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可変リフレッシュレート同期機能「G-Sync Compatible / FreeSync」に対応、フルHD解像度で144Hzリフレッシュレートの23.8インチサイズIPS液晶ゲーミングモニタ「ViewSonic XG2405-7」をレビューしていきます。この高スペックで製品価格が2.5万円という非常に高いコストパフォーマンスを実現する同製品は買いなのか、徹底検証していきます。
製品公式ページ:https://www.viewsonic.com/jp/products/lcd/XG2405-7.php
マニュアル:http://www.viewsonicglobal.com/public/products_download/user_guide/Display/XG2405-7/XG2405-7_UG_JPN.pdf
ViewSonic XG2405-7 レビュー目次
1.ViewSonic XG2405-7の概要
2.ViewSonic XG2405-7の開封・付属品
3.ViewSonic XG2405-7の液晶モニタ本体
4.ViewSonic XG2405-7のOSD操作・設定
5.ViewSonic XG2405-7の発色・輝度・視野角
6.ViewSonic XG2405-7の144Hzリフレッシュレートについて
7.ViewSonic XG2405-7の応答速度・表示遅延
8.ViewSonic XG2405-7のFreeSync/G-Sync CPについて
9.ViewSonic XG2405-7のレビューまとめ
【機材協力:ViewSonic Japan、サードウェーブ】
ViewSonic XG2405-7の概要
「ViewSonic XG2405-7」は解像度が1920×1080のフルHD解像度、画面サイズが23.8インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用されています。コントラスト比は通常1,000:1、応答速度は1ms(MPRT)、輝度は最大250nit(cd/m^2)です。「ViewSonic XG2405-7」のリフレッシュレートはネイティブ144Hzです。144Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
「ViewSonic XG2405-7」はAMD/NVIDIA製グラフィックボードやXbox One Xを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」にも対応しており、ティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。AMD FreeSyncに対応したビデオ出力はDisplayPortで、対応フレームレートは48Hz~144Hzと広範囲です。
「ViewSonic XG2405-7」に搭載されたビデオ入力はHDMI1.4×2、DisplayPort1.2×1の3系統です。全てのビデオ入力がフルHD/144Hzに対応します。
「ViewSonic XG2405-7」の寸法はモニタスタンド込みで幅540mm x 高さ433~521mm x 奥行239mm(モニタ単体では43mm)となっています。付属モニタスタンドは上下チルト、左右首振りスイーベル、昇降高さ調整に対応しています。90度回転ピボットにも対応しています。チルト角は上20度から下5度、スイーベル角は左右45度、高さ調整は最大120mmの範囲で調節可能です。本体重量はモニタスタンドありで6.7kg、モニタスタンドなしの液晶パネル本体のみは3.4kgとなります。VESA100x100マウントにも対応しておりモニタアームも使用可能です。
ViewSonic XG2405-7の開封・付属品
まずは「ViewSonic XG2405-7」を開封していきます。「Pixio PX277h」のパッケージサイズは幅699mm×高さ402mm×厚み182mmで23.8インチサイズの液晶モニタが入っている箱としては大きめ、重量は8kg程度です。上側には持ち手が付いているので女性でも持ち運べると思います。
各種付属品はスペーサーに蓋もなく収められているので、保護スペーサーをパッケージから取り出す際は、付属品が脱落しないように、付属品のある面が上になるように確認してから引き出してください。
「ViewSonic XG2405-7」の付属品を簡単にチェックしておくと、HDMIケーブル、ACケーブル、ケーブルホルダー、クイックマニュアル&保証書です。
「ViewSonic XG2405-7」のビデオ入力はDisplayPort1.2とHDMI1.4×2の計3つがありますが、付属するケーブルはHDMIケーブルの1本だけです。
各種ケーブルを個別に購入するのであれば、4K/120Hz対応のDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」、HDMI2.0ケーブルなら「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ DH-HDP14ESBKシリーズ」がおすすめです。いずれも標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.0m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.5m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 2.0m
