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BenQのカジュアルゲーミングモニタブランド MOBIUZから発売された、最大輝度1000nitsかつ1152分割のフルアレイ型ローカルディミングに対応する直下型Mini-LEDバックライトを採用、HDMI2.1ビデオ入力も搭載する、4K解像度/144Hzリフレッシュレートの量子ドットIPS液晶ゲーミングモニタ「MOBIUZ EX321UX」をレビューします。
MOBIUZ EX321UX レビュー目次
1.MOBIUZ EX321UXの概要
2.MOBIUZ EX321UXの開封・付属品
3.MOBIUZ EX321UXのモニタ本体
4.MOBIUZ EX321UXのOSD操作・設定
・ファームウェアアップデートの方法
5.MOBIUZ EX321UXの発色・輝度・視野角
6.MOBIUZ EX321UXの色精度・ガンマ・色温度
7.MOBIUZ EX321UXのリフレッシュレート
8.MOBIUZ EX321UXの応答速度・表示遅延
9.MOBIUZ EX321UXの可変リフレッシュレート同期
10.MOBIUZ EX321UXのHDR表示やCSゲーム機対応
11.MOBIUZ EX321UXのHDR性能やローカルディミング
・HDR表示・FALDで確認した不具合や現象について
12.MOBIUZ EX321UXのレビューまとめ
【2024年6月14日】 初稿、ファームウェア V2で検証
【2024年8月29日】 ファームウェア V4で検証、SDR色精度とHDR性能の検証をアップデート

今回のレビュー記事は定量測定をベースにした検証結果をまとめています。
後日、こちらの比較記事のような形で、有機ELモニタや一般的な固定バックライト液晶モニタと実写によるHDR画質比較の記事を公開予定です。
製品公式ページ:https://www.benq.com/ja-jp/monitor/gaming/ex321ux.html
【機材協力:BenQ】
MOBIUZ EX321UXの概要
MOBIUZ EX321UXの開封・付属品
まずは「MOBIUZ EX321UX」を開封していきます。
「MOBIUZ EX321UX」のパッケージサイズは幅95cm×高さ52cm×厚み21cmで、31.5インチモニタが入っている箱としては横幅が大きめです。重量は15kg程度です。側面には持ち手の穴はあるものの、成人男性でも1人で持ち運ぶのは少々大変だと思います。

「MOBIUZ EX321UX」はN式箱という構造になっておりスペーサーを外パッケージから引っ張り出す手間はありません。

パッケージを開くと各種付属品が収められたパルプモールド製のスペーサーが現れます。スペーサーは2段になっており、下の段にはモニタ本体とモニタスタンドフレームがあります。


パッケージを開いて手前の折り返し部分には黒色の封筒があり、中にはキャリブレーションレポートが封入されています。


「MOBIUZ EX321UX」の付属品を簡単にチェックしておくと、HDMIケーブル、USB Type-Cケーブル、データ通信アップストリーム用USB Type-C to Type-Aケーブル、リモコン、ACアダプタ&ACケーブル、マニュアル冊子類が付属します。
「MOBIUZ EX321UX」のビデオ入力にはDisplayPort2.1もありますが、DisplayPortケーブルは付属しないので各自で用意する必要があります。

「MOBIUZ EX321UX」のHDMIビデオ入力は4K/120FPSの映像伝送が可能なHDMI2.1に対応しているので、付属ケーブルもHDMI協会がHDMI2.1互換を証明するUltra High Speed HDMIケーブル認証を取得したものになっています。

各種ケーブルを個別に購入する場合のオススメ製品も紹介しておきます。
視覚損失のない非可逆圧縮機能DSCに対応するDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」を推奨しています。
標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。「MOBIUZ EX321UX」で正常動作も確認済みです。

HDMI2.1ケーブルについては「エレコム ウルトラハイスピードHDMIケーブル スリム CAC-HD21ESシリーズ」がおすすめです。標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
同製品は4.5mm径のスリムケーブルながら、HDMI2.1の正常動作を証明するUltra High Speed HDMIケーブル認証を取得しており、安心して使用できます。

当サイトでもGeForce RTX 40シリーズGPU搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。
その他にもケーブル径5.0mm以下でスリムな48Gbps対応HDMI2.1ケーブルについてまとめた記事も公開しているので、こちらも参考にしてみてください。
長さ5m以上でも安定した動作が期待できる光ファイバー式HDMI2.1ケーブルでイチオシは、「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」です。
「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」は、HDMI協会の公式認証であるUltra High Speed HDMI認証を取得、さらにXbox Series X/S互換製品認証も取得しており、ケーブル性能の保証としては隙の無いカンペキな製品です。
5mが7000円、10mが10000円で光ファイバー式HDMIケーブルとしては標準的なお値段で、 信頼性の高さも考慮したらかなりリーズナブルだと思います。

当サイトでもGeForce RTX 40シリーズGPU搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。
「MOBIUZ EX321UX」に付属するACアダプタは280Wの出力に対応した大容量なものになっています。コンセントケーブル側端子はC13コネクタ(自作PC電源ユニットと同じ)です。

ACアダプタのサイズは長さ18cm×幅8cm×厚み2.5cm、重さは560gです。280Wの電源容量を考えると比較的に小型軽量です。

「MOBIUZ EX321UX」のモニタスタンドはメインフレームとフットフレームの2つの部品から構成されています。

メインフレーム端にフットフレームを挿入して、底面のネジを締めるだけで簡単にモニタスタンドを組み立てられます。ネジにはレバーが付いているのでドライバー不要で組み立てが可能です。

「MOBIUZ EX321UX」のモニタ本体は大きく、重いので、パッケージ手前の壁を開いて(折り曲げられるようになっている)、パッケージのスペーサーに置いた状態でスタンドを装着してください。
モニタスタンドの固定プレートに貼ってある保護フィルムは装着後だと綺麗に剥がせないので予め剥がして置いてください。


モニタスタンドを組み立てたら、「MOBIUZ EX321UX」のモニタ本体背面の溝に斜め下の方向からモニタスタンドを差し込めば取り付け完了です。

モニタ側の根本にあるスイッチを押下するとモニタスタンドのロックが解除されます。モニタスタンドを装着した時と逆に手前方向に斜め上へ引き上げればモニタスタンドが取り外し可能です。

MOBIUZ EX321UXのモニタ本体
続いて「MOBIUZ EX321UX」のモニタ本体をチェックしていきます。
「MOBIUZ EX321UX」のモニタパネルにはアンチグレア仕様になるようにフィルムが貼ってあります。注記シールの通り、輸送時の製品保護用フィルムではないので間違って剥がさないように注意してください。

「MOBIUZ EX321UX」はフレームレス構造ですが、フレーム内パネル上には非表示領域があり、上左右の非表示領域の幅は8mm程度です。
上左右は完全にフレームレスですが、下側には厚み数mm程度出っ張ったプラスチック製パネルが装着されたフレームがあり、幅は25mm程度です。

「MOBIUZ EX321UX」はディスプレイサイズが31.5インチなので、一般的な27インチの4Kモニタよりも大迫力な映像を楽しめます。
「MOBIUZ EX321UX」のモニタ背面は柔らかい曲面のマットなホワイトカラー外装、中央部には正三角形の角を均等にカットした六角形状の黒色ベースというSF感のあるデザインです。



「MOBIUZ EX321UX」は最大1000nits超の高輝度に対応するためバックライトの消費電力(発熱)も大きく、モニタ本体側面の黒色フレーム部分には放熱用エアスリットが設けられています。特にHDRで使用中はここを塞がないように注意してください。

X字で4分割されたシャープでスタイリッシュな形状、メタリックグレーやオレンジのアクセントカラーが使用されていた従来のMOBIUZシリーズ製品とは趣が異なります。
「MOBIUZ EX321UX」は丸みのあるモニタスタンド形状も相まって、スペースシップ的なSF感もありつつ、クリエイター向けモニタとしても違和感のない造形に仕上がっています。



「MOBIUZ EX321UX」の付属モニタスタンドはV字形状になっており、横向きに置いたA3用紙とほぼ同じ奥行き、横幅は左右にそれぞれ10cmずつ長く、61cm程度が設置スペースとして必要になります。机のスペースが足りない場合はサードパーティ製モニターアームなどを検討してください。

最近のゲーミングモニタは本体背面にケーブルカバーがあったり、モニタスタンドにケーブルホルダー・ホールがあったりしますが、「MOBIUZ EX321UX」にはケーブルマネジメント関連の機能はありません。後ろからの見た目を整えたい場合は、各自でケーブルホルダー等を用意する必要があります。

「MOBIUZ EX321UX」のモニタ本体の厚さは最厚部で80mmほどと30インチ級のモニタとしても大きめですが、背面は見ての通り湾曲していて左右端は30mm程度の厚みなので体感的には意外とスリムです。
モニタ本体重量は7.1kg程度と大きいのでモニターアームを使用する場合は耐荷重に注意が必要です。

モニタ本体背面にはデスクと水平に、後方へ各種I/Oポートが設置されています。
従来の下向きはケーブルを隠しやすく、見栄え的にはメリットがありますが、「MOBIUZ EX321UX」の方がケーブルの挿抜がし易いのでユーザビリティーを重視した設計です。

「MOBIUZ EX321UX」にはビデオ入力として左から順に、HDMI2.1×3、DisplayPort2.1×1、USB Type-C×1の計5系統が実装されています。
USB Type-CのDisplayPort Alternate ModeはDisplayPort1.4やDisplayPort2.1(UHBR10)の帯域をサポートしています。


「MOBIUZ EX321UX」のUSB Type-Cビデオ入力はUSB Power Delivery規格による最大65Wの給電にも対応しています。
Surface Pro 7+での検証となりますが、USB Type-Cケーブルで4K/144Hzのビデオ出力を行いつつ、20V電圧で50Wの充電が行えることも確認できました。

ビデオ入力対応USB Type-Cポートについては互換性機能としてOSD設定からUSBデータ通信の帯域をUSB2.0もしくはUSB3.2 Gen1(5Gbps)のどちらにするか選択できます。
公式仕様によると、4K/144Hzで映像を表示するにはUSB2.0を選択する必要があるとのことです。またUSB3.2 Gen1(5Gbps)を選択した時の最大解像度は4K/30Hzまでとなります。

ビデオ入力(PCアイコン付)のUSB Type-Cポートと並んで、KVM機能で前記Type-CとモニタのUSBハブポートを共有可能なUSB3.2 Gen1(5Gbps)のアップストリーム用Type-Cポートがあります。


この2つからUSBハブとして使用可能なUSBポートとして背面のType-A×2に加えて、モニタ下端にはUSB Type-AとType-Cが1基ずつで計4基が実装されています。
いずれも通信速度はUSB3.2 Gen1(5Gbps)です。またType-Aは4.5W、Type-Cは7.5Wの充電に対応します。


