Nintendo Switch 2の拡張ストレージとしても話題のmicroSD Express メモリーカード「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」をレビューします。
Switch 2の増設ストレージとして使用した時のゲームロード性能比較に加えて、スマホやアクションカメラ用メモリーカードとして使用した時に、写真・動画の大容量データをPCへ転送するコピー速度はどう変わるのか徹底検証していきます。
【機材協力:Nextorage】
製品スペックや保証条件
「Nextorage microSD Express メモリーカード Gシリーズ EX」の製品スペック概要について簡単にまとめました。
製品データシート/表
「Nextorage microSD Express メモリーカード Gシリーズ EX」のデータシート/スペック一覧は次の通りです。
Nextorage microSD Express Gシリーズ EXスペック一覧 | ||||
---|---|---|---|---|
容量 | 型番:NM3A128 | 128 GB型番:NM3A256 | 256 GB型番:NM3A512 | 512 GB型番:M3A1TB | 1 TB
インターフェース | microSD SD Express (NVMe PCIE3.0x1) / UHS-I | |||
メモリー | TLC型 3D NAND | |||
連続読出 | 810 MB/s | 880 MB/s | ||
連続書込 | – MB/s | |||
性能クラス | SDスピードクラス: Class10 UHSスピードクラス: U3 ビデオスピードクラス: V30 アプリケーション パフォーマンスクラス: A1 SD Expressスピードクラス: 未取得 | |||
書込耐性*1 | – TB | – TB | – TB | – TB |
保証期間*2 | メーカー 5年 | |||
動作温度範囲 | -25 ℃ ~ 85 ℃(結露のないこと) | |||
物理耐久性能 | 防水: IPX7 防塵: IP5X 耐衝撃: 高さ1.5 mからの落下耐性テスト 曲げ耐性: 10 N(ニュートン)加圧テスト 耐挿抜: 10,000回超の挿抜テスト 耐X線: ISO7816-1準拠 耐紫外線(UV): ISO7816-1準拠 耐静電: ISO7816-1準拠 耐磁性: 耐磁テスト実施 |
*1 保証TBW:Total Byte Written
*2 限定保証:ドラレコ、監視カメラ等の常時書き込み使用は対象外
*非公表かつ不明なスペックは”-(ハイフン)”を記載しています。
外観・付属品
まずは「Nextorage microSD Express メモリーカード Gシリーズ EX」の外観や付属品について紹介していきます。
「Nextorage microSD Express Gシリーズ EX」は紙製パッケージで梱包されています。封印シールを破るとプレスチック製ケースに収められたメモリーカードが現れます。
続いて「Nextorage microSD Express Gシリーズ EX」のメモリーカード本体をチェックしていきます。
シンプルにmicroSDXC Expressメモリーカードそのもので、表面にはメーカー・ブランドロゴ、容量、ビデオクラスやアプリケーションクラス等の認証ロゴが描かれています。
接続インターフェース
「Nextorage microSD Express Gシリーズ EX」はSD Express (NVMe PCIE3.0x1)に対応したメモリーカードです。
microSDサイズかつ、通信方式としてSD Express (NVMe PCIE3.0x1)に対応しているので、Nintendo Switch 2の増設ストレージとして使用できます。

同様にNVMe/PCIEを利用した高速メモリカードには高画質ミラーレス一眼カメラでCFexpressが普及しつつありますが、CFexpressはSD/microSDとは物理的にサイズが異なり、互換性がありません。
SD Expressメモリーカードは速度がUHS-I相当に制限されますが、一般的なUHS-I対応メモリーカードリーダーがあればPCでの読み書きは問題なく可能です。
物理的な耐久性
「Nextorage microSD Express Gシリーズ EX」はIPX7の防水性、IPX5の防塵性など10種類の耐久性テストをクリアしています。
Nintendo Switch 2はポータブルゲーム機で外出先に持ち出すことも多いので、メモリカードの物理的な耐久性が高いのはシンプルに魅力です。

今のところ、microSD Expressメモリーカードに対応するカメラやスマートフォンはありませんが、SD Expressメモリーカードは従来のSD速度規格であるUHS-Iとして動作する後方互換性があります。
カメラ側には既存規格準拠の性能になりますが、対応カードリーダーと組み合わせればPCへの転送速度は高速化できるので、カメラやスマートフォンに使うのも全くの無駄というわけでもありません。
メモリーカードの検証機材
「Nextorage microSD Express メモリーカード Gシリーズ EX」の各種検証を行うテスト環境を紹介します。
テストベンチ機の詳細
PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
SSDテストベンチ機の構成 | ||
---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 9 7950X | レビュー |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 | レビュー |
Noctua NF-A12x25 PWM | レビュー | |
システムメモリ | G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N DDR5 16GB×2=32GB | レビュー |
マザーボード | GIGABYTE X670E AORUS MASTER | レビュー |
ビデオカード | PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN | レビュー |
システムストレージ | Samsung SSD 990 PRO 1TB | レビュー |
OS | Windows 11 Pro 64bit 22H2 | |
電源ユニット | Corsair HX1500i 2022 | レビュー |
ベンチ板 | STREACOM BC1 | レビュー |
G.Skill Trident Z5 Neo RGB 【PR】
システムメモリの検証機材には、Ryzen 9000シリーズでも引き続きOCメモリのスイートスポットとアピールされている、メモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 9000/7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したTrident Z5 Neo RGB、ラグジュアリーな外観のTrident Z5 Royal Neoといったバリエーションモデルもラインナップされています。

検証ストレージの設定
メモリーカードリーダー
SD Expressメモリーカードの検証にはメモリーカードリーダーとして「SanDisk PRO-READER SD Express Dual Card」を使用しています。
「SanDisk PRO-READER SD Express Dual Card」はSD Expressメモリーカード(NVMe PCIE3.0x1)の理想的な性能を発揮できるメモリーカードリーダーなので、一般的なUHS-I環境よりも8倍速くPCへデータ転送が可能です。
Switch 2のスクリーンショット・動画や、スマホ・アクションカメラの動画データを大量に作成してPCへ転送したい人にオススメのカードリーダーです。詳細レビューも公開しているので、SD Express対応カードリーダーを探している人は参考にしてみてください。
検証ストレージの接続場所と接続帯域
検証機材に使用しているマザーボード GIGABYTE X670E AORUS MASTERのリアI/OにはUSB 20Gbpsに対応したUSBポートがあります。
USBモバイルストレージ側の最大帯域がUSB 20Gbps以下、USB 10Gbps(旧 USB3.2 Gen2)やUSB 5Gbps(旧 USB3.0)など下方互換で対応できる製品は基本的にこのUSBポートに接続して検証しています。
検証ストレージのフォーマットについて
Windows OS機能でモバイルストレージをexFATにフォーマットする際、アロケーションユニットサイズを指定できます。
当サイトのレビューでモバイルストレージを検証する場合、特に補足がなければ、exFAT形式、アロケーションユニットサイズは512KBに統一し、検証前に再フォーマットしています。
Windows11によるフォーマットの既定アロケーションユニットサイズはストレージ容量によって変わるのですが速度重視で2TB容量の既定サイズで統一しています。

さらに詳しく
例えば1KBサイズのテキストファイルを4つ保存する場合、アロケーションユニットサイズが4KBだと、実際には16KBの容量を使用します。アロケーションユニットサイズが512KBなら2MBです。
アロケーションユニットサイズが小さい方が物理容量を最大限使用できます。
一方、モバイルストレージで一般的なexFAT形式の場合、4KBなど小さくすると、特にランダム性の高い書き込みアクセスにおいて大幅な速度低下が発生する傾向があります。*逆に速くなるケースもあるものの、頻度も程度も小さい
Windows OSの内蔵ストレージの場合、単純なシングルボリュームならNTFS形式かつアロケーションユニットサイズ 4KBで問題ありません。*RAID0ボリュームを構築する場合は、アロケーションユニットサイズ128KB~1MBに大きくした方がCDMの連続スコアが伸びやすかったりします。
基本仕様
「Nextorage microSD Express メモリーカード Gシリーズ EX」のWindowsボリューム容量、アウトボックス時のフォーマット状態など基本仕様について紹介します。
Windowsボリュームの容量
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」のexFATボリュームをWindows 11上で作成したところ、空き容量は953GBでした。
CrystalDiskInfoにファームウェアバージョンやシリアルナンバー等の情報が表示されますが、S.M.A.R.Tの健康状態などは正しく表示されません。

