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東芝製TLC型64層3D NANDメモリチップ「BiCS3」とPhison製PS5012-E12メモリコントローラーを採用し、アルミニウム製ヒートシンクを標準搭載するNVMe M.2 SSD「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズから、大容量2TBモデル「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB(型番:CSSD-M2B02TPG2VN)」のサンプル機をメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。
製品公式ページ:https://www.cfd.co.jp/product/ssd/cssd-m2b02tpg2vn/
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB レビュー目次
1.CFD PG2VN NVMe M.2 SSDについて
2.CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの外観
3.CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの検証機材と基本仕様
4.CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのベンチマーク比較
5.CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの連続書き込みについて
6.CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの温度とサーマルスロットリングについて
7.CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのデータコピー・ゲームロード比較
8.CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのレビューまとめ
CFD PG2VN NVMe M.2 SSDについて
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズはメモリチップに東芝&Western Digital連合製TLC型64層3D NANDメモリチップ「BiCS3」、Phison製ハイエンドメモリコントローラー「PS5012-E12」が採用された、M2 2280フォームファクタでNVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDです。「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズの容量は512GB/1TB/2TBの3モデルがラインナップされています。512GBモデルは片面実装ですが、1TBと2TBは背面にも2枚のメモリチップと1枚のDRAMキャッシュメモリが実装された両面実装です。「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズはスリット状カットが施されたアルミニウム製ヒートシンクが標準搭載されています。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出3470MB/s、シーケンシャル書込3000MB/s、ランダム読出600,000 IOPS、書込600,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズのMTBF(平均故障時間)は180万時間、書込耐性は512GBが800TBW、1TBが1665TBW、2TBが3115TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD スペック一覧 |
|||
容量 | 512GB (CSSD-M2B05GPG2VN) |
1TB (CSSD-M2B01TPG2VN) |
2TB (CSSD-M2B02TPG2VN) |
コントローラー |
Phison PS5012-E12 | ||
メモリー | 東芝製TLC型64層3D NAND BiCS3 |
||
キャッシュ |
512MB LPDDR4 | 1GB LPDDR4 | |
連続読出 | 3400MB/s | 3470MB/s | |
連続書込 | 2000MB/s | 3000MB/s | 2750MB/s |
ランダム読出 | 357,000 IOPS |
600,000 IOPS |
500,000 IOPS |
ランダム書込 | 445,000 IOPS |
600,000 IOPS |
513,000 IOPS |
消費電力 | 30mW(アイドル) 4.2W(リード平均) |
30mW(アイドル) 5.8W(リード平均) |
30mW(アイドル) 6.0W(リード平均) |
MTBF | 180万時間 | ||
耐久性評価 | 800TBW | 1665TBW | 3115TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの外観
まず最初にCFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。紙製のパッケージを開くとSSD本体は静電防止ビニールに包まれた状態で厚紙のスペーサーに収められていました。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は青色で、表面にはアルミニウム製ヒートシンクが標準で装着されています。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズの表面にはM.2端子を右端として、右からDRAMキャッシュ、メモリコントローラー、2枚のメモリチップが実装されています。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズでは、512GBの低容量モデルは背面に実装のない片面実装ですが、1TBと2TBの大容量モデルは背面にもDRAMキャッシュと2枚のメモリチップが実装された両面実装となります。型番等が記載されたシールは背面に貼られていました。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズではアルミニウム製ヒートシンクが標準で装着されていますが、NVMe M.2 SSDでは最も発熱の大きいメモリコントローラーとヒートシンクが接していないところは気になりました。
ヒートシンクがメモリコントローラーと接していない件についてはCFD公式から次のように説明されています。
1.コントローラ内の温度センサーがサーマルパッドに接面することで温度センサー精度に影響する
2.サーマルスロットルを開始すべきかどうかを判断するためのFWに影響が出る
3.コントローラの高温をヒートシンクを介してNANDフラッシュメモリに熱転写をしたくない
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズにおいて標準で放熱ヒートシンクを搭載する主目的は、『DRAM同様に熱に弱いNANDメモリを冷やすために、ヒートシンクに風を当てることで放熱性を高める』ことだそうです。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの検証機材と基本仕様
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは1.86TBでした。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのベンチマーク比較
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」、「Corsair Force MP510 960GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.2(8GiB)について、「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」のベンチマークススコアは連続読み出し3400MB/s、連続書き込み3000MB/sとなりました。連続読み出し3000MB/s越えの製品はそれなりに出てきていますが、3000MB/sという連続書き込み速度は2019年現在文句なしに最速クラスの製品です。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
PCMark8 ストレージテストについて、「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの連続書き込みについて
