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完全ファンレスGPUクーラーを搭載したPalit KalmXシリーズの最新モデル「Palit GeForce GTX 1650 KalmX(型番:NE5165001BG1-1170H)」をレビューします。フルHD解像度/標準画質設定のPCゲーミングに最適なNVIDIA Turing世代エントリークラスGPUである「GeForce GTX 1650」が前世代同クラスで補助電源レスGPU上位モデルであるGeForce GTX 1050 Tiに対して、どの程度の性能が発揮できるのか実ゲームベンチマークで徹底比較します。
製品公式ページ:https://www.palit.com/palit/vgapro.php?id=3494
Palit GeForce GTX 1650 KalmX レビュー目次
1.Palit GeForce GTX 1650 KalmXの外観
2.Palit GeForce GTX 1650 KalmXの分解
3.Palit GeForce GTX 1650 KalmXの検証機材
4.Palit GeForce GTX 1650 KalmXのゲーム性能
5.Palit GeForce GTX 1650 KalmXの温度・消費電力・ファンノイズ
6.Palit GeForce GTX 1650 KalmXのレビューまとめ
【機材協力:サードウェーブ】
Palit GeForce GTX 1650 KalmXの外観
早速、Palit GeForce GTX 1650 KalmXを開封していきます。キャラメルボックス型の外スリーブから取り出した黒色段ボールの内パッケージを開くと、スポンジスペーサー&静電防止ビニールという一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。付属品はクイックマニュアルです。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」はファンレスGPUクーラーを搭載したモデルなので通気性を上げるため外装は装着されておらず。装飾は中央下寄りのホワイトゴールドのプレートだけです。一般的なGPUクーラーヒートシンクと比較してファンレスでも十分な放熱ができるように放熱フィンのピッチは広くなっています。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」は全長178mmでGTX 1650グラフィックボードでは主流なショート基板になっています。Mini-ITXマザーボードに組み込んでもマザーボード基板からグラフィックボードがほぼはみ出すことのない、Mini-ITX完全対応なグラフィックボードです。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」はGPUクーラーも含めてMini-ITX完全対応なショートサイズですが、GPUクーラーがPCIEブラケットよりも35mm程度はみ出す、背の高いグラフィックボードなので、PCケースサイドパネルとの干渉には注意が必要です。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」の厚みは2スロット占有です。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」はリファレンス仕様と同じコアクロックで動作するモデルですが、リファレンスと同じく補助電源が不要です。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXのビデオ出力はHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×2の3基が実装されています。エントリークラスGPUのビデオ出力としては標準的な構成です。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXはショート基板なので基板の反りを防止する必要はありませんが、基板の背面保護や放熱の補助の役割を果たすバックプレートは非搭載です。
なおグラフィックボードの重量はMSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCが371g、Palit GeForce GTX 1660 6GB StormX OCが406gに対して、Palit GeForce GTX 1650 KalmXは371gとなっており、GTX 1650グラフィックボードとしてはコンパクトなサイズのとおり軽量です。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXの分解
Palit GeForce GTX 1650 KalmXを分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回はレビュー用サンプル提供先の協力のもと特別に許可を頂いて分解を行っております。GPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXのGPUクーラーは基板裏面のコア周辺4カ所のネジ4個で固定されていました。
4か所のネジを外すとGPUクーラーは容易に取り外しができます。
ショート基板からもわかるように「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」にはPalitが独自に設計したオリジナル基板が採用されています。
GeForce GTX 1650のGPUコアにはTU117-300-A1が使用されていました。GDDR5メモリはMicron、Samsung、SK Hynixなどがすでに量産を行っていますが、今回入手した「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」にはSamsung製の8GbのGDDR5メモリチップが搭載されています。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のVRM電源フェーズ数は3(2+1)フェーズでした。VRM電源の冷却については、GPUクーラー本体とサーマルパッドを介して接するという理想的な構造です。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のGPUクーラー本体をチェックすると、GPUコアと接する部分は銅製ベースプレートが採用され、ベースコアからは2本の銅製ヒートパイプが伸び、アルミニウム製放熱フィンが2スロットスペース内いっぱいに展開されています。
