Intel Core i7 12700KF


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Intel第12世代Alder Lake-Sシリーズから12コア20スレッドで倍率アンロックなOC対応の上位モデル Core i7 12700KのiGPU非搭載版「Intel Core i7 12700KF」をレビューします。
前世代最上位モデルのCore i9 11900K、競合製品のRyzen 7 5800XやRyzen 9 5900Xと比較して、クリエイティブタスクやPCゲーミングにおいてどれくらい性能を発揮するのか、各種ベンチマーク比較によって徹底検証していきます。
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製品公式ページ:https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/134595/intel-core-i712700kf-processor-25m-cache-up-to-5-00-ghz.html





Intel Core i7 12700KF レビュー目次


1.Intel Core i7 12700KFの外観・付属品・概要
2.Intel Core i7 12700KFの検証機材・動作設定


3.Intel Core i7 12700KFの動作クロック・消費電力・温度

4.Intel Core i7 12700KFの基礎ベンチマーク

5.Intel Core i7 12700KFのクリエイティブ性能
  ・3Dレンダリング性能
  ・動画編集・エンコード性能
  ・RAW現像・写真リタッチ性能
  ・PCゲーム/スマホアプリのビルド性能
  ・AIアップスケール・自動分類性能

6.Intel Core i7 12700KFのゲーミング性能
  ・4K解像度/60FPSターゲット
  ・フルHD解像度/ハイフレームレート

7.CPUエンコーダとリアルタイム配信について

8.Intel Core i7 12700KFのレビューまとめ
  ・温度・消費電力について
  ・クリエイティブ性能について
  ・ゲーム性能について
  ・総評



Intel Core i7 12700KFの外観・付属品・概要

「Intel Core i7 12700KF」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。またこの章では「Intel Core i7 12700KF」の仕様等について簡単に触れておきたい概要もあれば紹介します。
「Intel Core i7 12700KF」の製品パッケージは第11/10世代からイラストデザインは変わっていますがサイズは同じで紙製です。
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「Intel Core i7 12700KF」ではCPUソケットがLGA1700に変わり、CPUサイズも従来の正方形から縦長の長方形に変わっています。
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Intel第12世代CPUと前世代のIntel第11世代CPUを比較するとこんな感じです。横幅はほぼ同じですが縦が1cm弱伸びています。
Intel Core i7 12700KF review_00193_DxO
CPUソケット名”LGA1700”の数字部分はCPUソケットのピン数を示しています。Intel第12世代CPUは基板面積の変化に比べてピン数の増加が大きいので、底面の電極を見ると1つ1つが細かくなっているのが分かります。
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重量を比較してみると第11世代CPUは27gに対して、第12世代CPUは36gでした。
Intel Core i7 12700KF review_00197_DxO-horz
CPU基板本体の重量は6~7gでほぼ同じですが、第11世代CPUのIHSの重量が21gに対して、第12世代CPUのIHSの重量は29g、約40%も質量が増していました。
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Intelの公式リリースによると、第12世代CPUでは『CPUダイとヒートスプレッダの間にはTIMとしてSTIMが採用され、前世代よりもさらにCPUダイとSTIM層を薄くし、放熱バッファとなるヒートスプレッダを厚くすることでCPU温度的にも改良が施されている』とのこと。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_Thermal Improvement

第11世代ではIHS周辺の素子レイアウトが非常にタイトで難しかったのですが、第12世代CPUは余裕があり殻割りそのものは難しくありません。ROCKITCOOLからは専用の殻割りツールと、純正よりも大きいオリジナル銅製IHSが発売されています。



パッケージや外観の話はこの辺りにして、続いて「Intel Core i7 12700KF」のスペックについて見ていきます。
「Intel Core i7 12700KF」は、8コア16スレッドの高性能P-Coreと4コア4スレッドの高効率E-Coreを組み合わせた12コア20スレッド(8C/16T+4C4T)のCPUです。
P-Coreの単コア最大ブーストクロックは5.0GHz(TBM3.0有効時)、全コア最大ブーストクロックは4.7GHzとなっています。CPU消費電力の指標となるProcessor Base Powerは125W、Maximum Turbo Powerは190Wです。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_lineup
今回レビューする「Intel Core i7 12700KF」など末尾に”F”付きと、Core i7 12700Kなど通常モデルの違いはCPU内蔵グラフィックスを使用できるかどうかだけです。
グラフィックボードを組み合わせるのであれば「Intel Core i7 12700KF」など数千円程度ですが安価な”F”付きCPUで問題ありません。
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「Intel Core i7 12700K/12700KF」を、前世代同クラスのIntel Core i7 11700Kや、競合AMDのメインストリーム向け上位モデルであるRyzen 7 5800XやRyzen 9 5900Xと比較すると次のようになっています。
Intel Core i7 12700K/12700KF スペック簡易比較

Core i7 12700K
Core i7 11700K Ryzen 7 5800X
Ryzen 9 5900X
コアスレッド 16コア
24スレッド
8コア
16スレッド
8コア
16スレッド
12コア
24スレッド
P-Core
8C16T 8C16T 8C16T 12C24T
E-Core 4C4T - - -
ベースクロック
P-Core (E-Core)
3.6GHz
(2.7GHz)
3.5GHz 3.8GHz 3.7GHz
全コア最大
P-Core (E-Core)
4.7GHz
(3.6GHz)
4.8GHz ~4.55GHz ~4.4GHz
単コア最大
P-Core (E-Core)
5.0GHz
(3.8GHz)
5.3GHz 4.7GHz 4.8GHz
オーバークロック
O
L2/L3キャッシュ 12MB / 30MB 4MB / 16MB 4MB / 32MB 6MB / 64MB
PBP (TDP) 125W 105W
MTP (max PPT) 190W 250W 141W
CPUクーラー X
iGPU
O X
対応メモリ
DDR5
DDR4
(MBに依存)
DDR4
メモリ ch / pcs
2 / 4
CPU直結
PCIEレーン
PCIE5.0 x 16
+
PCIE4.0 x 4
PCIE4.0 x 16 + 4
おおよその国内価格
(北米希望小売価格)
5.9万円
(409ドル)
-万円
(399ドル)
5.9万円
(449ドル)

2022年8月
4.0万円ほど
7.2万円
(549ドル)

2022年8月
5.4万円ほど
iGPU非搭載モデル
の価格
5.7万円
(384ドル)
-万円
(374ドル)


Alder Lake(アルダーレイク)のコードネームで呼ばれるIntel第12世代Core-S CPUでは、高性能コア「P-Core」と高効率コア「E-Core」の2種類の混成でCPUを構成するIntel Hybrid Computing Architectureが採用されています。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_Intel Hybrid Computing Architecture
Intel第12世代Alder Lake-SシリーズCPUの高性能P-Coreは、第10世代Core CPUを基準にしてコアクロック当たりのシングルスレッド性能が28%も向上しているとアピールされています。
また高効率E-Coreは省電力に性能を振っており、もともとAtomシリーズ、Montの系譜なので性能に不安を感じる人もいるかもしれませんが、第10世代Core CPUと同等のシングルスレッド性能です。AMD製CPUでいうとRyzen 3000シリーズと同等なので、E-Coreの性能についても心配は全くありません。
Intel 12th Core_Core i9 12900K_Perf_IPC
分かりやすさを優先するなら、Core i9 12900Kは、性能が10~20%向上した8コア16スレッドのCore i9 11900Kと、省電力性能が向上した8コア8スレッドのCore i7 10700(マルチスレッディング無効化)を2個1にしたようなCPUです。
下位モデルのCore i7シリーズやCore i5 12600K(F)なら4コア4スレッドのCore i3 10300(マルチスレッディング無効化)が補助のE-Coreとして動作するようなイメージです。
Core i9 12900K_hybrid

