AMDから超解像技術 FSR(FidelityFX Super Resolution)の最新バージョンとして、中間フレーム生成に対応したFSR 3が正式発表。
ゲーム実装なし、ドライバレベルで汎用的に使用できるFluid Motion Frames for AMD HYPR-RXも!
AMDから超解像技術 FSR(FidelityFX Super Resolution)の最新バージョンとして、中間フレーム生成に対応したFSR 3が発表されました。
ゲーム側に実装された対応タイトルでのみ使用できるFSR 3に加えて、Radeon RX 7000/6000など最新のAMD製GPU環境ならゲーム実装なし、ドライバレベルで汎用的に使用できるFluid Motion Frames for AMD HYPR-RXも同時に発表されています。
AMD FSR(FidelityFX Super Resolution)はその名の通り、AMD FidelityFXに属する機能の1つであり、AMD GPUOpenでオープンソース化されており、AMD製GPU環境に限定されず、マルチプラットフォームに対応する機能です。
AMD FSRはフルHD解像度のフレームを4Kなど高解像度へアップスケールする機能として初出し、その後、FSR 2では前フレームの情報も使用するTemporal Upscalingを導入し、アップスケール特有のねむい感じのボケ感を解消していました。(さらにマイナーアップデートのFSR 2.2ではTemporal Upscalingによって生じる残像を低減)
今回発表されたFSR 3は”AMD Fluid Motion Frames Technology”という中間フレーム生成機能をメインとして、さらなるフレームレート向上を果たしています。(RX 500シリーズ以降途絶えていた動画の倍速補間機能 Fluid Motionの名前も使用されており、AMD GPUユーザー的には感慨深い名前です)
もはや超解像:Super Resolutionではありませんが、FSRも高解像度化ではなく、ネイティブレンダリングせずにフレームレートを向上させることが主目的でした。解像度・画質とフレームレートはトレードオフな関係ですし、AMD FSRにせよNVIDIA DLSSにせよ、”高解像・高画質化もできるフレームレート向上技術”の総称という理解で良いと思います。
FSR 3では従来の超解像アップスケールに加えてFluid Motion Framesによる中間フレームを生成することで、単純なアップスケールのみと比較して2倍近いフレームレート向上を実現します。
一例として、Radeon RX 7900 XTXの場合、FORSPOKENをレイトレーシング表現も有効にして4K解像度でネイティブレンダリングすると平均FPSが60FPSを下回るようなシーンでも、FSR 3(超解像&中間フレーム生成)を使用すれば、平均175FPSまで引き上げることができるとのこと。
NVIDIA DLSS 3(DLSS Frame Generation)とReflexのように、Fluid Motion Framesによる中間フレーム生成には、AMD独自の低遅延化機能 AMD Anti-LAGもセットでゲームに組み込まれる仕様になっているので、テレビ機能の倍速補間で生じるような大幅なラグはなく、高解像度・高フレームレートと低遅延を両立できます。
またAMDによると最新のRadeon RX 7000シリーズのみで使用可能な”AMD Anti-LAG+”を今後のGPUドライバ AMD Software Adrenalin Editionのリリースで追加予定とのこと。(RX 6000シリーズ以前のGPUはFSR 3で従来のAnti-LAGを使用)
もう1つ、FSR 3の新機能としてNative AA Modeが追加されます。従来のFSRで超解像度化と一緒に高品質なアンチエイリアスや先鋭化も適用されていましたが、Native AA Modeでは超解像度化は行わず、アンチエイリアスや先鋭化だけを適用します。
ネイティブ解像度レンダリングにFSR譲りの高画質化技術を適用しつつ、Fluid Motion Framesによる中間フレーム生成で高いフレームレートは確保できる、という具合です。
(NVIDIA DLSS 3も中間フレーム生成と超解像度化は個別にON/OFFできますし、超解像化せずにアンチエイリアスだけを適用するDLAAもあるので、AMD FSR 3も同じようにユーザーが任意に機能の組み合わせを選べる)
FSR 3、というか中間フレーム生成機能 Fluid Motion Framesは、従来のFSR同様にAMD GPUOpenでオープンソース化されると明言されており、AMD製GPU環境に限定されず、マルチプラットフォームに使用できます。
ただし自作PC向けグラフィックボードについては使用可能な世代に制限があるようで、AMD製GPUの場合はRadeon RX 5000シリーズ、NVIDIA製GPUの場合はGeForce RTX 20シリーズより新しいものである必要があるとのこと。
中間フレーム生成機能 Fluid Motion Framesは、NVIDIAのDLSS 3(Frame Generation)と違ってAI実行ユニット(テンサーコア)を必要としませんが、ゲームから取得できるMotion Vector(3Dオブジェクトのピクセル単位での位置や向きの履歴)だけでなく、Optical Flowも使用して中間フレームを生成するようです。
NVIDIAはDLSS 3の導入に当たって、Optical Flowを使用せず、Motion Vectorのみによる中間フレーム生成では誤った影やライティングを再生成してしまうと指摘していました。
AMD FSR 3も高品質な中間フレーム生成のためOptical Flowを使用しており、そのためサポートするGPUが比較的に新しい数世代に限定されているのだと思います。
AMD FSR 3については、FORSPOKENとアヴェウムの騎士団(Immortals of Aveum)の2つが、今秋のアップデートで初めて対応するタイトルになると発表されています。
その他にもCyberpunk 2077や発売予定のアバター:フロンティア・オブ・パンドラといったメジャータイトルも対応が公表されています。従来のFSR同様に多くのゲームメーカーから支持され、ゲームエンジンのUnreal Engine 4/5もFSR 3をサポートするとのこと。
中間フレーム生成機能に関してはもう1つ大きなトピックとして、AMD製GPUドライバソフトウェアに組み込まれ、FSR 3として実装されていないゲームでもドライバレベルで中間フレーム生成機能 AMD Fluid Motion Frames(AFMF)が発表されています。
9月末には任意のDirectX 11/12のゲームでAFMFが利用できるプレビュードライバの配信も始まりました。
ただゲーム側実装のないドライバレベルの動作なので、当然モーションベクタすら取得できず(Optical Flowだけで生成する?)、生成される中間フレームの品質は気になるところです。
動的解像度、超解像、低表示遅延の機能を組み合わせたワンクリックで性能向上できるドライバ機能 AMD HYPR-RXにも、AMD Fluid Motion Frames(AFMF)は組み込まれています。
製品公式ページ:https://www.amd.com/ja/technologies/fidelityfx-super-resolution
解説ブログポスト:https://community.amd.com/t5/gaming/first-look-at-amd-fidelityfx-super-resolution-3/ba-p/626581
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