PS5拡張スロット互換サイズのヒートシンク付きSSDをヒートシンク付きのまま、ツールレス組み立てでUSB 20Gbpsに対応したモバイルストレージに変換できるM.2 SSDケース「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」をレビューします。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」でモバイルストレージ化した同社製ヒートシンク付きM.2 SSDをPCとUSB 20Gbpsで接続することによって、写真・動画の大容量データのコピー速度はどう変わるのか徹底検証していきます。
【機材協力:Nextorage】
NX-EN1PRO : USB PD 100W対応、冷却ファン搭載
製品スペックや保証条件
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」の製品スペック概要について簡単にまとめました。
製品スペックについて
「Nextorage NX-EN1シリーズ」はNVMe M.2 SSDをUSBモバイルストレージとして変換できるSSDケースです。ケースの開閉からSSDの着脱まで全ての工程がツールレスです。
M.2 SSDで一般的な2280や小型な2230など各種サイズに対応し、さらにヒートシンク付きM.2 SSDもヒートシンクを装着したままで、USBモバイルストレージに変換できます。

M.2 SSD側はPCIE4.0x4接続のNVMe M.2 SSDに対応し、USB 20GbpsのUSB接続に変換できます。ほぼ終息した規格ですが、SATA接続のM.2 SSDにも対応しています。
「Nextorage NX-EN1シリーズ」はUSB 20GbpsでPCと接続するので、最大で連続読み書き 2100MB/sの高速アクセスを実現しています。*実際の性能は搭載するSSDによって変わります。

USB 10Gbpsなど下位規格への互換性もあるので変換アダプタやケーブルを用意すればPCのUSB Type-Aポートでも使用できますが、USB規格の仕様として20Gbpsの通信に対応しているのはUSB Type-Cポートだけなので注意してください。
Nextorage NX-EN1シリーズには標準モデル「NX-EN1SE」に加えて、上位モデル「NX-EN1PRO」もラインナップされています。
「NX-EN1PRO」の特長は、
- USB PD3.0規格の100W給電パススルーに対応
- 消費電力の大きい8TB容量SSDでも安定動作
- サーマルスロットリングを抑制する静音冷却ファン搭載
以上の3つです。

「Nextorage NX-EN1シリーズ」はUSB 20Gbpsに対応しているので最大帯域で、最新ゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X|Sの外付けストレージとして使用できます。
ネイティブ対応タイトルの起動には非対応なものの、内蔵ストレージが満杯になった時にネイティブ対応タイトルのコピーインストール用バックアップ先として使用でき、後方互換タイトルであればインストール・起動も可能、スクリーンショットやビデオクリップの出力にも使用できるので、最新ゲーム機用の外付けストレージとしても最適な製品です。
なお、内蔵ストレージとしてHDDを搭載する旧型ゲーム機のPlayStation 4やXbox One Xの場合はゲームインストール先として使用できるだけでなく、ロード時間の短縮も期待できます。


USB規格の名称や転送速度について簡単にまとめておきます。
現在、最新バージョンのUSB表記では世代/バージョン/リンク数といった分かり難い記載は消え、単純に”USB 10Gbps”のように接続帯域がそのまま記載されています。
最新の名称とロゴ パッケージ / コネクタ | 帯域 / 理論実効速度 | 旧名とロゴ | 技術仕様 | |
---|---|---|---|---|
USB2.0 | 480Mbps 48MB/s | |||
USB 5Gbps | 5Gbps 500MB/s | USB3.2 Gen1 USB3.1 Gen1 USB3.0 | ||
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USB 10Gbps | 10Gbps / 1.2GB/s | USB3.2 Gen2 USB3.1 Gen2 ![]() | ||
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USB 20Gbps | 20Gbps / 2.4GB/s | USB3.2 Gen2x2![]() | ||
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USB 40Gbps | 40Gbps / 4.8GB/s | USB4 ver 1.0 USB4 Gen3x2 | ||
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USB 80Gbps | 80Gbps / 9.6GB/s | USB4 ver 2.0 USB4 Gen4x2 | ||
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USB外付けストレージの実際の転送速度は?
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USB外付けストレージについては個別製品によって実際の性能は異なるものの、2025年現在、
- USB 5Gbps : 約480MB/s
- USB 10Gbps : 約1,100MB/s
- USB 20Gbps : 約2,100MB/s
のように、USB 20Gbpsまでは帯域理論値に近い転送速度を発揮できるようになっています。
一方、ASMedia製USB4コントローラ ASM2464PDを搭載した外付けSSDやエンクロージャー(変換ケース)が2025年に発売したばかりで、今のところ、USB 40Gbps外付けストレージの実効性能は最大4.0GB/s程度です。
外観・付属品
まずは「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」の外観や付属品について紹介していきます。
紙製パッケージを開くと紙製スペーサーに「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」のSSDケース本体とUSB Type-Cケーブル、M.2 SSD固定ラッチ、ラッチ用ドライバーが収められています。
続いて「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」のSSDケース本体をチェックしていきます。

