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プロフェッショナル向けNVIDIA RTXシリーズからAda Lovelace世代のアーキテクチャを採用、TGP70Wで補助電源不要、ロープロファイルにも対応するスモールフォームファクタのコンパクトGPU「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」をレビューします。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」が、ゲーマー向け製品のGeForce RTX 4070やGeForce RTX 3070/3060/3050と比較してどれくらいの性能を発揮するのか、実ゲームのベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
製品公式ページ:https://www.nvidia.com/ja-jp/design-visualization/rtx-4000-sff/
代理店公式ページ:
https://www.ask-corp.jp/products/nvidia/nvidia-quadro/nvidia-rtx-4000-sff-ada.html
https://www.elsa-jp.co.jp/products/detail/nvidia-rtx-4000-sff-ada/
NVIDIA RTX 4000 SFF Ada レビュー目次
1.NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの外観
2.NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの分解
3.NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの検証機材・GPU概要
4.NVIDIA RTX 4000 SFF Adaのゲーム性能
5.NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの温度・消費電力・ファンノイズ
6.NVIDIA RTX 4000 SFF Adaのレビューまとめ
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの外観
早速、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を開封していきます。「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」の付属品はMini DP to DP変換アダプタ、フルハイトPCIEブラケットです。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のGPUクーラーの外装は黒色プラスチック製です。GPUクーラー正面はマットな表面加工ですが、上下側面はツヤツヤな鏡面になっています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」は全長169mmです。PCIEスロットよりも20mm程度長いだけのサイズとなっており、Mini-ITXマザーボード環境にも余裕で収まります。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」は標準ではロープロファイルのPCIEブラケットが装着されており、グラフィックボード基板やGPUクーラーの高さはロープロファイルPCIEブラケットと一致しています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」に標準で装着されているPCIEブラケットはロープロファイルのものですが、フルハイトのPCIEブラケットも付属しており、各自で交換が可能です。
ただしPCIEブラケットの交換にはT6とT8のトルクスドライバーが必要になります。
PCIEブラケット上のT8ネジ 2個と、PCIEブラケットすぐ傍のバックプレート上にあるT6ネジ 2個を外し、バックプレートの隙間を作るため、奥にある2つのネジを少し緩めると、装着済みのPCIEブラケットが外れます。
同じAdaアーキテクチャでCUDAコア数の近いGeForce RTX 4070を搭載したグラフィックボード(全長247mm)と比較して、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」は圧倒的にコンパクトです。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のGPUクーラーには右端に35mmサイズのブロアーファンが設置されています。ブロアーファン正面から吸気して、GPUクーラー内のヒートシンクを通り、PCIEブラケットからケース外へ排気するエアフロー構造です。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」はPCIEスロットを2スロット占有します。隣接するPCIE拡張ボードによってブロアーファンの吸気面が完全に塞がることがないように、GPUクーラーの幅は2スロットちょうどよりも数mm小さくなっています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」はTGP70WのGPUとなっており、PCIE補助電源を必要としません。
補助電源もないので、PCIEブラケットのすぐ傍にだけQuadro Sync 2用、ステレオシャッター用のコネクタが実装されてるのを除けば、グラフィックボード側面は基本的にGPUクーラー外装で埋まっています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のビデオ出力はMini DisplayPort1.4×4の4基が実装されています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のビデオ出力はいずれもMini DisplayPortですが、通常サイズのDisplayPortに変換するアダプタが1つ付属しています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」に付属するMini DP変換アダプタはMini DP側にロック構造がありPCIEブラケットの穴にツメを引っ掛ける形で誤って抜けるのを防止できます。
このロック構造付きの変換アダプタについてはプロフェッショナル向けNVIDIA製GPUの取り扱いがあるLenovo公式通販、ELSA公式通販などで同じものが販売されています。
なお正規取り扱い品ではありませんが、Amazonマーケットプレイスでも700~1000円程度で付属品に似た変換アダプタ(Lenovoのと同じもの?)が販売されています。
試しに購入してみたところ、付属品と比べてケーブルが若干短かったり、いくつか差異があるものの、長さ2mのケーブルと組み合わせてDisplayPort 1.4(DSC)で4K/144Hz/HDR 10bit RGBが正常に動作しました。信頼性重視ならELSAかLenovoから購入するのが推奨ですが、安いのとプライム発送ならすぐに手に入るので。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」には黒色のプラスチック製バックプレートが装着されています。プラスチック製なので放熱補助の役割はなく、シンプルに基板背面を保護するためのプレートです。
なおグラフィックボードの重量はMSI GeForce RTX 3060 Ti AERO ITX OC LHRが561g、PNY GeForce RTX 4070 12GB VERTO Dual Fanが685gに対して、NVIDIA RTX 4000 SFF Adaは322gでした。
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの分解
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回は自己責任で(もしくはレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて)分解を行っています。GPUクーラーの取り外し(分解行為)は、一部を除く多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。
今回はレビューのために分解していますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
【暇があれば更新予定】
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの検証機材・GPU概要
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 (ゲーム性能検証) |
|
OS | Windows11 Home 64bit |
CPU | Intel Core i9 13900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) 7200MHz, 34-45-45-115 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) |
ゲームストレージ |
Samsung SSD 870 QVO 8TB (レビュー) |
電源ユニット | Corsair HX1500i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
検証機ではシステムメモリとして、Intel第13世代CPU向けメモリとしては4xメモリスロットのマザーボードでも動作可能な最速クラスの製品、メモリ周波数7200MHz/CL34の高メモリクロックかつ低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB(型番:F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5シリーズはIntel XMP3.0のOCプロファイルに対応した製品となっており、6000MHzの定番設定なモデルもあり、Intel第13世代CPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで7200MHz OCに対応!
