WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB


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Western Digitalのメインストリーム向け WD Blueブランドから発売されたNVMe M.2 SSDの新製品、PCIE4.0に対応を果たし連続読み書き5000MB/s超でも高コストパフォーマンスな「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB(型番:WDS400T3B0E)」をレビューします。
最新のQLC型162層3D NAND BiCS6を採用する4TBモデルと異なり、従来同様にTLC型NANDを採用し、読み書きスペックの向上でWD_BLACK SN770のほぼリネームモデルとなったWD Blue SN5000 NVMe SSDの1TBや2TBモデルについても各種ベンチマークで検証していきます。
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レビュー目次


1.WD Blue SN5000 NVMe SSDについて
2.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの外観
3.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの検証機材と基本仕様


4.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBのベンチマーク比較
5.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの連続書き込みについて
6.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの消費電力と温度


7.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの実用性能比較
8.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBのデータコピー・ゲーム性能比較


9.WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBのレビューまとめ



製品公式ページ:https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/internal-drives/wd-blue-sn5000-nvme-ssd





【機材協力:WD 国内正規代理店 株式会社ケミック】



WD Blue SN5000 NVMe SSDについて





WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの外観

まず最初に「WD Blue SN570 NVMe SSD 1TB / 2TB」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
WD Blue SN5000 NVMe SSDシリーズのパッケージは、近年のWD Blue製品と同じく、ホワイトと製品名のブルーを組み合わせたデザインです。
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紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。
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WD Blue SN5000 NVMe SSDのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。旧モデルではブランドカラーと同じ青色だったPCB基板は、WD Blue SN5000 NVMe SSDでは黒色になっています。
WD Blue SN5000 NVMe SSDの表面にはM.2端子の側から順にメモリコントローラー、逆側の中央あたりに1枚のメモリチップが実装されています。500GB、1TB、2TBの3モデルは同じレイアウトです。
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今回メインでレビューするWD Blue SN5000 NVMe SSDの4TBモデルだけはQLC型NAND採用で基板上の実装も異なり、M.2端子のすぐ傍にメモリコントローラー、左半分で2枚のメモリチップが実装されています。
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WD Blue SN5000 NVMe SSDは500GBから最大容量の4TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
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「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の500GB/1TB/2TBの3種類については、前モデルSN580と同じくDRAMキャッシュレスのインハウス製メモリコントローラー(10-82-100082-A1)を搭載しています。
メモリチップは全容量で基板左側の1枚のみ、WD/SanDiskの112層TLC型3D NAND”BiCS5”が採用されています。
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「WD Blue SN5000 NVMe SSD」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
HMB(Host Memory Buffer)_architecture

WD Blue SN5000 NVMe SSDの500GB/1TB/2TBの3モデルに実装されるメモリコントローラー、メモリチップといった主要素子や基板レイアウトは同ブランド前モデルのWD Blue SN580と共通です。
もっと言うとゲーマー向け上位ブランドWD_BLACK SN770とも共通となっており、読み書きスペックもSN580から引き上げられてSN770相当になっているので、実質的に「WD Blue SN5000 NVMe SSD」はWD_BLACK SN770のリネーム製品です。




一方、「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の4TBモデルだけはWD/SanDisk製で最新の162層QLC型3D NAND”BiCS6”をメモリチップに採用し、メモリチップが2枚搭載され、メモリコントローラーも異なります。
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「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の4TBモデルも他容量と同じくDRAMキャッシュレスかつインハウス製メモリコントローラーですが、型番の異なるA101-82-000171-A1です。
メモリチップは基板左側に2枚が実装され、WD/SanDisk製で2024年最新となるQLC型 162層3D NAND”BiCS6”が採用されています。
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WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの検証機材と基本仕様

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 9 7950X (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N
DDR5 16GB×2=32GB (レビュー
マザーボード
GIGABYTE X670E AORUS MASTER
レビュー
ビデオカード PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8
Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー
OS Windows 11 Pro 64bit 22H2
電源ユニット Corsair HX1500i 2022 (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

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システムメモリの検証機材には、Ryzen 7000用OCメモリのスイートスポットとアピールされているメモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
「G.Skill Trident Z5 Neo」をレビュー。EXPOで6000MHz/CL30のOCを試す!
G.Skill Trident Z5 Neo

2023年最新のSSDレビューでは高度に圧縮されたゲームデータをグラフィックボードのVRAMへ直接取り込んで、GPUによって高速に展開するDirectX 12のDirectStorageのようなAPIに対応したPCゲームも検証しています。
その時にSSDの理想的な性能を検証できるように、最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。

PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN


検証環境については上述の通り、AMD Ryzen 9 7950XやGIGABYTE X670E AORUS MASTERで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはマザーボード上のCPUソケット直下に配置されている、CPU直結PCIE5.0x4レーン接続のM.2スロットに設置しています。
またサーマルスロットリングによる性能低下の可能性を排除するため、JIUSHARK M2-THREEという60mm角ファンでアクティブ冷却できるM.2 SSDヒートシンクを組み合わせた状態で設置しています。
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GIGABYTE X670E AORUS MASTERにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Ryzen 7000シリーズCPU&X670Eマザーボードの環境においてCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0x16レーンに加えて、NVMe M.2 SSD用のPCIE5.0x4レーンが2つがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このNVMe M.2 SSD用のCPU直結PCIE5.0x4レーンが最速となります。
Storage Test System_202308
AMD X670E and X670_Diagram


「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは3.63TBでした。
WD Blue SN5000 4TB_CDI

他容量については、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 1TB」は931GB、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 2TB」は1.81TBでした。
WD Blue SN5000 1TB_CDI
WD Blue SN5000 2TB_CDI


「WD Blue SN5000 NVMe SSD」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の4TBモデルはSSDが指定する最適バッファサイズは64MBで、実際に確保されるバッファサイズも64MBでした。
1TBと2TBはSSDが指定する最適バッファサイズは200MBですが、やはり実際に確保されるバッファサイズは64MBです。
WD Blue SN5000 4TB_HMB-horz



WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBのベンチマーク比較

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。

まずはCrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「WD Blue SN5000 4TB」のベンチマークススコアは連続読み出し5500MB/s、連続書き込み5000MB/s程度となっており、製品スペック通りの性能です。
実用性能への影響の大きい4Kランダム読み出し(Q1T1)も90MB/s程度と非常に高速です。QLC型と聞くとコスト重視で速度性能は低いと考えられがちですが、WD Blue SN5000 NVMe SSDの4TBモデルはTLC型の1TB/2TBモデルよりも高速です。
WD Blue SN5000 4TB_CDM8m_1GiB

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し5200MB/s、連続書き込み4900MB/sとなりました。連続読み書きが1000MB/s程度低くデチューンされていたSN580と違ってWD_BLACK SN770とほぼ同じ性能です。
実用性能への影響の大きい4Kランダム読み出し(Q1T1)も85MB/s程度と高速です。
WD Blue SN5000 1TB_CDM8m_1GiB
2TBモデルも製品スペックの通り、連続読み出し5200MB/s、連続書き込み4900MB/s程度です。
前モデルSN580やWD_BLACK SN770と同じ傾向ですが、2TBモデルは4Kランダム読み出しが1TBモデルと比べると少し低めです。
WD Blue SN5000 2TB_CDM8m_1GiB

なお「WD Blue SN5000 NVMe SSD」のようにDRAMキャッシュレスでHMBに対応したNVMe SSDの特長というか弱点として、CrystalDiskMarkでテストサイズが1GiB程度だと問題ないのですが、8GiBに増やすと特に4Kランダム読み出し性能が大きく下がります。
実用シーンで影響を確認したことはないものの、理論上は数GBのファイルとしてアーカイブ化されていることの多いゲームデータへのアクセスには不利なので、DRAMキャッシュ搭載が信頼される理由だったり。
WD Blue SN5000 1TB_CDM8m_8GiB
WD Blue SN5000 2TB_CDM8m_8GiB

WD Blue SN5000 NVMe SSDの1TB/2TBや旧モデルのSN580、SN770もそういった傾向だったのですが、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」はMixアクセスで性能低下は見られるものの、8GiBでも性能低下は軽微でした。
DRAMキャッシュレスでも他社製品では傾向が違ったりしたので、メモリコントローラーの影響もあるように思います。
WD Blue SN5000 4TB_CDM8m_8GiB


以下、各種比較対象SSDのCrystalDiskMark8 ベンチマークスコアになっています。

AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
WD Blue SN5000 4TB_AS_1GB
WD Blue SN5000 1TB_AS_1GB
WD Blue SN5000 2TB_AS_1GB

以下、各種比較対象SSDのAS SSD Benchmark ベンチマークスコアになっています。


Anvil’s Storage Utilities v1.1.0 (1GB)について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
WD Blue SN5000 4TB_Anvil
WD Blue SN5000 4TB_Anvil_4K-IOPS
WD Blue SN5000 1TB_Anvil
WD Blue SN5000 2TB_Anvil

以下、各種比較対象SSDのAnvil’s Storage Utilities ベンチマークスコアになっています。


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2 (512B-64MB, 1GB, QD1/QD4)について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別の性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
WD Blue SN5000 4TB_ATTO_QD1_read
WD Blue SN5000 4TB_ATTO_QD1_write
WD Blue SN5000 4TB_ATTO_QD4_read
WD Blue SN5000 4TB_ATTO_QD4_write
WD Blue SN5000 4TB_ATTO_QD1-horz
WD Blue SN5000 1TB_ATTO_QD1-horz
WD Blue SN5000 2TB_ATTO_QD1-horz



WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの連続書き込みについて

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2022年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


最新のTLC型NANDをメモリチップに採用する「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみました。
「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」は空き容量が400GB以上あり、SLCキャッシュが十分に開放された状態であれば、100GBの書き込みを行っても、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始から一貫して4~5GB/sの書き込みスピードを発揮できました。
WD Blue SN5000 4TB_SLC-Cache_400GB-Free
WD Blue SN5000 4TB_SLC-Cache_300GB-Free
フォーマット直後の状態からボリューム全域に書き込みを行った時の書き込み速度の推移が下のようになっています。実用的にはあまり意味のない評価方法ですが、SLCキャッシュの挙動を把握する上では役立つこともあるので。
5GB/s前後の書き込み速度を発揮する高速なSLCキャッシュは空き容量が100%の状態なら約850GB、QLC型SSDとしては理想的な1/4容量をそのまま使用でき、超過後は書き込み速度が500MB/s程度に低下しています。
WD Blue SN5000 4TB_SLC Cache_writing-all
空き容量が300~500GBになるまでデータを書き込んで、SLCキャッシュが解放されるまで十分に時間が経過してから100GBのデータを書き込んでみました。
「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」のSLCキャッシュ容量はシンプルに空き容量の1/4です。加えて、Windows上でボリュームとして認識される容量(空き容量に比例して確保されるSLCキャッシュ)とは別に、10~30GB程度の空き容量として表示されないSLCキャッシュ用領域がありそうです。
WD Blue SN5000 4TB_SLC Cache_GB-Free

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」は空き容量の1/4+αというQLC型SSDのSLCキャッシュとしては理想的な構造なので基本的に100GB以上のSLCキャッシュを使用でき、SLCキャッシュの開放も高速でした。
超過後の書き込み速度は500MB/s程度とSATA SSD相当なのであまり速くはありませんが、実用的にはSLCキャッシュの超過による性能低下で不便を感じることはないと思います。


「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の1TBモデルと2TBモデルのSLCキャッシュの挙動は過去にレビューしたWD Blue SN580やWD_BLACK SN770の同容量モデルとほぼ同じです。




「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の1TBモデルと2TBモデルについては、簡単に全域書き込みの結果だけ紹介しておきますが、
SLCキャッシュ容量はシンプルに空き容量の1/3となっており、さらに、Windows上でボリュームとして認識される容量(空き容量に比例して確保されるSLCキャッシュ)とは別に、30GB程度の空き容量として表示されないSLCキャッシュ用領域があります。
SLCキャッシュの範囲内なら5GB/s前後の高速な書き込み速度を発揮し、超過後の書き込み速度は1TBモデルは500MB/s程度、2TBモデルは400MB/s程度です。
WD Blue SN5000 1TB_SLC Cache_writing-all
WD Blue SN5000 2TB_SLC Cache_writing-all



WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの消費電力と温度

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の消費電力についてチェックしていきます。
NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。
GPU Power Tester_SSD_1



GPU Power Testerはその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2延長カードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するようなライザーケーブル/ライザーカードから、さらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、機器の組み合わせやPCIE5.0等の高速接続規格によってはSSDの動作が不安定になることがありますが、この方法ならマザーボードのM.2スロットにM.2 SSDを直結した時と同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
GPU Power Tester_SSD_2

まずはSSDの消費電力の傾向を把握するため、CrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)を測定負荷としてアクセスタイプ別に消費電力がどうなるのかチェックしていきます。
CrystalDiskMarkの設定は各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
CrystalDiskMarkを測定負荷とした時に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプは、消費電力が最も大きくなる、ワーストケースに近い負荷となります。
GPU-Power-Test_app_1


CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の消費電力の推移は次のようになっています。
「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の消費電力は連続アクセスの最大値でも平均4.0~4.5W程度です。ピーク値でも5Wを超えることはありません。
最大アクセススピードが控えめ、DRAMキャッシュレスなどの要因が重なって、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」はかなり省電力なSSDです。
WD Blue SN5000 4TB_Power

「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の1TBモデルと2TBモデルも消費電力は連続アクセスの最大値でも平均4.0~4.5W程度、ピーク値でも5Wを超えることはないという、省電力なSSDです。
WD Blue SN5000 1TB_Power
WD Blue SN5000 2TB_Power

一方、「WD Blue SN5000 NVMe SSD」のアイドル状態の消費電力は、1TB/2TB/4TBの3種類いずれも1W前後で他社製品と比較して若干高めです。
WD Blue SN5000 4TB_idle-power_wo-ASPM
近年のモバイルPCはバッテリー持続時間を少しでも伸ばすため、ASPM(Active-State Power Management)が基本的に標準で有効になっています。
デスクトップPC環境ではASPMは通常、使用されませんが、機能自体はBIOS設定とWindows設定を変更することで有効化できるので、ASPM時のアイドル電力も測定してみたところ、0.03Wまでアイドル時の消費電力が下がりました。
ASPMが使用されるモバイルPC環境なら「WD Blue SN5000 NVMe SSD」のアイドル状態の消費電力はトップクラスに小さくなるので、モバイルPCの換装・増設用SSDとしても最適です。
WD Blue SN5000 4TB_idle-power_wt-ASPM


消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
WD Blue SN5000 4TB_Power_1_Read_1
WD Blue SN5000 4TB_Power_5_Write_1

実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
WD Blue SN5000 4TB_Power_4_Read_4
WD Blue SN5000 4TB_Power_8_Write_4

PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
WD Blue SN5000 4TB_Power_14_Idle
WD Blue SN5000 4TB_Power_14_Idle-aspm


続いて、実用シーンのSSD消費電力として当サイト的に重要なPCゲームのプレイシーンをチェックしていきます。
使用しているタイトルは、DirectStorageに対応するPCゲームとしてラチェット&クランク パラレル・トラブル(Ratchet & Clank: Rift Apart)とFORSPOKEN、ストレージへのAPIが従来式の高画質PCゲームとしてMarvel’s Spider-Man RemasteredとForza Horizon 5となっており、いずれも4K解像度でグラフィック設定は基本的に各設定項目が最高設定です。以上4種類のゲームを使用して120秒間の5つのシーンについてSSDの消費電力を測定しており、具体的には次の動画の通りです。


「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」のDirectStorage対応を含む4種類のPCゲーム、5つのシーンにおけるSSD消費電力の推移は次のようになっています。
グラフ中には上で行ったCrystalDiskMarkによる消費電力測定の結果のうち、連続読み出し(SEQ 1M Q8T1)、ランダム読み出し(RND 4K Q1T1)、アイドルの3種類の消費電力も横線で併記しています。
2023年最新水準の高画質タイトルを使用して検証していますが、PCゲームシーンだとDirectStorage対応と従来式のどちらであっても、SSD消費電力の平均値は、CDMのランダム読み出しとアイドルの消費電力の中間に収まります。
DirectStorage対応PCゲーム、ラチェット&クランクのワープやFORSPOKENのロード・ファストトラベルでは連続アクセス的な大きい消費電力も発生しますが、いずれも1~2秒あるかどうかという瞬間的なものです。
WD Blue SN5000 4TB_Power_game