「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」はピンクゴールドっぽい銅色の筒状アルミニウム製外装で覆われていて、重厚かつ頑丈です。
内部構造
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」は筒状の金属製カバーにプラスチック製トレーが挿入されており、プラスチック製トレー上にM.2 SSD to USB変換基板があります。

標準モデルのNX-EN1SEも、上位モデルのNX-EN1PROも基板の基本設計はほぼ同じで、NX-EN1PROには追加で冷却ファンやUSB PD用回路が実装されています。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」のNVMe M.2 SSD to USB変換コントローラーにはRealtek RTL9220が使用されていました。

接続インターフェース
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」は天面にあるメーカーロゴから見てすぐ傍の左側面にUSBケーブルを接続するためのUSB Type-C端子が実装されています。
USB 20Gbpsに対応したUSB Type-Cケーブルが付属しているのでホスト側にUSB Type-C端子があれば各自でUSBケーブルを用意する必要はありません。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」はUSB 10Gbps(旧USB3.2 Gen2)など下位規格への互換性もあるので変換アダプタやケーブルを用意すればPCのUSB Type-Aポートでも使用できます。
ちなみに「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」に付属するUSB Type-Cケーブルはいずれも共通です。
USBケーブルの仕様が記載されているeMarkerによると、USB4とTB4の40Gbpsデータ通信に対応し、USB PD3.1のEPR(Extended Power Range)による240W(48V・5A、瞬間最大50V)に対応していました。

持ち運びの便利さ、物理的な耐久性
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」の製品寸法は縦48mm×横130mm×厚さ22.6mmです。スマートフォンを横に二つ折りした感じで、やや厚みのあるサイズ感です。
「Nextorage NX-EN1SE」の重量は約118g、「Nextorage NX-EN1PRO」の重量は約126gです。筒状のアルミニウム金属製外装が採用されているので重量は大きめです。
アルミニウム外装の角はラウンド状になっているので手で握っても角張った感じはなく、天面と側面にはスリットもあるので手で持って滑る感じもありません。
ただし、底面はフラットなアルミニウム外装そのままで、重量も大きめなので、傾きのある場所に置くと滑り落ちやすいので注意が必要です。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」は市販のM.2 SSDを変換してモバイルストレージ化する変換ケースなので、防塵、防滴、落下衝撃等の耐久性能のテストはなく、保証もされていません。
普通に持ち歩く分には特に問題ありませんが、野外での写真・動画撮影などハードなアウトドア環境での使用を想定するなら、各種の耐衝撃性能テストをクリアしている、同社製ポータブルSSDのNX-P2SE、NX-P4SE、等を検討した方が良いです。

上位モデル NX-EN1PROの特長
Nextorage NX-EN1シリーズには標準モデル「NX-EN1SE」に加えて、上位モデル「NX-EN1PRO」もラインナップされています。
上位モデル「Nextorage NX-EN1PRO」の特長は次の3つです。
- USB PD3.0規格の100W給電パススルーに対応
- 消費電力の大きい8TB容量SSDでも安定動作
- サーマルスロットリングを抑制する静音冷却ファン搭載
USB充電器が必須というわけではなく、バスパワー出力でも動作します。
USB PD 100W給電パススルーに対応
「Nextorage NX-EN1PRO」にはPC等ホスト機器への接続用USB Type-Cポートに加えて、USB PD3.0規格に対応したACアダプタを接続できる給電用USB Type-Cポートも実装されています。

給電用USB Type-CポートはUSB PD3.0規格で最大100W(20V・5A)の給電に対応しており、同SSDケースからパススルーして、モバイルPCやスマートフォンなど接続されているホスト機器の充電が可能です。
100Wなど大電力による充電に対応した機器を所有していないので、Surface Pro 7+での検証となりますが、USB 10Gbpsの帯域で通信を行いつつ、20V電圧で40W~50Wの充電が行えることも確認できました。