「MOBIUZ EX321UX」のモニタ下端にはUSBポートと並んでESS SABRE DACを搭載したステレオヘッドホン出力3.5mmジャックがあります。

ソフトウェア面でもOSD設定から、標準、サラウンド、シネマ3つのサウンドモード(イコライザープリセット)が選択できます。

また高インピーダンスなハイレゾオーディオ用ヘッドホンも駆動させられるように高ゲインモードにも対応しています。

「MOBIUZ EX321UX」はPC向けモニタとしては非常に珍しく、HDMI eARC音声出力に対応しています。
3基実装されているHDMI2.1のうちDC端子の隣にある3番のHDMIポートはeARCによる音声出力ポートとして使用できます。HDMI eARC音声入力のスピーカーやサウンドバーに接続でき、Dolby Atmosのサラウンドにも対応しています。


「MOBIUZ EX321UX」の付属モニタスタンドの左右スイーベルの可動域は左右15度(30度)に対応していま

「MOBIUZ EX321UX」の付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に15度となっています。

モニタの高さはモニタ本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、全高で499mm〜599mmの範囲内で調整できます。

「MOBIUZ EX321UX」の付属モニタスタンドはピボットには非対応ですが、モニタを水平に調整できるよう、モニタの付け根部分で左右に数度ずつ動かすことができます。

MOBIUZ EX321UXはVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も7.0kgほどなので耐荷重には注意が必要ですがモニターアームを問題なく利用可能です。

「MOBIUZ EX321UX」のVESAネジ穴は背面外装から、15mm弱ほど窪んだ場所にあります、クイックリリースでスライドさせるタイプのモニターアームを使用する場合は、M4ネジのスタンドオフを各自で用意してください。

オススメのモニターアームや調整機能が豊富なVESA汎用モニタースタンド、VESAマウントの干渉を避ける方法についてはこちらの記事で詳細に解説しているので、導入を検討している人は参考にしてください。
MOBIUZ EX321UXのOSD操作・設定
「MOBIUZ EX321UX」のOSD操作は、正面から見て右下に設置されている操作スティックを主に使用します。操作スティックの右隣には電源ボタン(LEDインジケーターを内蔵)、左隣にはルーピングキーと呼ばれるビデオ入力選択のショートカットボタンがあります。
操作スティックと誤って電源スイッチを押下してしまうことがあるので、電源スイッチはもう少し離れた場所に設置して欲しかったところ。

電源スイッチのLEDインジケーターはOSD設計から完全に消灯させることも可能です。

加えて、「MOBIUZ EX321UX」はゲーミングモニタとしては珍しく、OSD機能の各種操作が行える専用リモコンが付属しています。モニタ本体のOSDスイッチで操作するよりも遥かに楽なので、基本的にリモコンで操作すればOKです。



「MOBIUZ EX321UX」では操作スティックを押下もしくは左右に倒すと画面中央下(リモコン受光部の真上)にクイックメニューが表示されます。

クイックメニューが非表示の乗田いで操作スティックを上下に倒すと音量調整のショートカットメニューが表示されます。また操作スティックの左隣にあるルーピングキーと呼ばれるショートカットキーを押下するとビデオ入力選択のショートカットメニューが表示されます。

音量調整のショートカットメニューではヘッドホン用3.5mmジャックとHDMI eARCのどちらで音声出力を行うかの切り替えも可能です。またリモコンの専用キーを使用すると、ディスプレイ輝度とオーディオモードもショートカットメニューで調整できます。

クイックメニューの一番下にあるメニューを操作スティックで選択するか、リモコンのメニューボタンを押下すると同じく画面中央下に詳細設定メニューが表示されます。詳細設定メニューは31.5インチ画面の12分の1ほど、文字もやや小さい感じです。リモコンで少し離れた位置から操作するには少々視認性が悪いと思います。

「MOBIUZ EX321UX」は国内正規品であればアウトボックス時点で日本語UIが適用されているはずです。誤って日本語以外を選択してしまった場合は下記の手順で日本語に変更が可能です。

「MOBIUZ EX321UX」のOSDメニューには大きく分けて、「カラーモード」「Eye-Care」「オーディオ」「入力」「クイックメニュー」「システム」の6つの項目が用意されています。






MOBIUZ EX321UXのOSD設定において最大の特長は「シナリオ」という中間プロファイルの存在です。
「MOBIUZ EX321UX」にはALPHA、BRAVO、CHARLIE、DELTA、ECHOという、ビデオ入力の数と同じ5つのシナリオがあります。シナリオはビデオ入力とカラーモードを繋ぐ中間プロファイルのような存在です。

モニタのOSD設定の構造はメーカー・製品によって千差万別で、マイナーメーカーの安価製品だったりすると、下図の例1のように『全ビデオ入力で画質設定はカレントの1種類のみ、画質モードもメーカー設定のプリセットでただカレントを上書するだけで、ユーザーによる編集はできない』のようなかなり限定された使い方しかできない設計のものもあります。
例2のように『個別設定をまとめた画質モードというプロファイルがあり、各ビデオ入力毎に割り当てる』という構造がユーザー的に一番想像しやすく、実用的にも便利な設計だと思いますが、こういう”まともな設計”のモニタは意外と限られています。

話を戻すと、「MOBIUZ EX321UX」にはシナリオという中間プロファイルが存在し、下図のように画質設定が5系統のビデオ入力、5つのシナリオ、10種類のカラーモードという3層構造になっています。
5系統のビデオ入力は5つのシナリオに対してユーザーは任意に紐付けできます。さらにシナリオも各カラーモードへ任意に紐付けできるという構造です。各カラーモードはそれぞれ独立して輝度やオーバードライブなど個別設定をプロファイルとして保存できます。
下図のHDMI1とUSB Type-Cのようにシナリオを共有しているビデオ入力は片方でカラーモードを変更したらもう一方のビデオ入力に切り替えてもカラーモードの変更を引き継ぐことができます。
全てのビデオ入力で1つのシナリオを選択すれば画質設定を同期させられますし、逆にシナリオはビデオ入力と同じ数だけあるので、全てのビデオ入力で異なる設定を適用することも可能です。
『ビデオ入力 - シナリオ - カラーモード』という3層構造を理解してしまえば、「MOBIUZ EX321UX」のOSD設定はユーザーのニーズに対して万能で、非常に利便性の高いものだと分かると思います。

各ビデオ入力に割り当てるシナリオはクイックメニューだけでなく、OSD設定の入力から切り替えが可能です。OSD設定の入力からであれば、現在非表示のビデオ入力のシナリオも変更できます。

シナリオは基本的にビデオ入力とカラーモードを繋ぐ中間プロファイル的な存在なので、個別設定そのものは基本的にカラーモードのほうで行いますが、クイックメニューのショートカット設定に何を表示するかはシナリオ別に設定する形になっています。
最上段にあるカラーモード選択は固定ですが、クイックメニューの2段目から4段目までの3項目は各プロファイルで自由に機能を選択できます。


「MOBIUZ EX321UX」の画質モードはクイックメニューやOSD詳細設定のカラーモードから選択できます。

カラーモードのプロファイルはSDR表示の場合、「Sci-fi」「リアル」「ファンタジー」といったゲームジャンル別のモード、映像作品に最適化した「シネマ」、クリエイター・Webデザイナー向けの「Display-P3」「sRGB」、ユーザー独自設定が可能な「カスタム」「ゲーマー 1/2/3」の10種類が用意されています。


「MOBIUZ EX321UX」において、ゲーム関連や発色関連の各種OSD設定はカラーモードの各種プロファイル内に配置されています。
一般的なモニタOSDと違って、トップメニューから項目を探しても見つからないので注意してください。カラーモード毎に選択できない項目もあったりしますが、各自で自由に設定したい場合はカスタムもしくはゲーマー1/2/3が一番調整可能な項目の多いカラーモードです。


ゲーマー1/2/3のプロファイルはメーカーが調整したSci-fiやファンタジーをコピーできるので、それをベースに好みの画質にチューニングするような使い方も可能です。

「MOBIUZ EX321UX」においてゲーム関連の設定は各カラーモードプロファイル内で個別設定として用意されています。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、「MOBIUZ EX321UX」では従来のBenQモニタ製品同様に「AMA (Advanced Motion Accelerator)」の名前で設置されており、0~3の4段階で設定でき、数字が大きくなるほど補正が強くなります。

暗所を明るく(白く)表示して視認性を改善する「Light Tuner」という設定が用意されています。同社のe-Sports向けブランドZOWIEシリーズではBlack eQualizerと呼ばれるものの類似機能です。
Light Tunerは-10~0~10の21段階で設定が可能です。0は無効で、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。

「MOBIUZ EX321UX」はAIによる独自高画質機能としてPixSoulエンジンを搭載しており、暗所の視認性を改善する機能については、新機能 Shadow Phageにも対応しています。

OSD設定上は単純にON/OFFを切り替えるだけですが、Shadow Phageはリアルタイムでゾーン毎にコントラストを調整し視認性を改善します。

画面の鮮やかさやトーンを調整することで視認性を改善する「色の鮮明さ(Color Vibrance)」機能については0~20の21段階で設定が可能です。
中央値の10は機能無効で、レベルを上げるほど彩度が強調され、レベルを下げるほど彩度が下がってモノクロ風に近づきます。
同社ZOWIEシリーズでは視認性の改善としてアピールされる機能ですが、彩度を盛った派手な画面で高画質ゲームをプレイする、という用途にも使えます。

「MOBIUZ EX321UX」はOSDクロスヘア、リアルタイムリフレッシュレート表示などゲームプレイに役立つ便利機能にも対応しています。



ファームウェアアップデートの方法
「MOBIUZ EX321UX」のフォームウェアアップデート方法を紹介します。2024年6月発売当時の初期ファームウェア V2もしくはV3ではローカルディミングの挙動やeARC音声入力の検出等に不具合があり、最新バージョンでは緩和・修正されているので同製品を購入したら、最初にファームウェアバージョンの確認と、最新FWへのアップデート推奨です。

「MOBIUZ EX321UX」のフォームウェアをアップデートするにはインターネットに接続できるWindows PCが必要になります。USBアップストリームケーブルは製品に付属しているので各自で用意する必要はありません。
まず公式サポートページから「Display Quickit for Win (Firmware upgrade tool)」をダウンロードします。

ダウンロードしたDisplay Quickit for WinのZIP圧縮ファイルを解凍すると、ファームウェアアップデートの実行exeがあるので起動します。

USBアップストリームケーブルでモニタと接続されていて、PCがインターネットに繋がっていれば、Display Quickit for Winが自動的に最新ファームウェアの有無を確認してくれます。
アップデート可能な最新ファームウェアがあればNEW - Updateが表示されるので、あとはクリックしてファームウェアアップデートが完了するのを待つだけです。



ファームウェアアップデートが完了したらガイドの通り、Display Quickit for Winを終了してから、手動でモニタの電源スイッチを押下して電源入れ直してください。

MOBIUZ EX321UXの発色・輝度・視野角
MOBIUZ EX321UXの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。まず直接的な画質ではありませんがMOBIUZ EX321UXのディスプレイパネル表面処理は光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。

PC向けディスプレイパネルには、LEDバックライトを必要とする液晶パネルと、画素そのものが自発光する有機EL(OLED)パネルの2種類があります。さらに、PCモニタで一般的な液晶パネルはIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類に大別されます。
各ディスプレイパネルの特性を簡単にまとめると次の表のようになります。
ディスプレイパネルの簡易比較表 | ||||
パネルタイプ | 有機EL | 液晶 | ||
IPS液晶 | VA液晶 | TN液晶 | ||
色域 (高彩度の発色) |
〇〇 | 〇 量子ドットなら〇〇 |
△ | |
コントラスト (黒レベルの低さ) |
〇〇 | △ | 〇 | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | コンマms級 | 〇 (遅いものもある) |
△ |
〇 |
大型テレビ | 40~80インチ超まで幅広く採用 |
近年は 採用なし |
||
最大輝度 | △ |
〇〇 高輝度FALDなら1000nits超も |
- |
|
ハロー現象 Backlight Blooming |
発生しない |
FALDでは発生 |
- |
|
焼付の可能性 | あり |
発生しない | ||
価格 (高リフレッシュレート) |
× |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能・特性の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
「MOBIUZ EX321UX」は144Hzの高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。








ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差があるのでご注意ください。
検証にはカラーフィルター式(色差式)で比色計と呼ばれるCalibrite Display Plus HLと分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。

「MOBIUZ EX321UX」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「MOBIUZ EX321UX」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度12%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度20%前後です。
SDR表示でも最大輝度が700cd/m^2以上と、通常必要ないレベルで高輝度なモニタです。

「MOBIUZ EX321UX」はバックライトの調光にPWM方式を採用しているようです。所謂、”フリッカーフリー”のモニタではなく、フリッカーがあります。
Titan Army P32A6V(国内では同等製品としてINNOCN 32M2Vが流通し有名)もPWM方式ですが、「MOBIUZ EX321UX」の方が輝度の振り幅が非常に大きく、5ms(200Hz)程度での周期的な変動もあります。応答速度の章で掲載している16倍速の960FPSスーパースローモーション程度でもハッキリと明滅が確認できます。
通常の目視で画面の点滅を感じるわけではありませんが、フリッカーに敏感な人だと目の疲れを感じやすいかもしれません。

「MOBIUZ EX321UX」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、中央輝度を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
「MOBIUZ EX321UX」は中央に凸な輝度分布になっていて四隅は少し輝度が下がります。とはいえ35カ所の測定点のうち、差分15%を超えるポイントがなく、上下の最大差分でも12%程度という良好な均一性を発揮しました。

液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「MOBIUZ EX321UX」は中央の均一性が高く、色ムラもない分、20~25%程度の輝度低下がある外周付近は単色のような表示だと相対的に暗くなっている感が目立ちます。

参考までに輝度と色温度による色差の分布です。
「MOBIUZ EX321UX」については、今回入手した個体の場合、外周部は少し寒色寄りになる傾向はあるものの、色差はほとんど輝度分布の影響です。

「MOBIUZ EX321UX」にはカラーモードのsRGBモードとDisplay-P3モードでのみ使用できる機能で、「ムラ補正機能」という設定があります。
標準動作ではディスプレイ輝度を重視したチューニングのため中央凸的なユニフォミティになりますが、同機能を有効にするとディスプレイ輝度が最大350cd/m^2程度に制限される代わりに(標準の700cd/m^2以上が高過ぎるだけで十分に高い輝度ですが)、体感的に均一性が増す輝度分布に変わります。

「MOBIUZ EX321UX」でムラ補正機能を使用すると、標準では中央に凸だった輝度分布が、逆に中央が凹むような輝度分布に変わります。

視野角による減衰を考慮して体感としての輝度の均一性が良くなるようにチューニングしたのか、通常ゾーン毎に調整する手間を嫌って正面写真のような情報のみでチューニングしたのか、内部事情は分かりませんが、下のスライド比較写真の通り、ムラ補正機能を使用すると体感的には真っ平なユニフォミティの優れた画面に感じます。
あとsRGBモードとDisplay-P3モードのムラ補正機能を有効にすると、200Hz程度の間隔で発生する周期性が弱くなるので体感的にもバックライトフリッカーの影響が多少軽減されるように思います。

「MOBIUZ EX321UX」は1152分割のフルアレイ型ローカルディミングに対応していますが、HDR表示だけでなくSDR表示でもローカルディミングを有効化(無効化も)できます。SDR表示中は基本的に無効でいいと思いますが。

直下型Mini LEDバックライトを採用する一部の製品では、ローカルディミング無効化のSDR表示でもバックライト配列による縞模様が浮かぶことがありますが、「MOBIUZ EX321UX」にはそういった症状はなく、単色でも均一に表示されました。

画面中央の白色点が約120cd/m2になるOSD設定において「MOBIUZ EX321UX」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。

またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。
なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。

「MOBIUZ EX321UX」はsRGBだけでなく、Adobe RGBとDCI-P3の全てを100%カバーするという極めて広い色域を実現しています。
HDR表示の色域のスタンダードであるRec.2020もカバー率が86%となっており、「MOBIUZ EX321UX」は2024年の液晶ディスプレイとして最高峰の性能です。


分光型測色計で白色点のカラースペクトラムを測定しました。
「MOBIUZ EX321UX」のディスプレイパネルには量子ドット技術(Quantum Dot Technology)が採用されており、赤緑青の分離は良好かつ、それぞれのピークも鋭く尖っています。
量子ドット技術採用パネルはIPSでもVAでも非常に高価になる傾向ですが、発色や色再現性では頭1つ飛び抜けた性能です。


MOBIUZ EX321UXの色精度・ガンマ・色温度
続いて「MOBIUZ EX321UX」の色精度やガンマ・色温度に関する検証結果です。前章が高輝度、高コントラスト、高彩度といった画質の綺麗さに影響する特性を調べているのに対して、クリエイターやWebデザイナーといった”色の正確性が求められる用途(SDRコンテンツ)で使用できるかどうか”を評価する章になっています。
ファームウェア V4の検証結果にアップデート済みですが、初期検証に使用したファームウェア V2から2024年8月現在最新のV4までSDR色精度やガンマ・色温度について大きな変化はありませんでした。
標準設定そのままの色の正確性について
まずは「MOBIUZ EX321UX」で標準設定そのままの色の正確性について検証していきます。モニタのOSD設定はカスタムモードで各種補正機能を無効化し、ガンマはモード3、色温度はプリセットの中で最もD65に近い”標準”、ディスプレイ輝度は120cd/m^2になるように調整しています。
SDR 8bitで0~255のグレーを32分割にして測定し、ガンマ値やRGBバランス、色温度を確認してみました。
下のグラフはカスタムモードで各種補正をオフにした状態でのガンマカーブですが、RGB値で0~80くらいまではsRGB曲線に沿ったガンマ値になっているものの、そこからは右上がりな直線状になります。下のグラフでは見切れていますが、220を超えた辺りでさらに急峻な上がり方になります。
「MOBIUZ EX321UX」には複数のカラーモードがありますが、sRGBやDisplay-P3のエミュレート動作を行うカラーモード以外はグラフのような独自チューニングのガンマになります。

「MOBIUZ EX321UX」はガンマカーブ設定にも対応しており、5種類の設定値がありますが、標準設定のモード3を基準に各RGBポイントで0.2ずつ上下オフセットしていくだけです。
sRGBやDisplay-P3のエミュレート動作を行うカラーモードを除いて、「MOBIUZ EX321UX」は基本的にsRGBカーブ、2.2や2.6など固定値のような標準的なガンマにはできません。


「MOBIUZ EX321UX」には色温度設定として寒色(薄青)/通常/暖色(薄赤)の3種類のプリセットがあります。
これらを切り替えてもホワイトポイントや発色に違和感がある場合は、ユーザー設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。


同じくSDR 8bitで0~255のグレーを32分割にして測定した各点のRGBバランスと色温度です。
OSDの色温度設定はプリセットの中からD65に最も近かった”標準”としていますが、i1Pro3で測定した色温度は6000K程度でした。


量子ドットのような広色域技術が採用されたディスプレイはメタメリック障害と呼ばれる現象が理由で、スペクトロメーターであってもi1Pro3程度の性能だと正確には白色の色温度やRGBバランスを評価できない(体感と一致しないことがある)のですが、今回はRGBバランスの測定結果の通り、「MOBIUZ EX321UX」は少し橙色がかったような白色に見えました。
D65からズレているのでRGBバランスは均等(0%付近に収束)ではありませんが、色付きに見えることのある100~255のレベルで平行に推移しているので、測定ホワイトポイントを基準にしてブラックからホワイトは色付きやバンディングのない綺麗なグラデーションです。

カラーチェッカーやマクベスチャートと呼ばれる24色のカラーパッチを使って色の正確性を確認していきます。
まずはICC等のカラーマネジメントの影響を受けず単純に特定のRGB値のカラーパッチを表示して、その色度を測定しました。
Windows OSや一般的なWebコンテンツはsRGBの色規格で表示・作成されているので、sRGB色規格内でそのRGB値を表示した時の色度をリファレンスとして、測定値との色差を出しています。
高性能(広色域)なモニタほど彩度が強調されるので、色差が大きくなります。一応測定していますが、この段階での色差(色の正確性)にはあまり意味がありません。

「MOBIUZ EX321UX」はAdobe RGBとDCI-P3を100%、Rec.2020すら86%をカバーする非常に色域の広いモニタなので、ICCによるカラーマネジメントを行わない場合、一般的なSDR(sRGB)コンテンツは上のxy色度図の通り彩度が強調されます。
WindowsでプレイするPCゲームはもちろん、PlayStation 5やXbox Series X|Sといったコンソールゲーム機もディスプレイ色域がsRGB(BT.709)のつもりでRGB値をそのまま出力するので、同様に想定される色(リファレンス)よりも彩度は強調されます。
続いてモニタのネイティブ色域を基準にRGB値から算出した色度をリファレンスにした場合の色差が次の通りです。広色域モニタでも良く出荷前校正された製品ならネイティブ色域をリファレンスにすれば色は概ね一致します。
「MOBIUZ EX321UX」はsRGBカーブや固定値2.2のような一般的なガンマではないので、ネイティブ色域をリファレンスにしても色差は大きいです。独自ガンマカーブによってsRGBカーブや固定値2.2よりも彩度が強調されているのが分かります。

