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VRR同期&HDR機能認証AMD FreeSync Premiumを取得し、4K解像度かつネイティブ144HzリフレッシュレートでHDMI2.1ビデオ入力も搭載する31.5インチIPS液晶ゲーミングモニタ「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」をレビューします。
GeForce RTX 3080やRadeon RX 6800 XTを搭載した高性能ゲーミングPCはもちろん、PlayStation 5やXbox Series X/Sにも最適な4K/120Hz対応でHDMI2.1搭載のゲーミングモニタを徹底検証していきます。
製品公式ページ:https://japannext.net/jn-315ips144uhdr/
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR レビュー目次
1.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの概要
2.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの開封・付属品
3.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの液晶モニタ本体
4.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのOSD操作・設定
5.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの発色・輝度・視野角
6.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの144Hzリフレッシュレートについて
7.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの応答速度・表示遅延
8.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのFreeSync/G-Sync CPについて
9.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのVRBについて
10.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのHDR表示やCSゲーム機対応について
11.JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのレビューまとめ
【機材協力:JAPANNEXT】
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの概要
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は解像度が3840×2160の4K解像度、モニタサイズが31.5インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプは発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用されています。コントラスト比は通常1000:1、応答速度は1ms(MPRT)です。「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はHDR表示にも対応しており、標準輝度400nits(cd/m^2)です。VESAがPCモニター向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDRは取得していません。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のリフレッシュレートはネイティブ144Hzです。144Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はゲーミングPCやコンソールゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」にも対応しており、ティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。NVIDIA製GPUとの互換性を証明するG-Sync Compatible認証も取得については未定です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のビデオ入力はDisplayPort1.4×2とHDMI2.1×1、HDMI2.0×1の4系統です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のHDMIビデオ入力はver2.1なのでPlayStation 5やXbox Series X/Sを接続すると4K/120Hz表示に対応します。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はDisplayPort1.4で策定されている映像データの非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」に対応しています。DSCは映像データを非可逆圧縮しますが視覚的に画質を損なうことがなく、DisplayPortケーブル1本で4K解像度/144FPS/フルRGBの映像データの伝送が可能です。可変リフレッシュレート同期機能やHDR表示とも互換性があります。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の寸法はモニタスタンド込みで幅715mm x 高さ479~609mm x 奥行310mm(モニタ単体では56mm)となっています。付属モニタスタンドは上下チルト、左右首振りスイーベル、昇降高さ調整、90度回転ピボットに対応しています。チルト角は上18度から下2度、スイーベル角は左右45度、高さ調整は最大130mmの範囲で調節可能です。本体重量はモニタスタンドありで7.9kg、モニタスタンドなしの液晶パネル本体のみは5.8kgとなります。VESA100x100マウントにも対応しておりモニタアームも使用可能です。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの開封・付属品
まずは「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」を開封していきます。「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は茶箱に製品名やイラストが黒でプリントされたパッケージが採用されており、パッケージサイズは幅93cm×高さ50cm×厚み15cmで、31.5インチモニタが入っている箱としては厚みは薄いですが左右の幅は大きめです。
上には持ち手もあるので、成人男性なら問題なく持ち運べると思います。
各種付属品はスペーサーに蓋もなく収められているので、保護スペーサーをパッケージから取り出す際は、付属品が脱落しないように、付属品のある面が上になるように確認してから引き出してください。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の付属品を簡単にチェックしておくと、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、ACアダプタ、ACケーブル、モニタスタンド固定ネジ&ドライバー、VESAマウント用スタンドオフが付属します。
付属HDMIケーブルはHDMI協会がHDMI2.1互換を証明するUltra High Speed HDMIケーブル認証を取得していませんが、一応ケーブルには”Ultra High Speed HDMI”と刻印されていました。
各種ケーブルを個別に購入する場合のオススメ製品も紹介しておきます。
視覚損失のない非可逆圧縮機能DSCによって4K/144Hz/HDR 10bit RGBに対応するDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」を推奨しています。標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
HDMI2.1ケーブルについては「エレコム ウルトラハイスピードHDMIケーブル スリム CAC-HD21ESシリーズ」がおすすめです。標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
同製品は4.5mm径のスリムケーブルながら、HDMI2.1の正常動作を証明するUltra High Speed HDMIケーブル認証を取得しており、安心して使用できます。
当サイトでもGeForce RTX 30搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。
その他にもケーブル径5.0mm以下でスリムな48Gbps対応HDMI2.1ケーブルについてまとめた記事も公開しているので、こちらも参考にしてみてください。