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」を含めた各種ストレージについてゲームシーンの平均消費電力を比較すると次のようになっています。(最大値も併記していますが、上の推移グラフを見ての通り瞬間的なピーク値となっており測定毎に振れ幅があるので参考程度に考えてください。)
現状ではPCゲームプレイ中のSSD消費電力は、データの読み出しが多いタイトルでもCDMの4Kランダム読み出しと同程度、そうでなければアイドル状態をベースにして4Kランダム読み出し的な消費電力のアクセスがぽつぽつと発生する感じなので、製品別に見てもSSD消費電力の傾向はCDMの4Kランダム読み出しかアイドルに一致します。
WD Blue SN5000 4TB_Power_Game_1_RaC_1
WD Blue SN5000 4TB_Power_Game_2_RaC_2
WD Blue SN5000 4TB_Power_Game_3_Forspoken
WD Blue SN5000 4TB_Power_Game_4_Spider
WD Blue SN5000 4TB_Power_Game_5_FH5


「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の温度についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0/5.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったというのも1つ理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。

またゲームシーンの消費電力検証で見た通り、実用シーンでCrystalDiskMarkの連続アクセスのようなPCIE4.0なら7GB/s前後、PCIE5.0なら10GB/sを超える高速アクセスが長時間に渡って発生するのかは疑わしく、比較的に理想的な連続アクセスが生じる動画ファイルのコピーでも、100GBの読み書きは5GB/sなら20秒、長く見積もっても30秒前後で済むので、それ以上のストレステストに意味があるのか疑問です。
またCrystalDiskMark自体はストレージベンチとして非常に有用ですが、SSDの温度検証という観点でいうとテストの3/4で連続アクセス的な消費電力が発生するCrystalDiskMarkを測定負荷に採用するのはあまり意味がないと感じています。


延長カード型でPCIE5.0にも対応するM.2 SSD消費電力測定モジュールも無事に完成したので、PCゲーム以外の実用シーンについてもSSD消費電力を調査しつつ、SSD温度検証の在り方について調べるのが今後の課題だと思っていますが、今回は省略ということで。



マザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの冷却性能が不十分で市販製品を探しているということであれば、PlayStation5の増設スロットにも互換なコンパクトサイズながら高い冷却性能を発揮する「CFD HSN-TITAN」、シリコンバンド固定で着脱が簡単な「SilverStone TP02」などがオススメです。







WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBの実用性能比較

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の実用性能をPCMark10 Storage Benchmarkを使用してチェックしていきます。
PCMark10 Storage BenchmarkはWindows OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。
PCMark10-Storage-Benchmarks


ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Benchmarkには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD Blue SN5000 4TB_PCM10_1_Summary

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」を前モデル WD Blue SN580 1TBと、PCMark10 Storage Benchmarkの個別Traceについて比較(対象を100%として性能差をパーセント表示)すると、ほぼ全てにおいて大幅な高速化を果たしているのが分かります。
WD Blue SN5000 4TB_PCM10_5_vs1
同容量の1TBでWD Blue SN5000とWD Blue SN580を比較しても、微妙な差ではあるものの、やはりWD Blue SN5000の方が高速です。
先のSSD一覧グラフを見ての通り、WD Blue SN5000の500GB/1TB/2TBの3種類は、WD_BLACK SN770と同性能なSSDなので当然と言えば当然の結果ですが。
WD Blue SN5000 1TB_PCM10_5_vs1


システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD Blue SN5000 4TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD Blue SN5000 4TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD Blue SN5000 4TB_PCM10_4_Summary_Data



WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。

まずはデータコピーに関する実性能比較となります。

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したCrucial T700 2TBを使用しています。
Ryzen 9 7950XとGIGABYTE X670E AORUS MASTERの検証環境で、レビューストレージはCPU直下のM.2スロットに、コピー相手のCrucial T700 2TBはPCIEスロットを挟んで1つ下のM.2スロットに設置しており、いずれも個別のCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。
DSC07784_DxO


