Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB


スポンサードリンク




DRAMキャッシュレスながら連続読み出し7GB/sの高性能かつ、コストパフォーマンスにも優れるPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB(型番:MZ-V9S4T0B-IT)」をレビューします。



レビュー目次


1.Samsung SSD 990 EVO Plusについて
2.Samsung SSD 990 EVO Plusの外観
3.Samsung SSD 990 EVO Plusの検証機材と基本仕様


4.Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBのベンチマーク比較
5.Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBの連続書き込みについて
6.Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBの消費電力と温度


7.Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBの実用性能比較
8.Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBのデータコピー・ゲーム性能比較


9.Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBのレビューまとめ



製品公式ページ:https://www.itgm.co.jp/product/ssd-990-evo-plus.php







【機材協力:Samsung SSD 国内正規代理店 ITGマーケティング株式会社】



Samsung SSD 990 EVO Plusについて





Samsung SSD 990 EVO Plusの外観

まず最初に「Samsung SSD 990 EVO Plus」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
Samsung製SSDというとプロフェッショナル向けSSDのPROシリーズの赤色がアクセントカラーになった配色がお馴染みで、メインストリーム向けとなるEVOシリーズではオレンジ色をアクセントカラーにしていましたが、990 EVO Plusや前モデル 990 EVOからは青色をベースにしたパッケージに変わっています。
DSC03605_DxO
紙製のパッケージを開くとSSD本体も紙製スペーサーに収められていました。
DSC03607_DxO

「Samsung SSD 990 EVO Plus」のSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
SSD基板の表面にはM.2端子の側から順にメモリコントローラー、左半分に2枚のメモリチップが実装されています。なお、最大容量の4TBモデルは写真の通り、2枚のメモリチップが実装されていますが、1TBと2TBについてはメモリチップは右側1枚だけです。
DSC03608_DxO
Samsung SSD 990 EVO Plusは1TBから最大容量の4TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
DSC03609_DxO

サーマルスロットリングの抑制に対しては、発熱と性能のバランスを調整する独自のアルゴリズム Dynamic Thermal Guardを採用するプロセッサレベルの対策だけでなく、基板背面に貼られた銅製シール Copper Seal(銅箔層ヒートスプレディングラベル)や、発熱の大きいメモリコントローラーのチップ表面にもニッケルメッキの金属プレートを施すといった物理的アプローチで放熱を補助・促進しています。
DSC03611_DxO
DSC03617_DxO

「Samsung SSD 990 EVO Plus」にはPCIE4.0x4接続に加えて、少ないレーン数で同等の転送速度を実現できる最新規格PCIE5.0x2接続にも対応するインハウス製メモリコントローラー(Samsung Piccolo S4LY022)が採用されています。DRAMキャッシュは非搭載です。
メモリチップについては公式仕様では”Samsung V-NAND TLC”とだけ記載されていますが、今回入手したサンプル機や直近のロットについては、236層となるSamsung製 第8世代3D V-NAND(型番 K9DYGB8J1B-CCK0)が使用されています。
DSC03616_DxO-tile

「Samsung SSD 990 EVO Plus」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE4.0/5.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
HMB(Host Memory Buffer)_architecture


Samsung SSD 990 EVO PlusはPCIE5.0x2接続に対応

「Samsung SSD 990 EVO Plus」の特長として、現在一般的なPCIE4.0x4に加えて、PCIE5.0x2の接続帯域にも対応しています。
1レーン当たりの帯域はPCIE5.0がPCIE4.0の2倍なので、PCIE4.0x4とPCIE5.0x2のトータルの帯域(連続読み書き性能)は同じです。

まだ世の中に出回っているものではありませんが、ノートパソコンでPCIE4.0x4の代わりにPCIE5.0x2が採用されれば、性能は維持しつつレーン数を減らすといったことが可能になります。
PCIE5.0x8のRAIDカード(M.2スロットx4)があれば、256Gbpsという帯域を「Samsung SSD 990 EVO Plus」なら効率的に生かすことができます。
990 EVO Plus Usage_ex




また、少ないレーン数で同等の連続読み書き性能を発揮できるメリットとして、PCIE帯域分割を用いた複数M.2 SSDを増設するPCIE拡張カードが挙げられます。

先日当サイトでレビューしたASRock Z890 Nova WiFiにはマザーボードの帯域分割機能によってPCIE4.0x4帯域を4つのPCIE4.0x1帯域に分割するPCIE拡張カードが付属していました。
グラフィックボードをPCIE5.0x8帯域で接続しつつ、もう片方のPCIE5.0x8帯域を4つに分割して、4基のM.2 SSDを増設できるという機能を備えたCPU&マザーボードの環境が今後登場するかもしれません。
DSC02351_DxO





Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBの検証機材と基本仕様

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 9 7950X (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N
DDR5 16GB×2=32GB (レビュー
マザーボード
GIGABYTE X670E AORUS MASTER
レビュー
ビデオカード PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8
Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー
OS Windows 11 Pro 64bit 22H2
電源ユニット Corsair HX1500i 2022 (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

DSC07770_DxO
DSC07773_DxO

システムメモリの検証機材には、Ryzen 7000用OCメモリのスイートスポットとアピールされているメモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
「G.Skill Trident Z5 Neo」をレビュー。EXPOで6000MHz/CL30のOCを試す!
G.Skill Trident Z5 Neo

2023年最新のSSDレビューでは高度に圧縮されたゲームデータをグラフィックボードのVRAMへ直接取り込んで、GPUによって高速に展開するDirectX 12のDirectStorageのようなAPIに対応したPCゲームも検証しています。
その時にSSDの理想的な性能を検証できるように、最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。

PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN


検証環境については上述の通り、AMD Ryzen 9 7950XやGIGABYTE X670E AORUS MASTERで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはマザーボード上のCPUソケット直下に配置されている、CPU直結PCIE5.0x4レーン接続のM.2スロットに設置しています。
またサーマルスロットリングによる性能低下の可能性を排除するため、JIUSHARK M2-THREEという60mm角ファンでアクティブ冷却できるM.2 SSDヒートシンクを組み合わせた状態で設置しています。
DSC07776_DxO

GIGABYTE X670E AORUS MASTERにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Ryzen 7000シリーズCPU&X670Eマザーボードの環境においてCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0x16レーンに加えて、NVMe M.2 SSD用のPCIE5.0x4レーンが2つがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このNVMe M.2 SSD用のCPU直結PCIE5.0x4レーンが最速となります。
Storage Test System_202308
AMD X670E and X670_Diagram


「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは3.63TBでした。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_CDI

「Samsung SSD 990 EVO Plus」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE4.0/5.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
「Samsung SSD 990 EVO Plus」の4TBモデルはSSDが指定する最適バッファサイズは64MBで、実際に確保されるバッファサイズも64MBでした。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_HMB


専用ソフト Samsung Magicianについて

「Samsung SSD 990 EVO Plus」などSamsung製SSD向けには純正クライアントアプリケーション Samsung Magicianが配布されています。
アプリ内にベンチマーク機能が統合されていて、オーバープロビジョニングなどSSDパフォーマンスに影響する動作設定も可能です。ファームウェアもGUIアプリ上で簡単にアップデートできます。
Samsung Magician (1)
Samsung Magician (2)
Samsung Magician (3)
Samsung Magician (4)
Samsung Magician (5)
Samsung Magician (6)
Samsung Magician (7)



Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBのベンチマーク比較

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。

まずはCrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」のベンチマークススコアは連続読み出し7250MB/s、連続書き込み5700MB/s程度となっており、おおむね製品スペック通りの性能です。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_CDM8m_1GiB

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」は実用性能への影響の大きい4Kランダム読み出し(Q1T1)も85MB/s程度と非常に高速です。
Intel/AMDプラットフォームの違いや、グラフィックボード向けPCIEレーン(帯域分割のM.2スロット)を使用するかによってCDMベンチマークスコアは結構差が出るのですが、当サイトSSDレビューの統一検証環境の場合、80MB/s前後で最新の高性能SSD水準、85~90MB/sが出ていればトップクラスの性能です。