長さ5m以上でも安定した動作が期待できる光ファイバー式HDMI2.1ケーブルでイチオシは、「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」です。
「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」は、HDMI協会の公式認証であるUltra High Speed HDMI認証を取得、さらにXbox Series X/S互換製品認証も取得しており、ケーブル性能の保証としては隙の無いカンペキな製品です。
5mが7000円、10mが10000円で光ファイバー式HDMIケーブルとしては標準的なお値段で、 信頼性の高さも考慮したらかなりリーズナブルだと思います。
当サイトでもGeForce RTX 30搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」に付属するACアダプタのコンセントケーブル側端子はミッキー型と呼ばれることの多い3PIN端子です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」に付属するモニタスタンドはフレームとフットプレートの2つの部品で構成されています。開封時点でメインフレームはモニタ本体に装着されています。
フットプレートをフレームに差し込んで底面のネジを締めるだけで簡単にモニタスタンドを組み立てられます。ネジにはレバーが付いているのでドライバー不要で組み立てが可能です。
モニタスタンドの組み立てまではツールレスなのですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はモニタ本体にモニタスタンドを装着する手順でネジ止めを行います。ドライバーは簡易のものが付属するので各自で用意する必要はありません。
モニタスタンドをはめ込んだら、モニタスタンドの4ヶ所のネジ穴に先ほど付属のネジとドライバーを使って固定します。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの液晶モニタ本体
続いて「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」ははフレームレス構造ですが、フレーム内パネル上には非表示領域があり、上左右の非表示領域の幅は7mm程度です。また「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の下側フレームは幅20mm程度ですが厚みは小さいので邪魔になることはないと思います。
細かいところですが、モニタ下フレームの底面にはネジがあり、ネジ頭が外装から浮いているのが気になりました。ネジ頭は角が丸いので手を切ったりすることはないのですが、正面から見ても分かる感じなので、ちゃんと外装に埋まっていて欲しかったところ。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はディスプレイサイズが31.5インチなので、一般的な27インチの4Kモニタよりも大迫力な映像を楽しめます。(比較写真は参考用の同サイズ別製品です)
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の背面は、黒色プラスチック製、ゲーミング製品らしいテクスチャが刻印されています。モニタスタンドも含め、背面デザインはスマートにまとまっています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のモニタスタンドにはケーブルホールがあるので、各種ケーブルをまとめることができます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のモニタ背面の左右ラインにはLEDイルミネーションが搭載されています。発光パターンは固定でオン・オフのみOSDから設定できます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のモニタ背面に内蔵されたLEDイルミネーションはRGBタイプで七色に全体が同じ発光カラーで七色に変化していきます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のモニタ本体の厚さは最薄部で25mm、最厚部で70mmほどと最近の液晶モニタとしては厚標準的な厚みです。モニタ本体重量は5.8kg程度で、31.5インチモニタとしては軽めです。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」では背面下部、下向きにビデオ入力等のI/Oポートが実装されています。
I/Oポートとして右から順に、3.5mmヘッドホンジャック、2基のDisplayPort1.4ビデオ入力、1基のHDMI2.1ビデオ入力、1基のHDMI2.0ビデオ入力、DC端子が設置されています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のIOポートは底面から40mm程度とかなり浅い場所にあるので、コネクタが大きいケーブルでは、コネクタそのものやケーブルがモニタの下端からはみ出してしまいます。IOポートの実装位置についてはもう少し配慮して欲しかったところです。
DisplayPortケーブルではコネクタサイズが最小サイズの「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」でも下写真のようにコネクタ末端とケーブルははみ出してしまいます。
HDMIケーブルは最新規格HDMI2.1でも上で紹介している「エレコム ウルトラハイスピードHDMIケーブル スリム CAC-HD21ESシリーズ」ならコネクタが小さいので正面から見えることはありません。しかしながら、光ファイバー式ケーブルはコネクタが大きいのでDisplayPortケーブルと同様にはみ出してしまいます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の付属モニタスタンドの左右スイーベルの可動域は左右45度(90度)に対応しています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に2度、上に18度です。
モニタの高さはモニタ本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、全高で高さ609mm~755mmの範囲内で調整できます。
なおモニタスタンドの高さを一番下に、チルト角を0度付近にすると、スタンドの赤色リング部分がIOポートに近づいて映像ケーブルと干渉する可能性があるので注意してください。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も5.8kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のVESAネジ穴は背面外装から窪んだ場所にありますが、スタンドオフが付属するので、クイックリリースでスライドさせるタイプのモニターアームも問題なく使用できます。
オススメのモニターアームや調整機能が豊富なVESA汎用モニタースタンド、VESAマウントの干渉を避ける方法についてはこちらの記事で詳細に解説しているので、導入を検討している人は参考にしてください。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのOSD操作・設定
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のOSD操作はモニタ底面の右下に設置されている4つのボタン(+電源ボタン)を使用します。各ボタンに割り当てられた機能は、写真のように真上のフレームに刻印されているので、それを参照しながら操作すればOKです。
なおOSDの操作感については、ボタンが小さいので押下し難い(押下も硬いので長時間操作すると指先が痛い)、手前に機能の刻印があるとはいえ形状が同じなので間違いやすい、押しっぱなしで設定値の変化が常に1ずつ、など不満点があり、ユーザーフレンドリーとは言い難い仕様でした。OSD操作についてはハード面も含めてもう少し工夫して欲しかったところ。
Menuの頭文字をとって”M”が刻印された左端のボタンを押下すると詳細設定メニューが表示されます。OSD表示領域は31.5インチの1/6程度となっており、文字も大きいので視認性も良好です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のOSDメニューは標準で日本語UIです。誤って変更してしまっても、下写真のメニューに合わせて操作すれば日本語に戻せます。
Menuの頭文字をとって”M”が刻印された左端のボタンを押下すると詳細設定メニューが表示されますが、残り3つのボタンには各種ショートカット設定が割り当てられています。
”←”(左矢印)が刻印されたボタンを押下すると輝度調整のショートカット設定が表示されます。
Exitの頭文字を取った”E”が刻印されたボタン(電源ボタンの隣で右から2番目)を押下すると、ビデオ入力選択のショートカット設定が表示されます。
”→”(右矢印)が刻印されたボタンを押下するとゲームメニューと呼ばれるゲーミング関連便利機能の設定メニューが画面中央に大きく表示されます。
