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Micron純正メモリモジュールを採用するCrucialのハイエンドゲーミングメモリBallistix MAXから、メモリ周波数4000MHz/メモリタイミング18-19-19-38のOCプロファイルによるメモリオーバークロックに対応する16GB×2=32GBのDDR4メモリキット「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」をレビューします。

製品公式ページ:https://www.crucial.jp/memory/ddr4/blm2k16g40c18u4b
Crucial Ballistix MAX レビュー目次
1.Crucial Ballistix MAXの外観
2.メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
3.Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4BのメモリOCを試す
4.Crucial Ballistix MAXのレビューまとめ
---【注意】--------------------------
メモリOCで有名なXMPプロファイルは「インテル エクストリーム・メモリー・プロファイル」の略称でありIntelの策定した規格なので、AMD Ryzen/Ryzen Threadripper環境において”XMPでOCする”等の表現をするのは厳密には正しくありません。ただしXMPプロファイルに収録されたメモリ周波数とタイミングの設定値からAMD Ryzen環境に合わせたメモリOCプロファイルを自動生成する機能として、「ASUS D.O.C.P」や「MSI A-XMP」などが各社マザーボードのBIOS上に機能として用意されているので、AMD製CPU環境においてもXMPプロファイルを流用したメモリOCを当記事中では便宜上細かいことを気にせずに”XMPを使用したOC”などXMPとして表記します。
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【機材協力:Crucial】
Crucial Ballistix MAXの外観
まず最初に「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」の外観をチェックしていきます。同社の標準モデル「Crucial Ballistix」は簡素な紙製パッケージですが、「Crucial Ballistix MAX」は扉開き構造の化粧箱が採用されています。

「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」はデュアルチャンネル対応の16GB×2枚組メモリキットなのでプラスチック製スペーサーに2枚のメモリが収められていました。

「Crucial Ballistix MAX」の外観は次のようになっています。
「Crucial Ballistix MAX」のメモリモジュールにはマットな艶消し黒色塗装のアルミニウム製放熱ヒートシンクが装着されています。機械装甲のような凹凸加工はありますが、中央に白字でCrucialとBallistix Maxのロゴがあることを除けば非常にシンプルなデザインです。


ヒートシンク上面についても目立った装飾はなくシンプルな外観、中央にはBallistixのロゴが描かれています。標準モデルCrucial Ballistixと比較すると放熱ヒートシンクの厚みが大きくなっています。

Crucial Ballistix MAXの全高は約40mmとなっており、ヒートシンク付きメモリとしては高過ぎず、かといってロープロファイルでもなくという塩梅です。

「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」は16GBの大容量メモリモジュールながら、片側実装の1Rankメモリです。

今回レビューするCrucial Ballistix Max DDR4メモリはヒートシンクカラーがブラックのモデルですが、Crucial Ballistix DDR4メモリには他にもヒートシンク天面ラインに16球アドレッサブルLEDイルミネーションを搭載した「Crucial Ballistix RGB DDR4」シリーズも展開されています。



メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
「Crucial Ballistix MAX」の定格動作やXMP/手動設定を使用したオーバークロックの検証を行う前に、検証機材の紹介と、メモリOCの基本・手順についての説明をしておきます。「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」の検証を行う環境としては、Core i9 10900K&Z490マザーボード、Ryzen 7 PRO 4750G&B550マザーボードで構成される検証機を用意しました。
テストベンチ機の構成 | ||
CPU |
Intel Core i9 10900K (レビュー) |
AMD Ryzen 7 PRO 4750G (レビュー) |
M/B | ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME (レビュー) |
GIGABYTE B550I AORUS PRO AX (レビュー) MSI MPG B550I Gaming Edge WiFi (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
Corsair H150i PRO RGB (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
|
システム ストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) | |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー

メモリについては必要な容量(現在のゲーミングデスクトップPCなら16~32GBあれば十分)さえ満たせば、OCによる性能の向上はCPUやGPUのOCに比べると実感しにくい部類である、というのがIntel環境における通説でした。そのため管理人も一口にOCメモリと言っても性能向上を狙うよりはオシャレなヒートシンク目当てに自作PCの装飾的な感覚で購入するのが個人的にはオススメな買い方だと思っていました。
しかしながらAMD RyzenおよびAMD Ryzen Threadripper環境では、『Infinity FabricというCPU内外のコンポーネントを相互接続するインターコネクトの動作周波数がメモリ周波数に同期する』という構造上、メモリ周波数がエンコードや3Dゲームを含めた総合的なパフォーマンスに大きく影響することが知られています。 またIntel環境においても144FPS~240FPSのハイフレームレートなPCゲーミングではCPUボトルネックの緩和にメモリ周波数のOCが効いてきます。
OCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説

Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4BのメモリOCを試す
「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」を、Intel第10世代Core-S&Z490マザーボードや、AMD Ryzen 4000G&B550マザーボードの検証機材にセットアップしてメモリオーバークロックの動作検証を行っていきます。Crucial Ballistix MAXシリーズにはメモリ周波数4000MHz~5100MHzまでのXMPプロファイル、メモリ容量/枚数が8GB×2=16GB or 16GB×2=32GBなどいくつかのモデルがラインナップされています。
なおOCプロファイル(XMP)についてはあくまでメーカーによる”動作確認済み”の選別品であって”動作保証ではない”ので注意してください。マザーボードやCPUとの相性によってはXMPプロファイル通りに動作しない場合もあります
Crucial Ballistix MAXシリーズは製品スペックを見ての通り、メモリ周波数が4000MHz以上、最速モデルは5100MHzと非常に高い設定になっています。安定動作する環境(CPU・マザーボード)は限られ、自作PC上級者やOCer向け製品なので注意してください。

OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHz/メモリタイミングCL18のオーバークロックに対応する16GB×2=32GBメモリキット「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」については、Crucial製品なのでメモリモジュールがMicron製なのは当然なのですが、16GBの大容量ながら1Rankメモリモジュールとなっているのが注目ポイントです。(製品型番およびスペックはそのままでも、メモリモジュールについてはロットやバージョンで変更される可能性があります。)

前置きはこの辺りにして「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」のメモリOCを実践していきます。
まずはIntelのメインストリーム向けCPUである第10世代Core-Sの10コア20スレッドモデルCore i9 10900KとZ490マザーボードの環境で「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」のOCプロファイルによるOCを実践してみました。Intel Z490マザーボードにはASUS ROG MAXIMUS XII EXTREMEを使用しています。

BIOSから行うOC設定として、特にひねりもなくメモリに収録されたOCプロファイルを適用しました。マザーボードが独自に最適なサブタイミングを適用する「XMP I」は上手く動作しなかったので、メモリに収録されたOCプロファイルをそのまま適用する「XMP II」を使用しています。

Intel第10世代CPU&Z490環境は高速なメモリ周波数も比較的に安定しやすいプラットフォームということもあって、OCプロファイルを適用するだけで、1枚当たり16GBの大容量メモリモジュール2枚組でメモリ周波数4000MHz&メモリタイミング18-19-19-39の高速動作が安定しました。

続いて第3世代Ryzenと同じZen2 CPUコアと、7nmプロセスで改良・製造されるRadeon Graphicsを組み合わせた、RenoirことAMD第4世代Ryzen APUの8コア16スレッドモデル「AMD Ryzen 7 PRO 4750G」とB550マザーボードを組み合わせた環境で「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」のOCプロファイルによるOCを実践してみました。B550マザーボードにはGIGABYTE B550I AORUS PRO AXを使用しています。

BIOSから行うOC設定として、メモリに収録されたOCプロファイルを適用しました。

第3世代Ryzen同様に、Ryzen 4000Gシリーズもまたメモリ周波数3600MHz/CL16がスイートスポットになっていて、メモリ周波数4000MHz以上は実用的に安定動作を狙うのが難しくなるのですが(特にInfinity Fabric周波数の同期が難しい)、 Ryzen 7 PRO 4750G&GIGABYTE B550I AORUS PRO AXの環境において、「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」は同メモリに収録されたOCプロファイルを適用するだけでメモリ周波数4000MHz/CL18が簡単に安定動作しました。


ちなみにメモリ周波数3600MHz/CL16の第3世代Ryzen&Ryzen 4000Gの定番OC設定と比較して、上記のメモリ周波数4000MHz/CL18に手動OCした時のiGPUの性能向上は1割弱でした。堅実に性能は伸びますが、OCの手軽さや性能向上に対するコスパを考えると、やはり3600MHz/CL16が鉄板な気がします。

加えてMSI MPG B550I Gaming Edge WiFi(BIOS:1.20)の環境でも「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」のOCプロファイルによるOCを実践してみました。
予備知識として、MSI MPG B550I Gaming Edge WiFiは、同じくメモリ周波数4000MHzに対応する16GB×2枚組みメモリでも、Samsung製2Rankではサブタイミングの設定が難しく、SK Hynix製2RankではGear Down Modeの無効化が必須などクセが強くて安定動作確認を断念した経緯もあり、先に検証したGIGABYTE B550I AORUS PRO AXに比べて、4000MHzオーバーのハイクロックではメモリOCが難しいマザーボードです。

BIOSから行うOC設定として、メモリに収録されたOCプロファイルを適用しました。ただし単純にOCプロファイルだけを適用するとtRFCの値がかなり大きくなるので、tRFC1:700、tRFC2:500、tRFC4:320に手動で設定値を下げて(速くして)います。


前述の通りMSI MPG B550I Gaming Edge WiFiはSamsung製やSK Hynix製の2Rankメモリでは4000MHz/CL18クラスのメモリOCを安定させるのはOCプロファイルの適用だけでは難しく、4000MHz以上の+αなOC耐性は低めという評価だったのですが、Micron製1Rankメモリモジュールを採用する「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」ならMSI MPG B550I Gaming Edge WiFiの環境でもOCプロファイル適用一発でメモリ周波数4000MHz/CL18が楽々と安定動作しました。


「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」はメモリ周波数を3600MHzに落とせば基本的に動作するはずですが、4000MHzのOCプロファイルが安定動作するかはマザーボードとの相性も大きいので、導入を検討している人は注意してください。
「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」に収録されたOCプロファイルはメモリ周波数4000MHzなので、現状ではやはり実用定番を超えた+αな領域、自作PC上級者やOCer向け製品という要素の強い製品だという評価は変わりありませんが、Micron純正1Rankメモリモジュールを採用しており、(当サイト調べでは)4000MHz+の領域でメモリOC耐性が弱めなMSI MPG B550I Gaming Edge WiFiでも楽々と安定動作が確認できたことから、自作PC初心者から中級者にもワンチャン狙ってみる価値のあるメモリだと思います。
Crucial Ballistix MAXのレビューまとめ
最後に「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- Ballistix MAXシリーズの機械装甲のような重厚な雰囲気のヒートシンク
- Micron純正メモリモジュールを採用で、16GBの大容量ながら1Rank構成
- 簡単にメモリのOCが可能なXMPプロファイルを収録
- Intel第10世代環境でOCプロファイルによって2枚組32GBの4000MHz/CL18が正常動作
- AMD Ryzen 4000GでOCプロファイルによって2枚組32GBの4000MHz/CL18が正常動作
- 16GB×2枚組み32GB容量で5万円ほどと高価(2020年11月現在)
- 4000MHzが安定するかはMBに依るところも大きい(特にRyzen 4000Gでは)
「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」の検証ではメーカー動作確認済みのOCプロファイルを使用することによって、Intel第10世代Core-S&Z490マザーボード環境とAMD Ryzen 4000Gシリーズ&B550環境においてデュアルチャンネル2枚組み32GB容量で、メモリ周波数4000MHz&メモリタイミング18-19-19-39のオーバークロックが手軽に行え、安定動作が確認できました。
る16GB×2枚組みのメモリキットでは4000MHz以上のメモリ周波数に対応する製品でも2Rankメモリモジュールが多いのですが、「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」にはMicron純正の1Rankメモリモジュールが採用されており、4000MHzという上級者・OCer向け速度ながら、OCプロファイル適用一発で安定動作する可能性はかなり高いと感じました。
メモリ周波数4000MHz以上はまだピーキーな製品で3200MHzや3600MHzのCL14~CL18が推奨という事実は変わりませんが、「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」は、4000MHz以上にチャレンジしてみたいという自作PC初心者から中級者に勧めるとすればコレと言える製品です。
以上、「Crucial Ballistix MAX BLM2K16G40C18U4B」のレビューでした。

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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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