100台以上のグラフィックボードを検証・レビューしてきた経験から、グラフィックボードの買い替えや初めてのグラボ購入を検討しているユーザー向けに、3Dグラフィック性能や価格帯をおおよそ決定するGPUを選んだ後のオリファンモデルの選び方、そもそもオリファンモデルとは何なのか、解説していきます。
近年では同じGPU搭載でも、フルホワイトカラーとか、クリエイター向けのスマートデザインとか、豪華なARGB LEDイルミネーション搭載とか、見た目にこだわったオリファンモデルが多数発売されています。
”この見た目が好き”と決め打ちされると口の出しようがないのですが、見た目以外の要素について、性能の優劣を決める要素などオリファンモデルの選び方を紹介します。
目次
1.性能と価格帯はGPUでおおよそ決まる
2.オリファンモデルとは同じGPUコアの各社差別化
・補足:リファレンスモデルって何?
3.オリファン(AIB)モデルの選び方
・寸法と補助電源、そもそも設置できるのか?
・近年のオリファンモデルでファクトリーOCは誤差
・オリファンモデル選びで最も重要なのは静音性
4.当サイトのグラフィックボード レビュー
5.余談:オリファンのメーカー・シリーズ評価(独断と偏見)
細かい解説は飛ばした、予算と性能で決める簡単なグラボ選びについてはこちらの記事で紹介しています。
性能と価格帯はGPUでおおよそ決まる
まず最初にグラフィックボードを作っている会社とGPUコアを作っている会社は厳密には違います。
デスクトップPC向けのGPUコアを作っている会社はNVIDIAとAMDの2社です。2022年末頃からIntelもゲーム用GPUに参入していますが、ハウツー系の記事を読む層は今のところ無視していいやつです。
GPUの型番(NVIDIA GeForce RTX 4070やAMD Radeon RX 7700 XTなど)でグラフィックス性能が決まります。そして、おおよその価格帯も。
2023年第4四半期現在の傾向はだいたいこんな感じです。
まず、予算や必要な性能からGPUの型番を絞り込み、それから各AIBパートナー/グラボメーカーのどのオリファンモデル(ASUS ROG STRIX、MSI GAMING X、ZOTAC Trinityなど)にするかを選べぶ、という順番です。
オリファンモデルは見た目の好み、寸法と補助電源の数、そして事前にレビューを調べられるなら静音性を基準に選べばOK。
グラボにおける”安かろう悪かろう”(同じGPUのオリファンモデル同士の価格差)とは、せいぜいGPUクーラーのコストダウン(静音性が低い)程度のものでです。
リファレンス仕様がある以上、グラフィックボード基板も必要十分な実装はされるので廉価モデルだから動作が不安定ということはまずありません。
オリファンモデルとは同じGPUコアの各社差別化
簡単に言うと、オリファンモデルとは各GPUを搭載したグラフィックボードのメーカーによる差別化です。
GPUメーカーからGPUコアの提供を受けてASUS、MSI、GIGABYTE、ZOTAC、SAPPHIREなど国内でも有名な各社(ベンダー、AIB/AICパートナー、グラボメーカー)がグラフィックボードを作成し、一般市場で販売しています。
GPUメーカーが定めるリファレンス準拠やオリジナルの基板を作成し、上の写真で左側のGPUコアを基板に乗せると右側のグラフィックボード基板(VRAMメモリチップやVRM電源回路も実装されている)になり、グラフィックボード基板へさらにGPUクーラーを装着すれば、よく見るグラフィックボードの完成です。
各グラボメーカーは同じGPUで差別化のためにオリファンモデル(AIBモデル)を製作します。
オリジナルGPUクーラーを搭載したり、オリジナルグラフィックボード基板を採用したり、GPUメーカーのスペックより高性能になるよう出荷時オーバークロック(ファクトリーOC)を施したり。
同じGPUコアを搭載する各メーカーのオリファンモデルの違いは大きく3つです。
1.GPUクーラーが違う → グラボの寸法が変わる、冷却性能・静音性に影響
2.基板が違う → 補助電源の数が増える(GPUコア仕様より減ることはない) あとVRM電源回路の強化がOC耐性に多少影響。
3.GPUのBIOSが違う → デフォルトでOCされ、リファレンス仕様より性能が上がる(近年では実勢能はほぼ誤差)
補足:リファレンスモデルって何?