CPU消費電力に関する表記として、従来では”TDP(Thermal Design Power)”が使用されていましたが、Intel第12世代Core-Sからは、長期間電力制限PL1(=旧TDP)に当たる数値を「Processor Base Power (Base, PBP)」、短期間電力制限PL2に当たる数値を「Maximum Turbo Power (Turbo, MTP)」として、公式仕様に明記されるようになりました。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_Base Power and Turbo Power
従来ではデータシートにこそ記載されているものの、半ば隠しパラメーターのような扱いだった短期間電力制限PL2、「Maximum Turbo Power (Turbo, MTP)」も第12世代CPUではIntel公式ページでしっかりと明記されています。(下のスクリーンショットはCore i9 12900Kの例)
screenshot.1636020672


Intel第12世代Core-Sプラットフォームの特長を順番に説明していくと、まず、従来のDDR4メモリ(DDR4-3200)に加えて、次世代システムメモリのDDR5メモリ(DDR5-4800)をサポートしています。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_System-Memory
なお初期の情報では単純に”メモリ周波数4800MHzに対応”と伝えられていましたが、『メモリ周波数4800MHzが定格としてサポートされるのは、メモリスロットが2基のマザーボードで2枚までのメモリを使用した場合』とのこと。
Intel 600シリーズチップセット搭載ATXマザーボードで一般的な1チャンネル当たり2基のメモリスロットがあり4基のメモリスロットを搭載したマザーボードの場合、メモリを2枚搭載した場合の定格メモリ周波数は4400MHzになるようです。
さらに4枚組みにした場合、1Rankのメモリなら4000MHz、2Rankのメモリなら3600MHzが定格メモリ周波数となります。
Intel 12th Core_DDR5 Memory Support Summary

Intel第12世代Core-Sでは組み合わせて使用するマザーボードによってサポートされるメモリ規格が変わるので注意が必要です。
ASRock、ASUS、GIGABYTE、MSIの主要4社の製品を見たところ、ハイエンドからアッパーミドルまでの上位製品は基本的にDDR5対応となっています。ミドルクラス以下ではDDR5対応とDDR4が混在し、メーカー毎にラインナップ展開が異なります。
ASUS製Z690マザーボードを例に挙げるとDDR5対応の「ASUS PRIME Z690-P」とDDR4対応の「ASUS PRIME Z690-P D4」のようにほぼ似た名前、対応メモリ以外の仕様もほぼ同じ、といった製品もあるので使用するメモリに合わせて購入するマザーボードには注意してください。(各社表記なしはDDR5対応、DDR4対応の場合は”DDR4”や”D4”の表記が末尾に付くことが多いようです)
ASUS PRIME Z690-P_and_D4

PCIEレーンについてはCPU直結PCIEレーンとして、前世代同様にNVMe SSD用のPCIE4.0x4レーンを備えますが、主にグラフィックボード接続使用されるx16レーンは、PCIE4.0と比較して2倍の帯域で最大64GB/sの通信が可能な次世代規格のPCIE5.0対応へアップデートされています。
またIntel第12世代Alder Lake-Sがサポートする600シリーズチップセットの最上位Z690チップセットでは、CPU-PCH間の接続は前世代とレーン数ですがPCIE4.0相当のDMI4.0に更新されて帯域は倍増しており、PCHを介してPCIE4.0x12レーンとPCIE3.0x16レーンを利用できます。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_PCE5

Intel第12世代CPUをサポートするZ690チップセットをZ590やZ490の歴代Zシリーズチップセットと比較すると、CPU-PCH間帯域やPCH経由のPCIEレーンの増強はやはり目に留まりやすいポイントですが、その他にもZ690チップセットの特長として、USB3.2 Gen2x2 (20Gbps)対応、内部コントローラーによるWiFi 6E対応、外部コントローラーによるThunderbolt4対応などが挙げられます。
Intel Z690 Chipset_vs-Z590-and-Z490
またIntel 600シリーズチップセット搭載マザーボードのうち、コアクロックのOCに対応しているのは最上位のZ690だけです。
下位チップセットのH670やB660では定格のBy Core Usage倍率を上回るような動作倍率設定(OC設定)を行うことはできません。
一方で、動作倍率の引き下げによる省電力化は可能ですし、定格動作倍率の中でも動作電圧のマイナスオフセットによる省電力化、一定電力制限内での性能向上を狙うことは可能です。
省電力運用ならH670やB660の下位チップセット搭載マザーボードでも十分と言えばあながち間違いでもありませんが、V-Fカーブ調整に対応するのはZ690だけなので実のところ省電力運用においてもZ690は上位互換です。
Mini-ITX環境はI/O数的に下位チップセットで十分かと思いきや、省電力運用や冷却リソースが限られた中での性能追求ならZ690がベストな選択肢になり得ます。
Intel 600 Series_OC-Feature

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Intel Z690



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Intel Core i7 12700KFの検証機材・動作設定

以下、「Intel Core i7 12700KF」の各種検証を行うベンチ機、および比較対象となる各CPUのベンチ機の詳細となります。

Intel LGA1700(Z690)環境 テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9-12900KS (レビュー
Intel Core i9-12900K (レビュー
Intel Core i7-12700KF (レビュー
Intel Core i5-12600KF (レビュー
Intel Core i5-12400F (レビュー
Intel Core i3-12100 (レビュー
マザーボード ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO
レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 RGB
F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS
DDR5 16GB*2=32GB (レビュー
6000MHz, CL36-36-36-76
ビデオカード(共通) ZOTAC RTX 3090 AMP Extreme Holo
レビュー
システムストレージ(共通) Samsung SSD 980 PRO 500GB
レビュー
OS(共通) Windows 11 Home 64bit
電源ユニット(共通) Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

Intel Z690_Test-System

比較に使用しているその他のテストシステムについてはこちらを参照してください。



Intel Core i7 12700KFなどIntel第12世代CPUを検証するIntel LGA1700(Z690)環境では、検証機材マザーボードとして「ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO」を使用しています。


ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROではBIOS設定のASUS Multicore Enhancementを”Disabled - Enforce All limits”にすれば、Intel公式仕様通りの電力制限が適用されます。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO_BIOS_Multicore Enhancement

なおIntel第12世代Alder Lake-Sシリーズについて、長時間電力制限PL1、短時間電力制限PL2、短期間電力制限時間TauのIntel公式仕様は下のテーブルの通りです。
通常はPL1=PBP(Processor Base Power)ですが、倍率アンロックのK付きCPUについては、PL1=PL2=MTP(Maximum Turbo Power)が公式仕様となります。
Intel第12世代CPUの電力制限仕様値

PBP PL1 PL2 Tau
Core i9
(8C16T+8C8T)
125W 241W
241W (56s)
65W 65W 202W 28s
35W 35W 106W 28s
Core i7
(8C16T+4C4T)
125W 190W 190W (56s)
65W 65W 180W
28s
35W 35W 99W 28s
Core i5
(6C12T+4C4T)
(6C12T)
125W 150W 150W (56s)
65W
65W 117W 28s
35W
35W 74W 28s
Core i3
(4C8T)
65W 65W 89W 28s
35W
35W 69W 28s


