Radeon RX 6700 XT Reference


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新ゲーミングアーキテクチャ「RDNA2」を採用するAMD次世代GPU Radeon RX 6000シリーズのアッパーミドルモデル「AMD Radeon RX 6700 XT」を搭載したAMD純正リファレンスグラフィックボードをレビューしていきます。
待望のAMD製次世代アッパーミドルGPU「Radeon RX 6700 XT」が、前世代同ナンバリングのRX 6700 XTをどの程度上回り、競合NVIDIAの最新GPUであるRTX 3070やRTX 3060 Tiに対してどれくらいの性能を発揮するのか、ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。

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製品公式ページ:https://www.amd.com/ja/products/graphics/amd-radeon-rx-6700-xt
AMD Radeon RX 6700 XT_spec





AMD Radeon RX 6700 XT レビュー目次


1.AMD Radeon RX 6700 XTの外観
2.AMD Radeon RX 6700 XTの分解
3.AMD Radeon RX 6700 XTの検証機材・GPU概要


4.AMD Radeon RX 6700 XTのゲーム性能

5.AMD Radeon RX 6700 XTの温度・消費電力・ファンノイズ

6.AMD Radeon RX 6700 XTのレビューまとめ




AMD Radeon RX 6700 XTの外観

早速、AMD Radeon RX 6700 XTを開封していきます。
「Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルはいくつかのベンダーからリリースされていていますが、基本的にAMD純正のリファレンスモデルを箱詰めしただけ、+αでファン中央に各社のロゴシールが貼られている、PCIE端子やビデオ出力ポートにカバーが付いているくらいの違いなので、どのベンダーの製品を買っても大差ありません。
SAPPHIRE、ASRock、Power Colorなど一部メーカー製品は他社の1年よりも長い2年保証になっているので、ここだけは気にしてもいいかもしれません。
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「AMD Radeon RX 6700 XT」のグラフィックボード本体を見ていきます。

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「AMD Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルはシルバーとブラックのツートンカラーな金属製外装を採用しています。比較的シンプルなデザインが多かったRadeonのリファレンスグラフィックボードと比較してゲーミング風なデザインに生まれ変わっています。
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グラフィックボード側面にはRadeonのブランドロゴがあり、側面縁のラインはAMDのブランドカラーでもある赤色で着色されています。
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リファレンスモデルというとGPUリリースの最初に投入される廉価モデルというか、高性能オリファンモデルの当て馬な印象が強いですが、「Radeon RX 6700 XT」ではGPUクーラーからPCB基板までこだわり抜いた設計であることがAMD公式からもアピールされています。
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TDP200W程度のアッパーミドルGPUにもかかわらず、オリファンモデルが軒並み全長300mmかつ3スロット占有の大型クーラー搭載なのに対し、「AMD Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルの全長は267mm、従来の一般的なフルサイズグラフィックボードと同じサイズ、相対的に見て希少なコンパクトモデルです。
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「AMD Radeon RX 6700 XT」は全長も最新ハイエンドGPUとしては短めであるのに加えて、PCIEブラケットからはみ出す高さ方向も+数mm以下に収まっており、PCケースサイドパネルとの干渉についても心配はありません。
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AMD Radeonシリーズのリファレンスモデルというと直近最後のRadeon RX 5700 XTなど5000シリーズでは外排気ブロアーファン型でしたが、「AMD Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルは85mmサイズファンを2基搭載する内排気クーラーが採用されています。
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2基の冷却ファンにはファンノイズを抑えつつ高い静圧&風量を得ることが可能なバリアーリング搭載冷却ファンを採用しており、2020年最新トレンドもしっかりと組み込まれています。
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「AMD Radeon RX 6700 XT」はTGP220Wで発熱は従来のハイエンドGPU一歩手前ですが、リファレンスモデルのPCIEスロットの占有は2スロットに収まっています。
オリファンモデルの多くはやはり冷却性能や静音性を重視して3スロット占有が多いようなのでMini-ITX対応PCケースなどコンパクトPCを組む時には「AMD Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルが重宝しそうです。
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「AMD Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルの補助電源数はPCIE 8PIN+6PINです。
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「AMD Radeon RX 6700 XT」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。
RX 6800/6900 XTシリーズのリファレンスモデルや一部オリファンモデルと違って、USB Type-Cポート搭載されていません。
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「AMD Radeon RX 6700 XT」にはGPUクーラーと同様にブラック&シルバーでツートンカラーな金属製バックプレートが装着されています。基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割を果たしますが、VRM電源回路やVRAMチップとの間にはサーマルパッドが貼られていないので冷却補助の機能はありません。
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グラフィックボードの重量はMSI Radeon RX 6700 XT GAMING X TRIO 12Gが1172g、AMD Radeon RX 6800が1286gに対して、AMD Radeon RX 6700 XTは885gでした。
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バックプレート等で基板の反りは防止されていますが、重量は1kgに迫るのでPCIEスロットへの負荷を考えるとVGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。




