メインストリーム向けのIntel第10世代Core-SやAMD第3世代Ryzenなど2020年最新4大プラットフォームの各種CPUから、PCゲーミングやクリエイティブタスクに使用するBTO PCに最適なオススメのCPUを用途&予算別で5種類厳選して紹介します。
目次
【CPUの基礎知識】
1.プラットフォーム(CPU&M/B)でBTO PCのモデルは異なる
2.3分でわかる各種用途に最適なプラットフォームの早見表
CPU予算1万円 : 一般BTO PCにオススメなCPU
CPU予算2万円 : ゲーミングBTO PCにオススメなCPU
CPU予算4万円 : ゲーム実況用BTO PCにオススメなCPU
CPU予算4~6万円 : ハイフレームレートPCゲーミングにオススメなCPU
CPU予算6万円~ : 動画編集などクリエイティブタスクにオススメなCPU
【執筆:2019年10月20日、最終更新:2020年9月17日】
プラットフォーム(CPU&M/B)でBTO PCのモデルは異なる
2020年現在、一般コンシューマー向けに販売されているデスクトップPC用CPUは、メインストリーム向けの「Intel第10世代CometLake-S」シリーズと「AMD第3世代Ryzen」シリーズ、エンスージアスト向けの「Intel Core-X」シリーズと「AMD Ryzen Threadripper」シリーズの4種類です。
各CPUシリーズには対応CPUソケットおよび対応チップセットがあり、CPUとチップセットの組み合わせはプラットフォームと呼ばれますが、システムメモリやCPUクーラーなどの互換性の表記において、CPUシリーズ、CPUソケット、チップセットのどれがプラットフォームを代表して記載されるかは製品やメーカーによって異なるので、円滑に自作PCパーツを選ぶためにも下のテーブルを押さえておいてください。
2020年最新の主なプラットフォームとその表記 | |||
CPU | CPUソケット | チップセット | OC |
Intel第10世代 Comet-S Core i9 10900K, i7 10700K, Core i5 10400など |
LGA1200 (CPUクーラーはLGA115Xと互換) |
Intel 400シリーズ Z490, H470, B460, H410 |
K付きCPUとZ490のみ メモリOCはZ490なら可能 |
Intel 第10世代Core-X Core i9 10980XE, Core i9 10920Xなど |
LGA2066 (CPUクーラーはLGA2011と互換) |
Intel X299 | 対応 |
AMD第3世代Ryzen Ryzen 9 3900X, 7 3800X Ryzen 7 3700X, 5 3600, Ryzen 7 PRO 4750GGなど |
AM4 | AMD 500/400シリーズ X570, B550, B450 (X370など300系も互換) 詳細はこちら |
|
AMD Ryzen Threadripper Threadripper 3970Xなど |
TRX4 (TR4と互換) |
AMD TRX40 |
CPUの選択とプラットフォームの選択は表裏一体、つまりCPUを選んだ瞬間にマザーボードが大枠で決まってしまいます。エンスージアスト向けCPUについては対応チップセットが1種類しかないので特に問題ありませんが、メインストリーム向けCPUには対応チップセットが複数存在し、チップセットによってPCIE増設カード、ストレージ、USB機器の拡張性が変わります。
この記事を読み終わってからで構わないので、マザーボード(チップセット)について解説した下の記事も目を通してみてください。
・おすすめの自作PCマザーボードを徹底解説
上の表を見ての通り、CPUが変わるとマザーボード(プラットフォーム)も連動して変わる可能性があります。そのため例えば『標準設定のCore i9 10900Kから、カスタマイズでRyzen 9 3900Xに変えることができる』というようなBTO PCは存在しません。プラットフォームが違う場合、BTO PCメーカーは基本的に異なるBTO PCモデルを用意します。
例えばサイコムのCPU&GPUの冷却に簡易水冷クーラーを採用するG-Master Hydroシリーズでは、Intel第10世代Core-Sプラットフォームの「G-Master Hydro Z490」、AMD第3世代Ryzenプラットフォームの「G-Master Hydro X570A II」のように完全に独立した別のBTO PCがラインナップされています。
Core i5 10400FからCore i9 10900Kへ、Ryzen 7 3700XかRyzen 9 3900Xへのように、カスタマイズによるCPUのアップグレードやダウングレードは共通プラットフォーム内に限られるので、Intel第10世代Core-SプラットフォームとAMD第3世代Ryzenプラットフォームのどちらにするのか予め選んでおくのがオススメです。