電力制限以外にもCPU動作に大きく影響する項目についてまとめました。
Turbo Boost Max 3.0はアクティブなタスクに対して単コア最大動作倍率など最も高速に動作している(電圧特性に優れた)コアを割り当てる機能です。
Thermal Velocity Boostは閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能と説明されていますが、機能の実装としてはBy Core Usage倍率に対してTVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値(一般に70度)以上の時に動作倍率を-1倍に、正確にはCPU毎に設定された倍率に引き下げるという形になっています。
AVX Voltage Guardband ScaleはAVX2やAVX512を実行時のコア電圧を調整する機能です。0~255の整数値で設定し、定格設定は128です。128以下では低電圧化、128以上では高電圧化します。(マザーボードに依っては1.00を基準に0.01~1.99で設定)
低電圧化というよりもAVX実行時の電力制限(AVX限定のPL1)に近い動作なので、Scale=1でもクラッシュすることはありませんが、性能は低下するものと思われます。

Turbo Boost Max 3.0は多くの600シリーズマザーボードで基本的に有効になっています。Thermal Velocity Boostは600シリーズマザーボードでも機能強化版が実装されていますが標準ではオフになっています。マザーボードによっては電力保護や省電力化の一環で同機能を使用した電力制限が設けられていることがあります。
さらに備考として、Z690マザーボードの中にはCPU個体毎のV-Fカーブ(Adaptive Mode)にマイナスオフセットを適用する低電圧化や、CPU Package Powerのモニタリング値にマイナスオフセットを適用してブーストを引き上げるチューニングが標準が施されているものがあります。

検証機材として採用しているASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROに関しては、ASUS Multicore Enhancementを”Disabled - Enforce All limits”にすれば、Intel公式仕様通りの電力制限が適用されます。Intel公式仕様を外れるようなチューニングは施されていないはずです。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO(BIOS:1505)
Core i9 12900K 動作設定(MCE:Disabled)

標準設定 定格
単コア最大倍率 52 52
全コア最大倍率 49 49
Turbo Boost Max 3.0 On On
TVB Ratio Clipping Off Off
PL1, PL2, Tau 241W, 241W, 56s
241W, 241W, 56s
AVX2 Offset 0 0
AVX2 Voltage Guardband 128 (1.00)
128 (1.00)
備考
-


ディスクリートGPU、グラフィックボードがゲーミング性能において重要なのは言うまでもありませんが、近年ではクリエイティブタスクでもGPU支援による性能向上が主流になっているので、CPU性能比較の統一検証機材として、2022年最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holo」を使用しています。
CPU Test System
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holoは、NVIDIA GeForce RTX 30のAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも大幅に高いブーストクロック、さらにTGPを400W超に引き上げるという、RTX 3090グラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。
加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用されています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holo」をレビュー
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ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。
Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3


CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。


グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。Thermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスで適量が塗布されていれば、CPUクーラー固定時の圧着でヒートスプレッダ全体へ自然に伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_apprication

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。




Intel Core i7 12700KFの動作クロック・消費電力・温度

「Intel Core i7 12700KF」に関する検証のはじめに、「Intel Core i7 12700KF」の動作クロック、消費電力、温度など同CPUの基本的な動作についてチェックしていきます。

「Intel Core i7 12700KF」は、8コア16スレッドの高性能P-Coreと4コア4スレッドの高効率E-Coreで構成された12コア20スレッドのCPUです。
Intel Core i7 12700KF_CPU-Z
「Intel Core i7 12700KF」の高性能P-Coreは8コア16スレッドのCPUであり、定格動作において1コア~8コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率は最大コア数から順番に[50, 49, 49, 49, 48, 48, 47, 47]です。P-Coreでは全8コアへ同時に負荷がかかっても最大で4.7GHz動作が可能となっています。
一方、高効率E-Coreは4コア4スレッドのCPUであり、定格動作において1コア~4コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率は最大コア数から順番に[38, 38, 36, 36]です。E-Coreでは全4コアへ同時に負荷がかかっても最大で3.6GHz動作が可能となっています。
Intel Core i7 12700KF_XTU
参考までに、「Intel Core i7 12700KF」のコアtoコア遅延は次のようになっています。P-Core同士の遅延は25~30ns程度、E-Core同士の遅延は40~50ns程度、P-Core/E-Core間の遅延は35~40ns程度です。P-CoreとE-Coreの別種コア間で遅延が増す傾向はなく、単純にコアの速さで遅延が決まっていると見ていいと思います。
Intel Core i7 12700KF_latency-heatmap

HWiNFOから「Intel Core i7 12700KF」のコアクロックの挙動を確認したところ、確かに負荷の軽い場面では最大5.0GHz程度で動作するコアがありました。
Intel Core i7 12700KF_Boost-Clock_Single
また全コア最大動作倍率は特にゲーム性能で重要になりますが、今回レビューしている「Intel Core i7 12700KF」はBy Core Usage最大動作倍率の通り、ゲームのような負荷の軽いシーンであればP-Core All 4.7GHz、E-Core All 3.6GHzで動作可能でした。
R6-Extraction_2022_08_27_04_35_25_388

Intel第12世代Core-S CPUの製品仕様では、Processor Base Power(従来で言うところのTDP)が長期間電力制限/Power Limit 1(PL1)に、Maximum Turbo Powerが短期間電力制限/Power Limit 2(PL2)に一致します。
ただし今回レビューする「Intel Core i7 12700KF」など倍率アンロックのK付きCPUは特例的に”PL1=PL2=MTP”なので、電力制限はPL1=PL2=190Wとなります。PL1とPL2が共通なのであまり意味はありませんが、Turbo Boost Power Time Window(短期間電力制限時間/Tau)は56sです。
Intel Package Power Control
「Intel Core i7 12700KF」をZ690マザーボードのASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO(BIOS:1505)」と組み合わせる場合、BIOS設定においてASUS Multicore Enhancementを”Disabled - Enforce All limits”にすればIntel公式仕様と一致する電力制限で動作します。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO_BIOS_Multicore Enhancement

「Intel Core i7 12700KF」の定格仕様である『PL1:190W、PL2:190W、Tau:56s』で動作させたところ、Cinebenchやx264エンコードなど、全コアへ同時に大きな負荷がかかった時の動作クロックはP-Coreなら4.7GHz、E-Coreなら3.6GHzのようにBy Core Usage最大倍率の全コア値に張り付きました。
全コア負荷時のCPU Package PowerはタスクがAVX命令をどれくらい使用するかによって変動しますが、PBP:125Wを超過し150~160W程度を示します。
Intel Core i7 12700KF_Boost-Clock_Multi

「Intel Core i7 12700KF」の全コアにフル負荷がかかった時のCPU消費電力は、タスクがAVX命令をどれくらい使用するかによって大きく変わります。
上のスクリーンショットはx264エンコードとなっており、CPU Package Powerは150~160Wくらいで変動するので、「Intel Core i7 12700KF」のMTP:190Wの範囲内に収まり、最大動作倍率に張り付きますが、MTPを超えるような電力が発生すると最大動作倍率よりも実際のコアクロックが低くなります。
AVX命令を多く使用するタスクほどCPU消費電力が増大し、冷やすのも難しくなるのですが、Intel第12世代CPUではAVX実行時のコアクロックを引き下げるオフセット設定に加えて、AVX Voltage Guardband Scaleと呼ばれるAVXに限定した電力制限的な機能もあります。この辺りは各自で上手く調整してください。
AVX Voltage Guardband Scale


続いてCPU消費電力やCPU温度の検証結果をチェックしていきます。
当サイトのCPUレビューでは主として”CPU温度への影響要因”という意味においてCPU消費電力を評価しているので、動画のエンコードによって長期間電力制限が効いている状態の平均的な消費電力をCPU消費電力として比較します。