エレコム
「ViewSonic XG2405-7」に付属するモニタスタンドはフレームとフットプレートの2つの部品で構成されていますがフレームは最初からモニタ本体に装着済みです。
フットプレートをフレームに差し込んで底面のネジを締めるだけで簡単にモニタスタンドを組み立てられます。ネジにはレバーが付いているのでドライバー不要で組み立てが可能です。
ViewSonic XG2405-7の液晶モニタ本体
続いて「ViewSonic XG2405-7」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。「ViewSonic XG2405-7」の上と左右はフレームレス構造ですが、フレーム内パネル上には非表示領域があり、上左右の非表示領域の幅は7mm程度、フレームのある下は20mm程度です。下フレームの中央にはViewSonicのメーカーロゴが描かれています。
「ViewSonic XG2405-7」の外装は黒色プラスチックで中央にはViewSonicのメーカーロゴが描かれていることを除けばシンプルな作りです。モニタスタンドもシンプルな黒色塗装です。モニタスタンドの最上部には持ち手、中ほどの小さい穴には付属品のケーブルホルダーを装着できます。
「ViewSonic XG2405-7」のモニタ本体の厚さは外周の最薄部で10mm、最厚部で45mmほどと最近の液晶モニタとしては厚標準的な厚みです。モニタ本体重量は3.4kg程度と軽量です。
「ViewSonic XG2405-7」のモニタ本体背面には、下に向いてAC端子やIOポートが実装されています。
背面の右側にIOポートはまとめらており、右から順に、HDMI1.4ビデオ入力×2、DisplayPort1.2入力、ヘッドホン用3.5mmジャックが設置されています。
「ViewSonic XG2405-7」の付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に20度です。
左右スイーベルの可動域として左右45度(90度)に対応しています。首振りの可動域は非常に広いです。
モニターの高さはモニター本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、全高で433mm~521mmの範囲内で調整できます。
「ViewSonic XG2405-7」の付属モニタスタンドはピボットに対応しており、縦向きにして使用できます。
「ViewSonic XG2405-7」はVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も3.3kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
モニターアームについては管理人は「Lumen MA-GS102BK」、もしくは色違いでほぼ同機能な「サンワダイレクト 100-LA018」という製品をおすすめしています。モニターアームというとエルゴトロン製が一番の売れ筋ですが、クランプのネジが下に伸びているタイプのモニターアームは机に干渉して使えないという問題があり、MA-GS102BKはクランプを上側から六角レンチで締めるタイプでテーブル下の隙間が狭いデスクでも使用できるので管理人も使っています。
「Lumen MA-GS102BK」はモニタとアームを接続する部分がクイックリリースのブラケット式になっていてモニタアームからモニタ本体の着脱が非常に簡単です。ピボット機能もあるので設置後にモニタを縦・横で向きを切り替えることもできます。ただ関節の滑りに若干難があるので潤滑剤を塗布するのがおすすめです。
ViewSonic XG2405-7のOSD操作・設定
「ViewSonic XG2405-7」のOSD操作は正面から見て右裏にある5つのボタンを使用します。上から順番に1ボタン、2ボタン、3ボタン、4ボタン、電源ボタンです。「ViewSonic XG2405-7」を最初に起動するとOSDの言語設定が表示されます。
「ViewSonic XG2405-7」の2ボタン、3ボタン、4ボタンのいずれかを押下するとOSD詳細設定メニューが表示されます。OSDメニューは23.8インチ画面の6分の1程度を占有するサイズでウィンドウは大きいですが、文字は小さいので視認しにくく感じるかもしれません。
また上記の初回設定で誤って日本語以外の言語(特に最初にカーソルが合っている英語など)を設定してしまった場合は下記の操作手順で日本語UIに切り替えが可能です。
OSDメニュー非表示の状態で1ボタンを押下するとクイックメニューが表示されます。クイックメニューには、Viewモード、輝度&コントラスト、音量、ビデオ入力選択の4つの項目があり、4ボタンの押下で項目を切り替えることができます。
「ViewSonic XG2405-7」のOSD詳細設定メニューには大きく分けて、「入力選択」「音声調整」「Viewモード」「カラー調整」「画像調整」「設定メニュー」の6つの項目が用意されています。
「ViewSonic XG2405-7」の画質モードはOSDメニューのViewモードとして配置されており、標準、FPS、RTS、MOBA、映画、ウェブ、テキスト、MAC、モノクロの計9種類があります。標準設定は標準モードです。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、「ViewSonic XG2405-7」では「応答速度」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度を標準/高速/超高速の3段階で設定ができて、標準設定は標準になっています。