なお、スペック通りの連続読み出し性能に対して、CDMによる連続書き込み性能は公式仕様値の6300MB/sよりも若干低い数値になりました。
「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」について挙動を確認したところ、フォーマット直後やOS起動直度など一定条件で(最初のうちは)連続書き込み速度が6300MB/s程度に達することも確認できましたが、その後、速度が低下する傾向でした。
Intelプラットフォームなど異なる検証環境を使用する他レビューを調べてみましたが、5700~6300MB/s程度でバラつきがあったので、そういう感じの仕様みたいです。
screenshot.1740448408

IO性能系ベンチマークソフトで発揮できる連続書き込み性能は5700~5800MB/s程度のように思います。
やや誤解を招きやすい製品仕様のようにも思いましたが、後述する実際のデータを使用したコピー検証ではPCIE4.0x4接続SSDとして上位の性能を発揮したので、特に問題はないというのが当サイトの結論です。


以下、各種比較対象SSDのCrystalDiskMark8 ベンチマークスコアになっています。

AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_AS_1GB

以下、各種比較対象SSDのAS SSD Benchmark ベンチマークスコアになっています。


Anvil’s Storage Utilities v1.1.0 (1GB)について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。

以下、各種比較対象SSDのAnvil’s Storage Utilities ベンチマークスコアになっています。


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2 (512B-64MB, 1GB, QD1/QD4)について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別の性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_ATTO_QD1_read
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_ATTO_QD1_write
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_ATTO_QD4_read
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_ATTO_QD4_write
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_ATTO_QD1-horz



Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBの連続書き込みについて

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC/QLC型SSDの高速書き込みキャッシュ機能について

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDメモリチップが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、記憶領域の一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化するので、この高速キャッシュ領域はSLCキャッシュと呼ばれています。
(現在はSLC化が主流ですが、将来的な可能性としてMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュ機能を採用するSSDでは、短いスパンで連続した大容量の書き込みが発生し、書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります
例えばPCIE4.0x4接続に対応するNVMe M.2 SSDは5~7GB/s程度の連続書き込み速度が製品仕様として公表され、実際にテストデータサイズが数GBに収まるCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトでは仕様値通りの高速書き込みが可能です。
しかしながら、高速書き込み速度を維持できるのはSLCキャッシュ内に収まる場合であって、SLCキャッシュ容量を超過すると書き込み速度がTLC型SSDで500~2000MB/s程度、QLC型SSDでは100~200MB/s程度へと大幅に低下します。
SLC-Cache_PCIE4x4


SLCキャッシュを評価する上で重要なことは?

SLCキャッシュを評価する上で重要なことは次の2つです。
  • 使用済みデータがある状態で50~100GB程度のSLCキャッシュを使用できるかどうか
  • 書込後のSLCキャッシュの開放はどれくらい速いか (使用済みキャッシュの開放条件)

一方、SSDレビューでしばしば検証される次の項目は実用的にはほとんど意味がありません。
  • フォーマット直後、使用済みデータなしの状態のSLCキャッシュ容量
  • SLCキャッシュ超過後の書き込み速度 (特に全域書き込みの検証)

SLCキャッシュ容量は空き容量依存で可変、使用済みデータがある状態で50~100GBを確保する製品が大半という現状にマッチしていない検証、評価が多いので注意が必要です。

またSSDを1~2年程度で使い潰す(保証値TBWを上回る)ような使い方でもない限り、50~100GBのSLCキャッシュを超過するような書き込みは日常的に発生することはないので、SLCキャッシュ超過後の書き込み速度も重要ではありません。



Samsung SSD 990 EVO PlusのSLCキャッシュを確認

最新のTLC型NANDをメモリチップに採用する「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみました。
「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」は空き容量が400GB以上あり、SLCキャッシュが十分に開放された状態であれば、100GBの書き込みを行っても、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始から一貫して5~6GB/sの書き込みスピードを発揮できました。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_SLC-Cache