個人的な意見としては短期間電力制限は短期間かつCPU温度によっても制御されるのでCPU温度への影響要因として比重は小さく、また瞬間ピーク電力はせいぜいがTDP+100W程度なので、マザーボードVRM電源の破損を心配するほどではなく、その程度の電力超過は電源ユニットで十分吸収できるので、評価対象としてあまり意味がないと思っています。
またCPU製品仕様のTDPについては、定義がIntel/AMDで厳密には異なり、各社の具体的な測定・算出方法も不明なので、CPU動作クロックを含めて総合的に判断する必要があるものの、基本的には長期間電力制限時の消費電力がTDP仕様値とほぼ一致、もしくはTDP仕様値を下回れば正常であると評価します。
当レビュー記事では簡単のため割愛しますが、CPUの消費電力に関する評価基準の補足として下記の記事も参考にしてください。


CPUの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「CPU Power Tester」を使用しています。
CPU Power TesterはEPS電源端子、ATX24PIN電源、PCIEスロット経由の各消費電力を直接測定できるツールです。5分間程度の負荷に対して、1ms間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。


消費電力の測定にあたってCPU負荷には、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、HandBrakeによるx264動画エンコードを使用しています。
メニーコアになるほど単独のエンコードではCPUが遊ぶので、CPU使用率が100%前後に張り付くように、動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列、16コア以上は3並列のように適宜調整しています。
Power-Consumption-Test
注:CPUのストレステストについてはOCCTやPrimeなど専用負荷ソフトを使用しているレビューもありますが、管理人の私見としてはCPU負荷が非現実的なので、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースを想定した場合、ほぼ最大のCPU負荷となるx264による動画エンコードとストレステストに採用しています。


定格仕様や検証用設定で指定する電力制限を適用した状態で動画エンコードによるフル負荷をかけると、「Intel Core i7 12700KF」など各CPUについてCPU Package Powerは次のようになりました。 全CPU比較データ
CPU Package PowerはIntelのPL1/PL2、AMDのPPTといったパラメーターによる電力制限の制御ソースとなる数値です。メーカー純正ソフトウェアのIntel Extreme Tuning Utility (XTU)やAMD Ryzen Master、サードパーティー製ソフトHWiNFOなどでソフトウェアモニタリングが可能です。
Intel Core i7 12700KF_power_3_cpp

続いてCPU Power Testerを使用して実際の消費電力をチェックしていきますが、注意点として、マザーボード独自のコア電圧調整によってCPU消費電力は変化します。Intel/AMDともに現状ではCPU動作のリファレンスになるようなマザーボードがないので、あくまで今回のレビューに使用している検証機材マザーボードを組み合わせた場合の数値となります。
また組み合わせるマザーボードによってはCPU Package Powerにマイナスオフセットをかけて事実上の電力制限解除が行われる場合があります。管理人の判断で定格っぽい動作のものを選んでいますが、こういった事情も念頭に置いて検証結果をご確認ください。

定格仕様や検証用設定で指定する電力制限を適用した状態で動画エンコードによるフル負荷をかけると、「Intel Core i7 12700KF」など各CPUについてEPS 8PIN電源の消費電力は次のようになりました。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_power_1_eps

定格仕様や検証用設定で指定する電力制限を適用した状態で動画エンコードによるフル負荷をかけると、「Intel Core i7 12700KF」など各CPUについてEPS 8PIN電源&ATX 24PIN電源の消費電力は次のようになりました。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_power_2_eps+arx


絶対性能を重視した電力設定が定格となっており、ワットパフォーマンス的なスイートスポットから大きく外れているため、「Intel Core i7 12700KF」を始めとしてIntel第12世代CPUの一部モデルはCPU温度と消費電力が非常に高いとレビューで評価される傾向にあります。
しかしながらCinebench R23とEPS消費電力の関係、ワットパフォーマンスを確認してみると、「Intel Core i7 12700KF」の電力効率は決して悪くありません。
前世代最上位のCore i9 11900Kを大幅に上回る電力効率を実現しており、競合AMDの最新CPUであるRyzen 9 5900Xと同程度です。
Intel Core i7 12700KF_Performance_per-Wtt


また下のグラフは電力制限を調整した時のCPU Package Powerに対するマルチスレッド性能の比率です。
Cinebench R23 マルチスレッドスコアから各CPUの定格設定を基準に、電力制限解除で定格の全コア最大動作倍率に張り付いた状態を上限として性能比率を算出しています。

加えて3つの縦線は、Tom Clancy's Rainbow Six Extraction (フルHD/360FPS)、Cyberpunk 2077 (4K/60FPS)、Marvel’s Spider-Man Remastered (4K DLSS&RayTracing)のPCゲームをプレイした時のCPU Package Powerの平均値です。
ゲームシーンで理想的な性能を発揮できるように、電力制限を解除してコアクロックが全コア最大動作倍率に張り付くために必要なCPU Package Powerを見ています。

「Intel Core i7 12700KF」はProcessor Base Power/TDPの125Wに電力制限を適用すると消費電力は30W程度も下がりますが、実質的に電力制限無効化(PL:190W)な定格運用と比較してマルチスレッド性能の低下は5%程度に収まります。
またPCゲームプレイ中に「Intel Core i7 12700KF」のコアクロックが全コア最大動作倍率に張り付くのに必要な電力制限の下限は70~90W程度です。実際の負荷はゲームや設定に依って変わりますが、「Intel Core i7 12700KF」はPL1:125Wもあれば電力制限無効化と同等のゲーミング性能を発揮できます。
Intel Core i7 12700KF_Performance_per-and-game


この章の最後に、「Intel Core i7 12700KF」を空冷CPUクーラーやAIO水冷CPUクーラーで運用する時のCPU温度についてです。

「Intel Core i7 12700KF」は定格設定においてCPUにフル負荷がかかると、Processor Base Power/TDPの125Wを上回る150~160W程度のCPU Package Powerが発生します。
CPU Package Powerが200W超に達する最上位モデルのCore i9 12900Kと違って、「Intel Core i7 12700KF」は定格動作倍率であれば電力制限無効化でもは150~160W程度なのでCPUの冷却は難しくありません。

「Intel Core i7 12700KF」くらいの発熱であれば、ファン速度は多少高速にする必要があるかもしれませんが、120サイズ空冷CPUクーラーでも問題なく運用できます。
とはいえ静音性を重視するのであれば280サイズや360サイズまでは必要ないものの、240サイズのマルチファンAIO水冷CPUクーラーがオススメです。





組み合わせて使用するマザーボード次第ですが、その標準設定が実はCPUメーカーの指定する定格動作を無視していることがあります。(最近ではこの電力制限に関して浸透してきて、定格と電力制限解除を選択できるマザーボードが増えていますが)
そのためにメインストリーム向けでもメニーコアで全コア最大動作が高い上位CPUは、『消費電力(発熱)が非常に大きく、CPU温度が高温になるためハイエンド空冷やマルチファン大型AIO水冷といった高価なCPUクーラーが必要』と評価されることが多いという実状があります。
仕様値通りの動作設定であったり、適切な電力制限(ワッパのスイートスポット)を適用するのであれば当然ながら消費電力は抑制され、そういったCPUであっても一般的な空冷CPUクーラーで問題なく運用できます。

当サイトでは約4年前のCore i9 7900Xのレビューから指摘していたことですが、『CPUメーカーは大手メディアによる選考レビューなどの検証において定格動作設定を使用するガイドラインを示す』、『マザーボードベンダーはBIOS標準設定に定格動作を満たす設定を採用する』の2点を徹底してもらいたいというのが管理人の意見です。




