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2スロット占有2連ファンGPUクーラーを搭載する国内最安値クラスのGeForce RTX 2060 SUPERグラフィックボード「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL(型番:NE6206S018P2-1160A)」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。NVIDIA Turing世代のレイトレーシング&DLSSの普及帯製品としてリリースされたRTX 2060のマイナーアップデートとして登場したGeForce RTX 2060 SUPERが、前モデルのRTX 2060無印版をどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
製品公式ページ:https://www.palit.com/palit/vgapro.php?id=3338&lang=jp
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL レビュー目次
1.Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの外観
2.Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの分解
3.Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの検証機材
4.Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALのゲーム性能
5.Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの温度・消費電力・ファンノイズ
6.Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALのレビューまとめ
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの外観
早速、Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALを開封していきます。キャラメルボックス型の外スリーブから取り出した黒色段ボールの内パッケージを開くと、スポンジスペーサー&静電防止ビニールという一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のGPUクーラーの外装は黒色のプラスチック製です。艶のある鏡面やV字ドットパターンなど複数の表面加工が組み合わせられています。
グラフィックボード側面の「GEFORCE RTX」ロゴプレートの枠にはLEDイルミネーションが内蔵されています。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALは全長235mmでRTX 2060 SUPERグラフィックボードとしてはショート基板と言ってもいい、かなりコンパクトな長さです。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALは基板とGPUクーラーがPCIブラケットの高さとほぼ同じ背の低いデザインです。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のGPUクーラーには90mm径の冷却ファンが2基搭載されています。
RTX 2060 SUPERのオリファンモデルの中には3スロット占有クーラーを採用しているモデルも少なくはありませんが、「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」は2スロット占有です。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」ではヒートシンク本体にサーマルパッド経由でPCB基板が直接接触しており、VRAMチップとVRM電源に関して理想的な冷却構造が採用されています。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」の補助電源数はRTX 2060 SUPERのリファレンス仕様と同じくPCIE 8PIN*1となっています。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のビデオ出力はHDMI2.0、DisplayPort1.4、DVI-Dの3基が実装されています。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」には基板の反りや背面素子の破損を防止するバックプレートが搭載されています。バックプレートはプラスチック製なので、GPUコアやVRM電源の冷却を補助する役割はありません。
なおグラフィックボードの重量はGeForce RTX 2060 SUPER Founders Editionが970g、GeForce RTX 2060 Founders Editionが964gに対して、Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALは588gとなっており、RTX 2060 SUPERグラフィックボードとしてコンパクトなサイズの通り軽量です。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの分解
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回はレビュー用サンプル提供先の協力のもと特別に許可を頂いて分解を行っております。GPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のGPUクーラーは基板裏面のコア周辺4カ所とバックプレート上7か所のネジ11個で固定されていました。