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型NANDやQLC型NANDと呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、書き込み速度の底上げのためNANDメモリの一部を高速なSLCキャッシュ化する機能が実装されています。SLCキャッシュ機能を有するSSDにおいて、SLCキャッシュ容量を超過する連続した大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
2.5インチSATA SSDの「Samsung 850 PRO 2TB(レビュー)」やNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 PRO 1TB(レビュー)」はMLC型なので、HD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持することが可能です。
SATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。
しかしながら2018年から2019年初頭にかけて主流な64層3D NANDや、2019年以降に採用製品の増えつつある90層オーバーの最新3D NANDでは、SLCキャッシュを介さない書き込み速度が改善されています。
64層3D NANDを採用しているTLC型SATA SSDの「Samsung SSD 860 EVO(レビュー)」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(レビュー)」「SanDisk SSD Ultra 3D(レビュー)」「Crucial MX500(レビュー)」などで、かつ容量が1TB以上の大容量モデルでは書き込み速度の低下は解消されています。(SATA3.0規格の速度上限が先にくるので)
またTLC型SSDの書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあります。「Samsung 970 EVO 1TB(レビュー)」もTLC型NANDの一部を高速なSLCキャッシュとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超過する連続した大容量な書き込みが発生すると書き込み速度が低下します。
TLC型64層3D NANDをメモリチップに採用する「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は3000MB/s程度の書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が25GB程度に達するとSLCキャッシュを超過するため書き込み速度は1000MB/s前後まで低下しました。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」についてはSLCキャッシュ超過後も理想的なSATA SSDと比較して2倍近い書き込み速度を実現しているので遅いとまでは言えませんが、競合製品で容量1TB以上のモデルの中にはSLCキャッシュ超過後に1500MB/s以上をキープできるものもあるので、評価が分かれるところだと思います。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの温度とサーマルスロットリングについて
NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。アクセススピードが数GB/sに及ぶ非常に高速なNVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られています。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーカメラを使用して検証します。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWinfoを使用してログを取得します。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの検証結果を確認する前に、NVMe M.2 SSDとしてはおそらく2019年現在、最速のNVMe M.2 SSDとして君臨し、認知度が高く普及している「Samsung 970 PRO 1TB」を比較参考のサンプルとして上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung SSD 970 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung SSD 970 PRO 1TBに関してはSamsung 960 PRO同様にソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は発生していませんが、2周目以降に連続書き込み速度の計測で若干速度低下が確認できます。1周目ですでにメモリコントローラーの温度は100度に達し、メモリチップも70度を超えておりかなり高温です。
負荷テスト終盤におけるSamsung SSD 970 PRO 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。サーモグラフィーでもソフトウェアモニタリング同様に、「Samsung SSD 970 PRO 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は100度を上回り、左半分に実装されたメモリチップは70度半ばになっています。
さて本題のCFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるCFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBでソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリチップかDRAMキャッシュ付近の温度になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもモニタリング可能な温度は70度前後に収まっていますが、1周目の書き込みテストですでに若干の速度低下が確認でき、2週目以降はアクセススピードが高速になる連続読み出しと連続書き込みの両方で大幅に速度低下が発生しています。
上のグラフにおける速度低下がサーマルスロットリングによるものであることを確認するため、フレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」と「Noctua NF-A9 PWM」を組み合わせてスポットクーラーとして使用して、SSDを冷却しながら同様の測定を行いました。
スポットクーラーで冷却しながらテストを行ったところ、ソフトウェアモニタリングによるSSD温度は40度前後まで下がって、連続アクセスでも速度低下は発生しなくなりました。やはり上で確認された速度低下はサーマルスロットリングが原因で間違いがないようです。
冷却ファンを使用しない場合について負荷テスト終盤におけるCFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのサーモグラフィーは下のようになっています。標準搭載のヒートシンク温度は60度前後ですが、側面の隙間から確認してみると、メモリチップは70度前後、メモリコントローラーは80度前後でした。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」についてはソフトウェアモニタリングやサーモグラフィーで確認できる温度自体はアクセススピードが3GB/sを超える高速なNVMe M.2 SSDとしては低めなのですが、サーマルスロットリングによる速度低下が顕著です。
今回はその他の熱源には影響されない反面、GPUクーラーやCPUクーラー、およびPCケースファンによるエアフローがない環境で温度測定を行いましたが、メーカーによれば『ケース内のエアフローを整えることで、サーマルスロットリングが抑制され性能が十分安定して出る』とのことです。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」はヒートシンク標準搭載のため、サードパーティ製品を使用して各自でヒートシンクを増設することができません。ケース内エアフローの最適化で十分なパフォーマンスが発揮できるとのことですが、放熱面で万全を期すのであればフレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」でスポットクーラーを増設してSSDを冷やして運用するのがオススメです。
・スポットクーラー用ファンアーム「サイズ 弥七」をレビュー
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのデータコピー・ゲームロード性能比較
続いて「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」、「Corsair Force MP510 960GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。
まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを設置しています。
