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7nmプロセスで製造され、新ゲーミングアーキテクチャ「RDNA」を採用するAMDの次世代GPU”Navi”ことRadeon RX 5700シリーズ下位モデル「AMD Radeon RX 5700」を搭載したAMD純正リファレンスグラフィックボードをレビューしていきます。「Radeon RX 5700」が、競合モデルと位置付けるRTX 2060無印版やカウンターパンチとしてリリースされたRTX 2060 SUPERと比較して、どの程度の性能を発揮するのか実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
Radeon RX 5700 レビュー目次
1.Radeon RX 5700の外観
2.Radeon RX 5700の分解
3.Radeon RX 5700の検証機材
4.Radeon RX 5700のゲーム性能
5.Radeon RX 5700の温度・消費電力・ファンノイズ
6.Radeon RX 5700のレビューまとめ
Radeon RX 5700の外観
早速、「Radeon RX 5700」のリファレンスモデルを開封していきます。「Radeon RX 5700」のリファレンスモデルはいくつかのベンダーからリリースされていていますが、基本的にAMD純正のリファレンスモデルを箱詰めしただけ、+αでブロアーファン中央に各社のロゴシールが貼られているくらいの違いなので、どのベンダーの製品を買っても大差ありません。SAPPHIRE、ASRock、Power Colorの3社の製品は他社の1年よりも長い2年保証になっているので、ここだけは気にしてもいいかもしれません。
「Radeon RX 5700 リファレンス」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「Radeon RX 5700 リファレンス」は、Radeon RX Vega 64 Limited Editionのような外観で、一見してこちらのほうが”XT”ぽく感じます。サンプルイメージではサンドブラスト表面処理のシルバーアルミニウムのように見えましたが、実物はグレーのマットな表面になっています。リファレンスモデルとして標準的な外排気型でブロアーファンが搭載されています。
「Radeon RX 5700 リファレンス」のグラフィックボード側面も正面と同じくフラットなデザインで、赤色文字でRADEONロゴが描かれているだけと非常にシンプルです。RX 5700 XTと違ってロゴにLEDイルミネーションは内蔵されていません。
「Radeon RX 5700 リファレンス」は全長267mmでRadeon RX 5700グラフィックボードとしては標準的な長さです。
「Radeon RX 5700 リファレンス」は基板とGPUクーラーがPCIブラケットの高さとほぼ同じ背の低いデザインです。
Radeon RX 5700のオリファンモデルの中には3スロット占有クーラーを採用しているモデルも少なくはありませんが、「Radeon RX 5700」のリファレンスモデルは2スロット占有です。
「Radeon RX 5700 リファレンス」の補助電源数はリファレンス仕様の通りPCIE 8PIN+6PINとなっています。
「Radeon RX 5700 リファレンス」のビデオ出力はHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。
「Radeon RX 5700 リファレンス」には基板の反りや背面素子の破損を防止し、GPUコアやVRM電源の冷却を補助するバックプレートは搭載されず、基板が剥き出しになっています。上位モデルRX 5700 XTのリファレンスモデルでは搭載されているので注意したいところです。
グラフィックボードの重量はGeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionが970g、GeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionが966gに対して、「Radeon RX 5700 リファレンス」は1022gとなっています。
バックプレートがなく、重量は1kgを超過しているのでPCI-Eスロットへの負荷を考えるとVGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。
Radeon RX 5700の分解
「Radeon RX 5700」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なおGPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために自己責任で分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
【暇があれば更新予定】
Radeon RX 5700の検証機材