AMDやNVIDIAもAIBパートナー各社にGPUコアを卸すだけでなく、各GPUについて一般にリファレンスモデルと呼ばれるグラフィックボードを最初に供給します。
このリファレンスモデルは各GPUコアの仕様通りのGPUクロックやメモリクロックで動作し(ファクトリーOCは施されていない)、共通のグラフィックボード基板、GPUクーラーで構成されています。
AIBパートナー各社が最初に投入するリファレンスモデルはパッケージや付属品が異なるだけの”箱詰め品”でグラボ本体は同じものです。
以前は2010年代前半頃まではそういう流れでしたが、近年ではリファレンスモデルの流通は非常に限定的です。AMDやNVIDIAの公式通販がない国内では特に。
GPUコアメーカーとしてシェアが大きいNVIDIAのリファレンスモデル、Founders Editionは日本国内だと正規ルートでは購入できず、入手方法は個人輸入やPR抽選キャンペーンなどに限られています。
AMDは現在もリファレンスモデルの箱詰め品が存在するものの、2022年以降の最新GPUではオリファンモデルと同時に販売が解禁されています。
現在ではリファレンスモデルもオリファンモデルの一種、もしくはGPUコアの仕様に忠実なGPUコアメーカー製のオリファンモデルくらいの認識でOKです。
オリファン(AIB)モデルの選び方
各種GPUを搭載したオリジナルファンモデル(オリファンモデル、AIBモデル)の違いや選び方について紹介していきます。
寸法と補助電源、そもそも設置できるのか?
まず大前提として『そもそも、そのオリファンモデルを設置できるのか』、寸法と補助電源の数を確認してください。
『グラフィックボードの寸法』について、全長や厚み(占有PCIEスロット数)はPCケースに収まるか、他の拡張カードと干渉しないか、多くの人が気にするところなので問題ないと思います。
グラフィックボードの厚み、占有PCIEスロット数については使用するPCIEブラケットの数だけでなく、GPUクーラー自体の厚みにも注意してください。
下写真の右のようにPCIEブラケットから大きくはみ出していれば一目で2スロット以上と分かりますが、中央のように数mmだけPCIEブラケットからはみ出すオリファンモデルもたまにあります。数mm程度でもPCIE拡張カード同士で干渉して下段のPCIEスロットが使用できない可能性があります。
もう1つ見落としやすいポイントとして、オリファンモデルはPCIEスロットよりも背の高いグラフィックボード基板やGPUクーラーを採用しているものが多いので若干注意が必要です。
背の高い(幅の大きい)オリファンモデルは、グラボの側面そのものやPCIE補助電源ケーブルと干渉してPCケースのサイドパネルが閉まらない可能性もあります。
PCケースも新調する場合は、近年では横幅の大きい設計が主流なので干渉することは滅多にないと思いますが、古めのPCケースでグラフィックボードだけ換装しようと思っている人は注意してください。
実際にグラフィックボードを増設する手順も含めて、寸法関連の注意事項を紹介しているので、こちらの記事も参照してみてください。
『補助電源』について、各GPUコアで最低限必要な数は決まっていますが、各メーカーが施しているファクトリーOC設定を安定させるため、オリファンモデルではリファレンス仕様の補助電源数よりも多くの補助電源が必要な場合があります。(逆にリファレンス仕様よりも少ないことはない)
購入を検討しているオリファンモデルのスペックやサンプルイメージを見て、自分PCの電源ユニットから伸びているPCIE補助電源コネクタが足りるか確認してください。
PCIE 8PINもしくはPCIE 6PINの補助電源コネクタの規格そのものについては、ここ10年間で変更はありません。数量だけ足りているかどうか気にすればOKです。
近年ではアッパーミドル帯のGPUでもTGP200W超でPCIE補助電源として8PIN×2を要求するものが増えており、またTGP300W超のハイエンドGPUに大幅なファクトリーOCが施された各メーカー上位オリファンモデルの中には8PIN×3を要求するものも存在します。
もしも電源ユニットの補助電源コネクタが足りない場合は、電源ユニットを買い替える、もしくは応急処置的にAmazonとかでも売られている補助電源変換ケーブルを購入すれば対応可能です。