ゲームメニューではOSDクロスヘア、カウントダウンタイマー、リアルタイムリフレッシュレートの3種類を利用できます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のOSDメニューには大きく分けて、「明るさ・コントラスト」「画面調節」「色温度」「OSD設定」「リセット」「その他」の6つの項目が用意されています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」では画質モードは”ピクチャーモード”と名付けられています。ピクチャーモードからは、標準設定の「スタンダード」に加えて「アイプロテクト」「ムービー」「RTS」「FPS」「ゲーム」の計6種の画質モードが用意されています。なおスタンダード以外はディスプレイ輝度が調整できません。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRでは「Over Drive」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度をオフ/オンの2段階で設定ができて、標準設定はオンになっています。
可変リフレッシュレート同期機能AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)は「FreeSync/VRR」の名前で、その他のタブ内に設定項目が配置されています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はモーションブラーリダクション機能に対応しており、その他のタブ内に「MPRT」の名前で配置されています。リフレッシュレートが100Hz以上の時にのみ使用でき、可変リフレッシュレート同期機能とは排他利用です。
画面調節のタブ内には、黒の強弱を調節して暗がりの視認性を高める機能「Black Level」が配置されており、補正強度はレベル0~20の21段階で設定が可能です。標準設定では0(おそらく機能OFFの状態)が設定されており、設定値を上げるほど明るくなります。
その他に標準のまま変更する必要がない設定として「Latency」と「Flicker Free」があります。
「Latency」は表示遅延を低減する機能でオフ/低/高の3段階で設定できますが、標準設定の”高”で最も表示遅延が小さくなるので変更する必要がありません。
また「Flicker Free」は読んで字のごとく、フリッカーフリーを切り替える設定です。一般的にはオンのままOSD設定にも出てこない機能ですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」ではOSD設定に表示されており、ユーザーは基本的に設定を変更する必要はありません。
PIP/PBP機能について
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は2つのビデオ入力を画面上に同時に表示する「PIP/PBP」にも対応しています。「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のPIP機能において副画面はディスプレイの1/4、1920×1080サイズで表示されます。副画面は表示サイズにモニタ側でリサイズされますが、出力機器としては最大で4K/60Hzで表示できます。なおPIP機能使用時、リフレッシュレートは主福共に60Hzが上限となります。
主副のビデオソースは4つのビデオ入力から自由に選択できます。なお主福で選択しているもう一方を選択するとそのまま主副が入れ替わります。
PIP使用時にモニタ内蔵スピーカーやヘッドホン用3.5mmジャックの音声ソースは主福から選択できます。
PIPでは副画面の表示位置は右上/右下/左上/左下から選択できます。
PBPでは4K画面が1920×2160で左右に2等分されます。左側が主入力、右側が副入力です。PC接続時は解像度の選択肢として1920×2160が表示され、ネイティブ1920×2160のディスプレイとして認識されますが、アスペクト比固定には対応しておらず、16:9の映像ソースは全画面でリサイズされてしまいます。
主副のビデオソースは4つのビデオ入力から自由に選択できます。なお主福で選択しているもう一方を選択するとそのまま主副が入れ替わります。
PBP使用時にモニタ内蔵スピーカーやヘッドホン用3.5mmジャックの音声ソースは主福から選択できます。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの発色・輝度・視野角
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがJAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 (高RR) |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
・IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説 - ゲーミングモニタの選び方[4]
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は144Hzの高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の発色について、色温度の標準設定である”暖色”で、白色が極端に黄色や青色がかって見えることもなく、特に違和感はありませんでした。(暖色の表記の通り、多少、黄色寄りではありますが)
色温度設定には寒色/ノーマル/暖色の3種類のプリセットがありますが、これらを切り替えても発色に違和感がある場合は、ユーザー設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。
ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
余談ですが、分光式のi1 Basic Pro 3は20万円程と非常に高価ですが、一般的な用途であれば測定精度は十分なので、イラスト製作や写真編集でカラーキャリブレーションを行う場合、カラーフィルター式のX-Rite i1 Display ProかDatacolor SpyderX Proで十分です。ユーザー数の多さで面倒が少ないのはX-Rite i1 Displayだと思います。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度20%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度50%前後です。最大輝度が400cd/m^2程度なので液晶モニタとしては若干高めの明るさです。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、120cd/m^2を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は差分10%以内が50%程度、差分20%以内が80%程度となっており、輝度の均一性はあまり良くありません。ただ左右端から中央へ向かって綺麗に山を描く感じの輝度分布なので、体感的には輝度の低下を感じ難い印象でした。
液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」については、やはり左右端、特に左下が少し暗い印象です。全体白表示なので強調されていますが、輝度低下は30%以内なのでカラフルな画面が表示される実用シーンでは特に問題にならない程度だと思います。
画面中央の白色点が約120cd/m2になるOSD設定において「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。ブラックレベルの測定にはX-Rite i1 Display Pro Plusを使用しています。
またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。
続いて「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の色域と色の正確性を検証してみました。
まずはモニタのOSD設定を標準設定にして(ディスプレイ輝度のみ120cd/m^2になるように調整)、任意のカラープロファイルを適用しない場合、次のようになりました。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は標準モードでそのまま使用しても100% sRGBに加えて、89% DCI-P3という非常に広い色域をカバーしています。
色の正確性は平均ΔEが0.80となっており、標準設定のままでもなかなか優秀です。X-Riteによると『ΔE=1程度で2つの色を横にくっつけて見比べた時に違いが判別できるレベル』とのこと。
次にX-Rite i1 Basic Pro 3を使用してカラーキャリブレーションを行いました。キャリブレーション設定は下のスクリーンショットの通りですが、i1 Profilerの標準設定をそのまま採用しています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」では色温度を標準設定の”暖色”にするとRGBの強さに差が大きいとアラートが出たので、手動で調整できるユーザー設定モードでR(赤)=45, G(緑)=45, B(青)=49としてキャリブレーションを行いました。
