大きな差は出ませんが、大幅にOCした場合は最大で10度前後の差が出ます。
・Core i9 9900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証


CPUクーラーの冷却性能検証に用いるストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合は20分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。

Core i9 9900Kの動作設定は「短期間/長期間電力制限:200W」「メモリ周波数3600MHz」「メモリタイミング16-16-16-36-CR2」「メモリ電圧:1.350V」としています。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のファン回転数を1000RPMに固定してストレステストを実行したところ、殻割りクマメタル&銅製IHS化したCore i9 9900Kの電力制限を解除して全コア4.7GHzで動作させても、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」はCPU温度を最大67度、平均63.6度に収めることができました。「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」に標準搭載されている冷却ファンは定格(最大)ファン回転数が1500RPMなのでまだ余力を残しています。

またCore i9 9900Kを全コア5.0GHzにOCしたケースについても検証してみました。
Core i9 9900KのOC設定は「CPUクロック倍率:50」「CPUキャッシュ倍率:47」「CPUコア/キャッシュ電圧:1.250V(固定モード)」「ロードラインキャリブレーション:Level 7」「SVIDサポート:Disabled」「メモリ周波数:4000MHz」「メモリ電圧:1.400V」「メモリタイミング:17-17-17-37-CR2」としています。


「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のファン回転数を1200RPMに固定してストレステストを実行したところ、殻割りクマメタル&銅製IHS化したCore i9 9900Kを全コア5.0GHzにOCしても、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」はCPU温度を最大81度、平均77.8度に収めることができました。

ちなみに「Thermaltake Water 3.0 240(360) ARGB Sync」はポンプ速度3600RPMという仕様値から推測するに、2019年現在最新の第6世代Asetek製水冷ヘッドではなく、Thermaltakeの旧モデルと同じく第4世代以前の水冷ヘッドが引き続き使用されているようです。
冷却ファンをNoctua NF-A12x25 PWMのファン回転数1200RPMに統一して、Fractal Design Celsius S36(360サイズなのでファン2基のみを稼働)と冷却性能を比較してみたところ、いずれもポンプ速度最大で、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」は最新世代の水冷ヘッドに比べてCPU温度で数度ですがパフォーマンスが劣りました。実用上は大差ありませんが、旧式水冷ヘッドが使用されているところは押さえておいた方が良いと思います。


続いて2019年下半期に発売されたばかりのAMD第3世代Ryzenから12コア24スレッド「Ryzen 9 3900X」を使用して、AMD第3世代Ryzen環境における「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」の冷却性能をチェックします。

Ryzen 9 3900XのOC設定については、Precision Boost Overdriveを有効化して『PPT = 300W、TDC = 300A、EDC = 300A』に設定しています。メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリタイミング:16-16-16-36」「Command Rate:GearDownMode」「メモリ電圧:1.350V」としました。



「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のファン回転数を1000RPMに固定してストレステストを実行したところ、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」はRyzen 9 3900XをPBOによって全コア4.0~4.1GHzにクロックアップしてもCPU温度を最大84.3度、平均81.3度に収めることができました。ファン回転数は定格1500RPMなのでまだまだの余力を残しています。

なおIntel Core i9 9900KやAMD Ryzen 9 3900XなどTDP100Wクラスのメインストリーム向け最上位CPUの冷却に「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」を使用する場合、CPU自体の冷却は上述の通り十分なのですが、これらのCPUはVRM電源への負荷も大きく、マザーボードによってはVRM電源周りが高温になることが予想されます。
マザーボードスペーサーのネジ穴を利用して固定できるフレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」をスポットクーラーに使用することによって、VRM電源が弱めな比較的安価なマザーボードでもCore i9 9900KやRyzen 9 3900Xのような最上位CPUを運用できるようになるので、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」と一緒に使用するのがおすすめです。


・マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ

Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Syncのレビューまとめ
最後に240サイズ簡易水冷CPUクーラー「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 水冷ヘッドと冷却ファンにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載(付属コントローラーあり)
- ARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーに接続することでM/Bのライティング制御に対応
- 全コア4.0~4.1GHzにクロックアップしたRyzen 9 3900Xを運用可能な冷却性能
- バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
- 水冷ヘッドはハンドスクリューナットでツールレスに固定可能
- AMD AM4プラットフォームでは簡単なフック式の固定方法
- ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3やM4ではなくUNC No.6-32
- ケーブルが太く、ゴムっぽい質感の被膜もあって、ケーブルマネジメントが少々厄介
- 若干古い世代のAsetek製水冷ヘッドが採用されている
冷却性能の検証結果からもわかるように「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」は2019年最新のメインストリームCPU最上位である8コア16スレッドのIntel Core i9 9900Kや12コア24スレッドのAMD Ryzen 9 3900Xの定格動作はもちろん、オーバークロックであっても静音性を維持したまま余裕で対応可能な冷却性能を発揮しています。今回は検証から外しましたが、10コアを超えるエンスー向けCPUのIntel第9世代Core-Xであっても定格のTDP165Wから軽いOCの消費電力200W~300W程度であれば十分に運用できるはずです。
マウントパーツが個別にマザーボードに固定可能、マウントパーツを設置したままでもCPUクーラーを交換可能なところは管理人的にポイントが高いです。前者は特にマザーボードをPCケースに組み込み後のCPUクーラー設置で、バックプレートを裏から支える必要がないので全ての簡易水冷CPUクーラーで採用して欲しい構造です。
「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」はAMD AM4プラットフォームにおいてマザーボード標準設置のCPUクーラー固定パーツを使用したフックによる簡単な固定方法に対応している数少ない製品なので、Ryzen環境でハイパフォーマンスなCPUクーラーを探しているユーザーにもオススメしたいCPUクーラーです。
マイナスポイントとしてはファンや水冷ヘッドから伸びる各種ケーブルがゴムっぽい質感の被膜で覆われており、ケーブルが太く、取り回しが悪いところは微妙だと感じました。ケーブルを綺麗にマネジメントしようと思うと癖のある製品です。あと未だに若干古めな世代のAsetek製水冷ヘッドが採用され続けている点も気になりました。
PCケースへの設置において汎用性の高い240サイズラジエーターを採用する「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」は冷却性能と静音性はともに優秀であり、水冷ヘッド&冷却ファンのアドレッサブルLEDイルミネーションもシンプルが豪華なところも魅力なので、Intel Core i9 9900KやAMD Ryzen 9 3900Xなどメインストリーム向けハイクラスCPUとの組み合わせに検討する価値のあるCPUクーラーだと思います。
以上、「Thermaltake Water 3.0 240 ARGB Sync」のレビューでした。

Thermaltake Water 120 3.0 ARGB Sync
Thermaltake Water 240 3.0 ARGB Sync
Thermaltake Water 360 3.0 ARGB Sync
<
TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<
PCワンズ><パソコン工房><ソフマップ>
Thermaltake Water 240 3.0 ARGB Sync
Thermaltake Water 360 3.0 ARGB Sync
Thermaltake
Amazon.co.jp で詳細情報を見る<
<

Noctua NF-A12x25 ULN 120mmファン 定格1200RPM PWM対応
Noctua
国内正規代理店Techaceの公式通販 で詳細情報を見る
<TSUKUMO:
補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。関連記事
・最も美しい簡易水冷CPUクーラー「NZXT KRAKEN X72」をレビュー
・360サイズの最強簡易水冷CPUクーラー「Corsair H150i PRO RGB」をレビュー

・Fractal Design 「Fractal Design Celsius S36」をレビュー

・「ASUS ROG RYUJIN 360」をレビュー

・「CRYORIG A40 V2」をレビュー

・「サイズ APSALUS G6」をレビュー

・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む

(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク