40mm×66mmmという指で摘まめるコンパクトサイズながら、USB4ことUSB 40Gbps接続によって最大4.0GB/sの高速転送に対応するUSBモバイルストレージ「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD 1TB」をレビューします。
「Nextorage NX-P4SE 1TB」とPCをUSB 40Gbpsで接続することによって、写真・動画の大容量データのコピー速度はどう変わるのか徹底検証していきます。
【機材協力:Nextorage】
製品スペックや保証条件
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の製品スペック概要について簡単にまとめました。
製品スペックについて
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はUSB 40Gbps(USB4 Gen3x2)接続に対応したUSBモバイルストレージです。
USB 10Gbpsなど下位規格への互換性もあるので変換アダプタやケーブルを用意すればPCのUSB Type-Aポートでも使用できますが、USB規格の仕様として20Gbps以上の通信に対応しているのはUSB Type-Cポートだけなので注意してください。
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」は容量別で1TB、2TB、4TBの3モデルがラインナップされています。
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はUSB 40GbpsでPCと接続するので、最大でシーケンシャル読み出し 4,000MB/s、シーケンシャル書き込み 3,500MB/sの高速アクセスを実現しています。

メーカーによる製品保証期間は3年間です。
耐落下性能(1.5 mからの落下試験を実施済)、耐衝撃性能(IEC 60068-2-27 準拠)、耐振動性能(IEC 60068-2-6 準拠)、曲げ耐性(50N加圧テスト済)、捻り耐性(0.5N・m加圧テスト済)、耐USB挿抜(1万回超のケーブル挿抜テスト済)といったモバイルストレージに必要な物理的耐久性も備えています。

「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はUSB 20Gbpsにも対応しているので最大帯域で、最新ゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X|Sの外付けストレージとして使用できます。
ネイティブ対応タイトルの起動には非対応なものの、内蔵ストレージが満杯になった時にネイティブ対応タイトルのコピーインストール用バックアップ先として使用でき、後方互換タイトルであればインストール・起動も可能、スクリーンショットやビデオクリップの出力にも使用できるので、最新ゲーム機用の外付けストレージとしても最適な製品です。
なお、内蔵ストレージとしてHDDを搭載する旧型ゲーム機のPlayStation 4やXbox One Xの場合はゲームインストール先として使用できるだけでなく、ロード時間の短縮も期待できます。


製品データシート/表
「Nextorage G-Series HE」のデータシート/スペック一覧は次の通りです。
Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD スペック一覧 | |||
---|---|---|---|
容量 | 型番:NX-P4SE1TB | 1 TB型番:NX-P4SE2TB | 2 TB型番:NX-P4SE4TB | 4 TB
インターフェース | USB 40Gbps (USB4 Gen3x2) Type-C | ||
メモリ | TLC型3D NAND | ||
連続読出 | 4,000 MB/s | ||
連続書込 | 3,500 MB/s | 3,600 MB/s | |
動作温度 | 0 ℃ ~ 40 ℃ (結露なきこと) | ||
保存温度 | -20 ℃ ~ 60 ℃ (結露なきこと) | ||
書込耐性* | – TB | – TB | – TB |
保証期間 | メーカー 3年 | ||
外形寸法 | 縦 40mm x 横 66mm x 厚さ 9mm | ||
重量 | 22g | ||
物理耐久性能 | 耐衝撃: IEC 60068-2-27 準拠 耐振動: IEC 60068-2-6 準拠 曲げ耐性: 50 N(ニュートン)加圧テスト済 捻り耐性: 0.5 N・m(ニュートン・メートル)加圧テスト済 耐挿抜: 1万回超のケーブル挿抜テスト済 | 耐落下: 1.1 mからの落下試験を実施済||
耐水性、防塵性は表記なし |
* 保証TBW:Total Byte Written
*非公表かつ不明なスペックは”-(ハイフン)”を記載しています。
USB規格の名称や転送速度について簡単にまとめておきます。
現在、最新バージョンのUSB表記では世代/バージョン/リンク数といった分かり難い記載は消え、単純に”USB 10Gbps”のように接続帯域がそのまま記載されています。
最新の名称とロゴ パッケージ / コネクタ | 帯域 / 理論実効速度 | 旧名とロゴ | 技術仕様 | |
---|---|---|---|---|
USB2.0 | 480Mbps 48MB/s | |||
USB 5Gbps | 5Gbps 500MB/s | USB3.2 Gen1 USB3.1 Gen1 USB3.0 | ||
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USB 10Gbps | 10Gbps / 1.2GB/s | USB3.2 Gen2 USB3.1 Gen2 ![]() | ||
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USB 20Gbps | 20Gbps / 2.4GB/s | USB3.2 Gen2x2![]() | ||
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USB 40Gbps | 40Gbps / 4.8GB/s | USB4 ver 1.0 USB4 Gen3x2 | ||
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USB 80Gbps | 80Gbps / 9.6GB/s | USB4 ver 2.0 USB4 Gen4x2 | ||
![]() | ![]() |
USB外付けストレージの実際の転送速度は?
続きをクリックで展開
USB外付けストレージについては個別製品によって実際の性能は異なるものの、2025年現在、
- USB 5Gbps : 約480MB/s
- USB 10Gbps : 約1,100MB/s
- USB 20Gbps : 約2,100MB/s
のように、USB 20Gbpsまでは帯域理論値に近い転送速度を発揮できるようになっています。
一方、ASMedia製USB4コントローラ ASM2464PDを搭載した外付けSSDやエンクロージャー(変換ケース)が2025年に発売したばかりで、今のところ、USB 40Gbps外付けストレージの実効性能は最大3.8GB/s程度です。
外観・付属品
まずは「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の外観や付属品について紹介していきます。
紙製パッケージを開くと透明プラスチック製スペーサーに「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」のSSD本体とUSB Type-Cケーブル、キャリングケースが収められています。
続いて「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」のポータブルSSD本体をチェックしていきます。
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はシンプルに上下面ともにプラスチック製です。天面の大部分はマットな表面加工ですが、外周部はツヤ出しになっています。
接続インターフェース
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の天面ロゴから見て左側面にはUSBケーブルを接続するためのUSB Type-C端子が実装されています。
USB 10Gbps(旧USB3.2 Gen2)など下位規格への互換性もあるので変換アダプタやケーブルを用意すればPCのUSB Type-Aポートでも使用できます。
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はUSB 40Gbpsに対応したUSB Type-Cケーブルが付属しているのでホスト側にUSB Type-C端子があれば各自でUSBケーブルを用意する必要はありません。
付属USB Type-CケーブルはUSB 40Gbps対応に加えて、60W給電対応のロゴもありました。長さはコネクタ込みで25cm程度と短いので、長いケーブルが必要であれば各自で購入してください。
オーバースペックにはなりますが、UBS 80Gbps対応で長さ1.2mのType-Cケーブル Club 3D CAC-1570でUSB 40Gbps対応モバイルストレージの正常動作を確認しています。
Club 3D製のUSB/ビデオケーブルは高品質なので、品質や通信の安定性重視でケーブル選びに迷ったら特にオススメです。

持ち運びの便利さ、物理的な耐久性
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の寸法は縦40mm×横66mm×厚さ9mmです。小型スマートフォンの縦半分程度と非常にコンパクトかつ薄型です。
重量は約22gです。コンパクトなサイズだけでなく重量も非常に軽く、ポケットに入れていても存在感を感じません。
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」にはPUレザー製ポーチが付属しています。ポータブルSSD本体の代わりに、付属ポーチにストラップホールがあります。
ピッタリサイズなのでSSD本体がポーチから簡単に滑り落ちることはありませんが、蓋や留め具はないので勢いが付いたりするとポーチから飛び出す可能性はあります。サッと取り出せる便利さとトレードオフな感じです。
あとUSB 10Gbps対応 NX-P2SEシリーズの外観と比べると、SSD本体はロゴの色程度のマイナーチェンジですが、ポーチはオレンジ色から黒色に変わっています。
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」は、
- 耐落下: 1.1 mからの落下試験を実施済
- 耐衝撃: IEC 60068-2-27 準拠
- 耐振動: IEC 60068-2-6 準拠
- 曲げ耐性: 50 N(ニュートン)加圧テスト済
- 捻り耐性: 0.5 N・m(ニュートン・メートル)加圧テスト済
- 耐挿抜: 1万回超のケーブル挿抜テスト済
といった各種耐久性能を備えており、一般的な持ち運びには十分です。
ただし、耐水性や防塵性に関する表記はないので、ハードなアウトドア環境で使用する場合は注意してください。
MagSafe対応アクセサリーも展開
Nextorage NX-P4SE ポータブルSSDと組み合わせて使用できる純正アクセサリーとして、USB-C PDパススルーアダプター 「NX-PDPA1」や、MagSafe対応レザーケース「NX-PDPA1MC」も発売中です。
USB-C PDパススルーアダプター 「NX-PDPA1」
「Nextorage NX-PDPA1」はUSB PDによる充電と、DP Altモードによるビデオ出力やUSBモバイルストレージなど各種データ通信を同時に行うことが可能なUSB-C PDパススルーアダプターです。

100W以上の出力があるUSB Power Delivery 3.0対応ACアダプタと組み合わせることで、最大80W(20V・4.1A)でスマートフォンやモバイルPCを充電できます。
「Nextorage NX-PDPA1」を中継しても、USB 20Gbpsによるデータ通信、DisplayPort 1.4による最大8K/60FPSのビデオ出力をパススルーできます。ビデオ出力については同社製HDMIワイヤレスアダプター NMP-HC1を組み合わせることも可能です。
MagSafe対応レザーケース「NX-PDPA1MC」
「Nextorage NX-PDPA1MC」はMagSafeに対応したレザーケースです。
MagSafe(スマホ版)はもともとApple製スマートフォン iPhoneをワイヤレス充電する規格としてリリースされましたが、現在は電子機器に影響を与えず磁力によって簡単にアクセサリーの着脱できる機能として様々な製品が展開されています。

「Nextorage NX-PDPA1MC」には、同社製モバイルストレージ NX-P2SE、NX-P4SEと、USB-C PDパススルーアダプター NX-PDPA1をまとめて収納でき、iPhoneの背面へマグネットで簡単かつしっかりと着脱できます。
NX-P2SE、NX-P4SEはiPhone ProRes 4K 120FPSの録画に対応する書き込み性能があり、USB-C PDパススルーアダプターによって充電も併用できるので、iPhoneで高画質動画制作をする人には非常に助かる製品です。

「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はiPhone ProRes 4K 120FPSの録画に対応する書き込み性能があるので、同社製アクセサリーを組み合わせるだけで、簡単に着脱でき、録画しながら充電もできるという便利なiPhone録画環境を構築できます。

モバイルストレージの検証機材
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の各種検証を行うテスト環境を紹介します。
テストベンチ機の詳細
PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
SSDテストベンチ機の構成 | ||
---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 9800X3D | レビュー |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 | レビュー |
Noctua NF-A12x25 PWM | レビュー | |
システムメモリ | G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N DDR5 16GB×2=32GB | レビュー |
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR X870E HERO | レビュー |
ビデオカード | PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN | レビュー |
システムストレージ | Samsung SSD 990 PRO 1TB | レビュー |
OS | Windows 11 Pro 64bit 22H2 | |
電源ユニット | Corsair HX1500i 2022 | レビュー |
ベンチ板 | STREACOM BC1 | レビュー |
G.Skill Trident Z5 Neo RGB 【PR】
システムメモリの検証機材には、Ryzen 9000シリーズでも引き続きOCメモリのスイートスポットとアピールされている、メモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 9000/7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したTrident Z5 Neo RGB、ラグジュアリーな外観のTrident Z5 Royal Neoといったバリエーションモデルもラインナップされています。

検証ストレージの設定
検証ストレージの接続場所と接続帯域
検証機材に使用しているマザーボード ASUS ROG CROSSHAIR X870E HEROのリアI/OにはUSB4コントローラー ASMedia ASM4242によるUSB 40Gbpsに対応したType-Cポートがあります。
USBモバイルストレージ側の最大帯域がUSB 40Gbps以下、USB 10Gbps(旧 USB3.2 Gen2)やUSB 5Gbps(旧 USB3.0)など下方互換で対応できる製品は基本的にこのUBSポートに接続して検証しています。

またデータコピー検証に使用するNVMe M.2 SSDはCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されたM.2スロットに設置しています。
Ryzen 9000/7000シリーズからはGPU向けx16レーンとは別にPCIE5.0x4レーンが2つ伸びていて、USB4コントローラー ASMedia ASM4242と、データコピー検証用SSDはそれぞれ独立したPCIE5.0x4レーンに接続されているので、PCIE帯域がボトルネックになることはありません。
検証ストレージのフォーマットについて
Windows OS機能でモバイルストレージをexFATにフォーマットする際、アロケーションユニットサイズを指定できます。
当サイトのレビューでモバイルストレージを検証する場合、特に補足がなければ、exFAT形式、アロケーションユニットサイズは512KBに統一し、検証前に再フォーマットしています。
Windows11によるフォーマットの既定アロケーションユニットサイズはストレージ容量によって変わるのですが速度重視で2TB容量の既定サイズで統一しています。

さらに詳しく
例えば1KBサイズのテキストファイルを4つ保存する場合、アロケーションユニットサイズが4KBだと、実際には16KBの容量を使用します。アロケーションユニットサイズが512KBなら2MBです。
アロケーションユニットサイズが小さい方が物理容量を最大限使用できます。
一方、モバイルストレージで一般的なexFAT形式の場合、4KBなど小さくすると、特にランダム性の高い書き込みアクセスにおいて大幅な速度低下が発生する傾向があります。*逆に速くなるケースもあるものの、頻度も程度も小さい
Windows OSの内蔵ストレージの場合、単純なシングルボリュームならNTFS形式かつアロケーションユニットサイズ 4KBで問題ありません。*RAID0ボリュームを構築する場合は、アロケーションユニットサイズ128KB~1MBに大きくした方がCDMの連続スコアが伸びやすかったりします。
書き込みキャッシュ設定について
リムーバブルストレージの取り外しポリシー設定は『高パフォーマンス』で統一しています。
取り外しポリシー設定を『高パフォーマンス』にした時の主なデメリットは、ストレージを取り外す際にタスクバーからの操作が1アクション増える程度です。
帯域40GbpsのUSB4対応など最新の高速外付けSSDを使用する場合、書き込みキャッシュを有効にしないと理想的な書き込み性能を発揮できないことがあります。
USB 5GbpsやUSB 10Gbpsのモバイルストレージの場合、既定設定の『クイック取り外し』のまま運用するケースも多いと思いますが、USB 40Gbps対応製品も比較する都合上、『高パフォーマンス』で条件を統一しています。
取り外しポリシー設定を「高パフォーマンス」にした時の操作についていくつか補足しておきます。
再フォーマット時にNTFS形式に制限される
exFAT形式のモバイルストレージにおいて、取り外しポリシー設定を『高パフォーマンス』にすることは可能です。
ただし、取り外しポリシー設定を『高パフォーマンス』にすると、Windowsの機能でストレージを再度フォーマットする際に、NTFS形式しか選択できなくなります。
Windowsの機能でexFAT形式に再度フォーマットするには、一度、取り外しポリシー設定を『クイック取り外し』に戻す必要があります。
エラーで取り外しポリシーを変更できない時の対処法
取り外しポリシー設定を『高パフォーマンス』に変えた後、デバイスマネージャーから『クイック取り外し』に戻そうとしても、
デバイスの書き込みキャッシュ設定を変更できませんでした。デバイスでこの機能または設定の変更がサポートされていない可能性があります。
とエラーが表示されることがあります。

このエラーが発生した時の対処法ですが、デバイスマネージャーの右クリックメニューでデバイスのアンインストールを実行し、ハードウェア変更のスキャンを実行して再度、ストレージを読み込むと、既定設定の『クイック取り外し』に戻ります。
基本仕様
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」のWindowsボリューム容量、アウトボックス時のフォーマット状態など基本仕様について紹介します。
Windowsボリュームの容量
「Nextorage NX-P4SE 1TB」のexFATボリュームをWindows 11上で作成したところ、空き容量は953GBでした。

アウトボックス時のフォーマット状態と添付ファイル
「Nextorage NX-P4SE 1TB」は最初からexFATにフォーマット済みです。初期状態でアロケーションユニットサイズは512KBでした。

「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はアウトボックス状態でフォーマット済みとなっており、ボリュームの中は空でした。
ソフトウェア類など重要なもの、再取得が面倒なものは特にないので、各自で好きにフォーマットし直しても問題ありません。

SLCキャッシュについて
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」のSLCキャッシュ構造について検証しました。
「Nextorage NX-P4SE 1TB」はシンプルに50GB容量を書き込みが高速なSLCキャッシュとして使用できます。空き容量が200GBの状態でもフォーマット直後同様に使用できるSLCキャッシュ容量は50GBでした。
SLCキャッシュ内なら3GB/sを超える書き込み速度を発揮しますが、SLCキャッシュ容量を超過すると書き込み速度は800~900MB/s程度に低下します。


一般的な使い方であれば十分なSLCキャッシュ容量
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の使用済みSLCキャッシュの開放は比較的に高速で、50GB全て使いきっても数分もあれば開放されます。
用途にも依りますが、大半は50GBもあればそうそう不足することもないでしょうし、SLCキャッシュ超過後でも書き込み速度が800MB/s程度とそこそこ高速なので、実用的にSLCキャッシュ超過による性能低下で不便を感じることはないと思います。
動画など大容量データの扱いには注意が必要
SLCキャッシュ容量の多寡について当サイトでは一応、100GBを1つの基準にしています。
空き容量全域をSLCキャッシュとして使用できる製品*TLC型で1TB容量ならフォーマット直後で300GB程度もあるので、空き容量によらず固定値で50GBしかSLCキャッシュを使用できないのは「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」のネガティブなポイントだと思います。
なお注意が必要なのは別で録画・撮影した大容量データをコピー書き込みする場合であって、「Nextorage NX-P4SE 1TB」を保存ストレージとして録画・撮影を行うなら十分な性能です。
例えば、iPhone 16 Proなど最新iPhoneが対応するApple ProResの4K/120FPS動画撮影に必要な性能はApple公式サポートページによると440MB/s以上とされており、「Nextorage NX-P4SE 1TB」はSLCキャッシュ超過後でも、その性能要件を2倍近く上回る書き込み性能を発揮します。

ベンチマークソフトで検証
「Nextorage NX-P4SE 1TB」の基本的な性能をベンチマークソフトで検証しました。
ストレージベンチマークを代表する1つ、CrystalDiskMarkで「Nextorage NX-P4SE 1TB」の性能を検証しました。
CrystalDiskMarkのバージョンは8.0.4、設定はデータサイズ 1GiB、プロファイル +Mixです。
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の1TBモデルを検証したところ、CrystalDiskMarkベンチマークスコアは連続読み出し 4,000MB/s、連続書き込み 3,600MB/sでした。
USB 40GbpsのUSB接続帯域的にはまだ伸びしろを残していますが、ASMedia製USB4コントローラ ASM2464PDを使用したモバイルSSDかつUSBポートの環境としてはほぼ理想的な性能です。

以下、各種比較対象モバイルストレージのCrystalDiskMark8 ベンチマークスコアです。
データコピー性能を検証
外付けストレージの性能評価で最重要項目となるデータコピーにおける読み出し・書き込み性能を実際の写真・動画データを使用して検証しました。
検証にはフルサイズミラーレス一眼カメラの写真・動画データを想定して、10GBの動画ファイルが5つ入った約50GBの動画フォルダ、10MB~20MBの画像ファイル 2,000枚弱が入った約30GBの写真フォルダの2種類を使用しています。

コピー検証の具体的な手順
コピー検証の具体的な手順を説明します。
- 検証ストレージをフォーマットして十分に放置
- 最初に検証ストレージへのコピー書き込みを行う
- 各テストデータの書き込み後、毎回、10分間のインターバルを置く
- 全てのテストデータを書き込んだら、コピー相手のSSDをフォーマット
- 同様に10分間のインターバルを置いてから、コピー読み出しを行う
空き容量依存のSLCキャッシュ容量やSLCキャッシュ開放速度といったSLCキャッシュ構造は製品によって異なります。
実用シーンでは容量の使用状況によって書き込み性能は今回の検証結果と変わる可能性があります。
コピー相手のSSDについて
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したWD_BLACK SN8100を使用しています。


コピー相手のSSDは独立したCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、PCIE接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。
コピー相手SSDのWD_BLACK SN8100は十分にSLCキャッシュ容量が大きく、開放も速いので読み出し、モバイルストレージ相手のコピー検証において、読み書き共にボトルネックになることはありません。
動画フォルダのコピー(10GB×5)
「Nextorage NX-P4SE 1TB」で50GBの動画フォルダのコピー速度を検証しました。
動画ファイルは1つ1つのファイルがGB単位の大容量なので実際のコピーではCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。
動画フォルダのコピー読み出しにおいて、「Nextorage NX-P4SE 1TB」によるコピー時間は19秒ほど、読み出し速度は2764MB/s程度です。
「Nextorage NX-P4SE 1TB」はメーカーによってexFAT形式でフォーマットされた状態で出荷されていますが、動画データの読み出しにおいては、exFAT形式がボトルネックになるようで、NTFS形式にすると読み出し速度が30%程度改善しました。

動画フォルダのコピー書き込みにおいて、「Nextorage NX-P4SE 1TB」によるコピー時間は19秒ほど、書き込み速度は2765MB/s程度です。
USB 10Gbpsと比較して3倍近く、USB 20Gbpsと比較して2倍近くも高速にコピー書き込みが可能です。
読み出しではexFATとNTFSのフォーマット形式で差がありましたが、書き込みのほうはほぼ同じ速度でした。

写真フォルダのコピー(30GB, Files:2K)
「Nextorage NX-P4SE 1TB」で30GBの写真フォルダのコピー速度を検証しました。
画像ファイル1つ1つは先の動画ファイル1つに比べると大幅に小さいですが、高解像度なミラーレス1眼カメラで撮影したJPEG撮って出し画像の場合、1枚が10~20MB程度なのでやはりCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。
写真フォルダのコピー読み出しにおいて、「Nextorage NX-P4SE 1TB」によるコピー時間は13秒ほど、読み出し速度は2428MB/s程度です
ファイル数が多いもののほぼシーケンシャル読み出し的なアクセスなので、先の動画フォルダの読み出しコピー同様にUSB 10Gbps対応と比較して3倍程度、USB 20Gbps対応SSDと比較して2倍近く高速です。
あと大量の写真ファイルでもやはり読み出しではexFAT形式で性能が伸び悩みます。NTFS形式にフォーマットすると20%程度性能が伸びました。

写真フォルダのコピー書き込みにおいて、「Nextorage NX-P4SE 1TB」によるコピー時間は9.1秒ほど、書き込み速度は3446MB/s程度です。今回のコピー検証でもは最も高いスループットを発揮しました。
USB 10Gbps対応と比較して3倍以上、USB 20Gbps対応SSDと比較して2倍高速です。

Nextorage NX-P4SE 1TBのレビューまとめ
最後に「Nextorage NX-P4SE 1TB」を検証してみた結果のまとめです。
- 最大4TBの大容量モデルもラインナップ
- USB 40Gbps対応で連続読み出し 4.0GB/s、連続書き込み 3.6GB/s
- 実際のデータコピーでもUSB 10Gbps対応SSDより3倍以上も高速
- SLCキャッシュ超過後も書込速度 800MB/s以上を維持
- Apple ProResの4K/120FPS動画撮影に必要な性能は440MB/s以上
- 66mm×40mmのコンパクトサイズかつ、22g程度と非常に軽量
- 耐落下、耐衝撃など各種の物理的な耐久性能
- 外部電源不要なUSB端子からのバスパワー駆動
- PS5やXbox X/Sの外付けストレージとして使用可能
- メーカー正規保証期間は5年間
- SLCキャッシュ容量が50GBの固定容量
- NTFSでフォーマットしないとコピー読み出しが伸び悩む
- USBフラッシュメモリと比べるとサイズは大きい
- USB Type-Aポートと接続するには別途、変換アダプタ等が必要
「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はNVMe SSD相当の内部SSDを次世代高速規格 USB 40Gbpsに変換するタイプのUSB外付けSSDです。
基礎的なベンチマークでは読み出しで4,000MB/s、書き込みで3,600MB/s程度というUSB 40Gbps対応モバイルストレージらしい高速アクセススピードを発揮します。
66mm×40mm(2.5インチやM.2 2280といった既存のSSDを流用する形では実現できない小ささ)という指で摘まめるコンパクトサイズながら最大4TBの大容量を実現しているところも大きな魅力です。
一方、TLC型NAND採用でSLCキャッシュ超過により書き込み速度が低下するというのは近年のSSD製品として一般的な特性ですが、SLCキャッシュ容量を50GBの固定容量でしか確保できないところは「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」の弱点です。
使用済みSLCキャッシュの開放は早く、超過後も1TBモデルで800MB/s程度とそこそこ速いので実用的に不便を感じるかどうかは用途に依るものの、例えば、100GBを超えるような動画データを頻繁にコピーするといった使い方には不向きだと思います。
なお注意が必要なのは別で録画・撮影した大容量データをコピー書き込みする場合であって、「Nextorage NX-P4SE 1TB」を保存ストレージとして録画・撮影を行うなら十分な性能です。
例えば、iPhone 16 Proなど最新iPhoneが対応するApple ProResの4K/120FPS動画撮影に必要な性能はApple公式サポートページによると440MB/s以上とされており、「Nextorage NX-P4SE 1TB」はSLCキャッシュ超過後でも、その性能要件を2倍近く上回る書き込み性能を発揮します。

「Nextorage NX-P4SE ポータブルSSD」はPS5やXbox X/Sの拡張ストレージとしても使用できます。
ゲームインストールデータのバックアップや、プレイ動画(ビデオクリップ)の保存・移動程度の用途であれば上記のSLCキャッシュ構造もネックになりません。特に、撮り貯めた大量のビデオクリップをPCへ素早く移すのには最適です。

以上、「Nextorage NX-P4SE 1TB」のレビューでした。
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