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RTX 3080 TiやRTX 3090などNVIDIA GeForce RTX 30シリーズ上位モデルで発熱の大きさ、温度の高さが指摘されるGDDR6Xメモリを効率良く冷やすことができる、貼り換え推奨なサーマルパッドはどれなのか、各種製品の冷却性能をGeForce RTX 3080で比較してみました。
レビュー目次
1.比較検証するサーマルパッドについて
2.Alphacool Eiswolf 2 AIOについて
3.各種サーマルパッドの冷え具合を比較
比較検証するサーマルパッドについて
まずは今回の検証に使用する各種サーマルパッドについて簡単に紹介します。Thermal Grizzly Minus Pad 8
「Thermal Grizzly Minus Pad 8」はセラミック、シリコン、微粒子化された酸化アルミニウムで構成された熱伝導パッドとなっており熱伝導効率が8.0W/m・Kと高い効率を実現しています。非電導性なのでグラフィックボードと水冷ブロックの接触にも安心して使用できます。Thermalright ODYSSEY THERMAL PAD
「Thermalright ODYSSEY THERMAL PAD」は熱伝導効率が12.8W/m・Kとなっており、熱伝導グリス並みに優れた性能が特徴です。非電導性なのでグラフィックボードと水冷ブロックの接触にも安心して使用できます。TAIHEIYO製熱伝導シリコンパッド
TAIHEIYO製熱伝導シリコンパッドは熱伝導効率が3.5W/m・Kとなっており、先に紹介した2製品と比べるとスペック値は低めです。代わりに5~15mmと厚みの大きいものも販売されています。非電導性なのでグラフィックボードと水冷ブロックの接触にも安心して使用できます。Alphacool Eiswolf 2 AIOの付属サーマルパッド
今回検証に使用するグラフィックボードのAIO水冷キット「Alphacool Eiswolf 2 AIO」には水冷ブロックやバックプレートを、グラフィックボード基板上のVRAMチップやVRM電源回路と接触させるためサーマルパッドも必要サイズが標準で付属しています。付属品なので詳細スペックは不明ですが、当然、絶縁性です。Alphacool Eiswolf 2 AIOについて
サーマルパッドの冷却性能比較に当たって、グラフィックボードはGeForce RTX 3080を使用しているのですが、クーラーは空冷GPUクーラーから、AIO水冷キット「Alphacool Eiswolf 2 AIO - 360mm RTX 3090/3080 with Backplate (Reference)」に換装しています。なお今回は水冷化のため自己責任でGPUクーラーを取り外していますが、GPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
AIO水冷キットの「Alphacool Eiswolf 2 AIO - 360mm RTX 3090/3080 with Backplate (Reference)」は、DIY水冷向けパーツが使用されてはいるのですが、水冷ブロック→ポンプ→ラジエーターという一連の水路が完成し、クーラントも充填された状態でユーザーの手元に送られてきます。
「Alphacool Eiswolf 2 AIO - 360mm RTX 3090/3080 with Backplate (Reference)」は導入に当たってGPUクーラーを取り換えるだけと非常に手軽なところが魅力であり、空冷GPUクーラーよりも抜群に冷えるというメリットを簡単に享受できます。
「Alphacool Eiswolf 2 AIO - 360mm RTX 3090/3080 with Backplate (Reference)」は、その名前の通り、GeForce RTX 30シリーズのうち、RTX 3080、RTX 3080 Ti、RTX 3090を搭載したグラフィックボードに対応しています。
ひとくちにRTX 3080/3080Ti/3090グラフィックボードと言ってもAIBパートナー各社から様々なモデルがリリースされており同AIOキットが対応するグラフィックボードが何なのかわからない人も多いと思いますが、大きなくくりとして、一般にリファレンス基板と呼ばれるグラフィックボード基板を採用した基板を採用するRTX 3080/3090グラフィックボードを水冷化できます。また後発のRTX 3080 TiもRTX 3080/3090と共通の基盤を採用したモデルが発売されており、それも水冷化できます。
Alphacoolのフルカバー水冷ブロックはグラフィックボード基板と干渉し難いように余裕を持たせた設計なので、リファレンス基板をベースに若干カスタムされたZOTAC GAMING Trinityシリーズの基板にも対応します。
Alphacool公式から発表されている「Alphacool Eiswolf 2 AIO - 360mm RTX 3090/3080 with Backplate (Reference)」の対応機種は以下の通りです。
Eiswolf 2 AIO RTX 3090/3080 Reference 対応モデル一覧 | |
RTX 3080 (LHR版も対応) |
Palit GeForce RTX 3080 GamingPro / OC |
Gainward RTX 3080 Phoenix / GS | |
玄人志向 GALAKURO GG-RTX3080-E10GB/TP | |
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 Trinity / OC | |
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 AMP Holo | |
Inno3D GeForce RTX 3080 iChill X3 / X4 | |
GALAX GeForce RTX 3080 SG | |
PNY GeForce RTX 3080 XLR8 Gaming | |
RTX 3080 Ti | Palit GeForce RTX 3080 Ti GamingPro |
Gainward GeForce RTX 3080 Ti Phoenix | |
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 Ti Trinity / OC | |
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 Ti AMP Holo | |
Inno3D GeForce RTX 3080 Ti iChill X3 / X4 | |
RTX 3090 | Palit GeForce RTX 3090 GamingPro / OC |
Gainward RTX 3090 Phoenix / GS | |
玄人志向 GALAKURO GG-RTX3090-E24GB/TP | |
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity / OC | |
Inno3D GeForce RTX 3090 iChill X3 /X4 | |
GALAX GeForce RTX 3090 SG |
Alphacool Eiswolf 2 AIO - 360mm RTX 3090/3080 with Backplate (Reference)に対応する製品から、国内での入手性が高いモデルを抜粋すると「Palit GeForce RTX 3080 GamingPro (LHR)」、「玄人志向 GALAKURO GG-RTX3080-E10GB/TP/LHR」、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 Trinity LHR」は安価かつ入手性が高いのでオススメです。RTX 3080を紹介しましたがGPUをRTX 3080 TiやRTX 3090に変えた各モデルも対応しています。
また今回レビューするのは上述の通りRTX 3080/3090のリファレンス基板に対応したAIO水冷キットですが、Alphacool Eiswolf 2 AIOからは、ASUS ROG STRIXやMSI VENTUSのオリジナル基板に対応したモデルも発売されています。
各種サーマルパッドの冷え具合を比較
さて本題となる、各種サーマルパッドの冷え具合の比較結果をチェックしていきます。今回はテストシステムのPCケースに、180mmサイズケースファンに対応する高エアフローと魅せるデザインを追求した新型ミドルタワーPCケース 「Fractal Design Torrent Black RGB TG Light Tint」を使用しています。
「Fractal Design Torrent」は標準でフロントに2基の180mm角ケースファンを搭載していますが、今回の検証ではこのフロントスペースにAlphacool Eiswolf 2 AIOの360mmサイズラジエーターを設置するので、フロントファンは3基の120mm角ケースファン「Thermaltake TOUGHFAN 12」に置き換えました。
なお比較対象として掲載している空冷グラフィックボードの場合は、ラジエーターを取り外してそのままフロントに3基の120mm角ケースファン「Thermaltake TOUGHFAN 12」を装着しています。
以降の検証に当たって、CPUクーラー冷却ファンは800RPM、PCケースボトムの140mmファン×3は800RPM、空冷グラフィックボード検証時にPCケースフロントのThermaltake TOUGHFAN 12は1200RPMでファン速度を固定しています。
の検証負荷としてはGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Extreme Stress Test、もしくはTimeSpy Extreme グラフィックテスト1のループ再生を使用しています。
サーマルパッドの冷却性能比較に当たって、グラフィックボードはGeForce RTX 3080を使用しているのですが、クーラーは空冷GPUクーラーから、AIO水冷キット「Alphacool Eiswolf 2 AIO - 360mm RTX 3090/3080 with Backplate (Reference)」に換装しています。
サーマルパッドについてはVRAMチップと水冷ブロックが直接に接する、VRAMチップ直上のものだけを各種製品に入れ替える形で比較しました。その他のサーマルパッドはThermal Grizzly Minus Pad 8で統一しています。
一般的な3スロット占有空冷GPUクーラーを搭載したRTX 3080グラフィックボードの代表として、今回のAIO水冷化の素体にもなったPalit GeForce RTX 3080 GamingProを参考にすると、TimeSpy Stress Test中のVRAM温度は最大96度、GDDR6Xメモリはやはり高温です。
Alphacool Eiswolf 2 AIOによって簡易水冷化したRTX 3080はというと、付属サーマルパッドを使用するだけでも最大74度へと20度以上も温度が低下しました。
付属サーマルパッドを基準に各種サーマルパッドの性能を見ていくと、当サイトでも水冷化レビューではよく使用している「Thermal Grizzly Minus Pad 8」は2~3度程度の温度低下となり、スペック上の熱伝導効率12.8W/m・Kと高い「Thermalright ODYSSEY THERMAL PAD」は4~6度もさらに冷えました。スペック上の熱伝導効率はグリスの経験上、話半分で考えていたので結構以外な結果です。
一方で、安価な反面、スペック上の熱伝導効率3.5W/m・Kと低めなTAIHEIYO製熱伝導シリコンパッドは、Alphacoolの付属サーマルパッドよりも10度以上高温とやはり低性能でした。
Alphacoolの付属サーマルパッドの品質・性能が一般的なグラフィックボードに採用されるサーマルパッドと比較してどうなのかは分からないので、サーマルパッドの交換でVRAM温度が確実に下がるとは必ずしも言えませんが、サーマルパッドの品質次第でGDDR6Xメモリの温度は10度以上も変わるというのは間違いないようです。
とはいえ、「Thermal Grizzly Minus Pad 8」や「Thermalright ODYSSEY THERMAL PAD」のような高性能サーマルパッドであれば温度低下は高い確率で期待できると思います。
ちなみにサーマルパッド別でVRAM温度の差があるというのは上の通りですが、それに比例してGPU温度にも差が出るのかというと、こちらは誤差の範囲でほぼ同等という結果でした。
VRAMが冷えるとGPUの冷却性能が目に見えて下がる、ということはないので、シンプルに高性能なサーマルパッドを使用するのがオススメです。
以上、『グラボのVRAMを冷え冷えにするサーマルパッドを比較してみた』でした。
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GeForce RTX 3080のGDDR6Xメモリで冷え具合を検証。Thermal Grizzly Minus Pad 8やThermalright ODYSSEYなど各種サーマルパッドの冷却性能を比較してみました。https://t.co/pJmzMYrMfg pic.twitter.com/vgubo1HWyq
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) October 2, 2021
ThermalLight ODYSSEY 高性能サーマルパッド
<厚さ0.5mm><厚さ1.0mm><厚さ1.5mm>
<厚さ2.0mm><厚さ2.5mm><厚さ3.0mm>
<厚さ0.5mm><厚さ1.0mm><厚さ1.5mm>
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ThermalLight
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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