色域エミュレートモードの色の正確性について
sRGBやAdobeRGBなど代表的な色規格通りの色域、場合によってはホワイトポイントやガンマを再現するエミュレートモードにおける色の正確性を検証していきます。「MOBIUZ EX321UX」はゲームジャンル・シネマやカスタムなどほぼ全てのカラーモードでディスプレイパネルの性能を最大限に発揮し、上のような非常に広い色域で動作しますが、カラーモードからsRGBもしくはDisplay-P3を選択することで各色域に一致するエミュレート動作も可能です。


「MOBIUZ EX321UX」のsRGBモード(sRGBエミュレート)については、色域だけでなく、ガンマと色温度もカラーモードによる自動制御になります。
RGB値 100以上でガンマカーブは浮いて右肩上がりになるものの、ゲーム・シネマ・カスタム等のカラーモードと異なり、sRGBカーブ的な軌跡を描きます。

sRGB色規格のホワイトポイントはD65ですが、sRGBモードの色温度はi1Pro3による測定では6000K程度、少し橙色がかった白色です。色温度設定で標準プリセットを選択した他カラーモードとほぼ同じでした。
メタメリック障害もあるので厳密な評価は難しいのですが、筆者にはD65よりも少々暖色寄りに感じるものの、すぐに目が順応する程度なのでD65と見なしても実用的には問題のない範囲だと思います。RGBバランスも平行なので綺麗なグレーグラデーションです。

sRGBモードにするとネイティブではAdobeRGBやDCI-P3を軽くオーバーしていた色域がsRGBピッタリに制限されます。
「MOBIUZ EX321UX」のsRGBモードはi1Pro3の測定ではホワイトポイントがD65からズレているので全体的に色がシフトしてしまい、sRGB色規格をリファレンスにすると色差は平均ΔE(00)が2.95程度と比較的に大きくなります。

sRGBモードの実測色域からリファレンスの色度を出すと平均ΔE(00)は0.98程度と良く校正されています。
sRGB規格に対する絶対値としてはズレが大きいものの、実測のプライマリ・ホワイトポイントに対しては良く校正されているので実用的には許容範囲内だと思います。

「MOBIUZ EX321UX」のDisplay P3モード(Display P3エミュレート)については、色域だけでなく、ガンマと色温度もカラーモードによる自動制御になります。
DCI-P3など似た名前の色規格があるので分かり難いですが、Display P3はDCI-P3と同じ色域で、ホワイトポイントとガンマはsRGBと共通という色規格です。
RGB値 100以上でガンマカーブは浮いて右肩上がりになるものの、ゲーム・シネマ・カスタム等のカラーモードと異なり、sRGBカーブ的な軌跡を描きます。

Display P3色規格のホワイトポイントはD65ですが、Display P3モードの色温度はi1Pro3による測定では6000K程度、少し橙色がかった白色です。色温度設定で標準プリセットを選択した他カラーモードとほぼ同じでした。
メタメリック障害もあるので厳密な評価は難しいのですが、筆者にはD65よりも少々暖色寄りに感じるものの、すぐに目が順応する程度なのでD65と見なしても実用的には問題のない範囲だと思います。RGBバランスも平行なので綺麗なグレーグラデーションです。

Display P3モードにするとネイティブではAdobeRGBやDCI-P3を軽くオーバーしていた色域がDisplay P3ピッタリに制限されます。
「MOBIUZ EX321UX」のDisplay P3モードはi1Pro3の測定ではホワイトポイントがD65からズレているので全体的に色がシフトしてしまい、sRGB色規格をリファレンスにすると色差は平均ΔE(00)が2.9程度と比較的に大きくなります

Display P3モードの実測色域からリファレンスの色度を出すと平均ΔE(00)は0.70程度と良く校正されています。
Display P3規格に対する絶対値としてはズレが大きいものの、実測のプライマリ・ホワイトポイントに対しては良く校正されているので実用的には許容範囲内だと思います。

カラーキャリブレーション後の色の正確性について
最後にカラーキャリブレータを使用して色校正を行うことで、「MOBIUZ EX321UX」は正確な色を出すことができるのか検証していきます。カラーキャリブレーションはX-Rite i1 Basic Pro 3と純正ソフトi1Profilerを使用して行いました。
キャリブレーション設定はホワイトポイントがD65、白色輝度が120cd/m^2、ガンマは固定値2.2としています。キャリブレーションのカラーパッチ数は中(211)です。


「MOBIUZ EX321UX」ではカスタムモード、ガンマはモード3、色温度設定を”標準”にするとホワイトポイントがD65からズレていて、RGBの強さに差が大きいとアラートが出たので、手動で調整できるユーザー設定モードでR(赤)=95, G(緑)=100, B(青)=100としてキャリブレーションを行いました。

X-Rite i1 Basic Pro 3によってカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、同じくi1Profilerのディスプレイ品質検証(色の正確性の検証)機能で測定した色精度は次のようになっています。
カラーキャリブレーション後にi1Pro3で測定した「MOBIUZ EX321UX」の色の正確性はΔE 3.3でした。
独自チューニングでそのままでは正確な色は出せませんし、仮にカラーキャリブレーションを行ってもΔE 1~2以下にならないので、「MOBIUZ EX321UX」は色精度が求められる用途には不向きです。

カジュアルゲーマー向けブランドとはいえネイティブ色域がRec.2020 86%カバーという、他の用途にも転用できる最高峰のスペックなので、ガンマが2.2かsRGB、ホワイトポイントがD65の素直な動作モードがないのはもったいなく感じます。
例外的に色域エミュレートのsRGBモードやDisplay P3モードならそこそこ正確な色を出せますが、量子ドットIPSの広色域をフル活用できないので、それで事足りるなら別の(もっと安い)モニタを探すほうが無難です。
あくまでゲームや動画視聴といったエンタメメインなモニタで、ブラウジングやオフィス作業をする時にsRGBモードやDisplay P3モードに切り替える、くらいの使い方だと思います。
なおX-Riteが公開している色差に関するブログポストによると、によると『ΔE=1程度で2つの色を横にくっつけて見比べた時に違いが判別できるレベル』とのこと。

補足としてi1Pro3で行ったカラーキャリブレーションの結果についてもう少し詳しく見ていきます。
まずは単純に0~255を32分割したRGB値のテストパターンをそのまま表示してガンマを確認しました。ガンマ2.2になるようにキャリブレーションしましたが、「MOBIUZ EX321UX」の独特なガンマカーブに対して固定値2.2に近づいてはいるもののかなりガタついています。色温度はD65(6500K)前後ですが、RGBバランスは不安定です。


sRGB、AdobeRGB、DCI-P3 D65のICCプロファイルを埋め込んだpng画像をテストパターンにして測定したガンマ値は次のようになっています。
ガタついているものの、sRGBはsRGBカーブ、AdobeRGBは固定値2.2、DCI-P3 D65は固定値2.6のような傾向は一応読み取れる感じです。(ICCなし画像はRGB値がそのまま出力される場合とsRGB扱いで変換になる場合に分かれ、ソフトやモニタICCプロファイルによって挙動が変わります)

カラーキャリブレーションで作成したICCをモニタプロファイルとして適用すれば、sRGB/AdobeRGB/DCI-P3 D65のICCが埋め込まれたpng画像をテストパターンとしてi1Pro3で測定した色度は、各色規格から算出したリファレンスに概ね一致するはずなのですが、「MOBIUZ EX321UX」は盛大にズレています。
i1Profilerで色校正に使った211種ではパッチ数が全く足りなかったか、何かしら動的に彩度を強調するチューニング(既定で動く機能)が効いているように思います。



MOBIUZ EX321UXのリフレッシュレートについて
「MOBIUZ EX321UX」のリフレッシュレートについてチェックしていきます。120Hzや144Hzなどリフレッシュレートについて、その意味自体は特に説明せずとも多くの読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。
最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも普及しつつあり、さらには、それを上回る360Hzや540Hzの超々高速なリフレッシュレート対応製品も各社から販売されています。

120Hz+の高リフレッシュレートなゲーミングモニタを使用する3大メリット『滑らかさ』『低遅延』『明瞭さ』についてはこちらの記事で概要を解説しているのでゲーミングモニタ選びの参考にしてみてください。
「MOBIUZ EX321UX」ではNVIDIA GeForce RTX 40/30シリーズやAMD Radeon RX 7000/6000シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.4のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを144Hzなどに設定できます。

「MOBIUZ EX321UX」はDisplayPortビデオ入力は最新バージョンであるDisplayPort2.1に対応しています。
DisplayPort2.1には帯域性能としていくつかのティアがありますが、54Gbps(UHBR13.5)のビデオ出力に対応するAMD Radeon RX 7900 XTXとDP80認証取得DP2.1ケーブルで検証したところ、「MOBIUZ EX321UX」のDisplayPort2.1 リンク帯域は40Gbps(UHBR10)でした。
BenQ公式にも確認しましたが、「MOBIUZ EX321UX」のDisplayPort2.1はUHBR10のみサポートで、UHBR13.5とUHBR20には非対応とのこと。

DisplayPort2.1の帯域やケーブル認証の話はこちらの記事で解説しているので気になる人は参照してみてください。
DisplayPort1.4の場合、DSCなしではSDR 8bit RGBは4K/120Hzまで、HDR 10bit RGBは4K/98Hzまでとなりますが、40Gbps(UHBR10)のDisplayPort2.1は4K/120Hz/HDR 10bit RGBをDSCなしで表示できます。144HzはSDR 8bit RGBのみ対応でした。

解像度・リフレッシュレート等を切り替えて断続的な暗転等がない状態で一度安定すれば、その後はDSCなしの4K/120Hz VRR/HDR 10bit RGBでゲームをしても問題ないことは確認しています。
ただ「MOBIUZ EX321UX」とAMD Radeon RX 7000の組み合わせでは4K/120Hzなど40Gbps(UHBR10)で映像データが伝送される設定において、解像度・リフレッシュレート、VRR、HDR等の切り替えや、映像ケーブルの挿抜のタイミングでディスプレイが映像を認識できなくなる現象が何度か発生しました。
モニタ側なのか、GPU・ドライバ側なのか原因がどちらにあるのか分かりませんが、DP1.4(DSC)と比べると現状では確実性に疑問が残ります。
NVIDIA環境の場合は最新のGeForce RTX 40でもGPU側の仕様でDP1.4接続になるので問題ありませんが、DP2.1に対応するAMD Radeon RX 7000環境で「MOBIUZ EX321UX」を使用する場合はHDMI2.1がどちらかというと推奨です。
DSCのオン・オフ同様にOSD設定でDisplayPortのバージョンをDP1.4とDP2.1から選択できると良いのですが。
USB Type-CもDisplayPort1.4やDisplayPort2.1(UHBR10)の帯域をサポートするDisplayPort Alternate Modeなので同様に4K/144Hzを選択できます。
ただし、ビデオ入力対応USB Type-Cポートについては互換性機能としてOSD設定からUSBデータ通信の帯域を制限する機能があり、公式仕様によると、Type-Cポートで4K/144Hzの映像を表示するにはUSB2.0を選択する必要があるとのことです。またUSB3.2 Gen1(5Gbps)を選択した時の最大解像度は4K/30Hzまでとなります。

ただ実機の動作を確認したところ、OSD設定がUSB3.2 Gen1(5Gbps)でも4K/144Hzで表示でき、USB3.2 Gen1のUSBストレージからPCへデータのコピーもできました。
OSD設定からUSB2.0を選択した場合、USBデータ通信の速度はUSB2.0(480Mbps)に制限されますが、逆にUSB3.2 Gen1を選択してもディスプレイ解像度・リフレッシュレートに(EDID)には制限が発生しません。
4K/144Hzの映像表示とUSB3.2 Gen1(5Gbps)によるデータ通信でUSBに乗るデータ量がキャパシティを超えると、USBデータ通信機器の接続が切れるか、ディスプレイ表示が暗転するなど問題が発生する可能性があるので注意してください。

ゲーミングPCとゲーミングモニタの接続にはDisplayPortを使用するのが現在の主流ですが、「MOBIUZ EX321UX」に搭載された3基のHDMIビデオ入力は最新規格HDMI2.1に対応しており、4K/120FPSの映像伝送が可能です。
NVIDIA GeForce RTX 40/30シリーズやAMD Radeon RX 7000/6000シリーズなど最新グラフィックボードのHDMI2.1ビデオ出力と接続した場合、「MOBIUZ EX321UX」はフルRGBで4K/144Hzの表示に対応します。

「MOBIUZ EX321UX」はビデオ出力機器との互換性機能としてOSD設定からDSCを無効化できます。
HDMI2.1については「MOBIUZ EX321UX」は48Gbpsのフル帯域をサポートしているので、DSC無効化でも4K/144Hz/HDR 10bit RGBで問題なく表示できました。

ちなみにHDMI2.1(DSCなし)のパススルーに対応するビデオキャプチャ AVerMedia Live Gamer ULTRA 2.1を介して「MOBIUZ EX321UX」のHDMIビデオ入力に接続したところ、最大で4K/144Hzの表示が可能でした。

モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。

高性能なゲーミングモニタには高性能なGPUが必要
ゲーミングモニタのリフレッシュレート(と解像度/フレームレート)と対になって重要なのが、PCのグラフィック性能を左右するGPU、グラフィックボードです。ハイフレームレートはヌルヌル、サクサクと表現できるような快適なゲーミングを実現するだけでなく、上で説明したように競技系ゲームを有利に運ぶ意味でも重要ですが、ゲーミングモニタがハイリフレッシュレートに対応していても、PCのグラフィック性能が不足していて大元の映像データが60FPS前後しか出ていなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
当サイトでは240Hz+の競技ゲーマー向けモニタや4K/120Hz+のラグジュアリーな画質重視モニタを検証するにあたりモニタ性能を最大限に発揮できるよう、2023年最新にして最速のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。

PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
・「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー

「MOBIUZ EX321UX」のポテンシャルを最大限に引き出すには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「MOBIUZ EX321UX」を使用するのであれば2023年最新GPUであるNVIDIA GeForce RTX 4080/4090やAMD Radeon RX 7900 XT/XTXがおすすめです。
・GeForce RTX 40シリーズのレビュー記事一覧へ

・Radeon RX 7000シリーズのレビュー記事一覧へ

MOBIUZ EX321UXの応答速度・表示遅延
次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「MOBIUZ EX321UX」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。まずは「MOBIUZ EX321UX」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
「MOBIUZ EX321UX」のOSDメニュー上では、一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、従来のBenQモニタ製品同様に「AMA (Advanced Motion Accelerator)」の名前で設置されており、0~3の4段階で設定でき、数字が大きくなるほど補正が強くなります。

応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。

まずは簡単にシャッタースピードを十分に速くして「UFO Test: Ghosting」の様子を写真撮影してみたところ、「MOBIUZ EX321UX」を144Hzリフレッシュレート、オーバードライブは標準設定の”AMA:1”や”AMA:2”で動作させると、ベストタイミングならしっかりと現在のフレームが単独で表示されます。
GTG 1msを謳う製品でもなかなか実現が難しいレベルの応答速度となっており、実はこれが可能な応答速度を実現している製品は本当に希少です。
KSFpタイプならともかく、量子ドット技術採用IPS液晶の4Kモニタとしては間違いなく最速の製品だと思います。

過渡状態でも残像は前の1フレーム程度に収まっており、標準設定の”AMA:1”だと素の残像が残り、補正を強くして”AMA:2”だと過渡応答が速くなるもののオーバーシュートで色滲みのある逆像が薄っすらと出る感じです。


さらに「MOBIUZ EX321UX」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、UFO Test: Ghostingの様子をSONY DSC-RX100M5の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。

「MOBIUZ EX321UX」の144Hzにおいて最適なオーバードライブ設定は”AMA:1”もしくは”AMA:2”です。
”AMA:2”は少しオーバーシュート気味になるので気になるなら”AMA:1”という感じで選べばOKです。”AMA:3”は過渡応答は高速になるもののオーバーシュートの逆像が非常に強く生じるので非推奨です。
CSゲーム機で一般的な60Hzについてはモニタのデフォルト設定である”AMA:1”で決め打ちにしてしまうのが手っ取り早いと思います。
”AMA:2”にすると、100~144Hzのハイリフレッシュレートに比べてオーバーシュートによる色滲みが少し強く出ます。ただ、実用的に問題があるレベルでもないので、気にならなければ”AMA:2”でもいいと思います。
ここからはSONY DSC-RX100M5の960FPS(16倍速)よりもさらに高速な5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラを使用して「MOBIUZ EX321UX」の応答速度を比較検証していきます。
最初に5760FPSスーパースローでも144Hz時のオーバードライブ設定について確認しておくと、960FPSスーパースローでも見た通り、”AMA 1”もしくは”AMA 2”が144Hzや120Hzにおける最適な設定値です。
”AMA 0”は素の残像が見え、”AMA 1”、”AMA 2”の順番で過渡応答が改善していきます。”AMA 2”はほぼ気にならない程度ですが、”AMA 3”は過渡応答は高速になるもののオーバーシュートの逆像が非常に強く生じます。
続いてモニタ製品別の比較です。
比較対象には、同じく4K解像度/144Hz対応の「SONY INZONE M9」と「BenQ MOBIUZ EX3210U」を使用し、144Hzリフレッシュレートで統一しています。加えて138Hzリフレッシュレートですが有機ELゲーミングモニタのASUS ROG Swift OLED PG42UQも比較しています。
「MOBIUZ EX321UX」の応答速度は、BenQ MOBIUZ EX3210UやASUS ROG Swift PG32UQなど1D型LD対応のAUO製量子ドットIPS液晶パネル採用製品や、FALDに対応した量子ドットIPS液晶のTitan Army P32A6V(国内では同等製品としてINNOCN 32M2Vが流通し有名)よりもハッキリと高速です。
上の動画の通り流石に理想スイッチ的な応答を見せる有機ELにはかないませんが、SONY INZONE M9、MOBIUZ EX2710Uなど公称スペックとしてGTG 1msが表記されるLG/AUO/InnoluxのKSF蛍光体構造の液晶パネルと比較して同等か上回るような性能です。
量子ドットIPS液晶の4KパネルはこれまでKSF蛍光体のものよりも応答速度では劣る傾向でしたが、「MOBIUZ EX321UX」は発色でも応答速度でも現状最強クラスの1台です。
続いてスーパースローモーション動画ではなく、オシロスコープ&光プローブのような光センサーを利用した定量的な測定で応答速度についてチェックしていきます。
ここで確認するのは製品スペックに置いて『〇〇s (GTG)』などと表記される性能そのものです。統計的な扱いや解析には差があるかもしれませんが。
「MOBIUZ EX321UX」については、PWM式バックライト調光の振り幅がかなり大きいため、Perceived/Completeやオーバーシュートエラーの算出が難しいので、スーパースローモーションでも綺麗な応答を見せたAMA:1におけるTransient Responseの比較グラフのみ掲載します。

「MOBIUZ EX321UX」の最大リフレッシュレートで最適OD設定を適用した時の応答速度は次のようになっています。

ゲーム機や動画視聴において一般的な60Hzリフレッシュレートにおいて、「MOBIUZ EX321UX」に最適OD設定を適用した時の応答速度は次のようになっています。

ゲーミングPCだけでなくPlayStation 5やXbox Series X/Sといった最新ゲーム機も対応する120Hzの高速リフレッシュレートにおいて、「MOBIUZ EX321UX」に最適OD設定を適用した時の応答速度は次のようになっています。

高精度な機械式スライダーを使用した撮影で、「MOBIUZ EX321UX」の120Hzについて実際に体感する明瞭さを再現してみました。
2023年に発売された量子ドットIPS液晶パネルで144Hz対応の製品(同社のMOBIUZ EX321Uなど)は当サイト測定で応答速度が8~9ms程度ですが、「MOBIUZ EX321UX」は同じく量子ドット技術採用ながら、4.4ms程度と大幅に高速な応答速度を実現しています。
画面左端から右端まで3秒のスライド速度で比較すると、体感する明瞭さはこれくらいの差があります。

「MOBIUZ EX321UX」の高速応答はファイナルファンタジーなど高画質系ゲームでも効果があります。
RPGやアクションで自分でカメラを操作する場合やムービーシーンを想定し、撮影時のスライド速度を左端から右端まで4秒に落としていますが、細部のボケ具合、クッキリ感に差があります。ワイプ動画で違いが分かり難い場合は再生速度を2倍にしてみてください。


最後に「MOBIUZ EX321UX」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。

システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。
「MOBIUZ EX321UX」やその他の比較モニタのディスプレイ表示遅延の測定結果は次のようになりました。測定方法的に遅延が2ms以下であればディスプレイ内部の表示遅延は誤差の範囲内で十分に小さいと考えてOKです。
「MOBIUZ EX321UX」は144Hzや120Hzのリフレッシュレートで理想的なディスプレイ表示遅延を発揮しています。60Hzでは1~2ms程度遅延が増える傾向ですが、操作ラグとして体感することはありえませんし、実用的には問題ないレベルの遅延です。

「MOBIUZ EX321UX」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。この測定値は一般的なPCゲームにおける操作から画面表示の変化までの遅延に一致します。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいということが分かると思います。

一つ補足しておくと、ローカルディミングを有効にしても液晶パネル自体の表示遅延は無効と同じです。ごくごく限られた条件を除いて、ローカルディミングを有効にしても表示遅延が増えることはありません。
後述のローカルディミングに関する章(HDR関連)で説明するように、「MOBIUZ EX321UX」のバックライトは画面更新に対して60Hzで1フレーム分程度の遅延があります。
一般的な遅延測定ツールは、バックライトが完全消灯のRGB 0から完全点灯のRGB 255で表示遅延を測定するため、バックライトの点灯が表示遅延に加算され、『ローカルディミング有効時に遅延が増える』と評価されることがあります。これは9割がた間違いです。
実際、当サイトの遅延測定ツールで検証してもバックライトの完全消灯から点灯のようなパターンでは10~16ms程度の遅延増として計測されます。ただし黒色表示の範囲を減らすと、下写真右側くらい大きい黒色窓でもLDオンで遅延は増えなくなります。

通常、表示遅延は”見えるか、見えないか”というレベルの話なので、バックライト更新が遅れていても明るさが十分で見えている状態なら表示遅延はローカルディミングのオン/オフどちらでも同じです。
バックライトが暗くて見えない状態から見える状態になる場合、例えば『真っ暗な部屋のシーンで急に照明が付いて敵が現れる』のような限られた条件でないとバックライトの更新遅延が表示遅延に該当することはありません。
MOBIUZ EX321UXの可変リフレッシュレート同期について
続いて「MOBIUZ EX321UX」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」についてチェックしていきます。モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて

「MOBIUZ EX321UX」はAMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)など可変リフレッシュレート同期に対応しています。
2024年5月現在、GeForce Driver 555.85でG-Sync Compatible認証は未取得でした。

従来のNVIDIA製GPUではHDMI経由でG-Sync Compatibleは利用できないケースが多かったのですが、HDMI2.1では伝送技術の規格の一部としてVRR同期が内包されているので、「MOBIUZ EX321UX」ではHDMI経由でもG-Sync Compatibleを利用できます。
当然、AMD製GPU環境でもDisplayPortとHDMIの両方でVRRを利用でき、最大144Hzに対応していました。

「MOBIUZ EX321UX」で可変リフレッシュレート同期機能を使用するには、ゲーミングPCやCSゲーム機で共通の確認事項として、OSD設定から「FreeSync Premium Pro」の項目をオンにする必要があります。

可変リフレッシュレート同期機能が正常に動作してリフレッシュレートが可変になると、「MOBIUZ EX321UX」のOSD機能で確認できるリアルタイムリフレッシュレートがフレームレートに合わせて変動するようになるので、機能が正しく動作しているかどうかはここを見て確認してください。

MOBIUZ EX321UXのHDR表示やCSゲーム機対応について
「MOBIUZ EX321UX」のHDR表示やCSゲーム機の対応(4Kエミュレートなど)についてチェックしていきます。HDR表示やCSゲーム機対応について | |
HDMI ver, ポート数 |
HDMI2.1(48Gbps, DSC1.2a対応) ×3 |
HDR表示 | 対応 |
VRR同期 | 対応、PS5でも使用可能 |
カラーフォーマット DP2.1, DP1.4(DSCS) |
4K/144Hz/10bit RGB |
カラーフォーマット HDMI2.1 |
4K/144Hz/10bit RGB |
ピーク輝度(実測) | Game/Cinema: 1321 ~ 1591 cd/m^2 DisplayHDR: 1553 cd/m^2 |
輝度認証 | VESA DisplayHDR 1000 |
ローカルディミング | 対応、1152分割 |
4Kエミュレート | 4Kネイティブ対応 |
PlayStation 5 | 4K/120FPS対応, YUV422 |
Xbox Series X/S | 4K/120FPS対応 |
「MOBIUZ EX321UX」はHDR表示におけるピーク輝度は最大1000nits(cd/m^2)で、VESAがPCモニター向けに展開している輝度認証においてハイエンドクラスのDisplayHDR 1000を取得しています。
さらに「MOBIUZ EX321UX」にはMini LEDによる直下型LEDバックライトが採用されており、1152分割のフルアレイ型ローカルディミングに対応します。

VESA DisplayHDR Compliance Testsから「MOBIUZ EX321UX」のEDIDに収録されているHDRスペックが確認できます。


HDR表示モードやOSD設定について
「MOBIUZ EX321UX」は映像ソース機器から常時、HDR信号を受け付けるように認識され、HDR映像の入力があると画像モードは自動的にHDRモードへ切り替わります。HDRソースを検出した時に設定できるカラーモードとして、「Sci-fi HDRi」「リアル HDRi」「ファンタジー HDRi」「シネマ HDRi」「Display HDR」の5つのモードが用意されています。

Sci-fi HDRiやシネマ HDRiはその名の通りゲームや映画と言った映像のジャンルに合わせて、BenQ独自のHDRテクノロジーであるHDRiによってコントラストや鮮明度などが最適化されています。

アウトボックス状態では上記の5種類のHDRカラーモードしか選択できないのですが、Sci-fi/リアル/ファンタジー HDRiの個別設定において”名前を付けて保存”でゲーマー1/2/3のプロファイルにコピーを保存すると、「ゲーマー1/2/3 HDRi」のプロファイルが有効になります。(シネマとDisplayHDRからはコピー不可)

ちなみに、Sci-fi/リアル/ファンタジーは輝度やLight TunerといったOSD設定として設定が表示される以外に、ガンマや彩度マップ等の内部パラメータが微妙に異なります。
「ゲーマー1/2/3 HDRi」のカスタムプロファイルはそれぞれ最後にコピーしたSci-fi/リアル/ファンタジー HDRiの内部パラメータを引き継ぐので注意してください。

あと、SDR表示用「ゲーマー1/2/3」とHDR表示用「ゲーマー1/2/3 HDRi」の同じナンバリングはそれぞれ排他利用になっているので注意してください。

HDRカラーモードのDisplay HDRは、VESA DisplayHDR 1000など標準的なHDR規格(D65のホワイトポイント、SMPTE ST 2084のガンマなど)に準拠した、テレビでいうところのフィルムメーカーモード的な動作になります。
調整できるOSD設定も輝度、ローカルディミング、AMA、シャープネスのみとなっており、後述の通り、他のHDRカラーモードがSDRモードと同じくらい自由に調整できるの比較すると機能は制限されています。

「MOBIUZ EX321UX」はHDR表示においてもSDR表示とほぼ同等にカラーモード内の各種設定を変更できます。


HDR映像の標準ホワイトポイントであるD65は7000K~7500Kくらいの青みがかった白色を好みがちな日本人ユーザー的に黄色く感じたり、また広色域なHDR規格内ではsRGB相当の色が彩度過飽和することなくそのまま表示されてしまうので色褪せて感じたりします。
そのため、HDR表示モードになった途端、色関連の調整が全くできなくなるHDR対応モニタ(既存製品の多くがそう)はあまりHDR表示の評判が良くありません。
当サイトでも基本的にHDRコンテンツを最大限堪能したいならHDRでも画質調整が可能なテレビ製品をゲーミングモニタとして使用することを推奨していました。
「MOBIUZ EX321UX」はHDR規格そのままやメーカー独自設定の画質が好みにマッチしなくても、輝度、彩度、色温度(ホワイトポイント)をSDR表示同様に調整できるので、そういった不満とも無縁です。





各自で調整する時の注意点として、Light TunerはSDR表示だと”0”の設定値で無効化ですが、HDR表示中は”-4”前後が補正なしの設定値のようです。HDR表示中に設定値を0にするとかなり補正されてる感のある絵になるのですぐに分かると思いますが。

Sci-fi/リアル/ファンタジーの3種類のHDRカラーモードでは色温度を調整できます。ただし色温度のRGB値を大きく変えるとグラデーションに違和感が生じるので注意してください。(FW:V3/V4ではCinemaモードの色温度変更が不可能に)
各HDRカラーモード毎に最大輝度付近での色温度は予め決まっていて、それは固定されています。RGB:100/100/100の設定値は最大輝度の色温度に対して中間輝度でも違和感がないようにチューニングされています。
下写真はシネマモード(FW:V2)の例ですが、RGB:100/100/100と比較して色温度設定を93/97/100にすると、中間のホワイトグラデーションが最大輝度基準で見るとかなり青みがかった色になってしまっています。

PC接続時の解像度やカラーフォーマットについて
「MOBIUZ EX321UX」はDisplayPort1.4ビデオ入力でPCと接続した場合、4K/144HzのHDR表示において、RGB 10bitのカラーフォーマットに対応します。

「MOBIUZ EX321UX」のHDMI2.1ビデオ入力はHDMI2.1規格のフルスペックである最大48Gbpsのデータレートで映像データの伝送が可能であり、視覚損失のない非可逆圧縮機能 Display Stream Compression (DSC) 1.2aにも対応しています。

最新グラフィックボードと接続した場合、4K/144Hz/HDR表示においてRGB 10bitのカラーフォーマットに対応します。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。

CSゲーム機接続時の4KエミュレートやHDCP対応について
「MOBIUZ EX321UX」に搭載された3基のHDMIビデオ入力はHDMI2.1に対応しているので、PlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせた場合、4K/120Hzの表示が可能です。


PlayStation 5やXbox Series X/Sのようにゲーム機が対応していればVRR同期機能を利用できます。



MOBIUZ EX321UXのHDR性能やローカルディミングについて
最後に「MOBIUZ EX321UX」のHDR表示における輝度性能、ローカルディミング対応、色性能をチェックしていきます。HDR表示における輝度性能について
HDR対応モニタ/テレビのHDRモードにおけるディスプレイ輝度は、高輝度領域の広さ(APL: Average Picture Level)や高輝度表示の継続時間に依存するので、Calibrite Display Plus HLを使用してHDR時の最大輝度を条件別で測定してみました。VESA DisplayHDR Compliance Tests以外の測定はdogegenというWindows上でRGB 10bitのHDRカラーをそのまま表示できるテストパターンジェネレーターを使用しています。
「MOBIUZ EX321UX」の輝度性能をVESA DisplayHDR Compliance Testsで確認すると、HDRリファレンスを再現するDisplayHDRモードについては、ウィンドウサイズ 10%と全白の両方で1400cd/m^2程度というHDR対応モニタの中でも最強クラスの超高輝度を発揮しました。

筆者的にHDRカスタム設定のベースとしてオススメなSci-Fiモードについては、DisplayHDRモード同様に全白で1400cd/m^2程度という超高輝度を発揮します。
FALDのバックライト制御次第ですが高輝度領域が狭くなるとコントラスト向上(ハロー抑制)のため点灯できるバックライトが減るので小さいウィンドウサイズでは最大輝度が若干下がることがあります。
「MOBIUZ EX321UX」のSci-Fiモードもその傾向があり、ウィンドウサイズ 10%における最大輝度は全白よりも少し下がって1200cd/m^2前後となります。とはいえVESA DisplayHDR 1000の基準を余裕でクリアする輝度性能です。

1000cd/m^2を超える高輝度は輝度性能の高いFALD対応液晶モニタといえど、ウィンドウサイズ 100%の全白では時間経過で輝度が低下し、数秒から10秒程度しか維持できない製品も多いのですが、「MOBIUZ EX321UX」は30秒以上も全白の1400cd/m^2以上を維持し続けることが可能でした。

高輝度領域に対するHDR輝度をもう少し細かく見ていくと、DisplayHDRモードは全白の1400cd/m^2程度に対して、ウィンドウサイズ 30%~75%の区間では1500~1600cd/m^2以上というさらに高い最大輝度を発揮できます。
輝度が1000cd/m^2を超える各ウィンドウサイズでも30秒程度なら輝度低下はほぼなく、最大輝度を維持できます。
バックライトの挙動が他のHDRカラーモードとは異なり、黒色表示部分でもバックライトが少し点灯するので、テストパターンの中では最も狭いウィンドウサイズ 2%でも1000cd/m^2以上の高輝度を発揮できます。

1152分割とはいえ縦横で言うと30~40程度の分割数なので、Sci-Fiモードではハロー軽減のために周辺バックライトを消灯する必要のあるウィンドウサイズ 10%未満では輝度が下がり、ウィンドウサイズ 2%では900cd/m^2程度に輝度が下がります。

輝度設定100%でもSci-Fi、リアル、ファンタジー、シネマの4種類のHDRカラーモードでは最大輝度が異なります。またDisplayHDRモードと違い、いずれも近傍に輝点のない黒表示ではバックライトが完全に消灯します。
2%や5%の小さいウィンドウサイズにおいて最大輝度に差がある以上、小さい輝点に対するバックライト強度(逆にハロー抑制)の挙動は異なると思いますが、ローカルディミングにそれほど差は感じなかったので、色味(色相や色温度)を優先して選べばいいと思います。

ちなみに前述の通り、ハロー抑制とトレードオフですが、2024年8月現在最新ファームウェア V4では初期のV2/V3よりもウィンドウサイズ別の最大輝度が上昇しています。

FALD対応液晶や有機ELの各種製品とウィンドウサイズによる輝度性能を比較してみました。
「MOBIUZ EX321UX」などFALD対応液晶モニタの特長はやはり50%~100%のような広い高輝度領域に対して安定して各製品の最大輝度を発揮できるところです。
有機ELモニタは2024年現在トップクラスの性能でもVESA DisplayHDR 600相当の性能を発揮できるのはウィンドウサイズ 20%以下のような限られたシーンになります。
一方で、FALD対応液晶モニタはハローをどこまで抑制するかで小領域の輝度性能に制限がかかります。有機ELはピクセル単位で輝度を調整できるので2%や5%の小さい領域でもハローなしで高輝度を発揮できるのが強みです。

超簡単にHDR表示性能の特長が分かるFALD対応液晶と有機ELの比較、低APL編。 pic.twitter.com/2QXuOlR4M2
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ローカルディミング対応について
「MOBIUZ EX321UX」はMini LEDによる直下型LEDバックライトが採用され、1152分割のローカルディミングに対応しています。HDR表示モードにおけるローカルディミングの動作はオン/オフの切り替えのみ可能です。
FALD対応モニタの中にはOSD設定を変更することで『バックライトの速さ(更新頻度)』や『輝点に対するカバー領域』といったローカルディミングの動作が変わるものもありますが、「MOBIUZ EX321UX」にはその他にローカルディミング関連の設定値もないので、HDR表示におけるローカルディミングの動作は標準設定のみの自動制御です。

「MOBIUZ EX321UX」のローカルディミングはOSD設定上はオン/オフの2通りしかありませんが、HDRカラーモードによって挙動が異なります。
ゲームジャンル/シネマ/カスタムのHDRカラーモードでは黒色表示かつ近傍に輝点がなければ、その部分のバックライトは完全に消灯しまが、DisplayHDRモードでは完全黒色表示でもバックライトは僅かに点灯を続け、ブラックレベルは0.03cd/m^2程度でした。

Sci-Fi、リアル、ファンタジー、シネマの4種類のHDRカラーモードはウィンドウサイズに対する輝度を測定すると差があったので、小さい輝点に対するバックライト強度(逆にハロー抑制)の挙動は微妙に異なるようです。

輝点の輪郭を超えてバックライトが点灯するハローがやはりあるものの、1152分割のFALDなので漏れ出す範囲は狭めです。

「MOBIUZ EX321UX」はバックライトの追従が若干遅く、輝点が高速で移動すると、液晶パネルの表示とバックライトの点灯位置が1,2フレーム程度ズレる感じでした。
残光感を抑制するためバックライトの追従を高速にすると、バックライト変化に対してチラつきを感じやすくなることもあるので、FALDのチューニングの難しいところです。

まず分かりやすいところから、現在10万円程度で販売されている4K/144Hz対応ゲーミングモニタの多くは、ローカルディミングに対応していても短冊状の1D型かつ分割数が10~20程度なので、輝点に対してかなりの広範囲でバックライトが点灯してしまうのがかなり微妙でした。
下の比較動画の通り1152分割でローカルディミングに対応した「MOBIUZ EX321UX」の良さは一目瞭然です。
続いて96分割FALDのSONY INZONE M9と比較してみました。
分割数に比例して1152分割FALDの「MOBIUZ EX321UX」のほうがハローの影響が小さいのが一目で分かります。
ハローを確認しやすいように斜めから撮影しているので、基本的な実用シーンである正面から見た時よりもハローの効果が強調されているのですが、やはりピクセルレベルで調光が可能な有機ELと比べると、1152分割でも輝点に対する光漏れはあります。
ローカルディミング、液晶バックライトの部分駆動は、明部暗部の境界を超えて明るく/暗くなったり、マウスカーソルのような小さい輝点に反応したりして、デスクトップ作業のように明暗の領域が綺麗に分かれるシーンでは違和感を覚えることがあります。
「MOBIUZ EX321UX」ではローカルディミングは2次元型で1152分割なのでバックライト自体の解像度も高そうに思えますが、縦横で言うと分割数は44×26程度しかありません。
バックライトをどこまで上手く制御できるかはFALD型液晶モニタの弱点というか課題の1つです。
WindowsデスクトップのHDR表示については、「MOBIUZ EX321UX」は明るい色や完全な黒色だけでなく黒寄りのグレーなど暗い中間色の背景でマウスカーソルのような小さい輝点が動いてもバックライトの変化は小さく、明暗差のある2色の境界も明るい方に引っ張られて暗い方の色が浮いて見えるような影響も軽微だったので、デスクトップ作業に耐える動作だと感じました。
ただダークモード的な暗いグレーがノッペリと広がるUIだとウィンドウを左右に振ったり動かした時に、個々のバックライトの軽微な色ムラでできる縞模様のようなパターンが気になるかもしれません。

PS5のメニューはグレー寄りの背景カラーに白色文字なので、フルアレイ型ローカルディミングではバックライト浮き、バックライト更新のチラつきが気になりやすいシーンです。
「MOBIUZ EX321UX」の場合、DisplayHDRモード以外のHDRカラーモードの初期設定は暗い色を浮かせて視認しやすくなるようなチューニングになっているため、テキスト周りのバックライトによるハローはあまり気になりません。
一方でLight Tuner等を使用して暗部を標準プリセットよりも暗くする(リファレンスに近づける)とDisplayHDRモードのようにバックライトのハローが目立つようになります。
輝点に対してバックライトは少し広めに点灯する傾向であり、なおかつ更新頻度も普通なので、バックライトのチラつき感は薄めです。
HDR表示における輝度性能(EOTF)や色性能について
「MOBIUZ EX321UX」のHDR表示における輝度性能(EOTF)や色性能についてもう少しだけ深堀りしていきます。カラーキャリブレータとしてX-Rite i1 Basic Pro 3やCalibrite Display Plus HLを使い分けています。
一桁cd/m^2以下の低輝度の検出が安定しているので輝度の絶対値については比色計のCalibrite Display Plus HLの測定データを使用しています。彩度マップやRGBバランスなどある程度明るく、色精度が重要な項目はスペクトロメーターのX-Rite i1 Basic Pro 3で測定しています。
ソフトウェアはdogegenというWindows上でRGB 10bitのHDRカラーをそのまま表示できるテストパターンジェネレーターを使用しています。
この章の測定ではパネルタイプに応じて理想的な性能を確認できるように、特別に設定について補足がない場合、液晶パネルの場合は50%部分/背景カラー20%グレー、有機ELパネルの場合は10%部分/背景カラー0%ブラックとしています。
まずは輝度性能について、HDR10など一般的なHDRコンテンツで採用され、PQ EOTFとも呼ばれるHDRガンマ曲線(SMPTE ST 2084)に対して、実際のディスプレイ輝度を測定しました。
「MOBIUZ EX321UX」はDisplayHDRモードにおいて、最大で1500~1600cd/m^2の高輝度を発揮し、ホワイトレベルが60~80%の区間は少し浮いているもののリファレンスに近い輝度で動作します。モニタの最大輝度に飽和すると、その後のホワイトレベルではクリップされます。

EOTFの対数グラフで見ると分かり易いですが、2024年8月現在最新ファームウェアのV4でもFALDバックライト制御の最適化が完全ではなく、急激に輝度が変化するポイントがいくつかあります。初期ファームウェアと比べると軽減されていますが、LGの有機ELデモ動画のように、明るさが徐々に変化するフェードイン/フェードアウトのシーンでは途中一瞬だけ急に明るく・暗くなるため違和感を覚えるかもしれません。