X-Rite i1 Basic Pro 3によってカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、同じくX-Rite i1 Basic Pro 3で行った品質検証(色の正確性の検証)の結果は次のようになっています。X-Rite i1 Basic Pro 3は分光式(スペクトロメーター)のカラーキャリブレータなので、測定精度はこちらの方が高いはずです。
上の測定結果ではカラーキャリブレーション前の色の正確性はΔE 0.80でしたが、カラーキャリブレーション後にX-Rite i1 Basic Pro 3で測定した色の正確性はΔE 0.4と非常に優秀な数値です。
また分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
一般的な液晶パネル(IPS/VA/TNに依らず)であれば下画像の左側のように青のピークだけが強く、残りの分離が弱い波形になりますが、LG製Nano-IPSで有名なKSF蛍光体や、Quantum Dot(量子ドット)といった最新技術が採用された液晶パネルは各色の分離が良く、ピークも急峻になります。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」については緑がややなだらかなものの、赤と青のピークは急峻で、一般的なIPS液晶パネルよりも赤緑青の3色の分離が良好です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のディスプレイパネルについてはIPSという分類以外の詳細は不明でしたが、赤色ピークの左に小さい山がある特長から推測するに、KSF蛍光体(LG製Nano-IPSで有名)の技術を採用した液晶パネルのようです。
KSF蛍光体では赤が強く出やすいのですが、赤と青の強弱については色温度の設定の影響だと思います。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの144Hzリフレッシュレートについて
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の最大の特徴の1つである144Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。まずは「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の特徴の1つである”144Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。
最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも普及しつつあり、さらには、それを1.5倍に上回る360Hzの超々高速なリフレッシュレート対応製品も各社から販売されています。
1秒間に144回の画面更新を行う144Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」ではNVIDIA GeForce RTX 30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.4のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを144Hzなどに自由に設定できます。
ゲーミングPCとゲーミングモニタの接続にはDisplayPortを使用するのが現在の主流ですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」に搭載された2基のHDMIビデオ入力のうち1基は最新規格HDMI2.1に対応しており、4K/120FPSの映像伝送が可能です。
NVIDIA GeForce RTX 30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど最新グラフィックボードのHDMI2.1ビデオ出力と接続した場合、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はフルRGBで4K/120Hzの表示に対応します。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のHDMI2.1ビデオ入力については4K解像度において144Hz非対応で最大120Hzであることに加えて、カラーフォーマットがYCbCr420に制限される仕様です。手動設定でもカラーフォーマットはフルRGBにできないので、PC使用時は基本的にDisplayPort1.4での接続を推奨します。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて144Hzや240Hzなど高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。
主観の画面表示を基準にしてみると、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
なお「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」で4K解像度/144FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」を使用するのであれば2021年最新のハイエンドGPUであるNVIDIA GeForce RTX 3080やAMD Radeon RX 6800 XTがおすすめです。
・GeForce RTX 30シリーズのレビュー記事一覧へ
・Radeon RX 6000シリーズのレビュー記事一覧へ
非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」が対応する非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について説明しておきます。「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はDisplayPort1.4で策定されている映像データの非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」に対応しているのが大きな特徴の1つです。
「Display stream compression (DSC)」は映像データを非可逆圧縮しますが視覚的に画質を損なうことがなく、DisplayPortケーブル1本で4K解像度/144FPS/フルRGBの映像データの伝送が可能です。また2本のDisplayPortケーブルを使用する方式と異なり、可変リフレッシュレート同期機能やHDR表示とも互換性があります。
Cyberpunk 2077のサンプルイメージを例にDSCの効果を検証してみました。
まずはフルRGBとYCbCr422の比較ですが、表示内容によっては(割とワーストケースですが)、下のようにYCbCr422ではボヤけてしまいます。ピンクの縦縞部分がYCbCr422によるボヤけが特にわかりやすいです。一方、DSCではフルRGBと同等の画質を得られます。【原寸の比較画像リンク:RGB vs YCbCr422、RGB vs DSC】
YCbCr422では文字が色によっては滲んで見えることがありますが、DSCでは解消されてRGBと同じ表示が得られています。【原寸の比較画像リンク:RGB vs YCbCr422、RGB vs DSC】
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRの応答速度・表示遅延
次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。まずは「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「Over Drive」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度をオン、オフの2段階で設定できます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のオーバードライブ設定はオン/オフのいずれも最適な応答とは言い難く、各自の目で見て好みの方を選んで下さい。
オーバードライブをオフにすると単純に応答遅れの残像が出て、オーバードライブをオンにすると補正が強過ぎてオーバーシュートの逆像が強く生じます。
応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
まずは簡単にシャッタースピードを十分に速くして「UFO Test: Ghosting」の様子を写真撮影してみたところ、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」では144Hzリフレッシュレートで動作させると、オーバードライブ設定がオフの場合、単純に応答遅れで1つ前と、さらに薄っすらと2つ前のフレームの残像が確認できます。
オーバードライブをオンにすると、過渡応答は高速になるものの、補正が強過ぎるためオーバーシュートの逆像が生じ、色滲みを感じやすくなります。
さらに「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のリフレッシュレートをネイティブ対応する最大値の144Hzにした時、オーバードライブをオフにすると単純に応答遅れの残像が出て、オーバードライブをオンにすると補正が強過ぎてオーバーシュートの逆像が強く生じます。