3分でわかる各種用途に最適なプラットフォームの早見表
基本的にはメインストリーム向けCPUのIntel第9世代Core-SかAMD第3世代Ryzenから選ぶことになりますが、2020年下半期における4大プラットフォームについて各種用途に最適なものはどれなのか、ざっくりと早見表にまとめると下のようになります。
各種用途に最適なプラットフォームの早見表 | |||||
用途 / CPU | Intel | AMD | |||
Core-S | Core-X | Ryzen 3rd |
Threadripper |
||
最多コア数 | 10 | 18 | 16 | 64 | |
メモリ チャンネル数 / 枚数 最大容量 |
2 / 4 128GB |
4 / 8 256GB |
2 / 4 128GB |
4 / 8 256GB |
|
マルチスレッド性能 | 基本的にコアスレッド数×コアクロックに比例 2020年においてはAMD製CPUのほうがコスパが高い |
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PCゲーム | FHD~4K/60FPS | 〇(6コア6スレッド以上なら大差なし) | |||
120~240FPS | 〇〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
クリエイティブ | 基本 | マルチスレッド性能に比例 | |||
エンコード | 〇 | ||||
CPU直結PCIEレーン数 (増設機器の拡張性) |
16 | 44 | 16 +4 (SSD用) |
56 |
基本的にはメインストリーム向けCPUのIntel第9世代Core-SかAMD第3世代Ryzenから選ぶことになりますが、それぞれのメリットを簡単にまとめると次のようになります。
【Intel製CPUのメリット】
・PCゲーミングではハイフレームレートで若干高性能
・マイナーなアプリでも性能の最適化が期待できる
【AMD製CPUのメリット】
・マルチスレッド性能のコストパフォーマンスが高い
・メインストリーム向けで最大16コアまでラインナップされている
・特にB450チップセット搭載製品などマザーボードが安価
Intel第9世代Core-SとAMD第3世代Ryzenは同コアスレッド数のモデル同士で比較すると性能は僅差であり、また第3世代Ryzenでは第2世代以前で見られたハイフレームレートなPCゲーミングにおける明確なIntel製CPUとの壁もなくなっています。
メインストリーム向けCPU同士であえて差をつけるとすれば、Intel製CPUは長年主流だっただけあってなんだかんだでどのアプリケーションでも最適な性能を発揮できる安定感がある、AMD製CPUは最多16コアまでラインナップされマルチスレッド性能のコストパフォーマンスが高い、と評価できますが最終的には予算と各自の好みで選ぶことになると思います。
この記事ではCPUの性能についてかなり省略して説明していますが、CPU性能を詳しく解説した上でCPUの選び方やオススメCPUを紹介した解説記事も公開中です。
・【できる!自作PC】最新CPUの選び方とオススメCPUを徹底解説
ハイエンドデスクトップ向けCPUとしては独壇場な圧倒的マルチスレッド性能を発揮する第3世代Ryzen Threadripperを搭載したBTO PCについても解説記事を公開中です。
・Ryzen Threadripper 3970X/3960X搭載のオススメBTO PCを解説
CPU予算1万円の一般BTO PCにオススメなCPU
ウェブブラウジング、オフィスアプリ、動画視聴、2Dイラストレーションなど『基本的なPC利用』においてはコアスレッド数が2コア4スレッドもあればCPU性能としては十分であり、2020年現在、1万円から購入できるCPUは4コア4スレッド以上、2万円から購入できるCPUは6コア6スレッド以上なので、デスクトップ向けCPUが『基本的なPC利用』において性能が不足するということはありません。
ウェブブラウジング、オフィスアプリ、動画視聴、2Dイラストレーションがメインの用途であれば、Intel Core i3 9100(F)やAMD Ryzen 3 3200Gのような1万円前後で購入できる4コア4スレッドのCPUで十分です。BTO PCの場合はCore i3でグラフィックボードと組み合わせるなら、上位CPUのCore i5を選ぶほうが選択肢の幅が広がるので、このランクのCPUとしては「AMD Ryzen 3 3200G」に狙いを絞るのがオススメです。
AMD Ryzen 3 3200GやAMD Ryzen 5 3400GでホームユースのPCを組むのであれば、STXベアボーン「ASRock DeskMini X300 / A300」が非常にオススメです。
・「ASRock DeskMini X300」をレビュー。Ryzen 4000Gに完全対応!