個人的には補助電源ケーブル(PCIE 8PINの数)が不足するなら電源容量も怪しい気がするので電源ユニットの買い替えをお勧めします。
電源ユニットについては下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
・自作PC電源ユニット(PSU)の徹底解説とおすすめ電源の選び方
あと、NVIDIA製GPUの2023年最新モデルであるGeForce RTX 40シリーズ、その中でもRTX 4070 Ti以上の上位モデル(RTX 4070も一部)では、補助電源コネクタとして新規格の”12VHPWR”が採用されていることがあります。PCIE5.0電源と呼ばれることもあります。
12VHPWRはコネクタ溶解ネタが話題になることもありますが、『挿し込み不足』が問題発生の原因です。ちゃんと使用すれば問題ありません。詳しくはこちらの記事で。
12VHPWRは従来のPCIE 8PIN/6PINとはコネクタ形状が異なるのでグラフィックボードに直接接続するには12VHPWR電源ケーブルが付属する対応電源ユニットが必要です。
ただしGeForce RTX 40シリーズに関しては基本的に全てのグラフィックボードに従来のPCIE 8PIN補助電源に変換するドングル(2~4個を使用)が付属するので、PCIE 8PIN補助電源の数量さえ足りていれば、使用すること自体は問題ありません。
近年のオリファンモデルでファクトリーOCは誤差
GPU性能についてはGPUコア仕様やコアクロックなど公式ホームページで公開しているカタログスペックの通りで、GPUコアが同じであれば動作クロックが高いものほど高性能になります。
ただしNVIDIAとAMDともに近年のGPUではファクトリーOCによるリファレンス仕様との差、実際のPCゲーミングにおけるフレームレートの違いは数%程度で大きくありません。(GPUコアの個体差に埋もれるレベル)
各メーカー最上位製品でも10%に届くかどうかというところで、GPUコアそのもののランクを下克上するような差が生まれることはありません。
加えて製品仕様としてファクトリーOCが施されたブーストクロックが製品仕様で公表されていますが、近年のGPUにおいて実際の動作クロックは、ブーストクロックの仕様値ではなくGPU各個体のV-Fカーブ(所謂、個体差や低電圧特性)、動作中のGPU温度の方が支配的です。
メーカーによる選別が行われているはずなので公表されているブーストクロックも購入者が各自でさらにOCするというならOC耐性の指標にはなりますが、前述の通り手動OCしても性能向上はたかが知れています。
アウトボックスでの性能を比較すると各メーカーから公表されているブーストクロックに比例しないことも多いので、オリファンモデルをファクトリーOC、つまりグラフィック性能の違いで選ぶというのは近年ではあまり意味がありません。
AIBパートナー各社のオリファンモデルについては、GPUクーラーの性能(レビューをチェックするのが重要!)、PCケース内部に収まる寸法かどうか、そして単純に外見の好み、を基準に選ぶのがオススメです。
オリファンモデル選びで最も重要なのは静音性
一昔前と違ってファクトリーOCも誤差程度の違いしかないので、近年のオリファンモデル選びで最も重要になるのは『GPUクーラーの静音性』です。
ただ、寸法や補助電源といったカタログスペックを見れば分かる製品仕様と違って、ことオリジナルGPUクーラーの冷却性能や静音性については公式情報から推し量るのが難しく(製品メーカーは当然ですがポジティブな面をアピールします)、情報サイトや個人のレビュー結果を漁るしかありません。
「よく冷えました」とか「静かです」とか言われても参考にし難いので、GPUクーラーの性能については一定時間、少なくとも5分以上に渡ってフル負荷をかけた時の「ファン回転数」のデータを探してみてください。
GPUクーラーの静音性の評価の目安としては、長期的な負荷に対してファン回転数が1200~1500RPM前後で安定動作するなら良好な性能、1000RPM以下で動作するならアウトボックスで非常に高静音なクーラーです。
以前は「GPU温度」もチェック対象だったのですが、80度以上でオーバーヒート気味になるオリファンも滅多に見なくなったので、アウトボックス状態の静音性だけなら「ファン回転数」を見ればだいたい分かります。
