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2017年のPC向けVR HMDである「HTC VIVE」と「Oculus Rift CV1&Touch」を様々な角度から徹底比較していきます。
なお個々の要素で比較して優劣を言及することはありますが、それらを総合した結果、VR HMDとしてどちらが優れているかについては甲乙つけ難いというのが管理人の正直な感想です。
使う人の環境にもよると思いますし、プレイしてみたいコンテンツが最終的には重要になってくると思います。当記事も優劣を決めるための比較というよりも各VR HMDにどんな特徴(メリットやデメリット)があるのかを浮き彫りにするための比較と考えていただけるとありがたいです。
News
2019年最新VR HMDのHTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの比較記事を公開しました。・VIVE CosmosとOculus Rift Sはどちらが買いか徹底比較
Oculus Rift Sと同日発売のスタンドアローン型VR HMD「Oculus Quest」についても詳細レビューも公開中です。
・「Oculus Quest」をレビュー。Oculus Rift Sと画質比較も!
レビュー目次
1.VR HMDの価格や購入場所を比較
2.日本語対応やクライアント、プラットフォームを比較
3.VR HMDの動作環境を比較。最適なPCスペック
4.VR HMD本体を比較
5.VR HMDの専用コントローラーを比較
6.トラッキング方法とセンサーの比較
おまけ.HTC VIVEとOculus Riftのレビュー記事
VR HMDの価格や購入場所を比較
HTC VIVEとOculus Riftの価格を比較します。HTC VIVEとOculus Riftの価格については、18年11月現在でHTC VIVEが6.9万円に対して、Oculus RiftはVR HMD本体と専用コントローラーのセットが4.9万円となっており価格面では2万円近く安いOculus Riftが優勢となっています。
VR HMDの価格比較 | ||
HTC VIVE | Oculus Rift | |
VR HMD本体価格 | 6.9万円 (499ドル) |
4.9万円 (399ドル) |
専用コントローラー |
本体に同梱 スペアパーツで1つずつ 16000円ほど |
本体に同梱 2つセットで12800円 |
専用コンを含めた価格 |
6.9万円 (499ドル) |
4.9万円 (399ドル) |
国内在庫の販売 (届くのが早い) |
Amazonや PCパーツショップで 購入可能 |
Amazonで購入可能 (18年12月10日から) |
HTC VIVEとOculus Riftとはいずれも公式通販から購入可能です。
HTC VIVE公式通販:https://www.vive.com/jp/product/
Oculus Rift公式通販:https://www.oculus.com/cart/
ただしHTC VIVEについてはアユートやアスクという代理店が正規の国内代理店となっており、国内のPCパーツショップ等に卸しています。HTC VIVEはPCパーツショップの通販なら国内から1,2営業日で発送してくれて翌日には届くのでこちらから購入するほうがおすすめです。
「Oculus Rift」はこれまで公式通販から購入する必要があり、結局、海外から発送されるので国内在庫のあるHTC VIVEに比べて入手性で劣る面がありましたが、Amazon.co.jpで購入できるようになった(18年12月10日発売)ことでアクセスが改善されています。
Oculus Riftのアクセサリ類についてはまだ公式通販限定なので一部では入手性で劣る面もありますが、どちらも国内Amazonで購入できるようになったので、導入へのアクセスという点ではHTC VIVEとOculus Riftはほぼ横並びになっています。価格面ではOculus Riftのほうが安いので、この点はOculus Riftの大きな魅力です。
日本語対応やクライアント、プラットフォームを比較
HTC VIVEとOculus Riftの2017年2月現在の日本語のサポート(対応)状況を比較します。Oculus Riftについては購入までを日本語に対応して間口を広げているにもかかわらず、マニュアルやセットアップアプリなどが発売から半年以上経っていまだに英語にしか対応していません。
一方でHTC VIVEは「日本語を含めた多言語に対応した詳細なマニュアルを用意」、「動画によるわかりやすい導入チュートリアルを公式ページで公開」、「SteamというすでにPCゲーム界に浸透しているゲームクライアントがホームアプリである」など、こと日本語を母国語とするユーザーのサポートに観点を絞るとHTC VIVEの圧勝という事実は否定できません。
発売当初からほぼ完全な多言語サポートを完備させているところは世界に向けてスマホなど電気製品を製造・販売しているメーカーHTCが流石であると言わざるを得ません。ゲームをプレイするまでを比較するなら完全に日本語をサポートしたHTC VIVEのほうが日本人としては圧倒的に使いやすいです。
ただし『結局、VRゲームはどちらもほぼ英語』である点については注意が必要です。