AMD Radeon RX 6700 XTの分解

「AMD Radeon RX 6700 XT」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。

なおGPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために自己責任で分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。


【暇があれば更新予定】


AMD Radeon RX 6700 XTの検証機材・GPU概要

外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「AMD Radeon RX 6700 XT」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成

ベンチ機1(温度・消費電力)
ベンチ機2(ゲーム性能)
OS Windows10 Home 64bit (1909)

CPU

Intel Core i9 9900K
レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz
Intel Core i9 10900K
レビュー
Core/Cache:5.2/4.7GHz
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME
 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, 17-17-17-37-CR2
G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
4000MHz, 15-16-16-36-CR2
システム
ストレージ
Samsung 860 EVO M.2 1TB
レビュー
Samsung 860 PRO 256GB
レビュー
データ
ストレージ
Samsung 860 QVO 4TB (レビュー

CPUクーラー

Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
電源
ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

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AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデルグラフィックボード側面にはRadeonのブランドロゴがありLEDイルミネーションが内蔵されています。側面縁のラインと同じく、AMDのブランドカラーでもある赤色で発光します。
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AMD Radeon RX 6700 XTのGPU概要

AMD Radeon RX 6700 XTに搭載されているGPU「Radeon RX 6700 XT」のスペックについて簡単に確認しておきます。
「AMD Radeon RX 6700 XT」のスペックは、コンピュートユニット数が40、シェーダー数が2560、コアクロックはゲームクロック2424MHz、最大ブーストクロック2581MHzです。

VRAMには速度16Gbpsで容量12GBのGDDR6メモリが採用され、RDNA2アーキテクチャの特長である超高速キャッシュInfinity Cacheを96MB搭載しています。消費電力の指標となるTBP(Typical Board Power)は230Wです。
AMD Radeon RX 6700 XT_spec

今回レビューするのは「AMD Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルなので、AMD公式のリファレンス仕様通り、コアクロックはゲームクロック2424MHz、最大ブーストクロック2581MHzのはずですが、GPU-Z 2.38.0では最大ブーストクロックが2629MHzと表示されました。Advanced - Generalのタブでコアクロックも表示されないので、このバージョンのGPU-Zではまだ動作設定情報が正常に閲覧できないようです。
またGPU-ZからはRadeon RX 6000シリーズの電力制限値そのものは確認できないのですが、AMD Radeon RX 6700 XTリファレンスモデルにおいて電力制限の基準値の調整可能幅は-6%~+15%でした。
Radeon RX 6700 XT Reference_GPU-Z (1)Radeon RX 6700 XT Reference_GPU-Z (2)
ちなみに海外ユーザーによって作成されたAMD製GPU向けチューニングソフト(vBIOS編集ソフト)からRadeon RX 6700 XTリファレンスモデルの仕様を探ってみると、Radeon RX 6700 XTのグラフィックボード全体の消費電力の指標値であるTBP(NVIDIA仕様でいうTGPのこと)は230Wと公表されていますが、GPUコア単体の電力制限は186Wに設定されていました。
Radeon RX 6700 XT Reference_MPT


AMD Radeon RX 6700 XT スペック一覧

RX 6700 XT
RX 6800
RX 5700 XT RX 5700
GPUコア Navi 22
Navi 22
Navi Navi
製造プロセス 7nm FinFET 7nm FinFET 7nm FinFET 7nm FinFET
Compute Unit数
40
60
40 36
シェーダー数 2560
3840
2560 2304
ベースクロック 2321 MHz - MHz 1605 MHz 1465 MHz
ゲームクロック 2424 MHz 1815 MHz 1755 MHz 1625 MHz
ブーストクロック 2581 MHz 2105 MHz 1905 MHz 1725 MHz
単精度性能 13.21 TFLOPs 16.17 TFLOPs 9.75 TFLOPs 7.95 TFLOPs
Infinity Cache 96 MB 128 MB - -
VRAM 12 GB GDDR6 16 GB GDDR6 8 GB GDDR6 8 GB GDDR6
バス幅 192-bit 256-bit 256-bit 256-bit
メモリクロック 16.0 GHz 16.0 GHz 14.0 GHz 14.0 GHz
メモリ帯域 384 GB/s 512 GB/s 448 GB/s 448 GB/s
補助電源 8PIN+6PIN~ 8PINx2~ 8PIN+6PIN~ 8PIN+6PIN~
TBP 230W
250W 225W 180W
発売日 2021年3月18日 2020年11月 2019年7月 2019年7月
希望小売価格 479ドル~ 579ドル~ 399ドル~ 349ドル~


Radeon設定によるRX 6700 XTのチューニングについて

Radeon RX 6000シリーズでも、デスクトップ右クリックメニューからアクセスできるRadeon設定の「パフォーマンスタブ - チューニング」の順にアクセスすると、前世代同様にコアクロック・メモリクロックやファン制御に関する設定が表示されます。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_1
チューニングを開くとまず、GPU動作プロファイルの選択が表示されます。なお6800XT/6900XTの上位モデルと違い、「Radeon RX 6700 XT」では自動OCによって性能が向上するレイジモードは用意されていません。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_2

チューニングコントロールで「手動」を選択すると、大別してGPUコアクロック、VRAMコアクロック、ファン制御、電力制限の4種類の設定が表示されます。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_3
GPUチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると最小周波数、最大周波数、GPUコア電圧(Voltage)の3種類の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzやmVといった実際の物理単位に変わります。Radeon RX 6700 XTリファレンスモデルでは最大周波数を2950MHzまで引き上げることが可能です。
Radeon VIIやRX 5000シリーズでは低電圧化耐性の指標になったもののRX 6000シリーズではどうなのかわかりませんが、とりあえず今回管理人が入手した個体については標準の最大周波数が2629MHz、GPUコア電圧が1200mVでした。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_4_GPU-Clock
VRAMチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えるとVRAM周波数(最大周波数)の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzの物理単位に変わります。Radeon RX 6700 XTリファレンスモデルでは定格の2000MHzから最大周波数を2150MHzまで引き上げることが可能です。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_5_VRAM-Clock
電源チューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると電力制限の設定スライダーが表示されます。
電力制限の設定は各GPUの標準GPUコア電力制限に対するパーセンテージのオフセットですが、Radeon RX 6700 XTリファレンスモデルでは186Wを基準にして最大で+15%まで電力制限の引き上げが可能です。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_6_Power

ファンチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると、ゼロRPM(セミファンレス機能)の切り替えスイッチ、最大ファン速度の設定スライダーが表示されます。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_7-1_Fan
また高度な制御のスライドスイッチをONにするとファン制御カーブの手動設定が表示されます。Radeon RX 6000シリーズにはGPU温度とジャンクション温度(複数あるGPUダイ上の温度センサーの最大値)の2種類の温度があり、ファン制御カーブはジャンクション温度を参照するようです。
温度とファン速度について5つの頂点を任意に指定してファン速度を制御できます。上述のセミファンレス機能との併用や、セミファンレス機能の無効化も可能です。
Radeon RX 6700 XT_Radeon-Setting_7-2_Fan


新アーキテクチャRDNA2で特に重要な2つの特長

AMD Radeon RX 6000に採用されている新アーキテクチャ「RDNA2」について、様々な特長が公式に発表されていますが、エンドユーザーが特に押さえておくべきポイントはVRAMフルアクセス機能「AMD Smart Access Memory」と、レイトレーシング表現対応(ハードウェアアクセラレーター搭載)の2点です。
Infinity Cacheを始め、レビューや解説記事としてRadeon RX 6000シリーズやそのアーキテクチャであるRDNA2について掘り下げられるポイントは非常に多いのですが、実性能と価格に加えて消費者目線で最低限抑えておくべきポイントを挙げるとすればこの2つになると思います。

まず1つ目の大きな特徴は「AMD Smart Access Memory」です。Radeon RX 6000シリーズを同社の次世代CPUであるRyzen 5000シリーズと組み合わせることで使用可能な(AMD公式にサポートされる)ビデオメモリアクセスを改善し性能を向上させる機能です。
AMD Smart Access Memory_Platform Synergy
Radeon RX 6000シリーズの登場当初はSmart Access Memoryの対応プラットフォームはRyzen 5000シリーズ&500シリーズチップセットの組み合わせに限定されていましたが、RX 6700 XTの登場と同時にRyzen 3000シリーズCPUの正式サポートも公表されたので、性能的には十分でRyzen 5000シリーズよりもコスパに優れるRyzen 3000シリーズとRX 6700 XTの組み合わせは非常にオススメです。
Ryzen 3000_Smart Access Memory_support

従来のプラットフォームでは32bit命令の名残でCPUとグラフィックボードVRAM間では最大でも256MB単位でしかデータのやり取りができませんでした。
AMD Smart Access Memoryでは10GBを超える大容量VRAMに対してCPUからサイズ制限なく一度にフルアクセスが可能になり、なおかつ第3世代Ryzen&X570でAMDがいち早くサポートを始めたPCIE4.0の従来比2倍な高速帯域を用いることで、VRAMアクセスによって生じるボトルネックが解消されます。
AMD Smart Access memory_explained
ハイエンドGPUではVRAM容量が10GBを超えるのが当たり前になったので、CPU-VRAM間でフルアクセス機能を実現するためにはより高速な帯域(PCIE4.0対応)が必要になります。1年前、第3世代Ryzen&X570など早期にPCIE4.0の普及を目指したのは、同機能でCPU・MB・GPUのプラットフォーム単位で優位性を示すための布石だった、と考えるといろいろと納得がいきます。(そうでないとPCIE4.0アーリーアダプターな某SSDはIOベンチ以外に魅力がなく、微妙過ぎました…)
AMD Smart Access memory
AMD公式のベンチマークによると「AMD Smart Access Memory」を使用することで最大10%程度もパフォーマンスが改善するとのこと。
AMD Smart Access memory_peformance-gain

AMD Smart Access Memoryの名前の方が有名ですが、実のところ、これはPCIE規格で策定されている「Re-Size BAR (Base Address Register)」と同等の機能です。参考資料
すでに一部のIntel Z490マザーボードにおいてベータBIOSという形ですが、Re-Size BARを有効にできるBIOSが一部メーカーから配信されており、またIntelの次世代CPUである第11世代Rocket Lake-SではRe-Size BARの正式サポートが公表されています。
Intel 11th-gen Core-S Rocket Lake_Key-Feature
またAMDと競合するGPUメーカーのNVIDIAも2021年発売のRTX 3060を皮切りに、同社最新GPUであるGeForce RTX 30シリーズ(Ampere世代)においてRe-Size BARのサポートを順次開始していくことが正式に発表されています。


CPUとGPUをコンシューマー向けに展開しているAMDだからこそいち早く、Re-Size BARの土壌としてPCIE4.0を普及させ、次世代GPUのRadeon RX 6000シリーズでサポートさせることができた、こと自体は評価に値すると言って間違いありません。
一方でAMD Smart Access Memory = Re-Size BARなので、「VRAMフルアクセス機能Re-Size BARによる性能向上は”将来的には”AMDオンリープラットフォームに限定されるユニークなアドバンテージではない」、その点は留意しておいてください。
AMD_PCIE4

次に2つ目の大きな特徴がレイトレーシング表現への対応です。Radeon RX 6000シリーズが採用するRDNA2アーキテクチャでは一般的にコア数としてカウントされるシェーダーコアをひとまとめにしたCU(Compute Unite)に対して1基のレイトレーシング処理支援ハードウェア「Ray Accelerator」を搭載しています。Ray Acceleratorはレイトレーシング処理においてCPUによる演算よりも10倍も高速とのこと。
AMD RDNA2_Raytracing_Ray Accelerator
余談ですが、以下のような事情もあって当サイトでは”レイトレーシング表現”と呼んでいます。
レイトレーシングというのはそもそもレンダリング手法の1つであって、現在主流なレンダリング手法のラスタライゼーション(ラスタライズ)と、ある種の対になる言葉です。
AMD RDNA2_Raytracing_vs-rasterization
PCゲームにおいては負荷的な問題で全てをレイトレーシングでレンダリングするのではなく、『ラスタライゼーションをベースにレイトレーシングはアクセント』という形で併用するのが主流です。
またPCゲームにおいてレイトレーシングというとDirectX12がサポートするDXR(DirectX Raytracing)が有名、というか現状でレイトレーシングをサポートするPCゲームはほぼコレですが、Vulkanなどその他のAPIもレイトレーシングを続々とサポートし始めています。
AMD RDNA2_Raytracing_Hybrd Rendering