可変リフレッシュレート同期機能を使用する場合、負荷に応じて60FPS~144FPSでフレームレート/リフレッシュレートが変動します。120Hz以下においてもオーバードライブ設定毎の挙動は144Hzと同等なので、やはり各自の好みで選んでください。
ここからはSONY DSC-RX100M5の960FPS(16倍速)よりもさらに高速な5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラを使用して「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の応答速度を比較検証していきます。
5760FPSスーパースローでも144Hz時や120Hz時のオーバードライブ設定について確認しておくと、960FPSスーパースローでも見た通り、オフでは単純に応答遅れの残像を見せ、オンにすると過渡応答は高速になりますがオーバーシュートが強めに発生してしまいます。
続いて5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラで同等スペックの液晶モニタと応答速度を比較します。
予備知識として2021年末現在、4K/144Hz/HDMI2.1搭載ゲーミングモニタには、「LG 27GP950-B」などLG製パネル、「ASUS TUF Gaming VG28UQL1A」や「Acer Nitro XV282K KV」などInnolux製パネル、「ASUS ROG Swift PG32UQ」や「MSI Optix MPG321UR-QD」などAUO製パネルの3種類があり、LG製とInnolux製パネルが1ms GTGの公称スペックで実際に応答速度も最速、AUO製は少し遅いものの量子ドット採用で発色が最優という特長に分けられます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」との比較対象には、同じく4K解像度/144Hz対応の「ASUS TUF Gaming VG28UQL1A」と「LG 27GP950-B」とを使用し、144Hzリフレッシュレートで統一しています。
今回レビューする「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はASUS TUF Gaming VG28UQL1Aと同じくInnolux製パネルですが、オーバードライブ設定の最適化が悪いので応答速度について遅れをとっています。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は製品スペック自体が1ms GTGではなく1ms MPRTなので、そういった意味では妥当な結果ですが、パネルの素性自体は良いはずなのでオーバードライブの最適化不足はもったいなく感じます。
当サイトでこれまで検証してきた限りでは、他社製品の多くが100~144Hzで最適な応答を見せるオーバードライブ設定を少なくとも持っていたので、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」も頑張って欲しかったところ。
「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
測定には240Hz未満のモニタではSONY DSC-RX100M5の960FPSスーパースローモーションを使用していますが、240Hzを超えるモニタでは5760FPSのスーパースローモーションを使用しており、その場合は末尾に”*”マークを添えています。
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3ms、360Hzの場合は5.6msを下回っていればOKです。
まずは背景カラーがブラックの時の「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
続いて背景カラーがホワイトの時の「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
最後に背景カラーがグレーの時の「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
最後に「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」やその他の比較モニタのディスプレイ表示遅延の測定結果は次のようになりました。測定方法的に遅延が2ms以下であればディスプレイ内部の表示遅延は誤差の範囲内で十分に小さいと考えてOKです。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。この測定値は一般的なPCゲームにおける操作から画面表示の変化までの遅延に一致します。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいということが分かると思います。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのFreeSync/G-Sync CPについて
続いて「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync)」についてチェックしていきます。モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は48Hz~144Hzの範囲内で「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」など可変リフレッシュレート同期に対応しています。
なお2021年11月現在、GeForce Driver 496.13で確認したところ、G-Sync Compatible認証は未取得でした。またHDMI2.1では規格の一部として可変リフレッシュレート同期が内包されており、NVIDIA製GPU環境でもHDMI接続でVRR同期を利用できることが多いのですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」では非対応でした。
当然、AMD製GPU環境でもAMD FreeSyncを有効化できます。可変リフレッシュレート同期機能の対応フレームレートは48Hz~144Hzの範囲内です。(HDMI2.1接続時は上限が120Hz)
可変リフレッシュレート同期機能が正常に動作してリフレッシュレートが可変になると、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のOSDメニューから確認できるリフレッシュレートがフレームレートに合わせて変動するようになるので、機能が正しく動作しているかどうかはここを見て確認してください。
以下、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」で可変リフレッシュレート同期機能を使用する手順について説明しますが、共通の確認事項として、OSD設定で「FreeSync/VRR」の項目をオンにしてください。
AMD FreeSyncの使い方
可変リフレッシュレート同期「AMD FreeSync」を有効化する手順について説明します。AMD製GPU搭載PCの場合はRadeon設定のウィンドウ右上にある歯車アイコンを選択、トップメニュータブからディスプレイを選択の手順で表示される「Radeon FreeSync」のスライドスイッチから機能を有効化します。
また上で紹介した参考記事中で解説しているように、AMD FreeSyncではテアリング解消とマウス遅延低減のどちらを優先するかで垂直同期の有無を各自で選択する必要があります。垂直同期は通常ゲーム内設定でON/OFFの切り替えが可能ですが、ドライバ側が上書きしてゲーム内からは切り替えられない場合があります。ゲーム内で設定して希望通りの動作にならない時はRadeon Settingsのゲームプロファイルもチェックしてください。
NVIDIA G-Sync Compatibleの使い方
可変リフレッシュレート同期「NVIDIA G-Sync Compatible」を有効化する手順について説明します。2019年1月15日以降の最新ドライバによってNVIDIA GeForce環境でもAdaptive-Syncが利用可能になりました。ドライバの更新に合わせてG-Sync Compatible認証を取得するモニタが増えています。
417.71以降の最新ドライバをインストールして、DisplayPortビデオ出力にAdaptive-Sync対応モニタを接続すると、G-Sync対応モニタを接続した時と同様にAdaptive-Syncを有効化するための設定が、NVIDIAコントロールパネル上の「G-Syncの設定」に表示されます。
「G-SYNC、G-SYNCとの互換性を有効化(Enable G-SYNC, G-SYNC Compatible)」のチェックボックスをチェックして、下のモニタアイコンに使用するモニタの名前が表示・選択されていることを確認し、適用をクリックすればNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを有効化できます。
