MASTERPIECE i1620PA1


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17年1月に発売されたばかりのIntelのデスクトップ向け最新CPU KabyLakeの最上位となるCore i7 7700KとNVIDIA Geforce GTX 1080グラフィックボードを搭載した、マウスコンピューターのゲーミングブランドG-Tuneの高級モデル「MASTERPIECE i1620PA1」ゲーミングBTO PCをお借りできたのでレビューしていきます。

MASTERPIECE i1620 シリーズ (Z270) デスクトップゲーミングPC
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今回提供いただいたレビュー用サンプル「MASTERPIECE i1620PA1」の構成は次のようになっています。
マザーボード等の一部パーツは製品公式ページで詳細な記載がないのでサンプルに採用されているのとは別のパーツが使用される可能性もあります。
「MASTERPIECE i1620PA1」 レビュー用サンプル詳細スペック
参考価格:253,600(送料・税別)
OS Windows10 Home (64bit) DSP版
CPU Intel Core i7-7700K
(4コア8スレッド、4コア同時最大4.4GHz)
CPUクーラー CoolerMaster製トップフロー型CPUクーラー
 [92mm、PWM、900~4000RPM]
マザーボード MSI Z270-S01
(販売ページに記載なし、マニュアルなし)
メモリ 32GB[8GB*4枚] DDR4-2133
システムストレージ intel 600p Series NVME M.2 SSD
256GB SSDPEKKW256G7X1
データストレージ1 ADATA ASP550SS7-480GM-MI-B
480GB (SATA6Gb/s対応)
データストレージ2 Seagate ST3000DM008-2DM166
3TB HDD (SATA6Gb/s対応)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
スロットインスリム型
グラフィックボード NVIDIA GeForce GTX 1080
ZOTAC製、外排気クーラー
PCケース G-Tune MASTERPIECE オリジナル
対応最大ファームファクタ:ATX
(IN Win 303のカスタムモデル)
電源ユニット 700W
80PLUS BRONZE認証



レビューに入る前に注意事項として、今回提供いただいたものは貸出機であり一般販売されてユーザーの手元に届く新品ではないので、製品や梱包に若干傷や痛みがある場合があります。通常は新品で綺麗な状態のものが届くはずなので、サンプル機に傷等があっても無視してください。

【公開:2017年1月11日、更新: 】

MASTERPIECE レビュー目次


1.MASTERPIECE i1620PA1の梱包・付属品
2.MASTERPIECE i1620PA1の外観
3.
MASTERPIECE i1620PA1の内部構造
4.MASTERPIECE i1620PA1の裏配線スペース
5.MASTERPIECE i1620PA1のストレージ設置
6.MASTERPIECE i1620PA1のマザーボード
7.MASTERPIECE i1620PA1のグラフィックボード
MASTERPIECE i1620PA1(i7 7700K)のCPU・ストレージ性能
9.MASTERPIECE (i7 7700K, GTX 1080)のグラフィック性能
10.
MASTERPIECE i1620PA1のレビューまとめ


MASTERPIECE i1620PA1の梱包・付属品

まず最初にマウスコンピューターから購入した「MASTERPIECE i1620PA1」がユーザーの手元にどんな状態で届くのかをご紹介しようと思います。配送業者からは下画像のような段ボール箱に梱包されて製品が届きました。(注:梱包の外箱については貸出機のため少々傷みがある場合があります) 
60*60*30cmサイズとかなり大きい段ボール箱で重量も重いです。PC本体は横置きの状態で不織布の袋に入れて硬めのスポンジ製スペーサーで安置されていました。
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デフォルトで「G-Tuneオリジナル オプティカル6ボタンUSBマウス」「G-Tuneオリジナル「Accurate Keyboard」 (ブラック、PS2接続、最大11キーロールオーバー対応)」のキーボード&マウスセットが付属します。
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MASTERPIECE i1620PA1の外観