両VR HMDでは”入口や過程”で日本語サポートの有無に差はありますが最終的にゲームをプレイする"出口"では結局、最低限の英語力は必要になります。ゲームまで日本語フルサポートを期待するならPC向けVRは現状では諦めてPS4とPS VRを購入するのが無難です。
またVR HMDの設定やセットアップを行うクライアントソフトやVRゲームの購入について、HTC VIVEではPCゲーム業界ですでに日本国内でも浸透しているSteamがプラットフォームになっています。すでにPCゲーム業界で浸透しているプラットフォームだけあって17年2月現在ですでにHTC VIVEに対応したVRゲームが1200タイトルを超えています。
一方でOculus Riftについてはメインプラットフォーム(クライアントソフト)はOculus Homeという英語のみに対応したソフトです。同プラットフォーム上ではVR対応ゲームとアプリは200~300程ですが、OculusはSteamクライアントにも対応しておりOculus Homeで販売されているものと一部被っていますが、600程の対応ゲームが存在します。
各VR HMDに対応したVRコンテンツの数から比較すると新規プラットフォームを育てる必要のあるOculus RiftよりもSteamを擁するHTC VIVEのほうがかなり優位であると言えます。
ちなみにVRカノジョは当然ゲームも日本語です。
・VRカノジョのベンチマークから見るおすすめグラボとPC
VR HMDの動作環境を比較。最適なPCスペック
HTC VIVEとOculus Riftの推奨動作環境について比較します。まず最初にPCに不案内な人のために魔法の言葉をお教えします。
VR HMDに対応したPCが購入したい人は、
〇〇(HTC VIVEかOculus Rift)に使用するPCを買いたいです。
CPUはi5 7500、GPUはGTX 1070、メモリは16GB、システムストレージは240GB SSD、
データストレージは500GB SSD、OSはWindows10 64bit Homeでお願いします。
このコピペで「サイコム」「TSUKUMO」「PCショップアーク」「ドスパラ」「パソコン工房」「マウスコンピューター」あたりのBTO PCメーカーに問い合わせればOKです。VRに対応するBTO PCについて詳しく知りたい人はすぐ下で紹介しているBTO PCのまとめ記事を参考にしてください。
具体的にVR HMDの動作環境について紹介していきます。
HTC VIVEとOculus Riftの推奨/最小動作環境についてはそれぞれ公式ページでも説明があります。両サイトでユーザーのPCがVR HMDに対応しているか調べるための互換性チェックツールが公開されています。
HTC VIVEの動作環境について:https://www.vive.com/jp/support//category_howto/840513.html
Oculus Rift1の動作環境について:https://support.oculus.com/help/oculus/1773584749575567/?helpref=hc_fnav
VR HMDの動作環境、おすすめPCスペック | |||
HTC VIVE | Oculus Rift | 管理人の推奨【17年】 | |
CPU | Intel® Core i5-4590 AMD FX 8350 |
Intel i5-4590以上 (4コア4スレッド) |
intel i5 7500 以上 (4コア4スレッド) |
グラフィック | NVIDIA GTX 970 AMD Radeon R9 290 |
NVIDIA GTX 970 AMD Radeon R9 290 |
NVIDIA GTX 1070 |
システムメモリ | 4GB以上 | 8GB以上 | 16GB |
ストレージ |
- |
- | システム:250GB データ:500GB以上 両方ともSSD |
ビデオ出力 | HDMI 1.4 or DisplayPort 1.2 |
HDMI 1.4 | VR HMDによる |
USBポート | USB2.0 × 1 | VR HMDのみ:USB3.0 × 2 or Oculus Touch使用: × 3 or ルームサイズ: × 4, 5 (+箱コン:USB2.0 × 1) |
VR HMDによる |
HTC VIVEについてはHDMIだけでなくDisplayPort端子をネイティブサポートしているのが特徴です。
ASUS STRIXなどHDMI端子を2基搭載したグラフィックボードもありますが、現行のVR対応の水準を満たしたグラフィックボードは「HDMI*1、DP*3」のビデオ出力構成が主流なので、4K TV(HDMI 2.0を使用)にPCを繋いでOculus Riftを使用するユーザーは注意してください。
またトラッキングの比較で詳しく説明しますがOculus RiftはUSB3.0端子を大量に要求します。USB3.0端子の不足はPCI-E拡張ボードで増設するかUSBハブで補うことで解消できます。
最重要となるPCのグラフィック性能についてですが、HTC VIVEとOculus RiftともにCPUには4コア4スレッドのi5以上(17年2月の現行CPUならi5 7500以上)、グラフィックボードには現行世代で言うとGTX 1060やRX 480/470のようにPCゲーム界隈における”ミドル帯”以上のゲームPCが必要になります。