Intel Core i7 12700KFの基礎ベンチマーク

Intel Core i7 12700KFの基本的なCPU性能を専用ベンチマークソフトで検証しました。
この章ではULMarkからリリースされているPCMark 10という総合ベンチマークソフトを使用していますが、デスクトップ向けの高性能CPUの性能比較ベンチマークとしては頭打ちな傾向があります。レビュー項目の1つとして参考までにスコア比較していますが、より実用的なCPU性能については後半の個別性能比較を参考にしてください。

「PCMark 10 Extended」のベンチマーク結果をチェックしていきます。
「PCMark 10」は動画再生能力、DirectX11のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。
Intel Core i7 12700KF_PCMark 10

「Intel Core i7 12700KF」を含めた各CPU環境について、PCMark 10ベンチマークの総合スコアを比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_bench_PCM10_1

「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、個別にベンチマークスコアを比較してみました。

PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
モバイル版向けCPUのCore i7 1165G7を搭載するSurface Pro 7+との比較でわかりますが、一般的なPC利用において大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Essentials」について「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_bench_PCM10_2

ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。
モバイル版向けCPUのCore i7 1165G7を搭載するSurface Pro 7+との比較でわかりますが、一般的なオフィスワークにおいて大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Productivity」について「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_bench_PCM10_3

クリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation」は、写真に対するフィルタリング処理の性能をシミュレートする「Photo Editing」、動画編集の性能をシミュレートするワークロード「Video Editing」、レイトレーシングによる3Dグラフィクス制作(3Dレンダリング)をシミュレーションする「Rendering and Visualization」の3つのワークロードで構成されています。
「Digital Content Creation」について「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_bench_PCM10_4

ゲーム性能を測る「Gaming」は、グラフィックボードの性能測定で幅広く活用されているベンチマークソフト「3DMark」に収録された「Fire Strike」と同じベンチマークテストを実行するワークロードです。
「Gaming」について「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_bench_PCM10_5



Intel Core i7 12700KFのクリエイティブ性能

Intel Core i7 12700KFについて3Dレンダリング、動画編集・エンコード、RAW現像・写真リタッチ、PCゲーム/スマホアプリのビルド、AI機能による超解像・写真分類などクリエイティブ作業に関する性能を各種ベンチマークソフトや実際のアプリケーションで検証しました。

Intel Core i7 12700KFの3Dレンダリング性能

まずは「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの3Dレンダリング性能を比較していきます。
CPUのマルチスレッド性能を比較するベンチマークソフトとして国内外で最も知られているCinebenchの2021年リリース最新バージョン「Cinebench R23」、オープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトの4種類を使用してベンチマーク測定を行いました。

Cinebench R23は3Dレンダリング性能を測定するベンチマークソフトになっており、マルチスレッド性能を測定するテストとシングルスレッド性能を測定するテストの2種類を実行しています。
Intel Core i7 12700KF_Cinebench R23

Cinebench R23 マルチスレッド性能テストについて「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_rendering_1_cine_r23_multi

Cinebench R23 シングルスレッド性能テストについて「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_rendering_1_cine_r23_single

3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト(ver3.2.1)
について「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Blender Benchmark 3.0ではmonster/junkshop/classroomの3つのレンダリングが実行され、それぞれ分間サンプル数がベンチマークスコアとして表示されます。Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、3つのスコアについて性能比率を算出し、その平均値をグラフ化しています。
Intel Core i7 12700KF_rendering_2_blender

3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフト(ver5.2.0)について「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
V-Rayのベンチマークソフトのレンダリングサンプル数が結果として表示されますが、性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i7 12700KF_rendering_3_vray


Intel Core i7 12700KFの動画エンコード・動画編集性能

続いて「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの動画編集や動画エンコードの性能を比較していきます。
検証には、無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」、大量の動画ファイルを一括エンコードする時に便利なフリーソフト「HandBrake」を使用しています。
またアマチュアからプロまで動画編集ソフトとして幅広く使用されている「Adobe Premiere Pro」の実用性能を検証するベンチマークとしてULMarkのUL Procyon Video Editing Benchmarkも測定しています。


まずは単純に動画ファイルをそのまま圧縮するエンコード作業の性能比較として、HandBrakeを使用したエンコード性能をチェックします。
HandBrakeは、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、それぞれ解像度はそのままにCRF値指定でエンコードを行っています。
HandBrake_test
比較グラフのx2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。
ソースファイルやエンコード設定にも依りますが、フルHD解像度では8コア16スレッド程度、4K解像度では16コア32スレッド程度でマルチスレッド分散がボトルネックになり始め、単独エンコードではCPUが遊び始めます。
20コアオーバーのウルトラメニーコアCPUでマルチスレッド性能をフルに活用しようと思うと、8K解像度のような超高解像度のエンコード、もしくは複数並列エンコードを行う必要があるので注意してください。

x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_encode_1_handbrake_x264_1920-1920

x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_encode_2_handbrake_x264_3840-3840

x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_encode_3_handbrake_x265_1920-1920

x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_encode_4_handbrake_x265_3840-3840

続いてAviutlで編集した動画プロジェクトのエンコード速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの性能を比較していきます
編集プロジェクト自体は単純で、4K解像度とフルHD解像度(4K解像度に拡大)の2つの動画ファイルを使用し、それぞれの動画を左右にフェードイン/アウト、後は画面上にテキストをオーバーレイさせているだけです。YouTubeにアップしている下の動画が完成物となっており、冒頭1分間部分のエンコード速度を測定しています。


Aviutlで作成した3840×2160解像度の4K動画プロジェクトをH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
動画編集ソフトにも依りますが、Aviutlの場合、動画開始直後のように単独の4K映像に文字をオーバーレイするだけでもエンコード出力のCPU使用効率が下がります。
カット編集だけならAviutlもHandBrakeも大差ありませんが、編集したプロジェクト1つをエンコード出力した場合、上で見たHandBrakeによる単純エンコードと比較してマルチスレッド性能に比例したスケーリングは鈍り、シングルスレッド性能で差が出る傾向が強まります。
Intel Core i7 12700KF_encode_5_aviutl_x264_3840-Project

続いてAdobe Premiere Proの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Video Editing Benchmarkのベンチマーク結果から、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの動画編集性能を比較していきます
UL Procyon Video Editing BenchmarkにはフルHD解像度と4K解像度の2種類のプロジェクトがあり、それぞれにおいてCPUのみを使用するテストとGPU支援を有効にするテストを行い、トータルのベンチマークスコアを算出しています。

Adobe Premiere Proの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Video Editing Benchmarkについて、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ:Total Score / FHD(CPU) / FHD(CPU&GPU) / 4K(CPU) / 4K(CPU&GPU)
Intel Core i7 12700KF_encode_6_ul-procyon_1

この章の最後に、映画/ポストプロダクション/放送業界に向けて世界最高品質の製品を開発しているBlackmagic Design社製の動画編集ソフト DaVinci Resolveの実用性能について、Puget Systemsから配布されているベンチマークソフト PugetBench for DaVinci Resolveを使用して、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの動画編集性能を比較していきます。
DaVinci Resolveは有償版のDaVinci Resolve Studio(ver17.4.6)を使用し、PugetBench for DaVinci ResolveのExtended Testを実行しています。
PugetBench for DaVinci Resolve Extended Testには4K Media、8K Media、GPU Effect、Fusionの4つのテストが実行され、それぞれのサブスコアからトータルのベンチマークスコアが算出されます。

