Samsung S95B


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Samsungから有機ELテレビの2022年モデルとして発売された、自社製の量子ドット有機ELパネルを採用、4K解像度/120Hzリフレッシュレートで可変リフレッシュレート同期に対応する「Samsung S95B HDR 4K UHD Quantum Dot OLED TV(型番:QN55S95BAFXZA)」をレビューします。
Sony A95Kでも採用と発表されているSamsung製 量子ドット有機ELパネルの実力を、最新ゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sだけでなく、ゲーミングPCでも徹底検証していきます。

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製品公式ページ:https://www.samsung.com/us/televisions-home-theater/tvs/oled-tvs/55-class-s95b-oled-4k-smart-tv-2022-qn55s95bafxza/



「Samsung S95B」は国内で発売予定がない製品ですが、同じSamsung製量子ドット有機ELパネルを採用したテレビとして、Sony A95Kが国内でも発売されています。
SONY BRAVIA技術でテレビの高画質化に強い、内蔵スピーカーが高音質(代わりに重量が20kg以上と重い)、4基のHDMIビデオ入力のうちHDMI2.1対応は2基だけ、など一長一短はあるものの2022年現在、画質でテレビを選ぶなら最強と言っても過言ではない1台です。





Samsung S95B レビュー目次


1.Samsung S95Bの概要
2.Samsung S95Bの開封と外観

  ・HDMI2.1(48Gbps)対応ケーブルについて

3.Samsung S95Bの基本的なOSD操作
4.Samsung S95Bのファームウェアアップデート方法
5.Samsung S95Bの音声出力関連のOSD設定


6.Samsung S95Bを4K/120Hz対応モニタとして使う方法
  ・ゲーミングPC接続時の注意点
  ・表示遅延が大きい時に見直すべき設定
    ・カスタム解像度で4K/144Hzにも対応!?

7.Samsung S95Bの画質関連のOSD設定
8.Samsung S95Bのゲームモードについて


9.Samsung S95Bの発色・輝度・視野角
10.Samsung S95Bの120Hzリフレッシュレートについて
11.Samsung S95Bの応答速度・表示遅延


12.Samsung S95Bの可変リフレッシュレート同期について
13.Samsung S95BのHDR表示やCSゲーム機対応について


14.Samsung S95Bのレビューまとめ



*Samsung S95Bは正確にはPCモニタ・ディスプレイではなくテレビですが、管理人はPC用・ゲーム機用のモニタとして購入しており、テレビとして使う気が全くなくテレビ機能にも言及しません。そのため、この記事ではSamsung S95Bのことをモニタ、もしくはディスプレイと呼ぶことがあります。



Samsung S95Bの概要

「Samsung S95B HDR 4K UHD Quantum Dot OLED TV(型番:QN55S95BAFXZA)」は、4K解像度、120Hzリフレッシュレート、55インチサイズの有機EL(OLED)パネルが採用されています。
画素が自発光の有機ELパネルなので、100,000:1を超える液晶パネルとは桁違いの圧倒的なコントラスト比を実現しています。応答速度もメーカー公称値1msと非常に高速です。
またQuantum HDR OLED、所謂、量子ドット技術(Quantum Dot Technology)が採用されており、DCI-P3とAdobe RGBを100%近くカバーする広色域も実現しています。
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HDR10をゲーミング向けに拡張した規格HDR10+ GAMINGに対応、HDRゲームの普及団体HGiG(Hybrid Log Gamma)に準拠し、自発光素子によってピクセルレベルで輝度調整を行うHDR表示にも対応しています。
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「Samsung S95B」はビデオ入力としてHDMI2.1を4基搭載しています。HDMIビデオ入力はいずれもver2.1(48Gbps, DSA1.2a)に対応しているので、4K/120Hz/HDR 10bit RGBの表示が可能です。
次世代コンソールゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/S、最新グラフィックボードのGeForce RTX 30シリーズやRadeon RX 6000シリーズがHDMI2.1ビデオ出力を備えています。
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「Samsung S95B」は、ゲーミングPCやコンソールゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」にも対応しています。
可変リフレッシュレート同期 VRRによってティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。NVIDIA製GPUとの互換性を証明するG-Sync Compatible認証は未取得です。

「Samsung S95B」の寸法はスタンド込みで幅1224mm x 高さ767mm x 奥行287mm(モニタ単体では41mm)となっています。付属スタンドには調整機能はありません。本体重量はスタンドありで20.9kg、スタンドなしのモニタ本体のみは16.6kgとなります。
VESA 横300×縦200(ネジ規格 M8)でのマウントにも対応しており壁掛けも可能です。



Samsung S95Bの開封と外観

まずは「Samsung S95B」を開封していきます。
「Samsung S95B」のパッケージサイズは55インチモニタが入っているだけあって非常に巨大です。ただ梱包重量は20kg程度なので、サイズ・重量共に比較的に小さく、箱を固定しているバンドに手をかければ、室内で短距離を移動させるくらいなら問題ない感じでした。
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「Samsung S95B」のパッケージは左右2本のバンドで固定されており、バンドを外すと上から側面全体までを蓋のように外すことができます。テレビの上側を保護している上側の発泡スチロールスペーサーには各種付属品が収められています。
上側のパッケージを取り外す時にテレビ本体をバタンと倒してしまわないよう注意が必要ですが、取り出しは非常に簡単な構造です。
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「Samsung S95B」の付属品(モニタスタンド以外)を簡単にチェックしておくと、リモコン、ビデオステレオ変換ケーブル、VESAマウンドスペーサー、マニュアル類が付属します。
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コンセントと接続するACケーブルはテレビ本体からの直出しではなく、個別のACケーブルを接続する形です。モニタ側のAC端子は自作PC電源ユニットでよく見るC13コネクタです。
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付属品や発泡スチロール製スペーサーを順番に取り出していき、下の写真の状態になったら、左右中央のスペーサーがない隙間部分に手をいれてテレビ本体を取り出します。
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「Samsung S95B」のテレビ本体をパッケージから取り出したら、30cmくらいの高さがあり、表面が平らで柔らかい場所に置きます。ベッドのマットレスとかが最適です。
柔らかく平らな場所に置いたら、モニタ本体を包んでいる包装を背面から開きます。この状態にしてしまえばモニタスタンドの取り付けも特に注意することはありません。
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「Samsung S95B」の付属モニタスタンドについてはテレビ本体のサイズ感からすると横幅も1/3以下しななく、かなりコンパクトです。
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地面に接するフット部分は金属製プレートが埋め込まれていて重量も4kg以上あり、かなりがっしりとしていますが、垂直フレーム部分はプラスチック製なので全体としては以外と軽量です。
「Samsung S95B」は55インチモデルでも重量17kg程度とそこまで重くないので、強度的には問題ないのだと思います。
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フットプレートと垂直フレームを合体させる時に、固定にネジを使用しますが、組み立てたスタンドをテレビ本体に装着する時はスライド構造とヒンジ仕掛けのロックだけというツールレスな構造です。
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「Samsung S95B」には付属スタンドの背面やIOポートを隠して綺麗に見せるためのカバーも付属しています。
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一応、付属スタンドの使い方についても簡単に紹介しましたが、管理人は「Samsung S95B」を社外製の壁寄せスタンドと組み合わせて使用します。
「Samsung S95B」はVESAマウントに対応しており、ネジ穴幅は横300mm×縦200mmです。下側のネジ穴はケーブル通路があって凹んでいるので付属のスペーサーで高さを揃えます。
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今回管理人が用意したテレビスタンドも、構造的にはよくあるもので、VESA規格に合った固定用フレームをモニタ背面にネジ止めして、あとはスタンドに引っかけ、ネジで固定するだけです。
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壁紙が白色なので白色フレームの壁寄せスタンドにしました。写真だと柱の部分がハッキリ分かりますが、実際はそれほど目立たず良い感じです。壁に直接ネジ止めも考えたのですが、キャスターとガス昇降があったほうが微調整も楽だしいいかなと。
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ケーブルとか邪魔なものをどかすとこんな感じに。足元は隠れる場所に設置予定なので白色の壁紙にフレームが溶け込んでいい具合に仕上がりました。
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管理人は私室でベッドの足方向に「Samsung S95B」を設置して、ぐうたらゲーミングスペースを構築しています。
クローゼットと壁の間の凹み部分はちょうど122cmくらいあり、48インチだと余裕を持って収まっていたのですが、55インチテレビは数mm~1cm弱足りず、収まりません。昨年、LG OLED G1への買い替えを断念したのもそれが理由でした。この凹み部分の幅が125cmくらいあれば……。
ただ今年はどうしても量子ドット有機ELのテレビに買い替えたかったので、VESA固定部分にワッシャーをかませたりして角度をつけることで何とか設置しました。ガチでギリギリでした。
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ベッドにはゲームをプレイする時だけ背中の方にYogiboのピラミッドタイプを置いています。Yogibo ピラミッドは小さな子供向けのモデルですがシングルサイズのベッドで背もたれ代わりのクッションにするのにちょうどいいサイズ感なのでオススメです。
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「Samsung S95B」のIOポートはモニタ背面の向かって左側(正面から見て右裏)にあります。壁掛け(壁寄せ)を想定し、コネクタが後方へ飛び出さないよう、IOポートはほぼ全てパネルと平行な向きに実装されています。
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「Samsung S95B」はゲーム機やPCを接続するためのHDMIビデオ入力を4基搭載していて、いずれも4K/120FPS/HDR 12bit RGB/VRRの表示が可能なHDMI2.1(48Gbps, DSC1.2a)に対応しています。
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「Samsung S95B」はテレビ内にACアダプタが内蔵されていますが、電源ケーブルは直出し式ではなく、AC端子にACケーブルを別途接続する形です。
今回、管理人が入手したのは北米仕様なのでACケーブルのコンセント端子がアース付きの3PINタイプですが、テレビ側のAC端子は自作PCの電源ユニットなどでよく見るやつなので、C13コネクタのACケーブルを用意すれば国内仕様のコンセントで簡単に使用できます。
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なお北米から「Samsung S95B」を個人輸入して使用する場合、コンセント電圧には注意が必要です。
日本国内のコンセントからは一般に100V(60Hz or 50Hz)で電力が供給されますが、北米では110~120V(60Hz or 50Hz)で電力が供給されるため、そのまま日本のコンセントに接続しても正常に動作しない可能性があります。
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PCモニタであれば、だいたいはグローバル仕様で最初から100~240Vに対応したACアダプタを内蔵もしくは外付けが付属という形なのですが、海外市場向けのテレビはその辺りが管理人もよくわかりません。
100~240Vに対応したACアダプタが内蔵されていて単純に市場に合わせてシールの表記が違うだけという可能性もありそうですが、実際に市場毎の電圧に合わせたACアダプタが使い分けられているというのも否定できません。
今回管理人が検証した限りでは、変圧器なしでも「Samsung S95B」は安定動作したのですが、あくまで海外コンセント仕様の製品なのでご注意ください。