消費電力の大きいSSDも安定動作
まず大前提としてUSB規格作成団体 USB-IFによる既存のUSB規格では5~7W以下の給電しか想定されていません。
非USB PD対応のUSBポートだと現実的な出力は5W未満、最大でも7.5Wと小さいので、
USB出力とSSD消費電力について
スマートフォンは基本的にUSB PD規格の出力に対応していますが、USB PD対応の表記がないPCやゲーム機のUSBポートの出力は基本的に5W以下、最大でも7.5W程度です。*非USB PDの場合、USB規格上、USB2.0で2.5W(5V・500mA)、USB3.0で4.5W(5V・900mA)、USB BC1.2で7.5W(5V・1500mA)が最大出力です。
同社製品のNX-P2SE、NX-P4SEなど一般的なUSB接続ポータブルSSDはその辺りの事情も想定して、非USB PD環境でも動作するように消費電力も含めて設計されていますが、PC内蔵用のNVMe M.2 SSDはそういった電力出力の制約は想定していません。
PC内蔵用のNVMe M.2 SSDは4TBや8TBの大容量、DRAMキャッシュ搭載で高速といった高性能なSSDほどSSD消費電力が高い傾向にあります。
特に8TBの超大容量なSSDは1TBや2TBの一般的な容量のSSDよりも消費電力が大きく、USB変換ケースで使用する時はUSBポートの出力に注意が必要です。*グラフはデスクトップPCのM.2スロットに設置してCrystalDiskMarkで7GB/s程度の最大性能を発揮させた時の消費電力です。USB変換ケースで使用した場合、消費電力は低減します。
標準モデルのNX-EN1SEも最大8TBのSSDに対応していますが、実際に安定動作するかどうかは、組み合わせるSSD自体の消費電力と、PC等ホスト機器のバスパワー出力に左右されます。
「Nextorage NX-EN1PRO」に同社製ヒートシンク付きSSDのNEM-PA 8TBを組み合わせた場合、連続読み出し 2GB/sの負荷をかけると、バスパワー経由でも7.6Wの消費電力になります。
バスパワーでは動作が不安定になったり、接続が切れてしまってもおかしくない消費電力です。

「Nextorage NX-EN1PRO」なら、給電用USB Type-CポートにACアダプタが接続されている場合、パススルーによってホスト機器へ給電できるだけでなく、モバイルストレージ自体(内蔵されたSSD)もホスト機器のバスパワーではなく、ACアダプタの給電によって動作します。
「Nextorage NX-EN1PRO」なら、仮に10Wを超える負荷が発生したとしてもACアダプタ経由で安定した給電が可能になるので、バスパワー出力の大きさや安定性に影響されず、4TBや8TBの大容量かつ高性能なPC向けNVMe M.2 SSDをモバイルストレージとして安定運用できます。
Nextorage NX-EN1の消費電力について補足
「Nextorage NX-EN1SE」で同社製ヒートシンク付きSSDのNEM-PA 2TBを使用し、連続読み出し 2GB/sの負荷をかけた場合、バスパワー経由の消費電力は約5Wでした。
NEM-PAシリーズは1TB/2TBの標準的な容量でも、比較的に消費電力が大きいので、一般的なUSBポートのバスパワー出力的にギリギリですが、後継モデルのNEM-PAB(PAC)は低消費電力になっているので、組み合わせても問題ないと思います。

また、「Nextorage NX-EN1SE」にNEM-PA 8TBを使用すると、連続読み出し 2GB/sの負荷をかけた場合、バスパワー経由の消費電力は6.8~7.0Wでした。
今回使用した検証機材ではCrystalDiskMarkも問題なく完走できましたが、7W前後の消費電力ともなると、安定動作するかどうかはホスト機器によって左右されるので注意が必要です。

ちなみに、上位モデル 「Nextorage NX-EN1PRO」には冷却ファンやUSB PD回路がありますが、NX-EN1SEとの消費電力の差は0.5W程度でした。
静音冷却ファン搭載
「Nextorage NX-EN1PRO」は冷却ファンも搭載しています。天面からファンによって吸気して、USBポートとは逆側の左右側面のエアスリットから排気するという構造です。
PS5拡張スロット互換サイズのヒートシンク付きSSDは基本的にPS5のハードウェア構造的にある程度のエアフローが存在すること前提の設計です。
「Nextorage NX-EN1PRO」なら冷却ファンよるアクティブ空冷で、サーマルスロットリングによる速度低下の心配なく、高性能SSDの性能を発揮できます。