ネジを外すとGPUクーラーとバックプレートは容易に取り外しができます。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」では、GeForce RTX 2060 SUPERのGPUコアに台湾製(TSMC製)のTU106-410A-A1が使用されていました。GDDR6メモリはMicron、Samsung、SK Hynixなどがすでに量産を行っていますが、今回入手した「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」にはMicron製の8Gb GDDR6メモリチップが搭載されています。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のVRM電源フェーズ数は7(5+2)フェーズでした。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のGPUクーラー本体をチェックすると、GPUコアと接する部分はVRAMやVRM電源と一括でアルミニウム製ベースプレートが採用され、ベースプレートのGPUコア直上部分で接した2本の銅製ヒートパイプから、アルミニウム製放熱フィンが2スロットスペース内いっぱいに展開されています。
GPUコアと接する部分には冷却性能の高さで定評のある銅製ベースプレートではなく、アルミニウム製ベースプレートが採用されています。VRAMチップやVRM電源も合わせてアルミニウムプレートとサーマルパッドを介して接し、ヒートシンク本体で直接冷却する構造です。安価なモデルなので仕方ないところですが、欲を言えば上位GPUの製品のようにGPUコア部分は銅製ベースプレートを採用して欲しかったです。
放熱フィン全体へ熱を拡散させる銅製ヒートパイプの本数は2本と少なめです。
2スロットを占有するGPUクーラー内いっぱいにアルミ製放熱フィンが収められています。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの検証機材
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Intel Core i7 7700K (レビュー) |
CPUクーラー |
Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
ASUS ROG RYUO 120 (レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
G.Skill Trident Z F4-3600C15D-16GTZ DDR4 8GB*2=16B (レビュー) |
システム ストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
データストレージ |
Samsung SSD 860 QVO 4TB (レビュー) | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) Corsair RM650i |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
ベンチ機のゲームデータストレージには、世界初のQLC NANDメモリ採用2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 QVO 4TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 QVO 4TB」は現行最新かつ主流なTLC型NAND採用のSATA3.0 SSDと同等のアクセススピードを実現しながら、同社の定番モデルである860 EVOの4TBモデルよりも大幅に安価なので、PCゲーム100GB超時代でも容量不足の心配無用なゲームデータストレージとしてオススメのSSDです。
・「Samsung SSD 860 QVO 4TB」をレビュー
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のGPUクーラー側面のGeForce RTXロゴプレートの枠にはLEDイルミネーションが内蔵されています。写真では白色に発光していますが、標準ではGPU温度に応じて発光カラーが変化します。専用アプリ「ThunderMaster」によって任意のカラーにも設定可能です。
「GeForce RTX 2060 SUPER」のスペックについて簡単に確認しておきます。
まず「GeForce RTX 2060 SUPER」はCUDAコア数が無印版から10%程度増え、RTX 2060無印版の1920基から2176基となってRTX 2070無印版の2304基に近いコア数です。VRAM速度はGDDR6 14Gbpsのまま据え置きですが、RTX 2060 SUPERの大きな注目ポイントとしてVRAM容量が無印版の6GBから8GBへと増量しています。
「RTX 2060 SUPER」は無印版よりも15%程度の高速化を果たしているとのことですが、高速化の反面、SUPER版は無印版よりもTGP(消費電力)が増加し、無印版の160Wから175Wへと引き上げられています。
NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER のスペック一覧 | ||||
GPU名 | RTX 2070 SUPER |
RTX 2070 | RTX 2060 SUPER |
RTX 2060 |
GPUダイ | TU104-410 | TU106-400 | TU106-410 | TU106-300 |
製造プロセス | 12nm FinFET | 12nm FinFET | 12nm FinFET | 12nm FinFET |
CUDAコア | 2560 | 2304 | 2176 | 1920 |
TMU/ROP | 184/64 | 144/64 | 136/48 |
120/48 |
RTコア | 40 | 36 | 32 |
30 |
Tensorコア | 320 | 288 | 272 | 240 |
ベースクロック | 1605MHz | 1410MHz | 1470 MHz | 1365MHz |
ブーストクロック (FE) |
1770MHz (") |
1620MHz (1710MHz) |
1650 MHz (") |
1680MHz (") |
メモリ | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 6GB GDDR6 |
バス幅 | 256-bit | 256-bit | 256-bit | 192-bit |
メモリクロック | 3500 MHz | 3500 MHz | 3500 MHz | 3500 MHz |
有効メモリクロック | 14000 MHz | 14000 MHz | 14000 MHz | 14000 MHz |
メモリ帯域 | 448 GB/s | 448 GB/s | 448 GB/s | 336 GB/s |
補助電源 | 8PIN+6PIN~ |
8PIN~ | 8PIN~ | 8PIN~ |
TDP / TGP (FE) |
215W | 175W (FE:185W) |
175W |
160W |
登場時期 |
19年7月 |
18年10月 | 19年7月 | 19年1月 |
価格 | 499ドル |
499ドル~ | 399ドル | 349ドル~ |
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」はリファレンス仕様の通りにブーストクロックは1650MHz、またパワーリミット(TDP)も175Wに設定されています。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALのゲーム性能
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「Radeon RX 5700」、「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、「EVGA GeForce GTX 1080 SC2」、「EVGA GeForce GTX 1070 SC ACX3.0」を使用しています。「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
RTX 2060 SUPER Palit Dual |
22010 | 10428 | 5113 |
Radeon RX 5700 | 23546 | 11213 | 5633 |
RTX 2060 FE | 19258 | 8990 | 4181 |
GTX 1080 | 22049 | 10602 | 5311 |
GTX 1070 | 17917 | 8477 | 4252 |
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。
TimeSpy | Async Off |
Extreme | |
RTX 2060 SUPER Palit Dual |
8533 | 7982 | 4014 |
Radeon RX 5700 |
7739 | 7025 | 3490 |
RTX 2060 FE |
7561 | 7071 | 3450 |
GTX 1080 |
7505 | 7151 | 3410 |
GTX 1070 | 5954 | 5711 | 2761 |
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードについて、17年中頃から普及しつつあるHTC VIVEやOculus RiftなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
Orange Room |
Cyan Room |
Blue Room |
|
RTX 2060 SUPER Palit Dual |
11921 | 8282 | 2615 |
Radeon RX 5700 |
11730 | 7804 | 2155 |
RTX 2060 FE |
11452 | 7776 | 2379 |
GTX 1080 |
11630 | 6648 | 2285 |
GTX 1070 | 9852 | 5338 | 1791 |
続いて2019年最新の実PCゲームを用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHDとWQHDの2種類の解像度で平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(最高設定プリセット, DirectX11)、Destiny 2(最高設定プリセット)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定から以下を変更、ターフエフェクト:オフ/ゴッドレイ:オン/ロングレンジシャドウ:オン)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX11)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)、The Witcher 3(個別設定を全て最高設定)以上の15タイトルです。
Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(最高設定プリセット, DirectX11)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Destiny 2(最高設定プリセット)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Gears 5(最高設定プリセット)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定から以下を変更、ターフエフェクト:オフ/ゴッドレイ:オン/ロングレンジシャドウ:オン)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX11)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Witcher 3(個別設定を全て最高設定)に関する「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALなどの5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALは前世代上位クラスのGeForce GTX 1070よりも30%以上も高速という結果になりました。
GeForce RTX 2060 SUPERはハードウェアスペックから推察できる通りRTX 2060無印版を10%以上上回り、VRAM容量も8GBに増量されているので、2019年下半期以降にリリースされる最新高画質PCゲームをフルHD解像度の最高画質設定でプレイするのに最適なGPUです。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの温度・消費電力・ファンノイズ
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALのテスト終盤におけるGPU温度は最大75度まで上がり、ファン回転数は最大2300RPM程度に達しました。似たようなサイズかつGPUクーラーでNVIDIA準リファレンスモデルなRTX 2060 SUPER Founders Editionと比較してGPUとファン回転数が共に高く、GPUクーラーの性能的には見劣りする結果です。
GPUコアクロックについては「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」の仕様値ではブースト1650MHzとなっていましたが、負荷テスト中の実動平均は1771MHzとなりました。ブーストクロックと電力制限の両方が同じくリファレンス値のRTX 2060 SUPER Founders Editionよりも50MHzほど低いコアクロックになっています。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALのファンノイズは、2300RPMという高めなファン回転数の通り、ノイズレベルも50.5dB程度と高く、2スロット占有GPUクーラーとは言えミドルハイクラスGPUを搭載したグラフィックボードと考えると静音性は低いという評価です。
【注意】 ファンノイズの比較グラフではレビュー製品と同等のGPUを搭載したグラフィックボードと各GPUのリファレンスモデルを抜粋して掲載しています。AMDが従来通り外排気GPUクーラーであるのに対し、NVIDIAのリファレンスモデルであるFounders Editionが内排気GPUクーラーを採用したため、NVIDIA<AMDという傾向になっていますが、あくまで静音性はGPUの消費電力とGPUクーラーの性能によります。同グラフからAMD製GPUを搭載したグラフィックボードが一般的にNVIDIA製GPUを搭載したグラフィックボードより煩いと考えるのは誤った評価なので注意してください。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALの消費電力は164W、最大瞬間負荷は214Wでした。Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUALのTDP(パワーターゲット)は175Wに設定されており、仕様値から考えると若干低めの消費電力になっています。
RTX 2060無印版の159Wよりも消費電力は増加しているものの、RTX 2060 SUPER FEよりは大分低めな消費電力となっており、省電力性能という面では優れた結果です。
Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL レビューまとめ
最後に「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新PCゲームをフルHD/最高画質設定でプレイ可能なグラフィック性能
- GTX 1070を30%以上も上回り、GTX 1080も超えるグラフィック性能
- RTX 20XX SUPERの登場で終売になったRTX 2070と同等の性能で100ドル安価に
- 235mmのショート基板かつPCIEブラケットと同じ高さ
- 2019年10月現在、税込み4.4万円程度と、RTX 2060 SUPERの中では最安値クラス
- GPUクーラーの冷却性能と静音性は低め
RTX 2060 SUPERは、シェーダー数の増加や動作クロック(TDP)の引き上げによってRTX 2060無印版よりも15%の高速化を果たし、さらにVRAM容量が6GBから8GBに増加したマイナーアップグレード版です。RTX 20XX SUPERシリーズの登場に伴ってモデルが乱立しており分かり難いのですが、単純に言うと「RTX 2070無印版が100ドル安価になってリブランドされたGPUがRTX 2060 SUPER」です。
RTX 2060 SUPERの性能は前述の通り無印版上位モデルRTX 2070とほぼ同等なので、フルHD/144FPSのハイフレームレートゲーミングやWQHD解像度における高画質なPCゲーミングに対応できる性能を備えています。
RTX 20XX SUPERシリーズの相関を簡単にまとめると下のようになっています。RTX 20XX SUPERシリーズの登場と共にRTX 2070無印版とRTX 2080無印版が終売になりましたが、RTX 2060無印版は継続して販売されており、RTX 2060 SUPERはRTX 2060の後継というより、100ドル安価になったRTX 2070という立ち位置です。しかしながら発売からしばらく経って価格が下がっていたRTX 2070と登場して1,2か月のRTX 2060 SUPERは、いずれも5万円台前半からで販売価格に差がほとんどなく、値下がりが実感するのが難しいというのが実状です。性能と価格の両面で今のところRTX 2060 SUPER≒RTX 2070なので、名前が紛らわしいですが、予算に応じて、4万円台からならRTX 2060、5万円台からならRTX 2060 SUPER or RTX 2070という具合に選択すればいいと思います。
「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」については、3DMark TimeSpy Stress TestでRTX 2060 SUPER FEよりもコアクロックが平均で50MHz程度低かったことからわかるように、ゲーム性能検証の平均性能比率においてRTX 2060 SUPER FEよりも数%程度性能が低くなっています。代わりに消費電力は限りなくRTX 2060無印版に近いので、RTX 2060より10%程度高速かつVRAM容量が8GBに増えていることを考えると、ワットパフォーマンスに優れたチューニングなオリファンモデルであると評価できます。
しかしながらGPUクーラーの冷却性能と静音性が低いのが玉に瑕でした。「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」は2019年10月現在、税込み4.4万円程度と、RTX 2060 SUPER搭載グラフィックボードの中では最安値クラスの製品であり、GPUクーラーもコストカットの対象となっているのでしょう。GPUクーラーの冷却性能や静音性を求めるのであれば、+5000円程予算が必要になりますが、大型クーラーを搭載した上位モデルのPalit GeForce RTX2070 SUPER JSなどを検討した方が良さそうです。
以上、「Palit GeForce RTX 2060 SUPER DUAL」のレビューでした。
・RTX 2060 SUPER 販売ページ:
<Amazon><PCショップアーク><パソコン工房>
<TSUKUMO><ドスパラ><PCワンズ><ソフマップ>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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