Nextorage G-Series ME 1TB and 2TB


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PCIE4.0x4接続により連続読み出し7GB/s前後に達する、M.2 2230サイズでASUS ROG AllyやSteam DeckのSSD換装にも使用可能なNVMe M.2 SSD「Nextorage Gシリーズ ME 1TB(型番:NN4ME-1TB3DN/GNE)」と「Nextorage Gシリーズ ME 2TB(型番:NN4ME-2TB3DN/GNE)」をレビューします。



目次


1.Nextorage Gシリーズ MEについて
2.Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TBの外観


3.Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TBの検証機材と基本仕様

4.Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TBのベンチマーク比較
5.Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TBの連続書き込みについて
6.Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TBの消費電力と温度


7.Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TBのレビューまとめ



製品公式ページ:https://www.seagate.com/jp/ja/products/gaming-drives/pc-gaming/firecuda-520n-ssd/






【機材協力:Nextorage】



Nextorage Gシリーズ MEについて





Nextorage Gシリーズ MEの外観

まず最初に「Nextorage Gシリーズ ME」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
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紙製のパッケージを開くとSSD本体は同じく紙製スペーサーに収められていました。
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「Nextorage Gシリーズ ME」のSSD本体の外観は次のようになっています。基板はM.2 2230サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色です。
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「Nextorage Gシリーズ ME」の裏面については最大容量の2TBモデルも含めて素子の実装はなく、いずれも片面実装のSSDです。
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先日レビューした同じPHISON PS5027-E27Tメモリコントローラーを採用するM.2 2280サイズモデル Nextorage G-Series LE 2TBは2TB容量でメモリチップが2枚だったので、「Nextorage Gシリーズ ME」は両面実装かと思ったのですが、メモリチップ1枚だけの片面実装となっており意外でした。
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「Nextorage Gシリーズ ME」の表面にはM.2端子を右にして右端にメモリコントローラー、その左隣にメモリチップが実装されています。
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「Nextorage Gシリーズ ME」のメモリコントローラーは公表されていませんが、TSMC製12nmプロセスで製造される最新のPHISON製DRAMキャッシュレスコントローラー PS5027-E27Tです。
データ保存領域となるNANDメモリについては公式情報ではTLC型3D NANDとだけ記載されていましたが、実機を確認するとBiCS6とも呼ばれるWD/KIOXIA製TLC型 162層3D NAND(1TB:T8BIGA5A1V、2TB:T8CVGA5A1V)が使用されていました。
DSC08758_DxO-horz
「Nextorage Gシリーズ ME」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
HMB(Host Memory Buffer)_architecture

自作PC向けなどで市販されているM.2 SSDは基本的に長さ80mmのM.2 2280サイズですが、「Nextorage Gシリーズ ME」には長さ30mmの2230サイズです。
M.2 2230サイズの「Nextorage Gシリーズ ME」はASUS ROG AllyやSteam DeckのハンドヘルドゲーミングPCやSurface Pro 9/8のSSD換装に対応します。
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Nextorage G-Series ME_ROG-Ally





Nextorage Gシリーズ ME 1TB/2TBの検証機材と基本仕様

「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 9 7950X (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N
DDR5 16GB×2=32GB (レビュー
マザーボード
GIGABYTE X670E AORUS MASTER
レビュー
ビデオカード PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8
Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー
OS Windows 11 Pro 64bit 22H2
電源ユニット Corsair HX1500i 2022 (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

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システムメモリの検証機材には、Ryzen 7000用OCメモリのスイートスポットとアピールされているメモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
「G.Skill Trident Z5 Neo」をレビュー。EXPOで6000MHz/CL30のOCを試す!
G.Skill Trident Z5 Neo

2023年最新のSSDレビューでは高度に圧縮されたゲームデータをグラフィックボードのVRAMへ直接取り込んで、GPUによって高速に展開するDirectX 12のDirectStorageのようなAPIに対応したPCゲームも検証しています。
その時にSSDの理想的な性能を検証できるように、最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。

PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN


検証環境については上述の通り、AMD Ryzen 9 7950XやGIGABYTE X670E AORUS MASTERで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはマザーボード上のCPUソケット直下に配置されている、CPU直結PCIE5.0x4レーン接続のM.2スロットに設置しています。
またサーマルスロットリングによる性能低下の可能性を排除するため、JIUSHARK M2-THREEという60mm角ファンでアクティブ冷却できるM.2 SSDヒートシンクを組み合わせた状態で設置しています。
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GIGABYTE X670E AORUS MASTERにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Ryzen 7000シリーズCPU&X670Eマザーボードの環境においてCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0x16レーンに加えて、NVMe M.2 SSD用のPCIE5.0x4レーンが2つがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このNVMe M.2 SSD用のCPU直結PCIE5.0x4レーンが最速となります。
Storage Test System_202308
AMD X670E and X670_Diagram


「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは953GBでした。
Nextorage G-Series ME 1TB_CDI
「Nextorage Gシリーズ ME 2TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは1.86TBでした。
Nextorage G-Series ME 2TB_CDI

「Nextorage Gシリーズ ME」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
「Nextorage Gシリーズ ME」は1TBモデルと2TBモデルともに、SSDが指定する最適バッファサイズは64MBで、実際に確保されるバッファサイズも64MBでした。
Nextorage G-Series ME 1TB_HMB-horz



Nextorage Gシリーズ ME 1TB/2TBのベンチマーク比較

「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。

まずはCrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)について、「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し7400MB/s、連続書き込み6600MB/sとなりました。
M.2 2230サイズながらハイエンドクラスの製品とも遜色ない、PCIE4.0x4接続のNVMe M.2 SSDとして理想的な性能です。実用性能への影響の大きい4Kランダム読み出し(Q1T1)も86MB/s程度と高速です。
Nextorage G-Series ME 1TB_CDM8m_1GiB
「Nextorage Gシリーズ ME 2TB」も連続読み出しが7.4GB/s、連続書き込みが6.2GB/sで製品仕様の通りです。
メモリチップ1枚で2TBの大容量モデルは1TBよりも書き込みが低速になることがありますが、「Nextorage Gシリーズ ME」ではそういった影響もありません。
Nextorage G-Series ME 2TB_CDM8m_1GiB

一方で、同じPHISON PS5027-E27Tメモリコントローラーを採用するM.2 2280サイズモデル Nextorage G-Series LE 2TBと比較すると、こちらはメモリチップが2枚搭載されているからか、連続書き込み性能が少しだけ高速です。
Nextorage G-Series LE 2TB_CDM8m_1GiB

参考までにASUS ROG Allyに採用されているMicron 2400(標準搭載は512GB版)の1TB版と2TB版のCrystalDiskMarkスコアは次のようになっています。
Micron 2400 1TB_CDM8m_1GiB
Micron 2400 2TB_CDM8m_1GiB

以下、各種比較対象SSDのCrystalDiskMark8 ベンチマークスコアになっています。

AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Nextorage G-Series ME 1TB_AS_1GB
Nextorage G-Series ME 2TB_AS_1GB

以下、各種比較対象SSDのAS SSD Benchmark ベンチマークスコアになっています。


Anvil’s Storage Utilities v1.1.0 (1GB)について、「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Nextorage G-Series ME 1TB_Anvil_4K-IOPS
Nextorage G-Series ME 1TB_Anvil
Nextorage G-Series ME 2TB_Anvil_4K-IOPS
Nextorage G-Series ME 2TB_Anvil

以下、各種比較対象SSDのAnvil’s Storage Utilities ベンチマークスコアになっています。



Nextorage Gシリーズ ME 1TB/2TBの連続書き込みについて

「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2022年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


最新のTLC型NANDをメモリチップに採用する「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみました。
「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」はいずれもシンプルに50GB容量を書き込みが高速なSLCキャッシュとして使用できます。空き容量が200GBの状態でもフォーマット直後同様に使用できるSLCキャッシュ容量は50GBでした。
SLCキャッシュ内なら6GB/sを超える書き込み速度を発揮しますが、SLCキャッシュ容量を超過すると書き込み速度は800MB/s程度に低下します。
Nextorage G-Series ME 1TB_SLC_200GB-Free
Nextorage G-Series ME 2TB_SLC_200GB-Free

ちなみに先日レビューした同じPHISON PS5027-E27Tメモリコントローラーを採用するM.2 2280サイズモデル Nextorage G-Series LE 2TBはSLCキャッシュ容量は同じで、SLCキャッシュ内での連続書き込み速度はCDMのベンチマーク結果の通り微減程度でしたが、SLCキャッシュ超過後の書き込み速度は1300~1500MB/s程度でした。メモリチップの1枚と2枚の差はここで大きく効いてくるようです。
Nextorage G-Series LE 2TB_SLC_200GB-Free

フォーマット直後の状態からボリューム全域に書き込みを行った時の書き込み速度の推移が下のようになっています。実用的にはあまり意味のない評価方法ですが、SLCキャッシュの挙動を把握する上では役立つこともあるので参考までに。
Nextorage G-Series LE 1TB_SLC Cache_writing-all
Nextorage G-Series LE 2TB_SLC Cache_writing-all


SLCキャッシュ容量の多寡について当サイトでは一応、100GBを1つの基準にしています。
空き容量全域をSLCキャッシュとして使用できる製品もあるので、空き容量によらず固定値で50GBしかSLCキャッシュを使用できないのは「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」のネガティブなポイントだと思います。

ただ「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」の使用済みSLCキャッシュの開放は比較的に高速で、50GB全て使いきっても数分もあれば開放されます。
安価なシステムストレージ的な用途が想定されるSSDなので現実的には50GBもあればそうそう不足することもないでしょうし、SLCキャッシュ超過後でも書き込み速度が800MB/s程度と高速なので、実用的にSLCキャッシュ超過による性能低下で不便を感じることはないと思います。



Nextorage Gシリーズ ME 1TB/2TBの消費電力と温度

「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」の消費電力についてチェックしていきます。
NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール GPU Power Testerを使用しています。
GPU Power Tester_SSD_1



GPU Power Testerはその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2延長カードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するようなライザーケーブル/ライザーカードから、さらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、機器の組み合わせやPCIE5.0等の高速接続規格によってはSSDの動作が不安定になることがありますが、この方法ならマザーボードのM.2スロットにM.2 SSDを直結した時と同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
GPU Power Tester_SSD_2

まずはSSDの消費電力の傾向を把握するため、CrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)を測定負荷としてアクセスタイプ別に消費電力がどうなるのかチェックしていきます。
CrystalDiskMarkの設定は各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
CrystalDiskMarkを測定負荷とした時に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプは、消費電力が最も大きくなる、ワーストケースに近い負荷となります。
GPU-Power-Test_app_1


CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」の消費電力の推移は次のようになっています。

「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」消費電力は、連続アクセスの最大値で平均4.6W程度でした。
PCIE4.0x4帯域として理想的な7GB/s前後のアクセススピードを発揮しつつ、従来の5GB/s程度のDRAMキャッシュレスSSDに近い消費電力なのでワットパフォーマンスは良好です。
実用性能に影響の大きく、PCゲーミングの実消費電力に近い数値となる4Kランダム(Q1T1)の読み書きにおける消費電力も1.8~1.9Wなので、やはり一般的なDRAMキャッシュ搭載のハイエンドSSDよりも省電力です。
Nextorage G-Series LE 1TB_Power
「Nextorage Gシリーズ ME 2TB」は1TBモデルよりも消費電力が微増な傾向ですが、やはり最大でも5W未満、実用性能への影響が大きい4Kランダム(Q1T1)読み出しは1.8~1.9Wと低消費電力です。
Nextorage G-Series LE 2TB_Power