フォーマット直後の状態からボリューム全域に書き込みを行った時の書き込み速度の推移が下のようになっています。実用的にはあまり意味のない評価方法ですが、SLCキャッシュの挙動を把握する上では役立つこともあるので。
5~6GB/s前後の書き込み速度を発揮する高速なSLCキャッシュは、フォーマット直後で空き容量が100%の状態なら約440GB程度でした。超過後は書き込み速度が1500MB/s程度に低下しています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_SLC Cache_writing-all

空き容量が250~450GBになるまでデータを書き込んで、SLCキャッシュが解放されるまで十分に時間が経過してから100GBのデータを書き込んでみました。
450GBでは100GB以上、350GBでは90GB程度を使用できますが、空き容量が250GBになると急に10GB程度に下がりました。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_SLC Cache_writing-Free

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」のSLCキャッシュについては単純に時間経過(アイドル状態になるとすぐ)で空き容量に対する割合のSLCキャッシュ容量が解放されるわけではなく、書き込みアクセスの発生や使用済みデータの削除に応じて都度、SLCキャッシュが確保されるような挙動でした。

そのため、上では空き容量450GBなら最大100GB以上と書いていますが、単純な時間経過だけだと、30~70GB程度で使用できるSLCキャッシュ容量にバラつきがあります。(書き込みして削除の繰り返しで容量が増えていく感じ)
また上記テストのような100GBの単一ファイル書き込みと、10GB動画ファイル×10個のコピーでもSLCキャッシュ確保の挙動は違います。

SLCキャッシュ確保の挙動が少々読みづらく、今どれくらいの容量が使えるか把握するのが難しくはありますが、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」は元々の容量が4TBと非常に大きく、SLCキャッシュ容量もフォーマット直後の状態で最大440GB程度、空き容量が1TBもあれば100GB以上は安定して使用できる感じでした。
SLCキャッシュ超過後の書き込み速度も1500MB/s程度と高速なので、実用的にはSLCキャッシュの超過による性能低下で不便を感じることはないと思います。




Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBの消費電力と温度

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」の消費電力についてチェックしていきます。
NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。
GPU Power Tester_SSD_1



GPU Power Testerはその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2延長カードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するようなライザーケーブル/ライザーカードから、さらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、機器の組み合わせやPCIE5.0等の高速接続規格によってはSSDの動作が不安定になることがありますが、この方法ならマザーボードのM.2スロットにM.2 SSDを直結した時と同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
GPU Power Tester_SSD_2

まずはSSDの消費電力の傾向を把握するため、CrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)を測定負荷としてアクセスタイプ別に消費電力がどうなるのかチェックしていきます。
CrystalDiskMarkの設定は各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
CrystalDiskMarkを測定負荷とした時に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプは、消費電力が最も大きくなる、ワーストケースに近い負荷となります。
GPU-Power-Test_app_1


CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」の消費電力の推移は次のようになっています。
「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」の消費電力は連続アクセスの最大値でも平均4.5~5.5W程度です。ピーク値でも6Wを超えることはありません。
DRAMキャッシュレスかつPCIE4.0x4帯域として理想的な連続7GB/sの最新SSDとしては標準的な省電力性能です。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power


消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_1_Read_1
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_5_Write_1

実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_4_Read_4
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_8_Write_4

PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_14_Idle-aspm
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_14_Idle


続いて、実用シーンのSSD消費電力として当サイト的に重要なPCゲームのプレイシーンをチェックしていきます。
使用しているタイトルは、DirectStorageに対応するPCゲームとしてラチェット&クランク パラレル・トラブル(Ratchet & Clank: Rift Apart)とFORSPOKEN、ストレージへのAPIが従来式の高画質PCゲームとしてMarvel’s Spider-Man RemasteredとForza Horizon 5となっており、いずれも4K解像度でグラフィック設定は基本的に各設定項目が最高設定です。以上4種類のゲームを使用して120秒間の5つのシーンについてSSDの消費電力を測定しており、具体的には次の動画の通りです。