”ミドル帯”なので一般的なPCなら対応可能なのか?と誤解される人もいると思いますが、
『普通の家電量販店に売っているPCではVR HMDをまともに動かすことはできません。』
VR HMDに対応可能な性能を有するPCは、ビデオ編集や3D CGをがっつり扱っている人でもなければPCゲーム用にPCを買おうと思わない限り、遭遇することはない類のPCです。GTX 1060やRX 480と聞いてピンとこない人は概ねVR HMD用に新しくPCを購入する必要があると考えてください。
VR HMDに対応したグラフィックボードの増設・換装やBTO PCの新調を検討している人には下の記事で必要な情報はまとめているので参考にしてください。
・おすすめグラボまとめ。予算・性能別で比較。各社AIBモデルの選び方
・おすすめBTO PCまとめ。予算・性能別で比較。カスタマイズ指南も
VR HMD本体を比較
HTC VIVEとOculus RiftのVR HMD本体について比較します。VR HMDのディスプレイの解像度とリフレッシュレートは「2160(1080*2)×1200、90Hz」でHTC VIVEとOculus Riftで同じ仕様です。VR HMDの液晶を見る時はレンズ越しになるため、各社でレンズの設定が違うためそれが理由で同じゲームでも見え方が異なります。管理人の体感ではOculusのほうが中心は若干クッキリしていますが、視野角が少し狭く、逆にHTC VIVEは中心にボケ感はありますが視野角が広いと感じました。HTC VIVEとOculus Riftはレンズの違いでそれぞれの見え方に若干特徴は出ていますが、どちらも似たような画質なので画質の違いについては特に気にする必要はないと思います。
VR HMDの重量については本体のみ(ケーブルなし、ヘッドバンドは含む)で比較してHTC VIVEが約495g、Oculus Rift CV1が約460gとなりました。HTC VIVEの初期ロットは560g以上あったのでOculus Riftに比べて装着感で劣るという評価も多かったですが、17年2月以降のロットでは30g差まで詰めておりHTC VIVEとOculus Riftで重量による装着感の違いはほぼ無視してよいと思います。
HTC VIVEのケーブルは発売当初は3本平行の極太きし麺ケーブルでしたが最近のロットではOculus同様に複数のケーブルを1本にまとめたスリムケーブルに更新されているのでケーブルの取り回しはどちらも似たような感じになっています。
ヘッドホンやイヤホンについては、HTC VIVEは3.5mmジャックやUSBヘッドセットに対応しています。
一方でOculus Riftについては専用ヘッドホン(VR HMDに付属)と専用イヤホン(別売り)に対応しています。
Oculus Riftの専用ヘッドホンやイヤホンも音質や使い勝手に問題があるわけではありませんが、こだわりがあってお気に入りのヘッドホンやイヤホンを使用したいユーザーは3.5mmジャックを使用できるHTC VIVEのほうがおすすめです。
HTC VIVEについては18年2月発売予定でワイヤレスキット「TPCAST Wireless Adapter for VIVE」がすでに発表されています。国内発売に先駆けて海外から輸入したのでレビュー記事をいち早く公開中です。
・HTC VIVEワイヤレス化キット「TPCAST Wireless Adapter for VIVE」をレビュー
VR HMDの専用コントローラーを比較
HTC VIVEとOculus Riftの専用コントローラーを比較します。専用コントローラーの比較 | ||
HTC VIVE |
Oculus Rift |
|
バッテリー | 内臓バッテリー | 単3電池 |
充電方法 | micro-USB | 電池交換 |
重量 | 403g | 316g |
XBOX ONEコン | なし | VR HMDに付属 |
HTC VIVEコントローラーが「VR空間で使えるデバイス」をコンセプトにしている一方で、Oculus Touchは「VR空間で手を再現する」ことをコンセプトにした機器なので直接的な比較は難しいというのが正直なところです。専用コントローラーについては一長一短ではありますが、VR内で手を再現するOculus Touchと違って、HTC VIVEの専用コントローラーは単純なスティック型デバイスなのでOculus Touchとはまた別の方向性で操作が直感的です。
Oculus Touchの場合は剣を振る、銃を撃つ前に「握る」という当たり前の動作をゲームが認識してくれるように入力する必要があります(もちろん慣れやゲーム側の設定でその意識は薄れてくるはずですが)。HTC VIVEコントローラーであればコントローラーがそのままVR内の剣や銃になるので、そういった意味で直感的であり自然な動作になります。Oculus Touchが不自然というわけでなく「The Climb」のように手を使って握ったりすることに意味のあるゲームであれば没入感は抜群に高まりますし、VIVEコントローラーとは違った「直感的な操作」になります。
Oculus TouchはVRゲーム「The Climb」のようにハマれば非常に革新的で新鮮な体験を提供してくれるデバイスなのですが、HTC VIVEに比べるとコンテンツ制作者側がどれだけその機能を活かせるかというところがネックになるように感じます。銃や剣をそのままVR空間で当てはめるような体験であればOculus TouchよりもHTC VIVEやPS VRのようなスティック型デバイスのほうが触覚的にも直感的で没入感は高いと思いました。