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、同じく2019年最新のTLC型NVMe M.2 SSDである「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB」や「WD Black 3D NVMe SSD 1TB」などと比較するとほぼ横並びです。ただしシーケンシャル性能が効いてくるワークロードなので25秒前後で完全に横並びになると思ったのですが、「Corsair Force MP510 960GB」とともに30秒前後で若干遅れる結果でした。いずれもPhison PS5012-E12をメモリコントローラーに採用しているので、その特性なのかもしれません。とはいえSATA3.0接続のSSDと比較すると3倍以上高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は1700MB/s程度となっています。
動画ファイルのコピー書き込みについてチェックしてみると、「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」のコピー書き込み時間は37秒ほどとなりました。 SLCキャッシュ容量の大きさやキャッシュ超過後の書き込み速度の影響で競合製品の「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB」や「WD Black 3D NVMe SSD 1TB」よりは遅れています。
続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、若干ランダム性能が効いてくるワークロードではありますが、動画ファイルのコピー読み出し同様に競合の最新TLC型NVMe M.2 SSDとは若干差があって数秒遅れています。それでもやはりSATA SSDと比較すると2.5倍の高速な読み出し速度です。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」のゲームフォルダのコピー書き込み速度については、やはりSLCキャッシュ容量の大きさやキャッシュ超過後の書き込み速度が効いてくるので、Samsung SSD 970 EVO Plus 1TBやWD Black 3D NVMe SSD 1TBとの差が50GBの動画ファイルコピーの時よりも大きくなっています。
続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
The Witcher 3ではグラフィック設定を4K解像度/最高グラフィック設定として、ノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb Raiderでは4K解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。
以上の条件で「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところThe Witcher 3とRise of the Tomb Raiderではコンマ秒で差がある可能性はあるものの「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」を含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。
一方、Final Fantasy XV PC版ではNVMe(PCIE3.0x4)SSDの「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」とSATA3.0 SSDとの間に若干ではありますが、ロード時間に差が確認できました。今後PCゲームが高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません
CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TBのレビューまとめ
最後にSamsung製3bit MLC型 第5世代V-NANDメモリチップを採用するNVMe M.2 SSD「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB(型番:CSSD-M2B02TPG2VN)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- NVMe規格として理想的な連続読み出し3500MB/sと連続書き込み3000MB/s(最大)
- 2TBは大容量書き込みで速度低下しても書き込み速度1000MB/s
- 大容量2TBでも4万円台前半というNVMe M.2 SSDとしては安価な価格帯
- 1TBあたり1600TBW前後というMLC型クラスの書き込み耐性
- メーカー正規保証期間が5年間
- TLC型なので大容量の連続書き込みではSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
2TBモデルはSLCキャッシュ容量25GBで、超過後の書き込み速度は1000MB/s前後 - サーマルスロットリングによる速度低下が顕著なのでスポットクーラーによる冷却を推奨
- ファイルコピーは競合製品比で若干遅い
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークや実際の性能検証の多くで2019年最新のNVMe M.2 SSDらしい高速なアクセススピードと高いパフォーマンスを発揮していることが確認できました。2019年3月現在、1TBモデルが2万円、2TBモデルが4万円台前半という安価な販売価格も相まって、コストパフォーマンスに優れたNVMe M.2 SSDと評価できると思います。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズには東芝&Western Digital連合製のTLC型64層3D NANDメモリチップ「BiCS3」が採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、今回検証した2TBモデルでは25GB程度のSLCキャッシュを超える書き込みアクセスでは理想値3000MB/sから1000MB/sまで書き込み速度が低下します。とはいえ速度低下時ですらSATA3.0規格の理想的な書き込み速度である500MB/sの2倍近い速度をマークしており、不便を感じるほどの速度低下ではないと思います。
また「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズでもう1つの大きな注目ポイントは容量1TBあたりの書き込み耐性の仕様値が1600TBW前後という非常に高い値をマークしているところです。参考までに競合するTLC型SSDのSamsung SSD 970 EVO PlusやWD Black 3D NVMe SSDが600TBW、MLC型SSDのSamsung SSD 970 PRO 1TBでさえ1200TBWとなっています。
「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズは日本国内有数の大手PCパーツ代理店であるCFDが独自ブランドで販売している製品なので、1TB当たり1600TBW前後という耐久性評価と5年間の長期メーカー保証への信頼性の高さも間違いなく魅力です。
以上のように隙のなさそうな「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD」シリーズですが、標準で放熱ヒートシンクを搭載しているものの、パッシブ空冷のままでは数分程度の負荷でサーマルスロットリングによる速度低下が発生するところは残念でした。正直に言って見掛け倒し感は否めません。
現在ではNVMe M.2 SSDを効果的に冷やすことのできるソリューションも数多くあるので、微妙な性能のヒートシンクを標準搭載するよりも(各自で外すと当然、保証外になってしまいます)、安価さと保証・高耐久性を前面に押し出して素のままでNVMe M.2 SSDとして販売した方がよかったかと思います。
標準搭載ヒートシンクの冷却性能には難があるものの、2019年最新NVMe M.2 SSDとして十分なパフォーマンスを発揮しており、1TB当たり1600TBW前後という耐久性評価と国内大手PCパーツ代理店CFDによる5年間の長期メーカー保証への信頼性の高さを備えながら、1TB当たり2万円前後という優れたコストパフォーマンスを実現するなど魅力のほうが勝るので、「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」はオススメできる製品だと思います。
以上、「CFD PG2VN NVMe M.2 SSD 2TB」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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書き込みがかなり安定しました。
ただ・・・温度が気持ち悪いくらい下がったのが気になります。
なんかしくじったかな。。。