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」などプロフェッショナル向けNVIDIA製GPUはゲーマー向けGeForceと同じくGeForceドライバで動作しますが、NVIDIAコントロールパネル上に、NVIDIA MosaicやGPU Usage Modesといったプロフェッショナル向けGPU専用の項目(左側のワークステーションという項目)が表示されます。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」をPCゲーミング用GPUとして使用する場合は、NVIDIAコントロールパネル上のGPU使用率の管理(GPU Usage Modes)で『グラフィックニーズとコンピューティングニーズに使用する』を必ず選択してください。
ゲーム専用なら、もう一方の『グラフィックタスク専用にする』のほうが最適そうに見えて紛らわしいのですが、こちらを選択するとレイトレーシングやDLSSに非対応なGPUとして認識されたり、一部のゲームが起動時にクラッシュします。
NVIDIA RTX 4000 SFF AdaのGPU概要
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaに搭載されているGPU「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のスペックについて簡単に確認しておきます。「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」は
全長169mmかつロープロファイルという非常にコンパクトなサイズに加えて、TGP70WなのでPCIE補助電源を必要とせず、PCIEスロットのバスパワーのみで動作します。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」についてはNVIDIA純正モデルしか存在しません。そのため、当然、ブーストクロックは1560MHzです。(公式スペックとしては非公表ですが)
パワーリミット(TGP)は定格と同じ70Wで、手動設定による電力制限の解除には非対応です。
GeForce RTX 40シリーズと同じく、Adaアーキテクチャを採用する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」は、GPUコアの増強、コアクロックの高速化といった3Dグラフィックス関連の強化に加えて、新たな特長としてハードウェアエンコーダに最新の第8世代NVEncが実装されています。
第8世代NVEncはAV1コーデックのエンコードに対応したところが、RTX 30シリーズの第7世代NVEncとの大きな違いです。(AV1コンテンツのデコード/再生はRTX 30シリーズですでに対応済み)
映像編集ソフトではDavinci Resolve、ビデオキャプチャソフトではOBS Studioなどが最新バージョンにおいてGeForce RTX 40シリーズによるAV1エンコードに対応しています。
AV1は従来のH.264(x264)よりも40%程度も圧縮効率に優れており、OBS Studioの場合、従来のH.264(x264)形式によってフルHD解像度で作成したコンテンツも、同等のビットレート、同等の映像品質で、AV1形式ならWQHD解像度にできます。
また従来との大きな違いとして、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」など一部のRTX 40シリーズGPUはハードウェアエンコーダNVEncが”2基”実装されているところも大きな注目ポイントです。
2基の最新NVEncが実装されてGPUは、Davinci ResolveなどデュアルNVEncによる書き出しに対応した映像編集ソフトを組み合わせることで、RTX 30シリーズと比較して2倍以上高速になるとのこと。
ちなみにNVIDIAのゲーマー向けGPUであるGeForceシリーズは2023年3月以降に配信が開始された最新ドライバから同時エンコードセッション数として5セッションが許容されていますが(従来は3セッションまで)、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」などプロフェッショナル向け製品には同時エンコードセッション数の制限がありません。
レイトレーシング&DLSS 3(DLSS SR/FG)について
レイトレーシング表現やDLSSについて簡単に紹介しておきます。レイトレーシング(Raytracing)とは3Dグラフィックスのレンダリング手法の1つであり、現在主流なラスタライズ方式とある種の対になる言葉です。
レイトレーシングだけで3Dグラフィックスを全て描画しきるのはGPU性能的に現実的ではないので、ベースは従来のラスタライズ方式で行い、鏡面反射などエフェクトにレイトレーシング方式を使う、というハイブリッドなレンダリング方式が現在のレイトレーシング対応PCゲームの主流です。
レイトレーシング表現では、照明や光源(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射や透過も現実に即して忠実に描写されます。
レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。小さい光源や太陽光などが生み出す影、反射によって生まれる光が現実に対して忠実に再現されるので、画面の中に引き込まれるような奥行き、陰影を感じる映像が生まれます。
なお高画質機能 Raytracing(レイトレーシング)はMicrosoftが提供するAPI”DirectX 12”内包されるDirectX Raytracing(DXR)を使用したレンダリング機能となっており、後述のDLSSと違ってNVIDIA独自技術というわけではなく、AMD/Intel製グラフィックボード、PlayStation 5やXbox Series S/Xといったコンソールゲーム機にも互換性のある機能です。