「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」のDirectStorage対応を含む4種類のPCゲーム、5つのシーンにおけるSSD消費電力の推移は次のようになっています。
グラフ中には上で行ったCrystalDiskMarkによる消費電力測定の結果のうち、連続読み出し(SEQ 1M Q8T1)、ランダム読み出し(RND 4K Q1T1)、アイドルの3種類の消費電力も横線で併記しています。
2023年最新水準の高画質タイトルを使用して検証していますが、PCゲームシーンだとDirectStorage対応と従来式のどちらであっても、SSD消費電力の平均値は、CDMのランダム読み出しとアイドルの消費電力の中間に収まります。
DirectStorage対応PCゲーム、ラチェット&クランクのワープやFORSPOKENのロード・ファストトラベルでは連続アクセス的な大きい消費電力も発生しますが、いずれも1~2秒あるかどうかという瞬間的なものです。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_game

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」を含めた各種ストレージについてゲームシーンの平均消費電力を比較すると次のようになっています。(最大値も併記していますが、上の推移グラフを見ての通り瞬間的なピーク値となっており測定毎に振れ幅があるので参考程度に考えてください。)
現状ではPCゲームプレイ中のSSD消費電力は、データの読み出しが多いタイトルでもCDMの4Kランダム読み出しと同程度、そうでなければアイドル状態をベースにして4Kランダム読み出し的な消費電力のアクセスがぽつぽつと発生する感じなので、製品別に見てもSSD消費電力の傾向はCDMの4Kランダム読み出しかアイドルに一致します。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_Game_1_RaC_1
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_Game_2_RaC_2
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_Game_3_Forspoken
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_Game_4_Spider
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_Power_Game_5_FH5


「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」の温度についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0/5.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったというのも1つ理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。

またゲームシーンの消費電力検証で見た通り、実用シーンでCrystalDiskMarkの連続アクセスのようなPCIE4.0なら7GB/s前後、PCIE5.0なら10GB/sを超える高速アクセスが長時間に渡って発生するのかは疑わしく、比較的に理想的な連続アクセスが生じる動画ファイルのコピーでも、100GBの読み書きは5GB/sなら20秒、長く見積もっても30秒前後で済むので、それ以上のストレステストに意味があるのか疑問です。
またCrystalDiskMark自体はストレージベンチとして非常に有用ですが、SSDの温度検証という観点でいうとテストの3/4で連続アクセス的な消費電力が発生するCrystalDiskMarkを測定負荷に採用するのはあまり意味がないと感じています。


延長カード型でPCIE5.0にも対応するM.2 SSD消費電力測定モジュールも無事に完成したので、PCゲーム以外の実用シーンについてもSSD消費電力を調査しつつ、SSD温度検証の在り方について調べるのが今後の課題だと思っていますが、今回は省略ということで。



マザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの冷却性能が不十分で市販製品を探しているということであれば、PlayStation5の増設スロットにも互換なコンパクトサイズながら高い冷却性能を発揮する「CFD HSN-TITAN」、シリコンバンド固定で着脱が簡単な「SilverStone TP02」などがオススメです。







Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBの実用性能比較

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」の実用性能をPCMark10 Storage Benchmarkを使用してチェックしていきます。
PCMark10 Storage BenchmarkはWindows OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。
PCMark10-Storage-Benchmarks


ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Benchmarkには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_PCM10_1_Summary


システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_PCM10_4_Summary_Data



Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。

まずはデータコピーに関する実性能比較となります。

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したCrucial T700 2TBを使用しています。
Ryzen 9 7950XとGIGABYTE X670E AORUS MASTERの検証環境で、レビューストレージはCPU直下のM.2スロットに、コピー相手のCrucial T700 2TBはPCIEスロットを挟んで1つ下のM.2スロットに設置しており、いずれも個別のCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。
DSC07784_DxO


「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」など各種検証ストレージとCrucial T700 2TBとの間で各種データをコピーした時間や転送速度の比較結果は次の通りです。

まずは50GBの動画フォルダのコピーについてですが、動画フォルダの中身は1つ10GBの大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。
Windows 11 21H2以前はエクスプローラーのファイルシステムがボトルネックになるためコピー速度は3GB/s程度で頭打ちでしたが、Windows 11 22H2とPCIE5.0に対応するRyzen 7000環境であれば実際のファイルコピーで最大6GB/sに迫る転送速度を発揮できます。