DaVinci Resolveの実用性能を検証するベンチマークソフト PugetBench for DaVinci Resolveについて、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ:Total Score / 4K Media / 8K Media / GPU Effect / Fusion
Intel Core i7 12700KF_encode_7_davinci-resolve_1


Intel Core i7 12700KFのRAW現像・写真リタッチ性能

続いて「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのRAW現像や写真リタッチの性能を比較していきます。
検証には、強力なノイズ除去機能PRIMEや最新版DeepPRIMEで評判の写真編集ソフトDxO PhotoLab 5によるRAW現像に加えて、アマチュアからプロまで動画編集ソフトとして幅広く使用されている「Adobe Lightroom Classic」と「Adobe Photoshop」の実用性能を検証するベンチマークとしてULMarkのUL Procyon Photo Editing Benchmarkも測定しています。

まずはDxO PhotoLab 5によるRAW現像について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの性能を比較していきます
ミラーレス一眼カメラSONY α1で撮影した8640×5760解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLab 5の画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去をPRIMEに変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。
なおDxO PhotoLab 5によるRAW現像は並列処理数を設定できますが、CPUコア数の半分前後の並列処理で最速になるようです。
DxO Photolab_test

DxO PhotoLab 5によるRAW現像速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_photo_1_DxO


続いてAdobe Lightroom ClassicとAdobe Photoshopの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Photo Editing Benchmarkのベンチマーク結果から、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのRAW現像と写真リタッチの性能を比較していきます
UL Procyon Photo Editing BenchmarkにはAdobe Lightroom Classicを使用したバッチ処理テスト(Batch Processing test)に加えて、Adobe Lightroom Classicで簡易処理を施した写真セットをAdobe Photoshopで編集するテスト(Image Retouching test)の2種類を行い、トータルスコアが算出されます。

Adobe Lightroom ClassicとAdobe Photoshopの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Photo Editing Benchmarkについて、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ:Total Score / Retouch / Batch
Intel Core i7 12700KF_photo_2_ul-procyon_1


Intel Core i7 12700KFのPCゲーム/スマホアプリのビルド性能

最後に「Unreal Engine 4/5」や「Unity」などフリーウェアながら高画質なPCゲームやスマホゲームを製作可能なゲームエンジンを使用したゲーム制作におけるCPU性能の検証として、Unreal Engine 4で「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。
Epic Games Storeで無料配布されているUnreal Engine 4のデモプロジェクト Infiltratorを使用したビルド時間の比較を行います。検証設定としてリアルタイム表示はオフ、ライティングの品質をプロダクションとしています。Unreal Engine 4のバージョンは4.27.2で統一しています。
Unreal Engine 4_Infiltrator_test

「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i7 12700KF_dev_Unreal-Engine


Intel Core i7 12700KFのAI性能

ディープラーニングや人工知能(AI:Artificial Intelligence)の流行に合わせて、近年の最新CPUではAI支援機能の実装も目玉の1つになっているので、一般ユースに近い活用方法として、AIによる写真の超解像化や写真の自動分類で「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。

まずはAIによって低解像度の写真を高精細な高解像度にアップスケールできる「Topaz Gigapixel AI」を使用して、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。
500×500解像度前後の写真を50枚用意し、AIモデルStandardによって4倍の解像度にアップスケールするのにかかる時間を測定しました。
Topaz Gigapixel AIはOpenVINOツールキットにより、第10世代以降のIntel Core CPUで採用されているDL Boostと呼ばれるディープラーニングを支援する新しい命令に対応していますが、CPUのマルチスレッド性能でゴリ押しも効くアプリです。

Topaz Gigapixel AIのAIアップスケール速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
処理時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのAIアップスケール速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i7 12700KF_ai_1_topaz-gigapixel-ai

続いてAIによって写真の被写体(人物、犬猫、自動車など)を自動で分類できる「Nero AI Photo Tagger」を使用して、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。
500×500解像度前後の写真を計1300枚(犬、猫、自動車の3種類)用意し、AI認識によって自動分類するのにかかる時間を測定しました。
Nero AI Photo TaggerはOpenVINOツールキットにより、第10世代以降のIntel Core CPUで採用されているDL Boostと呼ばれるディープラーニングを支援する新しい命令に対応しています。
CPUのAI支援機能が効果を発揮するのはもちろん、AVX512命令でも大幅に性能が向上する用途です。

Nero AI Photo TaggerのAI自動分類速度について、「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
処理時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのAI自動分類速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i7 12700KF_ai_2_nero_ai_photo_tagger



Intel Core i7 12700KFのゲーミング性能

「Intel Core i7 12700KF」のPCゲームに関する性能を実ゲームを用いたベンチマーク測定で検証しました。
なお章タイトルではゲーミング性能と表記してはいますが、近年発売された4コア4スレッド以上のCPUであればフルHD解像度~4K解像度の60FPSターゲットにおいてCPUボトルネックが発生するケースは多くありません。そのためCPUゲーム性能比較の具体的な内容は”高フレームレートにおけるCPUボトルネック比較”と表現するのが実状に即しています。
ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するなら、Intel Core i5 12400(F)やAMD Ryzen 5 5500など6コア12スレッド以上のCPUを当サイトでは推奨しています。


各CPUのゲーミング性能を測定するため統一検証機材として、2022年最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holo」を使用しています。
CPU Test System




CPU別ゲーミング性能の比較には近年の高画質PCゲームから、Assassin’s Creed Valhalla、Cyberpunk 2077、F1 2022、Far Cry 6、Marvel’s Guardians of the Galaxy、Shadow of the Tomb Raider、Tom Clancy's Rainbow Six Extraction、Forza Horizon 5、MONSTER HUNTER RISE : SUNBREAK、Marvel’s Spider-Man Remasteredの10タイトルを使用しています。
前述の通り、CPUがゲーム性能に与える影響の多くは100FPS以上の高フレームレートにおけるボトルネックの解消なので、フルHD(1920×1080)解像度/高画質設定について、各ゲームで平均フレームレートと1% Lowフレームレートを測定しました。
また参考としてAssassin’s Creed Valhalla、Cyberpunk 2077、Shadow of the Tomb Raider、Marvel’s Spider-Man Remasteredの4種類については4K解像度/60FPSをターゲットとしたベンチマーク測定も行っています。
CPU-Review_Game-Bench_2022

ゲームタイトルにもよりますがPCゲームにおけるCPU負荷であれば、CPU Package PowerはIntelのPBPやAMDのTDPよりも十分に低い数値に収まることが多く、CPUコアクロックは全コア最大動作倍率に張り付きます。
フレームレートに対するCPUボトルネックの緩和においては、この全コア最大動作倍率の高さが重要になり、クリエイティブタスクと違って電力制限は支配的ではなくなります。(PCゲームではIntel製CPUのPL1、AMD製CPUのPPTは影響をほとんど及ぼさなくなる)

Intel Core i9 12900やAMD Ryzen 7 5700Xのように定格の電力制限に対して全コア動作倍率の高いCPUの場合、PCゲームにおいてもCPU使用率が高くなるハイフレームレートでCPU消費電力がPBPやTDPを超過するタイミングもありますが、短期間電力制限PL2によるターボブーストやTDPよりも余裕をもって設定されたPPTによって高いコアクロックを維持し続けることができるので、影響は軽微です。
クリエイティブタスクの検証において複数の電力制限で測定していたCPUもPCゲームでは極端に大きい消費電力になることはないので、電力制限が緩い方を代表として測定しています。


