ADATA AD5U560016G-DT


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ADATAが独自に選別したDDR5メモリモジュールを使用することで、JEDEC準拠のメモリ周波数5600MHz/メモリ電圧1.100Vで動作可能な16GB×2枚組み32GB容量メモリキット「ADATA AD5U560016G-DT」をレビューします。
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製品公式ページ:https://www.adata.com/jp/consumer/dram-module-ddr5-5600-u-dimm





ADATA AD5U560016G-DT レビュー目次


1.ADATA AD5U560016G-DTの外観

2.メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順

3.ADATA AD5U560016G-DTを試す

4.ADATA AD5U560016G-DTのレビューまとめ


---【注意】--------------------------
メモリOCで有名なXMPプロファイルは「インテル エクストリーム・メモリー・プロファイル」の略称でありIntelの策定した規格なので、AMD Ryzen/Ryzen Threadripper環境において”XMPでOCする”等の表現をするのは厳密には正しくありません。
ただしXMPプロファイルに収録されたメモリ周波数とタイミングの設定値からAMD Ryzen環境に合わせたメモリOCプロファイルを自動生成する機能として、「ASUS D.O.C.P」や「MSI A-XMP」などが各社マザーボードのBIOS上に機能として用意されているので、AMD製CPU環境においてもXMPプロファイルを流用したメモリOCを当記事中では便宜上細かいことを気にせずに”XMPを使用したOC”などXMPとして表記します。
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【機材協力:ADATA】



ADATA AD5U560016G-DTの外観

まず最初に「ADATA AD5U560016G-DT」の外観をチェックしていきます。
「ADATA AD5U560016G-DT」はブリスターパックの簡易梱包となっています。
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「ADATA AD5U560016G-DT」は16GB×2枚組み=32GBの2枚組メモリキットなので、プラスチック製パッケージ内には2枚のメモリが収められています。
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「ADATA AD5U560016G-DT」のメモリモジュールは黒色のPCB基板で、その片面にSamsung製メモリチップが計8枚実装されています。何の変哲もないDDR5メモリといった外観です。Samsung Bダイ K4RAH086VB-BCQKをADATAが独自に選別しているそうな
(製品型番およびスペックはそのままでも、メモリモジュールについてはロットやバージョンで変更される可能性があります。)
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DDR5メモリの大きな特徴として、メモリ基板上にPMIC(パワーマネジメントIC)を搭載しています。
DDR4ではメモリの各種電圧はマザーボード側で制御・生成していたのですが、DDR5ではマザーボードからメモリへの電圧は5V電圧のみ、メモリ上の素子への各種電圧はPMICによって管理されます。
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「ADATA AD5U560016G-DT」を実際にマザーボードメモリスロットに装着するとこんな感じになります。メモリチップが実装された面はCPUソケット側を向きます。
「ADATA AD5U560016G-DT」はヒートシンク非搭載メモリですが、基板は黒色なので、近年主流な黒色基板のマザーボードと組み合わせてもメモリが浮かず、綺麗に溶け込みます。
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メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順

「ADATA AD5U560016G-DT」の定格動作やXMP/手動設定を使用したオーバークロックの検証を行う前に、検証機材の紹介と、メモリOCの基本・手順についての説明をしておきます。

「ADATA AD5U560016G-DT」の検証を行う環境としては、Core i9 12900K&Z690マザーボードやRyzen 9 7950X&X670Eマザーボードで構成される検証機を用意しました。
テストベンチ機の構成
CPU
Intel Core i9 13900K
レビュー
Intel Core i9 12900K
レビュー
AMD Ryzen 9 7950X
(レビュー)
M/B ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO
レビュー
ASRock X670E Taichi Carrara
レビュー
ASUS ROG CROSSHAIR X670E HERO
レビュー
MSI MEG X670E ACE
レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36
レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM
レビュー
Corsair H150i PRO RGB
レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM
レビュー
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー
OS Windows 11 Home 64bit
電源ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー


ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB


システムメモリについては必要な容量(現在のゲーミングデスクトップPCなら16~32GBあれば十分)さえ満たせば、OCによる性能の向上はCPUやGPUのOCに比べると実感しにくい部類である、というのがAMD Ryzen CPU登場以前は通説でした。
そのため管理人も一口にOCメモリと言っても性能向上を狙うよりはオシャレなヒートシンク目当てに自作PCの装飾的な感覚で購入するのが個人的にはオススメな買い方だと思っていました。
Intel XMPに対応したOCメモリがあるとはいえ、当時はいまいち安定性が良くないというか、マザーボードとの相性問題が厳しかったのも一因です。今のようにOCプロファイルを当てて一発安定ではなく、各自でOC設定の微調整が必要で、メモリOCの知識を求められました。