対応SSDの寸法と組み立て
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」で使用できるM.2 SSDの寸法や、SSDケースにM.2 SSDを装着する組み立て手順について解説します。
ヒートシンク付きM.2 SSDに対応
NextorageからはNEM-PA(B/C)というPS5拡張スロット互換サイズのヒートシンク付きM.2 SSDが発売されていて、いずれも「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」に対応しています。

PlayStation 5の拡張スロットにSSDを初めて増設する時、互換サイズのヒートシンクを標準搭載したSSDは初心者にとって非常に便利ですが、1つだけデメリットもあります。

「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」なら、標準搭載ヒートシンクを装着したまま、分解せずにUSBモバイルストレージ化できるのでSSDの保証を損なうことがありません。もちろん、分解する時にSSDを破損させてしまう心配もありません。
PS5増設SSDを大容量なものにアップグレードした際に、これまで使っていたヒートシンク付きM.2 SSDをUSBモバイルストレージとして簡単・安全に有効活用できるのが同製品の魅力です。

対応するヒートシンク付きM.2 SSDの寸法
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」はPS5拡張スロットに互換サイズのヒートシンク付きSSDなら問題なく使用できます。
他社製のヒートシンク付きM.2 SSDを使用する場合も、対応するSSDの寸法については、『M.2 SSD基板から上8.0mmまで』、『M.2 SSD基板から下2.45mmまで』の2つの要件を抑えておけばOKです。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」は背面方向のクリアランスも十分なので、NEM-PA 8TBモデルのようにM.2 SSD自体が両面実装であり、金属製バックプレートもあって、裏面の厚みが2mm以上でも問題なく設置できます。
SSDケースの組み立て手順
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」にM.2 SSDを装着する組み立て手順について解説します。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」のSSDケースはツールレスで開閉できます。
USB Type-Cポートがある側の側面から金属製外装に食い込んでいる黒色プラスチック部分が固定ツメになっていて、ここを両側から挟みながら、外へ引っ張ると、中のプラスチック製トレーを引き出せます。
プラスチック製トレーにはM.2 SSDをUSB 20Gbpsに変換する基板があり、その中央にM.2スロットが実装されています。

M.2 SSDの固定は独自のプラスチック製ラッチを使用します。青色のプラスチック製ラッチを90度回転させるだけで簡単にM.2 SSDを固定できます。ラッチの回転には付属ドライバーを使用します。
SSDケースの開閉がツールレスなのでM.2 SSDの固定も含め完全ツールレスを期待したのですが、付属品を使うとはいえ、ラッチの開閉に専用器具が必要になるところは少々残念でした。
同社のNEM-PA(B/C)のようにヒートシンクが大きいM.2 SSDの場合、ヒートシンクとトレー側面の隙間が小さすぎて指でラッチを回すのは難しいです。
頻繁にM.2 SSDを取り換えるような使い方をする場合、ケース内にはスペースも十分にあるので、ラッチを回す器具を養生テープ等で貼り付けておくのが良いと思います。
ASUS製マザーボードのように上から押さえるだけでラッチのロックが開閉できる構造だと、狭いスペースでも完全ツールレスで、なお良かったので、今後の新製品では改良に期待したいところです。
SSD変換ケースの検証機材
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」の各種検証を行うテスト環境を紹介します。
テストベンチ機の詳細
PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
SSDテストベンチ機の構成 | ||
---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 9 7950X | レビュー |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 | レビュー |
Noctua NF-A12x25 PWM | レビュー | |
システムメモリ | G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N DDR5 16GB×2=32GB | レビュー |
マザーボード | GIGABYTE X670E AORUS MASTER | レビュー |
ビデオカード | PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN | レビュー |
システムストレージ | Samsung SSD 990 PRO 1TB | レビュー |
OS | Windows 11 Pro 64bit 22H2 | |
電源ユニット | Corsair HX1500i 2022 | レビュー |
ベンチ板 | STREACOM BC1 | レビュー |
G.Skill Trident Z5 Neo RGB 【PR】
システムメモリの検証機材には、Ryzen 9000シリーズでも引き続きOCメモリのスイートスポットとアピールされている、メモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 9000/7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したTrident Z5 Neo RGB、ラグジュアリーな外観のTrident Z5 Royal Neoといったバリエーションモデルもラインナップされています。

