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Kingstonから新たにリリースされたTLC型96層3D NANDメモリチップを搭載する世界初のNVMe M.2 SSD「Kingston KC2000」シリーズの容量1TBモデル「Kingston KC2000 1TB(型番:SKC2000M8/1000G)」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。
製品公式ページ:https://www.kingston.com/jp/ssd/system-builder/skc2000
データシート:https://www.kingston.com/datasheets/SKC2000_jp.pdf
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Kingston KC2000 1TB レビュー目次
1.Kingston KC2000について
2.Kingston KC2000 1TBの外観
3.Kingston KC2000 1TBの検証機材と基本仕様
4.Kingston KC2000 1TBのベンチマーク比較
5.Kingston KC2000 1TBの連続書き込みについて
6.Kingston KC2000 1TBの温度とサーマルスロットリングについて
7.Kingston KC2000 1TBのデータコピー・ゲームロード比較
8.Kingston KC2000 1TBのレビューまとめ
Kingston KC2000について
「Kingston KC2000」シリーズはメモリチップにTLC型96層3D NANDメモリチップ、メモリコントローラーにSilicon Motion SM2262ENが採用された、NVMe(PCI-E3.0x4)接続でM2280フォームファクタのM.2 SSDです。「Kingston KC2000」シリーズの容量には250GB/500GB/1TB/2TBの4種類がラインナップされています。「Kingston KC2000」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出3200MB/s、シーケンシャル書込2200MB/s、ランダム読出350,000 IOPS、ランダム書込275,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。
「Kingston KC2000」シリーズのMTBF(平均故障時間)は200万時間、書込耐性は250GBが150TBW、500GBが300TBW、1TBが600TBW、2TBが1200TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Kingston KC2000 スペック一覧 |
||||
容量 | 250GB (SKC2000M8/250G) |
500GB (SKC2000M8/500G) |
1TB (SKC2000M8/1000G) |
2TB (SKC2000M8/2000G) |
コントローラー |
Silicon Motion SM2262EN | |||
メモリー | TLC型96層3D NANDメモリチップ | |||
連続読出 | 3000MB/s | 3200MB/s | ||
連続書込 | 1000MB/s | 2000MB/s | 2200MB/s | |
4Kランダム読出 | 350,000 IOPS/s | 250,000 IOPS |
||
4Kランダム書込 | 200,000 IOPS |
250,000 IOPS |
275,000 IOPS |
250,000 IOPS |
消費電力 | 3mW(アイドル)、2.1W(読み出し最大)、7W(書き込み最大) | |||
動作温度範囲 | 0°C~70°C | |||
MTBF | 200万時間 | |||
耐久性評価 | 150TBW | 300TBW | 600TBW | 1200TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
Kingston KC2000 1TBの外観
まず最初にKingston KC2000 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。Kingston KC2000シリーズは製品情報が描かれた厚紙にプラスチック製スペーサーが埋め込まれた簡素なパッケージで梱包されています。
厚紙の封を開いてプラスチック製スペーサーを取り出すと、SSD本体に加えて、ストレージクローンアプリケーションのシリアルキーが記載されたシートも入っていました。
Kingston KC2000シリーズのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
Kingston KC2000シリーズの表面にはM.2端子を右端として、右からメモリコントローラーと4枚のメモリチップが実装されています。
Kingston KC2000シリーズの1TBモデルについては背面にメモリチップとキャッシュメモリが実装される両面実装でした。背面には2枚のキャッシュメモリが実装されているので、共通基板であると考えた場合、2TBモデルだけでなく、250GB/500GBの容量下位モデルも両面実装の可能性が高そうです。
大きい方のチップはメモリチップで表裏合わせて8枚、小さい方はDRAMキャッシュで裏面に2枚が実装されています。
発熱の大きいメモリコントローラーのチップ表面にはニッケルメッキの金属プレートを装着して放熱を補助・促進しています。
Kingston KC2000 1TBの検証機材と基本仕様
「Kingston KC2000 1TB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
「Kingston KC2000 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
Kingston KC2000 1TBのベンチマーク比較
「Kingston KC2000 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、「Corsair Force MP510 960GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「WD Blue 3D NAND SATA SSD 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.2(8GiB)について、「Kingston KC2000 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Kingston KC2000 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し3200MB/s、連続書き込み2200MB/sとなりました。「Kingston KC2000 1TB」は4Kランダム読み出しにおいてかなり高速な数値を出しているところが注目ポイントです。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「Kingston KC2000 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「Kingston KC2000 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
PCMark8 ストレージテストについて、「Kingston KC2000 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Kingston KC2000 1TBの連続書き込みについて
「Kingston KC2000 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型NANDやQLC型NANDと呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、書き込み速度の底上げのためNANDメモリの一部を高速なSLCキャッシュ化する機能が実装されています。SLCキャッシュ機能を有するSSDにおいて、SLCキャッシュ容量を超過する連続した大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
