VEGA


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NVIDIAからもGTX 1080 Tiに関する発表はありませんでしたが、一番期待されていたAMDによるVEGAに関する発表も内容的にはテクニカルプレビューにとどまるという残念な結果になりました。

日本語の解説(参考記事):http://www.4gamer.net/games/337/G033714/20170101002/
日本語解説:http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1037849.html
発表スライド:http://nl.guru3d.com/download-eu/[Guru3D.com]-Vega-Final-Presentation.pdf

「HBM2のキャッシュ化」に関連して管理人の解釈を記事にしましたが、その他にも3つの特徴があるようです.
テクニカルプレビューに関する詳しい内容は4Gamerの記事がかなり詳細に解説してくれているのでそちらを読んでいただくのがお勧めです。


まずAMD VEGAはVRAMの使用方法(メモリーアーキテクチャ)が従来のGPUとは全く違い、まんま受け売りですが「VEGAではHBM2をキャッシュとして使用します」。
HBMを搭載するAMD R9 FuryシリーズやHBM2採用するNVIDIA GP100のようにGDDR5(X)の置き換えとしてHBM2を使用するのとは根本的に設計の思想が異なっています。

AMDが独自に最近のPCゲームのVRAMの使用量と実際にアクセスのあるメモリ量を解析したところ、「確保したメモリ容量のうち、実際にレンダリングが完了する(レンダリングパイプラインが一周する)までに使われる容量はその半分程度である」ことがわかったようです。
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であればその必要な分だけ高速なHBM2に乗せて、それ以外は低速なGDDR5などのメモリを基板上に用意してもいいし、場合によってはシステムメモリやSSDでもいいという設計思想がVEGAでは採用されました。その際にHBM2キャッシュを賢く有効に使うためのコントローラーとして「High-Bandwidth Cache Controller」が用意されています。
厳密ではありませんが、SSDをキャッシュとして使用するSSHDのように、VEGAでは高速なHBM2と低速なメモリ(GDDR5やDRAMなど)を1つのVRAMとみなしてGPUを動かす、ということになります。

こんなことして従来のプログラム(ゲーム)との互換性は大丈夫なの?と心配になると思いますが、4Gamerの記事曰く、『従来のGPUでもVegaでも,いずれにせよ仮想アドレスから物理アドレスへの変換を行ってアクセスしているので,俯瞰視点で見れば,アドレス解決の仕方とメモリ管理の仕方が変わったというだけなのだ。』ということで全く問題ないそうです。

キャッシュによる高速化である以上ワーストケースではパフォーマンスが下がる可能性もありますが、その辺りは実機を見ないとわからないというか「High-Bandwidth Cache Controller」さんに期待ということになります。

管理人的にはここからが本題なのですが、
上で説明した通り、VEGAにおいてHBM2の容量は「高速であることが求められる量=実際に使う量の半分」もあればOKという設計思想でした。今のところ4K解像度であってもPCゲームにおけるVRAMの使用量は大きいものでもせいぜい8GBに収まります。つまり現行のハイエンドゲーミング環境を視野に入れるなら”VEGAにおいて搭載する必要があるHBM2の容量はたったの4GB”ということになります。
さらに話を単純化すると「8GBのVRAMを乗せるGPUには4GBのHBM2キャッシュがあればOK」という話になります。(変な例えですがGTX 1080をVEGA化?する場合は4GBのHBMと低速なメモリを8GB乗せて、TITAN X PascalをVEGA化?する場合は6GBのHBM2と12GBの低速なメモリを乗せます。)
実際にイベントで一瞬提示されたGPUコアにはHBM2は2スタックしか乗っておらず、4Gamersの受け売りですがコスト的に考えて1スタックあたり2GBか4GBのHBM2を採用しているとみるのが妥当だそうです。
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NVIDIAがGP100で16GBや32GBのHBM2を搭載しようと躍起になっている一方で、AMD VEGAではたったの4GBのHBM2と安価な8GBのGDDR5でいいとしたら、AMDがHBM2を採用したGPUをNVIDIAよりも早く一般向けにリリースできるという事情にも合点がいきます。少ない層、少ないスタックのHBM2で十分であるならHBM2の歩留まりの観点からもかなり有利です。
高価(高速)なメモリと安価(低速)なメモリを組み合わせることがパフォーマンス上も問題ないなら、AMD VEGAのコストパフォーマンスもまたかなり優秀になると期待できるかもしれません。


あとHBM2をキャッシュ化することで外部リソースを仮想的にVRAMと見なすことができてその最大容量は512TBとなるようです。ただしHBCCの賢さ次第なのかもしれませんが管理人の理解だと「確保したメモリのうち半分……」の前提に反する機能のように感じました。将来的な拡張性に対するアピールでしょうか? まあPCゲーマーにはあまり関係ない機能ですが。




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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