黒の強弱を調節して暗がりの視認性を高める機能「Black Stabilization」も用意されており、補正強度は0~100の間で10刻みに設定でき、数値を上げるほど明るく(白く)なります。標準設定は補正を行わない50です。
可変リフレッシュレート同期機能AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)は、「設定メニュー」の項目内に「AMD FreeSync」の名前で設定項目が配置されています。標準ではオフになっています。
「ViewSonic XG2405-7」はモーションブラーリダクション機能にも対応しており、「設定メニュー」の項目内に「1ms Mode」の名前で配置されています。標準ではグレーアウトしており選択できませんが、リフレッシュレートが120Hzもしくは144Hzの時に選択可能となります。なお1ms Modeを有効にするとFreeSyncは自動的にオフになり、併用はできません。
モーションブラーリダクション機能についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は参照してください。
・ゲーミングモニタの選び方[2] モーションブラーリダクションについて
最近のゲーミングモニタに便利機能として採用の多い定番のOSDクロスヘア表示や、可変リフレッシュレート同期機能の動作確認に便利な、リアルタイムリフレッシュレートをOSD表示する機能は、「ViewSonic XG2405-7」に搭載されていないのは少し残念です。
ViewSonic XG2405-7の発色・輝度・視野角
ViewSonic XG2405-7の発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがViewSonic XG2405-7の液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「ViewSonic XG2405-7」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 (高RR) |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[4] IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説
144Hzの高速リフレッシュレートながらIPS液晶パネルが採用されているので、「ViewSonic XG2405-7」は色味それ自体という意味では視野角に応じた欠損や破綻もなく良好なのですが、ある程度の傾斜を境にして急激に輝度が下がって見えるのが気になりました。
IPS液晶モニタの特長として確かに視野角の傾斜が大きくなるほど輝度が下がって暗くなる傾向はありますが、これまで検証してきたIPS液晶モニタの中でも「ViewSonic XG2405-7」はその傾向が特に顕著で、傾斜が付いた時に上下、左右のコントラストが大きいのが下の写真で見て取れると思います。
類似スペックかつ価格的にも2~3万円で競合する「Pixio PX247」や「ASUS TUF Gaming VG259Q」と比較してもその傾向が見て取れると思います。
「ViewSonic XG2405-7」の発色について、色温度の標準設定である標準で、白色が極端に黄色や青色がかって見えることもなく、特に違和感はありませんでした。色温度設定には暖色/標準/寒色/青色の濃さ(Bluish:非常に青みが強い)の4種類のプリセットがありますが、これらを切り替えても発色に違和感がある場合は、ユーザーカラー設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。
ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 2を使用しています。
余談ですが、分光式のi1 Basic Pro 2は20万円程と非常に高価ですが(2020年4月現在は後継のProが発売済みでPro2は終売)、一般的な用途であれば測定精度は十分なので、イラスト製作や写真編集でカラーキャリブレーションを行う場合、カラーフィルター式のX-Rite i1 Display ProかDatacolor SpyderX Proで十分です。ユーザー数の多さで面倒が少ないのはX-Rite i1 Displayだと思います。
「ViewSonic XG2405-7」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「ViewSonic XG2405-7」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度40~50%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度80~90%です。最大輝度でも300cd/m^2程度なので、輝度が低めなモニタです。
「ViewSonic XG2405-7」は黒挿入を行って残像を低減させるモーションブラーリダクション機能に対応していますが、同機能を使用すると輝度は100cd/m^2未満に下がり、かなり暗くなってしまいます。MBRを採用している他社製品と比較しても非常に低輝度です。