アウトボックス時のフォーマット状態と添付ファイル
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」は最初からexFATにフォーマット済みです。初期状態でアロケーションユニットサイズは512KBでした。
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」はアウトボックス状態でフォーマット済みですが、ボリュームの中身は空なので、ゲーム機、スマホ、カメラ等にいきなり挿入してフォーマットし直しても特に問題ありません。

ベンチマークソフトで検証
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」の基本的な性能をベンチマークソフトで検証しました。
ストレージベンチマークを代表する1つ、CrystalDiskMarkで「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」の性能を検証しました。
CrystalDiskMarkのバージョンは8.0.4、設定はデータサイズ 1GiB、プロファイル defaultです。
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」は、SD Expressに対応したメモリーカードを組み合わせることで、CrystalDiskMarkベンチマークスコアは連続読み出し 830MB/s、連続書き込み 700MB/sを発揮できます。
環境依存で若干差は出ますが、SD Express(NVMe PCIE3.0x1)の接続帯域として理想的な性能を発揮するメモリーカードです。*カードリーダーとの相性、Intel/AMD環境の違いや接続するUSBポートでベンチマーク結果は多少変わります
UHS-I後方互換で動作させた場合
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」をSD規格として一般的なUHS-I対応メモリーカードリーダーで動作させてベンチマーク測定を行いました。
SD Express対応メモリーカードに一般の仕様としてUHS-I規格に後方互換性があるので、速度は制限されますがmicroSD UHS-I対応ならスマホやアクションカメラでも使用できます。
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」をUHS-I対応メモリーカードリーダーで使用した場合、連続読み出しと連続書き込みが90MB/s前後という一般的なUHS-I対応SDメモリーカード的な性能になりました。
連続書き込み性能を検証
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」の連続書き込み性能を検証しました。
連続書き込み性能は最新スマホやアクションカメラで4K+の超高解像度な動画を長時間撮影する時に重要な性能です。
GoPro HERO13 Blackの5.3K動画などスマホ・アクションカメラの動画撮影で必要なmicroSDカードの性能はビデオスピードクラス V30、つまり30MB/s程度なので、「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」は余裕でクリアしています。*例えば、GoPro HERO13 Blackの5.3K動画のビットレートは20MB/s程度です。microSDカードに保存できるスマホ・カメラの場合、30MB/s以上が要求されることはありません。
30MB/sを超えるビットレートについては、Apple ProResのようにそもそもmicroSDへの保存がサポートされていないフォーマットになるので、気にする必要はありません
今後登場が予想されるイントラビデオ対応カメラの場合、SD Expressスピードクラス対応が要件になるかもしれません。「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」は認証こそ取得していませんが、E150の水準は余裕でクリアしていて、E300はギリギリという感じです。

連続書き込み性能についてさらに詳しく
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」はPC内蔵SSDのようにSLCキャッシュ機能が採用されているようです。
SLCキャッシュ容量は、空き容量に依らず静的に確保され、固定容量 20GBです。SLCキャッシュを超過する書き込みが発生すると書き込み速度が280~300MB/s程度に低下します。
PC内蔵SSDのSLCキャッシュはアイドル状態で自動的に全開放という動作が多いですが、省電力性能を重視しているのか「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」の挙動は少々異なります。
使用済みデータがある状態では、一定容量を超える連続したデータの書き込みが発生すると固定容量20GBのSLCキャッシュを再度取得する、というような挙動でした。
使用済みデータがある状態でCrystalDiskMarkを実行した場合、アイドル状態で放置してSLCキャッシュ開放を待ってもなかなかフォーマット直後の性能に戻りませんが、上記のような挙動で実用的には問題ないので、SLCキャッシュ超過時のベンチマークスコアはあまり気にする必要はありません。