Intel Core i7 12700KFのゲーム性能 - 4K解像度/60FPSターゲット

まずは60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度のゲーミング性能について「Intel Core i7 12700KF」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。
上述の通り4K高解像度の60FPSターゲットでは基本的にCPUボトルネックは発生しません。グラフの掲載順は平均フレームレートによる昇順ですが、4コア8スレッドや6コア6スレッドよりもコアスレッド数が多いCPUについては、ほぼ測定誤差の範囲内です。

Assassin's Creed Valhara(4K解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_game_1_3840_1_acv

Cyberpunk 2077(4K解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_game_1_3840_2_cyber

Shadow of the Tomb Raider(4K解像度、DirectX12、画質プリセット:最高、アンチエイリアス:オフ)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i7 12700KF_game_1_3840_3_sottr

Marvel’s Spider-Man Remastered(4K解像度、DLSS:品質、画質プリセット:非常に高い、レイトレーシング:高/高/6)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Marvel’s Spider-Man Remasteredは非常にCPUボトルネックが強いタイトルです。4K解像度かつレイトレーシング表現有効でもCPU性能に応じてフレームレートが大きく変わります。
Intel Core i7 12700KF_game_1_3840_4_spider


Intel Core i7 12700KFのゲーム性能 - フルHD解像度/ハイフレームレート

続いて100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/高画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i7 12700KF」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。

Assassin's Creed Valhara(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Assassin’s Creed ValhallaはNVIDIA GeForce RTX 30シリーズGPUのハードウェア/ドライバがボトルネックになっており、AMD Radeon RX 6000シリーズGPUよりも性能が伸びません。今回の統一検証機材グラフィックボードの場合、平均フレームレート130FPS前後であれば測定誤差の範囲内です。
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Cyberpunk 2077(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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F1 2022(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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Far Cry 6(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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Marvel's Guardians of the Galaxy(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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Shadow of the Tomb Raider(フルHD解像度、DirectX12、画質プリセット:高、アンチエイリアス:オフ)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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Tom Clancy's Rainbow Six Extraction(フルHD解像度、画質プリセット:高、レンダースケール:固定100%)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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Forza Horizon 5(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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MONSTER HUNTER RISE(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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Marvel’s Spider-Man Remastered(フルHD解像、アンチエイリアス:オフ、画質プリセット:高い、レイトレーシング:オフ)に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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最後に、今回検証した10種類のゲームについて各タイトルについて平均FPSと1% Low FPSでそれぞれ、Core i5 12400Fを基準にした性能比率を算出し、さらに平均値としてグラフにまとめました。(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)
フルHD解像度/ハイフレームレートの相対的なPCゲーミング性能に関する「Intel Core i7 12700KF」を含めた各種CPUの比較結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
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CPUエンコーダとリアルタイム配信について

ゲーム実況やライブ配信と呼ばれるPCゲームのリアルタイム配信について、現在ではNVIDIA GeForce RTX 3050やAMD Radeon RX 6600などハードウェアエンコード機能を使用できるエントリー~ミドルクラスのGPUを使用することでフルHD解像度で必要十分な画質とフレームレートが得られます。

GPUエンコーダは動作自体も軽いので、これらGPUエンコーダの登場によってリアルタイム配信やプレイ動画の録画におけるCPUエンコーダの役目は終わったというのが一時期の私見でしたが、メインストリーム向けCPUのコアスレッド数の増加に伴い、x264 Mediumのような高画質プリセットのプレイ&録画が一般ユーザー的にも現実的になってきています。

Youtube LiveやTwitchなどリアルタイム配信(ライブストリーミング)サービスで、PlayStation 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch等のコンシューマーゲーム機や、PCゲームのプレイ動画・ゲーム実況を快適に配信するのに必要なCPU性能については、現在、連載を続けている【快適配信】シリーズで詳細に解説しています
一口にゲーム実況と言っても、『1.ビデオキャプチャを使用してPCは録画配信作業のみを行う』、『2.PC1台で同時にゲームプレイと録画配信を行う』の2つのケースに大別され、どちらで使用するのかで要求されるCPU性能やCPUメーカー毎の得手不得手など事情が変わってくるので注意してください。

ざっくりと現状でCPUを使用したリアルタイム配信・ゲーム実況に要求されるCPU性能だけ述べておくと、『ビデオキャプチャを使用した配信の最低水準は6コア12スレッドのCPU』、『ゲームをプレイしながら配信の最低水準は8コア16スレッドのCPU』です。


【快適配信】シリーズの記事一覧へ
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画質と快適性を求めるなら録画・配信専用マシンもオススメ

ビデオキャプチャ業界の進歩も目覚ましく、2018年に発売された「AVerMedia Live Gamer Ultra」を皮切りに、各社から4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSの映像ソースを無遅延なパススルー表示しつつ、フルHD/60FPSのプレイ動画として録画・配信できるUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャが各社から発売されています。


前述の通りフルHD/60FPSの録画・配信であれば、GPUのハードウェアエンコーダを利用することで必要十分な画質が得られて動作も軽いので、録画配信のために高性能な反面、非常に高額なCPUに投資するよりも、多少コストがかかっても「AVerMedia Live Gamer Ultra」などのビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するほうが、録画・配信の手法としてはわかりやすくてハードルが低いと思います。
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Intel Core i7 12700KFのレビューまとめ

「Intel Core i7 12700KF」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ or 概要
  • 8コア P-Coreと4コア E-Coreによる12コア20スレッドCPU
  • 定格のPL1:190Wに対してPL1:125W制限でもマルチスレッド性能の低下は5%程度
  • PL1:125~160Wなら120サイズ空冷CPUクーラーでも問題なく運用可能
  • IPC向上によりCore i9 11900KやAMD Ryzen 5000よりも大幅に高速なシングルスレッド性能
  • 144FPS~360FPSのハイフレームレートなPCゲーミングで最速クラス
  • 最新規格DDR5のシステムメモリに対応(対応マザーボードも必要)
悪いところ or 注意点
  • 5.7万円程度と高価(2022年9月現在)
  • VRM電源が弱いMBでの運用は非推奨(Z690マザーボードなら基本問題なし)

温度・消費電力について

温度・消費電力に関する章や補足記事で解説した通り、Intel Core i9 7900Xの登場以降、Intel CPUは検証機材に使用するマザーボードに依るとはいえ基本的にIntelの仕様を満たす電力制限が無効化されていることが多かったのですが、Intel第12世代CPUでは一部例外はあるものの電力制限周りが明文化されました。

一方で絶対性能を重視した電力設定が定格となっており、ワットパフォーマンス的なスイートスポットから大きく外れているため、今回レビューしている「Intel Core i7 12700KF」を始めとしてIntel第12世代CPUの一部モデルはCPU温度と消費電力が非常に高いとレビューで評価される傾向にあります。
しかしながらCinebench R23とEPS消費電力の関係、ワットパフォーマンスを確認してみると、「Intel Core i7 12700KF」の電力効率は決して悪くありません。
前世代最上位のCore i9 11900Kを大幅に上回る電力効率を実現しており、競合AMDの最新CPUであるRyzen 9 5900Xと同程度です。
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「Intel Core i7 12700KF」はProcessor Base Power/TDPの125Wに電力制限を適用してもマルチスレッド性能の低下は5%程度に収まります。
またPCゲームプレイ中に「Intel Core i7 12700KF」のコアクロックが全コア最大動作倍率に張り付くのに必要な電力制限の下限は70~90W程度です。
Intel Core i7 12700KF_Performance_per-and-game