その評価が変わり始めたのはAMD Ryzen/Threadripper CPUの登場以降です。
初期のRyzen環境では『Infinity FabricというCPU内外のコンポーネントを相互接続するインターコネクトの動作周波数がメモリ周波数に同期する』という構造上、メモリ周波数がエンコードや3Dゲームを含めた総合的なパフォーマンスに大きく影響することからOCメモリが重要視されました。
性能に影響が大きいと分かるとCPU/マザーボード/メモリの各メーカーが最適化を進めたので、1,2年もするとOCプロファイルを当てればDDR4の3200MHz/C16、3600MHz/C18のような定番設定が一発で動くようになり、メモリOCのハードルがグンと下がりました。

Ryzen 3000/5000シリーズ以降、IF周波数はメモリ周波数/メモコン周波数と非同期設定が可能になったものの、それでも高周波数で1:1同期させた方が低遅延、高性能になるので3600MHz/C16のようなDDR4メモリがスイートスポットとしてAMD公式からもアピールされました。
またIntel環境においても144FPS~360FPSのハイフレームレートなPCゲーミングではCPUボトルネックの緩和にメモリ周波数のOCが効いてきます。

OCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説



ADATA AD5U560016G-DTを試す

「ADATA AD5U560016G-DT」をIntel第12世代Core&Z690マザーボードやAMD Ryzen 7000&X670Eマザーボードの検証機材にセットアップして動作検証を行っていきます。

定格電圧1.100Vでメモリ周波数5600MHz/メモリタイミングCL45に対応する16GB×2枚組み32GB容量のメモリキット「ADATA AD5U560016G-DT」については、Samsung製メモリモジュールが採用されていました。
使用されているSamsung Bダイ K4RAH086VB-BCQK自体はメーカーから4800MHz対応品として出荷されていますが、ADATAが独自に選別し、JEDEC DDR5-5600に準拠した設定が施されて、動作確認が行われています。
ADATA AD5U560016G-DT_Spec
(製品型番およびスペックはそのままでも、メモリモジュールについてはロットやバージョンで変更される可能性があります。)

「ADATA AD5U560016G-DT」にはSPDプロファイルのみが収録されており、Intel XMPやAMD EXPOのプロファイルはありません。
定格1.100Vで5600MHzに対応するJEDECに準拠な仕様が魅力の製品ではあるのですが、CPU&MB側の定格メモリ周波数が4800MHzや5200MHzなど5600MHzよりも低い場合、5600MHzのメモリ設定が適用されないことがあります。あと4枚組みにした時も。
そういった場合にSPD設定と同じものをユーザーが適用できるようにXMPプロファイルを用意して置いて欲しかったところです。
ADATA AD5U560016G-DT_Profile


前置きはこの辺りにして「ADATA AD5U560016G-DT」の動作検証を進めていきます。
まずはIntelのメインストリーム向けCPUである第12世代Core-Sの16コア24スレッドモデルCore i9 12900KとZ690マザーボードの環境で「ADATA AD5U560016G-DT」の動作を確認してみました。Intel Z690マザーボードにはASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROを使用しています。
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Intel第12世代CPUの定格メモリ周波数は1Rankメモリ×2枚で4800MHzですが、ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROの環境では特に設定を行わずとも、16GB×2枚組み32GBの「ADATA AD5U560016G-DT」が5600MHz/CL46で起動し、安定動作を確認できました。メモリ電圧も1.100VでちゃんとJEDEC準拠の動作です。
ADATA AD5U560016G-DT_12900K_5600C46_RT
ADATA AD5U560016G-DT_12900K_5600C46_HWi


続いてAMDのメインストリーム向けCPUであるRyzen 7000シリーズの16コア32スレッドモデルRyzen 9 7950XとX670Eマザーボードの環境で「ADATA AD5U560016G-DT」の動作を確認してみました。AMD X670EマザーボードにはASRock X670E Taichiを使用しています。
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AMD Ryzen 7000シリーズCPUの定格メモリ周波数は1Rankメモリ×2枚で5200MHzということもあって、いくつかのX670Eマザーボードで試してみましたが、単純に「ADATA AD5U560016G-DT」を装着してシステムを起動するだけだと、メモリ周波数は5200MHzになりました。
ADATA AD5U560016G-DT_Ryzen 7000

ASRock製AMD 600シリーズチップセット搭載AM5マザーボードにはSPDプロファイルからでも定格メモリ周波数を上回るメモリ設定を自動生成する機能 DRAM Profile Settingがあるので、ASRock X670E Taichiの検証環境ではそれを使用しました。
ただしDRAM Profile Settingで5600MHzの設定を適用するだけだと、メモリ電圧が1.200Vに昇圧されたので、手動設定で1.100Vに下げています。
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASRock_BIOS (1)
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASRock_BIOS (2)
メモリをポン付けで5600MHz/1.100V動作とはいきませんでしたが、上記のようにプロファイルを適用するだけで、ASRock X670E Taichiの検証環境でもJEDEC相当のメモリ周波数5600MHzで安定動作を確認できました。
ADATA AD5U560016G-DT_7950X(ASR)_5600_RM
ADATA AD5U560016G-DT_7950X(ASR)_5600_RT