一方でアイドル状態の消費電力が若干高く、瞬間的に下がっている数値を見ると本来のアイドル状態の消費電力は0.80W前後っぽいのですが、そこまで消費電力が下がらずに4Kランダム時相当、1.30W弱の消費電力が発生しています。
検証環境との相性が悪い可能性はあるものの、Phison PS5027-E27T特有ではなく、過去にM.2 2230などに採用されているPhison PS5021-E21TのSSDでも同じような挙動を確認しています。
Nextorage G-Series ME 1TB_Power_idle_wo-ASPM

Surface ProやハンドヘルドゲーミングPCを含め近年のモバイルPCはバッテリー持続時間を少しでも伸ばすため、ASPM(Active-State Power Management)が基本的に標準で有効になっています。
デスクトップPC環境ではASPMは通常、使用されませんが、機能自体はBIOS設定とWindows設定を変更することで有効化できるので、ASPM時のアイドル電力も測定してみました。
「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」はASPM有効なら0.07Wまでアイドル時の消費電力は下がるので、モバイルPCの増設においてアイドル時の消費電力が問題になることはありません。
Nextorage G-Series ME 1TB_Power_idle_wt-ASPM


消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_1_Read_1
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_5_Write_1

実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_4_Read_4
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_8_Write_4

PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_14_Idle-aspm
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_14_Idle


続いて、実用シーンのSSD消費電力として当サイト的に重要なPCゲームのプレイシーンをチェックしていきます。
使用しているタイトルは、DirectStorageに対応するPCゲームとしてラチェット&クランク パラレル・トラブル(Ratchet & Clank: Rift Apart)とFORSPOKEN、ストレージへのAPIが従来式の高画質PCゲームとしてMarvel’s Spider-Man RemasteredとForza Horizon 5となっており、いずれも4K解像度でグラフィック設定は基本的に各設定項目が最高設定です。以上4種類のゲームを使用して120秒間の5つのシーンについてSSDの消費電力を測定しており、具体的には次の動画の通りです。


「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」のDirectStorage対応を含む4種類のPCゲーム、5つのシーンにおけるSSD消費電力の推移は次のようになっています。
グラフ中には上で行ったCrystalDiskMarkによる消費電力測定の結果のうち、連続読み出し(SEQ 1M Q8T1)、ランダム読み出し(RND 4K Q1T1)、アイドルの3種類の消費電力も横線で併記しています。
2023年最新水準の高画質タイトルを使用して検証していますが、PCゲームシーンだとDirectStorage対応と従来式のどちらであっても、SSD消費電力の平均値は、CDMのランダム読み出しとアイドルの消費電力の中間に収まります。
DirectStorage対応PCゲーム、ラチェット&クランクのワープやFORSPOKENのロード・ファストトラベルでは連続アクセス的な大きい消費電力も発生しますが、いずれも1~2秒あるかどうかという瞬間的なものです。
Nextorage G-Series LE 1TB_Power_game
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_game

「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」を含めた各種ストレージについてゲームシーンの平均消費電力を比較すると次のようになっています。(最大値も併記していますが、上の推移グラフを見ての通り瞬間的なピーク値となっており測定毎に振れ幅があるので参考程度に考えてください。)
現状ではPCゲームプレイ中のSSD消費電力は、データの読み出しが多いタイトルでもCDMの4Kランダム読み出しと同程度、そうでなければアイドル状態をベースにして4Kランダム読み出し的な消費電力のアクセスがぽつぽつと発生する感じなので、製品別に見てもSSD消費電力の傾向はCDMの4Kランダム読み出しかアイドルに一致します。
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_Game_1_RaC_1
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_Game_2_RaC_2
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_Game_3_Forspoken
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_Game_4_Spider
Nextorage G-Series LE 2TB_Power_Game_5_FH5


「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」の温度についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0/5.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったというのも1つ理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。