厳密に言うとGPUクーラーの性能はGPU温度とファン速度の両方の数字のバランスが重要なので、上記の目安はあくまで”アウトボックス状態で”の静音性の評価です。
製品公式ページで記載があったり、画像検索でレビュー記事等のGPUクーラー分解写真が見つかるなら、GPUコアとヒートシンクとの接触部分は銅製ベースプレート(左)のほうがヒートパイプダイレクトタッチ(右)よりも冷却性能が安定して高いものが多いです。
ヒートパイプダイレクトタッチでも良く冷えるものもありますが、GPUコアに対してヒートパイプ数が少なくていまいち冷えない製品もあるので、銅製ベースプレート採用GPUクーラーのほうが安心感はあります。
例えば、GeForce RTX 3080のようにグラフィックボード消費電力が300Wを超えるハイエンドGPUとなると、空冷では3スロット占有大型クーラーでもGPUコア温度は70~80度に達しますが、簡易水冷クーラーであればラジエーターの設置スペースを確保する必要があるものの、GPUコア温度を50度前後という非常に低い温度で運用できます。
また最新GPUはGPUコア温度が低いほど高いコアクロックで動作する仕様です。冷却性能の高い簡易水冷グラフィックボードは空冷よりも高いコアクロックで動作できるので、性能(PCゲームのフレームレート)においてもメリットがあります。
当サイトで公開中のグラフィックボードのレビュー
当サイトではGPUクーラーの性能評価において上で紹介したようなストレステスト中のソフトウェアモニタリングだけでなく、サウンドレベルメーター(騒音計)を使用した最大負荷時のファンノイズ測定や、実際にPCケースに組み込んだ時のGPU温度とファン速度のチェック、サーモグラフィーを使用してVRM電源やVRAMチップなどGPUコア以外の周辺回路の温度検証も行っています。
各GPUのグラフィック性能についても、10種類以上の最新PCゲームを使用してベンチマーク測定を行い、個別ゲームタイトルに関する比較やそれらの平均から算出したGPU/グラフィックボードの性能比較を掲載しています。
2023年最新GPUであるNVIDIAのGeForce RTX 40シリーズやAMDのRadeon RX 7000シリーズについて詳細なレビュー記事を多数公開しています。
・GeForce RTX 40シリーズのレビュー記事一覧へ
・Intel Arc A770/A750のレビュー記事一覧へ
当サイトのGPU別レビュー記事一覧については下記リンクを利用してください。
余談:オリファンのメーカー・シリーズ評価(独断と偏見)
『オリファンモデルとは各GPUを搭載したグラボの差別化要素』であり、『選ぶ時に重視すべきポイントは、主に静音性と見た目』、そして『静音性の評価は実機レビューを探す』というのが上で説明してきた内容、オリファンモデルの選び方のまとめとなります。
ただ、それだけだと内容として味気ないので、累計100台以上、NVIDIA GeForce RTX 40/30シリーズだけでも50台近いグラフィックボードを検証してきた経験から、グラボメーカーや各社シリーズ/ブランドの個人的な評価をいくつか紹介しておきます。
繰り返しますが、この章で語るのは管理人の独断と偏見による評価です。
実際には同じメーカー、同じシリーズでも製品毎に設計やファン速度チューニングは変わるので、上で説明した通り、購入の最終決定前に実機レビューを探してください。
ASUS / TUF
グラボメーカー ASUSから発売されているTUFシリーズについては、静音性でハズレがない、というか当たりしかないくらいの印象で、個人的にはかなり高評価です。
『オリファン選びで迷ったら、ASUS TUF』と言っても過言ではないくらい。
ただミドルからアッパーミドルでも全長や占有スロット数のサイズは大きめなのでPCケースに収まるかは注意が必要ですが。
価格は各GPUを搭載したオリファンモデルとしては中間かやや下寄りくらいな感じ。非ファクトリーOCモデルだとMSRP下限価格なこともあるので、そういう時は狙い目な製品です。
ASUS / ROG STRIX
続いてグラボメーカー ASUSから発売されているROG STRIXシリーズ、自作PC歴があればゲーミングブランドとして知らない人はいないくらい知名度があります。