「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」など各種検証ストレージとWD Blue SN5000 NVMe SSD 1TBとの間で各種データをコピーした時間や転送速度の比較結果は次の通りです。

まずは50GBの動画フォルダのコピーについてですが、動画フォルダの中身は1つ10GBの大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。
Windows 11 21H2以前はエクスプローラーのファイルシステムがボトルネックになるためコピー速度は3GB/s程度で頭打ちでしたが、Windows 11 22H2とPCIE5.0に対応するRyzen 7000環境であれば実際のファイルコピーで最大6GB/sに迫る転送速度を発揮できます。

製品スペックの通り、前モデル WD Blue SN580 1TBよりも読み書き共に高速化し、WD_BLACK SN770と同等以上の性能です。4TBモデルはQLC型ですが、コピー速度はTLC型の1TB/2TBモデルよりも高速という結果になりました。
WD Blue SN5000 4TB_copy_1_movie_read
WD Blue SN5000 4TB_copy_2_movie_write

次はゲームフォルダのコピーについてですが、近年のPCゲームでは各種ゲームデータが数百MB~数GBのファイルにパッケージ化されているので、動画ファイルのコピーと同様、比較的にストレージの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。

ゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されているゲームフォルダの場合、動画ファイルのコピーよりも転送速度は若干下がりますが、それでも「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」は読み出しで4.6GB/s程度、書き込みで3.9GB/s程度というCDMスコアに近い転送速度を発揮しています。
WD Blue SN5000 4TB_copy_3_game-seq_read
WD Blue SN5000 4TB_copy_4_game-seq_write

最後は先ほどと同じくゲームフォルダのコピーについてですが、こちらはゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されておらず、15万を超えるファイル数があるので、ランダム性能が重要になっています。

ランダム性能が重要になる実際のファイルコピーでも、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」は、WD_BLACK SN850X 1TBやSamsung SSD 990 PRO 1TBといったPCIEPCIE4.0x4接続のハイエンド製品と遜色ない性能を発揮しています。
ただしコピー元の読み出し速度がボトルネックになりやすく、コピー相手にはCrucial T700 2TBを使用しているので、書き込み性能はPCIE4.0x4接続の高性能SSDなら1300MB/s程度の速度で頭打ちになります。
WD Blue SN5000 4TB_copy_5_game-rnd_read
WD Blue SN5000 4TB_copy_6_game-rnd_write


続いて3DMark Storage Benchmarkを使用して、PCゲームのロード時間やプレイ動画の保存といったゲーミングシーンでの「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」のストレージ性能を比較します。
3DMark Storage Benchmarkは各検証ストレージについて3回ずつ実行しており、総合スコア、ゲームロード速度(Battlefield V、Call of Duty Black Ops 4、Overwatch)、プレイ動画の録画(Overwatchのゲームプレイ中のデータアクセスとOSBによるフルHD/60FPSの録画)について平均値を比較しています。
またPCMark10 Storage Benchmarkと同様に、各ストレージは空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
3DMark -Storage-Benchmarks

3DMark Storage Benchmarkのトータルスコアについて、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD Blue SN5000 4TB_3DM-SB_1

3DMark Storage Benchmarkの総合スコアには、プレイデータのセーブ、PCゲームのインストール/移動は実用面で優先度が低いテストの結果も含まれるので、ここからはPCゲーム用ストレージとして優先度の高い個別テストを抜粋して見ていきます。

3DMark Storage BenchmarkのBattlefield V ゲームロード速度について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD Blue SN5000 4TB_3DM-SB_2

3DMark Storage BenchmarkのCall of Duty Black Ops 4 ゲームロード速度について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD Blue SN5000 4TB_3DM-SB_3

3DMark Storage BenchmarkのOverwatch ゲームロード速度
について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD Blue SN5000 4TB_3DM-SB_4

3DMark Storage Benchmarkのプレイ動画録画性能について、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD Blue SN5000 4TB_3DM-SB_5


DirectX 12のDirectStorageに代表されるPCゲーム向け高速ストレージアクセスAPIに対応したPCゲームにおけるロード性能については、実際の比較検証結果を元に解説しているので、こちらの記事を参照してください。
ゲーム向け高速ストレージAPIを使用しない従来式のゲームの傾向についても、2020年から2021年頃の検証ですが比較データを使って解説しています。


結論だけ言ってしまうと、DirectStorageのサポートの有無によってNVMe SSDとSATA SSDでは大幅な性能差がありますが、PCIE3.0~5.0の帯域、TLC NANDとQLC NAND、DRAMキャッシュの有無による差は確認できませんでした。
マイナーメーカーのそもそもSSD性能が怪しい製品とかになると保証もできませんが、Micron(Crucial)、Samsung、SK Hynix(Solidigm)、WD辺りの大手メーカー製品で、NVMe SSDであれば、DirectStorage対応ゲームのロード時間はほぼ同じになると思います。ブラインドで見分けられる差でないことは確かです。
DirectStorage対応タイトルはまだ少ないですが、これからゲーム用ストレージを購入するのであれば、PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDが性能と容量単価のバランスも良く、ベストだと思います。


今回はPC環境における性能を検証しましたが、同じくNVMe M.2 SSDを使用するPlayStation 5の拡張スロットによるストレージ増設についてはこちらの記事で詳細を解説しています。気になる方は参照してみてください。




WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TBのレビューまとめ

最後に「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 最大性能で連続読み出し5500MB/s、連続書き込み5000MB/s
  • PCMark10や3DMarkの実用性能ベンチでハイエンドPCIE4.0 SSDに迫る性能
  • PlayStation5の拡張スロットに使用可能なPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD
  • SLCキャッシュは100GB以上を使用でき(空き容量の1/4+α)、使用後の開放も速い
  • メーカー正規保証期間が5年間
  • 【500GB/1TB/2TBモデル】 WD_BLACK SN770とほぼ同じ仕様
悪いところor注意点
  • DRAMキャッシュレス、HMB(Host Memory Buffer)対応
  • 4TBのみQLC型NAND採用、500GB/1TB/2TBはTLC型NAND採用
  • QLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は500MB/s程度

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkなど基礎的な各種ベンチマークでは仕様値通り、最大5500MB/s前後というエントリー~ミドルクラスのPCIE4.0対応NVMe SSD的な性能でしたが、PCMark10や3DMark、ファイルコピーといった実用性能テストでは、同社上位モデルのWD_BLACK SN850Xなど現状でPCIE4.0 SSD最速クラスの製品に迫る性能を発揮しました。

「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」にはQLC型3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC/QLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、容量可変のSLCキャッシュを超過すると、理想値5000MB/s程度から500MB/s程度まで書き込み速度が低下します。
SLCキャッシュ超過時の速度低下は大きいですが、空き容量の1/4+αをSLCキャッシュとして使用でき、使用済みSLCキャッシュの開放も速いので、実用的にSLCキャッシュを超過して不便を感じることはないはずです。

QLC型というとSLCキャッシュ超過による書き込み速度低下が大きく、従来製品では100~200MB/s程度まで下がってしまうところがネックでしたが、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」は超過時も500MB/s程度の速度をキープでいるので、エントリークラスのNVMe SSDとしては十分な性能です。

2つあったQLC型NAND採用のデメリットのもう一方、1TB容量当りの書き込み耐性の低さについては、TLC型と比較した場合に1TBあたり半分程度しかないことは同じですが、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」の仕様値TBWである1200TBなら5年間に毎日600GBを書き込んでもお釣りがくる計算です。エントリークラスの大容量SSDとしては実用的にも十分な耐久性だと思います。


「WD Blue SN5000 NVMe SSD」の500GB/1TB/2TBの3種類については4TBモデルと異なり、従来同様にTLC型NANDが採用されています。
もっと言えば、前モデル SN580に適用されていた連続4GB/s程度というデチューンが解除され、当サイトでは長らくコスパ最強SSDとして高く評価していたWD_BLACK SN770と同等、実質的にリネームな製品です。性能面についてはSN580やSN770の過去レビューで十分解説しているので特に言及することはありません。


今のところWD Blue SN580も併売されていて価格差もあるので、コスパ重視ならWD Blue SN580の方がオススメです。価格差が気にならず、大容量な動画ファイルなども取り扱うのであれば、「WD Blue SN5000 NVMe SSD」のほうを検討する価値はあると思います。


以上、「WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB」のレビューでした。
WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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