検証ストレージの設定
USB変換ケースに内蔵するSSD
NVMe M.2 SSD to USB変換ケースの検証には当然ですが、内蔵するNVMe M.2 SSDが必要なので、今回の検証では内蔵SSDとして「Nextorage NEM-PA 2TB」を使用しています。
「Nextorage NEM-PA 2TB」は、
- PCIE4.0接続として理想的な連続読み書き 7GB/s前後
- SLCキャッシュ容量は安定して100GB以上
- SLCキャッシュ超過後も4000GB/sの書き込み速度
という非常に高性能なNVMeM.2 SSDなので、USB 20Gbps接続に対応するSSDケース「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」の検証においてSSD性能がボトルネックになることはありません。

検証ストレージの接続場所と接続帯域
検証機材に使用しているマザーボード GIGABYTE X670E AORUS MASTERのリアI/OにはUSB 20Gbpsに対応したUSBポートがあります。
USBモバイルストレージ側の最大帯域がUSB 20Gbps以下、USB 10Gbps(旧 USB3.2 Gen2)やUSB 5Gbps(旧 USB3.0)など下方互換で対応できる製品は基本的にこのUBSポートに接続して検証しています。
オーバースペックにはなりますが、上記USBポートとモバイルストレージの接続には、UBS 80Gbps対応で長さ1.2mのType-Cケーブル「Club 3D CAC-1570」を使用しています。
Club 3D製のUSB/ビデオケーブルは高品質なので、品質や通信の安定性重視でケーブル選びに迷ったら特にオススメです。
検証ストレージのフォーマットについて
Windows OS機能でモバイルストレージをexFATにフォーマットする際、アロケーションユニットサイズを指定できます。
当サイトのレビューでモバイルストレージを検証する場合、特に補足がなければ、exFAT形式、アロケーションユニットサイズは512KBに統一し、検証前に再フォーマットしています。
Windows11によるフォーマットの既定アロケーションユニットサイズはストレージ容量によって変わるのですが速度重視で2TB容量の既定サイズで統一しています。

さらに詳しく
例えば1KBサイズのテキストファイルを4つ保存する場合、アロケーションユニットサイズが4KBだと、実際には16KBの容量を使用します。アロケーションユニットサイズが512KBなら2MBです。
アロケーションユニットサイズが小さい方が物理容量を最大限使用できます。
一方、モバイルストレージで一般的なexFAT形式の場合、4KBなど小さくすると、特にランダム性の高い書き込みアクセスにおいて大幅な速度低下が発生する傾向があります。*逆に速くなるケースもあるものの、頻度も程度も小さい
Windows OSの内蔵ストレージの場合、単純なシングルボリュームならNTFS形式かつアロケーションユニットサイズ 4KBで問題ありません。*RAID0ボリュームを構築する場合は、アロケーションユニットサイズ128KB~1MBに大きくした方がCDMの連続スコアが伸びやすかったりします。
ベンチマークソフトで検証
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」の基本的な性能をベンチマークソフトで検証しました。
ストレージベンチマークを代表する1つ、CrystalDiskMarkで「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」の性能を検証しました。
CrystalDiskMarkのバージョンは8.0.4、設定はデータサイズ 1GiB、プロファイル +Mixです。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」は同社のNEM-PA 2TBのようなPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDを組み合わせることで、CrystalDiskMarkベンチマークスコアは連続読み出し 2100MB/s、連続書き込み 2000MB/sです。
Intel/AMD環境の違いや接続するUSBポートでも若干差は出ますが、USB 20GbpsのUSB接続帯域として理想的な性能を発揮するモバイルストレージです。

バスパワー接続時は消費電力に注意が必要で、NX-EN1PROのPDパススルー併用が推奨されますが、NEM-PA 8TBのように8TB超大容量SSDも問題なく動作します。

