「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6)」を遅ればせながら全ミッションコンプしました。3Dアクションは文句なしに神作でしたが、AC6のシナリオについての感想とか世界観の考察とか。
「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6)」を9月頭頃からプレイし始めて、遅ればせながら全ミッションコンプしました。3Dアクションは文句なしに神作でしたが、今回のレビューはAC6のシナリオについての感想とか世界観の考察とか。
【注:当レビューはAC6の全ミッションコンプまでのネタバレを含みます】
以下、長々と書きますが、
Q: 君は背景を手に入れたか?
A: 選べるか。
が個人的な回答、というのが言いたいだけのレビュー。
AC6はグラフィックも最新水準だし、ロボットの3Dアクションについては文句なしに最高でした。
ちなみにSteamの総プレイ時間は約60時間でした。ガレージメニューで放置していた時間もあるので実際のプレイ時間は50時間を少し超えるくらいだと思います。
1周目の最初のほうはミッションクリア毎にリプレイしてログやパーツを自分で探していてかなり時間がかかっていたのですが、流石に面倒になったので、各ミッションの初回クリアまでは攻略なしという縛りに変更して、リプレイではガッツリ攻略情報に頼りました。マップ機能もないし、ログ・パーツ回収が面倒過ぎる…。
1周目のヘリ、バルテウス、シースパイダー、アイビスで10時間以上は食ってる気がします。(コンプ後に配信のパッチで御三家弱体化が寂しい)
あと苦戦したのは執行部隊殲滅のバトルログ回収でしょうか。1周目かつ他ミッションも進めずにクリアしようと思うと、ログのリング・フレディ、飛行型×2、そしてミッションボスのHC型執行機をチェックポイントなしで一発クリアしないとなので。ただ上記のチャプター最終ボス衆と比較して楽しい難しさではなく、シンプルに面倒でした。
オンライン要素?知らんな。
本編のプロローグと登場勢力
最初にAC6本編のあらすじをおさらいしておきましょう。まずはプロローグから。
AC6の舞台はISB2262 ルビコン3、本編では単純にルビコンと呼ばれる惑星です。
未知のエネルギー資源”コーラル”に目を付けられ、星系企業など惑星外勢力によって植民地的な支配を受けています。なおコーラルは惑星外勢力が新発見したわけではなく、原住民であるルビコニアンによって以前からエネルギー資源として使用されていたようです。
コーラルは石油や天然ガスのようなエネルギー資源としての性質に加えて、人間が直接摂取すると精神に異常をきたす有害物質ですが、ミールワームによる濾過を経ることで、食料にもなり得ます。
ルビコンにおいて当初、コーラルを調査・開発していたルビコン調査技研が、”アイビスの火”と呼ばれる災害によって壊滅して半世紀後、再びコーラルを巡る各勢力の対立が激化し始めました。
レイヴンことプレイヤーがハンドラー・ウォルターの手引きによってルビコンに潜入、その渦中に飛び込んでいく、というのがプロローグの簡単な流れです。
以下、物語の冒頭から登場する勢力の簡単なまとめとなります。
アーキバス:本作において影響の大きい2大星系企業の1つ、所属部隊はヴェスパー
ベイラム:本作において影響の大きい2大星系企業の1つ、所属部隊はレッドガン
ルビコン解放戦線:ルビコン原住民による独立軍
惑星封鎖機構:具体的な記述はないが、おそらく国連のような星間国家による組織
ルビコン調査技研(技研):同上、星系企業か星間国家がルビコンへ最初に送り込んだ開発者集団
独立傭兵:上記の組織に所属せず、契約金で働く傭兵
さらに物語後半では以下の勢力も暗躍していることが発覚します。
オーバーシアー(観測者):主に技研の生き残り。コーラルの致命的な増殖を防ぐべく監視を続けている
オールマインド(傭兵支援システム):その正体はおそらく、コーラル知性体。詳細は後ほど。
【追記】————
当記事ではオールマインドの正体をコーラル知性体と予想していますが、コメントで指摘があったように、AI(人工知能)の可能性も否定はしきれません。
『我々(私)はコーラル知性体/AIです』とオールマインドが明言することはなく、セリフや状況証拠から推測するしかないので。ただ、どちらであっても今回の感想の大筋には影響しませんし、お好きに解釈してください。
無人洋上都市調査のALTミッションにおける「ルビコニアンの言う共生とは コーラルの抑圧と搾取に過ぎない」、コーラル輸送阻止のミッションブリーフィングにおける「なお その際に生じるコーラルの焼失については 我々は必要な犠牲であると考えています」 「母集団から孤立した個体群は もはや切り捨てるしかないのです」というオールマインドの発言、表現からすると、オールマインドはコーラル知性体、しかも母集団に近い存在だと考えました。
第3ルートではオールマインドのロゴが、コーラルのような赤色に変わる演出とかも結構あからさまだと私は感じたものの、コーラルリリースを目指しているから、と言われればそれも否定はできない感じ。
————
コーラル知性体 エアとの交信
本編冒頭、チャプター1ではアーキバスとベイラムが対立しつつもルビコン解放戦線を攻め、ルビコン内部へ侵攻するという三つ巴の戦いが展開されており、どの勢力にも属さず、契約金によって戦場を渡り歩くのが独立傭兵です。
主人公のレイヴンが他の独立傭兵と異なるのは、マネージャー的存在のハンドラー・ウォルターがいて、ウォルターは星系企業とは異なる思惑でコーラルについて調べているらしい、というところ。
チャプター1ではウォルターも語るように、コーラルを巡る各勢力の争い、その中枢に食い込むべく、戦果を立てて名を売るフェーズでした。いくつかのミッションを経て傭兵としての実力を評価されたレイヴンはアーキバス/ヴェスパーを中心とした、ルビコン解放戦線の要塞、通称”壁”を攻略する作戦に参加することになります。
壁越えに参加した独立傭兵は本来、捨て石にされる予定でしたが、アーキバスの予想に反し、レイヴンがジャガーノートを倒し、壁越えに大きく貢献します。
ここでウォルターの目論見通り、レイヴンは”壁越えの傭兵”、突出した個人戦力として各勢力に強く認識されることになります。
そして最初にAC6という物語が大きく動き始めるのは、チャプター1の最終ミッション ウォッチポイント襲撃でした。
コーラルの支脈を監視、またその流量を制御するウォッチポイントという施設の中枢であるセンシングバルブを破壊するというミッションです。
コーラルには鳥や魚に似た群れを成す性質、群知能がある、とのことだったので、コーラル支脈の制御を破壊することで流出したコーラルの動きから主脈の位置を探ることが目的だったのではないか、と予想できます。
結果、レイヴンはウォッチポイントの襲撃に成功しするのですが、センシングバルブを破壊した途端、支脈からのコーラル逆流が発生し(ウォルターの予想に反して激的な逆流だった)、飲み込まれてしまいます。
コーラルの逆流によりレイヴンは致死量のコーラルを浴びるのですが、コーラルの流れに自意識が散逸するその前に謎の声によって覚醒し無事に生還します。謎の声、ルビコニアンを名乗るコーラルに宿る知性体”エア”との交信を果たした瞬間でした。
そしてプロローグのヘリ戦に続く、話題の第二関門、バルテウス戦へ。
ちなみに、ウォッチポイント周辺は広範囲に吹き飛んだはずですが、ウォッチポイント屋上は無事というかバルテウスとの戦場でした。時間差で戦闘後に吹き飛んだのでしょうか?
あと、どうやって屋外に出たのかも謎ですし、コーラルにはワームホール的な溶け込むことで(溶け込んだままだと自意識を失う)、その中を移動できる性質もあるのかな?というのが個人的な予想。
コメントで情報をいただきました。ご指摘ありがとうございます。
レイヴンが潜入したウォッチポイント施設があるのはべリウス北部。ここでもコーラルの逆流が発生しましたが、コーラルによる爆発でクレーターができた場所はべリウス北西部の沿岸地域、ウォッチポイント施設とは離れた場所でした。
またレイヴンの意識が回復すると、オートパイロットを解除する、という旨の音声をCOMが発していることから、屋外に出たのはオートパイロットによるもの。
コーラル主脈、技研の地下都市を発見
ウォルターにとって予想外の展開もあったのですが、コーラル支脈の暴発によって溢れ出たコーラルの動きから、コーラル主脈の位置が海を超えた中央氷原にあるらしい、と判明します。
中央氷原に向かう、つまりチャプター最終ミッションの名前でもある”海越え”を果たすまでがチャプター2となります。第三関門、デスボックリことシースパイダー戦。
チャプター3ではコーラル主脈があるらしい中央氷原が舞台となり、その場所を各勢力が探りながら、チャプター1同様にアーキバス/ベイラム/ルビコン解放戦線の三つ巴の戦いが展開されますが、最初のミッションである観測データ奪取の直後、ついに最大戦力を有する惑星封鎖機構が本格参戦します。
惑星封鎖機構は詳細は不明でも中央氷原にコーラル主脈や技研の遺産が眠っていることを知っていたのか、星系企業の主戦場が中央氷原に移ったことが逆鱗に触れたようです。
アーキバスとベイラムは封鎖機構を相手に協調路線となり、拠点破壊や兵器鹵獲を進めるのですが、それがさらに封鎖機構を激オコさせ、チャプター3のミッション攻略対象 アイスワームが登場します。(ギミックボスなのでバルテウスやシースパイダーと違って倒すのは簡単)
アイスワームが倒された時点で封鎖機構の支配力はほとんどなくなり、一方で2大星系企業については、封鎖機構の兵器を鹵獲したアーキバスが優勢になります。
そしてチャプター4では技研の残した遺跡の調査を進め、防衛装置を掻い潜りながら地下都市へ到達します。アイビスの火によって消えたと思われていた都市は廃墟となりながらも残っており、バスキュラープラントと呼ばれる超巨大なコーラル集積装置も健在(修理可能な程度に)、その中心にはコーラル主脈があり、第四関門のアイビス戦へ突入します。
個人的には1周目に戦ったアイビスが難易度のピークでした。5時間くらいかかった。
レイヴンの選択、分岐するエンディング
第3エンドだけチャプター4終盤から流れが異なるのですが、ともあれ、アイビス戦後にアーキバスに捕まるものの難なく?脱出したレイヴンに、ウォルターやシンダー・カーラがオーバーシアーと呼ばれるアイビスの火を生き残った調査技研の残党であり、コーラルの致命的な増殖を防ぐため暗躍していたことが明かされます。
ウォルターや技研のナガイ教授によると『コーラルは自己増殖し、その速度は密度の影響を受ける』、そして『一定の密度を超えた途端にコーラルは”相変異”を起こす可能性がある』とのこと。
相変異のネガティブな一例はバッタによる蝗害です。バッタの大量発生によって密度が極度に増すと、群れを成して、あらゆる植物を食い尽くしながら移動する飛蝗という現象が発生します。
コーラルの”相変異”の危険性をいち早く察知したナガイ教授は、コーラルを全て焼き払うためにアイビスの火という大災害を起こしたようです。
アイビス戦の舞台で足元に液体状のコーラルが溢れていたように、主脈における自然的な増殖も非常に進んでおり、加えてアーキバスが鹵獲し修復した、バスキュラープラントによるコーラルの集積によってコーラルの”相変異”は目前になっていました。
そこで、シンダー・カーラと共に無人洋上都市ザイレムを掌握し、宇宙戦艦となったザイレムによってバスキュラープラントに集積されたコーラルをもろとも焼き払う、というのがチャプター5 前半の流れであり、本作のキャッチコピーである「火を点けろ、燃え残った全てに」というセリフがウォルターの声で再生されます。
1周目と2周目では、ザイレムを宇宙戦艦として開放した段階でレイヴンことプレイヤーにはエンディングを分岐する2つの選択が提示されます。
・ウォルターの願いに従ってカーラと共にザイレムでコーラルを全て焼き払う → 【レイヴンの火】エンド
・エアの願いに従ってカーラを排除しザイレムを撃墜する → 【ルビコンの開放者】エンド
コーラルはルビコン解放戦線などルビコンの原住民にとってもエネルギー資源であり、バスキュラープラントに集積されたコーラルを焼き払えばルビコンにも災害が及ぶので、レイヴンの火ルートでは星系企業とルビコン解放戦線の全てが敵対することになり、そしてラスボスはコーラルに宿る知性体 エアです。
その後、レイヴンの行方を知る者もおらず、レイヴンの火という大災害の名前だけ残る、というどれだけ良く言ってもバッドエンド寄りのビターエンドではあるものの、ある種の整合性は取れているというか、プレイヤーにとっては一番感情移入がしやすいルートだと思います。なんというか大団円ではないもののハリウッド的展開。
一方でルビコンの開放者ルートはその名前に反して、割とメチャクチャです。
自身を含めたコーラルに宿る知性体の生存のため、ザイレムを撃墜して欲しいというエアの願いを聞き入れるルートなのですが、バスキュラープラントを掌握しザイレムと敵対しているはずのアーキバス(というかヴェスパー2 スネイル)とも敵対しますし、エアがどういった声かけを行ったのか不明なものの、ルビコン解放戦線と共闘することになります。
ラスティと再び肩を並べる展開、「彼らに見せてやろう、灼けた空の向こうには 未来があるとな」というセリフは胸熱ではあるものの、このルートでは後述のコーラルリリースも起こりませんし(おそらく)、コーラルの”相変異”で別の災害が起こる可能性は非常に高いです。またアーキバスも健在なので”解放者”なのに何も開放してなくね?と疑問が残ります。
そもそもザイレムが浮上した後で分岐する(エアがレイヴンを翻意させる)のも意味不明というか、レイヴンの火ルートとは逆にウォルターをラスボスにしたかったという結末先行な都合が透けて見える感じも気に食わないところ。本ルートではザイレムを浮上させず、シンプルにルビコン開放戦線(ついでに存在感の薄いその他の独立傭兵)と協力してアーキバスを排除する、くらいの独自展開でもよかったかなと。ウォルターとの敵対は後述の第3ルートで十分描けたし…。
本ルートはどいつもこいつも大勢が読めていないというか(オーバーシアーが一番マシなのにプレイヤーが敵対)、エアという毒電波に惑わされたレイヴンが土壇場になって戦場を引っ掻き回したというのが実状で、コーラル汚染でみんなお陀仏という未来しか残っていないような。
戦闘後、ウォルターは「お前も友人を見つけたのだな…」と満足気に言い残しますが、その友達、毒電波やで…。こちらはB級映画感。
あと細かい不満点として、ルビコンの開放者ルートは最後にエアから願いを聞き入れてくれた感謝の後に「次はあなたの選択が見たい 全力でサポートします」の言葉があるので第3ルートに直接繋げたいのですが、1周目でレイヴンの火ルートを選ぶと後述のALTミッションにおけるラスティのセリフが聞けないので、同ルートでのみ描かれるラスティとの最終決戦がいまいち燃えません。
ちなみに私は1周目でレイヴンの火ルートでした。
ごめん、よく分からんまま選んでる…。
めっちゃ選択を押しつけてくるやん…
アーマード・コア6という作品は、レイヴン(プレイヤー)に対して異常なまでに結末の選択を押して、というか、もはや主要キャラの口を借りて押し付けてきます。
ウォルターも前半は自身が主導しながら最後は「お前が選べ」と言いますし、カーラも「その選択は笑えない」とかあくまでプレイヤーの選択だと言います。ルビコン解放戦線の実質トップであるミドル・フラットウェルには「ルビコンの灼けた空を超え、まだ見ぬ自由を選べるかもしれん」と謎の期待を背負わされたり、手を変え品を変え。
ルビコンの開放者エンドの後にはエアから「次はあなたの選択が見たい 全力でサポートします」とも。
中でも特に印象的なのはやはり、強敵と書いて親友(とも)と読む的な存在、ヴェスパー4ことラスティでしょう。(補足するとラスティはアーキバス所属部隊ヴェスパーに潜入しているルビコン解放戦線の密偵でした)
チャプター4の話に戻りますが、未踏領域探査 ALTミッションの戦闘後、「背景を手に入れろ、決着はその時だ…!」のセリフに痺れた諸兄は多いと思います。
なお2周目以降のALTミッションのセリフなので、1周目でレイヴンの火ルートを選ぶと、各勢力の状況把握が不十分なのもあって、ラスティとの決着がいまいち盛り上がらなかったり…。
1周目の通常ミッションでは、「死ぬことも…殺すことも 恐れていないようだ」 「君の強さと そして危うさを…!」 「やるな…だが問題はその強さじゃない」 「幾度か期待を並べたが 私には いまだ見えずにいる」 「戦友 君に引き金を引かせるものは何だ?」と戦闘中に語り、機体が半壊しても「理由なき強さほど 危ういものはないぞ…!」と言葉を残して去っていきます。
ここまで流れを説明してきた通り、各勢力の思惑が入り乱れ複雑で、1周目のプレイでは流れに翻弄され、いまいちよく分からんけど、とりあえずミッションを進めているというプレイヤーは少なくないはずなので、非常にシンクロするセリフでした。
第3ルートへ、オールマインドの暗躍が発覚
2周目を終えた段階でいくつかALTミッションも開放され、1周目にはなかったルビコン解放戦線寄りな展開も経験できたものの、チャプター1のミッションであるBAWS第2工廠調査に現れたステルス機体の素性など、まだ謎が残されていました。
レイヴンの火は分かり易くバッドエンドですし、ルビコンの開放者エンドの後にはエアから「次はあなたの選択が見たい 全力でサポートします」という前向きな言葉もあったので、きっと”異種知性との共生”をテーマにした新展開が見られるんだろうなと期待が膨らみます。
上の章で言及したように異様に押し付けてくる”選択”という言葉も、カタルシスを得るための踏み台もしくはハードルということなら悪くありません。
一方で、2周目からプレイできる捕虜救出のミッションではルビコン解放戦線の兵士が「コーラルよ ルビコンと共にあれ」と声を上げて鼓舞するのに対し、救出された帥父ことサム・ドルマヤンはそのフレーズが”警句”であると発言していて、若干雲行きは怪しく…。 (聞いた瞬間にギョッとして、ちっちゃくて読みにくい”警句”という字幕を二度見した人も多いのでは)
ともあれ、3週目からはストライダーこと武装採掘艦の護衛を皮切りに、さらに新ミッションやALTミッションが追加されます。
ルビコン解放戦線寄りに進むのかと思いきや、1/2周目では調査に向かったBAWS第2工廠で今度は調査を妨害する依頼が。傭兵支援システム オールマインドが何やら暗躍しているらしく、ミッションを進めていくと、オールマインドはエアのようなコーラル知性体であることが発覚し、人間とコーラル知性体が共生する手段として”コーラルリリース”というキーワードが出てきます。
この辺りまでは若干雲行きが怪しいなと感じつつも”異種知性との共生”を目指す前向きなお話を期待するのですが、チャプター3 無人洋上都市調査のALTミッションによって儚く粉砕されます。
ルビコン解放戦線の帥父サム・ドルマヤンが乱入し、戦闘中に「コーラルよ ルビコンと共にあれ」のフレーズは警句であり、「コーラルよ ルビコンの内にあれ」「その賽は 投げるべからず」が続くと明かされます。
ルビコン解放戦線にとって「コーラルよ ルビコンと共にあれ」は都合の良いプロパガンダに過ぎず、戦闘後、オールマインドは「ルビコニアンの言う共生とは コーラルの抑圧と搾取に過ぎない」と発言します。
エアはコーラル知性体でありながら自身をルビコニアンと称していましたが、実際には、ルビコンの原住民(人間)にとってもまた、コーラルは搾取の対象であるとに気付いてしまうのでした。
一方でコーラル知性体がシンプルに善性なのかというと、それにも疑問が残りました。
詳細が不明な”コーラルリリース”についてサム・ドルマヤンは「…コーラルを解き放ってはならん」、「そこを超えれば、人間世界の悲惨が待つ」と言及しており、非常に不穏です。
さらにチャプター4の新ミッションでは、ルビコン解放戦線からオールマインドへ鞍替えし、最終的には裏切ったヴェスパー3 オキーフも「リリースに夢を見るのも… 止めておけ」と呟きます。
(撃破後に、先にいくぞラスティと言っていたので、同じくルビコン解放戦線の密偵と予想しましたが、単にラスティとは仲が良かっただけで、元の所属はアーキバスかも)
以上のように新ミッションで若干展開の違いを見せて、新情報を明かしつつ、基本的には1/2周目と同じように進み、大きく分岐するのはチャプター4の最終ミッションである集積コーラル到達です。
1/2周目ではアイビス撃破後にヴェスパー2 スネイルの奇襲でアーキバスに捕獲されてしまうのですが、3つ目のルートに分岐していると、オールマインドから忠告があり、アイビス戦ではなく、潜伏しているスネイルとの戦闘に変わります。オールマインドはレイヴンとエアを自身の計画、その中枢へ取り込みにかかるわけです。
オールマインドはコーラルリリースのトリガーとして必須となる2人を協力的な形で確保することに成功し、オーバーシアーから奪い取ったザイレムへ転送、保護します。
いくつかミッションを経て、コーラルリリースの準備が整うのですが、オールマインドは「お前ら用済み」と定番のラスボス発言をして最終決戦へ。
ここで振り返ってみると、オールマインドが計画するコーラルリリースには3つのフェーズがありました。(本編中では3条件となっており、順番が前後しますが)
『1. ウォッチポイントにおける強化人間とコーラル知性体の交信(交信した2名の確保)』
『2.バスキュラープラントによる宇宙(真空環境)へのコーラル集積』
『3.交信した2名がコーラルリリースのトリガーを引く』
オールマインドは、最終決戦においてレイヴンとエアを「計画の異物」「貴方の役目は終わり」と言いながら、「リリースのトリガーとして取り込む」とも発言しているので、オールマインドとイグアスではコーラルリリースのトリガーを引くことはできず、あくまで2人を支配下に置く必要はあったようです。
作中で明言されていませんが、オールマインド = セリアであり、サム・ドルマヤンがコーラルリリースを拒んだため、オールマインド本人が直接的にトリガーを引くことはできず、長らく暗躍し続けたのではないかと。
どちらにせよ早期にトリガーを確保できなかった時点で、大筋でオールマインドのシナリオは破綻が見えている辺り、暗躍する割に無能だな、という感想。
ところで、なんか満を持して感を出しつつ、ラスボス戦にG5 イグアスも登場しますが、お前、ラスティさん(狼マーク)に比べて空気薄いし、キャンキャン煩いだけのわんこだったぞ。
そして、コーラルリリースへ
最終決戦でオールマインドとその支配下に置かれたイグアス(バトル終盤では暴発しますが)を倒し、レイヴンとエアの主導によってコーラルリリースのトリガーが引かれることになります。
第3エンドの名は「賽は投げられた」でした。
コーラルリリースによって見知らぬ惑星へ吹き飛ばされたレイヴンは、エアの声で目を覚まします。
水辺にスクラップが転がっているのかと思いきや、自機のオレンジ色とは少し違う、なんかデスボックリで見た、不気味な赤い光を帯びた機体が続々と起き上がり…。
そしてエアが「私たちはもう… いつでも どこにでもいる」と語りかけてきます。 ホラーかよ。
「レイヴン」「ともに新たな時代を…」
「メインシステム 戦闘モード起動」。 以上でAC6の物語は幕切れとなるわけです。
君は背景を手に入れたか?
さて3つのエンディングを含む、AC6のあらすじや設定をおさらいしましたが、ここからが本題というか、AC6という物語に対する私の感想です。
まず最初に言及しておきたいのはAC6のシナリオ評価を厳しくする要因の1つ、登場キャラへの感情移入の難しさです。
キャラクターとの交流と呼べるものはミッションやブリーフィングで少しの会話しかなく、しかも主人公レイヴンは一声も発しないので一方的な発言というか、キャラの声を借りた状況説明という印象が強く、キャラに思い入れを持つとか、感情移入するとかが非常に困難です。個人的に唯一、ラスティは敵でも味方でも胸熱でしたが、他は敵になろうが、ふーん敵対するんだ、くらいの感じ。
また本作において登場キャラにはACとエンブレム、そしてキャラボイスしか個人としてのアイコンがない、人間としての外見が与えられていないことも一因だと思います。
レイヴンの火やルビコンの開放者のルートではウォルターやエアがラスボスになりますが、ウォルターに父性的なものを感じたり(前日談のストーリートレーラーを参考にするなら恩義?)、エアに相棒や恋人のような愛着を感じたりして、胸が痛むかというと、交流の密度が全く足りないというのが正直なところ。
エアにしても第3ルート最後の最後でACに乗る前に、1/2周目でもちょっと小さめのボットとかでもいいのでFF16のワンコ(トルガル)みたいにお助けキャラになってくれたら、敵対する方のラスボス戦も盛り上がったと思います。
よく分からんまま情勢に翻弄されつつクリアした1周目、謎を残しながらも各勢力の思惑や相関関係が把握できてくる2周目を経て、どちらにせよスッキリしない2つのバッドエンドですが、なるほどここから”異種知性との共生”をテーマにして胸が熱くなり、心温まる物語を展開するのね、と期待した人もいたと思う、というか私は期待しました。
しかし、エアはオールマインドが用意した傭兵支援システム アリーナの最終戦、レイヴンと”エア自身”による戦いの後に、オールマインドの、そして自身の人間への理解として、「人は人と戦う形をしている。闘争が人間の本質であり、生命進化の鍵」と発言しています。 …え?
第3ルートでは声音もどんどん硬くなっていくし、完全に闇落ちの気配です。
コーラルリリースによって何が起きたのか、エアの考える”共生”や新時代とは何なのか、その結果は非常に断片的にしか描かれていませんが、エアやオールマインドの思想、最後の映像から、『コーラル知性体が人型兵器アーマード・コアに宿り、尽きずどこにでもいる戦友として人間と闘争という名の進化の階段を上っていく』という修羅道であることは想像に難くありません。
エアに感情移入して異種知性との共生のために戦うという背景を手に入れる、というのが主題なのに、キャラクターに感情移入し難いゲーム構造のせいで、殺すのが上手いだけのプレイヤーを量産してしまう罪深いゲームかと思いきや、そもそも救いがない、ある種の鬱ゲーだったとは…。
抗え、最後まで?
オールマインドにとってのコーラルリリース、人間との共生とはコーラル知性体による人間の”支配”や”寄生”に近い形と予想されるので、時に”戦友(とも)”として、そして時には”戦友(てき)”として『人間と戦う』というエアのそれとは相いれなかったのでしょう。
その意味では比較すればエアのほうがマシと言えばマシですが…、闘争に傾倒し過ぎなのは同じ。
コーラルリリースについてサム・ドルマヤンが「そこを超えれば、人間世界の悲惨が待つ」とか、ヴェスパー3 オキーフが「リリースに夢を見るのも… 止めておけ」と言うのも納得です。
サム・ドルマヤンがセリアに「臆病な私を許してくれ」と謝っていますが、あんたが正解だよ…。
コーラルリリースの実態を把握していたのかは不明ですが(カーラは「その選択は本当に笑えない」と言っていたので、チャプター5の時点では何かしら掴んでいたような)、ナガイ教授やウォルターがコーラルの”相変異”を危険視し、全てのコーラルを焼き払おうとしたのも、人間の道徳観・倫理観を重視するなら結果的に正解だったと思います。
AC6では確かに兵器による戦争とか紛争が蔓延している世界が描かれていますが、決して現代日本人が共有できるような道徳観とか倫理観が枯れ果てているわけではありません。
「ルビコンには… うんざりすることが多すぎる」 「味気ないレーションを食い」 「泥水のようなフィーカ(コーヒー)をすする」 「うんざりするが… それこそが人間だ」というヴェスパー3 オキーフの言葉は思い返すと非常に胸に染みます。
一方でそれに対するエアの答えは、「隔世的に見えて 彼は『今』を必要としている」、「私たちの目指すものとは相容れません」というものでした。声質も交信初期の柔らかいものではなく、どこか硬く冷たいものになっていて、ゾッとします。
私が夢に見た”異種知性との共生”は、そういう良く言っても殺し愛的なものじゃないねん…。
ウォルターも「一度生まれたものを消し去るのは容易ではない」と言っていましたし、レイヴンの火エンドでもコーラルが本当に全て燃え去ったのかは不明ですし、ルビコンの開放者エンドも集積コーラルは残ったままなので、コーラルリリースが発生する可能性はいずれも残ります。
サム・ドルマヤンはコーラルをエネルギー資源として、また人間の食糧として消費することをセリアに詫びる一方で、「尽きることはない」という言葉に甘えていました。ルビコン調査技研はコーラルを利用しつつも、危険性を認識するやアイビスの火を起こしました。
コーラルが知性体であることを認識しつつも、消費するため黙殺し続けたり、危険視して問答無用で排除しようとした人類が辿る道としては当然の帰結、因果応報という解釈もあるのかもしれません。
そういう意味では賽は投げられたエンドにおけるエアとレイヴンの選択は穏当ですが、どちらにせよ異種知性であるエアに人類の闘争という側面だけを学習させたのは大きな間違いでした。
ルビコンの開放者エンドの後、エアは「次はあなたの選択が見たい 全力でサポートします」と発言し、あなたの選択とは第3ルートのことを指していると考えられるのですが、一言も発しないレイヴンがプレイヤーの写し身ではなく、他のキャラクター同様に自我のある存在とするなら、何を思ってコーラルリリースを選んだのか。私には全く理解できません。
(余談ですが、アーカイブによるとナガイ教授の第一助手の子供は”鉄のように寡黙”だったそうなので、この子がレイヴンな気がする)
ラスティの「背景を手に入れろ、決着はその時だ…!」を始めとして、本作はレイヴンなのかプレイヤー自身なのか選択を迫る発言、展開が多いのですが、現代人でまともな倫理観があったら賽は投げられたエンドを積極的に選ぶ人間はいないだろ、というのが正直な感想です。
私も実態を理解していたら、というか賽は投げられたルートのチャプター5終盤であっても理解した瞬間に回れ右して、オーバーシアーに付きます。
エアにしろオールマインドにしろ、人類を物理的に捕食しないだけで完全に敵対的なエイリアン、道徳観とか倫理観を汚染する毒電波な異種知性体やん…。
繰り返しますが、2周目をクリア時点で”異種知性との共生”をテーマにして胸が熱くなり、心温まる物語を期待していました。ご都合主義でもいいのでハッピーエンドになることを望んでいたのに…。
賽は投げられたエンドは現代人の価値観的に明らかにノーサンキューだし、ルビコンの開放者エンドはエアの頼みを聞いただけの考えなしだし、百歩譲って許容できるというか、覚悟の上で選択できるのはレイヴンの火エンドだけど、検討の余地もなくバッドエンドです。
Q: 君は背景を手に入れたか?
A: 異種知性との共生!!
と力強く答えられたら、3Dアクションだけでなく、シナリオも神作だったのになあ…。
個人的に好きになれない作風でした。
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「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6)」を遅ればせながら全ミッションコンプしたので、3Dアクションではなく、シナリオについての感想。https://t.co/5oC2R2ZaPC pic.twitter.com/bQZIeAG3W9
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) September 10, 2023
【PS】————
アーマード・コア6のシナリオというか3つのエンディングでモヤっとした人は、18歳以上の成人向けゲームですが、バルドスカイ(Zero)シリーズがオススメ。未成年の読者の方は1~3年待ってね。
製造メーカー 戯画が廃業しちゃったので、Fanza等のアダルトゲームDL販売サイトでも購入できなくなっていますが、3万円ほどとお高いものの、BALDR MASTERPIECE CHRONICLEというシリーズ総集セットが今はまだAmazon等で購入できます。
バルドスカイ Dive1/2は王道的な展開ですし、バルドスカイ Zero/2はアーマード・コア6のエンディングでモヤッとした人は爽快感を感じられるハッピーエンドだと思います。
フロムソフトウェアさんが、バルドシリーズの権利を取得して、アーマード・コア6の3Dアクションシステムで完全リメイクしてくれたら泣いて喜ぶんだけど…。
補足:レイヴンは背景を手に入れたか?
本作のストーリーを評価する上で、本文でも少し触れたものの、1つだけ排除していた”可能性”が残っているので、それについて補足を。(すでに1万文字超えていて長い、記事の内容がブレる、どちらにせよ気に入らなかった等いくつか理由があって、面倒だったし当初は割愛していました。ボツ原稿の再利用)
最初にあってもなくても(合っていても外れていても)あまり影響はない、レイヴンについての情報と考察を2点。
まず1つ目は、レイヴン(C4-621)の出自について。
情報ログによると、アイビスの火を起こしたナガイ教授には第1助手と第2助手がいました。
第1助手はコーラルによる人体強化などマッドな方向に傾倒していたようなので、おそらくウォルター曰く、悪い研究者、一方でアイビスの火を起こしたナガイ教授を指して、良い研究者と言っていたのだと思います。第2助手は情報ログの絵から推察するにシンダー・カーラのようです。
また第1助手には子供(鉄のように寡黙)がいて、アイビスの火を起こす直前にナガイ教授が木星にいる友人の元へ逃がした、との記述もありました。
ウォルターが度々、”友人”と述べるので、ナガイ教授の木星の友人がウォルターで、第1助手の子供はレイヴンだったのではないか、というのが個人的な予想です。ルビコンの救済者ルートでレイヴンに対して「お前も友人を見つけたのだな」と言っているので、単にオーバーシアーを指しているのではなく、思い入れのある誰かが存在するものと思います。
ただ、子供=ウォルター、C4-621は有象無象の1人だとしても特にストーリーへの影響はないので、どちらでもいいと言えば、どちらでもいい考察。
もう1つ、作品外の情報になるのですが、公式の前日談的なストーリートレーラーにおいて、「(傭兵としての)機能以外は死んでいる」と評価されているレイヴンに対して、ウォルターは「お前に意味を与えてやる」と発言しています。
前者は作中でレイヴンが一言も発しない理由かもしれませんが、やはりどうでもいい話。個人的に重要だと思うのは後者。
作中での言及は全くありませんが、レイヴンに”義理堅い”のような気質があったとすれば、たとえそれが殺すことでしかなかったとしても存在価値(意味)を与えらえたことでウォルターに恩義を抱いていた可能性はあります。あとウォッチポイント襲撃のミッションにおいてコーラルの逆流で死にかけた時にエアの声で覚醒でき、命を助けられたというのもあるので、この辺りが1/2周目のルート分岐、ウォルターもしくはエアの願いを聞き入れたことに影響したと考えられるかも。
さて、ここからが本題です。
私は、一言も発しない主人公 レイヴンを『=プレイヤー』とするためのストーリーギミックである、と解釈しました。
その上で主人公に結末の選択を押し付けるシナリオ構造や救いのない展開に対して、「選べるか」という否定が回答であり、作風が気に入らないと評価したわけです。
ただレイヴン(C4-621)がプレイヤーの写し身ではなく、他のキャラクター同様に自我のある存在とするなら、理解はできないものの、1つだけ思い当たる可能性もあります。(レイヴンの発言や内面描写がないので勝手な妄想に近い内容です。それも本文に反映しなかった理由)
レイヴンの背景とは『友人であるエアを開放すること』です。
エゴイスティックな表現に置き換えるなら、『殺すこと以外で自分の存在意義を見出した』とも言えるでしょう。