「ViewSonic XG2405-7」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、120cd/m^2を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「ViewSonic XG2405-7」については全体を白表示にすると左右端に若干の輝度低下が見受けられますが、カラフルな一般的表示においてはほとんど問題にならないレベルとなっており、均一性は良好です。
画面中央の白色点が約120cd/m2になるOSD設定において「ViewSonic XG2405-7」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。ブラックレベルの測定にはX-Rite i1 Display Pro Plusを使用しています。
またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。
「ViewSonic XG2405-7」の色域と色の正確性を検証してみました。
まずはモニタのOSD設定を標準にして(ディスプレイ輝度のみ120cd/m^2になるように調整)、任意のカラープロファイルを適用しない場合、次のようになりました。
「ViewSonic XG2405-7」は標準設定でそのまま使用しても100% sRGBをカバーしています。
色の正確性は平均ΔEが0.78となっており、なかなか優秀です。X-Riteによると『ΔE=1程度で2つの色を横にくっつけて見比べた時に違いが判別できるレベル』とのこと。
次にX-Rite i1 Basic Pro 2を使用してカラーキャリブレーションを行いました。キャリブレーション設定は下のスクリーンショットの通りですが、i1 Profilerの標準設定をそのまま採用しています。
「ViewSonic XG2405-7」では色温度を標準設定にすればRGBの強さは綺麗にバランスが取れていました。
X-Rite i1 Basic Pro 2によるカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、上と同様に色域と色の正確性を測定したところ次のようになりました。
「ViewSonic XG2405-7」はキャリブレーションによってΔEの平均値が0.77に下がり、色の正確性が僅かに高くなりましたが、あまり大きな差はないようです。
参考までにX-Rite i1 Basic Pro 2で行った品質検証(色の正確性の検証)の結果は次のようになっています。X-Rite i1 Basic Pro 2は分光式(スペクトロメーター)のカラーキャリブレータなので、測定精度はこちらの方が高いはずです。
上の測定結果ではカラーキャリブレーション後も色の正確性はΔE 0.77でしたが、X-Rite i1 Basic Pro 2で測定した色の正確性はΔE 0.5でした。
また分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
「ViewSonic XG2405-7」については青色ピークの立ち上がりは鋭いものの、緑と赤の分離が弱く、また青に比べてピークも低いという一般的な液晶モニタの特長です。
ViewSonic XG2405-7の144Hzリフレッシュレートについて
「ViewSonic XG2405-7」の最大の特徴の1つである144Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。まずは「ViewSonic XG2405-7」の特徴の1つである”144Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。さらに最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも販売されています。
1秒間に144回の画面更新を行う144Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
「ViewSonic XG2405-7」ではNVIDIA GeForce RTX20/GTX16シリーズやAMD Radeon VII/RX Vega/5XXシリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.2もしくはHDMI1.4のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを144Hzなどに自由に設定できます。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
NVIDIA公式からもハイリフレッシュレートなゲーミングモニタとハイフレームレートに対応可能な高性能グラフィックボードを使用するメリットについて紹介する「動画が公開されています。
なお「ViewSonic XG2405-7」でフルHD解像度/144FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能がそれなりに要求されます。液晶モニタに「ViewSonic XG2405-7」を使用するのであれば2019年最新のミドルハイクラスGPUであるNVIDIA GeForce RTX 2060やAMD Radeon RX 5600 XTがおすすめです。
・GeForce RTX 20XX/GTX 16XX SUPERシリーズのレビュー記事一覧へ
・Radeon RX 5700シリーズのレビュー記事一覧へ
ViewSonic XG2405-7の応答速度・表示遅延