以下、各種比較対象モバイルストレージのCrystalDiskMark8 ベンチマークスコアです。
データコピー性能を検証
外付けストレージの性能評価で最重要項目となるデータコピーにおける読み出し・書き込み性能を実際の写真・動画データを使用して検証しました。
検証にはフルサイズミラーレス一眼カメラの写真・動画データを想定して、10GBの動画ファイルが5つ入った約50GBの動画フォルダ、10MB~20MBの画像ファイル 2,000枚弱が入った約30GBの写真フォルダの2種類を使用しています。

コピー検証の具体的な手順
コピー検証の具体的な手順を説明します。
- 検証ストレージをフォーマットして十分に放置
- 最初に検証ストレージへのコピー書き込みを行う
- 各テストデータの書き込み後、毎回、10分間のインターバルを置く
- 全てのテストデータを書き込んだら、コピー相手のSSDをフォーマット
- 同様に10分間のインターバルを置いてから、コピー読み出しを行う
空き容量依存のSLCキャッシュ容量やSLCキャッシュ開放速度といったSLCキャッシュ構造は製品によって異なります。
実用シーンでは容量の使用状況によって書き込み性能は今回の検証結果と変わる可能性があります。
コピー相手のSSDについて
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したCrucial T700 2TBを使用しています。

コピー相手のSSDは独立したCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、PCIE接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。
コピー相手SSDのCrucial T700 2TBは十分にSLCキャッシュ容量が大きく、開放も速いので読み出し、モバイルストレージ相手のコピー検証において、読み書き共にボトルネックになることはありません。
動画フォルダのコピー(10GB×5)
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」で50GBの動画フォルダのコピー速度を検証しました。
動画ファイルは1つ1つのファイルがGB単位の大容量なので実際のコピーではCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。
動画フォルダのコピー読み出しにおいて、「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」によるコピー時間は32秒ほど、読み出し速度は1610MB/s程度です。

動画フォルダのコピー書き込みにおいて、「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」によるコピー時間は41秒ほど、書き込み速度は1294MB/s程度です。
CDMベンチで2000MB/s程度になるSLCキャッシュの範囲内に収まるコピー書き込みなので、読み出し同様に1600~1700MB/s程度の速度が出るかと思ったのですが、予想よりは低めでした。AMDチップセットのUSB3.2 Gen2x2コントローラーか、Windowsファイルシステム、exFAT構造の何かしらがボトルネックになっているように思います。
とはいえ「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」はUSB 10Gbps対応SSDよりも1.5倍程度も高速です。

写真フォルダのコピー(30GB, Files:2K)
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」で30GBの写真フォルダのコピー速度を検証しました。
画像ファイル1つ1つは先の動画ファイル1つに比べると大幅に小さいですが、高解像度なミラーレス1眼カメラで撮影したJPEG撮って出し画像の場合、1枚が10~20MB程度なのでやはりCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。
写真フォルダのコピー読み出しにおいて、「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」によるコピー時間は20秒ほど、読み出し速度は1532MB/s程度です。
ファイル数が多いもののほぼシーケンシャル読み出し的なアクセスなので、先の動画フォルダの読み出しコピー同様にUSB 10Gbps対応SSDに対して2倍程度も高速で、USB 20Gbpsのモバイルストレージとして理想的な性能です。

写真フォルダのコピー書き込みにおいて、「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」によるコピー時間は27秒ほど、書き込み速度は1143MB/s程度です。
やはり読み出しに比べるとスケーリングは鈍るものの、それでもUSB 10Gbps対応SSDと比較して1.5倍程度も高速にコピーできます。

PS5接続時の速度性能を検証
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」をPlayStaion 5 ProのUSB外付けストレージにして、PS5ネイティブ対応タイトルのインストール速度やビデオクリップのバックアップ速度を比較検証しました。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」はUSB 20Gbps対応のUSB変換ケースなので、適切な容量のNVMe M.2 SSDを組み合わせれば、PS5のUSB拡張ストレージやUSBドライブとして使用できます。