下はNVIDIAによるデモですが、レイトレーシング表現では、照明(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射やガラス面の透過なども現実に即して忠実に描写されます。レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。
RayTracing Sample (1)
RayTracing Sample (2)
RayTracing Sample (3)
なお、NVIDIA GeForce RTX 30シリーズが対応するDLSSのように超解像技術によって低負荷に4K~8Kの高解像度を実現する機能がAMD Radeon RX 6000シリーズでは実装されていないので、レイトレーシング表現と4K解像度の組み合わせは現時点では難しいようです。
一方で「FidelityFX Super Resolution」と呼ばれる超解像機能を開発中とのことなので将来的にはレイトレーシング表現と4K解像度の組み合わせにも対応が可能になると思います。
AMD FidelityFX Super Resolution




AMD Radeon RX 6700 XTのゲーム性能

「AMD Radeon RX 6700 XT」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 3070」、「GeForce RTX 3060 Ti」、「GeForce RTX 2080 SUPER」、「GeForce RTX 2070 SUPER」、「GeForce RTX 3060」、「Radeon RX 5700 XT」を使用しています。


「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
Radeon RX 6700 XT Reference_bench_fs

FireStrike Extreme Ultra
RX 6700 XT
35299 17136 8404
RTX 3070 33680 16625 8470
RTX 3060 Ti 29369 14298 7200
RTX 2080 SUPER FE
29145 13866 6800
RTX 2070 SUPER FE
26161 12475 6097
RTX 3060
21970 10337 5054
RX 5700 XT 27300 12947 6553


「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」、およびレイトレーシング対応ベンチマーク「Port Royal」による性能比較となります。
Radeon RX 6700 XT Reference_bench_ts-pr

TimeSpy Extreme Port Royal
RX 6700 XT
11831 5491 5815
RTX 3070 13644 6746 8141
RTX 3060 Ti 11668 5679 6861
RTX 2080 SUPER FE
11696 5412 7032
RTX 2070 SUPER FE 10232 4788 6095
RTX 3060 8755 4126 5105
RX 5700 XT 9362 4189 -


「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードについて、近年普及しつつあるHTC VIVEやOculus RiftなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
Radeon RX 6700 XT Reference_bench_vr

Orange Room
Cyan Room
Blue Room
RX 6700 XT
14455 12871 3366
RTX 3070 16335 13002 4086
RTX 3060 Ti 15668 10955 3508
RTX 2080 SUPER FE
15532 11080 3755
RTX 2070 SUPER FE 15010 9861 3316
RTX 3060 11861 9190 2604
RX 5700 XT
13796 9289 2546



続いて2021年最新のPCゲームを実際に用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)の2種類の解像度で平均FPSを比較しました。

ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)、DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット, NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)、Horizon Zero Dawn(最高画質設定プリセット)、Marvel's Avengers(最高設定プリセット, TAA)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)以上の15タイトルです。
game_benchmark_202009


Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_ant

Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_aod

Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_bfv

CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_cont

DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_deathST

The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_ff15

Gears 5(最高設定プリセット)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_gears5

Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_ghostBP

Horizon Zero Dawn(最高設定プリセット)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_horizon

Marvel's Avengers(最高画質設定プリセット, TAA)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_marvel

Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_metro

MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_mhw

Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_sottr

Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「AMD Radeon RX 6700 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Radeon RX 6700 XT Reference_game_sow


AMD Radeon RX 6700 XTなど7種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、AMD Radeon RX 6700 XTは、初代RDNAアーキテクチャを採用する最上位モデルにして、同ナンバリングのRadeon RX 5700 XTと比較して30%程度の性能向上を遂げています。前世代でRTX 2070 SUPER以下を使用していたNVIDIA製GPUユーザーが選ぶアップグレード対象の1つとして通用する性能です。
『WQHD解像度PCゲーミングのスイートスポットなGPU』とAMDが訴求する通り、最新高画質タイトルのWQHD解像度/最高グラフィック設定なPCゲーミングや、e-SprotsタイトルのWQHD/144Hz+のPCゲーミングに最適なグラフィックボードです。
Radeon RX 6700 XT Reference_pefsum
なお、1つ上のモデルであるRadeon RX 6800と比較するとCU数は40:60なので性能差は大きいかと思いきや、CU規模に対するTDPが高く、実動コアクロックは2.5:2.2で性能比は単純計算で30%程度、実際のベンチマーク比較の結果を見てもWQHD解像度において平均性能の差は20%程度と、「Radeon RX 6700 XT」が善戦したのは、良い意味で少々予想外でした。