次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「ViewSonic XG2405-7」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。まずは「ViewSonic XG2405-7」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
「ViewSonic XG2405-7」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「応答速度」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度を標準/高速/超高速の3段階で設定ができて、標準設定は標準になっています。
「ViewSonic XG2405-7」のオーバードライブ設定は144Hzにおいては”超高速”が最適な設定ですが、そのままで60Hzなどにリフレッシュレートを下げるとオーバーシュートの逆像が発生します。低リフレッシュレートでオーバーシュートの発生しない綺麗な応答を実現するには、60Hzでは”高速”もしくは”標準”を選択する必要があるので注意してください。
応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
「ViewSonic XG2405-7」に採用されているIPS液晶パネルは傾向として応答速度が比較的遅いのですが、最大リフレッシュレートの144Hzで動作させた場合(オーバードライブ設定は最適値:超高速)、1つ前が薄く、2つ前がごくごく薄っすらとフレームが残りました。ベストケースでも物理的な残像は残りますが、フルHD/144Hz/IPS液晶の初期製品と比べれば応答速度が改善されています。
さらに「ViewSonic XG2405-7」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
「ViewSonic XG2405-7」のリフレッシュレートを144Hzにした時、オーバードライブ設定を最大設定の”超高速”に変更するとオーバーシュートも発生せず、標準や高速よりも応答速度が改善します。144Hz固定や100~144Hzの可変リフレッシュレート同期であればオーバードライブ設定は”超高速”で良いと思います。
ハイリフレッシュレートで理想的な応答を見せるオーバードライブ設定は相対的に補正が強過ぎるため、リフレッシュレートを下げるとオーバーシュートが発生してしまうことが多いですが、「ViewSonic XG2405-7」でも144Hzで最適な応答を見せる設定は60Hzでオーバーシュートが発生します。
「ViewSonic XG2405-7」を60Hzリフレッシュレートで使用する時はオーバードライブ設定を”高速”にすると最適な応答速度になります。スーパースローモーションなのでごく僅かにオーバーシュートが見て取れますが、実用上は問題ないレベルです。
「ViewSonic XG2405-7」と同じく144Hzリフレッシュレートに対応したフルHD解像度IPS液晶ゲーミングモニタの初期製品である「ASUS VG279Q」や「Acer Nitro VG271」と144Hz動作時の応答速度を比較してみました。
初期のフルHD/144Hz/IPS液晶モニタは安価な価格相応に応答速度が遅く2,3フレーム前まで残像が出ていましたが、「ViewSonic XG2405-7」では1,2フレームに収まっており応答速度の向上がハッキリと確認できます。
次はフルHD/144Hz/IPS液晶というスペックで競合する2020年最新の競合製品から「Pixio PX247」と「ASUS TUF Gaming VG259Q」を加えて、144Hzリフレッシュレートにおける応答速度を比較してみました。
「ViewSonic XG2405-7」と「Pixio PX247」の応答速度が同程度となっており、価格が最も高い「ASUS TUF Gaming VG259Q」は144Hzにおいて240Hz対応製品並みに高速な応答速度なのでやはり最速でした。
また「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3msを下回っていればOKです。
まずは背景カラーがブラックの時の「ViewSonic XG2405-7」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
続いて背景カラーがホワイトの時の「ViewSonic XG2405-7」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
最後に背景カラーがグレーの時の「ViewSonic XG2405-7」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
最後に「ViewSonic XG2405-7」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
モニタの表示遅延測定においてはモニタ以外の要因で表示遅延に差が出ると問題があるので、検証モニタへビデオ出力を行うPCはCore i9 9900KとGeForce RTX 2080 Tiを搭載した次のベンチ機で統一しています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
キーボード | HyperX Alloy FPS メカニカルゲーミングキーボード (レビュー) |