データコピー性能を検証
カメラ、スマホ用のメモリーカード性能評価で重要項目となるデータコピーにおける読み出し・書き込み性能を実際の写真・動画データを使用して検証しました。
検証にはフルサイズミラーレス一眼カメラの写真・動画データを想定して、10GBの動画ファイルが5つ入った約50GBの動画フォルダ、10MB~20MBの画像ファイル 2,000枚弱が入った約30GBの写真フォルダの2種類を使用しています。

コピー検証の具体的な手順
コピー検証の具体的な手順を説明します。
- 検証ストレージをフォーマットして十分に放置
- 最初に検証ストレージへのコピー書き込みを行う
- 各テストデータの書き込み後、毎回、10分間のインターバルを置く
- 全てのテストデータを書き込んだら、コピー相手のSSDをフォーマット
- 同様に10分間のインターバルを置いてから、コピー読み出しを行う
空き容量依存のSLCキャッシュ容量やSLCキャッシュ開放速度といったSLCキャッシュ構造は製品によって異なります。
実用シーンでは容量の使用状況によって書き込み性能は今回の検証結果と変わる可能性があります。
コピー相手のSSDについて
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したCrucial T700 2TBを使用しています。

コピー相手のSSDは独立したCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、PCIE接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。
コピー相手SSDのCrucial T700 2TBは十分にSLCキャッシュ容量が大きく、開放も速いので読み出し、モバイルストレージ相手のコピー検証において、読み書き共にボトルネックになることはありません。
動画フォルダのコピー(10GB×5)
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」で50GBの動画フォルダのコピー速度を検証しました。
動画ファイルは1つ1つのファイルがGB単位の大容量なので実際のコピーではCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。
動画フォルダのコピー読み出しにおいて、「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」によるコピー時間は79秒ほど、読み出し速度は661MB/s程度です。

写真フォルダのコピー(30GB, Files:2K)
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」で30GBの写真フォルダのコピー速度を検証しました。
画像ファイル1つ1つは先の動画ファイル1つに比べると大幅に小さいですが、高解像度なミラーレス1眼カメラで撮影したJPEG撮って出し画像の場合、1枚が10~20MB程度なのでやはりCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。
写真フォルダのコピー読み出しにおいて、「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」によるコピー時間は51秒ほど、読み出し速度は609MB/s程度です。
ファイル数が多いもののほぼシーケンシャル読み出し的なアクセスなので、先の動画フォルダのコピー読み出し同様にUHS-I環境に対して8倍近く高速で、SD Expressとして理想的な性能です。

Switch 2でゲームロード時間を比較
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」をSwitch 2の増設ストレージとして使用した時の性能を比較検証します。
「Nextorage Gシリーズ EX」の1TB容量モデルをSwitch 2の増設ストレージに使用すると953GBを新たにストレージとして使用できました。