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「Radeon RX 5700」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Intel Core i7 7700K (レビュー) |
CPUクーラー |
Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
ASUS ROG RYUO 120 (レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
G.Skill Trident Z F4-3600C15D-16GTZ DDR4 8GB*2=16B (レビュー) |
システム ストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
データストレージ |
Samsung SSD 860 QVO 4TB (レビュー) | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) Corsair RM650i |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
ベンチ機のゲームデータストレージには、世界初のQLC NANDメモリ採用2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 QVO 4TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 QVO 4TB」は現行最新かつ主流なTLC型NAND採用のSATA3.0 SSDと同等のアクセススピードを実現しながら、同社の定番モデルである860 EVOの4TBモデルよりも大幅に安価なので、PCゲーム100GB超時代でも容量不足の心配無用なゲームデータストレージとしてオススメのSSDです。
・「Samsung SSD 860 QVO 4TB」をレビュー
「Radeon RX 5700 リファレンス」のスペックについて簡単に確認しておきます。
Radeon RX 5700シリーズの下位モデル「Radeon RX 5700」のスペックは、36 Compute Unitsでシェーダー数はRX 590と同じく2306ですが、コアクロックはベース1465MHz、ゲーミング1625MHz、最大1725MHzへと上昇しており、VRAMには上位モデルRX 5700 XTと同じく速度14Gbpsで容量8GBのGDDR6メモリが採用され、消費電力の指標となるTBP(Typical Board Power)は180Wです。PCIE補助電源としてリファレンスモデルでは8PIN+6PINが要求されます。
AMD Radeon RX 5700シリーズ スペック一覧 | ||||||
RX 5700 XT (50TH AE) |
RX 5700 | RX 590 |
||||
GPUコア | Navi | Navi | Polaris 30 |
|||
製造プロセス | 7nm FinFET | 7nm FinFET | 12nm FinFET | |||
シェーダー数 | 2560 | 2304 |
2304 | |||
ベースクロック | 1605 MHz (1680 MHz) |
1465 MHz | 1469 MHz | |||
ゲームクロック | 1755 MHz (1830 MHz) |
1625 MHz | - | |||
ブーストクロック | 1905 MHz (1980 MHz) |
1725 MHz | 1545 MHz | |||
単精度性能 | 9.75 TFLOPs (10.14 TFLOPs) |
7.95 TFLOPs | 7.10 TFLOPs | |||
VRAM | 8 GB GDDR6 | 8 GB GDDR6 | 8GB GDDR5 | |||
バス幅 | 256-bit | 256-bit | 256-bit | |||
メモリクロック | 14.0 GHz | 14.0 GHz | 8.0 GHz | |||
メモリ帯域 | 448 GB/s | 448 GB/s | 256 GB/s | |||
補助電源 | 8PIN+6PIN~ | 8PIN+6PIN~ | 8PIN*1~ | |||
TBP | 225 W | 180 W | 225W | |||
発売日 | 2019年7月7日 | 2019年7月7日 | 2017年6月 | |||
希望小売価格 | 399ドル~ (449ドル) |
349ドル~ |
279ドル~ |
発売直前だったので見落としている人もいるかもしれませんが、希望小売価格が改訂されており「Radeon RX 5700 XT」が399ドルから、「Radeon RX 5700」が349ドルからとなっています。「Radeon RX 5700 XT」の競合モデルRTX 2070 Superが499ドルから、「Radeon RX 5700」の競合モデルRTX 2060 Superが399ドルからなので価格面ではRadeon RX 5700シリーズにアドバンテージがあります。
Radeon RX 5700シリーズの特長などスペック関連についてはこちらの記事で紹介しています。
・強気な価格設定の「RX 5700 XT」と「RX 5700」は買いなのか?
「Radeon RX 5700」はリファレンス仕様の通りにコアクロックはベース1465MHz、ゲーミング1625MHz、最大1725MHzです。NVIDIA製GPUと違ってGPU-Zからは電力制限値が確認できません。「Radeon RX 5700」の仕様値TBP(Typical Board Power)は180Wなので、今回検証するリファレンスモデルはそのように設定されているはずですが、ファクトリーOCが施されたオリファンモデルでは引き上げられている可能性があります。
Radeon設定のWattmanからは前世代同様にコアクロックやメモリクロックに関する設定が可能です。今回入手した「Radeon RX 5700」のコアクロック/コア電圧カーブの最大値は1750MHz/1045mVでした。Radeon VIIでは個体差があった部分なので、当たりハズレが気になるところですが手持ちのサンプルが1つだけなので、今回の個体がどうなのかは分かりません。
「Radeon RX 5700」に搭載されたGDDR6メモリの定格動作クロックは14.0GHzですが、手動オーバークロックでは最大15.2GHzに設定が可能です。メモリ電圧の設定項目はありません。
ファン制御カーブの手動設定も可能です。「Radeon RX 5700」にはGPU温度とジャンクション温度の2種類の温度がありファン制御カーブはジャンクション温度を参照するようです。電力制限のスライダーからはTBP180Wを基準にして、-50%~+20%の範囲内で指定できます。
Radeon RX 5700のゲーム性能
「Radeon RX 5700」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition」、「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、「EVGA GeForce GTX 1080 SC2」、「EVGA GeForce GTX 1070 SC ACX3.0」を使用しています。「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
Radeon RX 5700 | 23546 | 11213 | 5633 |
RTX 2060 SUPER FE | 22876 | 10868 | 5356 |
RTX 2060 FE | 19258 | 8990 | 4181 |
GTX 1080 | 22049 | 10602 | 5311 |
GTX 1070 | 17917 | 8477 | 4252 |
「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。
TimeSpy | Async Off |
Extreme | |
Radeon RX 5700 |
7739 | 7025 | 3490 |
RTX 2060 SUPER FE |
8933 | 8270 | 4173 |
RTX 2060 FE |
7561 | 7071 | 3450 |
GTX 1080 |
7505 | 7151 | 3410 |
GTX 1070 | 5954 | 5711 | 2761 |
「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードについて、17年中頃から普及しつつあるHTC VIVEやOculus RiftなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
Orange Room |
Cyan Room |
Blue Room |
|
Radeon RX 5700 |
11730 | 7804 | 2155 |
RTX 2060 SUPER FE |
12142 | 8655 | 2784 |
RTX 2060 FE |
11452 | 7776 | 2379 |
GTX 1080 |
11630 | 6648 | 2285 |
GTX 1070 | 9852 | 5338 | 1791 |
続いて2019年最新の実PCゲームを用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHDとWQHDと4Kの3種類の解像度で平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(最高設定プリセット, DirectX11)、Destiny 2(最高設定プリセット)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定から以下を変更、ターフエフェクト:オフ/ゴッドレイ:オン/ロングレンジシャドウ:オン)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX11)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)、The Witcher 3(個別設定を全て最高設定)以上の15タイトルです。
Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(最高設定プリセット, DirectX11)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Destiny 2(最高設定プリセット)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Gears 5(最高設定プリセット)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定から以下を変更、ターフエフェクト:オフ/ゴッドレイ:オン/ロングレンジシャドウ:オン)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX11)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Witcher 3(個別設定を全て最高設定)に関する「Radeon RX 5700」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 5700、GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition、GeForce RTX 2060 Founders Edition、GeForce GTX 1080、GeForce GTX 1070の5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、Radeon RX 5700は現行最新の競合GPUであるRTX 2060を10%程度上回り、前世代ハイエンドGPUのRX Vega 64が競合製品と位置づけながらも苦戦したGTX 1080をも超える性能です。
一方でNVIDIAがカウンターパンチとしてリリースしてきたRTX 2060 SUPERと比較すると、上で個別タイトルについて確認したようにそれぞれのGPUでゲームによって得手不得手があります。今回の検証ではRX 5700やRTX 2060 SUPERがターゲットとするフルHDやWQHDの解像度においてRTX 2060 SUPERが数%程度上回りましたが、実用上はほぼ同性能と評価して問題ないと思います。
Radeon RX 5700の温度・消費電力・ファンノイズ
「Radeon RX 5700」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「Radeon RX 5700」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
「Radeon RX 5700」のテスト終盤におけるGPU温度は最大78度でした。ファン回転数は一時的に1900RPM程度まで上昇していますが、最終的には1600~1700RPM前後で波打つような変化へ収束しています。ジャンクション温度と違ってGPU温度は定点の温度になっていますが、上位モデルのRX 5700 XTよりも「Radeon RX 5700」のほうが温度が高いという意外な結果でした。また外排気ブロアーファンGPUクーラーとはいえTBP180WのミドルハイクラスGPUとしては高めのGPU温度です。
GPUに搭載された複数の温度センサーのうち、最大温度を示すジャンクション温度の推移は下のようになりました。Radeon RX 5700シリーズはジャンクション温度をファン制御のソース温度とし、負荷がかかるといったん上限速度まで上昇し、徐々に収束していく方式が採用されています。
今回のテストにおいて「Radeon RX 5700」はジャンクション温度が上限温度の90度の跨いで推移したため、ファン回転数は1600~1700RPM前後で波打つように変化しています。
「Radeon RX 5700」ではGDDR6メモリやVRM電源回路の温度もモニタリングが可能であり、ストレステスト中の推移は下のようになりました。
GPUコアクロックについては「Radeon RX 5700」の仕様値ではゲームクロック1620MHzとなっていましたが、負荷テスト中の実動平均は1649MHzでした。
【暇を見て近日更新予定】--------------
またベンチ機2のPCケースに「Radeon RX 5700」を組み込んでFire Strike Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせて実用の冷却性能を確認してみました。
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しており、ケースファンにはNZXT製のエアフロー重視でPCケースの吸気・排気ファンに最適なケースファン「NZXT Aer F 140」をPCケースのフロントに吸気ファンとして2基、リアに排気ファンとして1基設置してファン回転数1000RPM固定で運用しています。
「Radeon RX 5700」をPCケースに入れて長時間負荷をかけたところ、最大温度は-度で、コアロックの平均値は-MHzでした。
1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
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Radeon RX 5700を含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
Radeon RX 5700のファンノイズは1700RPMというやや高めなファン回転数でノイズレベル47.8dBでした。RX 5700は上位モデルRX 5700 XTよりも消費電力が小さいので、それに比べればファンノイズは控えめですが、静音性はやはり微妙です。リファレンスモデルは外排気ブロアーファンGPUクーラーで静音性があまり良くないのは仕方ないことなので、外排気にこだわらないのであれば、2019年9月現在、すでに普及しているオリファンモデルを選ぶのが正解だと思います。
【注意】 ファンノイズの比較グラフではレビュー製品と同等のGPUを搭載したグラフィックボードと各GPUのリファレンスモデルを抜粋して掲載しています。AMDが従来通り外排気GPUクーラーであるのに対し、NVIDIAのリファレンスモデルであるFounders Editionが内排気GPUクーラーを採用したため、NVIDIA<AMDという傾向になっていますが、あくまで静音性はGPUの消費電力とGPUクーラーの性能によります。同グラフからAMD製GPUを搭載したグラフィックボードが一般的にNVIDIA製GPUを搭載したグラフィックボードより煩いと考えるのは誤った評価なので注意してください。
Radeon RX 5700の消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
Radeon RX 5700の消費電力は169W、最大瞬間負荷は209Wでした。Radeon RX 5700のTBP(Typical Board Power)は180Wと公称されていますが、仕様値通りの消費電力になっていると思います。
「Radeon RX 5700」は補助電源を8PIN+6PINとTBPに対して多めに搭載しており、従来のAMD製GPUの傾向からすると仕様値を大きく上回る消費電力を示すかと予想していたのですが、しっかりと仕様値を守り、競合製品であるRTX 2060とRTX 2060 SUPERの中間に位置する消費電力なので、ワットパフォーマンス的にもNVIDIAの最新GPUと競合できています。先んじて検証した第3世代Ryzen CPUでも実感がありましたが7nmプロセスの省電力性能は偉大だとGPUでも再認識しました。
Radeon RX 5700 レビューまとめ
最後に「Radeon RX 5700」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新PCゲームをフルHD/最高画質設定でプレイ可能なグラフィック性能
- RTX 2060を10%程度上回り、RTX 2060 SUPERと競合するグラフィック性能
- RTX 2060/SUPERと遜色ないワットパフォーマンスで省電力性能も優秀
- ほぼ同性能なRTX 2060 SUPERよりも安価な希望小売価格349ドル
- リファレンスモデルは一部で需要のある外排気ブロアーファンGPUクーラー
- リファレンスGPUクーラーは静音性があまり良くないのでオリファンモデルを推奨
- 動画倍速補完機能Fluid Motionはサポートされない
「Radeon RX 5700」は競合NVIDIAのRTX 20XX SUPERシリーズと比較して、グラフィック性能・省電力性能・価格の3点全てにおいて総合的に張り合える製品に仕上がっています。AMDの新製品では第3世代Ryzenが脚光を浴び過ぎていて相対的に新GPUは目立っておらず、管理人自身もその口でしたが、実際に検証してみると「Radeon RX 5700」は非常に高評価なGPUでした。
「Radeon RX 5700」は、競合製品であるRTX 2060を10%程度上回り、カウンターパンチとしてリリースされたRTX 2069 SUPERとほぼ同等グラフィック性能を実現しており、2019年最新の高画質PCゲームをフルHD・最高画質でプレイするのに最適なGPUです。フルHD/144FPSのハイフレームレートゲーミングやWQHD解像度における高画質なPCゲーミングにも対応できます。
また「Radeon RX 5700」はRTX 2060やRTX 2060 SUPERと競合できるワットパフォーマンスを実現しているところも注目ポイントです。前世代最上位Radeon RX Vega 64はGTX 1080 Ti以上の消費電力でもっても競合と位置付けるGTX 1080に対してグラフィック性能で苦戦を強いられ、近年のAMD製GPUはNVIDIA製GPUに比べてワットパフォーマンスに劣るというのが定説でした。しかしながら「Radeon RX 5700」はGTX 1080と同等の消費電力でGTX 1080を上回るグラフィック性能を発揮しており、7nmプロセスによって製造された次世代GPU”NAVI”は省電力性能においても優秀です。
RTX 20XX SUPERシリーズはRadeon RX 5700シリーズに対するカウンターパンチとしてリリースされましたが、性能を引き上げる反面、消費電力も引き上げてしまったので、逆にRadeon RX 5700シリーズの省電力性能を際立たせる結果になった気もします。
Radeon RX 5700発表当初の管理人の感想は、『シェーダー数やダイサイズといったハードウェアスペック的に考えると、RX 590クラスの価格帯が妥当ではないか、Radeon RX 5700シリーズはそれぞれ100ドルくらい安価にリリースされるものと予想していたので、その点は少し残念だったというのが正直なところです』というもので、端的に”強気な価格”とまとめていました。
しかしながら発売直前で50ドル程度の値下げが発表されたので、「RX 5700 vs RTX 2060 SUPER」と「RX 5700 XT vs RTX 2070 SUPER」という競合製品対決において、価格面ではRadeon RX 5700シリーズにアドバンテージがあります。最初からオリファンモデルが投入されたRTX 2060 SUPERに対して、RX 5700のオリファンモデルは2019年9月から順次発売されたばかりなので、まだオリファンモデルは高止まりしていますが、次第に希望小売価格通りの価格差になっていくのではないかと思います。
「Radeon RX 5700」のリファレンスモデルについて、外排気ブロアーファンGPUクーラー自体は一定の需要があるものの、やはり静音性や冷却性能には難があります。外排気ブロアーファンGPUクーラーにこだわりがなければ、AIBパートナー各社から発売済みのオリファンを選択するのがオススメです。
以上、「Radeon RX 5700」のレビューでした。
・Radeon RX 5700 販売ページ:
<Amazon><PCショップアーク><パソコン工房>
<TSUKUMO><ドスパラ><PCワンズ><ソフマップ>
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・おすすめグラボまとめ。予算・性能別で比較。各社AIBモデルの選び方
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・おすすめBTO PCまとめ。予算・性能別で比較。カスタマイズ指南も
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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