モニタの表示遅延を測定する具体的な方法としては、キー押下時にそのキーのLEDが点灯するキーボードを使用して、LEDの点灯から画面表示への反映までの間隔を遅延時間として測定します。画面表示の確認については簡単にメモ帳を使用しています。この様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、遅延フレーム数を数えて遅延時間を算出します。同計測を各モニタ(と各リフレッシュレート)ごとに10回ずつ行って、その平均値を表示遅延とします。
「ViewSonic XG2405-7」やその他の比較モニタの表示遅延の測定結果は次のようになりました。グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレート液晶モニタを選択するメリットは大きいです。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
ViewSonic XG2405-7のFreeSync/G-Sync CPについて
続いて「ViewSonic XG2405-7」の大きな特徴の1つである可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync)」についてチェックしていきます。モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。
「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」には対応可能なフレームレート(リフレッシュレート)の上限と下限が製品ごとに設定されており、「ViewSonic XG2405-7」は48Hz~144Hzの範囲内で可変リフレッシュレート同期に対応しています。また「AMD FreeSync」に対応するビデオ入力はHDMI1.4とDisplayPort1.2の両方です。「NVIDIA G-Sync Compatible」に対応するビデオ入力は機能の仕様上、DisplayPortのみです。
以下、「ViewSonic XG2405-7」でAMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatibleを使用する手順について説明しますが、共通の確認事項として、最初に「ViewSonic XG2405-7」のOSDメニューの中にあるFreeSyncがオンになっていることを確認します。「ViewSonic XG2405-7」では標準設定がオフなので、オフになっている場合はオンに切り替えて下さい。
AMD FreeSyncの使い方
可変リフレッシュレート同期「AMD FreeSync」を有効化する手順について説明します。AMD製GPU搭載PCの場合はRadeon設定のウィンドウ右上にある歯車アイコンを選択、トップメニュータブからディスプレイを選択の手順で表示される「Radeon FreeSync」のスライドスイッチから機能を有効化します。
また上で紹介した参考記事中で解説しているように、AMD FreeSyncではテアリング解消とマウス遅延低減のどちらを優先するかで垂直同期の有無を各自で選択する必要があります。垂直同期は通常ゲーム内設定でON/OFFの切り替えが可能ですが、ドライバ側が上書きしてゲーム内からは切り替えられない場合があります。ゲーム内で設定して希望通りの動作にならない時はRadeon Settingsのゲームプロファイルもチェックしてください。
NVIDIA G-Sync Compatibleの使い方
可変リフレッシュレート同期「NVIDIA G-Sync Compatible」を有効化する手順について説明します。2019年1月15日以降の最新ドライバによってNVIDIA GeForce環境でもAdaptive-Syncが利用可能になりました。ドライバの更新に合わせてG-Sync Compatible認証を取得するモニタが増えています。
417.71以降の最新ドライバをインストールして、DisplayPortビデオ出力にAdaptive-Sync対応モニタを接続すると、G-Sync対応モニタを接続した時と同様にAdaptive-Syncを有効化するための設定が、NVIDIAコントロールパネル上の「G-Syncの設定」に表示されます。
「G-SYNC、G-SYNCとの互換性を有効化(Enable G-SYNC, G-SYNC Compatible)」のチェックボックスをチェックして、下のモニタアイコンに使用するモニタの名前が表示・選択されていることを確認し、適用をクリックすればNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを有効化できます。
なお今回レビューする「ViewSonic XG2405-7」のようにG-SYNC Compatible認証を取得していない一般のAMD FreeSync/VESA Adaptive-Sync対応モニタでも、互換性が検証されていないと注記が表示されますが、NVIDIA製GPU環境においてAdaptive-Syncを利用できます。
AMD FreeSync/NVIDIA G-Sync Compatibleの効果
可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」の効果やメリットについて説明していきます。機能的にはほぼ同じなので以下まとめてFreeSyncと呼ぶことがあります。AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatibleの検証に際してはリプレイ機能があって同一シーンで検証がしやすいので「Project Cars 2」を使用しています。またフレームレートやテアリングの発生の様子を確認しやすいように、画面左上にはGPUフレームレートOSD、画面左端にはGPUフレームバッファで色の変わるカラーバーが表示されるようにしています。加えてモニタが対応していればモニタOSDのリフレッシュレート表示機能も使用します。