実際のゲームロード時間を比較
Switch 2ネイティブ対応タイトルや初代Switch後方互換タイトルのゲームロード時間を本体内蔵メモリーと比較します。
ゲームロード時間の比較には、
- ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム 【Switch 2】
- DAEMON X MACHINA TITANIC SCION 【Switch 2】
- ゼノブレイド2 【Switch 1】
- 大乱闘スマッシュブラザーズDX 【Switch 1】
以上の4タイトルを使用しています。
Switch 2 ゲームロード時間の比較方法詳細
Switch 2 ネイティブ対応ゲーム
ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムについては、『Switch 2のホーム画面から起動し、ニューゲームやコンティニューなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』、『マップのファストトラベル後にプレイ可能になるまで』の時間を測定しています。
DAEMON X MACHINA TITANIC SCIONについては、『Switch 2のホーム画面から起動し、最終セーブデータ(同一地点)を読み出してプレイ可能になるまで』、『マップのファストトラベル後にプレイ可能になるまで』の時間を測定しています。
初代Switch 後方互換対応ゲーム
ゼノブレイド2については、『Switch 2のホーム画面から起動し、ニューゲームやコンティニューなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』、『マップのファストトラベル後にプレイ可能になるまで』の時間を測定しています。
大乱闘スマッシュブラザーズDXについては、『Switch 2のホーム画面から起動し、スタートメニューが表示されるまで』の時間を測定しています。
インストール速度の比較
加えてSD Expressメモリカードにバックアップしたゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(約20GB)を本体メモリーにコピーする速度も検証しました。
比較対象はオンラインダウンロードです。1Gbpsの光回線にはユーザーの多いフレッツ光&OCNプロバイダ(IPoE対応)を使用しています。


「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」をSwitch 2の増設ストレージとして使用した時のゲームロードやコピーインストールの性能を本体内蔵メモリーと比較すると次のようになっています。