なおG-Sync Compatible認証を取得していない一般のAMD FreeSync/VESA Adaptive-Sync対応モニタでも、互換性が検証されていないと注記が表示されますが、NVIDIA製GPU環境においてAdaptive-Syncを利用できます。
AMD FreeSync/NVIDIA G-Sync Compatibleの効果
可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible」の効果やメリットについて説明していきます。機能的にはほぼ同じなので以下まとめてFreeSyncと呼ぶことがあります。AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatibleの検証に際してはリプレイ機能があって同一シーンで検証がしやすいので「Project Cars 2」を使用しています。またフレームレートやテアリングの発生の様子を確認しやすいように、画面左上にはGPUフレームレートOSD、画面左端にはGPUフレームバッファで色の変わるカラーバーが表示されるようにしています。加えてモニタが対応していればモニタOSDのリフレッシュレート表示機能も使用します。
画面右上のフレームレートはGPUフレームバッファから算出されているので必ずしもリフレッシュレートとは一致しません。画面左端のカラーバーは連続するフレーム間、つまりn番目とn+1番目のフレームではそれぞれ異なる色になっているため、同時に複数色のカラーバーが表示されている画面はテアリングが発生していることを意味します。
まずは同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の違いを分かりやすく体感してもらうため、モニタリフレッシュレート60HzにおいてGPU側出力フレームレートが30FPS~60FPSの間で変動するようにして、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して、画面表示の様子を比較してみました。
同期なしでは盛大にテアリングが発生し、垂直同期ではスタッター(カクつき)が発生しているのがわかります。一方でFreeSyncと垂直同期の両方を有効にした場合はテアリングもスタッターも発生しません。ただし例外として動画で50秒以降のフレームレートが40FPSを下回るとAMD FreeSyncの対応フレームレート外となるためスタッターが発生しています。またFreeSyncのみを有効にして垂直同期は無効の場合、同期なしと比べて圧倒的にテアリングが減っているのがわかります。ただし対応フレームレート内であっても稀にテアリングが発生し、対応フレームレート外では同期なし同様にテアリングが発生します。
続いて144Hzリフレッシュレートにおいて、GPU側出力フレームレートが100FPS前後で変動するようにして、先ほど同様に同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の様子を16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して比較してみました。
FreeSync有効であれば同期なしのテアリングや垂直同期のスタッターに悩まされることなく滑らかで綺麗な映像が表示できています。FreeSyncの60Hz/50FPS前後と144Hz/100FPS前後を比較すると当然ですが後者の方がコマ割りが増えるので16倍速スローモーションでもスムーズに見えます。
FreeSyncのみを有効した時に映像フレームレートが対応フレームレート範囲外になるとテアリングが発生しますが、リフレッシュレートを上回ってしまう場合については、Radeon設定のRadeon Chillの最大FPSに”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
なおNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを利用する場合も、フレームレートがリフレッシュレートを超過するとテアリングが発生するので、テアリングを完全になくすには垂直同期を有効化する必要があります。もしくは垂直同期無効においてテアリングをなくすには、NVIDIAコントロールパネルの「Max Frame Rate」に”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
これの設定以外にもRivaTunerやNvidia Profile Inspectorを使用してゲーム内フレームレートがモニタリフレッシュレートを上回らないように設定することも可能です。
下の比較はいずれもFreeSyncが有効になっているのでスタッターもなく滑らかですが、単純にFreeSyncだけを有効にすると対応フレームレートの上限となるリフレッシュレートを超えた時にテアリングが発生します。
リフレッシュレートが144Hz(フレームレートの上限が144FPS)の場合は120FPS~140FPSが上限になるようにフレームレートに制限をかければ、マウス操作を低遅延しつつ、テアリングの発生も最小限に抑えて快適なゲームプレイが可能です。
またPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSや格闘ゲームなど1,2フレームを争う競技性の高いPCゲームでは、表示遅延(入力遅延)が発生する垂直同期は嫌われる傾向にありますが、144Hzや240Hzといったハイリフレッシュレートモニタにおいて、同期機能を無効化した場合に発生するテアリングがどのように影響するのか検証してみました。
テアリングはモニタ表示更新中のフレームバッファの更新で発生しますが、目で見た時の違和感はn番目とn+1番目のフレームの絵の差に影響されます。コマ割りが細かくなる高フレームレートではn番目とn+1番目の絵の違いは当然、低フレームレートの場合よりも小さくなります。そのため50FPSでは画面の分断のように知覚できたテアリングは、200FPSのような高フレームレートでは細かいノイズのような形で知覚されます。
100FPSを超える高フレームレートでは大きな分断に見えるテアリングの代わりに、細かいノイズのように感じるテアリングが増えてきます。『細かいノイズの発生程度であれば高リフレッシュレートモニタのテアリングは実用上は大した問題ではなく、可変リフレッシュレート同期機能は不要である』という意見がありますが、高リフレッシュレートモニタのアドバンテージとして先に解説した「ゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性」と合わせて考えると、このノイズの有無は遠方の細かいエネミーやオブジェクトの発見に影響します。なので高リフレッシュレートモニタを使用するのであれば可変リフレッシュレート同期機能はあったほうがいい、というのが管理人の意見です。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのMBR機能について
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はモーションブラーリダクション機能に対応しています。モーションブラーリダクション機能についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[2] モーションブラーリダクションについて
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」に搭載されたモーションブラーリダクション機能「MPRT」は、リフレッシュレートが144Hz、120Hz、100Hzの時に選択でき、可変リフレッシュレート同期機能とは排他利用です。
MBR機能が有効になるとディスプレイ輝度は固定になることが多いですが、「ViewSonic VX2882-4KP」は通常時同様に輝度を0%~100%の範囲内で設定できます。輝度設定を変更した場合、明暗比率はそのままでバックライト輝度が調整されます。
まずはモーションブラーリダクション機能が具体的にどのような動作をしているのか確認していきます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」の144HzリフレッシュレートでMBR機能が動作している時の様子を5760FPSスーパースローモーションムービーで撮影してみました。5760FPSで144Hzのモニタを撮影しているので、モニタの1フレームが更新されるまでを撮影した動画は40フレームに分割されます。
一般的なMBR機能では通常表示前後にバックライトを消灯した黒表示を挟むのですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のMBR機能をハイスピードカメラで観測すると、水色がかった点灯(緑と青が点灯)と赤黒い消灯(赤だけが点灯)が交互に表示されているのが分かります。
視覚は時間平均されるので通常は画面が水色がかって見えたり、赤黒くみえたりすることはありませんが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のMBR機能は、このような性質があるため、まばたきするタイミングによっては、赤色もしくは水色の残像が見えることがあります。