2.5インチSATA SSDの「Samsung 850 PRO 2TB(レビュー)」やNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 PRO 1TB(レビュー)」はMLC型なので、HD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持することが可能です。
SATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。
しかしながら2018年から2019年初頭にかけて主流な64層3D NANDや、2019年以降に採用製品の増えつつある90層オーバーの最新3D NANDでは、SLCキャッシュを介さない書き込み速度が改善されています。
64層3D NANDを採用しているTLC型SATA SSDの「Samsung SSD 860 EVO(レビュー)」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(レビュー)」「SanDisk SSD Ultra 3D(レビュー)」「Crucial MX500(レビュー)」などで、かつ容量が1TB以上の大容量モデルでは書き込み速度の低下は解消されています。(SATA3.0規格の速度上限が先にくるので)
またTLC型SSDの書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあります。「Samsung 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」もTLC型NANDの一部を高速なSLCキャッシュとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超過する連続した大容量な書き込みが発生すると書き込み速度が低下します。
TLC型96層3D NANDをメモリチップに採用する「Kingston KC2000 1TB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、全体容量の10%に当たる100GBの大容量データを連続して書き込みしても製品仕様でも紹介されている最大連続書き込み速度2200MB/sを維持し続けました。
「Kingston KC2000 1TB」のSLCキャッシュについては使用済み容量に比例して変動する方式が採用されており、使用済み容量が0GBなら約150GB、使用済み容量が全体容量の半分に当たる500GBでも90GB超のSLIキャッシュ容量が確保されています。
そもそも一般ユースで超過することがない100GB前後の大容量なSLCキャッシュ容量が確保されていることに加えて、キャッシュを超過すると書き込み速度が低下するとはいえ、低下後ですら1300~1400MB/sという十分な速さを実現しており、理想500MB/sなSATA3.0 SSDよりは3倍近く高速なので、実用上TLC型SSDゆえのストレスを感じることはないと思います。
Kingston KC2000 1TBの温度とサーマルスロットリングについて
NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Kingston KC2000 1TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。アクセススピードが数GB/sに及ぶ非常に高速なNVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られています。
「Kingston KC2000 1TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーカメラを使用して検証します。
Kingston KC2000 1TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWinfoを使用してログを取得します。
Kingston KC2000 1TBの検証結果を確認する前に比較参考のサンプルとして、2019年現在最速のNVMe M.2 SSDとして君臨している「Samsung SSD 970 PRO 1TB」において、上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung SSD 970 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung SSD 970 PRO 1TBではメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度についてソフトウェアモニタリングが可能になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は発生していませんが、2周目以降に連続書き込み速度の計測で若干速度低下が確認できます。1周目ですでにメモリコントローラーの温度は100度に達し、メモリチップも70度を超えておりかなり高温です。
負荷テスト終盤におけるSamsung SSD 970 PRO 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。サーモグラフィーでもソフトウェアモニタリング同様に、「Samsung SSD 970 PRO 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は100度を上回り、左半分に実装されたメモリチップは70度半ばになっています。
さて本題のKingston KC2000 1TBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるKingston KC2000 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Kingston KC2000 1TBでソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリチップ付近の温度になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は確認できません。
負荷テスト終盤におけるKingston KC2000 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。「Kingston KC2000 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は最大で90度半ば、メモリチップやDRAMキャッシュは70~80度となっています。読み出し/書き込みが3GB/sをオーバーする超高速なNVMe M.2 SSDとしては標準的な温度です。
Kingston KC2000 1TBはSSD背面にもメモリチップやDRAMキャッシュが実装されている両面実装ですが、マザーボードや拡張ボードに挟まれる背面が特に高温になるということはないようです。
今回の負荷テストでは「Kingston KC2000 1TB」でサーマルスロットリングによる大幅な速度低下こそ確認できなかったものの、メモリコントローラーが90度半ば、メモリチップも70~80度とかなり高温になるので、長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をおすすめします。
・「AquaComputer kryoM.2 evo/micro」をレビュー
・「SilverStone SST-TP02-M2」をレビュー
SilverStone M.2 SSD専用放熱ヒートシンク/パッドセット SST-TP02-M2
SilverStone
Kingston KC2000 1TBのデータコピー・ゲームロード性能比較