・「ASRock DeskMini A300」をレビュー
STXベアボーン「ASRock DeskMini A300」を使用したBTO PCは各社から発売されています。Ryzen APUを搭載した「ASRock DeskMini A300」は気になるけど、「自作PCを組むのが心配……」という人には、PCショップアークやサイコムからリリースされているASRock DeskMini A300をベースにしたBTO PCがオススメです。
・「サイコム Radiant SPX2700A300A」の販売ページへ
・ASRock Deskmini A300採用BTO PCの販売ページへ
CPU予算2万円のゲーミングBTO PCにオススメなCPU
CPUの予算が2万円程度であれば、一般的なPC利用からミドルクラスGPUと組み合わせたフルHD/60FPSのPCゲーミングに対応できる6コア6スレッドCPUの「Intel Core i5 10400F」がオススメです。2020年現在のおおよその販売価格が2万円となっており、基本的にこれを買っておけば間違いありません。
・「Intel Core i5 10400」をレビュー。8700Kに迫るが本命は10400F
AMD製CPUの「AMD Ryzen 5 3600」も6コア12スレッドで、CPU性能自体はCore i5 10400と同等です。初心者向けはCore i5 10400だと思いますが、Ryzen 5 3600搭載モデルで気に入った製品や安価な製品があればこちらを選択しても特に問題はありません。
・「AMD Ryzen 5 3600」をレビュー
CPU予算4万円のゲーム実況用BTO PCにオススメなCPU
ゲーム実況やライブタイム配信を行いたいということであれば、PCゲームをプレイしながらx264 Mediumでリアルタイムエンコードが可能なマルチスレッド性能があり、かつ4万円で購入できてコストパフォーマンスに優れる、8コア16スレッドCPUの「AMD Ryzen 7 3700X」がオススメです。
・「AMD Ryzen 7 3700X」をレビュー
同価格帯で競合製品となる8コア8スレッドCPUのCore i7 9700(K/F)や、6コア12スレッドCPUのCore i7 8700(K)でもフレーム落ちが頻発してカクついているのに対し、同じく4万円で購入できる「AMD Ryzen 7 3700X」は60FPS前後で終始安定しています。
ハイフレームレートPCゲーミング用BTO PCにオススメなCPU
GeForce RTX 3080のようなハイエンドGPUと組み合わせ、144FPS~240FPSのハイフレームレートで最新PCゲームや近年流行りのバトルロイヤル系PCゲームをプレイするのであれば、「Core i7 10700K」などIntel第10世代Core-Sの8コア16スレッドモデルがオススメです。
・「Intel Core i7 10700K」をレビュー。ベストオブゲーミングCPUの素質はあり!
バトルロイヤル系PCゲームなどハイフレームレートが有利になるオンライン対戦PCゲームにおいて、現状最速のCPUが欲しい、ということであれば「Core i9 10900K」や「Core i9 10850K」を検討してみてください。2020年の最新CPUの中でも、この分野においては頭一つ飛びぬけた最速のCPUになっています。
・「Intel Core i9 10900K」をレビュー。ゲーマー向け最速は偽りなし
・「Intel Core i9 10850K」をレビュー。安くて速い完全体10コアCore i9!
動画編集・3DレンダリングなどクリエイティブタスクにオススメなCPU
動画編集や3DレンダリングなどCPUのマルチスレッド性能が物を言う用途がメインになる人には、メインストリーム向けCPUながら世界初となる12コア24スレッド「Ryzen 9 3900X」や16コア32スレッド「Ryzen 9 3950X」がオススメです。「Ryzen 9 3900X」はクリエイティブタスクにおいて同価格帯のCore i9 9900Kを40~50%も上回る性能を発揮します。
また同コアスレッド数のIntel第10世代Core-Xをワットパフォーマンスで大きく上回るので、PCにあまり詳しくない人でもCPUの冷却面で簡単に運用できるところも魅力です。
・Ryzen 9 3900Xのコスパが光る、9900Kと3950Xとの頂上決戦!!
・「AMD Ryzen 9 3900X」をレビュー。9900Kや9920Xと徹底比較
・「AMD Ryzen 9 3950X」をレビュー。スリッパJrの革命的性能を徹底検証
12コア24スレッドのRyzen 9 3900XなどAMD第3世代Ryzenの同コアスレッド数モデルと比較して割高になりますが、クリエイティブタスク向いたCPUにはIntelのエンスー向け製品である第10世代Core-Xシリーズもあります。
ワットパフォーマンスが悪く定格電力制限下では第3世代Ryzenに及ばないため、Intel第10世代Core-Xで十分な性能を発揮するにはユーザーによる手動OCが必要になり(設定自体はそれほど難しくはない)、運用面においても若干ハードルが高いですが、CPU直結PCIEレーンの多さやメモリ帯域の高速さなど替えの効かない要素もあります。この分野ではコスパ度外視なユーザーも多いと思うので検討してみる価値はあると思います。
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