画質に関する章のカラースペクトルで言及したように、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」にはKSF蛍光体(LG製Nano-IPSで有名)の技術を採用した液晶パネルが使用されています。
液晶パネルのバックライトにおいて青色LEDから白色光を生成する蛍光体は色々とあり、一般にその応答は高速なのですが、KSF蛍光体は赤色成分の応答が遅いので上のような表示になっています。(液晶パネルの応答とは別の現象で、バックライトの輝度が変化した時にだけ影響します)
『赤色成分の応答が遅い』という性質を分かりやすく確認するため、白黒赤緑青の5色の帯の静止画を表示して、KSF蛍光体の液晶パネルにMBR機能を有効にしました。下の静止画を単純に表示しているだけなので、液晶画素自体には一切変化がありません。
144Hzを5760FPSで撮影した1リフレッシュ、40フレームのうち変化が分かりやすいように一部を抜粋していますが、見ての通り、緑色と青色は1/5760単位で1~2フレーム以内に点灯と消灯が可能です。一方で赤色は緑・青色が点灯してからゆっくりと明るく、逆に消灯してからゆっくりと暗くなっています。
白色は赤緑青の三原色の合成なので、MBRの点灯タイミングは水色がかり、消灯タイミングは赤黒くなります。
またMBR機能では、残像感を低減させる効果が期待できる反面、バックライトを消灯するので時間平均の輝度が下がって画面が暗くなるというデメリットが指摘されます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のMBR機能は明暗比率が1:2程度となっており、輝度設定を最大にした場合、200cd/m^2程度の明るさになるので、室内利用なら基本的に問題ないはずです。(室内照明がかなり明るい環境だと暗く感じるかもしれませんが)
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」に搭載された「MPRT」などモーションブラーリダクション機能は、人の目の錯覚が引き起こす残像やボヤケを解消する機能なので、写真や動画を見せて残像が抑制されている様子を実際に見せるというような解説は厳密には不可能です。
そのためレビューでは管理人が試用してみたインプレッションを伝えることくらいしかできないのですが、MBR機能を有効にすると動いている物体の輪郭がクッキリとして確かに視認しやすくなりました。下の写真は管理人が「UFO Test: Strobe Crosstalk」を見た時の感覚を表現したイメージ図ですが、MBR機能を有効にすると輪郭のボヤケがなくなってネイティブスピードでも倍速ハイスピード動画のスローモーションで輪郭を追っている時に近い感覚で追従して見ることができました。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのHDR表示やCSゲーム機対応について
最後に「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のHDR表示やCSゲーム機の対応(4Kエミュレートなど)についてチェックしていきます。HDR表示やCSゲーム機対応について | |
HDMI ver, ポート数 |
HDMI2.1 (24Gbps) ×1 HDMI2.0×1 (フルHD/120Hz非対応) |
HDR表示 | 対応 |
VRR同期 | 併用可能 |
カラーフォーマット | DP1.4: 4K/144Hz/12bit RGB HDMI2.1: 4K/120Hz/12bit YCbCr420 |
ピーク輝度(実測) | 411cd/m^2 |
輝度認証 | - |
ローカルディミング | 対応(1D型) |
4Kエミュレート | 4Kネイティブ対応 |
PlayStation 5 | 4K/120FPS対応, YUV420 (24Hzに非対応) |
Xbox Series X/S | 4K/120FPS対応 (24Hzに非対応) |
HDR表示への対応やカラーフォーマットについて
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はHDR表示に対応しています。VESAがPCモニタ向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDRは取得していません。「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は標準でHDR信号を受け付ける状態になっており、HDR表示を行う上で特にOSD上から設定を行う必要はありません。
HDR映像ソースの発色設定として、標準設定の”Auto”に加えて、”オフ”と”HDR2084”の3つのモードがあります。
なおHDR表示モード中は色設定や一部ゲーミング機能が排他利用(グレーアウト)になり、SDR映像ソースの時は輝度の調整が可能ですが、HDR映像ソースが入力されると輝度も自動制御になります。
上記の通りHDRが有効になると発色関連の設定はモニタの自動設定となりユーザーからは調整できなくなるのですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のHDR画質設定は色温度がかなり暖色寄りで、黄色がかった色合いになってしまいます。
国内外で好みが分かれるのですが、日本国内だと青みの強い寒色系の色合いを好む人が多いようなので注意が必要です。できることなら購入前に店頭でHDR有効時の色味は確認したいところです。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はDisplayPort1.4 DSCに対応しているので、最新グラフィックボードを搭載したゲーミングPCと接続した場合、4K/144Hz/HDR表示において、標準でRGB 10bit、カスタム設定でRGB 12bitのカラーフォーマットに対応します。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
国内で発売済みの多くのHDMI2.1搭載4K/144Hzモニタは、HDMI2.1でGeForce RTX 30やRadeon RX 6000を搭載した最新PCと接続した場合、4K/120~144Hzで10bit RGBもしくは12bit RGBのカラーフォーマットをサポートするのですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のHDMI2.1ビデオ入力はPCと接続した場合もカラーフォーマットに制限があり(おそらくDSC非対応のため)、YCbCr420の8/10/12bitに制限されるという少々特殊な仕様です。
PlayStation 5やXbox Series X/Sといったコンソールゲーム機を接続する分には他社のHDMI2.1搭載4K/144Hzモニタと同等ですが、PC接続に関しては機能に制限があるので注意してください。
HDRについて簡単に説明すると、HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、RGBの光の三原色の映像情報に加えて、輝度(明るさ)の情報が備わった映像ソースのことです。
従来の表示機器や映像ソースでは10^3程度のダイナミックレンジしかありませんでしたが、HDRに対応することでダイナミックレンジが10^5程度と100倍近く拡張され、従来よりも細かい階調で明るさや暗さを表現できるようになり、「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるように画面の明るさを操作することで、白飛びや黒潰れをなくして高画質を実現しています。
HDRに関する説明は色々とあると思いますが、管理人は『明るい場所はより明るく、暗い場所はより暗く』と大雑把に理解しています。
「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」するということは必ずしも”見えやすく”なるわけではありません。というか暗い場所は暗くなるので必然、暗い部分は見えにくくなります。逆に明るい場所が明るくなったら見えやすくなるかというと、再現可能な輝度の領域が増すので、ディスプレイによる描画は現実に近づきますが、太陽を覗き込んだ時のように特に明るい場所の周辺は光で潰れて(目の調光機能的な問題で)見えにくくなります。もちろん明暗が分かれることで境界線がクッキリして見えやすくなる場合もあります。
一部のゲーミングモニタに暗所を明るく(白く)して見えやすくする機能があるように、HDR表示は見やすさには直結しないので、見やすさという意味で画質が良くなるのかというと、その点はケースバイケースです。SDRダイナミックレンジの範囲内で平滑化されていた時に比べて、暗い部分が強調されることを考えると見えにくさの方が体感しやすい気がします。
HDRは原理的にはモニタから見える映像を”リアル”に近づける機能です。ただし実際のところはモニタ個別の色調設定などの都合で鮮やかになり過ぎたり色味が変わったりするので、「実際の視覚と同じ」という意味でリアルかというと疑問符が付くのですが。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるので立体感は増して、平面表示の中に奥行を感じやすくなるという点ではリアルな表示に近づきます。個人的にはHDR表示の効果はSDRに比べて、鮮やかになって、立体感が増すと感じています。
