WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB


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Western Digitalのメインストリーム向けブランドWD BlueのNVMe M.2 SSD新製品、TLC型96層3D NANDを採用し高コストパフォーマンスなWD Blue SN500 NVMe M.2 SSDシリーズの容量1TBモデル「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB(型番:WDS100T2B0C)」をレビューしていきます。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB review_08681_DxO


製品公式ページ:https://shop.westerndigital.com/ja-jp/products/internal-drives/wd-blue-sn550-nvme-ssd#WDS250G2B0C
データシート:https://documents.westerndigital.com/content/dam/doc-library/ja_jp/assets/public/western-digital/product/internal-drives/wd-blue-nvme-ssd/product-brief-wd-blue-sn550-nvme-ssd.pdf
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD_top





WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB レビュー目次


1.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSDについて
2.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの外観
3.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの検証機材と基本仕様


4.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのベンチマーク比較
5.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの連続書き込みについて
6.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの温度とサーマルスロットリングについて


7.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの実用性能比較
8.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのデータコピー・ゲームロード比較
9.WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのレビューまとめ




WD Blue SN550 NVMe M.2 SSDについて

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD」はTLC型96層3D NANDメモリチップが採用された、M.2 2280フォームファクタでNVMe(PCIE3.0x4)接続の高速M.2 SSDです。メモリコントローラーには同社オリジナルコントローラーが採用されているようです。
「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD」にはSSD容量として250GB(型番:WDS250G2B0C)、500GB(型番:WDS500G2B0C)、1TB(型番:WDS100T2B0C)の3モデルがラインナップされています。

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出2400MB/s、シーケンシャル書込1950MB/s、ランダム読出410,000 IOPS、ランダム書込405,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD」のMTBFは170万時間、書込耐性は250GBが150TBW、500GBが300TBW、1TBが600TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。


WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD スペック一覧
容量 250GB
WDS250G2B0C
500GB
WDS500G2B0C
1TB
WDS100T2B0C
インターフェース
NVMe(PCIE3.0x4)
メモコン 同社製
メモリ TLC型96層3D NAND
連続読出 2400MB/s
連続書込 950MB/s 1750MB/s 1950MB/s
4Kランダム読出 170,000 IOPS 300,000 IOPS 410,000 IOPS
4Kランダム書込 135,000 IOPS 240,000 IOPS 405,000 IOPS
消費電力
(アベレージ)
75mW
MTBF 170万時間
耐久性評価 150TBW 300TBW 600TBW
保証期間 メーカー5年



WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの外観

まず最初にWD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB review_08681_DxO-horz
紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は保証規定書およびインストールガイドとなっています。
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WD Blue SN550 NVMe M.2 SSDシリーズのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は製品名の通り青色になっています。
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WD Blue SN550 NVMe M.2 SSDシリーズの表面にはM.2端子のすぐ傍にメモリコントローラー、最大容量の1TBモデルでも逆端に1枚のメモリチップのみが実装されています。WD Blue SN550 NVMe M.2 SSDシリーズは安価なNVMe M.2 SSDということでDRAMキャッシュを搭載していません。
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WD Blue SN550 NVMe M.2 SSDシリーズは最大容量の1TBモデルも含めて全容量で背面にはメモリチップ等の実装が一切なく、片面実装となっています。
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WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの検証機材と基本仕様

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー

【PCゲームロード時間検証用】
ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

Strage Test Bench_1
Strage Test Bench_2

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
Samsung 860 EVO M.2 1TB


「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_CDI



WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのベンチマーク比較

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Kingston KC2000 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)について、「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し2400MB/s、連続書き込み2000MB/sとなりました。製品仕様の通りの超高速な連続アクセススピードです。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_CDM7
Samsung 970 PRO 1TB_CDM7Samsung 970 EVO Plus 1TB_CDM7
Kingston KC600 1TB_CDM7WD Black SN750 NVMe SSD 1TB_CDM7
Samsung 860 EVO 1TB_CDM7Samsung 860 PRO 1TB_CDM7


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_ATTO_QD1_read
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_ATTO_QD1_write
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_ATTO_QD4_read
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_ATTO_QD4_write
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_ATTO_QD1WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_ATTO_QD4


AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_AS
Samsung 970 PRO 1TB_ASSamsung 970 EVO Plus 1TB_AS
Kingston KC2000 1TB_ASWD Black 3D NVMe SSD 1TB_AS
Samsung 860 PRO 1TB_ASSamsung 860 EVO 1TB_AS


PCMark8 ストレージテストについて、「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_PCM8
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_PCM8_cp



WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの連続書き込みについて

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


TLC型3D NANDをメモリチップに採用する「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は2GB/s近い書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が12GB程度に達するとSLCキャッシュ容量を超過するため書き込み速度は800MB/s前後まで減少しました。
SLCキャッシュを超過すると書き込み速度が低下するとはいえ、低下後ですらSATA3.0規格の理想的な書き込み速度を上回る800MB/sという十分な速さを実現しており、安価なNVMe M.2 SSDとしては十分な性能だと思います。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_HDT



WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの温度とサーマルスロットリングについて

NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。
アクセススピードが数GB/sに及ぶ非常に高速なNVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られています。
「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーカメラを使用して検証します。

WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、
M.2 SSD_temp_test
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWiNFOを使用してログを取得します。
Samsung 970 PRO 1TB_temp test

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」の検証結果を確認する前に比較参考のサンプルとして、2020年現在最速のNVMe M.2 SSDとして君臨している「Samsung SSD 970 PRO 1TB」において、上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung SSD 970 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung SSD 970 PRO 1TBではメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度についてソフトウェアモニタリングが可能になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は発生していませんが、2周目以降に連続書き込み速度の計測で若干速度低下が確認できます。1周目ですでにメモリコントローラーの温度は100度に達し、メモリチップも70度を超えておりかなり高温です。
Samsung SSD 970 PRO 1TB_temp
負荷テスト終盤におけるSamsung SSD 970 PRO 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。サーモグラフィーでもソフトウェアモニタリング同様に、「Samsung SSD 970 PRO 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は100度を上回り、左半分に実装されたメモリチップは70度半ばになっています。
Samsung SSD 970 PRO 1TB_FLIR

さて本題のWD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるWD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBに関してソフトウェアモニタリングが可能な温度は最も高温になるメモリコントローラーではなくメモリチップの付近の温度になっているようです。
ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は確認できません。なお2つ目の書き込みアクセスで速度が変動しているのはサーマルスロットリングとは関係ありません。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_temp
負荷テスト終盤におけるWD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。
「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は最大で80度前後、メモリチップは60度半ばとなっています。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_FLIR
下は前モデル「WD Blue SN500 NVMe M.2 SSD 500GB」で同様の測定を行った時のサーモグラフィーですが、連続アクセスが高速化したことによって、やはり「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」のメモリコントローラーオ温度は若干高くなっているようです。
WD Blue SN500 NVMe M.2 SSD 500GB_FLIR_1

今回の負荷テストでは「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」でサーマルスロットリングによる速度低下こそ確認できなかったものの、メモリコントローラーが80度以上、メモリチップも70度近くとそこそこ高温になるので、長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をオススメします。
最近のマザーボードはM.2 SSDヒートシンクを標準で搭載しているものも多いですが、個別に購入する場合、PCIE拡張ボードタイプなら「AquaComputer kryoM.2 無印/evo」、マザーボードM.2スロットで使用するコンパクトタイプなら「「SilverStone SST-TP02-M2」などがオススメです。
M.2 SSDヒートシンクのレビュー記事一覧へ
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WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBの実用性能比較

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。

PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
PCMark10 Storage Test_trace

ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_PCM10_1_Summary

システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_PCM10_4_Summary_Data

当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較



WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。
比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Kingston KC2000 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
Copy File
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
Copy_movieCopy_game

コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCIEスロットにグラフィックボード、3段目PCIEスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCIEスロットに検証ストレージを設置しています。
Copy_NVMe-NVMe_2019
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCIEレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
Copy_NVMe-NVMe


「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、上位モデルのWD Black SN750 NVMe SSD 1TBを始めとした定番のハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDと比較すると若干遅めの読み出し速度でした。
とはいえ前世代SN500よりはしっかりと高速化しており、WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBはPCIE3.0x4帯域のNVMe接続に対応した高速SSDなので、SATA3.0接続のSSDと比較すると3倍近い高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は1500MB/s程度となっています。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_copy_1_movie_read
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBは動画ファイルのコピー書き込みにおいて、所要時間55秒程度となっており、書き込みでも前世代SN500より高速化を果たし、SATA3.0 SSDより2倍近く高速です。
やはり上位モデルのWD Black SN750 NVMe SSD 1TBを始めとした定番のハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDと比較すると低速です。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_copy_2_movie_write

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、動画ファイルの時と同様に上位モデルのWD Black SN750 NVMe SSD 1TBを始めとした定番のハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDに比べてやや遅めでした。
とはいえ、やはり動画ファイルのコピー読み出し同様にSATA3.0 SSDよりも2倍以上も高速な読み出し速度です。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_copy_3_game_read
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBはゲームフォルダのコピー書き込みにおいて、SATA SSDの2倍弱の性能を発揮しました。10GB程度のSLCキャッシュ、超過後は書き込み速度700~800MB/s程度というスペックを反映した結果になっています。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_copy_4_game_write


続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme

The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。


Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。


Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。


以上の条件で「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ゲームロード時間を測定して比較してみたところ、SSD対HDDで2~3倍の時間差が生まれるのに対して、SSDの中では、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにして高速になる傾向は見受けられますが、それでもせいぜい1,2割程度と、実用的にはランダム要因な誤差に吸収されるくらいの時間差です。
今後PCゲームがさらに高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB_game
なおゲームストレージとしての性能についてはPCMark10 Storage Testを使用した実用性能比較の章でも比較していますが、今回の検証結果とはストレージ種類別の性能差の傾向が異なります。理由については、PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、今回の比較では『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間となっているからではないかと思います。



WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TBのレビューまとめ

最後にNVMe M.2 SSD「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB(型番:WDS100T2B0C)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • SATA SSDよりも高速な読み出し2.4GB/sと書き込み2.0GB/s(最大)
  • DRAMキャッシュレスで安価なNVMe M.2 SSD
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • TLC型なので大容量の連続書き込みではSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    1TBはSLCキャッシュ容量が約12GB程度、超過後の書き込み速度は700~800MB/s

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークや実際の性能検証の多くにおいて、前世代SN500を上回るパフォーマンスをしっかりと発揮してくれました。
CrystalDiskMarkやデータコピーテストなどIO性能に直結するものでは、連続3GB/sを超えるWD Black SN750 NVMe SSDを始めとしたハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDに対して、製品スペック通り後れを取ります。しかしながら、SSDの実用性能をベンチマーク比較するPCMark10 Storage TestではSamsung SSD 970 PROの90%程度という良好な性能を発揮し、特にシステムストレージとしては上位に食いこむといういい意味で予想外の好成績を収めています。

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」にはTLCタイプの96層3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、今回検証した1TBモデルでは10GB程度のSLCキャッシュを超過する連続した大容量な書き込みアクセスが発生すると、理想値2200MB/sから700~800MB/sまで書き込み速度が低下します。
とはいえ速度低下時ですらSATA3.0規格の理想的な書き込み速度である500MB/sの1.5倍近い速度をマークしており、不便を感じるほどの速度低下ではないと思います。

NVMe M.2 SSDはSATA SSDよりも高速な反面、サイズの小ささも相まって非常に高温になるという弱点がありますが、「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」は連続アクセスが2GB/s程度に抑えられているので、3GB/s越えのハイエンド製品に比べて低温・低発熱で扱いやすいところも魅力の1つだと思います。

「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」は、ケーブル不要な取り回しの良さ、連続2GB/s程度の控えめな連続アクセススピードによる低温動作、NVMe SSDらしいランダム性能(実アプリケーション速度)、SATA SSD比で2~3倍のデータコピー性能、SATA SSD寄りの安価な販売価格など、NVMe SSDとSATA SSDの中間に位置して、それらの特長の良いとこ取りをした製品に仕上がっており非常に扱いやすいので、自作PC初心者には特にオススメできる製品だと思います。


以上、「WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB」のレビューでした。
WD Blue SN550 NVMe M.2 SSD 1TB


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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