ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge


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GeForce RTX 3070グラフィックボードとしてZOTAC GAMINGからリリースされた、2スロット占有2連ファンGPUクーラー搭載で全長231mmのショート基板モデル「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge(型番:ZT-A30700E-10P)」をレビューしていきます。
NVIDIA Ampere世代のミドルハイクラスGeForce RTX 3070が、前世代同クラスのRTX 2070 SUPERや最上位モデルRTX 2080 Tiをどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。

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製品公式ページ:https://www.zotac.com/jp/product/graphics_card/zotac-gaming-geforce-rtx-3070-twin-edge







ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge レビュー目次


1.ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの外観
2.ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの分解
3.ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの検証機材・GPU概要


4.ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeのゲーム性能
  ・レイトレーシング&DLSSの性能を検証

5.ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの温度・消費電力・ファンノイズ

6.ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeのレビューまとめ



【機材協力:ZOTAC】



ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの外観

早速、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeを開封していきます。
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キャラメルボックス型の外スリーブから取り出した黒色段ボールの内パッケージを開くと、スポンジスペーサー&静電防止エアパッキン袋という一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。付属品はクイックマニュアルとPCIE 6PIN*2 to PCIE 8PIN変換ケーブル×2本です。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のグラフィックボード本体を見ていきます。

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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のGPUクーラー外装はプラスチック製ですが、鉱石のような表面加工のガンメタルカラーで安っぽさは感じません。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の側面のブラックカラーのプレートにはZOTAC GAMINGのメーカーロゴがあり、LEDイルミネーションが内蔵されています。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の全長は231mmと、300mmクラスの製品が多いRTX 3070グラフィックボードの中でもとりわけコンパクトです。メーカー製PCなどグラフィックボード用スペースの限られるPCへのグラフィックボード換装にも最適です。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」は全長こそ短いですがGPUクーラーとPCB基板がPCIブラケットのよりも30mmほど長い背の高いグラフィックボードなのでサイドパネルなどとの干渉には注意が必要です。
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ただしPCIE補助電源についてはGPUクーラーの上端から大きく凹んだ位置にあって、高さはPCIEブラケットと同じ程度なので、PCケースにPCIEブラケットから30mmのスペースさえあればほぼ確実に設置が可能です。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の2連ファンGPUクーラーには90mm径と100mm径のサイズが異なる2基の冷却ファンが設置されています。
2基のファンは非同期制御が可能で、専用アプリケーションFireStormなどから個別にファン速度を設定できます。ZOTAC FireStormやMSI Afterburnerではファン1が右側の100mm径ファン、ファン2が左側の90mm径ファンです。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」は、3スロット占有の製品も多い中、RTX 3070搭載グラフィックボードとしては希少な2スロット占有モデルです。
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RTX30シリーズの上位モデルではTGPが大幅に引き上げられたのでVRM電源部分の発熱問題が再燃しそうですが、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」は、VRM電源回路とVRAMチップをGPUコアと同様にGPUクーラーヒートシンク本体で冷やすという、理想的な構造が採用されています。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の補助電源数はRTX 3070としては一般的なPCIE 8PIN×2となっています。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」にはオリジナルイラストのプリントされたスチール製バックプレートが装着されています。基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割に加えて、VRAMチップとの間にはサーマルパッドが貼られているので冷却補助の役割を果たします。
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なおグラフィックボードの重量はZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 Trinityが1335g、NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER Founders Editionが1268gに対して、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」は793gでした。コンパクトサイズだけあってRTX 3070ながら軽量です。
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ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの分解

「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。

なお今回はレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて分解を行っております。GPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。

ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin EdgeのGPUクーラーは基板裏面のコア周辺4カ所、PCIEブラケット側3か所の計7個のネジで固定されていました。
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7か所のネジを外すとGPUクーラーは容易に取り外しができます。さらにネジを解除していくとPCB基板からバックプレートも取り外しが可能です。
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バックプレートとPCB基板背面の間にはVRAMチップ部分にサーマルパッドが貼り付けられているので、金属製バックプレートはそのまま放熱板としての役割も果たしています。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」にはZOTACが独自に設計したオリジナル基板が採用されています。(Founders Editionの基板にかなり似ているので、これがリファレンス基板かもしれません。RTX30では採用メーカーが少ないので、水冷的にもリファレンスのメリットが薄いですが)
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GeForce RTX 3070のGPUコアにはGA104-300-A1が使用されていました。RTX 3080/3090とは違い、RTX 3070のVRAMはGDDR6となっており、GDDR6メモリチップはMicron、Samsung、SK Hynixが製造していますが、今回入手した「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」にはSamsung製の8GbのGDDR6メモリチップが8枚搭載されています。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のVRM電源回路はGPUコアの左側に10フェーズが実装されています。VRAMメモリ用は右側に2フェーズです。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のGPUクーラー本体をチェックすると、GPUコアと接する部分は銅製ベースプレートが採用され、ベースコアからは5本の銅製ヒートパイプが伸び、アルミニウム製放熱フィンが2スロットスペース内いっぱいに展開されています。
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GPUコアと接する部分には冷却性能の高さで定評のある銅製ベースプレートが採用されて、ニッケルメッキ処理も施されています。またGPUコア周辺のVRAMチップとVRM電源回路はヒートシンクにろう付けされた金属製プレートとサーマルパッドを介してヒートシンク本体で直接冷却するという理想的な構造です。
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GPUコアと接するベースプレートからは5本の極太ヒートパイプが下から左右へ抜ける構造で、GPUクーラーヒートシンクの放熱フィン全体へ効率的に熱を拡散します。
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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」はコンパクトサイズですが2スロットのスペースを最大限活用して放熱フィンが展開されています。
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ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの検証機材・GPU概要

外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成

ベンチ機1(温度・消費電力)
ベンチ機2(ゲーム性能)
OS Windows10 Home 64bit (1909)

CPU

Intel Core i9 9900K
レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz
Intel Core i9 10900K
レビュー
Core/Cache:5.2/4.7GHz
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME
 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, 17-17-17-37-CR2
G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
4000MHz, 15-16-16-36-CR2
システム
ストレージ
Samsung 860 EVO M.2 1TB
レビュー
Samsung 860 PRO 256GB
レビュー
データ
ストレージ
Samsung 860 QVO 4TB (レビュー

CPUクーラー

Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
電源
ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

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「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のGPUクーラー側面のZOTAC GAMINGロゴにはLEDイルミネーションが内蔵されています。
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専用アプリ「FireStorm」ではマニュアルOC設定、ファン制御設定など「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の動作に関して設定が可能です。ワンクリックで自動OCが可能なOCチューニング機能「NVIDIA Scanner」にも対応していました。(下はRTX3080のスクリーンショット)
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なおファン制御に関して手動設定時に設定したデューティ比と実際に適用されるデューティ比にズレが生じます。例えば『設定値43% → 適用値60%』、『設定値50% → 適用値65%』のように設定値よりも高いデューティ比が適用されます。特定デューティ比に固定する場合だけでなく、手動でファンカーブを設定するときもこのようにズレが生じるので注意してください。


ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin EdgeのGPU概要

ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeに搭載されているGPU「GeForce RTX 3070」のスペックについて簡単に確認しておきます。
「GeForce RTX 3070」はGA104-300コアが使用されておりCUDAコア数は5888、GPUコアクロックはベース1500MHz、ブースト1725MHzです。VRAMには14.0GbpsのGDDR6メモリを8GB容量搭載しています。

典型的なグラフィックボード消費電力を示すTGPは220Wに設定されており、PCIE補助電源として各社AIBモデルの多くは8PIN+6PINや8PIN×2を要求しています。
GeForce RTX 3070

「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」についてはGeForce RTX 3070のリファレンス仕様と共通でブーストクロックは1725MHz、またパワーリミット(TGP)も220Wに設定されています。電力制限は+9%で最大240Wまで解除が可能です。
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NVIDIA GeForce RTX 3090/3080/3070 詳細スペック比較
GPU名 RTX 3090
RTX 3080 RTX 3070
RTX 2080 Ti
GPUダイ GA102-300 GA102-200 GA104-300 TU102-300
製造プロセス Samsung 8nm
Samsung 8nm Samsung 8nm 12nm FinFET
CUDAコア数 10496 8704 5888 4352
TMU/ROP -/- -/- -/- 272/88
ベースクロック 1395MHz 1440MHz 1500MHz 1350MHz
ブーストクロック
(FE)
1695MHz 1710MHz 1725MHz 1545MHz
(1635MHz)
メモリ 24GB GDDR6X 10GB GDDR6X 8GB GDDR6 11GB GDDR6
バス幅 384-bit 320-bit 256-bit 352-bit
メモリクロック 4875 MHz 4750 MHz 4000 MHz 3500 MHz
有効メモリクロック 19500 MHz 19000 MHz 14000 MHz 14000 MHz
メモリ帯域 936 GB/s 760 GB/s 448 GB/s 616 GB/s
PCIEレーン PCIE4.0x16 PCIE4.0x16 PCIE4.0x16 PCIE3.0x16
マルチGPU
NVLink SLI - - NVLink SLI
TGP(TDP) 350W
320W 220W 250W
(FE:260W)
補助電源
8PIN×2~ 8PIN×2~ 8PIN+6PIN~ 8PIN×2~
対応ビデオ出力
DP1.4
HDMI2.1
DP1.4
HDMI2.1
DP1.4
HDMI2.1
DP1.4
HDMI2.0
USB Type-C
登場時期
20年9月24日
20年9月17日 20年10月29日 18年9月
価格 1499ドル~ 699ドル~ 499ドル~ 999ドル~
FE:1199ドル


今回レビューするGeForce RTX 3070をはじめとして、GeForce RTX 30シリーズに採用されるAmpereアーキテクチャにおいて、前世代Turingと比較してスペック上のCUDAコア数が2倍に激増していることについて簡単に説明しておきます。
まず純粋に事実として、複数のCUDAコアからなるCUDAコア群のストリーミングマルチプロセッサ(Streaming Multiprocessors:SMs)の『FP32スループットがTuring世代と比較してAmpereでは2倍に向上』しています。これは間違いありません。
NVIDIA-GeForce-RTX-30-Series-SM
一度、前世代Turingを振り返ると、TuringアーキテクチャではFP32とINT32を同時に実行できる(データパスが独立に用意されている)ことがアーキテクチャとしての新しい特徴でした。Turingでは1基のSMにFP32とINTが1:1割合で実装されていました。
NVIDIA-GeForce-RTX-20-Series-SM
Turingがこのようなアーキテクチャを採用したのは、PCゲームではFP32だけでなくINT32も実行されるから、というのが理由でしたが、同時に公表されていた統計を思い出すと、ゲームによって多少変動はあるもののFP32に対してINT32はせいぜい2:1の割合でした。
NVIDIA-GeForce-RTX-20-Series-SM_FP-32-vs-INT32
であればAmpereでは2つのデータパスのうち、INT32用のデータパス上にINT32の実行ユニットだけでなくFP32の実行ユニットも乗せれば、FP32とINT32の割合が現実に即した理想的な比率になり、省スペースに実装もできるというのは理にかなった話だと思いました。(下はSMの1/4を抜粋)
NVIDIA GeForce RTX 30_Ampere-SM-vs-Turing-SM
従来では『CUDAコア数 = FP32実行ユニットの数』とカウントしていたので、同じく単純にFP32実行ユニットの数をカウントするとAmpereアーキテクチャのGeForce RTX 30シリーズでは、CUDAコア数が2倍に爆増します。確かに1クロックで同時に実行できるFP32の最大数は2倍になったのですが、即ちCUDAコア数が2倍になったとカウントするのかというとやや疑問も残ります。
GTX700からRTX2000まで4世代ほどは、『CUDAコア数の増加による比例』×『コアクロックの上昇やアーキテクチャ改良による性能向上』が次世代GPUの性能指標だったので、GTX10からRTX20でCUDAコア数が2倍であれば実際の性能は2倍以上ですが、RTX20からRTX30ではCUDAコア数が2倍になっても実際の性能は2倍以下なのでどうしても違和感が残ります。

ともあれPCゲームを含め実際のアプリケーションではINT32も使用されるので、実性能を見るとGeForce RTX 30シリーズはCUDAコア数に比例して単純に2倍の性能にはならず、INT32/FP32混合データパスの使用状態に応じて、性能の伸び幅(Performance gains)が変動します。
ただFP32など一般的なシェーダーだけでなく、レイトレーシング用コアやテンサーコアも新世代へアップグレードされているので、レイトレーシング表現やDLSSに対応したPCゲームであればRTX20に対して2倍に迫る性能も発揮できるようです。
Ampere_Raytracing-Performance-vs-turing

またGeForce RTX 30シリーズの諸機能について、前世代RTX 20シリーズとの大きな違いとして、8K/60FPS映像を取り扱えるHDMI2.1に対応し、それに伴ってハードウェアデコーダのNVDecが第5世代にアップデートしています。第5世代NVDecでは、8Kなど超高解像度映像に使用されるAV1コーデックのデコードに対応しています。
ゲーム実況などリアルタイム配信・録画において好評を博したNVEncについてはRTX 20シリーズと同じく第7世代が採用されています。
NVIDIA GeForce RTX 30_Functions



ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeのゲーム性能

「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」、「GeForce RTX 2080 SUPER Founders Edition」、「GeForce RTX 2070 SUPER Founders Edition」、「Radeon RX 5700 XT」を使用しています。


「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
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FireStrike Extreme Ultra
RTX 3070
ZOTAC Twin
33680 16625 8470
RTX 2080 Ti FE
34955 16797 8179
RTX 2080 SUPER FE
29145 13866 6800
RTX 2070 SUPER FE
26161 12475 6097
RX 5700 XT 27300 12947 6553


「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」、およびレイトレーシング対応ベンチマーク「Port Royal」による性能比較となります。
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TimeSpy Extreme Port Royal
RTX 3070
ZOTAC Twin
13644 6746 8141
RTX 2080 Ti FE
14309 6813 8839
RTX 2080 SUPER FE
11696 5412 7032
RTX 2070 SUPER FE 10232 4788 6095
RX 5700 XT 9362 4189 -


「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードについて、近年普及しつつあるHTC VIVE Cosmos、Oculus Quest 2/Rift S、Valve IndexなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
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Orange Room
Cyan Room
Blue Room
RTX 3070
ZOTAC Twin
16335 13002 4086
RTX 2080 Ti FE
15938 12955 4553
RTX 2080 SUPER FE
15532 11080 3755
RTX 2070 SUPER FE 15010 9861 3316
RX 5700 XT
13796 9289 2546


続いて2020年最新のPCゲームを実際に用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)と4K(3840×2160)の3種類の解像度で平均FPSを比較しました。

ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)、DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット, NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)、Horizon Zero Dawn(最高画質設定プリセット)、Marvel's Avengers(最高設定プリセット, TAA)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)以上の15タイトルです。
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Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Gears 5(最高設定プリセット)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Horizon Zero Dawn(最高設定プリセット)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Marvel's Avengers(最高画質設定プリセット, TAA)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_mhw

Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeなど5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeは、前世代同クラスのアップデートモデルであるGeForce RTX 2070 SUPERよりも30%以上高い性能を発揮し、前世代最上位モデルであるGeForce RTX 2080 Tiと比較しても同等の性能を実現しています。
ちょうど2年前に発売された無印版GeForce RTX 2070と比較すると平均で40%、ベストケースでは50%以上の性能向上を果たしており、同ナンバリングの性能の伸び幅としては類を見ない、まさに”飛躍”という表現がピッタリな性能向上です。
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RTX 2080 Tiとの比較に関していくつか補足しておくと、RTX 3070がリファレンス仕様の「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」に対して、GeForce RTX 2080 Tiにはパワーリミット+10WなファクトリーOCが施されたFounders Editionとなっており、ファクトリーOCモデル同士で比較すれば、フルHDやWQHDであればRTX 3070が僅かながら上回る可能性が高いと思います。
一方で4K解像度についてはVRAMの使用量次第です。今回の検証タイトルでもFinal Fantasy XVやMiddle-Earth: Shadow of Warは最高画質設定において影関連でVRAMを非常に大きく使うので差が開いていますが、画質設定を多少下げてVRAM使用量が8GBを十分下回る条件であれば、4K解像度でもRTX 3070はRTX 2080 Tiと同等の性能を発揮できるはずです。


レイトレーシング&DLSSの性能を検証

上では一般的なPCゲーミングシーンにおける「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の性能を比較検証してきましたが、ここからはGeForce RTX 30シリーズの大きな特徴である、前世代GeForce RTX 20シリーズよりも改良された、レイトレーシング表現やDLSSの性能をチェックしていきます。

最初に、レイトレーシング表現やDLSSについて簡単に紹介しておきます。
まず、レイトレーシング(Raytracing)表現では、照明や光源(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射や透過も現実に即して忠実に描写されます。
レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。小さい光源や太陽光などが生み出す影が現実に対して忠実に再現されるので、画面の中に引き込まれるような奥行き、陰影を感じる映像が生まれます。
RayTracing Sample (1)
RayTracing Sample (2)
RayTracing Sample (3)
なお高画質機能「Raytracing(レイトレーシング)」はMicrosoftが提供するAPI「DirectX 12」に内包される「DirectX Raytracing」(DXR)を使用したレンダリング機能となっており、後述のDLSSと違ってNVIDIA独自技術というわけではなく、AMD製グラフィックボード、PS5やXbox Series S/Xといったコンソールゲーム機にも互換性のある機能です。

次に、「NVIDIA DLSS」は”Deep Learning Super Sampling”の頭文字を取った略称となっており、その名の通り、近年流行りのディープラーニングによって高画質化(超解像化)する機能で、AIレンダリングの名前でもアピールされています。
DLSSが具体的にどのように動作するか簡単に説明すると、フルHD~WQHDのリアルタイムレンダリングソースから4K映像を生み出すDLSSの原型があります。このDLSSの原型が作り出した4K映像を、16Kなど現実的にはリアルタイムでのレンダリングが難しい超々高解像度のレンダリング結果と比較し、DLSSの原型の改良版1をNVIDIAの専用サーバーが作ります。
DLSSの原型の改良版1で再び4K映像を生み出し、16Kレンダリング結果と比較して、DLSSの原型の改良版2を生み出す……、というプロセスを何万回も繰り返すことで、ユーザーに提供される汎用の、もしくは個別ゲームタイトルに特化した専用のDLSSプロファイルが出来上がります。
NVIDIA DLSS
GeForce RTX 30シリーズの登場と共にアップデートされたDLSS2.0では最終出力解像度に対して3種類のオリジナルレンダー解像度が選択でき、4K解像度の場合は、Quality(2560×1440)、Balanced(2240×1260)、Performance(1920×1080)の3種類から選択できます。
オリジナルのレンダー解像度がフルHD~WQHDなので、DLSSによる超解像(SuperSampling)プロセスを挟むとはいえ、ネイティブに4K解像度をレンダリングするよりもフレームレートは大幅に向上します。
現在のDLSSでは16Kレンダリング結果を目標に学習が繰り返されているので、高画質アンチエイリアス技術として一般的なTAAと比較してフレームレートが大幅に向上するだけでなく、画質も改善するという一挙両得な高画質化機能になっています。
DLSS_Quality

以上のレイトレーシング表現やDLSSに対して、GeForce RTX 30シリーズでは通常のレンダリングに使用するCUDAコアとは別に専用コアを搭載しており、アップグレードされた第2世代レイトレーシングコアと第3世代テンサーコアによって、専用コアを搭載しない旧式GPUはもちろん、従来のGeForce RTX 20シリーズと比較してもさらに高い性能を発揮することが可能になっています。
Ampere_shader-RT-Tensor_leap


前置きが長くなりましたが、本題のレイトレーシング表現やDLSSの性能をチェックしていきます。
まずはGeForce RTX 2080 Ti、GeForce RTX 2080 SUPER、GeForce RTX 2070 SUPERを比較対象にして、GeForce RTX 3070のレイトレーシング性能をチェックします。

解像度は4K(3840×2160)とし、検証するゲームはBattlefield V (最高設定プリセット、RTX:ON)、Control(高設定プリセット、RTX:High)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット、RTX:Ultra)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット、RTX:Max)の4種類です。
上で検証した一般的なゲーミングシーンにおけるRTX 2070 SUPERに対するRTX 3070のパフォーマンスゲインは30%程度でしたが、レイトレーシング表現を有効にすると改良されたレイトレーシングコアのおかげもあって平均で50%程度、ベストケースでは60%に引き上がります。
一方で、レイトレーシング表現に使用される専用コアRT CoreはRTX 3070では第2世代にアップグレードされているので、通常のPCゲーミングで同等の性能を発揮するRTX 2080 Tiと比較した場合、レイトレーシング表現有効下では10%程度上回るのでは?と期待していたのですが良い結果は得られませんでした。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_RayTracing_1
なおControlについてはRTX 3070とRTX 2070 SUPERではテクスチャが正常に貼られない現象が発生しており(RTX 2080 Tiは正常)、4K解像度においてはDLSS併用が必須というのが実状です。
Control_DX12_2020_10_30_01_30_38_938

続いて上で検証したレイトレーシング対応の4タイトルについて、レイトレーシング表現とDLSS(2.0)を併用した時の性能をチェックします。
解像度は4K(3840×2160)とし、当然ですがDLSS以外のグラフィック設定(DLSS有効で排他になるものを除く)は上の検証と共通です。
DLSSの設定はDLSS2.0に対応していてQuality、Balanced、Performanceの3つのプリセットを選択できる場合、4K出力時のオリジナルのレンダー解像度が2560×1440になるQuality設定を選択しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_RayTracing_2_&DLSS
レイトレーシングコアとテンサーコアが改良されたGeForce RTX 3070でもDLSSを併用したレイトレーシング表現で最高画質設定のまま4K解像度/60FPSをキープするのは流石に難しいですが、最高画質設定で50FPS程度は出ているので画質設定を多少下げれば60FPSも狙えそうです。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_Perfsum_RayTracing&DLSS
ちなみにRTX 3070は解像度をWQHDに下げるとネイティブでもレイトレーシング表現で60FPSに近いパフォーマンスを発揮できます。
DLSSを併用すればレイトレーシング表現を有効にしてもGeForce RTX 3070は80FPS程度をキープすることが可能です。(BFVはWQHD解像度でのDLSSに非対応)
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_Perfsum_RTX&DLSS_W

さらにレイトレーシング表現には非対応なゲームについても、DLSSを使用することでどれくらい性能を向上させることができるのかチェックしてみます。
解像度は4K(3840×2160)とし、検証するゲームは、Anthem、DEATH STRANDING、Final Fantasy XV、Marvel's Avengers、MONSTER HUNTER: WORLDの5種類です。DLSS以外のグラフィック設定は上の検証と共通です。
DLSSの設定はDLSS2.0に対応していてQuality、Balanced、Performanceの3つのプリセットを選択できる場合、4K出力時のオリジナルのレンダー解像度が2560×1440になるQuality設定を選択しています。
RTX 3070ではテンサーコアも第3世代にアップグレードされているので、ネイティブレンダー解像度がWQHD以下に下がり、テンサーコアによる超解像処理が加わる4K DLSSならRTX 2080 Ti越えになるのでは?と思ったのですが、こちらの結果もやはり芳しくはありません。むしろDLSSを使用することで相対的な差が広がる傾向が読み取れます。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_DLSS_ant
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_DLSS_deathST
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_DLSS_ff15
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_DLSS_marvel
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_game_DLSS_mhw


レイトレーシング表現の対応・非対応を含めた9タイトルについて、DLSSによるGeForce RTX 3070の性能向上比率をまとめると次のグラフのようになります。
Battlefield VやControlのように最適化が優れたタイトルでは60~80%というマルチGPUクラスの性能向上が期待できます。その他のタイトルについても平均的に30~40%前後の性能向上が期待できるので、同世代で1~2ランク上のGPUと同等の性能を発揮します。性能向上に加えてTAAなど一般的なアンチエイリアスよりも高画質になるので、DLSSの普及と最適化には期待したいところです。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_Perfsum_DLSS
テンサーコアによる超解像技術DLSSについては上のようにGPUクラスやコストを超越した性能向上が得られるので今後に期待する機能なのですが、ネガティブな面を挙げておくと、DLSS有効時とDLSS無効時について、RTX 3070とRTX 2070 SUPERで比較した性能向上比率を見ての通り、オリジナルのレンダー解像度がフルHDやWQHDに下がるのでGPU別のゲインは下がる傾向があります。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_Perfsum_DLSS_vs-RTX2070S



ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの温度・消費電力・ファンノイズ

ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。

「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_TimeSpy Stress Test
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeのテスト終盤におけるGPU温度は最大66度と低い反面、ファン回転数は最大1800RPM程度とやや高めです。(2つのファンが個別制御ですが回転数やデューティ比がほぼ一致しているので左側100mmファンの数値を載せています)
GPU温度が70~75度の間に収まってファン速度が1500RPM未満くらいのファン速度チューニングだと静音性が高いのですが、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeは冷却性能を重視したチューニングになっているようです。
ちなみにGPUが異なるので厳密な意味で比較にはならないのですが、前世代同クラスRTX 2070 SUPERのZOTAC製ショート基板モデルと比べてみると、GPU温度は10度以上低く、ファン回転数も300RPM抑えられており、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeに採用されているGPUクーラーの性能の高さが伝わるのではないかと思います。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_temp
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、GPU温度62度前後が始動閾値、GPU温度48度前後が停止閾値でヒステリシスも採用されています。始動はピタッと切り替わる一方で、グラフには表れていないのですが、停止の閾値前後ではファン回転数が十数秒程度乱れたのは少し気になりました。

GPUコアクロックについては「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」の仕様値ではブーストクロック1725MHzとなっていましたが、負荷テスト中の実動平均は1870MHzとなりました。
参考にRTX20シリーズと上位モデルRTX 3080も併記していますが、RTX30シリーズ上位モデルではコアクロックの変動幅が大きめで、TGP内に収まるように細かく調整している様子でしたが、RTX 3070は変動幅が比較的小さくなっています。コアの規模と動作クロックに対してパワーリミットに余裕があるようです。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_clock

また実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへ「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」を組み込み、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせてGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認してみました。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge review_05595_DxO
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして2基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
GPU-CaseIn-Test
PCケースに入れた状態で長時間負荷をかけても「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のGPUの最大温度は70度以下に収まりました。一方でファン回転数は2000RPM程度に達し、ベンチ板上での測定よりも200RPM程度ですが上昇しています。ファンの動作音ははっきりと分かりますが、PCケースに入っているので煩く感じることはまずない程度のファンノイズだと思います。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_stress
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のGPUクーラーは内排気ファンということもありPCケースの吸排気を最適化しないと冷却効率が下がるので、フロントx2/リアx1で140mmファンを設置して1000RPMで回していますが、さすがに200Wを超えるTGPなので、ベンチ板での比較的に理想な環境のままとはいきませんでした。実際にPCケースへ組み込むユーザーはPCケースの吸排気にも注意してみてください。

「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」はファン制御のチューニングが冷却性能重視なので、ベンチ板測定同様にPCケースに組み込んだ状態でもGPU温度が比較的に低い値に収まっています。
そこで、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のファン速度を1500RPMに固定した状態で上の1時間ストレステストと連続して10分程度負荷を掛けましたがGPU温度が75度以下に収まりました。(使い慣れているのでMSI AfterBunrerを使用していますが、純正アプリFireStormからもファン制御は可能です)
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_stress_1500RPM
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のファン制御は冷却性能重視なのでファンが高速に動作しますが、GPUの発熱に対してGPUクーラーの冷却性能が足りないからファンを高速に回しているというわけではないので、PCケースの吸排気など各自の環境に依るところも大きいですが、ファンノイズが気にならない程度までファン速度を手動設定で落とすのもオススメです。

加えて1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
TGP300W超のRTX 3080/3090ではVRM電源回路やPCIE補助電源付近がかなり高温になるモデルも散見されたのですが、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」はホットスポットでも60度程度に収まっているので特に心配する必要はありません。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_FLIR (1)
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_FLIR (2)
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_FLIR (3)


ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
GPU-Noise-Test
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeのファンノイズはベンチ板上で1800RPM(PCケースに組み込んだ状態で2000RPM)というファン回転数の通りノイズレベルも38dB程度の若干高めな数値を示し、実際にPCケースに組み込んでも耳に届く程度のファンノイズを発しています。

ただしこれについては上の検証結果の通り、ファン制御のチューニングが冷却性能重視でファンを高速に動作させていることが原因であり、手動設定で1500RPM程度まで下げても十分な冷却性能は得られるので(環境にも影響されますが)、静音性重視で運用したい人は純正アプリのFireStormや、GPUチューニングでは定番のMSI AfterBurner等からファン制御設定を各自で調整してみるのがオススメです。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_noise

ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
GPU-Power-Test

ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeの消費電力は222W、最大瞬間負荷は323Wでした。ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin EdgeのTDP(パワーターゲット)は220Wに設定されており、概ね仕様値通りの消費電力になっていると思います。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」がグラフィック性能で30%以上も上回るRTX 2070 SUPERとはほぼ同等の消費電力、一方、同等のグラフィック性能を発揮するRTX 2080 Tiと比較して30~40W、約15%程度も低消費電力になっており、Ampereアーキテクチャの省電力性能の高さを再確認できる結果です。
TGPが300W超過するRTX 3080など上位モデルと違って、TGP220Wというのは従来のミドルハイクラスからハイエンドの中間くらい数値なので、既存環境において電源や冷却を気にせずにアップグレードできるところもRTX 3070の魅力だと思います。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_power



ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge レビューまとめ

最後に「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge(型番:ZT-A30700E-10P)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • フルHD/240HzからWQHD/144Hz+、さらに4K/60FPSまで幅広いPCゲーミングにマッチ
  • RTX 2070を実ゲームで40%以上も上回るグラフィック性能
  • 前世代最上位モデルRTX 2080 Tiより低消費電力で同等のグラフィック性能
  • RTX 2080 Tiとほぼ同性能ながら希望小売価格は半分の499ドルから
  • 全長232mmショート基板かつ2スロットに収まるコンパクトサイズ
  • TGP220WのRTX 3070をしっかりと冷せる高品質なGPUクーラー
  • 税込み7万円程と国内展開されているRTX 3070の中で最安値クラス(20年10月末現在)
悪いところor注意点
  • PCIEブラケットよりも30mm背が高いのでPCケースとの干渉に注意
  • ファン制御は冷却性能重視なので、ファン速度が高め(ファンノイズが大きめ)

GeForce RTX 3070は、前世代同クラスとGeForce RTX 2070と比較して平均して40%以上、ベストケースでは50%以上の性能を発揮、さらに前世代最上位GeForce RTX 2080 Tiと比較しても15%近く低い消費電力で同等のグラフィック性能を実現しており、前世代から圧倒的な飛躍を遂げています。
次世代スタンダードなWQHD/144Hz+、4K/60FPSのラグジュアリーな超高画質、フルHD/240FPSのスーパーハイフレームレートなど幅広いPCゲーマー層にマッチし、499ドルからという手ごろな価格も相まって新定番なミドルハイクラスGPUです。

ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge_pefsum
RTX 3070は2020年現在、手ごろな価格で普及しつつあるWQHD/144Hz+のIPS液晶ゲーミングモニタと組み合わせて高画質・ハイフレームレートなPCゲーミング入門に最適なグラフィックボードです。
WQHD/144HzのIPS液晶ゲーミングモニタは色々と販売されていますが、リモコン操作&USB Type-C対応でマルチメディアに最適な「BenQ EX2780Q」、ELMB Syncやスナイパーなど独自のゲーミング機能が豊富な「ASUS TUF Gaming VG27AQ」、同スペック製品の中でも特に高発色・高応答速度な「LG 27GL850-B」は当サイトでもレビューを公開していてオススメなモデルです。
WQHD解像度/144Hz+ゲーミングモニタのレビュー記事一覧へ
WQHD_144Hz_IPS

その他にもバトルロイヤル系ゲームに最適な240Hzオーバーの超高速ゲーミングモニタと組み合わせてガチで勝利を狙うゲーマーにもフルHDで高FPSを稼げるRTX 3070はオススメです。
240Hz+の超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタのレビュー記事一覧へ
240Hz+_GamingMonitor


「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」については全長232mmのショート基板かつ3スロット占有ではなく2スロットにピッタリ収まる薄型となっており、RTX 3070搭載グラフィックボードの中で最小サイズなところが最大の魅力です。
メーカー製PCではPCケース内クリアランスの関係で全長250mm以上のグラフィックボードを搭載できない場合も少なくありませんが、そういった環境でグラフィックボードをアップグレードしたいユーザーに最適な製品です。また奥行きの小さいMini-ITX対応コンパクトPCケースで自作PCを組むユーザーなどにももちろんオススメです。

加えて「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」は2020年10月末現在、税込み7万円とRTX 3070グラフィックボードの中で最安値クラスの製品なので、既存PCをアップグレードする時にコンパクトサイズゆえの互換性の高さだけでなく、価格面でも強い候補だと思います。

この種のコンパクトモデルはトレードオフで静音性が低くなりがちなのですが、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」に関しては銅製ベースプレートに5本の銅製ヒートパイプを組み合わせたGPUクーラーが搭載されており、小型ながらTGP220Wの発熱をしっかりと冷やしきる性能を備えています。
ファンノイズが大きい点についても検証結果の通り、ファン制御チューニングが冷却性能重視であることが原因なので、静音性を重視して運用したいユーザーはチューニングソフトから手動設定するのがオススメです。


以上、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」のレビューでした。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge



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