レイヴンとエアの交流はどう考えても短いですが、そういうエゴな欲求が根源にあるなら、エアへの思い入れは必須ではありませんし(読み手としてはあったほうが盛り上がる要素ですが)、またコーラルリリースの直後にエアが再び、レイヴンへ感謝を述べるのも納得できます。
一緒にコーラルリリースを達成したので変ではないのですが、そうでないと個人的にはあのタイミングでの感謝には個人的に違和感がありました。
ひとたびレイヴンが戦場に出れば、ウォルターが繰り返すように「また死人が増える」、それはウォルターの願いを聞き入れたレイヴンの火ルートでも、エアの願いを聞き入れたルビコンの開放者ルートでも同じでした。結局、戦場で殺すことしか能のない傭兵らしく、レイヴンに与えられる意味は殺すことだけです。別に殺すことを厭う感傷があったとは思いませんが。
「抑制され搾取されるコーラル、知生体であることを黙殺されるという現状からエアを解放し、新たな生命体としての形を与える」という目的に自身の存在意義を賭ける可能性はあると思いました。根源にあるのは存在意義の獲得というエゴなので、たとえ人間世界の悲惨を招くとしても。(描写が足りていればエアの救済と天秤にかけたとも)
そしてそれは前出の2ルートにおいて他者の願いを聞き入れた、受動的な選択を行ったのとは大きく異なり、レイヴンがより自発的に選択するに値する背景だと思います。
これをレイヴンが第3ルートで選んだ背景と考えるメリット?が1つ、イグアスの最後の言葉 「俺は… てめえが妬ましかった」「イラつくぜ… 野良犬に… 憧れたんだ…」に対して一定の理解が可能になることです。
正直、考察を進めるまでは『憧れた、何に?』と疑問でした。流石に『敵を好き放題に殺し回れる強さ』とかそういう脳筋思考を最後の最後でぶち込んでくるわけないと思いつつ、謎のまま残っていました。
敵を殺すことが存在意義であるはずの兵士が、それ以外を見出して、イレギュラーな個人の強さでもって達成してみせる自由さ、それに憧れた、妬んで突っかかって来た、とするなら理解できるなと。
あと、第3ルート最終ミッションにおいてイグアスは1つ興味深い、めちゃくちゃメタな発言をしています。
「てめぇには何度もやられたなあ…」「俺ん中にもいるぜ… てめえにやられた残りカスが…」「教えてくれよ」「どれだけ殺すつもりだ…?」
コーラルとの交信の影響なのか、パラレルワールド的な視点をイグアスが認識していることが伺えます。
レイヴンがイグアス同様に、ある種のメタな視点を持ち、殺すこと以外に意味を与えられなかったパラレルな自分を認識しているなら、第3ルートを選択する動機の補強にもなるように思います。同時に、この補強がないとレイヴンの内面予想としては弱いという本音も。
ただ、イグアスはオールマインドに取り込まれている、もしくはインテグレーション・プログラム?の影響による発言の可能性もあり、パラレル視点説については個人的にも半信半疑です。(マニュアルセーブ機能ないからインテグレーション・プログラムとか細かい設定の再確認が困難…)
一方で非パラレルだと”俺ん中にも”の表現がいちまいしっくりこない。
個人的にはエゴな救済を描くストーリーは嫌いではありません。ニーアレプリカントとかも好きですし。
なのでレイヴンが殺すこと以外の存在意義を見出す、というストーリー展開は大局的な救いはないものの悪いとは思いません。本作最大の弱者であるコーラル知生体を救うというヒロイズム、一種の世界系な物語とも考えられます。
ただ、それをやるなら、一言も発しないとか無駄な設定は消して(仮に意味があって残すにしても、積極的な選択ができるとするなら、発声機能がないとしても内面描写や筆談等の意思疎通はできるはず)、レイヴンの内面やバックボーンを掘り下げる、結果として切り捨てることになるウォルター等との絡みを十分に描く、といった下準備がないと物語として面白くならないしカタルシスも得られない、というのが正直な感想です。
結局、レイヴンは作中に置いて一言も発さない以上、この考察も一例に過ぎないというか、どこまでいっても想像の域を出ない、残念言い方をすれば読み手の妄想、穿ち過ぎと切り捨てられても仕方のない内容です。
一方で主人公=プレイヤーのギミックと考えれば、プレイヤーの決断に誤解の余地はないものの、少なくとも現代日本人の価値観(倫理観や道徳観)で、賽を投げる奴はいないだろ、となりギミックとして破綻しているというのが本文です。
混ぜると感想の方向性がブレて、上手くまとめる自信もなかったので前者はボツ原稿となり、ここで再利用となりました。
フロムソフトウェア作品やアーマード・コアにハッピーエンドを期待すんな、との声もあります。
もちろん個人的な好みはハッピーエンドのほうですが、本作に関して言えば、ハッピーエンドじゃないからダメ、と言ったつもりはなく、バッドエンド・ビターエンドな物語としても微妙(面白くなる素養はあったのにもったいない)という感想を明確にするための補足でした。
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