下はPlayStation 5のMarvel's Spider-Man Remasteredでレイトレーシング表現のオン/オフを比較したものですが、オフでは鏡面になっている窓ガラスにスパイダーマンの身体の鏡像がないだけでなく、風景の反射も反対側と比較してデタラメなのが一目瞭然です。
「NVIDIA DLSS」は”Deep Learning Super Sampling”の頭文字を取った略称となっており、その名の通り、近年流行りのディープラーニングによって高画質化(超解像化)する機能で、AIレンダリングの名前でもアピールされています。
DLSSが具体的にどのように動作するか簡単に説明すると、フルHD~WQHDのリアルタイムレンダリングソースから4K映像を生み出すDLSSの原型があります。このDLSSの原型が作り出した4K映像を、16Kなど現実的にはリアルタイムでのレンダリングが難しい超々高解像度のレンダリング結果を比較し、DLSSの原型の改良版1をNVIDIAの専用サーバーが作ります。
DLSSの原型の改良版1で再び4K映像を生み出し、16Kレンダリング結果と比較して、DLSSの原型の改良版2を生み出す……、というプロセスを何万回も繰り返すことで、ユーザーに提供される汎用の、もしくは個別ゲームタイトルに特化した専用のDLSSプロファイルが出来上がります。
GeForce RTX 30シリーズの登場と共にアップデートされたDLSS2.0では最終出力解像度に対して3種類のオリジナルレンダー解像度が選択でき、4K解像度の場合は、Quality(2560×1440)、Balanced(2240×1260)、Performance(1920×1080)の3種類から選択できます。
オリジナルのレンダー解像度がフルHD~WQHDなので、DLSSによる超解像(SuperSampling)プロセスを挟むとはいえ、ネイティブに4K解像度をレンダリングするよりもフレームレートは大幅に向上します。
現在のDLSSでは16Kレンダリング結果を目標に学習が繰り返されているので、高画質アンチエイリアス技術として一般的なTAAと比較してフレームレートが大幅に向上するだけでなく、画質も改善するという一挙両得な高画質化機能になっています。
フルHDやWQHDのレンダリングソースを高品質な4K解像度に超解像化することから始まったDLSSですが、この超解像機能(DLSS SR:Super Resolution)に加えて、GeForce RTX 40シリーズが対応する最新バージョンの”DLSS 3”ではAI中間フレーム生成機能 Frame Generationが追加されたのが大きなトピックです。
中間フレーム生成というと、倍速補間などと呼ばれることの多いテレビの高画質化機能が有名ですが、テレビの倍速補間は完成した映像フレームを2つ以上(一部のハイエンドテレビだと7つなど)をソースに中間フレームを作成しています。
ソースとなる映像フレーム数が多いほど生成される中間フレームの映像的な破綻はなくなりますが、遅延が大きくなるのでゲーム用途では到底実用できません。逆にソースとなる映像フレーム数を減らすと遅延は減りますが、単純なスクロールのような画面変化しか綺麗に補間できず、映像的な破綻が増えてしまいます。
一方、DLSS 3のAI中間フレーム生成機能 Frame Generationは、3Dオブジェクトの動きを正しく追跡できるMotion Vector(3Dオブジェクトのピクセル単位での位置や向きの履歴)に、影のような光エフェクトを正しく追跡できるOptical Flowを組み合わせることで中間フレームを生成しています。
中間フレームの生成方法が全く異なるので、DLSS 3は2フレーム(現在と1つ前)による補間と同等かそれ以下という低遅延で倍速補間を実行でき、急にポップするオブジェクトや影などの光エフェクトが破綻しにくい、という特徴があります。
現在のビルドではUIやテキストにノイズが生じやすいといった欠点はあるものの、超解像のDLSS SRも徐々に改良されていったのでDLSS FGも対応ゲームが増えるにしたがって補間品質もアップデートされていくはずです。
あとDLSS FGの副次的な効果として、中間フレームはGPUが単独で生成するので、CPUボトルネックで伸び悩むシーンでもフレームレートが向上するという効果もアピールされています。有名どころではMicrosoft Flight Simulatorが該当します。
DLSS Frame GenerationはOptical Flow Acceleratorという専用ハードウェアを使用しているので、現在、この機能を使用できるのはGeForce RTX 40シリーズに限定されています。(Optical Flow Accelerator自体は全く同じものかは不明ですがRTX 30シリーズにも存在するので、今後、対応GPUに加わる可能性があるかも)
また上記の通り、DLSS 3による倍速補間はそれそのものが遅延を生じにくい設計ですが、”DLSS 3対応”ならNVIDIA製GPU環境の低遅延技術 Reflexも含むことになっており、よりゲーム操作にラグを感じない低遅延な表示が可能です。
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaのゲーム性能
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 4070」、「GeForce RTX 3070」、「GeForce RTX 3060 Ti」、「GeForce RTX 3060 12GB」、「GeForce RTX 3050」を使用しています。(特定のモデルや型番を指名していない場合、各GPUメーカーのリファレンスモデルもしくはリファレンス仕様のオリファンモデルです)
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク FireStrikeによる比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