ゼルダの伝説 ティアキン Switch 2エディションのように1秒未満しか差がないゲームであれば、SD Expressカードから起動しても体感的に遅くなったと感じることはありませんし、測定誤差で逆転することもあります。
一方で、DAEMON X MACHINA TITANIC SCIONのように3~4秒程度と、体感でも”なんかちょっと遅い”と気付く程度にロードが遅くなることもあるようなので、よく遊ぶゲームは本体保存メモリーに保存するのがオススメです。
Nintendo Switch 2は記憶領域として、256GB容量の本体保存メモリー、最大2TBのSD Expressメモリーカードを使用できますが、ゲームソフト物理メディアのゲームカードを含めて、読み出し速度が一番速いのは本体保存メモリーです。
Switch 2の記憶領域について、さらに詳しく
Nintendo Switch 2の本体メモリーはUFS3.1というストレージ規格が使用されています。比較的新しい高性能スマートフォンのストレージにも採用されている規格です。
UFS3.1は理論値最大が2900MB/sですが、スマホ等の実際に製品化されたものを見ると実効値で連続読み出しが1200~2000MB/s程度です。
Switch 2もおそらくそれくらいの速度なので、初代Switchの本体保存メモリー(eMMC HS400モードで400MB/s程度)に対して、3~5倍も高速になっています。
一方で拡張スロットについて、Nintendo Switch 2のSD ExpressカードスロットはNVMe PCIE3.0x1帯域に対応していて、実効値で連続読み出しが800MB/s程度です。初代SwitchのSD UHS-Iはせいぜい100MB/sなので8倍以上も高速です。
Nintendo Switch 2のストレージ仕様 | ||||
---|---|---|---|---|
![]() Switch 2 | ![]() Switch (OLED/Lite) | |||
種類 | 本体 | 拡張 | 本体 | 拡張 |
規格 | UFS3.1 | micro SD Express | eMMC HS400 | micro SD UHS-I |
容量 | 256GB | 最大 2TB | 64GB / 32GB | 最大 1TB |
速度 | 1200MB/s以上 | 800MB/s | 400MB/s | 100MB/s |
SD Expressカードはキャプチャーボタンで撮影したスクリーンショットや動画を直接保存する場所として指定できます。
一番高速なSwitch 2の本体保存メモリーは、よく遊ぶゲームの保存先に使用したいので、画像・動画データやゲームバックアップで容量を圧迫されなくなるのは、SD Expressカードで保存領域を拡張するメリットです。
ニンテンドー eショップのオンラインサーバーからダウンロードすると20GB容量のゲームで約18分かかりますが、SD Expressカードからコピーすれば4分弱と1/4以下の時間で完了します。
ダウンロードやコピーの速度について
10ギガ光回線でも検証してみましたが、ニンテンドー eショップのオンラインサーバーからゲームをダウンロードする速度は200Mbps(25MB/s)程度が上限に、1ユーザー当たりの帯域が制限されているようです。
またSD Expressカードから本体保存メモリーへのコピー速度は100MB/s程度、本体保存メモリーからSD Expressカードへのコピー速度は70MB/s程度が上限です。
本体保存メモリーだけでプレイする場合、容量が足りなくなって削除したゲームは毎回10GB容量当り10分以上かけてダウンロードし直す必要があります。家族が同じ回線で動画を見ていたり、夜間や休日でインターネット回線/サーバーが混雑していればもっと時間がかかるかもしれません。
SD Expressカードにバックアップしておけば10GB容量当り2,3分以内で確実に遊べます。本体保存メモリーの容量を空けるために同容量のゲームをバックアップする時間を加えても、所要時間は半分以下です。
こういうちょっとした待ち時間を削減でき、何を残して何を削除するか取捨選択する手間がなくなるところもSD ExpressメモリーカードでSwitch 2の容量を増設するメリットです。
レビューまとめ
最後に「Nextorage microSD Express メモリーカード Gシリーズ EX 1TB」を検証してみた結果のまとめです。
- Switch 2 ライセンス品より大容量な1TBや512GBがラインナップ
- SD Expressで理想的な、連続読み出し 800MB/s以上
- 連続書き込み性能は280~300MB/s程度
- データコピーでUHS-IのSDカードより8倍も高速
- UHS-I対応カードリーダーに後方互換性あり
- IPX7の防水性、IPX5の防塵性など10種類の耐久性テストをクリア
- メーカー正規保証期間は5年間
- –
- SLCキャッシュを超過すると書き込み速度が低下
- SLCキャッシュ容量は固定容量 20GB
- SD Expressスピードクラスの認証なし
- Switch 2には関係ないし、対応カメラもいまのところ未発売
「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」はNintendo Switch 2において、ゲームのインストールと起動、スクリーンショット・動画の保存を行う増設ストレージとして正常に動作しました。
Nintendo Switch 2の製品仕様的にゲームのロードが最も速いのは本体保存メモリーなので、よく遊ぶゲームはここに保存したいですが、使用できる容量は231GBしかなく、ゲームインストールデータだけでなく、スクリーンショット・動画、セーブデータ等も容量を食います。
SD Expressカードはゲームのインストール先だけでなく、キャプチャーボタンで撮影したスクリーンショットや動画を直接保存する場所としても指定できるので、最も高速な本体保存メモリーを圧迫しないことが最大の役割であり、導入するメリットです。
1TBや512GBの大容量モデルもラインナップされる「Nextorage Gシリーズ EX」ならその役割を十分に果たせます。
Switch 2用のSD Expressカードは任天堂ライセンス商品があり、知名度からそちらを選ぶ人も多いですが、Nextorageはソニーのストレージ部門を源流とし、長年、SSDやメモリーカードを扱っている、信頼性も非常に高いメーカーなので、同社製SD Expressカードを選ぶのも普通にアリです。
SD Expressメモリーカードリーダーを組み合わせれば、UHS-I規格のSDメモリーカード環境と比較して、「Nextorage Gシリーズ EX」は8倍も高速に動画や写真のデータをPCへ転送できます。
最新スマホやGoProなど高画質アクションカメラで4K+の超高解像度な動画を撮影した場合、1時間で動画ファイルのサイズは約50GBに達します。
撮影時の性能としてはUHS-I規格(V30対応)のSDカードでも十分ですが、撮影データを編集するためにいざPCへ転送となると、UHS-I規格なら1時間の動画データ転送に10分以上もかかるところ、SD Expressなら1分半程度で完了してしまいます。
最新スマホやGoProなど高画質アクションカメラで大量の動画、写真を撮影して、Vlogをしているクリエーターにとって、撮影機器側がSD Expressに対応していなくても、PCへ転送する段階で作業をよりスムーズにしてくれます。
費用対効果も検討する必要はありますが、時間効率が重要になるプロのクリエイターにとっては地味に強力なツールだと思います。
以上、「Nextorage Gシリーズ EX 1TB」のレビューでした。
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