4Kモニタの広告をフルHDモニタで見る以上に、SDRモニタでHDRについて体感的に理解することは困難です。なのでHDRについては店頭など実機で体験して気に入れば購入するくらいが正直なところおすすめです。HDRについては正直に言って”百聞は一見に如かず”な機能です。SDRモニタ上で調べるよりもHDR表示の実機を見て気に入るかどうかが全てな機能だと思います。
HDR表示におけるディスプレイ輝度やローカルディミングについて
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はVESAがPCモニタ向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDR 400を取得しています。VESAがMicrosoft Store上で無料アプリとして公開しているVESA DisplayHDR Compliance Testsから、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のディスプレイ輝度の扱いが確認できました。(データの読み方については管理人も怪しいので参考までに)
近年のモニタにおいてHDRモードのディスプレイ輝度は高輝度領域の広さや高輝度表示の継続時間に依存するので、i1 Display Pro Plusを使用してHDR時の最大輝度を条件別で測定してみました。なお持続最大輝度は十数秒後で測定しているのでもう少し下がる可能性もあります。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は全体と10%部分、長時間の持続輝度のいずれも410cd/m^2の明るさで大きな変動はありませんでした。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はローカルディミングや可変バックライトに一切対応していません。他社製HDMI2.1搭載4K/144Hz対応ゲーミングモニタの多くは1D型なのでローカルディミングとして微妙というのも事実ですが、オン・オフの選択肢はユーザーに委ねる形で機能自体は実装しておいて欲しかったところ。
CSゲーム機接続時の4KエミュレートやHDCP対応について
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」に搭載された2基のHDMIサブ入力のうち1基はHDMI2.1に対応しているので、PlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせた場合、4K/120Hzの表示が可能です。またゲーム機が対応していればVRR同期機能も利用できます。PlayStation 5のHDMI2.1ビデオ出力の帯域は規格上限の48Gbpsではなく32Gbpsなので4K/120Hzにおけるカラーフォーマットは最大でYUV422となりますが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のビデオ入力の帯域上限が24Gbpsであり、PlayStation 5は圧縮伝送機能DSCに対応していないので、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」とPlayStation 5を組み合わせた時の4K/120HzのカラーフォーマットはYUV420になってしまいます。
また、もう1基のHDMIビデオ入力はHDMI2.0なので、PlayStation 5やXbox Series X/Sを接続した場合、4K/60FPS/HDR対応(YUV422)というHDMI2.0搭載モニタに準じた動作となります。
なお、製品によってはHDMI2.0接続でもフルHDなら120FPSに対応することがありますが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は非対応です。
JAPANNEXT JN-315IPS144UHDRのレビューまとめ
最後に「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ31.5インチで4Kゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
- 発色や視野角に優れたIPS液晶パネルで、90% DCI-P3の広色域
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- IPS液晶としては高速な応答速度 (オーバードライブ補正が最適でないのがもったいない)
- ビデオ入力はDisplayPort1.4とHDMI2.1×2とHDMI2.0×2の計5系統
- DP1.4はDSC機能によって4K/144Hz/12bit RGB/HDR/VRRに完全対応
- 可変リフレッシュレート同期機能に対応(48FPS~144FPS)
- 実測の最大輝度400nitsで、HDR表示に対応
- HDMI2.1搭載なのでPS5やXbox SXを接続時は4K/120FPSやVRR同期に対応
- モニタ本体重量5.8kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- 税込み10万円と4K/144Hzの31.5インチモニタとしては安価な製品(2021年11月)
- HDR有効時の色温度はかなり暖色寄りで、黄色がかった感じになる
- HDMI2.1はPC接続時に4K/120Hz以上でカラーフォーマットがYCbCr420に制限される
- HDMI2.1の帯域が24Gbpsなので、PS5と組み合わせた時に4K/120HzでYUV420になる
- HDMI2.0はゲーム機を接続した場合、フルHD/120Hzに非対応
- OSDがハード的にも、ソフト的にも操作し辛く感じた
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は3840×2160の4K解像度ながらネイティブ144Hzの高速リフレッシュレートで動作し、DP1.4 DSCによって4K/144HzをフルRGBで表示しながら、可変リフレッシュレート同期機能に加えて、最大輝度400cd/m^2の高輝度なHDR表現にも対応するというハイエンドゲーマー待望の欲張りスペックを実現した製品です。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」はゲーミングモニタではまだ採用の少ない次世代規格HDMI2.1対応ビデオ入力を搭載しており、PlayStation5やXbox Series X/Sを接続した場合、4K/120FPSの表示が可能、またゲーム機が対応していれば可変リフレッシュレート同期機能も使用できます。大型テレビを置けない私室で、PlayStation5やXbox Series X/Sを使いたい人には最適なモニタです。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」に対応しています。VRR同期対応フレームレートとして48FPS~144FPSの幅広いフレームレートをカバーしており、60FPS前後しか維持できない最新の高画質な重いゲームから、100FPS以上を維持できる競技性の高い軽めなゲームまで、テアリングやスタッターのないクリアで滑らかな表示を実現します。
残念ながらNVIDIA製GPUとの互換性を証明するG-Sync Compatible認証は今のところ取得していませんが、NVIDIA製GPU環境でもVRR同期機能自体は利用できます。
各社から発売の相次いでいるHDMI2.1搭載4K/144Hzゲーミングモニタについては似たり寄ったりな形に収まっているのですが、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は基本性能はほぼ同等であるものの、HDR表示の色味がかなり暖色寄り、HDMI2.1が4K/120HzでフルRGB非対応、OSDの操作性が良くないなど、ASUS/LG/MSIなどの有名メーカー製品と比べると気になる点も散見されます。
「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」は税込み9.8万円程と、同等スペックの製品と比較して安価であり、なおかつ一般的な27~28インチよりも巨大な31.5インチの大画面サイズというメリットもあるので、今回のレビュー内容も参考にしながら総合的に検討してみてください。
以上、「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」のレビューでした。
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31.5インチの大画面で4K/120Hz+を堪能できる、HDMI2.1搭載ゲーミングモニタ「JAPANNEXT JN-315IPS144UHDR」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 20, 2021
PlayStation5やXbox Series Xに最適なゲーミングモニタを徹底検証https://t.co/pwGoRAoRao pic.twitter.com/5aWWQ61JTP
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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