クリエイティブ性能について

「Intel Core i7 12700KF」のクリエイティブ性能については、全コア最大4.7GHzで動作する8コア16スレッドのP-Coreと全コア最大3.6GHzで動作する4コア4スレッドのE-Coreとで構成されるCPUであるものの、最新アーキテクチャによるIPCの向上が絶大なので、額面から単純に想定される以上のパフォーマンスです。
前世代のメインストリーム向け最上位CPUである8コア16スレッドのCore i9 11900Kやさらに1つ前、10コア20スレッドのCore i9 10900Kと比較して、マルチスレッド性能が十全に発揮されるクリエイティブタスクでは40~60%程度という大幅な性能向上を果たしています。

一方で競合AMDのメインストリーム向けCPUであるRyzen 5000と比較すると、同価格帯のRyzen 7 5800Xは8コア16スレッドCPUなのでやはり40~60%も上回り、タスクの種類で多少前後するものの12コア24スレッドのRyzen 9 5900Xと同等の性能を発揮します。
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「Intel Core i7 12700KF」はシングルスレッド性能でRyzen 5000を大幅に上回っており、今回の検証でいうとAviutlで編集した動画プロジェクトのエンコード速度やUL ProcyonによるAdobe CCアプリの実用性能ベンチにその影響が表れています。
上記のようなマルチスレッド性能が支配的なシーンだけでなく、アプリ操作のレスポンスやシングルスレッド性能がボトルネックになるシーンでも「Intel Core i7 12700KF」はRyzen 5000の競合モデルや上位モデルより高い性能を発揮します。

また「Intel Core i7 12700KF」は近年流行りのAIに最適化された命令セットIntel Deep Learning Boost(DL Boost)に対応しており、OpenVINOツールキットで開発されたアプリで高い性能を発揮できます。(なおこの点についてはAVX512にも対応したCore i9 11900Kなど第11世代がかなり強いのですが、最新BIOSではE-Core無効でもAVX512を使用できなくなっているのが少し残念)


ゲーム性能について

ゲーム性能検証の冒頭でも述べたようにフルHD~4K解像度の60FPSターゲットであれば4コア4スレッド以上の最新CPUであればどれを使用しても大差はありません。
Ryzen 2000/3000の頃だとゲーム側の最適化の問題で60FPSターゲットであってもCPUによって差が出るケースも散見され、ゲーム用ならどちらかというとIntelという感じでしたが、Ryzen 5000以降ではこの差もほぼ無視できるレベルだと思います。
ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するなら、2万円台半ばから購入できることもありIntel Core i5 12400(F)やAMD Ryzen 5 5500など6コア12スレッド以上のCPUを当サイトでは推奨しています。

「Intel Core i7 12700KF」は、最上位のCore i9 12900Kにこそ及びませんが、PCゲームにおけるCPUボトルネックを最も緩和できるCPUの1つです。
240Hz+の超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタの性能を最大限発揮できるので、バトルロイヤル系などオンライン対戦PCゲームをプレイし、勝つためのゲーミングPCに搭載するCPUとして文句なしにオススメです。

最大16コアをラインナップする競合AMD Ryzenに対して第10世代と第11世代ではCore i9を最速ゲーミングCPUとして送り出すなどゲーミングシーンでの存在感をアピールしていたIntel、その後、Ryzen 5000の登場によってゲーム性能でも最速の座を奪われてしまったのですが、最上位Core i9 12900Kを筆頭として第12世代CPUによって”PCゲーム用のCPUならIntel製”という地位を見事に奪還しています。
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ゲーム用CPUの推奨は6コア12スレッド以上というのは上記の通りですが、ゲーム性能ベンチマークで見たように例えばMarvel’s Spider-Man Remasteredの4K解像度/最高画質&レイトレーシングは60~120HzでもCPUボトルネックが発生します。
競技系ではない、画質重視なPCゲームでもメニーコアCPUが力を発揮することはあるので、GPU優先が定石ではあるものの、「Intel Core i7 12700KF」はMarvel’s Spider-Man RemasteredやFINAL FANTASY VII REMAKEのような高画質アクション/RPGゲームを好むPCゲーマーにとっても魅力のある製品です。

またプレイ動画の配信についてはNVIDIA GeForceグラフィックボードで使用可能なハードウェアエンコーダNVEncの動作が軽快で、画質もRTX20/GTX16世代以降ではCPUによるx264の実用プリセットに迫る品質に改良されているので主流になりつつあります。
この分野ではCPUの存在感は薄まりつつありますが、プレイ動画の作成や編集においては依然として動画のエンコード性能しかりCPUの性能が重要であることは間違いないので、プレイ動画の作成という面もゲーム性能と捉えるなら、その意味でも「Intel Core i7 12700KF」は優れたゲーミングCPUです。


総評 - TGP300W超ハイエンドグラボで組むゲーミングPCのお供に最適

「Intel Core i7 12700KF」はGeForce RTX 3080やRadeon RX 6800 XTのようなTGP300Wグラボで組む高性能ゲーミングPCのお供として当サイト的にイチオシのCPUです。
PCゲーミングにおいて当サイト的なCPUの推奨(必要最小)スペックは6コア12スレッドであり、具体的にはCore i5 12400やRyzen 5 5600ですが、「Intel Core i7 12700KF」はハイフレームレートにおいて最新ハイエンドGPUの性能を最大限に引き出し、トータルシステムとして6コア12スレッドCPUよりも高い性能を発揮します。
またMarvel’s Spider-Man Remastered 4K解像度/最高画質&レイトレーシングのように、画質重視なPCゲーミングでもCPUボトルネックが生じるものは今後増えていくと予想されるので、ハイエンドクラスのGPUでゲーミングPCを新たに組む、BTO PCを購入するのであれば「Intel Core i7 12700KF」や「Intel Core i7 12700K」がオススメです。

Core i9 12900Kと比較するとどうかというと、最上位モデルだけあってゲーム性能とクリエイティブタスク性能の両面で流石に及びませんが、一方でCore i7 12700KFには『CPU消費電力が最大160W程度で運用しやすい』、『製品価格が2万円ほども安価』という2つ大きな長所があります。
2万円も浮けばストレージを余分に1~2TB増設したり、グラフィックボードをより静音性の高い上位のオリファンモデルへアップグレードするといった予算配分が可能です。
またCPU消費電力が低ければ、それだけCPUクーラーの静音運用が容易ですし、Core i9 12900Kと違って280サイズや360サイズの高価なAIO水冷クーラーも必要ないので、その方向でも予算を抑えることができます。
CPU性能の面でも「Intel Core i7 12700KF」のゲーム性能はCore i9 12900Kに及ばずとも大きく劣るわけではありませんし、クリエイティブタスク性能もゲーム実況・配信で動画を編集する分には十分過ぎる性能です。


Intel第12世代CPUの発売が2021年11月だったので、もう少しすれば発売から1年が経ってしまうという、大遅刻な詳細レビューになってしまいました。
2022年9月には競合AMDから次世代CPUであるRyzen 7000シリーズが登場予定であり、さらに2022年内にIntelからもRaptor Lakeこと第13世代CPUの登場が噂されています。
Ryzen 7000は単コア最大ブーストがRyzen 5000と比較して1GHz前後伸び、シングルスレッド性能は30%近くも向上するとアピールされています。一方でRaptor Lakeこと第13世代CPUは噂レベルですが、P-Coreがさらにハイクロックに、E-Coreは最大16コア16スレッドになりマルチスレッド性能も大幅に向上するとのこと。
Intel第10世代vsAMD Ryzen 3000の時のような拮抗した戦いが見られそうで管理人も非常に楽しみにしています。


以上、「Intel Core i7 12700KF」のレビューでした。
Intel Core i7 12700KF



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