ただオリファンモデルのシリーズとしては個人的にはあまり評価は高くありません。ROGやSTRIXのブランドファンが指名買いする製品、というイメージです。
まず価格は高いです。同じGPUを搭載したオリファンの中でも1,2を争う高価な製品になります。
GPUクーラーは下位モデルTUFより豪華ですが、ファクトリーOCで電力制限が引き上げられていることも多く、アウトボックスだと小さい性能差の割に、TUFのほうが静かで使い易い、ということもしばしば。
あとOC耐性重視でグラフィックボード基板への実装は豪華なのですが、反面?なのか、コイル鳴きが強い印象があります。ググってヒットする情報も多いですし、個人的にも何度か経験しています。
外観がめっちゃ気に入った、とかでなければASUSならTUFがオススメです。
MSI / GAMING X (TRIO)
グラボメーカー MSIのGAMING Xは、最近だと3連ファンGPUクーラーでGAMING X TRIOの名前が付くことが多い、上で紹介したASUS TUFのMSI版的な評価です。
静音性については基本的に評価は高いのですが、同社からSUPRIMというハイエンドブランドが登場して以降、GPUクーラーのコストカットが若干目立つようになっています。それでも静音性は高いですが。
またASUS TUFと比較すると価格は少し高めの位置づけです。同社からはVENTUSという下位シリーズが発売されていることもあって、MSRP下限で販売されることも基本的にありません。
ハズレを引くことは滅多にないけど、一応、購入前にレビューは確認しておきたい、くらいの製品。
MSI / SUPRIM
グラボメーカー MSIのSUPRIMシリーズはここ数年で新たに登場したハイエンドブランドです。クリエイター向け製品と言っても通じそうなスマートな外観が特徴。
コストカットされていないGAMING Xというか、ASUS TUF同様に静音性ではハズレがない印象です。
各GPUで見ると価格は高めですが、メーカーのハイエンド製品にしては価格も控えめ、入手性も高いので、ASURのROG STRIXやGIGABYTE AORUSなど有名どころのハイエンドモデルの中では個人的に一番オススメです。
MSI VENTUS
グラボメーカー MSIのVENTUSシリーズは各GPUのMSRP下限で販売されることの多い安価モデルです。
静音性には当たりハズレがあるシリーズなので、要レビュー参照というのが正直な評価です。
価格が安いことは間違いないので、レビューを見て問題なさそうならコスパ重視で突撃する感じ。
ZOTAC / Twin Edge
ZOTACのTwin Edgeシリーズはアッパーミドル以下の各GPUにおいてMSRP下限で販売されることの多い安価モデルです。
”Twin”の名前の通り2連ファンGPUクーラー搭載なのですが、全長200mm前後で2連ファンGPUクーラーとしてはコンパクトです。
Mini-ITX対応モデルがないGPUのオリファンモデルなら最小サイズになることも多いので、サイズ制限の大きい既存環境のアップグレードやコンパクトPCを組む時に重宝します。
GPUクーラーの設計は比較的に良い印象ですが、ファン速度チューニングが冷却性能重視で、Afterburner等を使用して速度調整しないと静音性はあまり良くないこともあるので、レビューは参照した方がいいシリーズです。
ZOTAC / AMP、AMP Extreme
ZOTACのAMPについてはハイエンド帯GPUの下限MSRPなモデル。入手性は高いものの、静音性は普通です。良くもなく、悪くもなく。
最上位ブランドのAMP Extremeは、GTX時代の登場当時は3スロット占有300mm超の超大型モデルが少なく、高静音な”超弩級”モデルとして魅力だったのですが、最近は他メーカーからも大型モデルが出ていて特別感はありません。
また当時は実際に性能向上も大きかったファクトリーOCも現在では誤差なので、同社でもAMPとの差別化が見た目くらいしかない印象です。
あと各社がウィングブレードファンを採用するなか、従来型のファンを採用し続けており、ハイエンド帯では静音性で一歩遅れている感も。
GeForce GTX時代末期のAMP Extremeを知っている人からするともっと頑張って欲しいブランドです。
GIGABYTE
GIGABYTEについて、実は同社のグラボは触った件数が少なく情報不足です。