「MASTERPIECE i1620PA1」のPCケース外観をチェックしていきます。
「G-Tune MASTERPIECE」は2016年後半にフルモデルチェンジした際に、ガラスパネルを採用したPCケースのパイオニア的メーカーIn Win社の「In Win 303」をベースにしたオリジナルPCケースを採用しました。そのため今回お借りした「G-Tune MASTERPIECE i1620」は若干の違いはあるものの基本的に「In Win 303」と同じデザインや内部構造になっています。

前置きはこの辺りにして早速、製品をチェックしていきます。
一般販売されているIn Win 303ではフロントは単純なスチールパネルですが、MASTERPIECEではフロントパネルはフラットな強化ガラスがほぼ全体を覆っており、右端の赤色ラインはヘアライン入りのアルミ製で非常に高級感のある面持ちになっています。
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右のアルミ製ライン上には上からパワースイッチ、USB3.0*2、ヘッドホン・マイク端子、USB2.0端子と主要なフロントI/Oが並び、さらに下にはスロットイン型のスリム光学ドライブが設置されています。MASTERPIECE i1620ではデフォルトでDVDスーパーマルチドライブが搭載されています。またガラスパネルの中央には「G-Tune」のブランドロゴが薄っすらと刻印されています。
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G-Tune MASTERPIECEのオリジナルPCケースとIn Win 303の大きな違いの1つとして正面から見て左側(マザーボード側)のサイドパネルがIn Win 303ではハンドルによるワンタッチ開閉構造の強化ガラスパネルが採用されているのに対し、MASTERPIECEのオリジナルPCケースではデフォルトでマザーボード裏パネルと同じヘックスライン形状のエアスリットが入ったスチールパネルが採用されています。
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G-Tune MASTERPIECEのデフォルト右側サイドパネルは上で書いたようにスチールパネルですが、カスタマイズ項目でワンタッチ開閉に対応したライトスモーク強化ガラスパネルを選択可能です。
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ただ強化ガラスパネル付属の一般販売品In Win 303が13000円で販売されているのに、ガラスパネルオプションが5800円もするというのはちょっと解せぬ値段に感じました。
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両サイドパネルは上側の左右端にあるネジで固定されています。サイドパネル側にもネジ穴があるのでサイドパネル取り外し時に固定ネジが脱落しません(参考写真)。ヘックスライン形状のエアスリットは左右合わせて120サイズケースファン6基分の面積が確保されているのでフラットな外見ではありますが、通気性が悪いということはありません。
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またPCケース前方の下部には薄く「G-Tune」のブランドロゴが刻印されています。
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PCケーストップはエアスリットのなしソリッドなスチールパネルでした。
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PCケース背面に目を向けると、マザーボードのリアI/Oパネルやグラフィックボードのビデオ出力があります。マザーボードのリアI/OとしてはUSB3.0が4基とUSB2.0が2基設置されているので、USB3.0を多く要求するOculus RiftのようなVR HMDにも十分対応可能です。
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グラフィックボードのビデオ出力については今回のサンプル機ではGTX 1080が搭載されており、リファレンスモデルと同じくDisplayPort*3、HDMI、DVI-D端子が設置されています。HDMI端子は1基しかないので、4K TVとVR HMDを併用するユーザーは4K TVとの接続用にHDMI2.0(4K・60FPS)に対応したDP→HDMIアクティブ変換アダプタを別途購入する必要があります。
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PCケースの底面には前方から後方まで120*3サイズのエアスリットがあり、底面吸気が意識されているためスライド式でPCケース右側から着脱可能な防塵ダストフィルターが設置されています。
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PCケース足はプラスチック製で滑り止めのゴム足が装着されていました。
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MASTERPIECE i1620PA1の内部構造