GPUコアと接する部分には冷却性能の高さで定評のある銅製ベースプレートが採用されています。またGPUコア周辺のVRAMチップはヒートシンクにろう付けされた金属製プレートとサーマルパッドを介してヒートシンク本体で直接冷却する構造です。
VRM電源についてもMOS-FETやインダクタがサーマルパッドを挟んで直接にGPUクーラーヒートシンク本体と接するという理想的な構造になっています。
2スロットのスペースに収まる限界で分厚いアルミ製放熱フィンが展開されています。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXの検証機材セットアップ
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、Palit GeForce GTX 1650 KalmXを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Intel Core i7 7700K (レビュー) |
CPUクーラー |
Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
ASUS ROG RYUO 120 (レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
G.Skill Trident Z F4-3600C15D-16GTZ DDR4 8GB*2=16B (レビュー) |
システム ストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
データストレージ |
Samsung SSD 860 QVO 4TB (レビュー) | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) Corsair RM650i |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
ベンチ機のゲームデータストレージには、世界初のQLC NANDメモリ採用2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 QVO 4TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 QVO 4TB」は現行最新かつ主流なTLC型NAND採用のSATA3.0 SSDと同等のアクセススピードを実現しながら、同社の定番モデルである860 EVOの4TBモデルよりも大幅に安価なので、PCゲーム100GB超時代でも容量不足の心配無用なゲームデータストレージとしてオススメのSSDです。
・「Samsung SSD 860 QVO 4TB」をレビュー
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のコアクロックはGeForce GTX 1650の定格値である1665MHzに一致し、パワーリミット(TDP)もリファレンス仕様値75Wのままです。
「GeForce GTX 1650」は製品仕様においてGPUエンコーダーのバージョン情報は『NVEnc(Volta)』と表記されており、Turing世代のGPUでサポートされる最新のGPUエンコーダー機能のうち、「HEVC B Frame」は非サポートです
「GeForce GTX 1650」のGPUエンコーダーのバージョンはVolta世代とのことですが、対応するデコード機能に注目してみると、Volta世代のTITAN Vが非対応のH.265 YUV 4:4:4形式にGTX 1650は対応しています。
Truing世代GPUの登場とともに高画質化・高速化のアップグレードが施されたNVEncの諸事情についてはこちらの記事で解説しているので、気になる人は参考にしてください。
・【快適配信:5】Turing&新SDKによるNVEncの高画質・高速化を解説
Palit GeForce GTX 1650 KalmXのゲーム性能
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 SUPER Twin Fan」、「SAPPHIRE PULSE Radeon RX 5500 XT 8G GDDR6」、「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」、「EVGA GeForce GTX 1060 6GB SC ACX2.0」、「XFX Radeon RX 480 8GB TRIPLE X」、「ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti OC Edition」を使用しています。「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1650 Palit KalmX |
8882 | 3875 | 1694 |
GTX 1660 SUPER | 15972 | 7119 | 3093 |
RX 5500 XT 8GB | 14342 | 6809 | 3514 |
GTX 1650 SUPER | 12163 | 5213 | 2112 |
GTX 1060 6GB | 13056 | 6256 | 3023 |
RX 480 8GB |
14136 | 6285 | 3153 |
GTX 1050 Ti |
7639 | 3627 | 1780 |
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。
TimeSpy | Async Off |
Extreme | |
GTX 1650 Palit KalmX |
3289 | 3208 | 1501 |
GTX 1660 SUPER | 5982 | 5693 | 2725 |
RX 5500 XT 8GB | 4821 | 4350 | 2153 |
GTX 1650 SUPER | 4682 | 4518 | 2018 |
GTX 1060 6GB | 4281 | 4124 | 1950 |
RX 480 8GB |
4085 | 3923 | 1824 |
GTX 1050 Ti | 2391 | 2278 | 1109 |
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードについて、17年中頃から普及しつつあるHTC VIVEやOculus RiftなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
Orange Room |
Cyan Room |
Blue Room |
|
GTX 1650 Palit KalmX |
5272 | 3265 | 1028 |
GTX 1660 SUPER | 8858 | 5824 | 1812 |
RX 5500 XT 8GB | 7192 | 5142 | 1344 |
GTX 1650 SUPER | 7104 | 4810 | 1464 |
GTX 1060 6GB | 7175 | 3901 | 1291 |
RX 480 8GB |
6977 | 4600 | 1172 |
GTX 1050 Ti | 4003 | 2207 | 714 |
続いて2019年最新の実PCゲームを用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD解像度で平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(超高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(高設定プリセット, DirectX11)、Destiny 2(最高設定プリセット)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(非常に高い設定プリセット)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX11)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(とても高い設定プリセット)、The Witcher 3(個別設定を全て最高設定)以上の15タイトルです。
Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Assassin's Creed Odyssey(超高設定プリセット)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(高設定プリセット, DirectX11)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Destiny 2(最高設定プリセット)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Gears 5(最高設定プリセット)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(非常に高い設定プリセット)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX11)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(とても高い設定プリセット)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Witcher 3(個別設定を全て最高設定)に関する「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXなど7種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、Palit GeForce GTX 1650 KalmXは同じく補助電源不要モデルで前世代同クラスのGeForce GTX 1050 Tiよりも平均で30%程度、ベストケースでは40%も上回ると性能を発揮しました。2019年以降にリリースされる最新高画質PCゲームをフルHD解像度の標準画質、負荷が軽めのものであれば高画質設定でプレイできるグラフィック性能です。
「GeForce GTX 1650」はあくまでエントリークラスGPUなので、Turing世代のミドルクラスGPUであるGTX 1660シリーズや同GPUのマイナーアップデート版でほぼGTX 1660なGTX 1650 SUPERはもとより、前世代のGTX 1060 3GB/6GBにも及びませんが、補助電源不要という制約の中で30%以上性能を伸ばしてきたところは評価に値すると思います。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXの温度・消費電力・ファンノイズ
Palit GeForce GTX 1650 KalmXの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
今回の温度検証は下の写真のようにベンチ板上、グラフィックボード回りにほぼ気流がない状態で測定しています。「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」は完全ファンレスGPUクーラー搭載モデルなので、PCケース内に組み込んだ場合、PCケースファンの生み出す気流によって冷却が補助されよく冷えたり、逆に熱が滞留してベンチ板測定より悪い状態になる可能性もあります。「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のような完全ファンレスGPUクーラー搭載モデルはアクティブ冷却モデルに比べて運用環境に影響されるところが大きいので注意してください。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXはテスト開始から10分弱で、GPU温度が温度によってGPUコアクロックやGPU電力に制限のかかる上限温度である最大84度に達しました。GPU温度の上昇に従ってコアクロックが徐々に低下し、上限温度の84度に達した時点でステップ状に大きく下がる様子も確認できます。
サーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してGPUクーラー表面やグラフィックボード基板背面をチェックしてみましたが、100度を超えるような異常に発熱した部位もなく、GPUクーラーによってグラフィックボード基板上の熱は拡散されていることが分かります。
GPUコアクロックを一般的なオリファンモデルであるMSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCと比較すると、ファクトリーOCとリファレンスというコアクロック設定値の違いを差し引いても、完全ファンレスGPUクーラーを搭載した「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のコアクロックがGPU温度を要因として下がっていることが分かります。単純にコアクロックから換算すると今回のケースでは「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」は一般的なGTX 1650よりも10%前後性能が低下する可能性もあり、運用に当たってはPCケース内において適切なエアフローを確保したいところです。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXのファンノイズについては、完全ファンレスなGPUクーラーを搭載したモデルなので当然ながらグラフィックボードからファンノイズは発生せず、負荷時のノイズレベルは環境音の33dB前後となります。
ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
Palit GeForce GTX 1650 KalmXの消費電力は54W、最大瞬間負荷は68Wでした。Palit GeForce GTX 1650 KalmXのTDP(パワーターゲット)はリファレンス仕様値と同じ75Wに設定されていますが、同じく補助電源不要でTDP75WのGTX 1050 Tiと比較すると、消費電力は10W程度増加しています。
GTX 1050 Ti比では若干の消費電力上昇が確認されましたが、とはいえミドルクラスのGTX 1660やGTX 1060と比較すれば半分ちょっとという非常に優れた省電力性能を実現しており、NVIDIAがGeForce GTX 1650のローンチにおいてデスクトップ向けよりもモバイルゲーミングPC搭載版の広報に力を入れていたのも納得です。
なお一般的なGeForce GTX 1650と比較して消費電力が若干低くなった理由については消費電力推移を確認すると簡単に分かります。上の温度検証では10分弱でGPU温度が制限上限値となる84度に達しましたが、そのタイミングでGPU消費電力も下がっています。
テスト前半については「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」の消費電力も一般的なGeForce GTX 1650と同じく58W前後、一方でテスト後半は上の結果よりもさらに低い50W程度まで下がっていました。ほぼ気流のないベンチ板測定においてはGeForce GTX 1650の一般的なGPU消費電力である58W程度を十分に放熱しきれず、電力制限がかかっていると見ることもでき、「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を運用する上でベストパフォーマンスを期待するならPCケース内エアフローに注意する必要があることもより伝わると思います。
Palit GeForce GTX 1650 KalmX レビューまとめ
最後に「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新PCゲームをフルHD/標準画質~高画質設定でプレイ可能なグラフィック性能
- GTX 1050 Tiを平均で30%程度、ベストケースでは40%近く上回るグラフィック性能
- GTX 1050 Tiを30%上回るグラフィック性能
- PCIE補助電源が不要
- 全長178mmのMini-ITX対応ショートモデル
- 完全ファンレスGPUクーラー搭載グラフィックボードとしては最速
- 希望小売価格149ドルからと安価なエントリークラスGPU
- GTX 1650 SUPERやGTX 1660と比べるとグラフィック性能が一段劣る
- PCケース内構成によっては一般的なGTX 1650より10%弱性能が下がる可能性がある
- NVEncは最新Turing世代ではない
GeForce GTX 1650は同じく補助電源不要で前世代同クラス上位モデルのGTX 1050 Tiを30%程度も上回ります。Turing世代のGPUは古いゲームよりも2018年以降に登場する最新ゲームでより高速化の恩恵が受けられる傾向があり、ベストケースでは40%程度も上回るパフォーマンスを発揮します。
GeForce GTX 1650は2019年以降に登場する最新高画質PCゲームをフルHD/標準画質でプレイするのに最適なグラフィック性能があり、最新Turing世代ではなく前世代NVEncではありますが軽量・高画質なハードウェアエンコーダにも対応しており、価格帯も149ドルからと安価なので、CPUに予算を割けないエントリークラスのゲーミングPCで動画配信を気軽に始めることができるところもアピールポイントだと思います。
「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」については言うまでもなく、完全ファンレスGPUクーラーを搭載したグラフィックボードであるところが他製品には代替の効かない唯一無二の魅力です。完全ファンレスGPUクーラー搭載グラフィックボードでこれまで最速だった製品は同シリーズ前モデルのPalit GeForce GTX 1050 Ti KalmXですが、最新世代GPUであるGeForce GTX 1650に更新されたことによって、「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」は性能を30%も伸ばし、2020年最新PCゲームにも対応可能なグラフィック性能を備えています。
注意点としては完全ファンレスGPUクーラー搭載モデル一般の話ではありますが、完全ファンレスクーラーを搭載しているからといって如何なる環境でも問題なく最大性能を発揮できるわけではなく、実際に発揮できる性能はPCケース内エアフローの状態に左右されます。
実ゲームを使用したベンチマーク測定は比較的短時間の測定を各ゲームで繰り返すのでサーマルリミットの影響も小さく一般的なGeForce GTX 1650と比較して総合して5%前後の性能低下に収まっていますが、環境によっては10%前後の性能低下になる可能性もあります。
GeForce GTX 1650はGeForce GTX 1050 Tiに比べて10W前後の消費電力増となっているので、上で書いたように30%程度の性能向上を発揮できるかどうかは運用環境も重要になるので注意してください。
以上、「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」のレビューでした。
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完全ファンレスGPUクーラーを搭載したPalit KalmXシリーズの最新モデル「Palit GeForce GTX 1650 KalmX」をレビュー。GeForce GTX 1050 Tiと実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較https://t.co/1uDWn4AF3M
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) April 11, 2020
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