PS5ゲームのコピーインストール速度
ラチェット&クランク パラレル・トラブル(約34GB)のインストール速度を検証しました。
1Gbpsの光回線(フレッツ光&OCNプロバイダ、IPoE対応)、10Gbpsの光回線(eo光 10ギガ)、連続読み書き2GB/sのUSB外付けSSDと性能を比較しています。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」からの読み出し速度は189MB/s程度となっており、USB拡張ストレージからのインストール速度としては理想的です。*PS5システム側の都合で、連続1GB/s以上を発揮する高性能モバイルストレージでもこれ以上は速くなりません。
オンラインダウンロードについて補足
今回、1Gbpsの光回線にはユーザーの多いフレッツ光&OCNプロバイダ(IPoE対応)を使用しています。
1Gbpsの光回線は現実には実行速度が200~300Mbps程度なので、インストール速度は28MB/s程度になります。インターネット回線が空いている状態でもせいぜい40MB/sですし、逆に21時~23時など回線が混む時間帯では28MB/sを割り込むこともあります。
10Gbpsの光回線にはeo光 10ギガを使用しています。
PSストアサーバーは1ユーザー当たりのダウンロード帯域が100MB/s程度を上限に制限されているようなので、10Gbpsに対応した光回線でもPS5ゲームのダウンロード速度は最大100MB/s程度です。
時間帯の影響もあって実効速度は80MB/s程度になると思います。

PS5ゲームのバックアップ速度
ラチェット&クランク パラレル・トラブル(約34GB)のバックアップ速度を検証しました。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」への書き込み速度は194MB/s程度となっており、PS5からUSB拡張ストレージへのバックアップ速度としては理想的です。*PS5システム側の都合で、連続1GB/s以上を発揮する高性能モバイルストレージでもこれ以上は速くなりません。

ビデオクリップのバックアップ速度
PS5で録画した4K解像度ビデオクリップ(約22GB)のバックアップ速度を検証しました。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」への書き込み速度は104MB/s程度となっており、PS5からUSBドライブへのビデオクリップ バックアップ速度としては理想的です。*PS5システム側の都合で、連続1GB/s以上を発揮する高性能モバイルストレージでもこれ以上は速くなりません。

レビューまとめ
最後に「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」を検証してみた結果のまとめです。
- 最大8TBのNVMe M.2 SSDにも対応
- PS5互換サイズのヒートシンク付きM.2 SSDをそのまま使用できる
- ヒートシンク着脱(分解)不要なので、SSDの製品保証が失効しない
- USB 20Gbpsで理想的な、連続読み書き2100MB/s
- データコピーでUSB 10Gbps対応SSDより1.5~2.0倍も高速
- 【PRO】 USB PD 100Wのパススルー充電に対応
- 非バスパワー動作なので高消費電力SSDも安定動作
- 縦48mm×横130mm×厚さ22.6mmのコンパクトサイズ
- 外部電源不要なUSB端子からのバスパワー駆動
- PS5やXbox X/Sの外付けストレージとして使用可能
- メーカー正規保証期間は1年間
- 【PRO】 冷却ファンのファンノイズは静かな室内だとやや煩い
- USBポータブルSSDと比べるとサイズは大きい
- 金属製外装のため120g程度と重量は大きめ
- SSDの着脱が完全ツールレスではない
- USB Type-Aポートと接続するには別途、変換アダプタ等が必要
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」はNVMe M.2 SSDを高速規格USB 20Gbpsに変換するUSB外付けSSDケースです。
今回レビューで使用した同社製NEM-PA 2TBのように組み合わせるSSDの性能が十分なら、基礎的なベンチマークでは連続読み書きで2100MB/s程度というUSB 20Gbps対応モバイルストレージとして理想的なアクセススピードを発揮し、実際のファイルコピーでもUSB 10Gbps対応製品と比較して1.5~2.0倍高速にコピーできます。
USB 20Gbpsによる高速伝送に加えて、ほぼツールレスで内蔵SSDの交換もでき、上位モデル NX-EN1PROはUSB PDパススルーによる100W給電にも対応しているので、高性能モバイルPCで動画や写真の編集を行うクリエイターにも最適な製品です。
「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」はPS5やXbox X/Sの拡張ストレージとしても使用できます。
PS5におけるゲームインストールデータのバックアップや、プレイ動画(ビデオクリップ)の保存・移動程度の用途であれば、USB 10Gbps対応の同製品は理想的な性能を発揮できます。PS5用USB接続SSDとして必要十分な製品です。
ヒートシンク付きSSDも分解不要でそのままUSBストレージ化できるSSDケースなので、PS5拡張スロットに設置するSSDを大容量なものにアップグレードした後で、分解によってメーカー保証が失効することなく換装前のSSDを再活用できる点も魅力です。

以上、「Nextorage NX-EN1PRO / NX-EN1SE」のレビューでした。
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NX-EN1PRO : USB PD 100W対応、冷却ファン搭載
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