画面右上のフレームレートはGPUフレームバッファから算出されているので必ずしもリフレッシュレートとは一致しません。画面左端のカラーバーは連続するフレーム間、つまりn番目とn+1番目のフレームではそれぞれ異なる色になっているため、同時に複数色のカラーバーが表示されている画面はテアリングが発生していることを意味します。
まずは同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の違いを分かりやすく体感してもらうため、モニタリフレッシュレート60HzにおいてGPU側出力フレームレートが30FPS~60FPSの間で変動するようにして、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して、画面表示の様子を比較してみました。
同期なしでは盛大にテアリングが発生し、垂直同期ではスタッター(カクつき)が発生しているのがわかります。一方でFreeSyncと垂直同期の両方を有効にした場合はテアリングもスタッターも発生しません。ただし例外として動画で50秒以降のフレームレートが40FPSを下回るとAMD FreeSyncの対応フレームレート外となるためスタッターが発生しています。またFreeSyncのみを有効にして垂直同期は無効の場合、同期なしと比べて圧倒的にテアリングが減っているのがわかります。ただし対応フレームレート内であっても稀にテアリングが発生し、対応フレームレート外では同期なし同様にテアリングが発生します。
続いて144Hzリフレッシュレートにおいて、GPU側出力フレームレートが100FPS前後で変動するようにして、先ほど同様に同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の様子を16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して比較してみました。
FreeSync有効であれば同期なしのテアリングや垂直同期のスタッターに悩まされることなく滑らかで綺麗な映像が表示できています。FreeSyncの60Hz/50FPS前後と144Hz/100FPS前後を比較すると当然ですが後者の方がコマ割りが増えるので16倍速スローモーションでもスムーズに見えます。
FreeSyncのみを有効した時に映像フレームレートが対応フレームレート範囲外になるとテアリングが発生しますが、リフレッシュレートを上回ってしまう場合については、Radeon設定のRadeon Chillの最大FPSに”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
なおNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを利用する場合も、フレームレートがリフレッシュレートを超過するとテアリングが発生するので、テアリングを完全になくすには垂直同期を有効化する必要があります。もしくは垂直同期無効においてテアリングをなくすには、NVIDIAコントロールパネルの「Max Frame Rate」に”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
これの設定以外にもRivaTunerやNvidia Profile Inspectorを使用してゲーム内フレームレートがモニタリフレッシュレートを上回らないように設定することも可能です。
下の比較はいずれもFreeSyncが有効になっているのでスタッターもなく滑らかですが、単純にFreeSyncだけを有効にすると対応フレームレートの上限となるリフレッシュレートを超えた時にテアリングが発生します。
リフレッシュレートが144Hz(フレームレートの上限が144FPS)の場合は120FPS~140FPSが上限になるようにフレームレートに制限をかければ、マウス操作を低遅延しつつ、テアリングの発生も最小限に抑えて快適なゲームプレイが可能です。
またPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSや格闘ゲームなど1,2フレームを争う競技性の高いPCゲームでは、表示遅延(入力遅延)が発生する垂直同期は嫌われる傾向にありますが、144Hzや240Hzといったハイリフレッシュレートモニタにおいて、同期機能を無効化した場合に発生するテアリングがどのように影響するのか検証してみました。
テアリングはモニタ表示更新中のフレームバッファの更新で発生しますが、目で見た時の違和感はn番目とn+1番目のフレームの絵の差に影響されます。コマ割りが細かくなる高フレームレートではn番目とn+1番目の絵の違いは当然、低フレームレートの場合よりも小さくなります。そのため50FPSでは画面の分断のように知覚できたテアリングは、200FPSのような高フレームレートでは細かいノイズのような形で知覚されます。
100FPSを超える高フレームレートでは大きな分断に見えるテアリングの代わりに、細かいノイズのように感じるテアリングが増えてきます。『細かいノイズの発生程度であれば高リフレッシュレートモニタのテアリングは実用上は大した問題ではなく、可変リフレッシュレート同期機能は不要である』という意見がありますが、高リフレッシュレートモニタのアドバンテージとして先に解説した「ゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性」と合わせて考えると、このノイズの有無は遠方の細かいエネミーやオブジェクトの発見に影響します。なので高リフレッシュレートモニタを使用するのであれば可変リフレッシュレート同期機能はあったほうがいい、というのが管理人の意見です。
ViewSonic XG2405-7のレビューまとめ
最後に「ViewSonic XG2405-7」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ23.8インチでフルHD解像度のゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
- 発色や視野角など画質に優れたIPS液晶パネル
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- ビデオ入力はDisplayPort1.2とHDMI1.4×2の計3系統
- 全てのビデオ入力においてフルHD解像度で144Hzリフレッシュレートの高速動作
- 可変リフレッシュレート同期機能AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応
(DisplayPortとHDMIで48FPS~144FPSの範囲内で対応) - NVIDIA G-Sync Compatibleにも対応(認証は取得なし)
- モーションブラーリダクション機能「1ms Mode」を搭載
- モニタ本体重量3.4kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- フルHD/144Hz/IPS液晶というスペックで2.5万円と非常に安価
- 安価モニタながら付属スタンドはチルト・スイーベル・昇降・ピボットに対応
- 視野角に対する輝度の低下が大きい
- MBR機能を有効化時に輝度が100cd/m^2未満とかなり暗い
- OSDクロスヘアやリフレッシュレート表示など便利機能は実装ナシ
- HDRには非対応
「ViewSonic XG2405-7」は1920×1080のフルHD解像度、ネイティブ144Hzの高速リフレッシュレート、IPS液晶というハイスペックな液晶パネル採用ながら、製品価格が2万円半ばという非常に優れたコストパフォーマンスを実現したゲーミングモニタです。この種の安価なモニタは付属スタンドでコストカットされがちですが、「ViewSonic XG2405-7」にはチルト・スイーベル・昇降・ピボットと4項目を網羅するスタンドが付属しているところも注目ポイントです。
製品スペックで競合し価格が3万円を超えるASUS TUF Gaming VG259Qや、安いものなら4万円台から購入できる240Hz対応IPS液晶モニタ製品などと比較すると応答速度は劣りますが、フルHD/144Hz/IPS液晶を採用した初期のゲーミングモニタと比べると応答速度は高速化しており、実用レベルには十分以上に達しています。
安価なモニタなので画質が微妙かと思われるかもしれませんが、sRGBを100%カバーする色域で色再現性も高く、IPS液晶で発生しやすい四隅の暗がりも非常に軽微です。視野角に対する輝度低下が強めという欠点はありますが、2万円台のIPS液晶モニタとしてはなかなか優秀な液晶パネル品質です。
「ViewSonic XG2405-7」は可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」に対応しています。FreeSync対応フレームレートとして48FPS~240FPSの幅広いフレームレートをカバーしており、60FPS前後しか維持できない最新の高画質な重いゲームから、100FPS以上を維持できる競技性の高い軽めなゲームまで、テアリングやスタッターのないクリアで滑らかな表示を実現します。
これまではAMD製GPUを搭載した環境でしか使用できない機能でしたが、19年1月からはNVIDIA製GPUでも可変リフレッシュレート同期機能Adaptive-Syncが利用できるようになったので間口もかなり広くなったと思います。
フルHD/144Hz/IPS液晶というスペックで2万円半ばという非常に優れたコストパフォーマンスの「ViewSonic XG2405-7」は、GeForce RTX 2060やRadeon RX 5600 XTなどミドルクラスGPUを搭載したゲーミングPCと組み合わせてハイフレームレートなPCゲーミングの入門に最適なゲーミングモニタだ、と太鼓判を押せる製品です。
以上、「ViewSonic XG2405-7」のレビューでした。
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ViewSonic XG2405-7 レビュー
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 17, 2020
良い
✅144Hz対応フルHD解像度のIPS液晶モニタ
✅FreeSync/G-Sync PCに対応
✅付属スタンドはチルト・スイーベル・昇降・ピボットに対応
✅このスペックで2.5万円と非常に安価
悪いor注意
⛔視野角に対する輝度の低下が大きいhttps://t.co/cJRJmNGJeA
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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