50cd/m^2未満の暗い階調に注目すると、DisplayHDRモードはホワイトレベルが40%を少し超えた辺りで直角的に輝度が上がるようなグラフになっており、10%~40%の区間では以下ではリファレンスよりも実際の輝度がかなり下がっていました。
100cd/m^2が255白のSDRで言うと40~50cd/m-2はRGB値で180くらいのかなり明るいグレーですが、それがRGB値で90程度のかなり暗いグレーになり、当然、それ以下の色も暗くなります。HDRコンテンツでもそうですが、HDRフォーマットの中で見ると、ガンマ2.2前後想定のSDRコンテンツはかなり薄暗く見えると思います。
後述の通り、「MOBIUZ EX321UX」の他HDRカラーモードはかなり独自のチューニングが施されていて、DisplayHDRモードはHDR対応テレビで言うところのフィルムメーカーモード的な立ち位置だと思うので、謎なチューニングです。



基準として分かり易いのでまずはDisplayHDRモードについて説明しましたが、続いて、ゲームジャンルやシネマのHDRカラーモードについて見ていきます。
「MOBIUZ EX321UX」で選択できるSci-Fi、リアル、ファンタジー、シネマのHDRカラーモードはアウトボックス状態やリセット直後では輝度、Light Tuner等の初期設定がそれぞれ異なります。
今回は各自でカスタム設定する場合のベース情報になるように、『輝度:100、コントラスト:50、色の鮮明さ(Color Vibrance):10、Light Tuner:-4、Shadow Phage:オフ、色温度:100/100/100』に統一して測定しています。
完全に同じというわけではありませんが、DisplayHDRモードと比較すると、ゲームジャンル・シネマの4種類のEOTFは最大輝度が違うだけで(それに比例して中間も若干オフセットするものの)、概ね似たようなEOTFの特性です。いずれも最大輝度に達するRGBレベルがリファレンスに対して右方向へシフトしています。


ゲームジャンル・シネマ・カスタム(ゲーマー1/2/3)のHDRカラーモードで輝度/EOTFを調整する手順について簡単に説明します。
「MOBIUZ EX321UX」でHDR表示の明るさを調整するには”輝度”だけでなく、”コントラスト”と”Light Tuner”を組み合わせる必要があります。


続いてHDR表示における色性能(色域、色精度)をチェックするため彩度マップ、CIE Diagramを作成しました。【HDR規格に良く校正された例】
彩度の強調や不足の参考になるようにSaturation Shifts/Luminanceのグラフも作成しています。なお、Saturation Shiftsはuv色空間(CIE1976)を参考に重み付けをしています。Saturation Luminanceは白色輝度がリファレンスに一致するものとして正規化しています。
「MOBIUZ EX321UX」はDisplayHDRモードにおいて、彩度の飽和は均等で変にバラつかず上手く表現できています。ネイティブ色域は最大彩度の青色がRec.2020の領域外右下にくるのですが、DisplayHDRモードでは表示色域がRec.2020に収まるようにチューニングされています。
その影響なのか?、ホワイトポイントがD65よりも6000K寄りの橙色がかった位置にあるので、青の彩度がリファレンスよりも弱めです。赤、青、マゼンタなどリファレンス輝度値が低く、低彩度な色は本来よりも暗く表示されています。ここにもFALDバックライト制御の最適化不足が現れています。
ともあれ、彩度の分布自体は均等なので、色味が変に破綻することはなく、Rec.2020やDCI-P3(D65)を想定して作成されてHDRコンテンツも概ねメーカーの想定通りの表示になると思います。

量子ドットのような広色域ディスプレイではメタメリック障害もあるので厳密な評価は難しいのですが、i1Pro3の測定値上、「MOBIUZ EX321UX」の色温度については参考程度ではあるものの、DisplayHDRモードでは6200K前後、xy色度は(0.3198, 0.3284)でした。
HDR規格標準のD65からすると若干オレンジ色がかった白色ですが、すぐに目が順応する程度なのでD65相当とみなしても問題ないと思います。


RGBバランス(D65基準)は各色は概ね平行に推移する形で安定しているので、グラデーションにバンディングや色付きはありません。

続いてゲームジャンルやシネマのHDRカラーモードについて見ていきます。
輝度・EOTFの検証同様にOSD設定を『輝度:100、コントラスト:50、色の鮮明さ(Color Vibrance):10、Light Tuner:-4、Shadow Phage:オフ、色温度:100/100/100』に統一して測定しています。
HDRカラーモードによって彩度マップの分布には微妙に違いがありますが、OSD設定の”色の鮮やかさ(Color Vibrance)”は標準値の10のままであっても、いずれも基本的に彩度を盛る感じの分布です。
彩度が過飽和したSDRコンテンツに見慣れているので違和感を覚えるかどうかは個人差があると思いますが、彩度が強過ぎるように感じるなら、”色の鮮やかさ”を9か8くらいに下げてみてください。個人的には9がオススメです。
各自でカスタム設定を作成するベースにするならSci-Fiがベストというのが個人的な感想です。
リアルとファンタジーの2つは赤系統の彩度がオレンジ寄りにシフトしているのが気になりました。色温度の調整にも依るのですが、Sci-Fiは人肌の色味が一番自然になっていたように思います。

シネマは色温度を調整できたファームウェア V2では色温度を100/100/100にするとDisplayHDRモードに近く、彩度を強調したような感じでしたが、最新ファームウェア V4では既定の色温度設定(V2の時の初期設定である93/97/100)で固定されており、彩度マップは全体的に寒色方向へシフトしています。
またDisplayHDRモード同様に青色の最大彩度がRec.2020の色域内に収まるように調整されています。

Sci-Fiなど他のHDRカラーモードでも同じですが、色温度の調整は基準の100/100/100から大きく変えると、ホワイトレベルに対してRGBバランス・色温度が安定しなくなります。
最新ファームウェア V4におけるシネマモードも内部設定的には93/97/100で固定されているだけなので、ホワイトポイントに合わせて彩度マップがズレるだけでなく、ホワイトレベルに対してRGBバランス・色温度が大きく変動します。
明るさによって白色の色味が大きく変わってしまうので、正直なところあまりオススメできないHDRカラーモードです。



最後にカスタム設定の一例として、Sci-Fiをベースに『輝度:100、コントラスト:55、Light Tuner:-5、色の鮮明さ(Color Vibrance):9、Shadow Phage:オフ、色温度:100/100/99』に調整すると、輝度・EOTFや彩度マップはこんな感じになります。
「MOBIUZ EX321UX」のHDR色設定を個人的に調査した中では、高輝度が出せて、色味の違和感も抑えた一番良い感じの調整です。ただ、それでも黄色が緑色に、マゼンタ色が青色に大きく寄るように色相がズレていてナチュラルな色味ではありません。
カスタム設定のベースにできるカラーモードとして、ネイティブ色域をフルに使用できて、DisplayHDRモード的に彩度マップがリファレンスに準拠した、もっと素直なモードが欲しい、というのが正直なところです。

HDR表示・ローカルディミングで確認した不具合や現象について
EOTFの対数グラフで見ると分かり易いですが、2024年8月現在最新ファームウェアのV4でもFALDバックライト制御の最適化が完全ではなく、急激に輝度が変化するポイントがいくつかあります。初期ファームウェアと比べると影響は大幅に軽減されていますが、LGの有機ELデモ動画のように、明るさが徐々に変化するフェードイン/フェードアウトのシーンでは途中一瞬だけ急に明るく・暗くなるため違和感を覚えるかもしれません。

MOBIUZ EX321UXのレビューまとめ
最後に「MOBIUZ EX321UX」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ32インチで4Kゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
- 発色や視野角に優れたIPS液晶パネル
- 量子ドット技術により実測で100% DCI-P3、100% Adobe RGBの広色域
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- ビデオ入力はDisplayPort2.1(UHBR10)×1、HDMI2.1×3、USB Type-C×1の計5系統
- DP1.4はDSC機能によって4K/144Hz VRR/HDR 10bit RGBに対応
- HDMI2.1は4K/144Hz VRR/HDR 10bit RGBに対応
- 可変リフレッシュレート同期(VRR)機能に対応
- HDR表示において、実測で最大1300~1500cd/m^2
- 直下型Mini LEDバックライトで1152分割のローカルディミングに対応
- HDR対応テレビ同様に輝度・彩度・色温度などHDRでも画質調整が可能
- HDMI2.1搭載なのでPS5やXbox SXを接続時は4K/120FPSやVRR同期に対応
- モニタ製品ではトップクラスに扱いやすいOSD設定メニュー
- OSD操作用に専用の赤外線リモコンが付属
- モニタ本体重量7.1kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- 横幅60cm×奥行き30cm程度と付属スタンドのフットプリントがかなり広い
- PWM式バックライト調光なので非フリッカーフリー
- 色精度が求められる用途には不向き
- FALDバックライト動作の最適化が不十分で、EOTFが急に変化するところがある
- 税込み24万円からと非常に高価(2024年6月現在)
「MOBIUZ EX321UX」は3840×2160の4K解像度ながらネイティブ144Hzの高速リフレッシュレートで動作し、DP2.1(1.4 DSC)やHDMI2.1によって4K/144HzをフルRGBで表示しながら、可変リフレッシュレート同期機能に加えて、1000ニットを超える超高輝度なHDRにも対応するというハイエンドゲーマーも大満足な理想のHDR対応ゲーミングモニタに仕上がっています。
「MOBIUZ EX321UX」は最新規格HDMI2.1対応ビデオ入力を搭載しており、PlayStation5やXbox Series X/Sを接続した場合、4K/120FPSの表示が可能、VRRこと可変リフレッシュレート同期機能も使用できます。
HDR表示については、実測でも1000cd/m^2を余裕で上回る超高輝度と1152分割のバックライト部分駆動によって、黒が引き締まって立体感が出たり、太陽やフラッシュ・爆炎の眩しさが大迫力で感じられたりと、ゲーム体験のリアリティを向上させる意味で高い効果を感じられました。
一般的なHDR対応モニタと違って、HDR表示モードでも色関連のOSD設定を自由に調整できるので、”黄色がかった色味が合わない”、”SDRよりも色褪せて感じる”といったHDR対応モニタあるあるな不満とも無縁です。
分割数の多いFALDに対応した液晶テレビはサイズが55インチ以上になってしまいますが、そういった大型テレビを置けない私室で、PlayStation5やXbox Series X/Sを使いたい人には最適なゲーミングモニタの1つです。
OSD設定は『ビデオ入力 - シナリオ - カラーモード』という3層構造、リモコンによるOSD操作にも対応しているので「MOBIUZ EX321UX」のOSD設定はユーザーのニーズに対して万能で、ゲーミングPC、スマホ、PS5/Xboxなど複数機器をモニタ1台で使い分けるユーザーも不便に感じることはありません。

以上、「MOBIUZ EX321UX」のレビューでした。

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輝度1000nits超かつ1152分割FALD対応の4K/144Hzゲーミングモニタ「MOBIUZ EX321UX」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) June 14, 2024
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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