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最新3D NANDメモリチップを採用した高コストパフォーマンスNVMe M.2 SSD「Kingston NV1 1TB(型番:SNVS/1000G)」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.kingston.com/jp/ssd/nv1-nvme-pcie-ssd
Kingston NV1 1TB レビュー目次
1.Kingston NV1について
2.Kingston NV1 1TBの外観
3.Kingston NV1 1TBの検証機材と基本仕様
4.Kingston NV1 1TBのベンチマーク比較
5.Kingston NV1 1TBの連続書き込みについて
6.Kingston NV1 1TBの実用性能比較
7.Kingston NV1 1TBのレビューまとめ
【機材協力:Kingston】
Kingston NV1について
「Kingston NV1」はメモリチップに3D NAND、メモリコントローラーにPHISON PS5013-E13が採用された、NVMe(PCIE3.0x4)接続でM2280フォームファクタのM.2 SSDです。「Kingston NV1」にはSSD容量として500GB(型番:SNVS/500G)、1TB(型番:SNVS/1000G)、2TB(型番:SNVS/2000G)の3モデルがラインナップされています。
「Kingston NV1」シリーズのアクセススピードは、最大でシーケンシャル読出2100MB/s、シーケンシャル書込1700MB/sの高速アクセスを実現しています。
「Kingston NV1」シリーズのMTBF(平均故障時間)は150万時間、書込耐性は500GBが120TBW、1TBが240TBW、2TBが480TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は3年間です。
Kingston NV1 スペック一覧 |
|||
容量 | 500GB (SNVS/500G) |
1TB (SNVS/1000G) |
2TB (SNVS/2000G) |
コントローラー |
PHISON PS5013-E13 |
||
メモリー | 3D NANDメモリチップ | ||
キャッシュ |
-MB | -GB | -MB |
連続読出 | 2100MB/s | ||
連続書込 | 1700MB/s | ||
4Kランダム読出 | -IOPS/s | ||
4Kランダム書込 | - IOPS/s | ||
消費電力 | 1.1W(読み出し最大)、3.3W(書き込み最大) | ||
動作温度範囲 | 0°C~70°C | ||
MTBF | 150万時間 | ||
耐久性評価 | 120TBW | 240TBW | 480TBW |
保証期間 | メーカー3年 |
今回レビューする「Kingston NV1 1TB」はアクセススピードが2GB/s程度でコストパフォーマンスを重視した安価なモデルですが、同社からはPCIE3.0x4帯域のNVMe SSDとして理想的な連続読み書き3GB/sを発揮するハイエンドモデルKingston KC2500シリーズも発売中です。
・「Kingston KC2500 1TB」をレビュー
Kingston NV1 1TBの外観
まず最初にKingston NV1 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。Kingston NV1シリーズは製品情報が描かれた厚紙にプラスチック製スペーサーが埋め込まれた簡素なパッケージで梱包されています。厚紙の封を開いてプラスチック製スペーサーを取り出す形です。
Kingston NV1シリーズのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は青色になっています。
Kingston NV1シリーズの表面にはM.2端子を右端として、右からメモリコントローラーと4枚のメモリチップが実装されています。
Kingston NV1シリーズは500GBから最大容量の2TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
Kingston NV1 1TBの検証機材と基本仕様
「Kingston NV1 1TB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
「Kingston NV1 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
Kingston NV1 1TBのベンチマーク比較
「Kingston NV1 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Kingston KC2500 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Crucial P5 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)について、「Kingston NV1 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Kingston NV1 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し1800MB/s、連続書き込み1700MB/sとなりました。
CrystalDiskMark7では連続読み出しが仕様値の2100MB/sに届いていませんが、最新バージョンのCrystalDiskMark8を使用すると最新NVMe SSDに最適化したアクセスタイプにテストが更新されているので、「Kingston NV1 1TB」の連続読み出しが仕様値通り2100MB/sをマークします。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「Kingston NV1 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「Kingston NV1 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Kingston NV1 1TBの連続書き込みについて
「Kingston NV1 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)
このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
最新3D NANDをメモリチップに採用する「Kingston NV1 1TB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、ストレージが空の状態では100GBの連続書き込みでも1GB/s以上の書き込み速度を安定して発揮しました。
使用済み容量0GBの状態で50GB動画ファイル×2を連続してコピーしていったところ、280GB程度を書き込んだところで、書き込み速度の低下が発生しました。以降はSLCキャッシュの開放が完了するまで、書き込み速度は40~50MB/s程度に低下します。
なお500GBが使用済みの状態で十分に時間を置き、「Kingston NV1 1TB」に対して大容量の書き込みを行ったところ、15GB程度の書き込みが終了した段階で書き込み速度は40~50MB/s程度に低下しました。
Kingston NV1 1TBの実用性能比較
「Kingston NV1 1TB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
・本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、下の比較のように『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間では傾向が少し変わります。
SSD対HDDで2~3倍の時間差が生まれるのに対して、SSDの中では、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにして高速になる傾向は見受けられますが、それでもせいぜい1,2割程度と、実用的にはランダム要因な誤差に吸収されるくらいの時間差です。 今後PCゲームがさらに高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。
The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。
Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。
Kingston NV1 1TBのレビューまとめ
最後にNVMe M.2 SSD「Kingston NV1 1TB(型番:SNVS/1000G)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 連続読み出し2.1GB/sと連続書き込み1.7GB/s(最大)
- 1TBが1.2万円程度と、NVMe M.2 SSDとして安価な価格帯
- メーカー正規保証期間が3年間
- SLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する(おそらくQLC型)
1TBモデルの場合は超過後の書き込み速度は50MB/s程度 - 使用済み容量が一定値を超えるとSLCキャッシュ容量は10~20GB程度になる
「Kingston NV1 1TB」を検証してみたところ、NVMe SSDなのでSATA SSDよりは概ね高速ですが、やはり同社の上位モデルKingston KC2500のように読み書きが3GB/sを超えるモデルには及びません。1TB容量で1.2万円程というSATA SSD相当の価格帯に魅力を感じるかどうかで選ぶ製品だと思います。
「Kingston NV1 1TB」は最新3D NANDメモリが採用されていること以外は、採用NANDチップの情報がありませんが、今回のサンプル機についてはSLCキャッシュ超過後の書き込み速度が低いので、どうやらQLC型NANDを採用しているようです。
「Kingston NV1 1TB」のSLCキャッシュ容量は空き容量によって変化し、0GB使用済みの状態なら200GB以上の大容量をSLCキャッシュとして使用できますが、使用済み容量が約半分を超えると10~20GBのSLCキャッシュしか使用できなくなります。
キャッシュ超過後の書き込み速度は50MB/s程度と低く、大容量データを頻繁に取り扱う用途には向かないので注意してください。
以上、「Kingston NV1 1TB」のレビューでした。
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最新3D NANDメモリチップを採用した高コストパフォーマンスNVMe M.2 SSD「Kingston NV1 1TB」をレビュー。1TB/1.2万円なコスパ重視SSDを検証。https://t.co/6BSaYohGUn pic.twitter.com/HtklOnKFmt
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 22, 2021
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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