一方で「Radeon RX 6700 XT」のグラフィック性能を最新NVIDIA製GPUのRTX 30シリーズと比較すると、当サイトで行ったベンチマーク測定による平均性能ではRTX 3070とRTX 3060 Tiの中間、RTX 3060 Ti寄りという具合でした。
AMD正式発表時の性能比較スライドでは、RTX 3060 Tiを上回り、RTX 3070に競合する性能とアピールされていましたが、やはりRadeon RX 6000シリーズに優位なタイトルを集めていたようです。(得手不得手があるので抜粋タイトル次第という言い方もできますが)
AMD Radeon RX 6700 XT_perfromance_1440p_vs-rtx30

個別に見ていくとAMDが訴求する通りRTX 3070と同等以上の性能を発揮するタイトルもあれば、平均性能的に近いRTX 3060 Tiを下回るケースもあり、RTX 30シリーズに対するRX 6700 XTの性能スケーリングはやや複雑、ゲームタイトルに依るところが大きいというのが実状です。
各サイトレビューにおいてベンチマーク比較で抜粋されるタイトルによってRX 6700 XTの性能に対する印象は大きく変わるので注意が必要なところですが、『RX 6700 XTはRTX 3060 Tiよりも概ね5%程度高性能』というのがざっくりとした管理人の感想です。

性能スケーリングが複雑になる原因について、ゲームタイトルがAMD製GPUとNVIDIA製GPUに対してどれくらい最適化されているかというのも影響しているのですが、加えて、RDNA2アーキテクチャの高性能を支える大容量キャッシュInfinity Cacheという構造が大きく影響しているように思います。上位モデルでは128MBを超えるキャッシュの必要性が感じられたように、WQHDがスイートスポットなRX 6700 XTの場合は128MBのキャッシュが必要だったように思います。
シンプルに高速なVRAM帯域を実現するNVIDIAのアプローチに対して、キャッシュを組み合わせるAMDのアプローチはまだ万能というわけではなさそうです。
AMD Infinity Cache_Hit-Rate



AMD Radeon RX 6700 XTの温度・消費電力・ファンノイズ

「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。
「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」にはRadeon設定から選択が可能なコアクロックや電力制限が変化する複数のモードが用意されていますが、標準モードで測定しました。

「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
Radeon RX 6700 XT Reference_TimeSpy Stress Test
「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」のテスト終盤におけるGPU温度は最大79度、ファン回転数は最大1500RPM程度に収まっています。TGP230WのGPUを冷やしていることを考えれば悪くない数値です。
RX 6800 リファレンスモデルと比較するとファン速度の差を差し引いたとしても、TDPが低い「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」のほうが高温になっており、高コアクロックのために高GPU電圧で動作していることが伺えます。
Radeon RX 6700 XT Reference_temp-gpu
GPUに搭載された複数の温度センサーのうち、最大温度を示すジャンクション温度の推移は下のようになりました。Radeon RX 6000シリーズはジャンクション温度をファン制御のソース温度とし、負荷がかかるといったん上限速度まで上昇、徐々に収束していく方式が採用されていることが多いのですが、「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」ではジャンクション温度が90度後半にすぐに達して、以降はファン速度も1400~1500RPM前後で安定しています。
Radeon RX 6700 XT Reference_temp-junction
また「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、ジャンクション温度を制御ソースとして始動閾値は60度前後、停止閾値は50度前後でヒステリシスも採用されています。製品によっては回転数が上下してふらつくことの多い始動や停止の直前も、閾値を跨いだ瞬間にピタッと切り替わります。

「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」ではGDDR6メモリやVRM電源回路の温度もモニタリングが可能であり、ストレステスト中の推移は下のようになりました。
Radeon RX 6700 XT Reference_temp-vram
Radeon RX 6700 XT Reference_temp-vrm

GPUコアクロックについて、「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」はゲームクロック2424MHz、ブーストクロック2581MHzに設定されていますが、負荷テスト中の実動平均は2436MHzでした。RX 6800 XT/RX 6900 XTを上回って、GPUの動作クロックとしては歴代最速です。
Radeon RX 6700 XT Reference_clock

また実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへ「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」を組み込み、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせてGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認してみました。
Radeon RX 6700 XT Reference review_02908_DxO
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして3基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
GPU-CaseIn-Test_2021
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
Thermaltake TOUGHFAN 14