続いて「MASTERPIECE i1620PA1」のPCケースの内部構造をチェックしていきます。
まずはマザーボード側の俯瞰写真は次のようになっています。
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CPUクーラーにはCoolerMaster製92mmファンのトップフロー型が採用されていました。一般向けには販売されていないモデルのようです。メモリスロットは4基ありますが、8GBのメモリ4枚で全て埋められています。
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CPUクーラーの後方には120mmの排気用ケースファンが設置されていました。ファン端子はPWM速度調整に非対応の3PINでした。
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グラフィックボードには非リファレンス(FoundersEdition)の外排気クーラーを搭載したGTX 1080の廉価モデルが採用されていました。
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In Win 303のPCケース同様に長尺かつ大重量のグラフィックボードを支えるためのグラフィックボードホルダーがPCケースに備え付けられています。
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グラフィックボードは2スロット占有になっており、使用可能な空きスロットとしてPCI-Ex1スロットが3基とPCI-Ex16(接続帯域はx8)があります。
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マザーボードの直上には120サイズのケースファンや最大360サイズの水冷(簡易水冷)ラジエーターが搭載可能なファンマウントスペースが確保されており、デフォルトでは空きスペースになっているので、このスペースを利用してケースファンの増設や簡易水冷CPUクーラーの換装など冷却性能を向上させるためユーザー各自で好みのカスタマイズが可能です。なお一番左のスペースについては電源ユニットの吸気ファンがあるので塞いだり、ファン増設時は逆向きにしないように注意してください。
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PCケースをチェックする時の小姑窓さっし的な項目、PCI-Eスロットの固定ネジとシャーシの干渉についてですが、G-Tune MASTERPIECEでは固定ネジ上にシャーシが被っておらずしっかりとクリアランスが確保されています。これならドライバーでネジ止めも簡単ですね。
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あと個人的に気になったところとして、同PCケースのフロントI/Oから延びる内部USB3.0ケーブルが細いきしめんケーブルで柔らかくて取り回しに優れていました。太い円形ケーブルを採用しているPCケースメーカーが多いですが、このケーブルはぜひ他社でも採用して欲しいです。
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MASTERPIECE i1620PA1の裏配線スペース

「MASTERPIECE i1620PA1」の裏配線スペースをチェックしていきます。
まずはマザーボード裏側の裏配線スペースの俯瞰写真は次のようになっています。
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CPUソケット周辺部分はマザーボードトレイに大きく開口がとられているので、マザーボードをPCケースに設置したままでバックプレート型のCPUクーラーの設置を行うことができます。
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G-Tune MASTERPIECE i1620のデフォルト構成で採用される700W 80PLUS BRONZE認証電源の正体は「AcBel i Power 85 700W」という電源ユニットでした。
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プラグイン型ではない電源ユニットなので各種ケーブルが1か所から出ており、使用されていないケーブルはケーブルタイでPCケース上部のファンマウントスペースの裏側にそのまま置かれていました。
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電源ユニットが設置された裏配線スペース上側とストレージやマザーボード裏のある下側は一見パーティションで区切られていますが、電源ユニットのすぐ左にはマザーボードのある表側や裏配線スペース下側につながるケーブルホールが設けられているので、スムーズなケーブルマネジメントが可能です。
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裏配線スペースの厚さもゆとりのある30mmなのでケーブルの取り回しで苦労することはないと思います。
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グラフィックボード用の補助電源ケーブルについてはGTX 1080で使用されているPCI-E 8PINに加えて、未使用のPCI-E 8PINが1つ余っているので、同電源ユニットでも補助電源が8PIN*1のGTX 1080やGTX 1070であればマルチGPUを構成可能です。
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MASTERPIECE i1620PA1のストレージ設置

「MASTERPIECE i1620PA1」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。
まずグラフィックボード直上にはシステムストレージとして高速NVMe接続対応のM.2 SSD「intel 600p Series 256GB SSDPEKKW256G7X1」が設置されています。
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マザーボード側のフロント寄りスペースには2.5インチドライブを設置可能なマウンタが2基設置されており、今回のサンプル機ではうち1基に「ADATA 480GB SATA SSD」が設置されていました。
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また裏配線スペースには、3.5インチストレージが3TB HDDとスリムDVDドライブが設置されています。
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マザーボード側のSATA端子は上記の2.5インチSSD、3.5インチHDD、DVDドライブで6基中3機が埋められていますが、まだ3期残っているもののストレージマウントスペースが2.5インチ1基分しか残っていないので、それ以上の増設には別途ストレージマウントアダプタを購入するなどの必要があります。
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G-Tune MASTERPIECEのPCケースはデザイン重視になっておりストレージの拡張性が高いPCケースではありません。PCゲーム用途であれば十分ですが、HDDやSSDを大量にPCケース内に積んで使用することを目的としているなら別のPCケースを採用したBTO PCを検討するほうがいいと思います。


MASTERPIECE i1620PA1のマザーボード

「MASTERPIECE i1620PA1」に使用されているマザーボードをチェックしていきます。
製品公式ページではZ270チップセット採用とだけ書かれていましたが、MASTERPIECE i1620のレビュー用サンプル機にはMSIのOEMマザーボードである「Z270-S01」という型番のものが搭載されていました。
残念ながら一般販売品ではないので英語、日本語ともにマザーボードのマニュアルは存在しないようです。基板上の各端子について排他利用の有無がわからないので本格的に増設や換装を行う場合はマザーボードから買い替えるのが無難だと思います。
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廉価マザーボードなのでチップセットクーラーも小型で、VRM電源部分にヒートシンクはありません。Z270チップセットでi7 7700KなどK付きCPUのオーバークロックには対応していますが、VRM電源部分の発熱に不安が残るのでこのマザーボードでマニュアルOCは避けるのをお勧めします。
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PCI-Eスロットは上から[N/A、x16、x1、x1、x16(x8実装)、x1、x1]となっています。
最上位スロットが空きスロットになっているので大型のハイエンド空冷CPUクーラーを搭載してもスペースに余裕があります。5段目のx16スロットはx8帯域の内部端子が実装されており、NVMe SSDやマルチGPUで2枚目のグラフィックボードを搭載可能です。
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M.2スロットが1基しか搭載されていないので、2つのx16スロットが[x16, N/A]、[x8, x8]になる以外は、PCI-Eスロットには排他利用はないと思いますがマニュアルがないので確証はありません。

ファン端子はマザーボード下に2か所、CPUソケット左下に1か所、マザーボード右上に3か所の計6か所となっています。いずれもPWM対応4PIN端子です。CPUファンはCPUソケット右上の端子になっています。もっとも右上のファン端子は簡易水冷クーラーの水冷ポンプ向けの端子です。
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USB3.0端子は垂直と水平の2つが実装されていました。うち1つはフロントI/Oで使用されています。
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USB2.0端子は下に2つ実装されていました。うち1つはフロントI/Oで使用されています。
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以下マザーボード基板全体の大きめの写真になっています。
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MASTERPIECE i1620PA1のグラフィックボード

MASTERPIECE i1620PA1のサンプル機にはグラフィックボードとしてリファレンス(FoundersEdition)に似た形状の外排気クーラーを搭載したZOTAC製のGTX 1080廉価モデルが採用されていました。
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クーラーはリファレンスに酷似していますがバックプレートは非搭載です。
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要求する補助電源はリファレンス同様に8PIN*1となっています。
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ビデオ出力端子もリファレンスに準拠しておりDisplayPort*3、HDMI*1、DVI-D*1の5系統です。
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MASTERPIECE i1620PA1(i7 7700K)のCPU・ストレージ性能