またゲームシーンの消費電力検証で見た通り、実用シーンでCrystalDiskMarkの連続アクセスのようなPCIE4.0なら7GB/s前後、PCIE5.0なら10GB/sを超える高速アクセスが長時間に渡って発生するのかは疑わしく、比較的に理想的な連続アクセスが生じる動画ファイルのコピーでも、100GBの読み書きは5GB/sなら20秒、長く見積もっても30秒前後で済むので、それ以上のストレステストに意味があるのか疑問です。
またCrystalDiskMark自体はストレージベンチとして非常に有用ですが、SSDの温度検証という観点でいうとテストの3/4で連続アクセス的な消費電力が発生するCrystalDiskMarkを測定負荷に採用するのはあまり意味がないと感じています。


延長カード型でPCIE5.0にも対応するM.2 SSD消費電力測定モジュールも無事に完成したので、PCゲーム以外の実用シーンについてもSSD消費電力を調査しつつ、SSD温度検証の在り方について調べるのが今後の課題だと思っていますが、今回は省略ということで。



Nextorage Gシリーズ ME 1TB/2TBのレビューまとめ

最後に「Nextorage Gシリーズ ME 1TB / 2TB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ASUS ROG AllyやSteam Deck、Surface ProのSSD換装が可能なM.2 2230サイズ
  • 最大性能で連続読み出し7400MB/s、連続書き込み6200MB/s
  • 最大容量2TBモデルがラインナップ、全てTLC型NAND採用
  • 実際のゲームシーンにおいてM.2 2230 SSDの中でもトップクラスの省電力性能
  • メーカー正規保証期間が5年間、1TB当たりの書き込み耐性は600TB
悪いところor注意点
  • DRAMキャッシュレス、HMB(Host Memory Buffer)対応
  • TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    キャッシュ容量は50GB固定で、超過後の書き込み速度は800MB/s程度(詳細


「Nextorage Gシリーズ ME」は最新デスクトップPC向けSSDとしてもDRAMキャッシュレスながらPCIE4.0 SSDのハイエンドクラス製品と遜色ない性能を発揮します。
当然、ハンドヘルドゲーミングPCやSurface Pro 8/9などCPU・GPU性能が限られるモバイル端末用としては十分以上な性能となっており、容量を1TBや2TBにアップグレードするのにオススメのSSDです。




M.2 2230サイズのSSDは選択肢が限られていて、少し前まではOEM向け横流し品?を使う必要があったのですが、大手ストレージメーカー Nextorage製かつ正規の市販品を選べるのは信頼性や製品保証の面でも嬉しいところ。


M.2 2230サイズのSSDの中にはASUS ROG Allyに採用されているMicron 2400のようにQLC型SSDも多いですが、「Nextorage Gシリーズ ME」は最大容量の2TBモデルも含め全てTLC型SSDです。
大容量データの書き込みに強く(QLC型よりも相対的に)、実用性能ベンチで高い性能を発揮するので、Surface Pro 10/9のように普段使いするPCのアップグレードには特に最適だと思います。


実際のゲームシーンにおける省電力性能についてはASUS ROG Allyに標準搭載されているMicron 2400がやはり強く、「Nextorage Gシリーズ ME」もTLC型や6~7GB/sの連続性能が活かせるSurface Pro 9/8のように普段使いするPC向けに最適、という評価に落ち着くかと予想していました。
過去にいくつかM.2 2230 SSDをテストしてきましたが、QLC型SSDの書き込み性能の低さも大してデメリットにならないのでハンドヘルドゲーミングPCのSSD換装ではMicron 2400のほうがより適している、なと。

しかしながら、かなり意外なことに「Nextorage Gシリーズ ME」は実際のゲームシーンのプレイ中、ロード中の消費電力でもMicron 2400と遜色ない、トップクラスの性能を発揮しました。
SoCの消費電力が10~20W程度なので、せいぜい1~2W程度(ASPM有効なモバイル端末ではゲームによっては1W未満になることも)のSSD消費電力はバッテリー持ちの観点では誤差とも言えますが、最大6~7GB/sの読み書き性能、TLC型NAND採用、信頼性の高いメーカーなど同製品の他の魅力に対して、ゲームシーンの省電力性能がネックにならないのは嬉しいところです。


以上、「Nextorage Gシリーズ ME 1TB」のレビューでした。
Nextorage G-Series ME 1TB and 2TB



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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