PCケースに入れた状態で長時間負荷をかけると「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」のGPU温度は最大79度、ジャンクション温度は最大95度に達しましたが、ファン回転数はベンチ板測定時から200RPM程度増えて1700RPM程度でした。
ファン速度はそこそこ高速なのでPCケース内に組み込んでいてもファン動作自体はハッキリと認識できますが、煩く感じるレベルではありません。
Radeon RX 6700 XT Reference_stress
「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」のGPUクーラーは内排気ファンということもありPCケースの吸排気を最適化しないと冷却効率が下がるので、フロントx3/リアx1で140mmファンを設置して1000RPMで回していますが、さすがに200Wを超えるTGPなので、ベンチ板での比較的に理想な環境のままとはいきませんでした。実際にPCケースへ組み込むユーザーはPCケースの吸排気にも注意してみてください。

加えて1時間のストレステスト終盤にサーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。

GPUクーラーやバックプレートでほぼ完全に覆われているので内部温度をサーモグラフィで正確に測ることはできないのですが、「AMD Radeon RX 6700 XTリファレンスモデル」は、バックプレート表面や、背面や側面の隙間から確認できるPCB基板上のVRM電源回路やPCIE補助電源コネクタの付近の温度がホットスポットの最大値でも70度前後に収まっていました
RX 6000シリーズに搭載されているVRAMやVRM電源回路の温度センサーによると、「AMD Radeon RX 6700 XTリファレンスモデル」のVRAM電源温度は最大90度に達するようですが、流石にリファレンスモデルで周辺回路のオーバーヒートは発生しないと思います。
Radeon RX 6700 XT Reference_FLIR (1)
Radeon RX 6700 XT Reference_FLIR (3)


「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」を含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
GPU-Noise-Test
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」のファンノイズは1500~1700RPMというファン回転数(テストベンチ上でもPCケース内でも)に対して騒音値は33~35dB程度となっており悪くない数値です。38dB未満であればまだPCケースに入れてしまえば煩く感じることはないレベルに収まります。
TDPの差が20Wに対し、RX 6800 リファレンスモデルと比較して「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」のGPUクーラーは冷却ファンも1基減り、割と簡素になっていたので静音性については心配もあったのですが、杞憂に済んで安心しました。というかリファレンスモデルでこれだけ冷えて静かならオリファンモデルは必要ないくらいです。
Radeon RX 6700 XT Reference_noise


AMD Radeon RX 6700 XTの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
GPU-Power-Test

AMD Radeon RX 6700 XTの消費電力は214W、最大瞬間負荷は255Wでした。AMD Radeon RX 6700 XTは公式仕様でグラフィックボード全体の消費電力の指標値が230Wと公表されていましたが、実動値では10~20W程度低い消費電力になりました。
前世代同ナンバリングのRX 5700 XTと比較して30%も性能を向上させながら、GPU消費電力はほぼ同等、5%程度の増加に収まっており、新ゲーミングアーキテクチャRDNA2のワットパフォーマンスの高さを再確認できる結果でした。
Radeon RX 6700 XT Reference_power



AMD Radeon RX 6700 XT レビューまとめ

最後に「AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデル」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • フルHD/240HzからWQHD/144Hz+、さらに4K/60FPSまで幅広いPCゲーミングにマッチ
  • RX 5700 XTを実ゲームで30%程度も上回るグラフィック性能
  • 競合NVIDIAの上位モデルRTX 2080 SUPERよりも高速
  • NVIDIAの最新GPUでは、RTX 3060 Tiよりも5%程度高速
  • AMD優位なタイトルならRTX 3070と同等以上の性能も発揮できる
  • 499ドルからなので奮発すれば手を出せるアッパーミドルGPU
  • 全長267mm&2スロット占有で、従来の一般的なフルサイズグラボと同じサイズ
  • TGP230WのGPUを静音性を維持しつつしっかりと冷やせるGPUクーラー
悪いところor注意点
  • レイトレーシング表現を支援する専用ハードウェアの性能ではRTX 30シリーズに劣る
  • 2021年4月現在、入手性が極めて悪い(NVIDIA RTX 30と比較してもなお悪い)
  • リファレンスモデルの入手性は壊滅的、基本的にAIBモデルから選ぶことになる
  • 最安7~8万円のモデルもあるが、基本的に9~10万円 (時勢として仕方ないのですが)