RTX 4000 SFF Ada | 28799 | 13376 | 6358 |
RTX 4070 |
44350 | 21552 | 10137 |
RTX 3070 |
33213 | 16156 | 8176 |
RTX 3060 Ti |
29656 | 14322 | 7151 |
RTX 3060 12GB | 21845 | 10269 | 4929 |
RTX 3050 | 15682 | 7305 | 3349 |
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで最新タイトルでは採用が増えつつあるDirectX12ベンチマーク TimeSpy、およびレイトレーシング表現に対応したベンチマーク Port Royalによる性能比較となります。
TimeSpy | Extreme | Port Royal |
|
RTX 4000 SFF Ada | 10603 | 4882 | 6420 |
RTX 4070 | 17870 | 8539 | 11186 |
RTX 3070 |
12946 | 6331 | 7929 |
RTX 3060 Ti | 11518 | 5561 | 6920 |
RTX 3060 12GB |
8539 | 4024 | 5044 |
RTX 3050 |
6087 | 2781 | 3537 |
続いて近年の最新PCゲームを実際に用いたベンチマーク比較になります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)と4K(3840×2160)の3種類の解像度で平均FPSを比較しました。
(測定が面倒だったので4K解像度はRTX 4000 SFF Ada、RTX 4070、RTX 3070のみ)
最新タイトルでは専用ハードウェアによるレイトレーシング表現や、NVIDIA DLSS/AMD FSR/Intel XeSSといったAIを活用した超解像・倍速補間に対応したものも増えていますが、それらの機能は無効化し、ここでは従来のラスタライズ方式の3Dグラフィックス性能を比較しています。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、『Assassin's Creed Valhara』、『Battlefield V』、『CONTROL』、『Cyberpunk 2077』、『DEATH STRANDING』、『Far Cry 6』、『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』、『Forza Horizon 5』、『God of War』、『Marvel's Guardians of the Galaxy』、『MONSTER HUNTER: WORLD』、『Shadow of the Tomb Raider』、『Tales of Arise』、『UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection』、『Watch Dogs Legion』、以上の15タイトルです。
Assassin's Creed Valhara(最高設定プリセット)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Cyberpunk 2077(ウルトラ設定プリセット, FSR:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 6(最高設定プリセット, 高解像度テクスチャ:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE(テクスチャ解像度:高設定、シャドウ解像度:高設定、キャラクター表示数:10)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADEは、標準では最大フレームレートが120FPSですが、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのFFVIIHookを使用して『フレームレート制限なし』、『可変レンダリング解像度:オフ』、『モーションブラー:オフ』の設定を適用しています。加えてNVIDIAコントロールパネルから垂直同期を無効化しています。
Forza Horizon 5(エクストリーム設定プリセット, モーションブラー:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
God of War(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Marvel's Guardians of the Galaxy(ウルトラ設定プリセット, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Marvel's Guardians of the Galaxyはゲームプレイ時の最大フレームレートは144FPSですが、ゲーム内ベンチマーク機能は144FPS以上で計測できるので、その結果を使用しています。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高画質設定プリセット, DirectX12, TAA, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Tales of Arise(最高設定, モーションブラー:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Tales of Ariseは、標準ではPlayStation 5やXbox Series Xのコンソールゲーム機版よりもオブジェクトや影の遠景描画が省略されているので、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのArise-SDKを使用して高画質化する設定を適用しています。
UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Watch Dogs Legion(最大設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaなど6種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、NVIDIA RTX 4000 SFF Adaは、ゲーマー向けミドルクラスGPUのRTX 3060を平均で20%程度も上回る性能を発揮しました。
前世代RTX 30(Ampere)のロープロファイルに対応するプロフェッショナル向けGPUであるRTX A2000はちょうどRTX 3050と同じくらいの性能ですが、それと比較するとグラフィック性能は60%程度も向上しています。
今回は性能比較の検証から外していますが、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」はGeForce RTX 40シリーズと同じアーキテクチャなので、AI中間フレーム生成機能 DLSS 3にも対応しています。
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaの温度・消費電力・ファンノイズ
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy(Extreme) Stress Testを使用しています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のテスト終盤におけるGPU温度は最大74度と標準的ですが、ファン速度は35mmの小径ファンとはいえ最大3800RPMとかなり高速です。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」はPCIE補助電源が不要なTGP70Wと非常に低消費電力ではあるものの、GPUクーラーは小さく、35mm径の小型ブロアーファン 1台だけで冷却しているので、負荷時のファン速度は3800RPMと高速です。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」の冷却ファンはアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しておらず、最小速度でも3000RPMです。
GPUコアクロックについて、今回入手した「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」の負荷テスト中の実動平均は1392MHzでした。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」はTGP:70WなのでGPUコア数の近いRTX 4070(TGP:200W)と比較して半分程度のコアクロックです。
【補足】
コアクロック比較グラフはAIBモデル別の優劣を決めるための比較ではなく、特定のGPUがだいたいどの程度のコアクロックで動作するのか確認するために掲載しています。
AMD、NVIDIAともに最新GPUでは実動コアクロックはGPUコア個体毎に異なる内部設定のV-Fカーブが最も支配的なファクターです。加えて負荷中のGPU温度も5~10度刻みでブーストクロックの制御に影響します。
そのため、ファクトリーOCが施されたオリファンモデルの公式仕様値として公表されているブーストクロックは各メーカー内におけるOC耐性選別という意味で1つの指標にはなると思いますが、実動コアクロックの優劣にはあまり当てになりません。
今回検証している個体Aが他社AIBと比較して実動コアクロックが低くても、市場製品の個体Bは高い、個体Cは同程度…のように、本当に御神籤状態です。
NVIDIA RTX 4000 SFF AdaのようにTGPが200Wを下回ると、下記のような参考環境のミドルタワーPCではベンチ板測定とあまり差が出ないので、PCケース組み込み時の検証については割愛しています。
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
・「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」は、負荷時3800RPMで34dB前後、アイドル時など最小ファン速度の3000RPMで33dB前後のノイズレベルとなっており、ノイズレベルは大きくありませんが、小径ファンが高速回転するので”シュー”とか”シャー”とかの高周波なファンノイズはPCケースに入れても聞こえると思います。
ただし、3800~4000RPMまでならファンノイズをはっきりと聞き分けることはできるものの、煩く感じるほどではありませんでした。ベンチ板上でもそうだったのでPCケース組み込み時なら特に問題ないと思います。
個人的にはファンノイズが煩く、耳障りに感じる境目は4000~4500RPM辺りでした。この境目を超えるとノイズレベルも36~38dBに達し、高周波なのファンノイズの特性もあって気になる感じになりました。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」の消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
グラフィックボードの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。GPU Power TesterはPCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しているので、シンプルにグラフィックボードそのものの消費電力をしることができます。
消費電力の測定にあたって検証するGPUランクによって負荷を変えており、通常はTime Spy(Extreme) グラフィックテスト1、一部のウルトラハイエンドGPUにはPort Royal 4K(GPU名に*マークを併記)をループ再生させ、各GPUがMaxTGPに張り付く状態を検証しています。
テスト全体から1ms間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」の消費電力は71W、最大瞬間負荷は85Wでした。概ねTGP通りの消費電力です。
NVIDIA RTX 4000 SFF Ada レビューまとめ
最後に「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- フルHD/ハイフレームレートやWQHDのPCゲーミングに対応可能なGPU
- RTX 3060と比較して平均20%程度も高速
- RTX 3050 (≒RTX A2000)と比較して平均70%程度も高速
- GeForce RTX 40の最新機能であるAI中間フレーム生成 DLSS 3に対応
- 高圧縮かつ高画質な次世代コーデックAV1のハードウェアエンコードに対応
- 同時エンコードセッション数に制限なし
- NVIDIA Mosaicなどプロフェッショナル向けGPU専用の機能に対応
- 全長169mm、2スロット占有のコンパクトサイズ
- ロープロファイルPCIEブラケットに対応
- TGP70WでPCIE補助電源が不要
- TGP70Wをノイズレベル35dB以下で十分冷やせるGPUクーラー
- ビデオ出力はMini DisplayPortのみ(通常DPの変換アダプタが1個付属)
- 税込み22万円と非常に高価 (2023年5月現在)
NVIDIA RTX 4000 SFF Adaは、ゲーマー向けミドルクラスGPUのRTX 3060を平均で20%程度も上回る性能を発揮しました。
前世代RTX 30(Ampere)のロープロファイル対応プロフェッショナル向けGPUであるRTX A2000はちょうどRTX 3050と同じくらいの性能ですが、それと比較するとグラフィック性能は60%程度も向上しています。ロープロファイル対応、PCIE補助電源不要なTGP70Wのコンパクトグラフィックボードに限定すれば間違いなく最速の製品です。
プロフェッショナル向け製品なのでVRAMに大容量かつECC対応のメモリを使用しているため、GPU自体のBus幅が192-bitなこともあって、メモリ帯域は280GB/sとやや低く、高解像度では性能が鈍化する傾向ですが、RTX 4000 SFF Adaは最新のDLSS 3に対応しているので、フルHD/WQHDをソースにアップスケールするDLSS SRやAIフレーム補間機能DLSS FGを併用すれば、4Kゲーミングでも大幅な性能向上が期待できます。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のネガティブなポイントはやはり価格です。NVIDIAのプロフェッショナル向けGPUなので、同規模GPUコアを採用するゲーマー向けGeForceよりも割高になるのは仕方ないといえばそうですが。
ロープロファイル対応、補助電源不要なTGP70Wの条件なら文句なしに最速GPUではあるものの、それでも性能はRTX 3060より20%速い程度なので、2023年5月現在で税込み22万円というRTX 4080を買える価格を考えるとなかなか手が出ない製品だと思います。
同じサイズの前世代モデルにあたるRTX A2000から60%程度という大幅な性能向上を果たしていますが、RTX A2000は6GB版が6~7万円で購入できたので、大分、ジャンルが違う感じはあります。RTX 4000 SFF Adaとなると、変わり種でちょっと高速な小型ゲーミングPCを組んでみよう、と思っても気軽には手を出せません。
「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のGPUクーラーについて、GPUそのものはPCIE補助電源が不要なTGP70Wと非常に低消費電力ではあるものの、GPUクーラーは小さく、35mm径の小型ブロアーファン 1台だけで冷却しているので、負荷時のファン速度は3800RPMt程度の高速動作になります。
ファン径が非常に小さいので、ノイズレベルから単純に他のグラフィックボードと比較するのは難しいのですが、今回管理人が検証した限りでは、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」は3800~4000RPMまでのファン速度ならPCケースに組み込めばファンノイズはハッキリと認識できるものの、煩い、もしくは耳障りに感じることはないと思いました。
エアフローの弱い小型PCケースに組み込むと冷却条件が悪くなってファン速度がそれよりも上がるかもしれませんが、せいぜい4500~5000RPMには収まると思うので、PCの置き場所を少し遠くにする、とかで対策できる程度だと思います。
以上、「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」のレビューでした。
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TGP70Wで補助電源不要、ロープロファイルにも対応するコンパクトGPU「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 7, 2023
RTX 3060やRTX 3050(≒RTX A2000)をどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークで徹底比較https://t.co/ILCvVtdsXt pic.twitter.com/t2BJPj7faw
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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