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」は読み出し速度が4200MB/s程度、書き込み速度が4700MB/s程度でした。DRAMキャッシュ搭載SSDよりも少しスコアを落としますが、PCIE4.0 SSDの中では上位の性能です。Windows環境で4000~5000MB/sも出ていれば実用的には十分というか、OSやファイルシステム的にほぼ上限です。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_copy_1_movie_read
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_copy_2_movie_write


次はゲームフォルダのコピーについてですが、近年のPCゲームでは各種ゲームデータが数百MB~数GBのファイルにパッケージ化されているので、動画ファイルのコピーと同様、比較的にストレージの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。

ゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されているゲームフォルダの場合、動画ファイルのコピーよりも転送速度は若干下がりますが、それでも「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」は読み出しで4300MB/s、書き込みで4000MB/s程度という転送速度を発揮しています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_copy_3_game-seq_read
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_copy_4_game-seq_write


最後は先ほどと同じくゲームフォルダのコピーについてですが、こちらはゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されておらず、15万を超えるファイル数があるので、ランダム性能が重要になっています。

ランダム性能が重要になる実際のファイルコピーでも、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」は、Samsung SSD 990 PRO 1TBやWD_BLACK SN850X 1TBといったPCIE4.0x4接続のハイエンド製品と遜色ない性能を発揮しています。
ただしコピー元の読み出し速度がボトルネックになりやすく、コピー相手にはCrucial T700 2TBを使用しているので、書き込み性能はPCIE4.0x4接続の高性能SSDなら1300MB/s程度の速度で頭打ちになります。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_copy_5_game-rnd_read
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_copy_6_game-rnd_write



続いて3DMark Storage Benchmarkを使用して、PCゲームのロード時間やプレイ動画の保存といったゲーミングシーンでの「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」のストレージ性能を比較します。
3DMark Storage Benchmarkは各検証ストレージについて3回ずつ実行しており、総合スコア、ゲームロード速度(Battlefield V、Call of Duty Black Ops 4、Overwatch)、プレイ動画の録画(Overwatchのゲームプレイ中のデータアクセスとOSBによるフルHD/60FPSの録画)について平均値を比較しています。
またPCMark10 Storage Benchmarkと同様に、各ストレージは空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
3DMark -Storage-Benchmarks

3DMark Storage Benchmarkのトータルスコアについて、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_3DM-SB_1

3DMark Storage Benchmarkの総合スコアには、プレイデータのセーブ、PCゲームのインストール/移動は実用面で優先度が低いテストの結果も含まれるので、ここからはPCゲーム用ストレージとして優先度の高い個別テストを抜粋して見ていきます。

3DMark Storage BenchmarkのBattlefield V ゲームロード速度について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_3DM-SB_2

3DMark Storage BenchmarkのCall of Duty Black Ops 4 ゲームロード速度について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_3DM-SB_3

3DMark Storage BenchmarkのOverwatch ゲームロード速度
について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_3DM-SB_4

3DMark Storage Benchmarkのプレイ動画録画性能について、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB_3DM-SB_5


DirectX 12のDirectStorageに代表されるPCゲーム向け高速ストレージアクセスAPIに対応したPCゲームにおけるロード性能については、実際の比較検証結果を元に解説しているので、こちらの記事を参照してください。
ゲーム向け高速ストレージAPIを使用しない従来式のゲームの傾向についても、2020年から2021年頃の検証ですが比較データを使って解説しています。


結論だけ言ってしまうと、DirectStorageのサポートの有無によってNVMe SSDとSATA SSDでは大幅な性能差がありますが、PCIE3.0~5.0の帯域、TLC NANDとQLC NAND、DRAMキャッシュの有無による差は確認できませんでした。
マイナーメーカーのそもそもSSD性能が怪しい製品とかになると保証もできませんが、Micron(Crucial)、Samsung、SK Hynix(Solidigm)、WD辺りの大手メーカー製品で、NVMe SSDであれば、DirectStorage対応ゲームのロード時間はほぼ同じになると思います。ブラインドで見分けられる差でないことは確かです。
DirectStorage対応タイトルはまだ少ないですが、これからゲーム用ストレージを購入するのであれば、PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDが性能と容量単価のバランスも良く、ベストだと思います。