続いて「Kingston KC2000 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、「Corsair Force MP510 960GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「WD Blue 3D NAND SATA SSD 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。
まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを設置しています。
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
「Kingston KC2000 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Kingston KC2000 1TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、競合製品のSamsung 970 EVO Plus 1TBには数秒の差で及びませんでしたが、WD Black SN750 NVMe SSD 1TBやCorsair Force MP510 960GBよりは数秒高速でした。Kingston KC2000 1TBはPCI-E3.0x4帯域のNVMe接続に対応した高速SSDなので、SATA3.0接続のSSDと比較すると4倍以上高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は2000MB/s程度となっています。
動画ファイルのコピー書き込みについてチェックしてみると「Kingston KC2000 1TB」のコピー書き込み時間は27秒程でした。SLCキャッシュが10GB程度しかないWD Black SN750 NVMe SSD 1TBやCorsair Force MP510 960GBと比較するとやはり高速です。
なおSLCキャッシュが40GB程度のSamsung 970 EVO Plus 1TBに比べて書き込み作業の終了が数秒遅れる理由については、可変容量のSLCキャッシュを調節する瞬間なのか7GB程度書き込んだ後で一時的に書き込み速度が落ち込むからです。
続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
「Kingston KC2000 1TB」はゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、Samsung 970 EVO Plus 1TBやSamsung 970 Pro 1TBに並ぶ非常に優秀なパフォーマンスを発揮しています。CrystalDiskMarkの4Kランダム読み出し速度が高速でしたが、ランダム性能の高さがこのタスクに反映されているのがわかります。
Kingston KC2000 1TBのゲームフォルダのコピー書き込み速度についてみてみると、50GBの動画ファイルコピーでは後れを取りましたが、80GBのデータ全てがSLCキャッシュ内に収まるのでSamsung 970 EVO Plus 1TBよりも高速かつ、MLC型のSamsung 970 Pro 1TBに並ぶ非常に優れたパフォーマンスです。
続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
The Witcher 3ではグラフィック設定を4K解像度/最高グラフィック設定として、ノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb Raiderでは4K解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。
以上の条件で「Kingston KC2000 1TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところThe Witcher 3とRise of the Tomb Raiderではコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Kingston KC2000 1TB」を含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。
一方、Final Fantasy XV PC版ではNVMe(PCIE3.0x4) SSDの「Kingston KC2000 1TB」とSATA3.0 SSDとの間に若干ではありますが、ロード時間に差が確認できました。今後PCゲームが高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません
Kingston KC2000 1TBのレビューまとめ
最後にTLC型96層3D NANDメモリチップを搭載する世界初のNVMe M.2 SSD「Kingston KC2000 1TB(型番:SKC2000M8/1000G)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- NVMe規格として高速な連続読み出し3200MB/sと連続書き込み2200MB/s(最大)
- 使用済み容量0GBで150GB、500GBで90GBの超大容量なSLCキャッシュ
- 1TBは大容量書き込みで速度低下しても書き込み速度1400MB/sで高速
- ランダム読み出し/書き込みがMLC型NVMe SSD並みに高速
- TLC型なので高速NVMe M.2 SSDとしては安価な価格帯
- メーカー正規保証期間が5年間
- TLC型なので大容量の連続書き込みではSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
1TBモデルは低下後の書き込み速度は1400MB/s - 連続して負荷がかかった時のメモコンやメモリチップの温度は高め
「Kingston KC2000 1TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマーク実際の性能検証の多くにおいて、競合製品でありTLC型NVMe M.2 SSDとしては定番のSamsung SSD 970 EVO PlusやWD Black SN750 NVMe SSDと同等のパフォーマンスを発揮しました。
「Kingston KC2000 1TB」はスペックシートの通りシーケンシャル性能こそTLC型NVMe M.2 SSDトップクラスの競合製品と比較して若干低めですが、CrystalDiskMarkからも読み取れる高いランダム性能、そして100GBを超える超大容量な可変容量型SLCキャッシュを備えており、実際の使用感ではTLC型の競合製品を上回るケースが多く、NVMe M.2 SSD最速の座に位置するSamsung 970 PROに最も近いTLC型NVMe M.2 SSDと言っても過言ではありません。
「Kingston KC2000」シリーズにはTLC型96層3D NANDメモリチップが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様にSLCキャッシュ容量を超過すると書き込み速度の低下が発生します。
しかしながら「Kingston KC2000 1TB」はそのSLCキャッシュの容量が使用済み容量0GBなら150GB、半分の500GBが使用済みでも90GBと非常に大きいので一般的なユースにおいて超過する心配はほぼなく、書き込み速度の低下が発生しないMLC型SSDのような感覚で使用できます。仮にSLCキャッシュを超過しても低下後ですら書き込み速度は1400MB/sでSATA3.0規格の理想的な書き込み速度である500MB/sの3倍近い速度をマークしており、不便を感じるほどの速度低下ではないと思います。
100GB超SLCキャッシュによるMLC型SSDさながらの高性能とTLC型SSDらしい安価さを兼ね備えた「Kingston KC2000」シリーズは、並み居る競合TLC型NVMe SSDを押しのけてオススメな次世代TLC型SSDです。
以上、「Kingston KC2000 1TB」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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