AMD Radeon RX 6700 XTは、初代RDNAアーキテクチャを採用する最上位モデルにして、同ナンバリングのRadeon RX 5700 XTと比較して30%程度の性能向上を遂げています。
競合NVIDIAの前世代GPUでは上位モデルRTX 2080 SUPERをも上回る性能を発揮しており、RTX 2070 SUPER以下の旧世代GPUを使用しているNVIDIA製GPUユーザーが選ぶアップグレード対象の1つとして通用する性能です。
『WQHD解像度PCゲーミングのスイートスポットなGPU』とAMDが訴求する通り、最新高画質タイトルのWQHD解像度/最高グラフィック設定なPCゲーミングや、e-SprotsタイトルのWQHD/144Hz+のPCゲーミングに最適なグラフィックボードです。GPU性能に対するスイートスポットはWQHD解像度PCゲーミングですが、フルHD/240FPSのスーパーハイフレームレート、比較的軽いゲームなら4K/60FPSのラグジュアリーな超高画質など幅広いPCゲーマー層にマッチします。
Radeon RX 6700 XT Reference_pefsum
最新世代同士で比較した場合、AMDの公式発表ではRTX 3060 Ti以上、RTX 3070が競合とのことでしたが、比較用に抜粋するゲームタイトル次第ではあるものの、当サイトを含め一般レビューサイトではRTX 3070とRTX 3060 Tiの中間で、RTX 3060 Ti寄りという評価が多いように思います。
「Radeon RX 6700 XT」の北米希望小売価格は479ドル~となっており、発売当時、RTX 3070が499ドル~、RTX 3060 Tiが399ドル~だったので、単純に考えるとコスパが悪く見えるのですが、2021年初頭のGPU枯渇状況を踏まえた値付けとも見られなくはないので、価格面の評価は難しいところです。
実売価格も7万円台もあれば、10万円越えのモデルもあり、幅広いのですが、7~8万円のモデルはすぐに売り切れてしまい、市場在庫で見かけるのは10万円越えのモデルばかりというのが実状です。
AMD Radeon RX 6700 XT_aviable

Radeon RX 6700 XTは2020年現在、手ごろな価格で普及しつつあるWQHD/144Hz+のIPS液晶ゲーミングモニタと組み合わせて高画質・ハイフレームレートなPCゲーミング入門に最適なグラフィックボードです。
WQHD/144HzのIPS液晶ゲーミングモニタは色々と販売されていますが、リモコン操作&USB Type-C対応でマルチメディアに最適な「BenQ EX2780Q」、ELMB Syncやスナイパーなど独自のゲーミング機能が豊富な「ASUS TUF Gaming VG27AQ」、同スペック製品の中でも特に高発色・高応答速度な「LG 27GL850-B」は当サイトでもレビューを公開していてオススメなモデルです。
WQHD解像度/144Hz+ゲーミングモニタのレビュー記事一覧へ
WQHD_144Hz_IPS

その他にもバトルロイヤル系ゲームに最適な240Hzオーバーの超高速ゲーミングモニタと組み合わせてガチで勝利を狙うゲーマーにもフルHDで高FPSを稼げるRadeon RX 6700 XTはオススメです。
240Hz+の超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタのレビュー記事一覧へ
240Hz+_GamingMonitor_2021


「AMD Radeon RX 6700 XT」のリファレンスモデルについて、やはり特筆すべきは従来のフルサイズグラフィックボード標準な全長267mmかつ占有PCIEスロット数も2スロットに収まって、TDP200W超のGPUとしてはコンパクトサイズに収まっているところだと思います。
コンパクトさと静音性・冷却性能はトレードオフになる要素であり、上位モデルRX 6800リファレンスモデルと比べてGPUクーラーが簡素な仕様になっていたので静音性には少々心配もあったのですが、それも杞憂で、AMD Radeon RX 6700 XT リファレンスモデルのGPUクーラーは優秀、TGP230Wの発熱をしっかりと冷やしつつ適度な静音性を維持することができました。

なお上位モデル同様にRX 6700 XTもパートナー各社オリファンモデルに目を向けると、全長300mmかつ3スロット占有といった超大型モデルばかりです。冷却性能や静音性に関してはもちろん上位互換ですが。
玄人志向 RD-RX6700XT-E12GB/DFのようにリファレンスモデルよりもさらに小さいモデルもあるものの、小さいモデルは価格も安く、すぐに在庫が売り切れてしまい、リファレンスモデル同様に入手が困難となっています。
AMD Radeon RX 6700 XT_AIB


以上、「AMD Radeon RX 6700 XT」のレビューでした。
Radeon RX 6700 XT Reference


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