HTC VIVEのコントローラーは内臓バッテリーで動作しています。スティック部分の下部にmicro-USB端子が設置されており、この端子を使ってUSBケーブル経由でPCなどのUSB給電機能のある機器や付属のACアダプタ経由で充電を行います。コントローラーは2つあり基本的に2つ同時使用なので充電も同時に行うことになります。そのためACアダプタとケーブルを2組使用して2つのコントローラーを同時に充電するという少々面倒な充電事情になります。
17年7月に上海問屋から発売された「HTC VIVEコントローラー用マグネット着脱充電スタンド」が非常に便利なのでHTC VIVEユーザーにはおすすめです。
・「HTC VIVEコントローラー用マグネット着脱充電スタンド」をレビュー
Oculus Touchのバッテリーには市販の単3電池が採用されています。バッテリーパックの蓋はマグネット固定なので開けやすく外れにくいという適度な塩梅です。エネループの4本&充電器パックを購入すれば充電と使用で無限ループ可能なので専用コントローラーのバッテリー面ではOculus Riftに軍配が上がります。
あとOculus Riftでは専用コントローラーは別売りですが、Oculus Homeや設定画面を開くことのできる簡易リモコンとXBOX ONEコントローラー(北米版は無線アダプタ、国内版はUSBケーブル)が付属します。
箱コンと無線アダプタはPCゲーム用コントローラー(ゲームパッド)としては非常に使いやすく鉄板機種なのでHTC VIVEユーザーも個別に購入がおすすめです。
・XBOX ONEコントローラーとワイヤレスアダプタを検証機材に追加購入
トラッキング方法とセンサーの比較
HTC VIVEとOculus Riftのセンサーやトラッキング方法について比較します。HTC VIVEとOculus Rift CV1についてトラッキング面で簡単に比較表にまとめました。
HTC VIVEでは外部センサー(正確にはHMDがセンサーでベースステーションは赤外線の発信機)としてベースステーションを使用する「Lighthouse」というトラッキング手法が採用されています。
HTC VIVEのトラッキングでは、部屋に設置したベースステーションが一定周期で赤外線を照射しており、その照射角度をVR HMDに備え付けられたセンサーが検知、それを逆算することでトラッキングしています。HTC VIVEのベースステーション自体はPCと全く通信をしていないのでコンセントから電源を取るだけでOKというのがHTC VIVEのトラッキング方式です。
トラッキング精度と範囲が広いというメリットのある「Lighthouse」ですがトラッキングスペースの対角上にベースステーションを設置する必要があるので初期導入の設置が大変というデメリットもあります。
Oculus Riftについては赤外線カメラを外部センサーとしてVR HMDや専用コントローラーの写真を撮影し、その画像解析から位置を逆算するというトラッキング手法が採用されています。HTC VIVEとは逆にセンサーをPCに接続する必要があります。
単純な画像解析なのでモニタ横などに専用センサーを置くだけでいいという手軽さがメリットです。ただしVR HMDだけであれば必要なセンサーは1基だけですが、専用コントローラーを使用する場合はセンサーが2基必要になります。範囲内であればトラッキング精度に問題ないのですが、センサー1つのトラッキング範囲がやや狭く、ルームサイズのトラッキングを行う場合はセンサーが3つか4つ必要になります。
センサーが少ないうちは手軽さがメリットですが、ルームサイズではセンサーが3,4個必要になり逆にHTC VIVEのほうが設置が楽になってしまいます。USB3.0端子を多数要求しますしUSB3.0の相性問題もあるのでその点がデメリットです。USB3.0端子の不足はPCI-E拡張ボードで増設するかUSBハブで補うことで解消できます。
トラッキング技術については今のところHTC VIVEのほうが優れていると見る人が多いようですが、Oculus Rift CV1も実用レベルには余裕で達しています。管理人としては甲乙つけがたいというのが正直な感想です。バックパック型PCで使用するとかかなり特殊な理由を除けば、HTC VIVEとOculus Riftで迷っていてトラッキングを理由にどちらかを選ぶというのはあまりお勧めできない選び方だと思います。
センサーの設置方法についてはこちらの記事で便利なグッズを紹介しています。
・Oculus RiftやHTC VIVEのセンサー固定におすすめなグッズを紹介
・HTC VIVE ベースステーションの電源管理にリモコンでON/OFF可能な電源タップがおすすめ
HTC VIVEとOculus Riftのレビュー記事
・HTC VIVEのレビュー記事・Oculus Rift CV1&Oculus Touchのレビュー記事
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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