HDMI2.1(48Gbps)対応ケーブルについて

「Samsung S95B」にはHDMIビデオ入力がありますが、もともとPC用モニタではなくテレビなのでHDMIケーブルは付属せず、各自で用意する必要があります。

「Samsung S95B」をHDMI2.1対応機器と接続する場合、ケーブルの長さが5m以下ならパッシブケーブル(普通の銅線)、ケーブルの長さが5m以上の場合は光ファイバーケーブルを使用する必要がある、というかHDMI LAから推奨されています。
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2022年5月現在、HDMI2.1対応を証明する「Ultra High Speed HDMIケーブル」の認証をクリアした製品が、パッシブ式だけでなく、光ファイバーのアクティブ式も含めて多数発売されているので入手自体は特に難しくありません。
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HDMI2.1対応パッシブケーブルについては「エレコム ウルトラハイスピードHDMIケーブル スリム CAC-HD21ESシリーズ」がおすすめです。
ゲーム機等に付属するものよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
同製品は4.5mm径のスリムケーブルながら、HDMI2.1の正常動作を証明するUltra High Speed HDMIケーブル認証を取得しており、安心して使用できます。
Elecom CAC-HD21ES20BK_top
当サイトでもGeForce RTX 30搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。



その他にもケーブル径5.0mm以下でスリムな48Gbps対応HDMI2.1ケーブルについてまとめた記事も公開しているので、こちらも参考にしてみてください。



次にケーブル長が5m以上になる場合、パッシブでも3~5m対応はありますがケーブル径が非常に太くなるというデメリットもあり、現実的には光ファイバー式のアクティブHDMIケーブルを選択することになります。
光ファイバー式HDMIケーブルについて簡単に説明しておくと、アクティブケーブルなので2つのHDMI端子にはビデオ出力側とディスプレイ側の区別があります。逆に接続すると正常に動作しないので注意してください。
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一般的な銅線のパッシブケーブルでは長さが3~5mになると径が8mm程度とかなり太くなってしまうのですが、光ファイバーケーブルであれば48Gbps対応のHDMI2.1ケーブルでもケーブル径は4~5mmと細いのが特徴です。さらにメッシュスリーブ被膜が施されていても5.2~5.5mm程度に収まります。
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光ファイバーケーブルは折り曲げていい曲率が決まっています。あるメーカーのHDMI2.1対応光ファイバーケーブルのマニュアルを参照すると、”直径40mmの円弧よりも小さい径で曲げた場合、正常に通信できないor破損の恐れがある”、と注記されています。
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光ファイバー式HDMI2.1ケーブルでイチオシは、「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」です。
AmazonでHDMI/DisplayPortケーブルやUSBケーブルを探したことのある人ならCable Mattersというメーカーの名前は目にしたことがあると思いますが、品質も良く、信頼性の高いメーカーです。
「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」は、HDMI協会の公式認証であるUltra High Speed HDMI認証を取得、さらにXbox Series X/S互換製品認証も取得しており、ケーブル性能の保証としては隙の無いカンペキな製品です。
5mが7000円、10mが10000円で光ファイバー式HDMIケーブルとしては標準的なお値段で、 信頼性の高さも考慮したらかなりリーズナブルだと思います。
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当サイトでもGeForce RTX 30搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。


Cable Matters 光ファイバー式 HDMI2.1ケーブルについて、長さ5mは4K/120Hz/VRR/HDR 12bit RGBで正常に動作したのですが、長さ10mは正常動作を確認できませんでした。
Samsung S95B側に問題があったようで、ファームウェアを1303にアップデートしたところ、長さ10mで4K/120Hz/VRR/HDR 12bit RGBが正常に動作しました。


その他には、10m/20mの長さで価格が2万円程度と、HDMIケーブル単体としてはやはり高価ではあるのですが、「Club 3D CAC-1376/CAC-1379」がオススメです。
一般的にはあまり有名ではないかもしれませんが、PC界隈ではClub 3Dは信頼性の高いメーカーで、当サイトでも10mモデルの正常動作を確認しています。上で紹介したCable Matters製ケーブルは10mまでしかないので、20mが欲しければ検討してみてください。





Samsung S95Bの基本的なOSD操作

「Samsung S95B」のOSDメニューの操作や設定は付属のリモートコントローラーを使用します。
「Samsung S95B」の付属リモコンにはテレビチャンネルの数字ボタンはなく、ボタンレイアウトは非常にシンプルでサイズもコンパクトです。設定メニューを直接開けるショートカットボタンがあれば文句なしだったのですが。
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「Samsung S95B」の付属リモコンの背面にはソーラーパネルがあり、光を当てておくだけで自動的に充電されます。底面にはUSB Type-Cポートもあるので急ぎで充電したい時も安心です。
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「Samsung S95B」のテレビ本体側には下側面の中央に電源スイッチだけ実装されています。
短押しで選択、長押しで決定のような操作方法の簡易メニューが表示されるので、ビデオ入力の変更など簡単な操作であれば、この電源スイッチだけでも行うことができます。
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付属リモコンのサークルボタン(十字ボタンの代わり、中央は決定ボタン)のすぐ下にある家マークのホームボタンを押下すると、ホーム画面が表示されます。
下の写真では”PC”だけが登録されていますが、ホーム画面にはよく使うビデオ入力やアプリを登録しておくことができます。
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サークルボタンを操作して左側タブを展開すると、Search、Ambient、Media、Menuの4つが表示されます。
Mediaは先ほど紹介したよく使用するビデオ入力やアプリのショートカットページで、Menuから各種OSD設定やMediaに表示するビデオ入力の選択を行うことができます。
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MenuからConnected Devicesを選択すると、ホーム画面(Media)に表示するビデオ入力の追加や、各ビデオ入力のデバイスタイプを設定できます。
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Add to Homeを選ぶと表記の通りホーム画面にそのビデオ入力を登録します。一方、HDMI1~4のビデオ入力でEditを選ぶと、そのビデオ入力に接続された機器のデバイスタイプを選択できます。
PlayStation 5やXbox Series X/Sのゲーム機ならGame Consoleを選びます。
選ぶデバイスタイプで微妙に画質周りの設定項目に違いがありますが、ゲーミングPCの場合はクローマサンプリングで明確に実害があるので、必ず、PCを選択して下さい。
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Samsung S95Bのファームウェアアップデート方法

「Samsung S95B」のファームウェアアップデート方法を紹介します。
近年のインターネット接続に対応したテレビであれば、通常はOSDメニューからオンラインアップデートで一発なのですが、「Samsung S95B」を北米から輸入して日本で使用すると、ファームウェアアップデートを含めてテレビのオンライン機能のほとんどに制限がかかります。




LG OLED48CXPJAの音声出力関連のOSD設定

「LG OLED48CXPJA」の音声出力関連のOSD設定について簡単に紹介しておきます。




Samsung S95Bを4K/120Hz対応モニタとして使う方法

「Samsung S95B」をゲーミングPC用や最新ゲーム機用の4K/120Hz対応モニタとして使用する方法について紹介していきます。

「Samsung S95B」は厳密な製品区分としてはPCモニタ・ディスプレイではなく明らかにテレビですが、コンソールゲーム機をHDMIで接続できるように、デスクトップPCを接続してPC用モニタとしても使用できます。
「Samsung S95B」のビデオ入力はHDMIなので接続方法、単純な画面表示自体はケーブルを各自で用意する以外に特に注意点はありません。
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「Samsung S95B」に搭載された4基のHDMIビデオ入力はいずれもHDMI2.1対応ですが、最大転送レートが48GbpsかつDSC1.2a対応なので、4K/120FPSでHDR表示した時のカラーフォーマットは最大で12bit RGBになります。可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
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「Samsung S95B」を4K/120FPSに対応したモニタ、さらに厳密に言うと、『SDR表示において4K/120FPS/8bit RGB、HDR表示において4K/120FPS/10bit or 12bit RGB』に対応したモニタとして使用するには、NVIDIA GeForce RTX 30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど2020年下半期以降に発売された最新グラフィックボードが必要になります。
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Radeon RX 6000シリーズのレビュー記事一覧へ
Radeon RX 6000 Series

RTX 3080搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
GeForce RTX 3080_BTO PC

最新コンソールゲーム機のプレイステーション5とXbox Series X/SもHDMI2.1に対応しており、タイトルによっては4K/120FPSやVRRのゲームプレイが可能です。
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また付属品の章でも簡単に触れましたが、組み合わせて使用するHDMIケーブルにも注意が必要です。
HDMI2.0以前とHDMI2.1ではコネクタやピンレイアウト自体は共通していますが、ピンに対する機能のアサインが変わっているので4K/120FPSなど最大48Gbpsの帯域に近い大解像度・高フレームレートではHDMI2.1に最適化されたケーブルが推奨されます。
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GeForce RTX 30シリーズ、Radeon RX 6000シリーズのグラフィックボード(などのHDMI2.1対応機器)と48Gbps対応HDMI2.1ケーブルを組み合わせてテレビに接続するというのが、「Samsung S95B」で4K/120FPS表示するための前提条件となります。
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ハードウェア周りの話はこの辺りにして、「Samsung S95B」でCSゲーム機やゲーミングPCから4K/120FPSの表示を行うために必須or推奨されるテレビ側のメニュー設定について説明していきます。
「Samsung S95B」にPlayStation 5やXbox Series X/Sといった最新ゲーム機やゲーミングPCを接続する場合、そのビデオ入力については基本的にゲームモードを有効にしてください。

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もう1つ、詳細設定メニューでConnection - External Device ManagerのInput Signal Plusを開きます。各HDMI入力に対して設定できるので、基本的に全てオンにしておけばOKです。
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以上のようにモニタ側の設定を適切に行うとNVIDIAコントロールパネルなど解像度・リフレッシュレートの選択画面に4K解像度・120Hzリフレッシュレートが表示されます。
逆にこれらの設定を行わないと120Hzなどのハイリフレッシュレート設定が表示されない、可変リフレッシュレート同期を有効にできないので注意してください。

GeForce RTX 30シリーズ、Radeon RX 6000シリーズなどHDMI2.1対応機器と適切なケーブルで接続できていれば、「Samsung S95B」で4K/120FPS/HDR 12bit RGB/VRRの表示が可能になります。
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「Samsung S95B」をPCモニタとして使用する場合、PC側で解像度一覧に”4096×2160”の解像度が登録されてしまいます。
PCゲーム側でディスプレイ解像度の認識がおかしくなることがあるので、CRU(Custom Resolution Utility)というソフトウェアを使用して4096×2160の解像度は削除してしまうのがオススメです。(PC側の設定ファイルから解像度の登録を削除するだけなので、テレビの方には影響はありません。)
CRUから4096×2160の解像度を削除したらOKを押して終了し、PCを再起動後、NVIDIAコントロールパネル等に4096×2160の解像度が表示されなければ削除成功です。
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「Samsung S95B」をPCモニタとして使用した場合、四隅の数ピクセルが見切れていることに気付くかもしれません。デスクトップでタスクバーの下が足りない、左端のショートカットアイコンが切れている等で気付きやすい現象だと思います。
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これは動作不良や画面サイズの問題ではなく、有機ELパネルの焼き付き防止機能「ピクセルシフト」が原因です。表示位置を上下左右に数ピクセルずつオフセットすることで特定の状態に有機ELパネルが焼き付くのを防止しています。
焼き付き防止機能なので基本的には常時有効が推奨ですが、見切れるのがどうしても気になる場合は設定メニューから無効化が可能です。
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ちなみにLG OLEDテレビの場合、端の見切れで機能していること自体は確認はできても、徐々に動くので”今オフセット移動している”と感じることはありませんでした。
しかしながら、「Samsung S95B」はあるタイミングで大きく移動するので、ピクセルシフトによってズレた瞬間をハッキリと視認できます。
ゲームのプレイ中に移動が起こるとかなり気になるので、今後のファームウェアアップデートでLG OLEDテレビのような動作になるよう修正して欲しいところ。


ゲーミングPC接続時の注意点

「Samsung S95B」にゲーミングPCを接続する場合はいくつか注意点があります。

基本的なOSD操作の章で説明したように、「Samsung S95B」では各HDMIビデオ入力に接続された機器のデバイスタイプを選択できます。
選ぶデバイスタイプで微妙に画質周りの設定項目に違いがありますが、ゲーミングPCの場合はクローマサンプリングで明確に実害があるので、必ず、PCを選択して下さい。
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ゲーミングPCを接続した時にデバイスタイプがConsole Game(ゲーム機)になっていると、NVIDIAコントロールパネルなどでPC側からフルRGBの設定にしていても、実際に表示されるカラーフォーマットがYCbCr422 (YUV422)にクローマサンプリングされてしまいます。
デバイスタイプをPCにすることでフルRGBで正常に表示できます。
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またゲーミングPCを接続しているHDMIビデオ入力では必ずゲームモードを有効にしてください。
ゲームモードを有効から無効に切り替えた直後は問題がなくても、一定時間経過後にビデオ入力を検出できなかったり、HDMI1.4相当の解像度・カラーフォーマットしか選択できない現象を確認しました。(ファームウェアver:1211)
今後のファームウェアアップデートで修正されるかもしれませんが、ゲーミングPCを接続する場合は基本的にゲームモード有効が推奨です。
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表示遅延が大きい時に見直すべき設定

表示遅延の原因になる高画質機能はゲーミングシーンでは邪魔になるので、操作にラグを感じる時に見直すべき設定を紹介しておきます。
一般的な4K高解像度テレビでは超解像やノイズリダクションといった高画質化回路があり、主にこれらが表示遅延の原因になります。

「Samsung S95B」の場合、表示遅延が極端に発生するようなOSD設定は特にありません。上で紹介したようにゲームモードさえ有効になっていれば大丈夫です。
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60FPSや30FPSのゲーム画面で使用できる倍速補間機能 Game Motion Plusを使用すると多少遅延は増えますが、ゲーム用に最適化されているので増加する遅延はせいぜい30ms程度です。ラグを感じるほどではないと思います。(120HzやVRRと排他なのでそういう意味でもあまり気にする必要はないかと)
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カスタム解像度で4K/144Hzに対応も!?

「Samsung S95B」のリフレッシュレートはネイティブ120Hzですが、NVIDIAコントロールパネルからカスタム解像度を作成することで4K/144Hzで動作させることができました。
簡単に動作検証を行った限りでは、フレームスキップもなく、VRR同期やHDR表示も併用できたのですが、正規の動作ではないので破損の可能性があることには十分ご注意を。




Samsung S95Bの画質関連のOSD設定

「Samsung S95B」の画質関連のOSD設定について簡単に紹介しておきます。




Samsung S95Bのゲームモードについて

「Samsung S95B」をゲーミングモニタとして使用する時に、ゲームジャンル毎に最適な画質プリセットを適用したり、表示遅延を最小化したりしてくれる、便利なゲーマー向け機能Game Modeについて紹介します。

ゲームモードは詳細設定メニューのConnectionや、ショートカット設定バーのアイコンから有効にできます。PlayStation 5、Xbox Series X/Sの最新ゲーム機やゲーミングPCを接続しているビデオ入力では、ゲームモードは基本的にオンにしてくのが推奨です。
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ゲームモードを有効にするとゲームバーというショートカット設定バーが利用できるようになります。
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ゲームバーは付属リモコンのプレイ/ポーズボタンを長押しすることで再表示できます。
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ゲームモードが有効になると、画質モードはゲームモードによって管理され、ゲームバーの左から2番目、Game Picture Modeから6種類のプリセット(Standard、RPG、RTS、FPS、Sports、Custom)を選択できるようになります。
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ゲームモードが有効になると詳細設定メニュー側のPicture ModeはGameと表示されてグレーアウトしてしまいますが、Expert Settingsの細かい設定は調整が可能で、普通に表示へ反映されます。
ゲームモード有効時は画質モードの切り替えがPicture Modeから、ゲームバーのGame Picture Modeに移動しているだけで、現在選択されている画質モードの動作設定はそのままPicture - Expert Settingsから調整できるということです。
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詳細設定メニューのGame Mode Settingsの中には、暗所を明るく(白く)表示して視認性を改善する「Dynamic Black Equalizer」も配置されています。
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「Samsung S95B」はゲームモードが有効かつ、デバイスタイプがPCに設定されている場合、ウルトラワイド解像度をエミュレートする機能も利用できます。
ネイティブ解像度が横3840の4Kなので、21:9アスペクト比の3840×1600解像度や32:9のアスペクト比の3840×1080解像度のウルトラワイドゲーミングモニタとして使用できます。リフレッシュレートも120Hz対応です。
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表示遅延を最小化する機能については120HzリフレッシュレートやVRRで動作している時はテレビ側で最小化するように自動的に管理される(設定がグレーアウトしている)ので特に設定を気にする必要はありません。
通常の60Hzリフレッシュレート動作時はFast/Faster/Fastestの3段階で設定できるので、そういう場合はFastestを選んでおけばOKです。
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詳細設定メニューのGame Mode Settingsに配置されているGame Motion Plusは倍速補間と黒挿入、2種類の機能を1つにまとめたものです。
Game Motion Plusはリフレッシュレートが60Hz以下の時に使用でき、120HzやVRR動作時はグレーアウトします。(デバイスタイプがPCの時もグレーアウト)

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Blur ReductionとJudder Reductionは倍速補間の設定となっており、前者はスポーツのような素早く展開する映像に対する補間、後者は低フレームレートなど飛び飛びで動くコンテンツに対する補間の強度を調整します。
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Clear Motionはモーションブラーリダクション機能として知られる黒挿入のことです。
黒挿入は120Hzリフレッシュレートで併用できる製品もあったのですが、「Samsung S95B」は非対応です。ちなみに2021年モデルまでは対応していたLG OLEDも2022年モデルのG2やC2は非対応に変わっていました。
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「Samsung S95B」はゲームモードを有効にすると音声出力モードもゲームモードによって管理されるようになります。Dolby AtmosやAuto Volumeなどの機能は使えますが、イコライザーによって好みの音に調整できなくなります。
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ゲームモードではゲームプレイに最適化された3Dサラウンド機能も利用できます。
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Samsung S95Bの発色・輝度・視野角

Samsung S95Bの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。
直接的な画質ではありませんが「Samsung S95B」のパネル表面は、PCモニタで一般的なアンチグレアではなく、鏡面な光沢仕上げです。発色においてメリットのある光沢面ですが、暗転時の映り込みが気になるのでご注意を。(鏡面であることを分かりやすくするために写真の明るさを調整しています)
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「Samsung S95B」の映り込みについてもう少し補足しておくと、「Samsung S95B」に採用されているSamsung製の有機ELパネルと、テレビでは最も主流なLG製の有機ELパネルは、映り込みや反射防止の傾向が異なります。
「Samsung S95B」のSamsung製パネルは反射防止処理が良く、対面にあるものの映り込みは軽微ですが、室内照明が明るい場合、黒色がピンク色がかって、ブラックレベルが悪くなる傾向があります。
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正面から見るとそれほどでもないのですが、斜めから見て、かつ向かいが明るい色(写真の場合は白色寄りの床)だと、ハッキリとピンク色がかって見えます。
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一方でLG製パネルは室内照明が明るくても、対面にあるものが黒色かそれに近い暗い色であれば良好なブラックレベルを発揮するのですが、白色や明るい色のものがあるとハッキリと映り込んでしまいます。
下の写真でもSamsung製パネルの「Samsung S95B」とLG製パネルのLG OLED48CXPJAの境界を見ると、「Samsung S95B」は少しピンク色がかっていて、ブラックレベルに劣るというのが分かります。
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斜めから見ても、LG製パネルのLG OLED48CXPJAは映り込みは強いものの、ブラックレベルは良好です。
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室内照明を暗くしていくと、「Samsung S95B」はピンク色がかることがなくなり、単純に写り込みの少ない非常に良質な黒色を発揮ます。真っ暗にする必要はありませんが、薄暗いくらいの室内照明でベストな性能を発揮できます。
「Samsung S95B」は室内照明を薄暗くすれば良好なブラックレベル発揮でき、テレビ正面にいる自分自身の映り込みがLG製パネルよりも軽微です。
ブラックレベルと写り込みについては明るい家電量販店で実機を見るのと、自宅で室内照明を調整して見るのとではかなり差が出るので注意したいポイントだと思います。
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「Samsung S95B」はディスプレイパネルに有機ELパネルを採用していますが、PCモニタで一般的な液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があります。各社個別の製品によって個体差はあるものの、これらのパネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「Samsung S95B」に採用されている有機ELパネルは、色再現性、コントラスト、応答速度など一般に画質に影響するほぼ全ての要素で液晶パネルを上回ります。特にコントラストや応答速度については”桁違い”な性能です。
反面、液晶パネルの中でも高価とされるIPS液晶パネルよりも輪をかけてさらに高価であり、また同じ表示が続いた時に、パネルがその残像を永続的に残してしまう”焼き付き”と呼ばれる症状があったりと独自のデメリットもあります。
ディスプレイパネルの簡易比較表

有機EL IPS液晶 VA液晶 TN液晶
色再現性
コントラスト
(黒レベルの低さ)
視野角
応答速度
コンマms級

大型テレビ 40~80インチ超まで幅広く採用
近年は採用なし
最大輝度

バックライト次第で1000nits超も
-
ハロー現象 発生しない
部分駆動では
発生する可能性あり
-
価格 (高RR)
××
△ (×)

液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説 - ゲーミングモニタの選び方[4]
IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説


サブピクセル構造についてチェックしていきます。
まず予備知識として、一般的な液晶パネルは下の写真のように1:2程度で縦長なRGBサブピクセルが1ピクセルを構成しています。WindowsのClearTypeはこのサブピクセル構造に最適化して、フォントが綺麗に見えるようになっています。
Acer Predator X27_SubPixel

40インチ以上の大型テレビに採用されている有機ELパネルというとLG製パネルが有名、というか2021年以前はLG製パネルしかなかったのですが、「Samsung S95B」には同社Samsung製の有機ELパネルが採用されています。
サブピクセル構造は液晶パネルでよく見る横並びのRGB配列ではなく、緑ドットを頂点に左下に赤ドット、右下に青ドットで三角形を描く少々特殊な配列ではあるものの、RGBWでもペンタイルでもなく1:1対応のフルRGBなサブピクセルです。
Samsung S95B_SubPixel
「Samsung S95B」のサブピクセル構造は特殊なので、映画視聴やゲーミングであれば問題ないのですが、PCのデスクトップ作業では文字や境界線に色滲みが生じる場合があります。
分かりやすい例としては、『上が白色寄りで下が黒色寄りの境界線で白色側が赤色に滲む』、逆に『上が黒色寄りで下が白色寄りの境界線で白色側が緑色に滲む』というのがあります。
滲みの程度は軽微なので、PCデスクトップ作業でも特別に支障があるわけではありませんが、一般的なRGB横並びの配列とは傾向が異なるので一応注意してください。
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2022年モデルも含め、LG製有機ELパネルは赤緑青の三原色に加えて、ピーク輝度を稼ぐための白色ドットを加えたRGB+W配列になっています。(1ピクセルの正確な配列はRWBGの順番)
映画やゲーミングには基本的に影響はありませんが、RGBサブピクセルを前提にしたWindows PCのデスクトップ作業など、1ピクセル単位で描かれるような細かい文字では輪郭がにじむ可能性があります。
LG OLED48CXPJA_SubPixel


「Samsung S95B」は色再現性とコントラストに優れた有機ELディスプレイパネルですが、光沢表面処理も相まって一般的なゲーミング液晶モニタを圧倒する綺麗さでした。上下左右どこから見ても色の破綻はなく視野角も極めて良好です。
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有機ELテレビの視野角に関して言うと、LG製パネルは視野角に対して白色が青みがかる傾向があったのですが、Samsung製パネルの「Samsung S95B」にはその傾向がなく、白色が正面からでも、角度をつけても綺麗に見えます。
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「Samsung S95B」の発色について、ゲームモードかつ色温度設定のStandardでは、白色が極端に黄色や青色がかって見えることはないものの、青がやや強く、寒色寄りな調整に見えました。実用上は特に問題のないレベルだと思いますが。
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色温度はプリセットをベースにして、2点や20点でRGBのバランスを手動で設定することも可能です。一例として画面が黄色みがかって見える時は、赤と緑を少しずつ下げて調整していきます。
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「Samsung S95B」は単純にパネル性能で発色が良いだけでなく、画質プリセットで元の映像ソースから彩度をかなり盛って表示する傾向があります。(初期ファームウェアではフィルムメーカーモードですら、そういう傾向があると海外レビューで報じられていますが)
色味が鮮やか過ぎると感じる場合、PlayStation 5やXbox Series X/Sのゲーム機であれば、ゲームモードにおけるColorの標準設定値が30なので、20~25くらいで好みの値に調整するのがオススメです。
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「Samsung S95B」は有機ELパネルの自発光画素の特性、桁違いのコントラスト比による液晶パネルとの差を端的に表しているのが次の写真です。
バックライトの影響で黒色が完全に黒にならない液晶パネルに対して、画素1つ1つが自発光する有機ELでは黒背景の中で白色が煌々と浮かび上がります。(自発光ピクセルと液晶バックライトの比較という性質上同じなのでAlienware 55 AW5520QFの写真を流用)
Samsung S95B review_02531


ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。
検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
Color Calibrator_2020_DxO


まずは「Samsung S95B」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。
有機ELテレビの白色輝度はいくつかのOSD設定の影響を受けるのですが、今回、SDR表示時の輝度測定において、影響の大きい設定は『Contrast:50(50が最大で、ゲームモード有効時の標準値)』、『Contrast Enhancer:Off』、『Peak Brightness:Off』としています。

Peak Brightnessは高輝度表示とABL(Automatic Brightness Limiter)に関する設定です。
Peak BrightnessをOffにするとABLが完全に無効になるので高輝度(白色など)の表示領域によって周辺の輝度が下がったりせず、一般的なPC向け液晶モニタと同じようなディスプレイ輝度で運用できます。
MediumやHighにすると設定値の名前の通りの強度で、高輝度面積に反比例する形でピーク輝度は上昇しますが、同時にABLも有効になります。
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OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「Samsung S95B」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度50~60%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度90~100%前後です。
Samsung製の有機ELパネルでもモバイルPC向けのAMOLEDパネルなら全体白色でも300cd/m^2以上を発揮できるのでもう一声欲しいところではあるものの、有機ELテレビでABLに影響されず200cd/m^2程度の輝度を発揮できるというのは「Samsung S95B」の魅力です。
Peak Brightnessを有効にすると、全体白表示における輝度には変化はありませんが、高輝度領域が狭くなった時のピーク輝度が上昇し、画面全体のうち10%の白色表示において、Medium設定で340cd/m^2、High設定で490cd/m^2の高輝度を発揮できます。
Samsung S95B_brightness

比較対象として、LG OLED CXシリーズの48インチモデル「LG OLED48CXPJA」の場合、映像モードをゲームにすると白色輝度は100%部分で最大150cd/m^2程度、10%部分で230cd/m^2程度となります。
映像モードを標準に変更すると10%部分のピーク輝度は270cd/m^2程度まで上昇しますが、代わりに100%部分の輝度が120cd/m^2程度に下がってしまいます。
LG OLED48CXPJA_brightness
なおゲーミングPCを接続してデバイスタイプをPCにすると(別のデバイスタイプでは強制的にクローマサンプリングになるため)、SDR表示においてピーク輝度の設定がグレーアウトしてしまうので上のような測定結果になっています。
デバイスタイプをゲーム機等にするとピーク輝度の設定を変更でき、10%部分なら400cd/m^2以上の高輝度を発揮できますが、今回はゲーミングPCの接続をメインにレビューしているので。


続いて「Samsung S95B」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。
画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、中央輝度を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
「Samsung S95B」は中心をピークにして同心円状に輝度が下がっていき、四隅が暗くなる傾向ですが、最大差分でも20%未満に収まるので輝度の均一性は悪くありません。
なお、中央凸な輝度分布になっているのは個体差や調整不良ではなく、有機EL保護や高輝度化のための機能であるCPC(Convex Power Control)が原因です。
Samsung S95B_uniformity_1
カラーキャリブレーターを使用した測定ではLG OLED CXシリーズの48インチモデル「LG OLED48CXPJA」のほうが良好な輝度の均一性を発揮しました。
というか「LG OLED48CXPJA」は中心からみて最大・最小の差分が5%以内とメチャクチャ優秀です。
LG OLED48CXPJA_uniformity

カラーキャリブレーターを使用した測定では「LG OLED48CXPJA」のほうが圧倒的に優秀な輝度の均一性を発揮しているのですが、意外にも体感では均一性が高く感じるのは「Samsung S95B」のほうでした。
「Samsung S95B」は同心円状に綺麗に輝度が下がっていくからなのか、よくよく見ると確かに下がっているのですが、短時間には正面から見ていても輝度が下がっている、という違和感がありません。
Samsung S95B_Uniformity
視野角のところで言及したように「LG OLED48CXPJA」などLG製の有機ELパネルは視野角があると、1~2m程度離れて正面から見た角度でも端の方が青みがかってしまうので、それが輝度低下のように感じてしまうからです。
LG OLED CX 48_Uniformity


続いて「Samsung S95B」の色域を検証してみました。
「Samsung S95B」には色域に関する設定 Color Space Settingsが用意されています。
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デバイスタイプで多少動作が変わる可能性がありますが、デバイスタイプがPCの場合、標準設定のNormalではDCI-P3と概ね一致するような色域で動作します。Autoに切り替えるとsRGB相当になるように色域が制限されました。
「Samsung S95B」はColor SpaceをNativeに設定した時に最も色域が広くなり、DCI-P3とAdobe RGBの両方をほぼ100%カバーします。有機ELパネルに加えて量子ドット技術採用なので非常に広い色域です。
Samsung S95B_ColorSpace


分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
一般的な液晶パネル(IPS/VA/TNに依らず)であれば下画像の左側のように青のピークだけが強く、残りの分離が弱い波形になりますが、LG製Nano-IPSで有名なKSF蛍光体や、Quantum Dot(量子ドット)といった最新技術が採用された液晶パネルは各色の分離が良く、ピークも急峻になります。
Color Spectrum

まずは参考として、LG OLED CXシリーズの48インチモデル「LG OLED48CXPJA」のカラースペクトルです。青のピークは急峻ですが、緑と赤の分離がよくありません。
LG OLED CX 48_spectrum
補足しておくと、2021年モデルのLG OLED G1シリーズ、2022年モデルのLG OLED G2シリーズ、また55インチ以上のモデル限定ですがLG OLED C2シリーズには最新パネルが採用されており、カラースペクトルも改善しているようです。
LG-oled-evo

「Samsung S95B」はRGB 1:1対応のサブピクセルな有機ELパネルに、量子ドット技術(Quantum Dot Technology)が採用されており、赤緑青の分離は良好かつ、それぞれのピークも鋭く尖っています。
Samsung S95B_spectrum
色温度の設定を標準のStandardにしていると上のような感じですが、別のプリセットのWarm1に変更すると、RGB各色が均等に急峻なピークを描きます。
Samsung S95B_spectrum

同じSamsung製の有機ELパネルでも、モバイルPCやモバイルモニタに使用されているAMOLEDパネルは下のようになっています。
モバイル向けAMOLEDパネルもカラースペクトルは優秀ですが、やはり色の分離で量子ドット技術を採用している「Samsung S95B」に少々劣ります。
C-FORCE CF015 Next_spectrum



Samsung S95Bの120Hzリフレッシュレートについて

「Samsung S95B」の最大の特徴の1つである120Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。

まずは「Samsung S95B」の特徴の1つである”120Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、120Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2倍となる1秒間に120回の画面更新を行います。
最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも普及しつつあり、さらには、それを1.5倍に上回る360Hzの超々高速なリフレッシュレート対応製品も各社から販売されています。
60Hz-144Hz-240Hz RefreshRate
1秒間に120回の画面更新を行う120Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。



「Samsung S95B」ではNVIDIA GeForce RTX 30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.4のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを120Hzなどに自由に設定できます。

ゲーミングPCとゲーミングモニタの接続にはDisplayPortを使用するのが現在の主流ですが、「Samsung S95B」に搭載された2基のHDMIビデオ入力は最新規格HDMI2.1に対応しており、4K/120FPSの映像伝送が可能です。
Samsung S95B_res-rr_HDMI2.1

モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
AMD GPU_RefreshRate_Setting


オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて144Hzや240Hzなど高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。


またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。

240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。


主観の画面表示を基準にしてみると、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。



なお「Samsung S95B」で4K解像度/144FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「Samsung S95B」を使用するのであれば2022年最新のハイエンドGPUであるNVIDIA GeForce RTX 3080やAMD Radeon RX 6800 XTがおすすめです。
GeForce RTX 30シリーズのレビュー記事一覧へ
GeForce RTX 30

Radeon RX 6000シリーズのレビュー記事一覧へ
Radeon RX 6000 Series


非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について

視覚損失のない非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について説明しておきます。




Samsung S95Bの応答速度・表示遅延

次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「Samsung S95B」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。

まずは「Samsung S95B」の応答速度について検証していきます。
「Samsung S95B」では関係しませんが、液晶パネルのゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて

応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
UFO Test_Ghosting

有機ELパネルが採用されている「Samsung S95B」を最大リフレッシュレートの120Hzで動作させ、十分に早いシャッタースピードで撮影しましたが、応答速度の遅さによって複数のフレームが写し込むことはほぼありませんでした。
液晶パネルなら適当に手動で連写していれば1ms GTGを謳う製品でも2フレームが映った遷移途中を撮影できますが、「Samsung S95B」の有機ELパネルは応答速度が非常に速いので、ランダムな連写では遷移の瞬間をとらえるのが難しいレベルです。
DSC00684
ただ過去にレビューしたモバイルPCやモバイルモニタに採用されているSamsung製AMOLEDパネルでもそうだったのですが、「Samsung S95B」でも画面更新は一瞬で終わるのに対して、1つ前のフレームが多少残った状態に更新されました。おそらく焼き付き防止機能の影響だと思います。
「Samsung S95B」の場合は、白色背景の時が顕著で、グレー背景でも薄っすらと残る感じです。実用的には
残像を感じるほどではありませんが。


さらに「Samsung S95B」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
Response-and-Latency Test

まずは「Samsung S95B」のリフレッシュレートを60Hzと120Hzに変えてUFO Test: Ghostingの様子を比較してみました。リフレッシュレートによらず残像感は全く感じません。


ここからはSONY DSC-RX100M5の960FPS(16倍速)よりもさらに高速な5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラを使用して「Samsung S95B」の応答速度を比較検証していきます。
まずは先ほどのおさらいになりますが、5760FPSのスーパースローで確認してみても、「Samsung S95B」は60Hzと120Hzともに一瞬で画面更新が完了しています。


下はグレー背景における画面更新のフレームを切り出して並べたものですが、5760FPSで撮影した時、各ピクセルは1フレーム以内に画面更新が完了しています。応答速度はコンマms単位で、有機ELモニタの公称応答速度としてよく挙げられる0.5ms~1msは余裕でクリアしています。
Samsung S95B_response

「Samsung S95B」は有機ELテレビで一般的なLG OLEDと比較しても、応答速度は基本的に同等です。ただ上でも言及したように一定の条件下(下の動画で言うと白背景の時)では、焼き付き防止機能のためか、1つ前のフレームが薄っすら残るような映像に更新されます。


有機ELパネルの「Samsung S95B」と「LG OLED48CXPJA」に、4K/144Hzに対応する最新のIPS液晶ゲーミングモニタから「LG 27GP950-B」と「ASUS ROG Swift PG32UQ」を加えて、4機種について応答速度を比較してみました。
LG 27GP950-Bは1ms GTGの高速応答を謳うLG製Nano IPS液晶パネル採用製品となっており、IPS液晶ゲーミングモニタの中では間違いなく最速クラスの応答速度を実現しているのですが、それでも有機ELの「Samsung S95B」と比較すると残像があるのがハッキリわかります。



最後に「Samsung S95B」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
nvidia-reflex-end-to-end-system-latency-terminology

システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。


「Samsung S95B」やその他の比較モニタのディスプレイ表示遅延の測定結果は次のようになりました。測定方法的に遅延が2ms以下であればディスプレイ内部の表示遅延は誤差の範囲内で十分に小さいと考えてOKです。
「Samsung S95B」は60Hz~120Hzのリフレッシュレートで理想的なディスプレイ表示遅延を発揮しています。
Samsung S95B_latency_1_display

「Samsung S95B」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。この測定値は一般的なPCゲームにおける操作から画面表示の変化までの遅延に一致します。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいということが分かると思います。
Samsung S95B_latency_2_system

高級TVでは一般に倍速補間や先鋭化などを行う高画質化エンジンが搭載されている影響で表示遅延が発生するため(映画などでは問題ないものの)、ユーザーによる視認と操作の応答が求められるゲーミング用途には向かないという傾向がありますが、「Samsung S95B」はゲームモードを有効にすれば一般的なゲーミングモニタと同等の、ゲームプレイに支障の出ない表示速度が得られます。



Samsung S95Bの可変リフレッシュレート同期について

続いて「Samsung S95B」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」についてチェックしていきます。

モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
AMD FreeSync_NVIDIAG-Sync Compatible
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。


「Samsung S95B」は48Hz~120Hzの範囲内で「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」など可変リフレッシュレート同期に対応しています。対応するビデオ入力は4基のHDMI2.1ビデオ入力全てです。
従来のNVIDIA製GPUではHDMI経由でG-Sync Compatibleは利用できないケースが多かったのですが、HDMI2.1では伝送技術の規格の一部としてVRR同期が内包されているので、「Samsung S95B」ではHDMI経由でもG-Sync Compatibleを利用できます。
2022年5月現在、GeForce Driver 512.15でG-Sync Compatible認証は未取得でした。
Samsung S95B_HDR_G-Sync Compatible


4K/120Hz表示において、同期なしと垂直同期を比較するとこんな感じになります。
モニタが120Hzの固定リフレッシュレートで更新するのに対して、ゲームフレームレートは100FPS前後で変動するので、同期なしではテアリング発生して画面が水平に分断され、垂直同期では同期遅れによるスタッター(カクツキ)が発生しているのが分かります。


4K/120Hz表示において、VRR同期(G-Sync Compatible)と同期なしを比較した動画です。
VRR同期ではフレームレートの変動に合わせてリフレッシュレートが可変になっているので、テアリングが消えているのが分かります。


さらに4K/120Hz表示において、VRR同期(G-Sync Compatible)と垂直同期を比較した動画です。
垂直同期では同期遅れによるスタッターが発生しているのに対してVRR同期では滑らかに描画されているのがわかります。
垂直同期では後れフレームが破棄されるのでゲーム内フレームレートが低くなり、遅延も増えますが、VRR同期はレンダリングされた映像をフルに描画でき、表示遅延も最小限です。



「Samsung S95B」において可変リフレッシュレート同期機能が正常に動作してリフレッシュレートが可変になっているかを確認する方法については、付属リモコンの決定ボタンを押下すると現在のビデオ入力情報が表示されます。
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可変リフレッシュレート同期機能が正常に動作している場合、ビデオ入力情報で解像度の右隣に『VRR(Variable RefreshRate)』と表示され、さらにその隣の「〇〇Hz」の数字部分がリアルタイムに変動するようになります。機能が正しく動作しているかどうかはここを見て確認してください。
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「Samsung S95B」でAMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatibleを使用する手順については、PC接続時に4K/120FPS表示を行うためのメニュー設定と共通ですが、基本的には『ゲームモードを有効にする』だけです。
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Samsung S95BのHDR表示やCSゲーム機対応について

最後に「Samsung S95B」のHDR表示やCSゲーム機の対応(4Kエミュレートなど)についてチェックしていきます。
HDR表示やCSゲーム機対応について
HDMI ver, ポート数
HDMI2.1 (48Gbps) ×4
HDR表示 対応
VRR同期 併用可能
カラーフォーマット
DisplayPort1.4
(非搭載)
カラーフォーマット
HDMI2.1
4K/120Hz/12bit RGB
ピーク輝度(実測) 1000cd/m^2
輝度認証 -
ローカルディミング ピクセルレベル
4Kエミュレート 4Kネイティブ対応
PlayStation 5 4K/120FPS対応, YUV422
Xbox Series X/S 4K/120FPS対応


HDR表示への対応やカラーフォーマットについて

「Samsung S95B」はHDR表示に対応しています。

「Samsung S95B」は標準でHDR映像ソースを受け取ることが可能なので(ゲーム機やPCからHDR対応機器として認識される)、HDR表示を行う上でモニタ側メニューから設定を行う必要はありません。
HDR映像ソースのビデオ入力を認識すると、「Samsung S95B」は自動的にHDR表示モードに切り替わります。目印として、付属リモコンの決定ボタンを押下して確認できるビデオ入力情報バーにHDRアイコンが表示されます。
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「Samsung S95B」はHDR表示モードになると、映像モードもHDR用のものに切り替わります。映像モードの名前はSDR表示中と同じですが、設定値はHDR表示に最適なものになっています。
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PC向けゲーミングモニタの場合、HDR表示モード中はディスプレイ輝度や発色関連の設定が全て自動設定になってしまい、ユーザーが各自で調整できなくなることが多いのですが、「Samsung S95B」ではSDR表示と同様に輝度・コントラスト・彩度などを任意に調整できます。
HDR映像ソースに対して柔軟に発色等の設定が可能なところはテレビをゲーミングモニタとして使用する時の強みです。
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HDR表示中はガンマカーブがST.2084に切り替わります。ガンマカーブは-3~+3の7段階で調整も可能です。
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映像ソースがHDR規格の1つHLGに対応している場合はHLGも選択可能です。
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LG OLEDテレビと違って、「Samsung S95B」はDolby Visionに非対応ですが、代わりにゲーミング向けに拡張されたHDR規格のHDR10+には対応しています。
HDR10+についてはGame Mode Settings - HDR Tone Mappingに配置されているHDR10+ GAMINGから設定が可能です。
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またHDR規格の1つであるHGiGにも対応しており、映像ソースがHGiG対応デバイス(PlayStation 5など)の場合に設定が可能となります。
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「Samsung S95B」のHDMI2.1ビデオ入力は最大48Gbpsのデータレートで映像データの伝送が可能であり、視覚損失のない非可逆圧縮機能 Display Stream Compression (DSC) 1.2aにも対応しています。
Samsung S95B_HDMI2.1_Spec
最新グラフィックボードと接続した場合、4K/120Hz/HDR表示においてRGB 10bit/12bitのカラーフォーマットに対応します。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
Samsung S95B_HDR_4K120Hz_HDMI_12bit-RGB


HDRについて簡単に説明すると、HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、RGBの光の三原色の映像情報に加えて、輝度(明るさ)の情報が備わった映像ソースのことです。
従来の表示機器や映像ソースでは10^3程度のダイナミックレンジしかありませんでしたが、HDRに対応することでダイナミックレンジが10^5程度と100倍近く拡張され、従来よりも細かい階調で明るさや暗さを表現できるようになり、「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるように画面の明るさを操作することで、白飛びや黒潰れをなくして高画質を実現しています。
HDR
HDRに関する説明は色々とあると思いますが、管理人は『明るい場所はより明るく、暗い場所はより暗く』と大雑把に理解しています。
「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」するということは必ずしも”見えやすく”なるわけではありません。というか暗い場所は暗くなるので必然、暗い部分は見えにくくなります。逆に明るい場所が明るくなったら見えやすくなるかというと、再現可能な輝度の領域が増すので、ディスプレイによる描画は現実に近づきますが、太陽を覗き込んだ時のように特に明るい場所の周辺は光で潰れて(目の調光機能的な問題で)見えにくくなります。もちろん明暗が分かれることで境界線がクッキリして見えやすくなる場合もあります。
一部のゲーミングモニタに暗所を明るく(白く)して見えやすくする機能があるように、HDR表示は見やすさには直結しないので、見やすさという意味で画質が良くなるのかというと、その点はケースバイケースです。SDRダイナミックレンジの範囲内で平滑化されていた時に比べて、暗い部分が強調されることを考えると見えにくさの方が体感しやすい気がします。

HDRは原理的にはモニタから見える映像を”リアル”に近づける機能です。ただし実際のところはモニタ個別の色調設定などの都合で鮮やかになり過ぎたり色味が変わったりするので、「実際の視覚と同じ」という意味でリアルかというと疑問符が付くのですが。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるので立体感は増して、平面表示の中に奥行を感じやすくなるという点ではリアルな表示に近づきます。個人的にはHDR表示の効果はSDRに比べて、鮮やかになって、立体感が増すと感じています。
4Kモニタの広告をフルHDモニタで見る以上に、SDRモニタでHDRについて体感的に理解することは困難です。なのでHDRについては店頭など実機で体験して気に入れば購入するくらいが正直なところおすすめです。HDRについては正直に言って”百聞は一見に如かず”な機能です。SDRモニタ上で調べるよりもHDR表示の実機を見て気に入るかどうかが全てな機能だと思います。


HDR表示におけるディスプレイ輝度やローカルディミングについて

「Samsung S95B」はVESAがPCモニタ向けに展開しているDisplayHDRなどHDR関連の輝度認証は取得していません。

VESAがMicrosoft Store上で無料アプリとして公開しているVESA DisplayHDR Compliance Testsから、「Samsung S95B」のディスプレイ輝度の扱いが確認できました。(データの読み方については管理人も怪しいので参考までに)
Samsung S95B_VESA DisplayHDR Compliance Tests (1)
Samsung S95B_VESA DisplayHDR Compliance Tests (2)


近年のモニタにおいてHDRモードのディスプレイ輝度は高輝度領域の広さや高輝度表示の継続時間に依存するので、i1 Display Pro Plusを使用してHDR時の最大輝度を条件別で測定してみました。なお持続最大輝度は十数秒後で測定しているのでもう少し下がる可能性もあります。

「Samsung S95B」はゲームモードにおいて『Contrast Enhancer:On』、『Peak Brightness:High』に設定すると、10%部分など一定以下の領域に限られますが、1000cd/m^2の非常に高い輝度を発揮できました。
数秒しかキープできない短時間のピーク輝度ではなく、少なくとも十数秒では輝度が落ちずに1000cd/m^2前後の高輝度を維持していました。
画面全体の白色表示になると輝度は200cd/m^2程度に下がりますが、有機ELテレビの白色輝度としてはトップクラスの優秀さです。こちらも短時間では輝度が下がることはありません。
Samsung S95B_brightness_hdr
参考までにLG OLED48CXPJAのゲームモードにおけるHDR表示の輝度性能は下のようになっています。200cd/m^2以上の画面全体のピーク輝度は1秒に満たないフラッシュのような感じで発光した時のもので、基本的には140cd/m^2程度です。
「Samsung S95B」の200cd/m^2とLG OLED48CXPJAの140cd/m^2だと、やはり白の見え方にはかなり差があります。
ちなみに海外レビューによると2022年モデルのOLED C2シリーズは、55インチ以上のモデルだと2021年のG1シリーズ相当にアップグレードされているようですが、42インチや48インチのモデルはCXやC1の48インチと大差ないようです。
LG OLED48CXPJA_brightness_hdr

高輝度部分が小領域の場合のピーク輝度はPeak Brightnessの設定により変化します。OffにするとSDR表示においてはABLやピーク輝度が無効化されていましたが、HDR表示ではLow的な設定値となり、ABLとピーク輝度の強度を3段階で選択できます。
10%の部分のピーク輝度はHigh設定で1000cd/m^2程度、Medium設定で750cd/m^2程度、Off設定(HDRでは実質Low設定)で500cd/m^2程度でした。
画面全体ではいずれも200cd/m^2程度です。10%部分とは逆にOff/Medium/Highの順で高輝度になる傾向はありますが、体感的には誤差です。
Samsung S95B_brightness_hdr_peak

白色の輝度だけ見ていくと、「Samsung S95B」と2020年モデルのLG OLED CXでも数値上、そこまで大きな差はないのでは?と思う人がいるかもしれません。
実際、今回比較に使用した2020年モデルのCXや2022年モデルC2でも42インチや48インチは10%部分のピーク輝度が700cd/m^2程度ですが、C2の55インチ以上(2021年モデルのG1と同等とのこと)や、2022年モデルのG2であれば「Samsung S95B」と同等の白色輝度を発揮できると海外レビューで報じられています。

一方、HDR表示における輝度や発色については海外レビューサイトRTINGSから非常に興味深いデータが挙げられていました。
RTINGSによると2022年モデルのLG OLED C2やLG OLED G2も白色輝度については非常に良好な性能を発揮するものの、HDR表示においてレッド/グリーン/ブルー/シアン/マゼンタ/イエローの有色高輝度シグナルで飽和させた時の輝度を見ると、「Samsung S95B」が圧倒的に優れている、というものでした。
screenshot.1653573182

完全に同じ検証というわけではないのですが、ホワイトに加えてレッド/グリーン/ブルー/シアン/マゼンタ/イエローの7色でRGB値を飽和させた有色円を拡大縮小する動画を使って試してみました。
動画を撮影するカメラの設定として、「Samsung S95B」の白色円が小さい状態(輝度は1000cd/m^2程度に達する)で撮影動画の白色が飽和するギリギリくらいの露光に固定しています。

白色円(色温度の影響で青みがかっていますが)で「Samsung S95B」のほうが明るいのは上の検証結果の通りですが、その他の有色円でも明らかに「Samsung S95B」のほうが明るい様子が見て取れます。


念のため検証中のサブピクセル動作も確認しておきましたが、”単色や2色混合でRGB値にないサブピクセルが点灯して輝度を稼ぐ”というような不正的動作もありません。(なぜか緑単色の小領域でだけ赤が薄っすら点灯していますが)

上記検証で有色円が小さい時の輝度を測定したところ、RTINGSの検証結果と似たような測定値が得られました。
単純に元の映像ソースから彩度を盛って表示しているだけでなく(初期ファームウェアではフィルムメーカーモードですら、そういう傾向があると海外レビューで報じられていますが)、「Samsung S95B」はパネルの性能として、LG製の有機ELパネルよりもRGB三原色がそれぞれ明るいので、カラフルな映像がより鮮やかに表示できるというのも納得できる結果です。
Samsung S95B_Brightness_HDR_Color Volume


画質の章でも簡単に触れましたが、自発光画素により完全な黒を表現できる有機ELパネルの「Samsung S95B」はHDR表示と非常に相性の良いモニタです。(性質上同じなのでAlienware 55 AW5520QFの写真を流用)
Samsung S95B review_02531

液晶パネルの大型テレビでも直下型バックライトでローカルディミング(部分駆動)に対応していれば、黒い部分のバックライトを消灯して有機ELに近い表示をさせることは可能ですが、『UIメニューや小さい輝点でバックライトが漏れるハロー現象』、『バックライトの追従が遅れる』等の問題もあり、ゲームの画面表示や画面変化の傾向を考えると有機ELがベストな気がします。



CSゲーム機接続時の4KエミュレートやHDCP対応について

「Samsung S95B」に搭載された2基のHDMIサブ入力はいずれもHDMI2.1に対応しているので、PlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせた場合、4K/120Hzの表示が可能です。
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PlayStation 5やXbox Series X/Sのようにゲーム機が対応していればVRR同期機能も利用できます。
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ちなみに、「Samsung S95B」にPlayStation 5やXbox Series X/Sを接続すると、自動的にそのゲーム機としてデバイスタイプが設定されます。
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Samsung S95Bのレビューまとめ

最後に「Samsung S95B」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 画面サイズ55インチの大画面(さらに大きい65インチも)
  • 発色、視野角、コントラスト、応答速度などオールラウンドで画質に優れた有機ELパネル
  • Samsung製の量子ドット技術採用パネルは発色や輝度がLG製よりも優秀
  • 液晶パネルは発色に有利な光沢仕上げ
  • ビデオ入力はHDMI2.1×4の計4系統 (48Gbps、DSC1.2a対応)
  • コンマms級の圧倒的な応答速度
  • 4K解像度で120Hzリフレッシュレートの高速動作
  • 可変リフレッシュレート同期機能に対応(48FPS~120FPSの範囲内で対応)
  • 4K/120FPS/12bit RGBのHDR表示に対応(VRR同期も併用可能)
  • ゲームモードを有効にすればゲーミングモニタと同等の表示遅延
  • VESAマウント対応で壁掛けも可能、55インチ有機ELテレビとして軽量な本体16kg
悪いところor注意点
  • サイズと重量が非常に大きいので組み立てと設置が難しい: 要大人2人以上
  • ピクセルシフトでオフセットする瞬間が視認できて気になる
  • 黒挿入のMBR機能は120Hz動作時に非対応
  • 2022年5月現在G-Sync Compatible認証は未取得(取得予定も不明)
  • 日本国内では発売予定なし

4K解像度/120Hzリフレッシュレートの有機ELパネルを採用した「Samsung S95B」は、コンマmsの応答速度と100,000:1を超えるコントラストという文字通り桁違いな性能によって、高速かつ高画質なゲーミングモニタとして定番になりつつあるIPS液晶パネル搭載製品を軽々と上回ります。

「Samsung S95B」はRGBサブピクセルのSamsung製の有機ELパネルに加え、Quantum Dot技術も採用されているので、DCI-P3とAdobe RGBをほぼ100%カバーという極めて優れた広色域を実現しており、実際にこの目で見ても「Samsung S95B」は発色の鮮やか、表示の明るさにおいて、管理人がこれまでゲーム用モニタとして使用していたLG OLED CX 48インチモデル(2020年製品ですが)を明確に上回っていました。

設定メニュー周りについて、操作性は良く、基本的な項目は揃っているので及第点ではあるものの、LG OLEDテレビと比較すると設定の自由度は低いと感じました。

製品区分としては高画質テレビなので、各種高画質機能によって表示遅延が大きいのでは?と気になっている人も多いと思いますが、使い方の章で説明したように、ゲームモードを有効にすれば、一般のゲーミングPCモニタと同等の表示遅延になるので、操作に対してラグを感じることはありません。

最近ではPlayStation 5も対応したことで話題ですが、「Samsung S95B」は可変リフレッシュレート同期機能に対応しています。
VRR同期対応フレームレートとして48FPS~120FPSの幅広いフレームレートをカバーしており、60FPS前後しか維持できない最新の高画質な重いゲームから、100FPS以上を維持できる競技性の高い軽めなゲームまで、テアリングやスタッターのないクリアで滑らかな表示を実現します。

残念ながら今回レビューした「Samsung S95B」自体は国内での発売予定はありませんが(というかSamsung製テレビは国内展開が一切ない)、同じSamsung製 量子ドット有機ELパネルを採用したテレビは、Sonyから有機ELテレビのフラッグシップモデル「Sony A95K」の投入が予定されています。
「Sony A95K」はおそらく55インチモデルでも40~50万円の超高額になると予想されますが、ラグジュアリーなゲーミング環境を構築する上で高画質であることを追求するなら2022年モデルで一番の選択肢になる製品だと思います。



以上、「Samsung S95B」のレビューでした。
Samsung S95B




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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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