RTX 40シリーズでは全長261mmで最小サイズなRTX 4070 Tiとか、ロープロファイル対応のRTX 4060とかを発売していて面白いメーカーです。
ただ、同社のハイエンドゲーミングブランドAORUS以外は、静音性が高いというイメージが個人的にはありません。AORUSはAORUSで他社のハイエンドと比べてもメチャくちゃデカいのでまあ冷えて静かなのは当然かなと。
あと直近では海外レビューがソースですが、RTX 4060でヒートパイプ1本、ファン速度が3000RPM前後の微妙なオリファンを投入して悪いイメージが…。
悪くはないのですが、同じMBも作っているメーカーのASUSやMSIと比べると、ASUS TUF、MSI GAMING Xと肩を並べるような安定した中堅シリーズはないな、という感想です。
Palit、Gainward
国内ではドスパラ専売のPalitと、アスク・NewXが代理店を務めるGainwardについては、GPUクーラー外装が異なるだけでGPUクーラーや基板といったグラフィックボードのメイン部分は共通なオリファンモデルが多数存在します。
Palitのほうは各GPUのオリファンモデルとして最安値で販売されることも多いので、レビューも見つかり易いかと。ドスパラのBTO PCに組み込まれるのも基本Palit製ですし。
RTX 4080などTGP250Wを超えるハイエンド帯では飛び抜けて良くもなく悪くもなく、標準的な印象。レビュー見て決めて欲しい感じです。
逆にRTX 4060などミドル以下では数を売る分スケールメリットが効いているのか、安価モデルでもヒートパイプ数や銅製ベース採用といった構造面で良いことも多く、コスパ重視なら狙う価値があると思います。
あとRTX 40世代についてはRTX 4060 Tiで数少ないITX対応モデルが出ています。
PNY
グラボメーカー PNYについては、GPUクーラーが独自設計の場合と、Palit/Gainwardと共通の場合の2パターンあります。
GeForce RTX 4090~4070 TiのXLR8シリーズは独自設計のパターンとなっており、当サイトでレビュー記事を公開している通り、静音性は各GPUでトップクラスです。
RTX 4070などアッパーミドル以下ではPalit/Gainwardと共通設計のパターンが多くなり、Palit/Gainwardのオリファンモデルの評価に準じる、というか個別のレビューを探して、という感じです。
SAPPHIRE(サファイア)
AMD製GPUのグラフィックボードのだけを製造しているメーカーで、AMD製GPUのグラフィックボードを購入するならまず最初に検討すべき、と言っても過言ではありません。
各GPUでスタンダードなPULSEとハイエンドのNITROの2つが主に展開されていますが、どちらも静音性は非常に良好という印象です。
NITROはLEDが豪華だったり、ファクトリーOCがPULSEとの違いなので、価格重視ならPULSEで十分だと思います。
PowerColor
SAPPHIRE同様にAMD製GPUのグラフィックボードのだけを製造しているメーカーです。
国内では代理店のアユートがPowerColor製品を取り扱っていますが、実は代理店CFDのブランド玄人志向から発売されているAMD製GPUのグラフィックボードはPowerColor製品の箱詰め品だったりします。
PowerColorの廉価モデルは比較的にコンパクトなことが多いので、ミドルクラスのAMD製GPU搭載グラボを買う時は個人的にも良く選ぶメーカーで、静音性もSAPPHIRE製品と遜色ない印象です。
以上、『グラボGPUを選んだ後のオリファンモデルの選び方』でした。
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性能や価格帯をおおよそ決定するGPUを選んだ後のオリファンモデルの選び方や、そもそも優れたオリファンモデルを決める要素は何なのか解説します。https://t.co/1YbwULUATQ
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) January 2, 2024
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