MASTERPIECE i1620PA1のデフォルト構成で採用される17年1月に発売されたばかりの最新KabyLake世代CPU i7 7700K(4コア8スレッド、4コア同時最大4.4GHz)の性能をチェックしていきます。
比較対象に前世代のSkylake世代CPU i7 6700K(4コア8スレッド、4コア同時最大4.0GHz)とi5 6400(4コア4スレッド、3.2GHz)を使用してCPU性能を比較しました。
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i7 7700Kは最大4.5GHzと紹介されることが多いですが、実際はコアクロックが4.5GHzで動作するのは1コアのみに負荷がかかっている状態だけで、全コアに大きい負荷がかかる状態では全コアが4.4GHz動作となるので注意してください。
ただしCPUの倍率変更(オーバークロック)に対応したZ270マザーボードとi7 7700Kを組み合わせて使用した場合は、マザーボードによっては自動でOCをしてくれる場合があります。同BTO PCのマザーボード「MSI Z270-S01」では自動でOCは行われず4コア同時4.4GHz動作でした。
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CPUの動作倍率やコア電圧はBIOSからマニュアルでも変更可能になっています。ただしマニュアルでのオーバークロックは動作保証外の自己責任なので注意してください。
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CPUのベンチマーク測定の前にCPUクーラーの冷却ファンやケースファンの回転数についてですが、BIOSからファン制御を変更しています。MASTERPIECE i1620PA1にはCPUファンに加えてリアケースファンが搭載されており、デフォルトではファン回転数が1500~2000RPM程度でファンノイズが大きいのでBIOSのファンコン機能から次のように調整しました。なお同マザーボードのBIOSファンコン機能はグラフィカルUIによる設定のみなのでマウス操作が必須になっています。個人的にはキーボードで直打ちが好きなのでここはちょっと不満です。
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上のように変更したところ、CPUファンとケースファンはアイドル時に1000RPM程度に調整できました。
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CPU性能のベンチとしてよく使われるCinebenchのスコアはi7 7700Kでは961でした。最新世代のi7 7700Kは前世代となるSkyLake世代i7 6700Kよりも1割程度高速で4コア4スレッドのi5 6400よりも5割近く高い性能です。
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FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコード速度の比較を……、
通常なら行うのですが、エンコード開始数分後にCPU温度が70度後半になりファン回転数も3500RPMを超えてファンノイズが聞くに堪えなかったので同検証は断念しました。
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G-Tune MASTERPIECE i1620の内部チェックをしていた時点で一抹の不安を覚えていたのですが、正直に言ってこのクーラーはTDP91WのCPUと組み合わせて使うものじゃない
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以前、CPUクーラーの熱伝導グリスがちゃんと塗られておらず全く冷えないという事例もあったので、念のためにCPUクーラーを外してチェックしてみましたが、見た感じではCPUグリスには問題ありませんでした。
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銅柱が埋められているとはいえ厚さ30mmのアルミヒートシンクというのは、どう考えてもせいぜいTDP65WのKなしCPU向けCPUクーラーとしか思えません。なぜこのクーラーでi7 7700Kが冷やせると思ったのか。
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念のため当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗り直して再度検証してみました。
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グリスを塗り直してCPUクーラーが正常に設置できているのを確認して、3000RPM固定でファンをぶん回して動画のエンコードをしてみたものの……、まあ放熱容量が足りないものはどうしようもないですよね。サウンドレベルメーターで騒音値を測定してみたところ50dB越えでした。実用に耐えない。
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カスタマイズ項目をチェックしてみたところ同じくCoolerMaster製のサイドフロー型CPUクーラー「Hyper 212 EVO」にアップグレード可能になっているのですが、こちらは一般向けに3700円程度で販売されているものがアップグレード価格4800円でした。アップグレードで製品価格に追加料金が含む行為自体は否定しませんが、デフォルトでまともに冷やせないクーラーが採用されている、という前提があると印象が非常に悪いです。
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MASTERPIECE i1620PA1のレビュー機ではシステムストレージに最大連続リード1600MB/sのNVMe M.2 SSD「intel 600p Series 256GB SSDPEKKW256G7X1」、データストレージとして480GBのSSD「ADATA ASP550SS7-480GM-MI-B」と3TBのHDD「Seagate ST3000DM008-2DM166」が搭載されています。
ストレージ性能についてCrystalDiskMarkを使用して簡単にベンチマーク測定を行いました。左はシステムストレージのNVMe M.2 SSD、中央はデータストレージのSATA SSD、右はデータストレージのHDDになっています。システムストレージのNVMe M.2 SSD「intel 600p Series 256GB」は仕様値通り1600MB/sのシーケンシャルリードを弾き出しました。データストレージのHDDと比べると8倍以上の速度差です。ランダム性能は50倍以上の差があります。
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上画像のようなリード性能をもつHDD(データストレージ)にゲームを入れた場合、ゲームのロード時間がSSD(システムストレージ)に比べて実際にどの程度遅くなるのか測定してみました。高画質PCゲームのRise of the Tomb Raiderを使って「ゲーム起動→ゲーム再開」の流れでロード時間を測定した検証動画が次のようになっています。


動画を見ての通りHDDにゲームをインストールした場合のゲームのロード時間は大雑把に見てもSSDにインストールした場合の1.5倍近いロード時間になります。逆に言えばデータストレージにSSDを採用することでゲームのロード時間を1/3近く短縮することが可能です。
G-Tune MASTERPIECE i1620にはデフォルトではデータストレージにHDDが設定されていますが、カスタマイズからSSDも選択可能なので、管理人的にはシステムストレージは256GB、データストレージには500GB~1TBのSSDにカスタマイズするのがおすすめです。





MASTERPIECE i1620PA1(i7 7700K,GTX 1080)のグラフィック性能

さて本題の「MASTERPIECE i1620PA1(i7 7700K, GTX 1080)」のグラフィック性能をチェックしていきます。
MASTERPIECE i1620PA1ではGPUがGTX 1080という以外はグラフィックボードの型番が不明でしたが、レビュー用サンプル機にはZOTAC製の外排気クーラー搭載廉価モデルが搭載されていました。コアクロックはGTX 1080のリファレンス同様でブーストクロックは1734MHzです。
FF14ベンチ(フルHD、最高品質)のスコアは2万を超えているのでGTX 1080グラフィックボードなら、国内で人気のMMO RPGであるファイナルファンタジー14が快適にプレイできます。
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またNVIDIA系のグラフィックボードには専用のビデオキャプチャ機能「ShadowPlay」がありゲーム中のパフォーマンスをほとんど下げることなく高画質なプレイ動画を録画可能です。MASTERPIECE i1620PA1(i7 7700K, GTX 1080)であればフルHD以上の解像度でも高画質設定で最新のPCゲームを快適にプレイしながらプレイ動画の録画も可能です。



FF14ベンチ中のGPUコア温度、GPUコアクロック、GPUファン回転数のログを取って、その推移をグラフ化しました。リファレンスと同じく冷却性能のさほど高くない外排気クーラーを採用したグラフィックボードなのでGPU温度は最大80度を超えており、ファン回転数も2200RPMまで達するので静音性は高くありません、正直ファンノイズは煩いです。それなりに冷却性能の高い廉価オリファンモデルが流通している現在、スリムPCなどの特殊用途でもないのにこの種の外排気クーラー搭載廉価モデルを採用する意味が管理人にはちょっとわかりません。
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3DMarkのFireStrike各種のグラフィックスコアは次のようになりました。
MASTERPIECE i1620_bench_fs

FireStrike Extreme Ultra
MASTERPIECE i1620PA1
GTX 1080, i7 7700K
22533 10566 5213
GTX 1070, i7 7700K 18522 8719 4321
GTX 1060, i7 7700K 13678 6413 3060

また最新のDirectX12対応ベンチマークである3DMarkのTimeSpyのスコアは次のようになりました。
MASTERPIECE i1620_bench_ts

TimeSpy Asyncなし 性能比
MASTERPIECE i1620PA1
(GTX 1080, i7 7700K)
7062 6789 104%
GTX 1070, i7 7700K
5851 5648 104%
GTX 1060, i7 6700K
4228 4048 104%

続いて高画質PCゲーム各種のフルHDとWQHDの解像度におけるベンチマークを行いました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、The Divisionグラフィック設定)、Grand Theft Auto Vグラフィック設定)、Assassin's Creed Syndicate(最高設定、FXAA)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定)、The Witcher3(最高設定)、DARK SOULS III(最高設定)、Rise of the Tomb Raider(DX12、最高設定、FXAA)、WatchDogs_2グラフィック設定)、Battlefield 1(最高設定)、Titanfall 2グラフィック設定)以上の10タイトルです。
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NVIDIA Geforce GTX 1080は前世代のフラッグシップであるGTX 980tiやその後継となるGTX 1070よりも20%程度高性能なので、最新の高画質PCゲームのフルHD解像度・最高設定を60FPSオーバーの高リフレッシュレート液晶モニタで遊んだり、WQHD・最高設定を60FPS前後で安定してプレイが可能になっています。
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さらにGTX 1080とi7 7700Kを搭載したMASTERPIECE i1620PA1でVR HMDが遊べるのかをOculus Rift CV1やHTC Viveを使って試してみました。
VRHMD
背面のUSB3.0端子とGTX 1080のHDMI端子でOculusRiftCV1、HTC Vive共に問題なく認識されました。専用コントローラーの使用時はUSB3.0端子を3つ要求するOculus RiftでもXBOX ONEコントローラーやUSBマウスを併用可能でした。
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VR HMDネイティブ対応のPCゲームとしてEVE Valkyrie、Project Cars、The climb等を試しにプレイしてみました。EVE Valkyrie、Project Cars、The climbのいずれでも安定動作しました。

最後にi7 7700KとGTX 1080を搭載する「G-Tune MASTERPIECE i1620」の消費電力はアイドル時で35W程度、負荷時(FireStrikeExtremeストレステスト)で250W程度となりました。よりCPU負荷の大きいゲームでも全体でピーク300W以下の負荷に収まると思います。「G-Tune MASTERPIECE i1620」には電源ユニットとして700W電源 Bronze認証が搭載されているので電源容量は余裕です。
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アイドル時とPCゲーム負荷時の騒音値をサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して測定しました。参考値として電源OFF時の騒音値は33dB程、エアコンのアイドル運転時の騒音値が35dB程度です。なおCPUの動作検証でもチェックしたようにCPUファンが実用的ではないのでゲーム負荷時の騒音についてはAfterBunerからグラフィックボードのファン回転数を2200RPMに固定してCPUに負荷をかけずに測定しました。アイドル時は39.2dB、ゲーム負荷時は44.1dBとなりました。
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アイドル時についてはリアファンと電源ユニットの冷却ファン、ゲーム負荷時についてはグラフィックボードが最大の騒音源でした。


MASTERPIECE i1620PA1のレビューまとめ

最後にGTX 1080グラフィックボードと最新のIntel KabyLake CPUであるi7 7700Kを搭載する「MASTERPIECE i1620PA1」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 現行最上位のGTX 1080なら最新の高画質PCゲームを最高グラフィック設定で快適に遊べる
  • 高速NVMe M.2 SSDをシステムストレージに選択可能
  • キーボード&マウスがデフォルトで付いてくる
  • In Win 303をベースにしたPCケースは高級感がある。
  • M.2 SSD、PCI-E NVMe SSD、サウンドボード等も拡張可能
悪いところor注意点
  • BTO専用の廉価マザーボード採用なのでマニュアルがない
  • TDP91WのCPUであるi7 7700Kと組み合わせていいCPUクーラーではない
  • GTX 1080が外排気の廉価モデルなので静音・冷却性能は低い
  • リアファンがPWM非対応の3PINタイプでBIOSからの調整もされておらず煩い。
  • 電源、ケースファンいずれも静音性が低い

GTX 1080は前世代の最上位GTX 980tiを純粋な性能で20%も上回りながら、30%も省電力性能が向上した次世代GPUの名に恥じぬパフォーマンスを誇っています。GTX 1080搭載のBTO PCであれば最新の高画質PCゲームをフルHD・最高設定で高リフレッシュレートで快適に遊べ、WQHDの高解像度でも最高設定で60FPS前後で安定したプレイが可能です。
CPUについてもi7 7700KであればCPUボトルネックを心配することなく最新PCゲームを遊べるほか、NVIDIA GPUの標準機能であるShadow Playでプレイ動画を録画して自分で編集することも可能です。

とここまではGTX 1080やi7 7700Kを採用したPCなら共通に言えること。
はたして「MASTERPIECE i1620PA1」というBTO PCはどうなのか?というと、レビュー記事本文を読んでいただいたらだいたいわかっていただけると思いますが率直に言って『静音性はなく、CPUクーラー選択を誤ってしまった見掛け倒しのPC』と言わざるを得ない出来でした。
見る人が見れば電源もマザボも安いパーツを使ってるんだなとわかりますし、アイドルの時点でケースファンや電源ファンのファンノイズによって静音性が低く、負荷を掛ければTDP 91W CPUの発熱を御しきれないCPUクーラーを選択した熱設計の甘さが露呈します。
このPCがG-Tuneの最上位機種で、名機、名作(MASTERPIECE)を冠するのか……、と落胆を禁じえません。GTX 1080とi7 7700Kを搭載したBTO PCをお探しなら別の機種を探したほうがいいというのが正直な感想です。

以上「G-Tune MASTERPIECE i1620」BTO PCのレビューでした。
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おまけ:GTX 1080搭載BTO PCのカスタマイズ指南


現行最高性能のGTX 1080グラフィックボードを搭載するBTOのカスタマイズについて簡単に解説しておきます。
  • CPUについてはi5(7600や7600K)でもPCゲームならそこまで大きな性能差はありませんが、最新PCゲームはよりCPUを有効活用できるようになってきているのでGTX1080を選ぶならCPUもi7(7700や7700K)を搭載しておくのが無難だと思います。CPU型番の添え字については基本的に”K”なしのCPUで問題ありません。
  • システムメモリゲーム用途なら16GBあれば十分です。8GBでは足りない場合もあるので16GB以上を推奨します。メモリ枚数は合計容量が同じなら4枚でなくて2枚で大丈夫。
  • 電源容量は500W以上で問題ありません。予算が許すなら自作PCパーツとして一般販売されている変換効率Silver以上の電源を選ぶのがおすすめです。
  • システムストレージ(WindowsOSをインストールするストレージ)は必ずHDDではなくSSDを選んでください。HDDよりもGB単価は上がりますが実際に体感できるレベルでSSDのほうがキビキビ動きます。Windows10をインストールするシステムドライブのサイズは240GB以上であればOKです。
    PCゲーム用ストレージはシステムとは別に用意するほうが後々便利、加えてHDDではなくSSD推奨です。ゲーム用は可能なら960GB、少なくても480GBが望ましいです。
  • マザーボードは「Z270」とか「H270」とかチップセット名だけでなく「ASUS H270-PRO」のように市販のマザーボード名が記載されているor市販マザボを選択できるBTOが推奨です。市販のマザボであれば専用のマニュアルも存在しますし、何かトラブルがあってもググって解決法を見つけるのが容易になります。マザボメーカーは日本語マニュアルが一番しっかりしていてユーザー数の多いASUSを選ぶのが鉄板です。
以上の5項目さえ守ればそうそうハズレを引くことはないはずです。



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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