MSI製AMD 600シリーズチップセット搭載AM5マザーボードにはSPDプロファイルからでも定格メモリ周波数を上回るメモリ設定を自動生成する機能がないので、MSI MEG X670E ACEの検証環境ではメモリ周波数、主要タイミング、メモリ電圧のみを指定するカジュアル設定で5600MHz/1.100Vの動作を再現してみました。
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_MSI_BIOS (1)
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_MSI_BIOS (2)
メモリをポン付けで5600MHz/1.100V動作とはいかず、またプロファイルを使用できないので若干手間ではあったものの、上記のように簡単なメモリ設定を適用するだけで、MSI MEG X670E ACEの検証環境でもJEDEC相当のメモリ周波数5600MHzで安定動作を確認できました。
ADATA AD5U560016G-DT_7950X(MSI)_5600_RT
ADATA AD5U560016G-DT_7950X(MSI)_5600_RM

ASUS製AMD 600シリーズチップセット搭載AM5マザーボードにはSPDプロファイルからでも定格メモリ周波数を上回るメモリ設定を自動生成する機能 AEMPがあるものの(OCプロファイルから自動生成する機能はD.O.C.P.)、「ADATA AD5U560016G-DT」に対しては5600MHzにおいてCL36とタイトで、メモリ電圧が1.250Vのプロファイルが作成されました。
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASUS_BIOS (1)
そのため、ASUS ROG CROSSHAIR X670E HEROの検証環境では上記のプロファイルは使用せず、メモリ周波数、主要タイミング、メモリ電圧のみを指定するカジュアル設定で5600MHz/1.100Vの動作を再現してみました。
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASUS_BIOS (2)
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASUS_BIOS (3)
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASUS_BIOS (4)
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASUS_BIOS (5)
ASUS ROG CROSSHAIR X670E HERO(BIOS:0705)はメモリ周波数5600MHzに対して自動設定でもメモリコントローラー周波数UCLKが1:1同期になるのですが、そのままだとメモリストレステストでエラー検出や、ブラックアウト後の再起動が発生したので、VDDG CCD/IOD電圧を1.100Vに手動設定しました。
ADATA AD5U560016G-DT_X670E_ASUS_BIOS (6)
メモリをポン付けで5600MHz/1.100V動作とはいかず、またプロファイルを使用できないので若干手間ではあったものの、上記のように簡単なメモリ設定を適用するだけで、ASUS ROG CROSSHAIR X670E HEROの検証環境でもJEDEC相当のメモリ周波数5600MHzで安定動作を確認できました。
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ADATA AD5U560016G-DT_7950X(ASS)_5600_RM



ADATA AD5U560016G-DTのレビューまとめ

最後に「ADATA AD5U560016G-DT」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 黒色基板でヒートシンクなしのDDR5メモリ
  • ヒートシンクなしなので大型空冷CPUクーラーとの互換性が高い
  • JEDEC準拠の5600MHz/1.100V動作なSPDプロファイルを収録
  • Intel第12世代CPU環境で5600MHz/1.100Vが正常動作
  • AMD Ryzen 7000 CPU環境で5600MHz/1.100Vが正常動作
  • 16GB×2枚組み32GB容量のDDR5メモリで税込み2.6万円ほど
悪いところor注意点
  • SPDと共通のOCプロファイルがない
  • メモリヒートシンクは非搭載

「ADATA AD5U560016G-DT」はJEDECスペックと同等なメモリ周波数5600MHz、メモリ電圧1.100VのSPDプロファイルを収録しており、Intel第12世代CPUの検証環境では装着するだけでその設定が動作し、AMD Ryzen 7000環境では自動設定のままだとメモリ周波数が5200MHzになってしまうものの、各社マザーボードにおいて簡単な設定だけで5600MHz/1.100Vが安定動作しました。

ADATA独自の選別品を使って上手く動作させている、というのが実態なので厳密には”JEDEC 5600MHz”ではないものの、それに準拠した動作は期待できる製品です。
定格メモリ周波数が5200MHzのAMD Ryzen 7000 CPUや5600MHzのIntel第13世代CPUで信頼性を重視してJEDEC準拠なメモリを使用したい人にとっては、アーリーアダプターな製品として検討してみてもいいのではないかと思います。

以上、「ADATA AD5U560016G-DT」のレビューでした。
ADATA AD5U560016G-DT


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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