ちなみに好評発売中のモンハンシリーズ最新作、モンハンワイルズもDirectStorageに対応したPCゲームです。



今回はPC環境における性能を検証しましたが、同じくNVMe M.2 SSDを使用するPlayStation 5の拡張スロットによるストレージ増設についてはこちらの記事で詳細を解説しています。気になる方は参照してみてください。




Samsung SSD 990 EVO Plus 4TBのレビューまとめ

最後に「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 最大性能で連続読み出し7250MB/s、連続書き込み6300MB/s
  • PCMark10や3DMarkの実用性能ベンチでハイエンドPCIE4.0 SSDに迫る性能
  • PCIE4.0x4接続に加えて、PCIE5.0x2接続にも対応
  • PlayStation5の拡張スロットに使用可能なPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD
  • DRAMキャッシュレスなPCIE4.0x4接続SSDとして標準的な消費電力
  • SLCキャッシュは50~100GB以上を使用できる
  • SLCキャッシュ超過後も書き込み速度は1500MB/sで高速な部類
  • 書き込み耐性の仕様値(保証条件)は1TB容量あたり600TB
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • DRAMキャッシュレス、HMB(Host Memory Buffer)対応
  • TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は1500MB/s程度

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkなど基礎的な各種ベンチマークでは仕様値通り、DRAMキャッシュレスながら連続読み出しが最大7GB/s前後というハイエンドPCIE4.0対応NVMe SSD的な性能です。
PCMark10や3DMark、ファイルコピーといった実用性能テストでも、同社上位モデルのSamsung SSD 990 PROなどDRAMキャッシュを搭載するハイエンドPCIE4.0 SSDと遜色ない性能を発揮しました。

「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」はTLC型SSDなので、SLCキャッシュを超過するような大容量な書き込みが発生すると書き込み速度は理想値6000MB/s程度から1500MB/s程度まで低下します。最近だとTLC型でも1000MB/s以下のSSDが増えているので、高速な部類です。

SLCキャッシュの開放条件が若干不透明というか、単純にアイドル状態になると空き容量に応じて全開放という感じではないので、キャッシュ開放の速さは少々気になりました。
ただ、元々の容量が大きく、空き容量が1TB以上あればほぼ確実に100GB以上のSLCキャッシュを利用でき、仮に超過しても超過後の書き込み速度が1500MB/sと高速な部類なので実用的に不便を感じることはないと思います。


以上、「Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB」のレビューでした。
Samsung SSD 990 EVO Plus 4TB




記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。







関連記事

おすすめSSDまとめ。QLC/TLCやPCIE4.0/5.0など最新SSD事情を解説
SSDレビュー記事の一覧へNVMe SSD><M.2 SSD><SATA SSD

おすすめSSDまとめ

PS5増設にオススメなM.2 SSDを解説。ヒートシンク搭載モデルも!
PS5増設にオススメなM.2 SSDを解説

「WD_BLACK SN850X 8TB」をレビュー。最速の超大容量 8TB SSD!
WD_BLACK SN850X NVMe SSD 8TB with Heatsink

「Crucial T500 1TB / 2TB」をレビュー
Crucial T500 1TB

「WD Blue SN5000 4TB」をレビュー。QLCでも速いコスパSSDを徹底検証
WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB

「Crucial T705 2TB」をレビュー。PCIE5.0x4理想スペックなSSDを徹底検証
Crucial T705 2TB

「Nextorage Gシリーズ LE 2TB」をレビュー。DRAMキャッシュレスでも速い
Nextorage G-Series LE 2TB

「Solidigm P44 Pro 1TB」をレビュー。完全版SK Hynix Platinum P41か!?
Solidigm P44 Pro 1TB

「Samsung SSD 990 PRO 1TB」をレビュー。性能も電力効率もトップクラス!
Samsung SSD 990 PRO 1TB

「ASRock Blazing Quad M.2 Card」をレビュー。連続40GB/s越えなるか!?
ASRock Blazing Quad M.2 Card




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク